JPH08127816A - 耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法 - Google Patents
耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法Info
- Publication number
- JPH08127816A JPH08127816A JP6265893A JP26589394A JPH08127816A JP H08127816 A JPH08127816 A JP H08127816A JP 6265893 A JP6265893 A JP 6265893A JP 26589394 A JP26589394 A JP 26589394A JP H08127816 A JPH08127816 A JP H08127816A
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- Japan
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- rolling
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- annealing
- steel
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、薄手の冷延まま容器材料の製缶時
のしわの発生及びフランジ割れを低減する方法を提供す
るものである。 【構成】 Ti,Nbの一方あるいは双方を添加した極
低炭素鋼を変態点以下で、50%以上潤滑圧延し、1.
4mm以下、0.6mm以上の熱延板を再結晶処理後、60
%以上、85%以下の冷延率で冷延をし、板厚を0.2
4mm以下、0.1mm以上とし、その後焼鈍を施さないこ
とを特徴とする極薄容器用原板の製造方法。
のしわの発生及びフランジ割れを低減する方法を提供す
るものである。 【構成】 Ti,Nbの一方あるいは双方を添加した極
低炭素鋼を変態点以下で、50%以上潤滑圧延し、1.
4mm以下、0.6mm以上の熱延板を再結晶処理後、60
%以上、85%以下の冷延率で冷延をし、板厚を0.2
4mm以下、0.1mm以上とし、その後焼鈍を施さないこ
とを特徴とする極薄容器用原板の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐しわ性およびフラン
ジ加工性に優れた低コスト容器用鋼板の製造方法に関す
るものである。
ジ加工性に優れた低コスト容器用鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】通常の容器用鋼板の製造方法は熱延をA
r3 変態点以上で終了し、酸洗後90%前後の冷延を行
い、焼鈍、スキンパスを行なって製造されるが、昨今、
焼鈍後のスキンパス率を高くした2CR材の製造も定着
しつつある。とくに2CRによる製造が注目を集めはじ
めたのは容器用原板の薄手化と連動している。すなわ
ち、市場ニーズとしての低コスト化、軽量化の要請に応
えるべく、容器用原板を通常の製造方法で薄手化すると
冷延板の板厚が薄くなり、連続焼鈍時にヒートバックル
などが生じやすくなり製造が困難になる。そこで、焼鈍
までは板厚をある程度の厚さに確保し、焼鈍後、20%
から50%の高スキンパスを行う2CR技術が開発さ
れ、特公平1−52451号公報に開示されている。し
かし、この方法は必ずしも低コスト化の市場ニーズに十
分応えているとはいえない。
r3 変態点以上で終了し、酸洗後90%前後の冷延を行
い、焼鈍、スキンパスを行なって製造されるが、昨今、
焼鈍後のスキンパス率を高くした2CR材の製造も定着
しつつある。とくに2CRによる製造が注目を集めはじ
めたのは容器用原板の薄手化と連動している。すなわ
ち、市場ニーズとしての低コスト化、軽量化の要請に応
えるべく、容器用原板を通常の製造方法で薄手化すると
冷延板の板厚が薄くなり、連続焼鈍時にヒートバックル
などが生じやすくなり製造が困難になる。そこで、焼鈍
までは板厚をある程度の厚さに確保し、焼鈍後、20%
から50%の高スキンパスを行う2CR技術が開発さ
れ、特公平1−52451号公報に開示されている。し
かし、この方法は必ずしも低コスト化の市場ニーズに十
分応えているとはいえない。
