JPH0811992A - 管状通路の洗浄方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 飲料物等が流動する管状通路を、効率よく洗
浄及び殺菌できる方法と装置を提供する。 【構成】 アルカリ水と酸性水の貯留タンク２３、２４
を、電磁弁３５、３６を介して飲料物が流動する管３に
接続し、各貯留タンク２３、２４に炭酸ガスボンベ５を
連結する。管３にアルカリ水を導入して洗浄した後、炭
酸ガスを導入して管内のアルカリ水を除去する。次に、
酸性水を導入して管内を殺菌し、水道水を導入して酸性
水を洗い流す。その後、炭酸ガスを導入し、管内の残水
を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、管状通路の洗浄方法
と装置に関し、例えばビールや飲料水等の飲料物が通過
する管内の洗浄に用いられる。

【０００２】

【従来技術及びその課題】樽詰された生ビールをディス
ペンサーを用いて注出する場合、図５に示すように、デ
ィスペンサー１とビール樽２を柔軟性のある管３で接続
し、そのビール樽２の開口に取付けたディスペンスヘッ
ド４に、炭酸ガスのボンベ５を連結し、このボンベ５か
らビール樽２内に炭酸ガスを導入することにより、ビー
ルを管３を通してディスペンサー１へ圧送するようにし
ている。

【０００３】ところで、上記の注出構造において、ビー
ル樽２からディスペンサー１へのビールの注出が繰り返
されると、管３の内面にビールや不純物等が付着し、順
に堆積した状態になる。このような付着物は、管３を通
過するビールに溶け込んで旨味を損なわせたり、雑菌な
どを発生させる原因になる。

【０００４】このため、通常は、所定時間ビールの注出
を行なった時点で、ディスペンスヘッド４をビール樽２
から洗浄水タンク６につけ換え、その洗浄水タンク６内
の水を管３の内部に導入して管内面の洗浄を行なうよう
にしている。

【０００５】しかし、従来の洗浄水は、単なる水道水や
蒸留水が使用されているため、洗浄作用が小さく、管３
の内面に付着した不純物を充分に取り除くことが困難で
あり、雑菌等に対する殺菌効果もないという問題があっ
た。

【０００６】これに対して、洗浄力の大きい洗浄液や殺
菌剤などを管３の内部に導入して洗浄や殺菌を行なう方
法もあるが、この方法では、毒性のある洗浄液や殺菌剤
が管３内に残留する恐れがあり、飲料物用の注出装置と
して使用が難しい問題がある。

【０００７】また、上記のように洗浄のたびに、ディス
ペンスヘッド４をビール樽２と洗浄水タンク６の間でつ
け換える作業は、作業が面倒であり、より簡単に洗浄で
きる構造が求められている。

【０００８】そこで、この発明は、上記の問題を解決
し、飲料物等が通過する管状通路の内面に対して洗浄と
殺菌をすることができ、効率のよい洗浄を行なうことが
できる洗浄方法と装置を提供することを目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明の洗浄方法は、アルカリ水の導入による洗
浄工程と、ガスの導入によるアルカリ水の除去工程と、
酸性水の導入による殺菌工程と、ガス又は中性水の導入
による酸性水の除去工程とを順に行なう方法としたので
ある。

【００１０】また、この発明の洗浄装置は、管状通路
に、アルカリ水の貯留タンクと酸性水の貯留タンクを切
換え弁を介して接続し、上記両貯留タンクにそれぞれガ
スの供給源を接続し、上記ガスを各貯留タンク内に導入
してその各タンク内の貯留水とガスを管状通路に圧送す
るように構成したのである。

【００１１】なお、上記の洗浄装置において、アルカリ
水と酸性水の各貯留タンクに、水道管と連結する電解槽
を接続してもよい。

【００１２】また、上記各貯留タンクに、電解槽と水道
管を切換え可能に接続してもよい。

【００１３】

【作用】アルカリ水は、水道水等に比べて洗浄効果があ
ることが知られており、このアルカリ水を管状通路に導
入することにより、通路に付着した不純物等を洗い流
す。

【００１４】次に、ガスを導入して通路内のアルカリ水
を除去することで、次工程の酸性水とアルカリ水の直接
接触を防止し、中和による酸性水の殺菌力低下を防止す
る。

【００１５】また、酸性水は殺菌効果があり、これを上
記の管状通路に導入することにより、通路の内面を殺菌
することができる。

【００１６】ついで、通路内にガス又は中性水を導入し
て残留した酸性水を除去することで、酸性水と飲料物等
との混入を防ぎ、酸化による装置の腐蝕を回避する。

【００１７】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図１乃至図４
に基づいて説明する。この実施例は、ビール樽からディ
スペンサーへ生ビールを注出するビール注出装置に、こ
の発明を適用したものであり、図１に示すように、ディ
スペンサー１の支持台７の内部に洗浄装置１０を組込
み、その洗浄装置１０を、ディスペンサー１とビール樽
２を連結する管３に接続している。

