JPH08127388A - 作業船 - Google Patents

作業船

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JPH08127388A
JPH08127388A JP22885895A JP22885895A JPH08127388A JP H08127388 A JPH08127388 A JP H08127388A JP 22885895 A JP22885895 A JP 22885895A JP 22885895 A JP22885895 A JP 22885895A JP H08127388 A JPH08127388 A JP H08127388A
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JP
Japan
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hull
thruster
seaweed
propeller
rail
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Application number
JP22885895A
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English (en)
Inventor
Masahiko Kato
正彦 加藤
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラスターによって進行方向を容易に微調整
できるようにする。 【解決手段】 後側スラスター9のプロペラ13を左右
方向に回動させる方向変更装置17を備える。プロペラ
13の回動範囲を、船体2の左右方向の一方を指向する
位置から船体の後方を向く後方指向位置を通って他方を
指向する位置へ至るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船体の左右方向へ
水流を発生させて船体の向きを変えるスラスターを備え
た作業船に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スラスターを備えた作業船として
は例えば海苔養殖作業用船がある。この海苔養殖作業用
船は、船首から前方の海中に海苔網用ガイドを斜めに突
出させ、このガイドが海面上の海苔網の下方へ入り込む
ように前進することによって海苔網を船上に導く構造に
なっていた。なお、船上に導かれた海苔網は、さらに船
体が前進することによって海苔網用ガイド上を船首側か
ら船尾側へ向けて移動して船尾から海面へ戻され、移動
中に海苔刈り取り装置によって海苔が刈り取られるとと
もに、海苔の刈り取られた後に酸処理装置によって酸処
理を施されていた。なお、海苔刈り取り装置や酸処理装
置は海苔網用ガイドに設けられていた。
【0003】そして、従来の海苔養殖作業用船では、海
苔網を船上に導くために前進すると、風や海流の影響等
により船体の向きが海苔網の延在方向からずれることが
あるので、スターンドライブ装置等の主推進装置によっ
て微速前進を行いながらスラスターによって船体の左右
方向に対する向きを微調整していた。
【0004】このスラスターは、軸線方向が左右方向に
向けられて油圧モータによって駆動されるプロペラを正
転させたり逆転させたりして左右何れかの方向へ水流を
発生させるように構成され、船底に取付けられていた。
そして、このスラスターは、従来の海苔養殖作業用船で
は主に船体前部のみに配置されていたが、旋回性能を向
上させるために近年では船体前部と船体後部の両方に設
けられるようになってきた。船体後部に設けられるスラ
スターは、プロペラ部分が船底後部から下方へ突出され
ていた。
【0005】前記スラスター用油圧モータは、主推進装
置のエンジンによって駆動される油圧ポンプから油圧が
供給されるように構成されている。このため、エンジン
の回転に応じてスラスターの回転数も増減することにな
る。なお、プロペラの回転を正転と逆転とに切換えるに
当たっては、前記油圧モータへ供給する油圧の油圧回路
を正逆に切り換えることによって行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上述したよ
うに構成された海苔養殖作業用船では、海苔網を船上に
導きながら前後のスラスターによって進行方向を微調整
するのが問題であった。すなわち、このときには船体を
微速前進させる必要があるために主推進装置の推力は比
較的小さく抑えるが、主推進装置でのエンジン回転数が
低いとスラスターの回転数も低くなってしまい、スラス
ターでの推力を得難くなってしまうからである。
【0007】一方、海苔刈り取り装置などの補機もエン
ジン動力によって駆動される油圧ポンプから供給される
油圧によって駆動されるため、エンジン回転数を低くす
ると海苔刈り取り装置などの補機の回転も低下して作業
に支障をきたしてしまう。
【0008】また、前進状態から後進へ切換えるときに
は、主推進装置用エンジンの回転数をアイドリング回転
数程度まで下げてから前後進切換装置を操作しなければ
ならないので、このときには油圧ポンプの出力も一度低
下してしまい、油圧によって海苔刈り取り装置や薬液供
給ポンプを駆動している場合にはこれらの油圧機器の出
力が低下してしてしまう。
【0009】さらに、船体後部のスラスターを船底後部
から下方へ突出するように設けると、航走時にこれが抵
抗となってしまうという問題もあった。
【0010】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、スラスターによって進行方向を微調
整することが容易な作業船を得ることを第1の目的とす
