JPH0812923A - 常温硬化可能な含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の前駆ゾル組成物とそれを用いた含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の製法 - Google Patents

常温硬化可能な含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の前駆ゾル組成物とそれを用いた含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の製法

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JPH0812923A
JPH0812923A JP6145858A JP14585894A JPH0812923A JP H0812923 A JPH0812923 A JP H0812923A JP 6145858 A JP6145858 A JP 6145858A JP 14585894 A JP14585894 A JP 14585894A JP H0812923 A JPH0812923 A JP H0812923A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性などに優れる有機溶剤可溶性の含フッ
素共重合体を常温下で速やかに硬化させて耐汚染性や表
面硬度などの特性を実用的な水準まで向上させる。 【構成】 分子中にヒドロキシル基を含有する含フッ素
共重合体の有機溶剤溶液に加水分解性アルコキシシラン
またはその部分加水分解縮合物を混合し、これにさらに
酸触媒を添加して、含フッ素共重合体・シリカガラスハ
イブリッド体の前駆ゾル組成物を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐候性塗料などに利
用される有機溶剤可溶型の含フッ素共重合体からなる塗
料用フッ素樹脂の改質に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤可溶型の含フッ素共重合体(塗
料用フッ素樹脂)は、耐候性に優れるため、近年メンテ
ナンス・フリーの高性能塗料用ベースとして高層建築・
大型構造物・船舶・車輌等広い分野で利用が進んでい
る。かかる有機溶剤可溶型の塗料用フッ素樹脂として
は、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レンなどのフルオロオレフイン成分とシクロヘキシルビ
ニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルあるいは高
級カルボン酸ビニルエステルなどのアルキルビニルエス
テル成分とを主構成成分として、これに特定量のヒドロ
キシアルキルビニルエーテルあるいはクロトン酸ヒドロ
キシアルキルなどのヒドロキシル基を含有する単量体成
分を共重合した含フッ素共重合体が公知となっていて各
社から上市されている(特開平3−231906、特公
昭60−21686、特公昭61−49323)。かか
る有機溶剤可溶型の含フッ素共重合体は、キシレンなど
の有機溶剤の揮発により透明な皮膜を与え、そのままで
ラッカー型塗料としても使用できるが、耐汚染性や塗膜
の硬度を実用的な水準まで到達させるためには架橋処理
を必要とし、通常イソシアネート化合物やメチル化メラ
ミン樹脂などのアミノプラスト樹脂系の硬化剤を配合し
て使用される。しかし、イソシアネート化合物などによ
る室温硬化は、かなり遅く通常一週間以上を要するこ
と、メラミン樹脂系硬化剤による焼き付け硬化もかなり
の高温(180℃ 30分、280℃ 3分)を必要と
する。また、硬化しても塗膜の硬度が十分でなく、多く
は鉛筆硬度でH〜2Hであり、また、60度鏡面光沢度
も81〜83%(20度鏡面光沢度65〜72%)で、
なお一層の改良が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術に鑑みて耐候性などの優れた塗膜を形成し得る
フッ素樹脂塗料のより一層の高性能化をはかり、かつ常