【００１８】上記洗浄装置１０は、図２に示すように、
水道管１１と連結する水路１２に、塩水タンク１３と電
解槽１４を接続し、電解質となる塩水タンク１３の塩水
を、定量ポンプ１５によって適量ずつ水道水に混入し、
電解槽１４に送り込むようにしている。

【００１９】この電解槽１４は、図３に示すように、ケ
ース１６の中央にイオン交換膜１７を設け、そのイオン
交換膜１７を挟んだケース１６の両側に、直流電源１８
と接続する陰極１９と陽極２１を配置して成り、水道水
を電気分解することにより、陰極室２０に陽イオンであ
るアルカリイオン水を、陽極室２２に陰イオンである酸
性イオン水をそれぞれ生成するようになっている。

【００２０】上記陰極室２０には、電磁弁２５を介して
アルカリ水の貯留タンク２３が接続し、一方、陽極室２
２には、ＰＨセンサ２７と電磁弁２６を介して酸性水の
貯留タンク２４が接続している。また、上記各貯留タン
ク２３、２４の電磁弁２５、２６を接続する水路２８に
は、上記水道管１１に連通する水路１２と排水管２９が
それぞれ切換え弁３０、３１を介して連結している。

【００２１】また、上記各貯留タンク２３、２４の上部
には、それぞれ電磁弁３２、３３を介して炭酸ガスボン
ベ５が接続され、各貯留タンク２３、２４の排出口に電
磁弁３５、３６を介して連結した通路３４が、ビール樽
２と管３の間に設けたディスペンスヘッド４に接続され
ている。

【００２２】このディスペンスヘッド４は、図４に示す
ように、下端部に、ビール樽２の口金に接続する開口３
７と、炭酸ガスボンベ５に接続するガスチャッキ弁３８
を備え、開閉ハンドル３９の回動操作により、ガスチャ
ッキ弁３８からビール樽２へガスの導入を切換えるよう
にしている。また、ディスペンスヘッド４の内部には、
ヘッド内へのアルカリ水又は酸性水の逆流を防ぐボール
状の逆止弁４０が組込まれ、その逆止弁４０の上方に、
上記各貯留タンク２３、２４から延びた通路３４が接続
するチャッキ弁４１が設けられている。

【００２３】この構造では、ヘッド４の開口３７をビー
ル樽２の口金に取付けた状態で、ガスチャッキ弁３８か
ら炭酸ガスをビール樽２内へ導入すると、そのガスの圧
力により樽内部のビールがダウンチューブを通ってヘッ
ド４内に送られ、管３を通してディスペンサー１に圧送
される。また、ガスチャッキ弁３８を閉じた状態で、上
側のチャッキ弁４１からアルカリ水や酸性水、或いは炭
酸ガスを導入すると、ヘッド４内部で逆止弁４０が通路
を塞ぎ、導入された水又はガスがビール樽２へ逆流せず
に管３へ向かって送られる。

【００２４】なお、図２において、水路１２上に設けた
４２は、水道水用のレギュレータ、４３はカートリッジ
式のフィルタである。

【００２５】また、炭酸ガスボンベ５の元栓部には、圧
力調整器４４が設けられ、ボンベ５から吐出するガスの
圧力を調整したり、ガス流量を断続的にオンオフできる
ようになっている。

【００２６】この実施例の洗浄装置は、上記のような構
造であり、次に、その装置を用いた管３の洗浄方法につ
いて説明する。

【００２７】管３の洗浄は、洗浄作業を始める前に、予
め水道水を電解槽１４に供給し、水道水を電気分解して
各貯留タンク２３、２４に所定の量とＰＨ値のアルカリ
水と酸性水を貯留する。この場合、貯留タンク２３内に
貯留するアルカリ水は、優れた洗浄作用を得るため、Ｐ
Ｈ１１〜１２程度の強アルカリイオン水を、一方、タン
ク２４内に貯留する酸性水には、大きな殺菌効果を得る
上で、ＰＨ２〜３程度の強酸性イオン水を貯留するのが
望ましい。

【００２８】洗浄作業は、ビール樽２からのビールの流
出を停止した状態で、最初に、アルカリ水の貯留タンク
２３に炭酸ガスを導入し、アルカリ水をディスペンスヘ
ッド４に圧送して、ヘッド４からディスペンサー１の注
ぎ口までの管３内面を洗浄する（洗浄工程）。

【００２９】この洗浄工程では、先ず、管３の内部にア
ルカリ水を導入した後アルカリ水の圧送を止め、管内部
にアルカリ水を一定時間浸漬状態にして付着物を浮き上
がらせる。次に、ガスボンベ５からのガスの供給を断続
的にオンオフさせ、アルカリ水の流れに脈動を与えて、
管３内面に付着したビールや不純物等をはがし取る。

【００３０】その後、アルカリ水を強いガス圧で勢いよ
く圧送し、管３内面を加圧洗浄することにより、管内部
を綺麗に洗い流すことができる。

【００３１】上記の洗浄工程は、貯留タンク２３のアル
カリ水が無くなった時点で終了し、次に連続して炭酸ガ
スを貯留タンク２３から通路３４を通して管３へ圧送
し、そのガスにより管３内面に付着したアルカリ水を吹
き飛ばす（アルカリ水除去工程）。