る。また、海苔養殖作業用船において主推進装置用エン
ジンの動力によって海苔刈り取り装置等の補機を駆動す
る構成を採るに当たり、微速走航時や前後進切換時に補
機の運転状態が変化しないようにすることを第2の目的
とする。さらに、スラスターを船体に設けるに当たりこ
れが航走時に抵抗となることがないようにすることを第
3の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る作業船
は、スラスターのプロペラを船体の左右方向の一方を指
向する位置から船体の後方を向く後方指向位置を通って
他方を指向する位置へ至る回動範囲内で回動させる方向
変更装置を設けたため、前記プロペラを前記回動範囲内
で回動させることによって、船体を斜めに微妙に移動さ
せることができる。
【0012】第2の発明に係る作業船は、第1の発明に
係る作業船を、海苔網を船首側からブリッジ上方に導く
海苔網ガイドを備えた海苔養殖作業用船とし、主推進装
置用エンジンを主推進装置と、エンジン動力を伝達媒体
の流れに変えて被駆動部材に伝達しかつ被駆動部材を制
御する機能を有する補機用駆動装置との何れか一方へ動
力を伝達する構造とするとともに、前記補機用駆動装置
によってスラスターを駆動する構造としたため、主推進
装置用エンジンの動力の伝達先を補機用駆動装置とする
ことにより、この動力は伝達媒体の流れに変えられてス
ラスターに供給されるから、エンジン回転数を増減させ
ることによってスラスターで要求される推力が得られ
る。このとき、船体の向きを左右に変えるには、方向変
更装置によりスラスターのプロペラの向きを変えること
によって行われる。また、スラスターのプロペラを、船
体の後方を向く後方指向位置に位置づけることにより微
速前進が可能になる。
【0013】第3の発明に係る作業船は、第1の発明ま
たは第2の発明に係る作業船において、スラスターを船
体の前部と後部とに設け、これらのスラスターのうち何
れか一方に前記方向変更装置を設けたため、一方のスラ
スターのプロペラを船体の後方を向く後方指向位置に位
置づけて後方へ水流を発生させつつ、他方のスラスター
によって左右方向へ水流を発生させることができる。
【0014】第4の発明に係る作業船は、第1の発明な
いし第3の発明のうち何れか一つの作業船において、船
体に下方へ向けて開放された凹部を形成してこの凹部
に、方向変更装置を備えたスラスターのプロペラを臨ま
せ、このスラスターに、プロペラを前記凹部の内方と凹
部外であって船底より下方との間で上下に移動させる上
下移動装置を設けたため、この上下移動装置によってス
ラスターのプロペラを上昇させて凹部内に収容すること
によって、船底から下方へ突出するものがなくなるか
ら、海水に対して船体が円滑に移動できるようになる。
また、スラスターのプロペラを前記凹部から下方へ突出
させることによって、このプロペラが推力を生じさせる
ための水を受けることができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態 以下、本発明に係る作業船の実施の形態の一例を図1な
いし図8によって詳細に説明する。この実施の形態で
は、本発明を海苔養殖作業用船に適用した例について説
明する。
【0016】図1は本発明に係る作業船としての海苔養
殖作業用船を示す図で、同図(a)は側面図、同図
(b)は平面図である。図2は海苔養殖作業用船の前部
を拡大して示す側面図、図3は同じく前後方向中央部を
拡大して示す側面図、図4は同じく後部を拡大して示す
側面図で、図2〜図4では船体の一部を破断して描いて
ある。
【0017】図5は海苔網用ガイドのジョイント部分を
拡大して示す平面断面図で、同図(a)〜(f)は図1
〜図4中のジョイント部A〜ジョイント部Fをそれぞれ
示している。図6はブリッジの昇降状態を示す概略構成
図で、同図(a)はブリッジを低位置に位置づけた状態
を示し、同図(b)はブリッジを高位置に位置づけた状
態を示している。なお、同図は図1(b)におけるVI−
VI線で船体を破断した状態で描いてある。図7は図1
(b)における後側スラスターの要部のVII−VII線断面
図、図8は図7における要部のVIII−VIII線断面図であ
る。
【0018】これらの図において、1はこの実施の形態
による海苔養殖作業用船を示す。この海苔養殖作業用船
1は海苔の刈り取りを主に行うものである。2はこの海
苔養殖作業用船1の船体、3はブリッジ、4は海苔網を
船上に導くための海苔網用ガイドを示す。
【0019】前記船体2の船底前部には図1(b)に示
すように、左右方向へ水流を発生させて船体の向きを変
える油圧駆動式前側スラスター5が取付けられている。
また、船体2の後部には、エンジン6とドライブユニッ
ト7等からなるスターンドライブ装置8と、油圧駆動式
後側スラスター9が取付けられている。このスターンド
ライブ装置8が本発明に係る主推進装置を構成してい
る。さらに、エンジン6の出力軸には前記ドライブユニ
ット7の他に油圧ポンプ10が連結されており、動力伝
達経路中に介装された切換え装置(図示せず)によって
このエンジン6の動力の伝達先をドライブユニット7と
油圧ポンプ10のうち何れか一方に切換えることができ
るように構成されている。
【0020】油圧ポンプ10の油圧導出口には、この油
圧ポンプ10ととともに本発明に係る補機用駆動装置を
構成する油圧回路装置11が連通されている。この油圧
回路装置は、油圧を各補機(前側スラスター5、後側ス
ラスター9、後述するブリッジ昇降装置、海苔刈り取り
装置)へ供給するとともに、これら各補機での作動方
向、出力あるいは変位量等を電磁式切換弁等の各種油圧
機器を用いて制御するように構成されている。なお、各
補機で用いる油圧モータや油圧シリンダ等の作動方向、
出力あるいは変位量等を制御する構成は従来周知である
