JPH08113860A - 耐水性ポリビニルアルコール系不織布の製造方法 - Google Patents

耐水性ポリビニルアルコール系不織布の製造方法

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JPH08113860A
JPH08113860A JP6251720A JP25172094A JPH08113860A JP H08113860 A JPH08113860 A JP H08113860A JP 6251720 A JP6251720 A JP 6251720A JP 25172094 A JP25172094 A JP 25172094A JP H08113860 A JPH08113860 A JP H08113860A
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JP
Japan
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melting point
polymer
pressure
web
bonding
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Application number
JP6251720A
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English (en)
Inventor
Koichi Tejima
宏一 手島
Masaji Asano
正司 浅野
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】毛羽立ちが少なく厚みがあり、さらに高強度を
有する耐水性のポリビニルアルコール系不織布を提供す
る。 【構成】高融点ポリビニルアルコール系のポリマーを海
成分、低融点の耐水性のポリマーを島成分とする海島構
造ポリビニルアルコール系繊維からなる不織布を製造す
る際に、該繊維からなるウェブに、熱圧着部が連続相と
なっている熱エンボスと熱圧着部が不連続となっている
熱エンボスを併用して熱圧着を行い、繊維間を接着し
て、不織布の形態とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐水性ポリビニルアルコ
ール(以下PVAと略記)系不織布を製造する方法に関
するもので、特に強度を向上させ、毛羽立ちを減少させ
る不織布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は、高い強度、優れた耐候
性、吸水性、吸湿性、保温性等の点で、ポリエステル、
ポリオレフィン、ナイロン等の溶融紡糸繊維に勝る性能
を有する事から、織編物や不織布として種々製造され、
産業資材分野等を中心に広く使用されている。
【0003】本発明者等は、特願平6−68543号、
特願平5−265022号において、融点が220℃以
上であるポリビニルアルコール系ポリマー(A)及び融
点または融着温度が210℃未満である耐水性ポリマー
(B)からなり、(A)と(B)の重量比が98:2〜
55:45の範囲であり、(A)が海成分で(B)が島
成分である海島構造ポリビニルアルコール系繊維(以下
熱圧着PVA系繊維と略記)を使用しウェブを作製し
て、熱圧着方法により接着してPVA系不織布を製造す
る方法について提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】不織布の強度を向上さ
せるためには圧着部分を連続にすることによって、また
圧着部分を増やすことによって達成される。しかしなが
ら、熱プレス、熱カレンダーによる圧着面積増加には技
術的に上限がある。これは、圧着面積が広いほど、処理
幅が広いほど不織布の熱圧着処理はウェブ自体のムラ、
金属部の歪等のためクリアランス調整が微妙なものとな