【００３２】このアルカリ水の除去により、管３内部に
残留した付着物などを完全に排出できると共に、アルカ
リ水と次工程の酸性水との接触による中和を防止し、酸
性水の殺菌効果の低下を防ぐことができる。

【００３３】上記のアルカリ水除去工程が終了すると、
電磁弁３２、３３を切換えてガスボンベ５から酸性水の
貯留タンク２４に炭酸ガスを導入し、酸性水を管３内部
に圧送して管内の殺菌を行なう（殺菌工程）。

【００３４】この殺菌工程では、酸性水の酸性度等に応
じて貯留タンク２４に導入する炭酸ガスの供給量を制御
し、管３内部を流れる酸性水の流速を調節して、雑菌の
除去等に必要な殺菌時間を確保するようにする。この殺
菌工程は、貯留タンク３の酸性水が無くなった時点で終
了する。

【００３５】上記の殺菌工程が終了すると、貯留タンク
２４の電磁弁３３を閉じ、逆にアルカリ水の貯留タンク
２３につながる電磁弁２５を開いて、水路１２、２８と
貯留タンク２３を通して水道水を管３に送り込み、管３
内面に付着した酸性水を洗い流す（酸性水除去工程）。

【００３６】これにより、管３内部における酸性水の残
留をなくすことができ、酸化作用によるディスペンスヘ
ッド４やディスペンサー１内部の腐蝕を防止することが
できる。

【００３７】ついで、上記とは逆に、電磁弁２５を閉
じ、酸性水の貯留タンク２４の電磁弁３３を開いて、ガ
スボンベ５内部の炭酸ガスを貯留タンク２４から管３内
部に送り込み、そのガスにより管内の残水を吹き飛ばす
（残水除去工程）。

【００３８】この残水の除去により、洗浄終了後に管３
内部に流すビールと水分との混入を防止でき、ビールの
希釈現象を回避することができる。

【００３９】なお、上記の実施例では、水道水の導入に
よる酸性水除去工程と、ガスの導入による残水除去工程
とを分けて行なったが、これを、ガスの管内への導入に
よって１回の工程で行なうようにしてもよい。

【００４０】また、ビール樽とディスペンサー間を接続
する管の洗浄作業について説明したが、このようなビー
ルの注出装置に限らず、ジュースや清涼飲料水などの飲
料物を注出する装置の洗浄にも、この発明を同様に適用
することができる。

【００４１】

【効果】以上のように、この発明は、アルカリ水と酸性
水を用いて管状通路を洗浄するため、通路内部の洗浄と
殺菌とを連続して行なうことでき、洗浄作業を低コスト
で効率よく行なうことができる。

【００４２】また、アルカリ水や酸性水の導入の後、ガ
ス又は中性水を通路に導入して残留水を除去するため、
通路内を流動する飲料物等に対して洗浄水の混入や希釈
現象を無くすことができ、飲料物等の変質を防止するこ
とができる。

【００４３】また、この発明の洗浄装置では、管状通路
に切換え弁を介してアルカリ水や酸性水の貯留タンクを
接続したので、切換え弁の操作により簡単に通路の洗浄
を行なうことができ、洗浄作業の能率を大きく向上させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の洗浄装置を示す概略図

【図２】同上の洗浄構造を示すブロック図

【図３】電解槽の内部機構を示す模式図

【図４】ディスペンスヘッドを示す断面図

【図５】ビールの注出装置を示す正面図

【符号の説明】

１ ディスペンサー ２ ビール樽 ３ 管 ４ ディスペンスヘッド ５ 炭酸ガスボンベ １０ 洗浄装置 １１ 水道管 １４ 電解槽 ２０ 陰極室 ２２ 陽極室 ２３、２４ 貯留タンク ２５、２６、３２、３３、３５、３６ 電磁弁 ３４ 通路 ４０ 逆止弁 ４１ チャッキ弁 ４４ 圧力調整器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横井 恒彦 大阪市北区堂島浜２丁目１番40号 サント リー株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルカリ水の導入による洗浄工程と、ガ
   スの導入によるアルカリ水の除去工程と、酸性水の導入
   による殺菌工程と、ガス又は中性水の導入による酸性水
   の除去工程とを順に行なう管状通路の洗浄方法。
2. 【請求項２】 管状通路に、アルカリ水の貯留タンクと
   酸性水の貯留タンクを切換え弁を介して接続し、その両
   貯留タンクにそれぞれガスの供給源を接続し、上記ガス
   を各貯留タンク内に導入してその各タンク内の貯留水と
   ガスを管状通路に圧送するように構成した管状通路の洗
   浄装置。
3. 【請求項３】 上記アルカリ水と酸性水の各貯留タンク
   に、水道管と連結する電解槽を接続した請求項２に記載
   の管状通路の洗浄装置。
4. 【請求項４】 上記各貯留タンクに、電解槽と水道管を
   切換え可能に接続した請求項３に記載の管状通路の洗浄
   装置。