温でも急速に硬化して現場施工をも可能とすることによ
って大型建設機械装置や橋梁、化学プラントなどの構造
物あるいはトンネル内壁、床コーテイング、建物外壁な
ど耐久性を向上させた長期間のメンテナンスフリーの塗
料材料を始めとして、金属、ガラス、セメント、コンク
リート、プラスチック、木材など各種の基材に対し、硬
度、耐水性、耐溶剤性、光沢性、耐候性、耐食性などが
改善されたコーテイング材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく、市販品の有機溶剤可溶型の水酸基を含有す
る塗料用の含フッ素共重合体に、シリカガラス前駆体の
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランあるいは
その部分縮合体のエチルシリケート40(商品名、コル
コート社製)やメチルシリケート51(商品名、三菱化
成社製)などの市販のアルコキシド化合物を必要により
少量のエタノールやブタノールと共に混合して、微量の
酸触媒の存在下でナノメーターサイズのシリカ粒子との
ハイブリッド化によるシロキサン結合の導入について鋭
意研究を重ねた結果、上記の各成分を特定比率で混合し
たゾル組成物によると、コーテイング時の濡れ性が良
く、塗布や含浸が容易となり、しかも乾燥硬化速度が著
しく速くなり、自然乾燥だけで非常に硬度の高い高光沢
性のかつ密着性の良い塗膜が形成できることを見いだ
し、本発明を完成するにいたった。
【0005】すなわち、本発明は、第一に、(A)フル
オロオレフイン成分とアルキルビニルエーテルもしくは
アルキルビニルエステル成分との共重合体を主構成成分
とし、かつ分子中にヒドロキシ基を含有する含フッ素共
重合体の有機溶剤溶液(塗料用フッ素樹脂ワニス)と、
(B)加水分解性アルコキシシラン又はその部分加水分
解縮合物とを、A成分とB成分との固形分の重量比率が
A/B=1/3〜4/1となるようエタノール、イソプ
ロパノール、1−ブタノールなどを用いて溶解し、これ
にさらに(C)A、B両成分の総重量に対し0.1〜
2.5重量%の酸触媒を含有させたことを特徴とする含
フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の前駆ゾ
ル組成物に関する。また、第二に、上記の前駆ゾル組成
物を基材に塗布し、ついで自然乾燥もしくは強制乾燥す
ることを特徴とする含フッ素共重合体・シリカガラスハ
イブリッド体の製法に関する。本発明の上記ゾル組成物
において、C成分の酸触媒の使用は不可欠で、触媒量が
少なすぎる場合は濡れ性が悪かったり、相分離を起こす
場合もあり、また、硬化が不十分となり塗膜は粘着性を
帯びるなど常温での硬化は不可能であった。一方、触媒
量が多すぎる場合は、塗膜は梨地様となり透明性や光沢
性、基材に対する密着性が著しく損なわれた。前記ゾル
組成物を基材に塗布すると、キシレンなどの有機溶剤の
揮発と共にテトラエトキシシランなどのアルコキシド化
合物が空気中の水分などによって加水分解・重縮合する
ことによって急速に該組成物は乾燥硬化して無色透明性
で高光沢性の堅い塗膜を形成する。塗膜の硬度はシリカ
成分の含有量によって異なるが自然乾燥硬化だけでヌー
プ硬度KH=20〜34(鉛筆硬度換算2H〜6H相
当)のかなり硬度の高い塗膜が形成された。
【0006】本発明においてA成分として用いられる含
フッ素共重合体としては、市販のものを用いることがで
きるが、具体的には特公昭60−21686号公報、特
開昭63−2304号公報に記載される、フルオロオレ
フイン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニ
ルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルに
基づく単位をそれぞれ特定量含有する含フッ素共重合体
があげられる。また、特開平3−231906号公報に
記載される、全単量体の合計量を規準として、(a)フ
ルオロオレフィン単量体単位:30〜60モル%(b)
クロトン酸ヒドロキシアルキル単量体単位:3〜30モ
ル%(c)上記以外のビニル単量体単位:10〜67モ
ル%を含有する含フッ素共重合体があげられる。含フッ