るため困難になるためである。また、圧着面積増加に伴
い、また圧着部分を連続相にすると不織布は薄く紙状の
ものとなり、厚みのあるものは作製できない。逆に厚み
のあるものを作製させるには、圧着部分を少なくし不連
続相にすればよいが、作製した布は非常に毛羽立ちが多
くなる。毛羽立ちを減少させるためにはバインダー樹脂
付与、熱圧着面積増加、圧着部分の連続化を行うことに
よって達成される。しかしながら、バインダー樹脂付与
にたよればノーバインダー樹脂品は作製できなくなる
し、熱圧着面積増加、圧着部分の連続化の方法では上記
同様の問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、融点が220
℃以上であるPVA系ポリマー(A)及び融点または融
着温度が210℃未満である耐水性ポリマー(B)から
なり、(A)と(B)の重量比が98:2〜55:45
の範囲であり、(A)が海成分で(B)が島成分である
海島構造PVA系繊維からなる不織布の製造方法に関す
るもので、特に強度を向上させ、毛羽立ちを減少させる
方法に関するものである。
【0006】具体的には、圧着面が連続相となっている
圧着装置と圧着面が不連続相となっている圧着装置を併
用して熱カレンダー接着処理を行うものであり、好まし
くは、上記記述の海島構造PVA系繊維からなるウェブ
を温度80〜230℃、線圧1kg/cm以上または面
圧2kg/cm2以上、圧着部の面積割合が10%〜4
0%でかつ圧着部が連続相である圧着装置と、圧着部の
面積割合が10〜40%でかつ圧着部が不連続相の圧着
装置を組み合わせて2〜4回熱圧着する耐水性PVA不
織布の製造方法である。
【0007】本発明のPVA系繊維は、特願平6−68
543号、特願平5−265022号に記載の通り海島
構造を有する多成分繊維である。融点が220℃以上で
あるPVA系ポリマー(A)が海成分である。マトリッ
クスとなる海成分PVA系ポリマー(A)の融点が22
0℃未満では本発明繊維の耐熱性、耐水性が不十分とな
り実用に耐える繊維を得ることができない。また高強度
繊維を得ることができない。海成分PVA系ポリマー
(A)の融点が225℃以上であるとさらに好ましい。
海成分ポリマー(A)の融点の上限に特別な限定はない
が、融点が260℃以上であるPVAは一般的ではな
い。
【0008】海成分PVA系ポリマー(A)の具体例を
あげると、重合度500〜24000で、鹸化度が99
〜100モル%の高鹸化度PVAである。重合度150
0〜4000、鹸化度が99.5〜100モル%である
と耐水性および熱圧着性の点でさらに好ましい。またエ
チレン、アリルアルコール、イタコン酸、アクリル酸、
無水マイレン酸とその開環物、アリールスルホン酸、ピ
バリン酸ビニルのごとく炭素数が4以上の脂肪酸ビニル
エステル、ビニルピロリドンおよび上記イオン性基の1
部また全量中和物などの変性ユニットにより変性したP
VAも包含される。変性ユニットの量は1モル%未満、
好ましくは0.5モル%以下である。変性ユニットの導
入法は、共重合でも後反応でも特別な限定はない。変性
ユニットの分布はランダムでも、ブロックでも限定はな
い。ブロック的に分布させると結晶化阻害効果が小さ
く、ランダムより多く変性しても高融点を保ちうる。高
鹸化度の高融点PVA系ポリマーを連続相とすることに
より高融点ポリマー単独繊維に近い性能を得ることがで
き、また繊維の最表層を高融点ポリマーとすることによ
り、繊維製造工程における膠着とそれによる不織布製造
時の開繊不良発生を防止することが可能となる。
【0009】本発明のPVA系不織布を構成する海島繊
維の島成分として融点または融着温度が210℃未満の
耐水性ポリマー(B)を用いる。融点が210℃以上で
あると熱圧着温度が高くなりすぎ、熱圧着時海成分のP
VA系ポリマー(A)の配向性、結晶性を破壊しやすい
ので好ましくない。なお融点を持たない耐水性の非晶ポ
リマーであっても、その非晶性ポリマーチップを所定温