ので、ここにおいて詳細な説明は省略する。
【0021】すなわち、本実施例で示す補機用駆動装置
は、作動油を伝達媒体としエンジン6の動力を作動油の
流れに変えて被駆動部材(各補機の油圧モータや油圧シ
リンダ)に伝えるように構成されている。なお、このよ
うに作動油を伝達媒体とする他に、電流を伝達媒体とし
てもよい。この場合には油圧ポンプ10の代わりに発電
機を用い、各補機を電動構造とする。
【0022】前記前側スラスター5は、左右方向に軸線
が向けられたプロペラ5aを船室内の油圧モータ(図示
せず)によって回転させる構造になっており、船底の左
右方向中央部で下方へ突出する中央突部2aに形成され
た左右方向水通路の内方にプロペラ5aが臨んでいる。
なお、この左右方向水通路の左右の開口部には、海中の
異物がプロペラ5aに当たるのを防ぐためのスクリーン
(図示せず)が配設されている。このスクリーンは、ス
テンレス鋼製パイプを格子状に組合わせて形成されてい
る。
【0023】前側スラスター5の前記油圧モータを駆動
する油圧は前記油圧回路装置11から供給されるように
構成されている。また、この前側スラスター5は、油圧
回路装置11内の油圧回路を正逆に切り換えることによ
ってプロペラ5aが正転と反転とに切換えられ、船体2
が左右何れの方向へも旋回することができるようになっ
ている。
【0024】前記後側スラスター9は、図7および図8
に示すように、船体2のトランサム2bに形成された凹
部12にこの凹部12の上壁12aを貫通するように取
付けられている。凹部12は図1(b)に示すように船
体2の後部における左右方向右側に偏った位置に、図8
に示すように船体底面2cとトランサム2bが交わる角
部分を部分的に上方へ向けて凹ませるようにして形成さ
れ、下方および後方へ向けて開放されている。
【0025】この後側スラスター9は、プロペラ13が
下端部に回転自在に取付けられて前記上壁12aに筒状
支持部材14を介して回動自在かつ軸方向(上下方向)
に移動自在に装着されたスラスター本体15と、このス
ラスター本体15を船体2に対して上下移動させる上下
移動装置16と、スラスター本体15を上下方向に沿う
軸線回りに回動させる方向変更装置17等から構成され
ている。
【0026】前記スラスター本体15は、断面円形に形
成されて前記筒状支持部材14に嵌合する主軸パイプ1
5aと、この主軸パイプ15aの下端部に固着されたプ
ロペラ駆動用油圧モータ15bとから形成され、主軸パ
イプ15aの上部が上下移動装置16のスライダ16a
に上下方向への移動を規制された状態で回動自在に連結
されている。なお、図示してはいないが、主軸パイプ1
5aと筒状支持部材14との嵌合部には、海水が船体内
に浸入するのを防ぐシール材が介装されている。また、
前記油圧モータ15bのオイル通路は、主軸パイプ15
a内を上側に延設され、主軸パイプ15aの上端のジョ
イント15cおよびこれに接続されたオイルホース15
d等を介して前記油圧回路装置11に連通されている。
【0027】すなわち、このスラスター本体15では、
油圧回路装置11によってプロペラ駆動用油圧モータ1
5bが駆動され、プロペラ13が回転することになる。
そして、油圧回路装置11により油圧モータ15bの回
転方向を正逆に切換えることによって、プロペラ13の
回転方向も正逆に切換えられることになる。
【0028】前記上下移動装置16は、前記スライダ1
6aと、このスライダ16aを上下に貫通する左右一対
の丸棒状ガイドロッド16b,16bと、スライダ16
aに固着されたナット部材16cに螺合して上下に延び
る送りねじ16dと、この送りねじ16dの上端部にギ
ヤ結合された上下移動用油圧モータ16eとから構成さ
れている。前記ガイドロッド16b,16bは、下端が
前記上壁12aに対して固定されるとともに、上端が支
持プレート18を介して船体2に固定されている。
【0029】前記送りねじ16dは、上端部が前記支持
プレート18に回転自在に支持されるとともに下端が前
記上壁12aに対して回転自在に支持されている。その
上、この送りねじ16dは、その上端部が支持プレート
18を貫通してこれより上方に突出され、突出端部にハ
ンドルレバー19(図8)を取付けることができるよう
に形成されている。すなわち、ハンドルレバー19を送
りねじ16dに取付けて回すことによって、送りねじ1
6dを手動で回転させることができるようになってい
る。前記上下移動用油圧モータ16eは、不図示のブラ
ケットを介して船体2に対して支持固定されている。な
お、この上下移動用油圧モータ16eのオイル通路も不
図示のオイルホース等を介して前記油圧回路装置11に
連通されている。
【0030】すなわち、この上下移動装置16によれ
ば、上下移動用油圧モータ16eが油圧回路装置11に
よって駆動されることによって、この油圧モータ16e
の回転が送りねじ16dに伝わり、これに螺合するナッ
ト部材16cを有するスライダ16aがスラスター本体
15とともにガイドロッド16bに沿って上下方向に移
動することになる。この上下移動装置16は、図7およ
び図8中に実線で示す上昇位置と、同図中に二点鎖線で
示すようにプロペラ13の殆どが船体底面2cより下方
に突出する下降位置との間でスラスター本体15を上下
移動させることができるように構成されている。なお、
この上下移動装置16は、プロペラ13が後方を向く位
置に対して左右に約10度の回動範囲内に位置している
状態でのみスラスター本体15を下降位置から引き上げ
ることができる構造になっている。これは、プロペラ1
3が上昇時に凹部12の左右側壁12bに当たるのを阻
止するためである。
【0031】なお、前記送りねじ16dをハンドルレバ
ー19により回転させることによって、手動でスラスタ
ー本体15を上下移動させることもできる。また、図8
