JPH08112981A - オフセット印刷用ブランケット及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ブランケット基材上の表面ゴム層の
表面を鏡面にするとともに、表面ゴム層の表面をキズ等
から保護しえることを主要な目的とする。 【構成】ブランケット基材上に表面ゴム層を形成したオ
フセット印刷用ブランケットを製造する方法において、
金型(51)内にブランケット基材(57)とともに基材(57)面
側が表面粗さ１μｍ以下でかつ表面ゴム層に対し離型可
能なＰＥＴフィルム(52)を前記基材と離間して対向する
ように配置した後、金型(51)内の前記基材(57)とフィル
ム(52)間の領域に表面ゴム層の材料を注入、成型して、
フィルム(52)面側が鏡面である表面ゴム層を形成するこ
とを特徴とするオフセット印刷用ブランケットの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はオフセット印刷用ブラン
ケット及びその製造方法に関し、特に液晶カラーフィル
ターのストライプ及びマスクパターン等の微細パターン
をガラス等の基盤上にオフセット印刷するときに使用さ
れるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、オフセット印刷に使用されるブラ
ンケットは製造コストを低くするために長尺で製造を行
う。そして、ブランケットの厚さ精度を出すためにブラ
ンケット表面ゴムを研磨する方法を採っている。このよ
うな方法で製造したブランケットを使用して液晶カラー
フィルターを印刷すると、ブランケット表面を研磨して
いるためカラーフィルターのストライプの表面、エッヂ
の形状が悪くなる。

【０００３】例えば、研磨されたブランケットの表面ゴ
ム層の粗さは細かく研磨しても３〜５μｍで、この程度
ではストライプの厚さが２〜２．５μｍぐらいのため、
表面に穴があき白抜けの原因となり、バックライトの光
を透してしまい、カラーフィルターの不良の原因となる
（図３参照）。なお、図３において、符号31はブランケ
ットの表面ゴム層、符号32はインキ、符号33は白抜けを
夫々示す。また、印刷中に研磨面の凸の部分が摩耗して
取れて異物の原因となる。このようなカラーフィルター
は液晶ディスプレィに組み込んで作動させたときにコン
トラスト、画質に非常な悪影響することになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】通常の製造方法である
ブランケットの表面を研磨して製品化されたブランケッ
トで液晶カラーフィルター用のストライプを印刷した場
合、ブランケット表面ゴム層の粗さの影響が出て、印刷
されたストライプに白抜け、エッヂのギザギザ等の現象
が発生する。このカラーフィルターを液晶ディスプレイ
に組み込んで作動させたときにコントラスト、画質に非
常な悪影響を及ぼした。

【０００５】また一方、ブランケットの表面粗さの影響
をなくすためにブランケット表面を鏡面、例えば１μｍ
以下の型を使用して成型して上記と同様なカラーフィル
ターの印刷を行った。その結果、白抜け等もなく非常に
良好なストライプを印刷でき、これらの印刷されたカラ
ーフィルターを液晶ディスプレイに組み込んで作動した
ところ、コントラスト、画質共に非常に良好であった。
しかし、これらブランケット表面を鏡面にしたブランケ
ットをユーザーに搬送してテストしたところ、ブランケ
ット搬送中に付着したゴミ、キズの影響が出て、印刷さ
れたストライプに白抜け、ストライプのギザギザが発生
して良好な印刷物が得られなかった。

【０００６】本発明はこうした事情を考慮してなされた
もので、ブランケット表面を鏡面にできるとともに、搬
送中ブランケット表面をゴミ、キズ等から保護すること
ができ、良好な印刷がなしえるオフセット印刷用ブラン
ケット及びその製造方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願第１の発明は、ブラ
ンケット基材上に表面ゴム層を形成したオフセット印刷
用ブランケットを製造する方法において、金型内にブラ
ンケット基材とともに基材面側が表面粗さ１μｍ以下で
かつ表面ゴム層に対し離型可能なシートを前記基材と離
間して対向するように配置した後、金型内の前記基材と
シート間の領域に表面ゴム層の材料を注入、成型して、
シート面側が鏡面である表面ゴム層を形成することを特
徴とするオフセット印刷用ブランケットの製造方法であ
る。