度に加熱し、0.1kg/cm2の圧力を10分間印加
した際チップ同志が融着する最低温度を融着温度とした
時、融着温度が210℃未満の耐水性非晶ポリマーは耐
水性ポリマー(B)に包含され、島成分耐水性ポリマー
(B)の融点、あるいは融着温度(以下この温度も融点
という語に含めて使用する)が200℃以下であると好
ましく、190℃以下であるとさらに好ましい。さらに
海成分と島成分の融点差が15℃以上であると、熱圧着
時の繊維寸法変化が小さくなるので好ましい。融点差が
30℃以上であるとより好ましく、50℃以上であると
さらに好ましい。融点が210℃未満の耐水性ポリマー
(B)は通常低配向、低結晶性であるため、繊維のマト
リックスである海成分に用いると、低強度、低耐熱性と
なるので不都合である。また低融点ポリマー(B)が繊
維最表面に存在すると繊維製造工程において膠着しやす
く不織布製造工程での開繊不良の原因となる。この点か
らも低融点ポリマー(B)は島成分とすることが必要で
ある。
【0010】本発明にいう融点210℃未満の耐水性ポ
リマー(B)の具体例としては、エチレン/ビニルアル
コールコポリマー(モル組成比50/50〜20/8
0)、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(モル組成比9
2/8〜20/80)、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルホルマール、炭素数3〜20の脂肪酸のビニルエス
テルで変性されたPVA(変性ユニットの量は1モル%
以上、好ましくは2モル%以上である)、変性アクリル
樹脂、ポリイソプレンなどの炭化水素系エラストマー、
ポリウレタン系エラストマーなどがあげられる。とりわ
け、熱接着性、性能再現性(安定性)、コストの点で、
エチレン/ビニルアルコールコポリマー(モル組成比5
0/50〜20/80)、エチレン/酢酸ビニルコポリ
マー(モル組成比92/8〜20/80)のPVA系ポ
リマーは本発明のPVA系不織布を構成する繊維の島成
分として有用である。島成分ポリマーの重合度に特別な
限定はないが、島成分は繊維強度に寄与せず、接着性に
寄与することが重要であるから、熱圧着時流動性のよい
低重合度、例えば100〜1000が好ましい。本発明
で言う耐水性ポリマーとしては、水又は熱水により溶解
することのない常温、好ましくは100℃以下の温度条
件下で固体のポリマーのことで、耐水性を有していない
場合には、不織布化したのちにおいて、水に触れると繊
維間の固定が外れ、不織布形態が崩れることとなる。
【0011】本発明のPVA系不織布を構成する海島繊
維の海成分/島成分のブレンド比[(A)/(B)]は
重量比で98/2〜55/45の範囲である。海成分の
高融点PVAポリマー(A)が55%より少ないと高強
度繊維が得られない。またこの高融点PVA系ポリマー
(A)が55%より少なくなり、低融点耐水性ポリマー
(B)が45%より多くなると、低融点耐水性ポリマー
(B)が海成分となる傾向になり、膠着の点で好ましく
ない。一方、低融点耐水性ポリマー(B)が2%より少
ないと、実用に耐える熱圧着性能を得ることができな
い。強度、膠着と熱圧着性のバランスより、海成分/島
成分のブレンド比が95/5〜60/40であるとより
好ましく、92/8〜70/30であるとさらに好まし
い。
【0012】また本発明のPVA系不織布を構成する繊
維において島成分となる低融点ポリマー(B)は繊維最
表面に存在することは好ましくないが、最表面近くに存
在することが好ましい。最表面近辺での海成分の最小厚
み(島成分の低融点ポリマーの繊維最表面までの最近接
距離)は、熱圧着時最表面の高融点PVAポリマー
(A)が破れ、島成分の低融点耐水性ポリマー(B)が
表面に押し出され接着力を得るために重要である。最表
面より0.01〜2μの内側に島成分を存在させること
が好ましい。島成分は繊維断面方向に均一に分布させて