中に示す二点鎖線Lは、走航時の海面である。
【0032】前記方向変更装置17は、スラスター本体
15を油圧シリンダによって軸線回りに回動させる構造
になっている。この油圧シリンダは、左右一対の単動式
シリンダ本体17aを共通のピストンロッドを介して連
結させて構成されており、シリンダ本体17aが前記上
下移動装置16のスライダ16aに支持固定され、ピス
トンロッドに一体的に設けられたラック17bが主軸パ
イプ15aのピニオン17cに噛合されている。また、
シリンダ本体17aは伸び側のみに圧油が供給される構
造になっており、このオイル通路はオイルホース17d
を介して前記油圧回路装置11に連通されている。さら
に、この方向変更装置17は、プロペラ13が凹部12
に収容されている状態ではスラスター本体15を回すこ
とができないように構成されている。これによってプロ
ペラ13が凹部12の左右側壁12bに当たるのを阻止
している。
【0033】すなわち、この方向変更装置17によれ
ば、前記上下移動装置16によりスラスター本体15を
下降位置に位置づけた状態で、左右のシリンダ本体17
aのうち図7において右側のシリンダ本体17aに油圧
回路装置11から油圧を供給することによって、スラス
ター本体15が軸方向上方から見て右回りに回ることに
なる。このため、油圧の供給先を左右のシリンダ本体1
7aで切換えることによって、スラスター本体15は図
7に示した位置から右回りあるいは左回りに回ることに
なる。
【0034】さらに、この方向変更装置17は、スラス
ター本体15の最大回動角度が約180度となるように
設定されている。詳述すると、プロペラ13が、図7中
に二点鎖線13Rで示すように船体右側を指向する位置
から、13Bで示す後方指向位置を通って13Lで示す
ように船体左側を指向する位置へ至る回動範囲内で回動
されるように設定されている。
【0035】前記ブリッジ3は、図3、図4および図6
に示すように、天井部3aが後述する海苔網用ガイド4
を支持しており、油圧シリンダ20を介して船体2に支
持されている。油圧シリンダ20は図1(b)に示すよ
うに平面視略方形状に形成されたブリッジ3の4隅と対
応するように4箇所に配設され、複動式シリンダ本体2
0aの下端が船体2に固定され、ピストンロッド20b
の上端がブリッジ底板3bに枢支されている。また、こ
の油圧シリンダ20のオイル通路は不図示のオイルホー
スを介して前記油圧回路装置11に連通されている。
【0036】すなわち、油圧シリンダ20に油圧回路装
置11から油圧を供給してこの油圧シリンダ20を伸長
させることによって、ブリッジ3は図6(b)に示すよ
うに上昇し、この状態から逆に油圧シリンダ20を短縮
させることによって、ブリッジ3は図6(a)に示した
ように下降する。なお、油圧シリンダ20として油圧に
よって伸びる単動式のものを採用してもよい。この場
合、ブリッジ3を上昇させた状態で油圧供給を絶つこと
によって、ブリッジ3は自重で最下位置まで降下するこ
とになる。
【0037】なお、21は乗員が着座するシート、22
はブリッジ3を上昇させたときにブリッジ下方に形成さ
れる開口部を閉塞するためのスライド式カバー、23は
船体2のデッキである。
【0038】前記海苔網用ガイド4は、海面L1 に漂う
海苔網Nを船上に導くためのもので、ステンレス製鋼管
を組合わせて形成されている。なお、この海苔網Nは、
海底に立設された支柱(図示せず)にガイドロープを介
して繋げられている。このガイドロープは、潮の干満に
より海面が上下しても海苔網Nが海面に漂うことができ
るように、その長さに余裕をもたせてある。
【0039】前記海苔網用ガイド4は、図1〜図4に示
すように、連結部A〜Fを介して連結された第1〜第7
レール24〜30によって形成されており、連結部A〜
Cおよび第5,7レール28,30が船体2に対して支
持されている。
【0040】前記第1レール24は、図1(b)に示す
ように平面視略V字状の主レール24aを前方が凸とな
るように配置するとともに、副レール24bをその内方
に架け渡して形成されており、後端部の左右が図2に示
すように、デッキ23から上方へ延びる支柱31にブラ
ケット24cを介して左右方向軸回りに回動自在に連結
されている。なお、第1レール24の取付け位置は、図
1(b)に示すように回動端部側で先細りとなる部分が
船体2の前方へ突出するような位置に位置づけられてい
る。また、図1(a)に示すように、この第1レール2
4は側面視略へ字状に曲げて形成されており、回動端部
を前方へ向けたときには先端部が海面L1 中に没するよ
うに構成されている。このL1 は略停泊状態となったと
きの海面を示している。
【0041】すなわち、この第1レール24は、海苔網
Nを引き上げるときには図1および図2中に実線で示す
ように回動端部が海面L1 中に没する状態とされ、それ
以外の例えば海苔網が存在している海域に対する往復時
等には、図2中に二点鎖線で示すよう回転軸a(図2)
を中心に後方へ向けて回動される。
【0042】第2レール25は、図1(b)に示すよう
に船体の左右両側で前後に延びる主レール25aと、こ
れらの主レール25a,25a間に配置された副レール
25bとから形成され、主レール25aの前端が連結部
Aを介して前記第1レール24のブラケット24cに連
結され、後端が連結部Bを介して第3レール26に連結
されている。
【0043】前記連結部Aは図5(a)に示すように、
第1レール24のブラケット24cに立設された水平連
結軸32を、第2レール25における主レール25aの
長穴33に抜け止め構造を採りつつ嵌合させて構成され
ている。これにより、第2レール25の前端部は船体2
に対して左右方向の軸線回りに回動自在かつ長手方向に
対して移動自在に連結されることになる。