【0003】一方、低廉価容器用原板の製造方法とし
て、冷延まま材の製造技術が開示されている。しかし、
通常の冷延まま材では成形性が劣り、容器用原板として
の使用範囲は極めて限られている。
て、冷延まま材の製造技術が開示されている。しかし、
通常の冷延まま材では成形性が劣り、容器用原板として
の使用範囲は極めて限られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術における問題点即ち、冷延まま材の容器用原板の成形
性を向上させる方法を提供するものである。
術における問題点即ち、冷延まま材の容器用原板の成形
性を向上させる方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は冷延まま材の成
形性について詳細な実験を行い検討した結果、以下の知
見を得た。 1)冷延率は低いほど成形性は良いが、特に冷延率が8
5%を超えると耐しわ性並びにフランジ加工性の劣化が
著しくなる。 2)耐しわ性並びにフランジ加工性は板厚が薄い程悪
い。 3)鋼の構成化学成分によって加工性は影響を受け、冷
延率が85%以下ではC量の低下は加工性に有利に働
き、特にTi,Nb等を添加して固溶C量を低減するこ
とが有効である。 4)少なくとも50%以上の圧延をフェライト域で潤滑
熱延をすることにより、耐しわ性並びにフランジ加工性
が向上する。特に、圧延時のロールと鋼板の摩擦係数が
0.2以下であるとその効果が大きい。 5)4)のフェライト域での潤滑熱延の効果を得るには
成分との組み合わせが必須であり、極低炭素鋼にTi,
Nbを添加し、固溶Cを極力低減する必要がある。
形性について詳細な実験を行い検討した結果、以下の知
見を得た。 1)冷延率は低いほど成形性は良いが、特に冷延率が8
5%を超えると耐しわ性並びにフランジ加工性の劣化が
著しくなる。 2)耐しわ性並びにフランジ加工性は板厚が薄い程悪
い。 3)鋼の構成化学成分によって加工性は影響を受け、冷
延率が85%以下ではC量の低下は加工性に有利に働
き、特にTi,Nb等を添加して固溶C量を低減するこ
とが有効である。 4)少なくとも50%以上の圧延をフェライト域で潤滑
熱延をすることにより、耐しわ性並びにフランジ加工性
が向上する。特に、圧延時のロールと鋼板の摩擦係数が
0.2以下であるとその効果が大きい。 5)4)のフェライト域での潤滑熱延の効果を得るには
成分との組み合わせが必須であり、極低炭素鋼にTi,
Nbを添加し、固溶Cを極力低減する必要がある。
【0006】これらの知見を総合して、冷延まま材の成
形性を向上させる基本原理を検討した。容器材料の薄手
化は耐しわ性並びにフランジ加工性を劣化するので、今
までに開示された技術で製造された冷延まま材では、現
在検討されている板厚0.2mm前後の容器用原板として
使用は不可能である。そこで、容器の成形に必要な成形
性を確保する手段として第1に冷延率をできるだけ下げ
る必要がある。もし、容器用原板の板厚を0.2mmとし
たとき、冷延率が80%だと熱延板の板厚は1mmでなけ
ればならない。
形性を向上させる基本原理を検討した。容器材料の薄手
化は耐しわ性並びにフランジ加工性を劣化するので、今
までに開示された技術で製造された冷延まま材では、現
在検討されている板厚0.2mm前後の容器用原板として
使用は不可能である。そこで、容器の成形に必要な成形
性を確保する手段として第1に冷延率をできるだけ下げ
る必要がある。もし、容器用原板の板厚を0.2mmとし
たとき、冷延率が80%だと熱延板の板厚は1mmでなけ
ればならない。
【0007】本発明のポイントであるフェライト域で潤
滑熱延をする理由は後記するように金属物理的な理由に
よるものであるが、製造技術的にも有利な技術になって
いる。すなわち、1mmの熱延板をAr3 変態点以上で仕
上圧延をして得ようとすると加熱温度の高温化やエッジ
ヒーターの採用など操業上困難な問題が存在するが、A
r3 変態点以下で圧延するとなると温度制約が緩和され
るため操業上やりやすくなる。その上、潤滑圧延を行う
ことにより圧延温度が低くなったことによる圧延荷重並
びに圧延トルクの増加を最小限に抑えることが出来る。
滑熱延をする理由は後記するように金属物理的な理由に
よるものであるが、製造技術的にも有利な技術になって
いる。すなわち、1mmの熱延板をAr3 変態点以上で仕