素共重合体の有機溶剤としては、種々の溶剤が使用可能
であり、キシレン、トルエンのごとき芳香族炭化水素
類、n−ブタノールのごときアルコール類、酢酸ブチル
のごときエステル類、メチルイソブチルケトンのごとき
ケトン類、エチルセロソルブのごときグリコールエーテ
ル類等の他、市販の各種シンナーも採用可能であり、こ
れらを種々の割合で混合して使用することも可能であ
る。かかる有機溶剤は被塗物の状態、蒸発速度、作業環
境等を勘案して適宜選定し、使用量を設定することがで
きる。通常、ワニス中の固形分濃度には特に制限はない
が、40〜70重量%程度が好ましく、50〜60重量
%がより好ましい。本発明で使用するA成分としての含
フッ素共重合体の有機溶剤溶液(塗料用フッ素樹脂ワニ
ス)は、より好ましくは、クロロトリフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレンなどのフルオロオレフイン
に、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニ
ルエーテルや高級カルボン酸ビニルエステルなどのアル
キルビニルエステルを、交互共重合したものを主構成成
分とし、これにクロトン酸ヒドロキシアルキルやヒドロ
キシアルキルビニルエーテルなどを共重合して分子中に
ヒドロキシル基を含有させた含フッ素共重合体をキシレ
ンその他の有機溶剤に溶解させてなるものである。この
種の共重合体の水酸基価は特に制限がなく、好ましくは
20mgKOH/g−樹脂〜120mgKOH/g−樹
脂であるが、この範囲外でも本発明を適用できる。この
ような共重合体としては、上市されているものでは、旭
硝子(株)製品のルミフロンLF−100(水酸基価2
6mgKOH/g−樹脂)、同ルミフロンLF−200
(水酸基価32mgKOH/g−樹脂)、同ルミフロン
LF−400(水酸基価24mgKOH/g−樹脂)、
同ルミフロンLF−600(水酸基価31mgKOH/
g−樹脂)、東亞合成化学工業(株)製品のザフロンF
C−110(水酸基価44mgKOH/g−樹脂)、同
ザフロンFC−220(水酸基価53mgKOH/g−
樹脂)、同ザフロンXFC640(水酸基価100mg
KOH/g−樹脂)などが挙げられる。また、本発明で
用いられるB成分としての加水分解性アルコキシシラン
としては、一般式Si(OR)n (式中Rは炭素数1〜
4の飽和炭化水素基、nは2〜4の整数を示す)で表さ
れる低級アルコキシシラン類が挙げられる。かかるアル
コキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランな
どのテトラアルコキシシラン、トリメトキシメチルシラ
ン、トリエトキシメチルシランなどのトリアルコキシア
ルキルシランなどが挙げられるが、ジンクリッチペイン
トや鋳造用のバインダーとして工業用に使用されている
アルキルシリケート(テトラメトキシシランやテトラエ
トキシシランの部分加水分解重縮合物(シロキサン結合
を有する))のエチルシリケート40やメチルシリケー
ト51がより好適に使用される。
【0007】本発明では、B成分の加水分解・重縮合を
促進するために、C成分として微量の酸触媒を必要とす
る。該触媒としてはp−トルエンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、デカンスルホン酸、パーフロロスルホン酸
などの有機強酸が好ましく使用される。また、5〜10
%の塩化水素を含有するメタノールなども使用できる。
その使用量は、既述の理由により、通常A、B両成分の
総重量に対し、0.1〜2.5重量%程度、好ましくは
0.25〜1重量%である。本発明の前駆ゾル組成物に
おいて、有機ポリマー成分であるA成分と、無機ガラス
成分であるB成分との混合割合は、重要であり、両者の
固形分の重量比率がA/B=1/3〜4/1となるよう
にすべきである。B成分がA成分の3倍量を超えると生
成コーテイング膜にスジや亀裂を生じ、密着性が著しく
低下する。また、B成分がA成分の1/4倍量より少な
くなると、膜の硬度などが低下する。A、B両成分の混
合比率は、B成分の種類によっても多少相違する。たと
えばB成分としてテトラエトキシシランを用いた場合