【0044】第3レール26は左右一対の管部材によっ
て構成され、その前、後端部が連結部B、連結部Cを介
して前記第2レール25、第4レール27にそれぞれ連
結されている。
【0045】連結部Bは図5(b)に示すように、第2
レール25の後端部に立設された水平連結軸34を、第
3レール26の前端部の長穴35に抜け止め構造を採り
つつ嵌合させて構成されている。このため、第3レール
26の前端部は第2レール25に対して左右方向の軸線
回りに回動自在かつ長手方向に対して移動自在に連結さ
れることになる。
【0046】連結部Cは図5(c)に示すように、第3
レール26の後端部と第4レール27の前端部とを水平
連結軸36を介して互いに回動自在に連結して構成され
ている。なお、前記連結部Bおよび連結部Cは、水平連
結軸に対する各レールの抜け止めを行うに当たり、後述
する海苔刈り取り装置37のブラケット38,39を用
いている。
【0047】第4レール27は図1および図3に示すよ
うに、左右一対の主レール27aと、これらの主レール
27a,27aの下方に設けられた補強レール27b,
27bと、これらの補強レール27b,27b間に横架
されたクロスパイプ27cととから構成され、前端部が
前記連結部Cを介して第3レールに連結されるととも
に、後端部が連結部Dを介して第5レール28に連結さ
れている。
【0048】第5レール28は、ブリッジ3の上方を通
って前後に延びる左右一対の管部材によって構成され、
それぞれ2本の支柱40を介してブリッジ3の天井部3
aに支持固定されている。また、この第5レール28の
後端部は連結部Eを介して第6レール29に連結されて
いる。
【0049】前記第4レール27と第5レール28を連
結する連結部Dは、図5(d)に示すように、第5レー
ル28の前端部に立設された水平連結軸41を、第4レ
ール27の後端部の長穴42に抜け止め構造を採りつつ
嵌合させて構成されている。このため、第4レール27
の後端部は第5レール28に対して左右方向の軸線回り
に回動自在かつ長手方向に対して移動自在に連結される
ことになる。
【0050】連結部Eも図5(e)に示すように前記連
結部Dと同じ構造になっている。同図において43は第
5レールの後端部に立設された水平連結軸、44は第6
レール29の前端部に形成された長穴である。
【0051】第6レール29は左右一対の管部材からな
り、前端部が前記連結部Eを介して第5レール28に連
結されるとともに、後端部が第7レール30に連結部F
を介して連結されている。連結部Fは図5(f)に示す
ように、第6レール29の後端部に水平連結軸45を介
して第7レール30の前端部を回動自在に連結して構成
されている。この第7レール30は、図1(b)に示す
ように平面視略コ字状に形成されており、開放部分を前
方へ向けた状態で図4に示すように支柱46を介して船
体2に支持固定されている。なお、前記連結部Fも支柱
47を介して船体2に支持される構造になっている。
【0052】また、この海苔網用ガイド4の連結部B,
Cに連結された前記海苔刈り取り装置37は、不図示の
刈り取り用刃を油圧モータにより左右方向の軸線回りに
回転させて海苔網から海苔を刈り取る従来周知の構造の
ものが採用されている。この海苔刈り取り装置37に用
いる油圧モータも、そのオイル通路が前記油圧回路装置
11に連通されている。そして、この海苔刈り取り装置
37は、図2に示すように、上述したようにブラケット
38,39を介して海苔網用ガイド4に連結されるとと
もに、船体2のデッキ23との間に刈り取り装置用昇降
装置48が介装されている。
【0053】この刈り取り装置用昇降装置48は、テレ
スコピック式により上下に伸縮自在に構成された前後左
右計4本の昇降ガイド49と、海苔刈り取り装置37を
昇降させるための左右2本の油圧シリンダ50とから構
成されている。この油圧シリンダ50は複動式のものが
使用され、シリンダ本体50aのオイル通路は前記油圧
回路装置11に連通されている。
【0054】すなわち、油圧回路装置11によってシリ
ンダ本体50aに油圧を供給してこの油圧シリンダ50
を伸長させることによって、海苔刈り取り装置37が図
2中に実線で示した上昇位置まで上昇し、この上昇状態
から油圧シリンダ50を短縮させることによって、海苔
刈り取り装置37が図2中に二点鎖線で示した下降位置
まで降下することになる。
【0055】なお、海苔刈り取り装置37が昇降すると
きには、これに連結部B,Cを介して連結された海苔網
用ガイド4も合わせて昇降することになる。ここで、海
苔網用ガイド4の昇降動作について説明する。
【0056】海苔網用ガイド4は、第5レール28がブ
リッジ3と一体的に設けられている関係から、ブリッジ
3を前記油圧シリンダ20により昇降させることによっ
て、長手方向中央部が昇降することになる。すなわち、
図1に示すブリッジ3の下降状態からブリッジ3および
前記海苔刈り取り装置37を上昇させることによって、
図2〜図4中に実線で示したように海苔網用ガイド4が
上昇状態となる。
【0057】このとき、隣接するレールどうしのなす角
度が変化するが、この角度変化分は各連結部A〜Fで一
方のレールが他方のレールに対して回動することによっ
て吸収される。これとともに、上下方向への移動が規制
された連結部A,Fに対してこれら連結部A,F間のレ
ールが上昇することに起因して生じる寸法差は、連結部
A,B,DおよびEで一方のレールに対して他方のレー
ルがずれることにより吸収される。
【0058】なお、ブリッジ3と海苔刈り取り装置37
の両方を上昇させる以外に、何れか一方のみを上昇させ
ることもできる。海苔刈り取り装置37を下降位置にし
てブリッジ3のみを上昇させると、第4レール27が図
3中に二点鎖線27Aで示したように前下がりに傾斜す
るとともに、第6レール29が図4に実線で示したよう