上圧延をして得ようとすると加熱温度の高温化やエッジ
ヒーターの採用など操業上困難な問題が存在するが、A
r3 変態点以下で圧延するとなると温度制約が緩和され
るため操業上やりやすくなる。その上、潤滑圧延を行う
ことにより圧延温度が低くなったことによる圧延荷重並
びに圧延トルクの増加を最小限に抑えることが出来る。
【0008】フェライト域の潤滑熱延が容器用原板の成
形性に有利に働く理由は必ずしも明確ではないが、熱延
板のr値並びに析出物の状態が影響をあたえているもの
と思われる。すなわち、フェライト域で熱延することに
よりTi,Nb等を含む析出物の粗大化が起こり、鋼が
軟質化し、冷延時の加工硬化も緩和され、冷延後の降伏
点(YP)などが比較的低く抑えることができることに
より、耐しわ性並びにフランジ加工性が改善されると考
えられる。また、潤滑の効果は鋼の固溶C低減と組み合
わせることにより板厚全域で熱延板の集合組織を{111}
主体の集合組織にすることができ、高r値の熱延鋼板が
製造できる。この鋼板を冷延すると<111> //ND周りの
回転を起こし、冷延後も強い{111} が形成される。この
ような鋼板をネック加工すると板厚方向のひずみ変化が
少なくしわの発生が抑制されると考えられる。
形性に有利に働く理由は必ずしも明確ではないが、熱延
板のr値並びに析出物の状態が影響をあたえているもの
と思われる。すなわち、フェライト域で熱延することに
よりTi,Nb等を含む析出物の粗大化が起こり、鋼が
軟質化し、冷延時の加工硬化も緩和され、冷延後の降伏
点(YP)などが比較的低く抑えることができることに
より、耐しわ性並びにフランジ加工性が改善されると考
えられる。また、潤滑の効果は鋼の固溶C低減と組み合
わせることにより板厚全域で熱延板の集合組織を{111}
主体の集合組織にすることができ、高r値の熱延鋼板が
製造できる。この鋼板を冷延すると<111> //ND周りの
回転を起こし、冷延後も強い{111} が形成される。この
ような鋼板をネック加工すると板厚方向のひずみ変化が
少なくしわの発生が抑制されると考えられる。
【0009】以上の技術思想から、本発明の要旨とする
ところは、C:0.01%以下、N:0.01%以下、
Al:0.005%以上0.5%以下を含みTiおよび
Nbのいずれか一方または双方をC/12+N/14+
S/32<1.2(Ti/48+Nb/93)なる条件
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる鋼をAr3 変態点以下、500℃以上の温度
域で平均摩擦係数が0.2以下の潤滑圧延を行ない、合
計圧下率を50%以上とし、熱延板の板厚を1.4mm以
下0.6mm以上とし、その後冷却、巻取あるいは焼鈍過
程において再結晶させ、通常の酸洗後,60%以上85
%以下の冷延を行ない、板厚を0.24mm以下0.1mm
以上とし、その後焼鈍を施さないことを特徴をする容器
用鋼板の製造方法にある。
ところは、C:0.01%以下、N:0.01%以下、
Al:0.005%以上0.5%以下を含みTiおよび
Nbのいずれか一方または双方をC/12+N/14+
S/32<1.2(Ti/48+Nb/93)なる条件
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる鋼をAr3 変態点以下、500℃以上の温度
域で平均摩擦係数が0.2以下の潤滑圧延を行ない、合
計圧下率を50%以上とし、熱延板の板厚を1.4mm以
下0.6mm以上とし、その後冷却、巻取あるいは焼鈍過
程において再結晶させ、通常の酸洗後,60%以上85
%以下の冷延を行ない、板厚を0.24mm以下0.1mm
以上とし、その後焼鈍を施さないことを特徴をする容器
用鋼板の製造方法にある。
【0010】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
において、TiおよびNbのいずれか一方又は双方C/
12+N/14+S/32<1.2(Ti/48+Nb
/93)なる関係を満足するように添加すると限定した
のは、鋼中のCおよびNを大部分析出物の形で固定する
ことにより、固溶C,Nを極力下げ、熱延板の集合組織
を{111} 主体にすると共に、加工硬化を抑制し、缶成形
のネック加工時のしわの発生を抑制するためである。
において、TiおよびNbのいずれか一方又は双方C/