は、A/B=2/3〜3/1、テトラメトキシシランの
縮合物のメチルシリケート51を用いた場合はA/B=
1/1〜4/1、とするのが好適である。本発明の前駆
ゾル組成物は、A成分の含フッ素共重合体の有機溶剤溶
液に、B成分の加水分解性アルコキシシラン又はその部
分加水分解縮合物を、必要によりエタノール、イソプロ
パノール、1−ブタノールなどのアルコールを用いて、
均一に溶解させ、これにさらにC成分の酸触媒を添加す
ることにより、調製される。各成分を混合するときの温
度及び時間に制限はなく、得られるゾル組成物が均一で
透明な溶液状態となればよい。また、C成分の酸触媒は
使用直前に添加してもよいが、あらかじめA、B両成分
にC成分を混合してなる前駆ゾル組成物は、密栓状態な
らば比較的長期間ゾル状態を保持してゲル化することは
少ない。本発明の方法によれば、このように調製される
均一な前駆ゾル組成物をガラス板など各種基材に塗布し
た後、自然乾燥するだけで、また必要により60〜15
0℃で強制乾燥することにより、密着性の良い高光沢性
の無色透明な堅い塗膜を形成できる。塗膜は高度に架橋
されていて有機溶剤、強アルカリ、強酸に全く変化がみ
られず、沸騰水中でも安定である。また、クロロトリフ
ルオロエチレンを主成分とする含フッ素共重合体は耐放
射線性が期待できる。前記ゾル組成物を基材に塗布する
には、浸漬塗装法のほか、スプレーガン、ブラシ、ロー
ラー、ドクターナイフなどを用いた通常の塗装方法が採
用できる。乾燥硬化後の膜厚としては通常5〜50μm
が好ましく、厚みがこの範囲よりも大きすぎると基材と
の密着性が低下し、亀裂、剥離を生成しやすくなる。ま
た、小さすぎると塗膜の保護効果が低下すると共にピン
ホール等の欠陥が発生しやすくなる。本発明の組成物は
クリヤー塗料としても使用できるし、さらに顔料などの
着色剤を配合して着色塗料としても使用できる。さら
に、必要に応じてレベリング剤や紫外線吸収剤など各種
の公知の添加剤を用いることができる。
【0008】本発明の組成物を塗料ベースとして使用す
る場合は、表面硬度、光沢性に優れると共に耐溶剤性、
耐汚染性、耐候性に優れた塗膜を室温乾燥硬化といった
穏和な条件下で与えることができるものであり、カラー
鉄板、アルミ板、ステンレススチールなどの金属やガラ
ス、セメント等の無機材料を始め、FRP樹脂、ポリプ
ロピレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリカボネートなどの各種プラス
チックや木材などに塗装して高光沢性の耐スクラッチ
性、耐磨耗性に優れた表面保護用塗料材料として極めて
有用である。特に現場施工可能な耐候性の良いメンテナ
ンスフリーの常乾型塗料として屋外使用に対して有用
で、橋梁、建設機械、船舶・車輌、タンク、化学プラン
トを始めサンルーム、天窓、ソーラー用品、フエンス、
ベランダ、ベンチ、クーリングタワー、支柱、道路標
識、広告塔などの被覆材料や光劣化しやすい基材の保護
などに有用である。本発明の組成物がシリカガラスとの
ハイブリッド膜を形成し、生成皮膜が常温で硬化する理
由などについては詳細はまだ定かではない。多分前記ゾ
ル組成物を基材にコーテイングした後自然乾燥または強
制乾燥すると、空気中の水分との作用によってアルコキ
シシランの加水分解性のアルコキシド基が加水分解する
と同時に該部位間で重縮合が進行してシリカ粒子を生成
し、該シリカ粒子表面のシラノール基が水酸基を含有す
る該フッ素共重合体と水素結合もしくはエステル結合し
てシリカとのハイブリッド体膜が形成されるものと考え
られる。
【0009】
【実施例】次に本発明の含フッ素共重合体・シリカガラ
スハイブリッド体の前駆ゾル組成物及び該ハイブリッド
体の製法を実施例に基づいて、さらに具体的に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでな
い。
【0010】実施例1 クロロトリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン
及びシクロヘキシルビニルエーテルを主構成成分とし
て、分子中にヒドロキシル基を含有する市販の塗料用フ
ッ素樹脂ワニスであるルミフロンLF−200(旭硝子
製品)20gにメチルシリケート51(三菱化成製品)