に後下がりに傾斜するようになる。
【0059】ブリッジ3を下降位置にして海苔刈り取り
装置37のみを上昇させると、図2中に実線で示したよ
うに第2レール25が前下がりに傾斜するとともに、第
4レール27が図3中に二点鎖線27Bで示したように
後下がりに傾斜するようになる。なお、図2〜図4にお
いて二点鎖線4Aは、ブリッジ3および海苔刈り取り装
置37の両方を下降位置に位置づけた状態での海苔網用
ガイドの位置を示している。また、二点鎖線3Aは下降
位置でのブリッジ位置を示している。
【0060】上述したように構成された海苔養殖作業用
船1の動作について説明する。海苔網を船上に引き上げ
て海苔の刈り取り作業を行うに当たっては、先ず、海苔
網用ガイド4の第1レール24を回動させてその先端を
海中に水没させ、ブリッジ3および海苔刈り取り装置3
7の上下位置を調節して海苔網用ガイド4が潮の干満に
対応した位置となるようにする。すなわち、満潮時やこ
れに近い状態では海面が高くなっており、海苔網Nを支
柱に繋げるガイドロープの余裕が少なく海苔網Nを水面
より高く引き上げることができないから、海苔網用ガイ
ド4を低くしておく。
【0061】一方、干潮時やこれに近い状態では前記と
は逆にガイドロープの余裕が多くなるから、海苔網用ガ
イド4を高くして海苔網Nが海苔刈り取り装置37に対
してずれ難いようにする。
【0062】このように海苔網用ガイド4の高さを調整
した後、第1レール24の先端の前方に海苔網Nが位置
するように操船してこの第1レール24の先端が海苔網
Nの下方に潜り込むように前進する。このときには、前
側スラスター5および後側スラスター9を使用する。す
なわち、エンジン6の切換え装置を切換えて動力を油圧
ポンプ10に伝えるようにし、油圧回路装置11により
前後両スラスター5,9を制御して行う。
【0063】このとき、前側スラスター5のプロペラ5
aを正転させたり、あるいは逆転させることにより、船
体2の前部が左、右何れかの方向へ移動する。また、後
側スラスター9のプロペラ13の向きを方向変更装置1
7により左、右何れかへ変えることによって、船体2の
後部が左方あるいは右方へ移動する。前進あるいは後進
する場合には、この後側スラスター9のプロペラ13を
図7に示すように後方に向けた状態で正転させたり、あ
るいは逆転させて行う。なお、この後側スラスター9で
は、プロペラ13が指向する方向を真後ろから左、右に
ずらした状態でも前進あるいは後進を行うことができ
る。
【0064】このように海苔養殖作業用船1を前進させ
と、海苔網Nは第1レール24に乗り上げ、さらに海苔
養殖作業用船1が前進することによって、第1レール2
4から後方の第2レール25、第3レール26に乗るよ
うになって海苔刈り取り装置37の上方に達する。この
とき、海苔網Nが海苔刈り取り装置37の上方にさしか
かると、海苔網Nから垂れ下がった海苔が刈り取られ
る。なお、刈り取られた海苔はデッキ23に溜められ
る。
【0065】そして、さらに船体2が上昇前進すること
によって、海苔の刈り取られた海苔網Nは、第4レール
27→第5レール28→第6レール29→第7レール3
0という経路を辿って船上を後方へ移動し、第7レール
30の後端から海面に下りることになる。
【0066】刈り取り作業中に潮の干満により海面が上
昇したりあるいは下がった場合には、これに応じてブリ
ッジ3および海苔刈り取り装置37を上下させ、海苔網
用ガイド4の上下位置を調節する。
【0067】そして、刈り取り作業が終了して港へ戻る
とき(港から海苔網のある海域へ向かうときも同様であ
る)には、ブリッジ3を上昇位置に位置づけるととも
に、海苔刈り取り装置37を下降位置に位置づけてブリ
ッジ3から遠方を容易に見渡せるようにする。これとと
もに、海苔網用ガイド4の第1レール24をその先端部
が船上に乗るように回動させておく。これに加え、後側
スラスター9は、上下移動装置16によってプロペラ1
3が後方を向く位置にした後、スラスター本体15を上
側へ移動させてそのプロペラ13を船体2の凹部12内
に収納させておく。
【0068】しかる後、エンジン6の切換え装置を動力
伝達先がドライブユニット7となるように切換え、主推
進装置8を使用して走航する。なお、高速走航時には、
図8中に符号2Aで示す角部で海水が船体底面2cに対
して離れるようになるので、このときに後側スラスター
9のプロペラ13に海水がかかることはない。すなわ
ち、後側スラスター9が走航時の抵抗になることはな
い。
【0069】なお、船首を埠頭に対向させて接岸すると
きには、ブリッジ3および海苔刈り取り装置37を上昇
させるととともに、海苔網用ガイド4の第1レール24
を前側へ回動させて先端を埠頭に乗せることにより、こ
の第1レール24を渡って乗り降りすることができる。
【0070】したがって、この海苔養殖作業用船1で
は、主推進装置9用エンジン6をドライブユニット7と
油圧ポンプ10との何れかに動力を伝えるように構成す
るとともに、油圧駆動式の後側スラスター9を前後左右
に推力が得られるように構成したから、主推進装置8用
エンジン6の動力の伝達先を油圧ポンプ10とすれば、
海苔刈り取り装置37等の補機を駆動するためにエンジ
ン回転数を高めたとしても、後側スラスター9を所望の
推力が得られるように油圧ポンプ10から後側スラスタ
ー9に送られる油圧を制御する(低くする)ことによっ
て微速走航が可能になる。
【0071】言い換えれば、微速前進時、微速後進時あ
るいは前後進切換時であっても、海苔刈り取り装置37
等の補機を所望の運転状態に維持することができる。
【0072】また、後側スラスター9に上下移動装置1
6を設けてプロペラ13が凹部12に対して上下するよ
うに構成したので、走航時にはプロペラ13を凹部12