もよいが、表面側により集中して分布させることが好ま
しい。また島成分は繊維軸方向に連続であってもよい
が、必ずしも連続である必要はなく、球状あるいは断続
した細長い棒状あるいはラグビーボール状であってもよ
い。
【0013】本発明を構成する海島繊維には、前記高融
点PVA系ポリマー(A)および低融点耐水性ポリマー
(B)の他に、上記した性能を大きく損なわない範囲内
で各種の安定剤、添加剤、その他のポリマー等が添加さ
れてもよい。
【0014】また、本発明を構成する海島繊維の形は、
ウェブ化ができるものなら制限はなく、具体的にいうと
長繊維でも、短繊維でもよい。
【0015】本発明のPVA系不織布において重要な点
として、前記のごときPVA系繊維からなるウェブ中の
繊維の交点、接触点の少なくとも1部が融着によって接
着することがあげられる。すなわち、本発明のPVA系
不織布は、熱圧着によって繊維間が接着することが重要
である。
【0016】次に本発明の不織布を構成するPVA系繊
維の製造方法について記載する。前記の高融点PVA系
ポリマー(A)と低融点耐水性ポリマー(B)を98/
2〜55/45の割合で溶媒に溶解して紡糸原液を得
る。ここにいう溶媒とは少なくとも高融点PVA系ポリ
マー(A)を溶解する溶媒でなければならない。低融点
耐水性ポリマー(B)をも溶解する共通溶媒であること
がより好ましいが、必ずしも溶解しなくとも、高融点P
VA系ポリマー溶液中で10μ以下に分散するよう粉砕
分散が可能であれば使用可能である。分散粒径が5μ以
下であると好ましく、1μ以下であるとさらに好まし
い。両ポリマーの共通溶媒に溶解しても両ポリマーの相
溶性によっては均一透明溶液とはならない。むしろ紡糸
原液状態で高融点PVA系ポリマー(A)がマトリック
ス(海)相、低融点耐水性ポリマー(B)の液滴が島相
に微分散したポリマーブレンド溶液となって、濁りのあ
る均一微分散相分離液となることが好ましい。もちろ
ん、両ポリマーの相溶性が良好である場合は均一透明溶
液となり、繊維化時、高融点ポリマー(A)が海成分と
なるよう原液、紡糸条件をとればよい。
【0017】次に得られた原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸
あるいは湿式紡糸する。乾式紡糸においては、溶媒が蒸
発する間に高融点ポリマー(A)がマトリックス(海成
分)、低融点ポリマー(B)が島となるよう紡糸延伸条
件を選定し、得られた繊維を捲き取る。乾湿式紡糸にお
いては、原液をノズルより一旦不活性気体相に吐出し、
ついで固化液に通し、固化と原液溶媒の抽出を行い、湿
延伸、乾熱延伸を施し捲き取る。または湿式紡糸におい
ては、原液をノズルより直接固化液に吐出し、固化、抽
出を行い、湿延伸、乾熱延伸を施し捲き取る。いずれの
紡糸法においても高融点ポリマー(A)が海成分に低融
点ポリマー(B)が島成分になるように原液および紡糸
条件を配慮する必要がある。
【0018】次にこのようなPVA系繊維から本発明の
不織布を製造する方法について説明する。ウェブ化法に
ついては特に制限はなく、例えば前記繊維を捲縮カット
してステープルにし、カードあるいはランダムウェッバ
ーにかけ短繊維ウェブを得る、また、無撚で捲き取られ
た前記長繊維を特開平5−125648号で提案された
方法、すなわち開繊した繊維束を圧縮空気流とともに噴
射させる多錘よりなるエアガンとその両端に圧縮空気流
のみを噴射させるサイドガンとを一列に並べ、その下流
に四方が平面板で囲まれた、入口部から出口部に向かい
そのスリット幅が狭くなるように調整されたフードを配
置し、該フード内に該エアガンより圧縮空気流とともに
無撚繊維束を噴射、通過させ、隣接エアガンからの開繊
フィラメントが互いに交絡するように、移動する捕集コ
ンベアー上に捕集する方法により、幅方向に目付変動率
の小さい長繊維ウェブを得る等の方法がある。もちろん
ウェブ化の際には、前記したPVA系繊維以外の繊維