【０００８】本願第２の発明は、ブランケット基材と、
この基材上に形成された表面ゴム層と、この表面ゴム層
上に形成された上記シートとを具備することを特徴とす
るオフセット印刷用ブランケットである。

【０００９】図１は、本発明に係るオフセット印刷用ブ
ランケットの概略断面図を示し、スポンジゴム層等の圧
縮層11上に、紙，樹脂等からなるゲージペーパー（伸び
止め用）12を貼りつけてなるブランケット基材、ブラン
ケット表面ゴム層13、及び樹脂フィルム（型取り及び表
面保護用）等の離型可能なシート14とからなる構成にな
っている。

【００１０】本発明において、表面粗さ１μｍ以下でか
つ表面ゴム層に対し離型可能なシートとしては、フィル
ム、例えば厚さ０．２mmのＰＥＴフィルム、厚さ０．３
mmのステンレスフィルム、厚さ１．０mmのガラス板等が
挙げられる。なお、各フィルムやガラス版の厚みはこれ
らの数値に限定されない。

【００１１】

【作用】本発明によれば、金型内にブランケット基材と
ともに基材面側が表面粗さ１μｍ以下でかつ表面ゴム層
に対し離型可能なシートを前記基材と離間して対向する
ように配置した後、金型内の前記基材とシート間の領域
に表面ゴム層の材料を注入、成型することにより、ブラ
ンケット表面を鏡面にできるとともに、搬送中ブランケ
ット表面を成型に使用したシートによりゴミ、キズ等か
ら保護することができ、良好な印刷を行なうことができ
る。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を比較例１，２ととも
に説明する。 （比較例１）通常、一般的に使用されているオフセット
印刷用ブランケットの構成は、図２に示すように、綿布
を３枚積層してなるベース層21上に厚さ０．５mmの圧縮
層22，綿布23，厚さ０．３〜０．５mmの表面ゴム層24を
形成した構成になっている（全体の厚さは１．９〜２．
０mm）。こうしたオフセット印刷用ブランケットの製造
方法は長尺で作成し、表面ゴム層24を研磨してブランケ
ットの厚さ精度を出している。このとき、表面ゴム層
は、ブランケットからガラス等の基盤に１００％転移を
行うためにインキの転移性の良いシリコーンゴムを使用
した。このブランケットを使用して液晶カラーフィルタ
ー用の厚さ２μｍ、幅８０μｍのストライプを印刷し
た。この時のブランケット表面ゴム粗さは３μｍであっ
た。

【００１３】前述した図３は、研磨品のブランケットで
印刷されたときのストライプの形状を示す説明図であ
る。印刷されたストライプの品質は、ストライプのエッ
ヂがギザギザで白抜けが多く目立った。インキは、赤、
緑、青の３色で線幅３０μｍのブラックマトリックスを
使用した。これらの印刷物を液晶カラーディスプレーに
組み込んで作動させたところ、コントラスト、画質共に
製品化できるものはなかった。

【００１４】（比較例２）ブランケット表面ゴム層を鏡
面にするために、図４のような２つに分割型の金型41を
用いてブランケットを作成した。なお、図中の符号42
は、金型41に設けられたシリコーンゴム注型口である。
こうした構成の金型42を用いてブランケットを作成する
ときは、次のように行う。 (1) ゲージペーパー43にポリブタジエンゴムと硬化剤を
混合したものを塗布する。 (2) 前記ゲージペーパー43にクロロプレンスポンジゴム
層44を合わせ、ブランケット基材を作る。 (3) 前記ブランケット基材を５０℃オーブンで接着硬化
させる。 (4) 接着硬化させたブランケット基材のスポンジ面を
１．０mmの厚さに研磨する。 (5) ブランケット基材のゲージペーパー面に接着剤とし
て信越化学工業（株）の商品名：プライマーＡを塗布す
る。 (6) ブランケット基材を図４のように金型41内に取り付
ける（このときの型の内面41´の面粗さは１μｍ以下の
鏡面である）。 (7) シリコーンゴム注型口42からシリコーンゴムを注型
する。 (8) １１０℃で３０分間熱硬化させる。 (9) 脱型後寸法に裁断して製品とする。