10gを30gの1−ブタノールとともに混合し、さら
に0.050gのp−トルエンスルホン酸を触媒として
添加し、透明で低粘性の前駆ゾル組成物を調製した。こ
の組成物は長期間安定で、このものをガラス板、アルミ
板などに塗布し、自然乾燥硬化させた。塗膜は無色透明
で亀裂・スジの生成はなく、密着性と耐溶剤性に優れて
おり、寺沢式微小硬度計(SM−2 太洋テスター製)
による塗膜のヌープ硬度はKH=35、鉛筆硬度換算で
6H相当であった。また、塗膜の光沢性は非常に良く、
60度鏡面反射光沢度で130%で、塗布前のガラス面
とほとんど同じ値を示した(変角光沢計 日本電色工業
VG−1D型)。碁盤目カットのテープ剥離試験は1
00/100で密着性は良好であった。塗膜の耐溶剤性
は良く、キシレン中に一週間浸漬で変化がなく、またキ
シレンをガーゼに含浸させ塗膜を100回以上こすって
も塗膜に変化がないことを確認した。塗膜の撥水性、撥
油性も塗料用フッ素樹脂単体と殆ど変わらなかった。
【0011】比較例1 実施例1において、メチルシリケート51の量を含フッ
素共重合体の1.5〜2倍の45〜60g用いた場合は
塗膜の厚い部分に細かいスジや網目状の亀裂を生じ、ま
た剥離が著しく造膜性が不良となった。塗膜の厚さが薄
い場合は亀裂はないが密着性が悪いため傷が付きやすか
った。また、実施例1において、メチルシリケート51
の量が含フッ素共重合体の1/3以下の場合では亀裂の
無い良好な塗膜が形成されたが、塗膜の硬度は十分でな
く微小硬度計によるヌープ硬度はKH=4〜6、鉛筆硬
度換算2B相当であった。しかし、タックフリーの耐汚
染性の良好な塗膜が形成され、常温で硬化するため、高
い硬度を必要としない建築用弾性塗料ベースとしては、
より有用である。
【0012】実施例2 クロロトリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン
及びシクロヘキシルビニルエーテルを主構成成分とし、
分子中にヒドロキシル基を含有する市販の塗料用含フッ
素樹脂ルミフロンLF−400(旭硝子製品)25gに
メチルシリケート51を25g混合し、さらに20gの
エタノールと0.050gのp−トルエンスルホン酸を
添加して無色透明性で低粘性の均一な前駆ゾル組成物を
調製した。このゾル組成物をスライドグラス上に流延し
室温で乾燥硬化した塗膜は無色透明で密着性が良く高光
沢性であった。微小硬度計によるヌープ硬度はKH=4
4,鉛筆硬度換算で6H以上であった。実施例1と同様
の試験により、碁盤目剥離試験で剥離はなく、キシレ
ン、エタノール等の有機溶剤に浸漬しても全く変化がみ
られなかった。
【0013】実施例3 クロロトリフルオロエチレンと高級カルボン酸ビニルエ
ステルを主構成成分とし、分子中にヒドロキシル基を含
有する市販の塗料用フッ素樹脂ワニスザフロンFC−2
20(東亞合成化学工業製品)20gにメチルシリケー
ト 51(三菱化成製品)30gを20gのエタノール
と共に混合溶解後、酸触媒として0.05gのp−トル
エンスルホン酸を添加してコーテイング用の前駆ゾル組
成物を調製した。上記組成物をアルミ板、スライドグラ
ス板などに塗布し、室温で乾燥硬化させた。溶剤成分
(キシレン、エタノールなど)の揮発と共に急速に硬化
してタックフリーの堅牢な塗膜が形成されることを認め
た。寺沢式微小硬度計による塗膜のヌープ硬度はKH=
25、鉛筆硬度換算で3H相当であった。碁盤目カット
のテープ剥離試験は100/100で密着性は良好であ
った。塗膜の耐溶剤性は良く、ベンゼン中に一昼夜浸漬
で変化がなく、キシレンをガーゼに含浸させ塗膜を10
0回以上こすっても塗膜に変化がないことを確認した。
塗膜の撥水性、撥油性も塗料用フッ素樹脂単体と殆ど変
わらない。
【0014】比較例2 実施例3において酸触媒のp−トルエンスルホン酸を使
用しない場合は、ガラス板などの基材に対する濡れ性が
悪く、また、自然乾燥では殆ど硬化せず塗膜は粘着性で
あった。また、酸触媒のp−トルエンスルホン酸を実施
例1の処方より多量の0.5g用いた場合は塗膜全面に
網目状の多数のすじが生じ皮膜自体も曇りガラス様とな
って透明性を失った。また、密着性が悪く傷が付きやす
かった。