を、前記した本発明の効果を著しく損なわない範囲内で
添加することもできる。
【0019】次に該ウェブを熱圧着温度80〜230℃
かつ線圧1kg/cmまたは面圧2kg/cm2以上の
条件で1回の圧着部面積が10〜40%である熱圧着装
置で、圧着部(すなわち圧着部分のパターン)が連続相
となっている圧着ロール又は圧着板と、圧着部が不連続
相となっている圧着ロール又は圧着板との組み合わせで
2〜4回熱圧着することでウェブを接着する。温度80
℃未満、線圧1kg/cm未満または面圧2kg/cm
2未満では最表面の高融点ポリマー(A)が破れず、島
成分の低融点耐水性ポリマー(B)が繊維表面に押し出
されてこないので接着力が低い。最表面の高融点ポリマ
ー(A)を昇温し柔らかくなった状態で圧力を加えるこ
とにより最表面のポリマー相を破り、表面近くにある接
着成分の低融点ポリマー(B)が押し出されて接着する
ことが可能となる。熱圧着温度が高すぎると、海成分の
分子配向や結晶までこわれる可能性があり、また熱圧着
時の収縮が大きく、熱圧着後のウェブが固くなるため、
230℃以上とすべきではない。海/島のポリマー仕
様、分布状態および印加圧力等により、適正熱圧着温度
は変わるが、150〜230℃が好ましく、180〜2
20℃であるとさらに好ましい。
【0020】また印加圧力があまり高いと海成分の繊維
構造を必要以上に壊してしまい好ましくない。熱カレン
ダーローラー等による線圧は500kg/cm以下が好
ましい。線圧が200kg/cm以下であるともっと好
ましく、100kg/cm以下であるとさらに好まし
い。熱プレス等による面圧は1000kg/cm2以下
が好ましい。面圧が400kg/cm2以下であるとも
っと好ましく、200kg/cm2以下であるとさらに
好ましい。通常は線圧5〜50kg/cmあるいは面圧
10〜100kg/cm2で使用される。
【0021】1回の圧着面積は10〜40%が好まし
い。10%未満であると圧着面積が少なすぎて全体の圧
着面積を増加するために熱圧着処理回数が増えることと
なり必要以上に繊維構造を壊してしまったり、余分に熱
圧着処理装置が必要となるためコスト的にも好ましくな
い。圧着面積が40%より大きいと薄い布しか得られず
様々な厚みの布が得られなくなるため好ましくない。ま
た、ウェブ自体のムラ、金属部の歪等のためクリアラン
ス調整が微妙なものとなるため困難となる。したがっ
て、1回の圧着面積は10〜40%が好まく、さらに1
5〜25%でもっと好ましい。
【0022】熱圧着は圧着部分が連続相のもので最低1
回処理し、非連続相のもので最低1回処理することが重
要である。連続相のものでの処理は主に毛羽立ちの減
少、布強度の向上の目的のためであり、非連続相のもの
での処理は十分接着させる目的のため行う。そのため、
熱圧着は十分行う必要はなく熱圧着処理温度80〜18
0℃、線圧1〜50kg/cmあるいは面圧2〜100
kg/cm2で行う。連続相のものでの処理のみでは布
を十分接着させるまで処理すると布は薄いものしか作製
できなくなる。また、非連続相のものでの処理のみでは
圧着部分が十分接着しても接着部分が非連続なため布強
度は低く毛羽立ちも多い。以上のことより厚みのある毛
羽立ちの少ない布を得るには、圧着部分が連続相のもの
と非連続相のものの組み合わせで処理することが重要で
ある。圧着部分が連続相のものによる処理と非連続相の
ものによる処理の順番は問題ではなくどちらが先でも後
でもよい。圧着部が連続相の圧着装置としては、面積
0.2〜20mm2の独立した非圧着部が均一に分散さ
れている圧着部分面積が10〜40%の圧着ロールまた
は圧着板が好ましく、また圧着部が不連続相の圧着装置
としては、面積0.2〜50mm2の独立した圧着部が
均一に分散されている圧着部分面積が10〜40%の圧
着ロールまたは圧着板が好ましい。
【0023】本発明において、実質的に熱圧着されてい
ない部分が30〜80%であることが好ましい。80%