12+N/14+S/32<1.2(Ti/48+Nb
/93)なる関係を満足するように添加すると限定した
のは、鋼中のCおよびNを大部分析出物の形で固定する
ことにより、固溶C,Nを極力下げ、熱延板の集合組織
を{111} 主体にすると共に、加工硬化を抑制し、缶成形
のネック加工時のしわの発生を抑制するためである。
【0011】一方、C:0.01%以下、N:0.01
%以下としたのはこれらの量を超えて、C,N,Sを添
加すると製品の加工性を損なうのみならず上記条件式を
満足せしめるに必要なTiあるいはNbの量が多くな
り、製造コストの面で不利になるためである。Alの添
加量の下限を0.005%としたのは、これ以下の添加
では脱酸が十分達成されず介在物の量が増え、缶成形時
に破断が起こる頻度が高くなるためである。また、上限
を0.5%としたのは、加工性が劣化するためである。
なお本発明において、他の成分として、強度向上のため
に通常含まれる成分即ち、Si:1.0%以下、Mn:
1.5%以下、P:0.15%以下を含有せしめてもよ
い。また、0.0050%以下のBを添加しても本発明
の趣旨を損なうものではない。
%以下としたのはこれらの量を超えて、C,N,Sを添
加すると製品の加工性を損なうのみならず上記条件式を
満足せしめるに必要なTiあるいはNbの量が多くな
り、製造コストの面で不利になるためである。Alの添
加量の下限を0.005%としたのは、これ以下の添加
では脱酸が十分達成されず介在物の量が増え、缶成形時
に破断が起こる頻度が高くなるためである。また、上限
を0.5%としたのは、加工性が劣化するためである。
なお本発明において、他の成分として、強度向上のため
に通常含まれる成分即ち、Si:1.0%以下、Mn:
1.5%以下、P:0.15%以下を含有せしめてもよ
い。また、0.0050%以下のBを添加しても本発明
の趣旨を損なうものではない。
【0012】次に、熱延条件の限定は次の理由による。
熱延仕上げ温度がAr3 変態点以上の場合、γ→α変態
時に結晶方位分布がランダム化するため、特定の方位を
優先的に持つ集合組織を形成することが難しい。変態点
以下で熱延すると特定の方位を優先的に持つ集合組織の
形成が可能になるが、{111} を主方位にもつ熱延鋼板を
製造するには所定の条件を満足しなければならない。そ
の1つが上記の成分の限定条件であり、もう1つが熱延
条件である。熱延仕上げ温度がAr3 変態点(Ar
3 [℃]=916−509C(wt%)+27Si(w
t%)−64Mn(wt%))以下でも、Ar3 変態点
以下の合計圧下率が50%以下だと潤滑状態で圧延して
も{111} が発達しにくい。潤滑を施さないで圧延した場
合はAr3 変態点以下の合計圧下率が50%でも表層近
傍で{111} が発達しない。ロールと鋼板の圧延中の摩擦
係数が0.2以下になると板厚全域にわたって{111} が
発達するようになり、r値が顕著に向上する。それに伴
い、しわの発生頻度も下がり、フランジ加工性も向上す
る。
熱延仕上げ温度がAr3 変態点以上の場合、γ→α変態
時に結晶方位分布がランダム化するため、特定の方位を
優先的に持つ集合組織を形成することが難しい。変態点
以下で熱延すると特定の方位を優先的に持つ集合組織の
形成が可能になるが、{111} を主方位にもつ熱延鋼板を
製造するには所定の条件を満足しなければならない。そ
の1つが上記の成分の限定条件であり、もう1つが熱延
条件である。熱延仕上げ温度がAr3 変態点(Ar
3 [℃]=916−509C(wt%)+27Si(w
t%)−64Mn(wt%))以下でも、Ar3 変態点
以下の合計圧下率が50%以下だと潤滑状態で圧延して
も{111} が発達しにくい。潤滑を施さないで圧延した場
合はAr3 変態点以下の合計圧下率が50%でも表層近
傍で{111} が発達しない。ロールと鋼板の圧延中の摩擦
係数が0.2以下になると板厚全域にわたって{111} が
発達するようになり、r値が顕著に向上する。それに伴
い、しわの発生頻度も下がり、フランジ加工性も向上す
る。
【0013】圧延仕上温度の下限を500℃としたの
は、これ以下の温度で熱延することは変形抵抗も高くな
り経済的な圧延ができなくなるためで、容器の成形性に
関しては500℃で仕上圧延をしても差つかえない。ま
た、熱延板は再結晶状態である必要があり、熱延後の冷
却中、巻取過程あるいは別途焼鈍により再結晶処理をし