【0015】実施例4 フルオロオレフィンとビニルエステル共重合体を主構成
成分とし、ヒドロキシル基(水酸基価100mgKOH
/g)の含有量をより高めた開発品の高水酸基価塗料用
フッ素樹脂ザフロンXFC−640(東亞合成化学工業
製品)20gにテトラエトキシシラン30gあるいはメ
チルシリケート51を8gを10gの1−ブタノールと
混合溶解後、0.10gのp−トルエンスルホン酸を触
媒として添加してそれぞれコーテイング用の前駆ゾル組
成物を調製した。上記組成物をスライドグラス上に流延
し室温で乾燥硬化し、それぞれ無色透明で高光沢性の良
好な塗膜が形成された。微小硬度計によるヌープ硬度は
それぞれKH=28、KH=30であった。実施例1と
同様の試験により、両方とも碁盤目剥離試験で剥離はな
く、キシレン、エタノール等の有機溶剤に浸漬しても全
く変化がみられなかった。
【0016】比較例3 実施例3においてクロロトリフルオロエチレンを主成分
とする塗料用含フッ素樹脂ザフロンFC−220(東亞
合成化学工業製品)40gにメラミン樹脂系硬化剤とし
てサイメル303(三井東圧)10gを混合してスライ
ドグラス上に流延乾燥後、180℃で30分ホットプレ
ート上で加熱すると無色透明性の高光沢性の塗膜が得ら
れた。塗膜の硬度はヌープ硬度KH=9(鉛筆硬度換算
HB相当)であった。また、サイメルを添加した含フッ
素樹脂溶液は経時的にゲル化し長期保存はできなかっ
た。
【0017】
【発明の効果】塗料用の含フッ素樹脂は耐候性に優れた
メンテナンスフリーの高性能塗料ベースとして建築、大
型構造物、船舶・車輌、屋外構築物、各種工業製品など
の広範囲の分野での用途に実績をのばしているが、本発
明によるハイブリッド体も同様の用途により高性能化さ
れた素材を提供することができる。一般に塗料用の含フ
ッ素樹脂は塗膜が柔らかく、そのままでは使用できず、
イソシアネート化合物による常温硬化やアミノプラスト
樹脂による焼き付け硬化がなされ使用時に硬化剤の添加
が必要である。本発明の方法によるハイブリッド体は、
調製された前駆ゾル組成物をコーテイング後、常温乾燥
するだけで自己架橋が進み、急速に硬化して皮膜硬度と
耐候性、耐溶剤性、光沢性などが著しく改善された高性
能塗膜が得られることから常乾型ラッカーとして好適に
使用できる。このことから、現場施工を含めてより高性
能化された塗料用のフッ素樹脂ベースとしてより広い分
野での利用が可能である。また、成分として非常に安価
なアルキルシリケートを用いるため、高価なフッ素樹脂
の使用量が相対的に減少してコスト的にも有利で実用性
が高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)フルオロオレフイン成分とアルキ
    ルビニルエーテルもしくはアルキルビニルエステル成分
    を主構成成分とし、かつ分子中にヒドロキシル基を含有
    する含フッ素共重合体の有機溶剤溶液(塗料用フッ素樹
    脂ワニス)と、(B)加水分解性アルコキシシラン又は
    その部分加水分解縮合物とを、A成分とB成分との固形
    分の重量比率がA/B=1/3〜4/1となるように含
    有し、これにさらに(C)A、B両成分の総重量に対し
    0.1〜2.5重量%の有機強酸からなる酸触媒を含有
    させたことを特徴とする含フッ素共重合体・シリカガラ
    スハイブリッド体の前駆ゾル組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の前駆ゾル組成物を基材
    に塗布し、ついで自然乾燥もしくは強制乾燥することを
    特徴とする含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッ
    ド体の製法。
JP6145858A 1994-06-28 1994-06-28 常温硬化可能な塗布用ゾル組成物とそれを用いた含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の製法 Expired - Lifetime JP2945949B2 (ja)

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