より多いと毛羽立ちが多くて目的の布は作製できない
し、30%より少ないと作製した布は薄い布か十分接着
されていない布かのどちらかしか作製できない。これら
のことより熱圧着されていない部分が30〜80%であ
る必要があり、より好ましくは60%〜80%である。
【0024】温度180℃〜230℃、線圧5kg/c
mまたは面圧10kg/cm2以上の条件で熱圧着処理
するとその箇所は透明化するため、布の透光率を向上さ
せるためには、非連続相のものでの処理のとき上記の条
件で熱圧着処理を行い、かつ接着部分を多くすることで
透光率をあげることもできる。接着部分を多くする方法
として圧着面積の大きいものの利用、処理回数の増加が
あげられる。本発明の不織布を農業用途等に用いる場合
には、特に透光率が高いということが極めて重要なファ
クターとなる。
【0025】処理の回数は5回以上では繊維構造を必要
以上に壊してしまうため好ましくない。このことより熱
圧着回数は2〜4回が好ましく、2〜3回であるともっ
と好ましい。また、熱圧着処理を連続で行っても、1回
1回単独で行ってもかなわない。
【0026】熱圧着時間は0.01〜10秒程度の短い
時間でも熱圧着可能である。短時間処理で接着しうるこ
とが熱圧着法の極めて重要な特性である。前記繊維の場
合熱圧着時間を10分間以上とするとかえって接着力が
低下する傾向にある。この原因は不明であるが、ポリマ
ーの結晶化に関係すると推測される。このため、処理時
間の長い面圧印加タイプの熱プレス法より処理時間の短
い線圧印加タイプのカレンダーロール法がより好ましく
熱圧着に使用しうる。
【0027】PVA系繊維ウェブの目付は20〜150
g/cm2が好ましい。20g/cm2より小さいと厚み
のある布を得るという目的からはずれる。150g/c
2より大きいとウェブが厚すぎて熱圧着処理が厚さ方
向全体に行うことが困難となるこのことよりPVA系繊
維ウェブの目付は20〜150g/cm2が好ましく、
より好ましくは30〜100g/cm2がよい。
【0028】本発明におけるパラメータの定義とその測
定法は次のごとくである。 1.融点 結晶性ポリマーの場合、メトラー社示差走査熱量測定装
置(DSC−20)を用い、試料ポリマーを窒素下20
℃/minの速度で昇温した際、吸熱ピークを示す温度
を測定する。
【0029】2.融着温度 非晶性ポリマーの場合、ポリマーチップを所定温度の熱
風乾燥機にいれ、0.1kg/cm2の圧力を10分間
印加した際、チップ間の境界が判定できない程度にチッ
プ同志が融着する最低の温度を測定する。
【0030】3.耐水性 80℃の水で1時間浸しても溶解しない性質。
【0031】4.毛羽立ちの評価 布を軽く手の親指、人差し指、中指の腹でこすり、毛羽
立ちが全くでないものを◎、糸がばらばらにほつれるも
のを×として◎、○、△、×の4段階で示した。
【0032】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例によって限定されるものではない。実
施例中、%は特にことわらない限り重量に基ずく値であ
る。実施例、比較例中の繊維の強度および伸度はインス
トロン引張試験機で、試料つかみ間隔10cm、引張速
度5cm/minで測定した。また、不織布の強度およ
び伸度は繊維の場合と同様インストロン引張試験機で試
料つかみ幅を2.5cmとして他は同一条件で測定し
た。引裂強力はシングルタング法で測定した。なお、実
施例、比較例中の不織布の目付、厚さ、強度、伸度、引
裂強力の値、毛羽立ち評価は表1にまとめた。
【0033】実施例1 重合度2400、鹸化度99.8モル%で融点が235
℃のPVAをポリマー(A)とし、重合度750で融着
温度が50℃以下のエチレン/酢酸ビニル=32/68
(モル比)コポリマー(35%メタノール溶液)をポリ
マー(B)として、高融点PVA系ポリマー(A)/低
融点耐水性ポリマー(B)のブレンド比が90/10と