に収容しておくことによって、船底後部に下方へ突出す
るものがなくなるから、海水に対して船体が円滑に移動
できるようになる。なお、後側スラスター9のプロペラ
13を凹部12から下方へ突出させることによって、こ
のプロペラ13が推力を生じさせるための水を受けるこ
とができるようになる。
【0073】さらに、本実施例ではブリッジ3および海
苔刈り取り装置37を昇降自在に構成して海苔網用ガイ
ド4の上下位置を調節できるようにしたから、潮の干満
による海面の高低差が大きい海域で海苔を養殖する場合
であっても、長時間に渡って海苔の刈り取り作業を継続
して行うことができる。これは、海面の高低に応じて海
苔網用ガイド4の上下位置を調節しながら刈り取り作業
を行うことができるからである。
【0074】しかも、ブリッジ3のみを上昇させた状態
では遠方を見渡せるようになるので、走航時に視界を確
保できて操船し易くなるという利点もある。
【0075】第2の実施の形態 船体前部に設けるスラスターのプロペラを左右回動自在
に構成することもできる。この実施の形態を図9によっ
て説明する。図9は前側スラスターを上下移動自在かつ
方向変更自在に構成した他の実施の形態を示す側面図
で、同図において前記図1ないし図8で説明したものと
同一もしくは同等部材については、同一符号を付し詳細
な説明は省略する。
【0076】図9に示した前側スラスター5は、前記第
1の実施の形態で説明した後側スラスター9と同等の構
造になっており、図示してない上下移動装置および方向
変更装置によって船体2に対して上下方向に移動自在か
つ方向変更自在に装着されている。詳述すると、この前
側スラスター5は、図9に実線で示すように船底より下
方に突出する位置と、同図において破線で示すように船
体2の内側に収容される位置との間で上下方向に移動で
きるようになっている。これとともに、この前側スラス
ター9は、プロペラ5aを船底より下方へ突出させた状
態において、プロペラ5aが図9において二点鎖線で示
す船体2の左右方向の一方を指向する位置から、同図に
実線で示すように船体2の後方を向く後方指向位置を通
って他方を指向する位置へ至る回動範囲内で回動できる
ようになっている。
【0077】なお、このように前側スラスター5を方向
変更自在に構成する場合には、後側スラスターは必ずし
も設けなくてよい。言い換えれば、船体2の前部と後部
の両方にスラスターを設けなくてもよく、船体2の前後
の少なくとも一方にスラスターを装着し、このスラスタ
ーを方向変更自在とする構成を採ることもできる。ま
た、船体2の前部と後部の両方にスラスターを設ける構
成を採る場合であっても、船体後側のスラスターを方向
変更自在に構成せずに、船体前側のスラスターのみを方
向変更自在に構成してもよい。
【0078】さらに、上述した実施の形態では海苔養殖
作業用船に本発明を適用した例を示したが、本発明は、
海苔養殖作業用船とは別の種類の船、すなわち一般的な
漁船や特殊な作業を行うような船舶に適用することもで
きる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明に係る作
業船は、スラスターのプロペラを船体の左右方向の一方
を指向する位置から船体の後方を向く後方指向位置を通
って他方を指向する位置へ至る回動範囲内で回動させる
方向変更装置を設けたため、前記プロペラを前記回動範
囲内で回動させることによって、船体を斜めに微妙に移
動させることができる。したがって、スラスターによっ
て進行方向を微調整することが容易な作業船を得ること
ができる。
【0080】第2の発明に係る作業船は、第1の発明に
係る作業船を、海苔網を船首側からブリッジ上方に導く
海苔網ガイドを備えた海苔養殖作業用船とし、主推進装
置用エンジンを主推進装置と、エンジン動力を伝達媒体
の流れに変えて被駆動部材に伝達しかつ被駆動部材を制
御する機能を有する補機用駆動装置との何れか一方へ動
力を伝達する構造とするとともに、前記補機用駆動装置
によってスラスターを駆動する構造としたため、主推進
装置用エンジンの動力の伝達先を補機用駆動装置とする
ことにより、この動力は伝達媒体の流れに変えられてス
ラスターに供給されるから、エンジン回転数を増減させ
ることによってスラスターで要求される推力が得られ
る。このとき、船体の向きを左右に変えるには、方向変
更装置によりスラスターのプロペラの向きを変えること
によって行われる。また、スラスターのプロペラを、船
体の後方を向く後方指向位置に位置づけることにより微
速前進が可能になる。
【0081】したがって、主推進装置用エンジンの動力
によってスラスターを駆動する構成を採るに当たり、微
速前進時に海苔刈り取り装置などの補機の運転状態を所
望の運転状態に維持することができる。
【0082】また、前記スラスターのプロペラを船体の
後方を向く後方指向位置に位置づけたときに、プロペラ
の回転方向を正逆に切換えることにより前進、後進が切
換えられる構成を採った場合には、前後進の切換えがエ
ンジンの動力を補機用駆動装置に伝達させながら行われ
る。このため、補機用駆動装置によって海苔刈り取り装
置などの補機を駆動する構成を採る場合、前後進を切換
えたとしてもこの補機が運転中に出力低下を起こすこと
がない。すなわち、前後進切換え時にも海苔刈り取り装
置などの補機の運転状態を所望の運転状態に維持でき
る。
【0083】第3の発明に係る作業船は、第1の発明ま
たは第2の発明に係る作業船において、スラスターを船
体の前部と後部とに設け、これらのスラスターのうち何
れか一方に前記方向変更装置を設けたため、一方のスラ
スターのプロペラを船体の後方を向く後方指向位置に位
置づけて後方へ水流を発生させつつ、他方のスラスター
によって左右方向へ水流を発生させることができる。し
たがって、微速前進しながら船体の左右方向に対する向