なければならない。
は、これ以下の温度で熱延することは変形抵抗も高くな
り経済的な圧延ができなくなるためで、容器の成形性に
関しては500℃で仕上圧延をしても差つかえない。ま
た、熱延板は再結晶状態である必要があり、熱延後の冷
却中、巻取過程あるいは別途焼鈍により再結晶処理をし
なければならない。
【0014】冷延率を60%以上、85%以下と限定し
たのは、冷延率が85%以上になると、優れた成形性が
得られなくなるためである。また、下限を60%とした
のは冷延率が小さくなり過ぎると熱延板の板厚を薄くす
る必要があり、熱延の操業に支障が生じるためである。
また、最終の板厚を0.24mm以下0.1mm以上とした
のは、板厚が0.24mmを超えると軽量化のメリットが
無くなるためで、逆に0.1mm未満の冷延をすると生産
性が悪く、形状の劣化が生じる可能性も高くなり低コス
ト化のニーズに十分対応できないためである。また、熱
延板の板厚を1.4mm以下0.6mm以上と限定したの
は、これ以上熱延板が厚くなると適性冷延率で所定の最
終板厚が得られなくなるためである。一方、熱延板の板
厚がこれ以上薄くなると熱延の操業に支障が生じるため
である。
たのは、冷延率が85%以上になると、優れた成形性が
得られなくなるためである。また、下限を60%とした
のは冷延率が小さくなり過ぎると熱延板の板厚を薄くす
る必要があり、熱延の操業に支障が生じるためである。
また、最終の板厚を0.24mm以下0.1mm以上とした
のは、板厚が0.24mmを超えると軽量化のメリットが
無くなるためで、逆に0.1mm未満の冷延をすると生産
性が悪く、形状の劣化が生じる可能性も高くなり低コス
ト化のニーズに十分対応できないためである。また、熱
延板の板厚を1.4mm以下0.6mm以上と限定したの
は、これ以上熱延板が厚くなると適性冷延率で所定の最
終板厚が得られなくなるためである。一方、熱延板の板
厚がこれ以上薄くなると熱延の操業に支障が生じるため
である。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を、比較例と共に説明する。
表1に示した成分組成を有する鋼を種々の条件で熱間圧
延した。ここで、Ar3 は冷速10℃/secで冷却したと
きのγ→α変態の開始温度をフォーマスターを用いて測
定して求めた。表2はこれらの鋼種を用いて容器用原板
を製造した時の製造条件とそれを用いて製缶したときの
加工性を示す。実験番号6を除いて、熱延は250mm厚
のスラブを1100℃から1250℃の間で加熱し、γ
域で圧延を行った後、α域熱延を行っている。実験番号
6はすべてをγ域で熱延したものである。
表1に示した成分組成を有する鋼を種々の条件で熱間圧
延した。ここで、Ar3 は冷速10℃/secで冷却したと
きのγ→α変態の開始温度をフォーマスターを用いて測
定して求めた。表2はこれらの鋼種を用いて容器用原板
を製造した時の製造条件とそれを用いて製缶したときの
加工性を示す。実験番号6を除いて、熱延は250mm厚
のスラブを1100℃から1250℃の間で加熱し、γ
域で圧延を行った後、α域熱延を行っている。実験番号
6はすべてをγ域で熱延したものである。
【0016】容器製造における加工性の評価はDI(Dra
wing & Ironing)缶と溶接缶のネック加工性とその後の
フランジ加工性で整理した。定量的評価としてはラボの
製缶機で100缶を製造し、その際の不良缶発生率を%
で示した。錫めっき量はDI缶ではl平方メートル当た
り2.8g、溶接缶では1平方メートル当たり1gであ
る。ネック加工はスピンネッカーを用いて行った。ま
た、フランジ加工にはスピンフランジアーを用いた。
wing & Ironing)缶と溶接缶のネック加工性とその後の
フランジ加工性で整理した。定量的評価としてはラボの
製缶機で100缶を製造し、その際の不良缶発生率を%
で示した。錫めっき量はDI缶ではl平方メートル当た
り2.8g、溶接缶では1平方メートル当たり1gであ
る。ネック加工はスピンネッカーを用いて行った。ま
た、フランジ加工にはスピンフランジアーを用いた。
【0017】本発明の範囲内である実験番号1,2,
3,4,5,11,12,13,14はネック加工性な
らびにフランジ加工性共に良好である。一方、熱延をγ
域で終了した実験番号6は欠陥の発生頻度が高かった。