なる混合し、全ポリマー濃度が20%となるよう窒素下
90℃でジメチルスルホキシド(以下DMSOと略記)
に加熱撹拌溶解した。得られたブレンド溶液はかなり濁
っていたが、凝集相分離の傾向は見られなかった。
【0034】この紡糸原液を孔径0.12mm、孔数8
0のノズルを通し、メタノール70%とDMSO30%
よりなる3℃の固化液中に湿式紡糸した。得られた固化
糸篠は白濁状であり、両ポリマーが相分離していること
が推定された。またこの時固化液には特別な濁りは発生
しなかった。この固化糸に5.0倍の湿延伸を施し、メ
タノール液に浸して固化糸篠中のDMSOを抽出洗浄
し、鉱物油系油剤を付与し、100℃で乾燥し、次いで
220℃で全延伸倍率が14倍となるよう乾熱延伸し
た。得られた240dr/80fのフィラメントに膠着
はなく、水中溶断温度が128℃で耐水性は良好であっ
た。単糸強度は15.7g/drであった。また断面観
察より、円型断面であり、高融点のPVA(A)が海成
分で、低融点のエチレン/酢酸ビニルコポリマー(B)
が島成分となっており、その島数は少なくとも100ケ
は存在しており、最表面より1μ以内に島成分が多数存
在していることが分かった。
【0035】得られたPVA系繊維を一旦無撚で捲き取
った後、特開平5−125648号で提案の前記方法に
より、開繊、捕集して目付50g/m2のPVA系長繊
維ウェブを作った。ついでこれを圧着面積20%、連続
相のロール(図1)でロール温度110℃、ロール線圧
33kg/cm、処理速度3m/minのカレンダーロ
ール処理を1回行い、続いて圧着面積15%、連続相で
ないロール(図2)で、ロール温度220℃、ロール線
圧33kg/cm、処理速度5m/minのカレンダー
ロール処理を1回行ってウェブを接着させた。熱圧着さ
れていない部分は68%であった。この時のウェブは手
で揉んだりしても単糸へばらけたり毛羽立つ事はなかっ
た。ウェブのタテヨコ平均裂断長は6.6km、厚さは
0.309mmとなった。なお、図1のエンボスパター
ンは織目柄で凹部分最深部と凸部最高部との高度差は
0.42mmであり、凹部の大きさは長径1.5mmで
短径O.8mmである。また図2のエンボスパターン
は、高度差が0.55mmであり、凸部の大きさは頂部
で0.78mm×1.141mm、底部で1.414m
m×1.775mmである。
【0036】実施例2 実施例1と同様に目付50g/m2の短繊維ウェブを
得、ついでこれを圧着面積20%、連続相のロール(図
1)でロール温度130℃、ロール線圧33kg/c
m、処理速度3m/minのカレンダーロール処理を1
回行い、続いて圧着面積15%、連続相でないロール
(図2)で、ロール温度220℃、ロール線圧33kg
/cm、処理速度5m/minのカレンダーロール処理
を1回行ってウェブを接着させた。熱圧着されていない
部分は68%である。この時のウェブは手で揉んだりし
ても単糸へばらけたり毛羽立つ事はなかった。ウェブの
タテヨコ平均裂断長は7.6km、厚さは0.272m
mとなった。
【0037】実施例3 実施例1と同様に目付50g/m2の短繊維ウェブを
得、ついでこれを圧着面積20%、連続相のロール(図
1)でロール温度150℃、ロール線圧33kg/c
m、処理速度3m/minのカレンダーロール処理を1
回行い、続いて圧着面積15%、連続相でないロール
(図2)で、ロール温度220℃、ロール線圧33kg
/cm、処理速度5m/minのカレンダーロール処理
を1回行ってウェブを接着させた。熱圧着されていない
部分は68%である。この時のウェブは手で揉んだりし
ても単糸へばらけたり毛羽立つ事はなかった。ウェブの
タテヨコ平均裂断長は7.8km、厚さは0.250m
mとなった。
【0038】比較例1 実施例1と同様に目付50g/m2の短繊維ウェブを
得、ついでこれを圧着面積20%、連続相のロール(図
1)でロール温度150℃、ロール線圧33kg/c