きを微調整することができる。
【0084】第4の発明に係る作業船は、第1の発明な
いし第3の発明のうち何れか一つの作業船において、船
体に下方へ向けて開放された凹部を形成してこの凹部
に、方向変更装置を備えたスラスターのプロペラを臨ま
せ、このスラスターに、プロペラを前記凹部の内方と凹
部外であって船底より下方との間で上下に移動させる上
下移動装置を設けたため、この上下移動装置によってス
ラスターのプロペラを上昇させて凹部内に収容すること
によって、船底から下方へ突出するものがなくなるか
ら、海水に対して船体が円滑に移動できるようになる。
また、スラスターのプロペラを前記凹部から下方へ突出
させることによって、このプロペラが推力を生じさせる
ための水を受けることができるようになる。したがっ
て、スラスターを設けるに当たりこれが航走時に抵抗と
なることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る作業船としての海苔養殖作業用
船を示す図で、同図(a)は側面図、同図(b)は平面
図である。
【図2】 海苔養殖作業用船の前部を拡大して示す側面
図である。
【図3】 海苔養殖作業用船の前後方向中央部を拡大し
て示す側面図である。
【図4】 海苔養殖作業用船の後部を拡大して示す側面
図である。
【図5】 海苔網用ガイドのジョイント部分を拡大して
示す平面断面図で、同図(a)〜(f)は図1〜図4中
のジョイント部A〜ジョイント部Fをそれぞれ示してい
る。
【図6】 ブリッジの昇降状態を示す概略構成図で、同
図(a)はブリッジを低位置に位置づけた状態を示し、
同図(b)はブリッジを高位置に位置づけた状態を示し
ている。なお、同図は図1(b)におけるVI−VI線で船
体を破断した状態で描いてある。
【図7】 図1(b)における後側スラスターの要部の
VII−VII線断面図である。
【図8】 図7における要部のVIII−VIII線断面図であ
る。
【図9】 前側スラスターを上下移動自在かつ方向変更
自在に構成した他の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…海苔養殖作業用船、2…船体、2c…船体底面、3
…ブリッジ、4…海苔網用ガイド、5…前側スラスタ
ー、6…エンジン、8…主推進装置、9…後側スラスタ
ー、10…油圧ポンプ、11…油圧回路装置、12…凹
部、13…プロペラ、16…上下移動装置、17…方向
変更装置。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体の左右方向へ水流を発生させて船体
    の向きを変えるスラスターを備えた作業船において、前
    記スラスターのプロペラを船体の左右方向の一方を指向
    する位置から船体の後方を向く後方指向位置を通って他
    方を指向する位置へ至る回動範囲内で回動させる方向変
    更装置を設けたことを特徴とする作業船。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の作業船において、この作
    業船を、海苔網を船首側からブリッジ上方に導く海苔網
    ガイドを備えた海苔養殖作業用船とし、主推進装置用エ
    ンジンを主推進装置と、エンジン動力を伝達媒体の流れ
    に変えて被駆動部材に伝達しかつ被駆動部材を制御する
    機能を有する補機用駆動装置との何れか一方へ動力を伝
    達する構造とするとともに、前記補機用駆動装置によっ
    てスラスターを駆動する構造としたことを特徴とする作
    業船。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の作業船に
    おいて、スラスターを船体の前部と後部とに設け、これ
    らのスラスターのうち何れか一方に、プロペラを船体の
    左右方向の一方を指向する位置から船体の後方を向く後
    方指向位置を通って他方を指向する位置へ至る回動範囲
    内で回動させる方向変更装置を設けたことを特徴とする
    作業船。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のうち何れか一
    つの作業船において、船体に下方へ向けて開放された凹
    部を形成するとともに、この凹部に、方向変更装置を備
    えたスラスターのプロペラを臨ませ、このスラスター
    に、プロペラを前記凹部の内方と凹部外であって船底よ
    り下方との間で上下に移動させる上下移動装置を設けた
    ことを特徴とする作業船。
JP22885895A 1994-09-06 1995-09-06 作業船 Pending JPH08127388A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101381271B1 (ko) * 2009-03-05 2014-04-04 비컨 핀란드 리미티드 오와이 접혀 들어갈 수 있는 추진 장치 또는 대응물을 위한 정비 공간
KR101422473B1 (ko) * 2011-12-09 2014-07-23 삼성중공업 주식회사 선박용 아지포드조립체 및 이를 포함하는 선박
KR101456030B1 (ko) * 2012-08-24 2014-11-03 삼성중공업 주식회사 자체승강 추진시스템 및 이를 구비한 선박
KR101531601B1 (ko) * 2013-11-18 2015-06-25 삼성중공업 주식회사 선박 캐니스터
KR102090074B1 (ko) * 2018-11-19 2020-03-17 심창섭 선박용 추진장치

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