また、Ar3 変態点以下、500℃以上の温度域での圧
下率が43%と本発明の範囲外の実験番号8ならびに平
均摩擦係数が0.226と高かった実験番号7でも欠陥
の発生頻度が高かった。冷延率が90%と本発明の範囲
以上である実験番号9,10は共に欠陥の発生率が著し
く高い。特に、最終板厚が薄い実験番号10は欠陥が顕
著に発生する。Cの添加量が本発明の範囲以上であった
鋼を用いた実験番号9でも製缶時に欠陥が顕著に発生し
た。Ti,Nbの添加量がC/12+N/14+S/3
2<1.2(Ti/48+Nb/93)なる条件を満足
しなかった鋼を用いた実験番号16,17では固溶C,
Nが多く存在したためか欠陥が発生した。
3,4,5,11,12,13,14はネック加工性な
らびにフランジ加工性共に良好である。一方、熱延をγ
域で終了した実験番号6は欠陥の発生頻度が高かった。
また、Ar3 変態点以下、500℃以上の温度域での圧
下率が43%と本発明の範囲外の実験番号8ならびに平
均摩擦係数が0.226と高かった実験番号7でも欠陥
の発生頻度が高かった。冷延率が90%と本発明の範囲
以上である実験番号9,10は共に欠陥の発生率が著し
く高い。特に、最終板厚が薄い実験番号10は欠陥が顕
著に発生する。Cの添加量が本発明の範囲以上であった
鋼を用いた実験番号9でも製缶時に欠陥が顕著に発生し
た。Ti,Nbの添加量がC/12+N/14+S/3
2<1.2(Ti/48+Nb/93)なる条件を満足
しなかった鋼を用いた実験番号16,17では固溶C,
Nが多く存在したためか欠陥が発生した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、容器用原板の薄手化に
伴い顕在化してきた製缶時のしわの発生及びフランジ割
れを低減でき、焼鈍を省略することにより省エネルギー
も達成でき工業的に価値の高い発明である。
伴い顕在化してきた製缶時のしわの発生及びフランジ割
れを低減でき、焼鈍を省略することにより省エネルギー
も達成でき工業的に価値の高い発明である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.01%以下、N:
0.01%以下、Al:0.005%以上0.5%以下
を含み、TiおよびNbのいずれか一方または双方を、
C/12+N/14+S/32<1.2(Ti/48+
Nb/93)なる条件を満足するように含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなる鋼をAr3 変態点以下
500℃以上の温度域で平均摩擦係数が0.2以下の潤
滑圧延を行い、合計圧下率を50%以上とし、熱延板の
板厚を1.4mm以下0.6mm以上とし、その後冷却、巻
取あるいは焼鈍過程において再結晶させ、通常の酸洗
後、60%以上85%以下の冷延を行ない、板厚を0.
24mm以下0.1mm以上とし、その後焼鈍を施さないこ
とを特徴をする容器用鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6265893A JPH08127816A (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | 耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6265893A JPH08127816A (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | 耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127816A true JPH08127816A (ja) | 1996-05-21 |
Family
ID=17423569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6265893A Pending JPH08127816A (ja) | 1994-10-28 | 1994-10-28 | 耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08127816A (ja) |
Cited By (5)
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