m、処理速度3m/minのカレンダーロール処理を1
回行ってウェブを接着させた。この時のウェブは手で揉
むと単糸へばらけたり毛羽立つ事はなかった。ウェブの
タテヨコ平均裂断長は3.5km、厚さは0.329m
mとなった。熱圧着処理を弱く行っているため、厚さは
あり毛羽立ちは少ないが強度が弱い。
【0039】比較例2 実施例1と同様に目付50g/m2の短繊維ウェブを
得、ついでこれを圧着面積20%、連続相のロール(図
1)でロール温度220℃、ロール線圧33kg/c
m、処理速度3m/minのカレンダーロール処理を1
回行ってウェブを接着させた。この時のウェブは手で揉
んだりしても単糸へばらけたり毛羽立つ事はなかった。
ウェブのタテヨコ平均裂断長は8.3km、厚さは0.
211mmとなった。カレンダーロールが連続相で熱圧
着処理を強く行っているため、毛羽立ちが少なく強度は
強いが薄く、ペーパーライクなものであった。
【0040】比較例3 実施例1と同様に目付50g/m2の短繊維ウェブを
得、ついでこれを圧着面積15%、連続相でないのロー
ル(図2)でロール温度220℃、ロール線圧33kg
/cm、処理速度5m/minのカレンダーロール処理
を1回行ってウェブを接着させた。この時のウェブは手
で揉むと単糸へばらけたり毛羽立つ事が認められた。ウ
ェブのタテヨコ平均裂断長は4.4km、厚さは0.3
76mmとなった。カレンダーロールが非連続相で行っ
ているため、厚みはあるが毛羽立ちが多く強度弱い。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】融点が220℃以上であるポリビニルア
ルコール系ポリマー(A)及び融点または融着温度が2
10℃未満である耐水性ポリマー(B)からなり、
(A)と(B)の重量比が98:2〜55:45の範囲
であり、(A)が海成分で(B)が島成分である海島構
造ポリビニルアルコール系繊維からなることにより、繊
維の交点及び接触点の少なくとも1部が熱圧着により接
着でき、接着の際、圧着部が連続相の装置と不連続の装
置を組み合わせた熱カレンダー接着処理を、行うことに
より不織布の強度向上、毛羽立ち減少させた不織布を製
造できるようになった。本発明により得られる不織布は
農業園芸用資材として、べたがけ材、ハウス内張カーテ
ン、遮熱材、風よけ材として好適に利用できる。また、
生活関連資材用としてキッチン洗濯用品、ワイパー類に
も好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧着部が連続相である熱圧着ロールの表面柄の
一例を示す図である。
【図2】圧着部が不連続相である熱圧着ロールの表面柄
の一例を示す図である。
【符号の説明】
a 凹部 b 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 3/14 A // D01F 6/14 Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が220℃以上であるポリビニルア
    ルコール系ポリマー(A)及び融点または融着温度が2
    10℃未満である耐水性ポリマー(B)からなり、
    (A)と(B)の重量比が98:2〜55:45の範囲
    であり、(A)が海成分で(B)が島成分である海島構
    造ポリビニルアルコール系繊維からなるウェブを熱圧着
    することにより繊維を固定して不織布とするに際して、
    圧着面が連続相となっている圧着装置と圧着面が不連続
    相となっている圧着装置を併用して熱カレンダー接着処
    理を行うことを特徴とする不織布の製造方法。
JP6251720A 1994-10-18 1994-10-18 耐水性ポリビニルアルコール系不織布の製造方法 Pending JPH08113860A (ja)

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