【００１５】このようにして作成したブランケットを用
いて社内で印刷したところ、非常に良好なストライプが
印刷できた。このときのストライプ形状は、厚さ２μ
ｍ、幅８０μｍであった。次に、このようにして作成し
たブランケットをユーザーに搬送してストライプの印刷
を行ったところ、ストライプの白抜け、ギザギザの現象
が発生した。原因を調査した結果、搬送中のゴミ付着及
びキズの影響であることが判明した。また、比較例２の
場合、表面ゴム層の表面を搬送中のゴミ，キズ等から保
護するためには、金型41で作成したブランケットの表面
ゴム層に保護膜を貼る必要があり、余分な工程がかか
る。また、保護膜を貼る間にもゴミが付着する恐れがあ
る。

【００１６】（実施例１）ブランケット表面ゴム層を鏡
面にするために金型51に厚さ０．２mm、表面粗さ０．３
〜０．４μｍのＰＥＴフィルム52を使用した（図５参
照）。なお、図中の符号53は、金型51に設けられたシリ
コーンゴム注型口である。次に、ブランケットの製造方
法について説明する。 (1) 鏡面型取り用ＰＥＴフィルム52に離型剤54を塗布す
る。 (2) 離型剤54を塗布した前記フィルム52を、図５のよう
に金型51内にセットする。 (3) ゲージペーパー55に接着剤を塗布する。 (4) 前記ゲージペーパー55の接着剤塗布面側にクロロプ
レンスポンジゴム層56を合わせ、ブランケット基材57と
する。 (5) ５０℃オーブンで接着硬化させる。 (6) 前記ブランケット基材57のクロロプレンスポンジゴ
ム層56の表面を１．０mmに研磨する。 (7) ゲージペーパー側に接着剤としてプライマーＡを塗
布する。 (8) プライマーＡを塗布した前記ブランケット基材57
を、図５のように金型51内にセットする。 (9) 金型51のシリコーンゴム注型口53からシリコーンゴ
ムを注型する。 (10)１１０℃で３０分間熱硬化させる。 (11)脱型後寸法に裁断して製品化する。

【００１７】このブランケットの型取り用ＰＥＴフィル
ム52を離型することなくそのままにユーザーに搬送し
て、印刷直前にブランケットから型取り用ＰＥＴフィル
ム52を剥離してブランケット印刷表面を露出し、液晶カ
ラーフィルター用の厚さ２μｍ、幅８０μｍのストライ
プを印刷した。ストライプのギザギザ、白抜けもなく良
好な印刷ができた。このカラーフィルターを液晶カラー
ディスプレーに組み込んで作動したところ、非常に良好
なコントラスト、画質を得ることができた。また、鏡面
型取り用ＰＥＴフィルム52によりブランケット表面を鏡
面にできた。更に、前記ＰＥＴフィルム52をブランケッ
ト表面に付けた状態で搬送することにより、搬送中のゴ
ミ、キズを防止できた。更には、金型51に図４の金型の
ように鏡面加工する必要がないため、型代が安くできる
とともに、金型のキズ付きに神経質になる必要ない。

【００１８】

【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、金型
内にブランケット基材とともに基材面側が表面粗さ１μ
ｍ以下でかつ表面ゴム層に対し離型可能なシートを前記
基材と離間して対向するように配置した後、金型内の前
記基材とシート間の領域に表面ゴム層の材料を注入、成
型することにより、鏡面加工した金型を用いることなく
ブランケット表面を簡単に鏡面にできるとともに、搬送
中ブランケット表面をゴミ、キズ等から保護することが
でき、更に良好な印刷がなしえる低コストのオフセット
印刷用ブランケット及びその製造方法を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るオフセット印刷用ブランケットの
概略的な断面図。

【図２】従来のブランケットの概略的な断面図。

【図３】ブランケットからガラス板にインキを転移させ
るときに生じる“白ぬけ”の状態の説明図。

【図４】比較例に係るオフセット印刷用ブランケットの
製造に使用される金型の説明図。

【図５】本発明の実施例に係るオフセット印刷用ブラン
ケットの製造に使用される金型の説明図。

【符号の説明】

11…圧縮層、 12…樹脂フィルム、 13…
表面ゴム層、14…樹脂フィルム、 51…金型、
52…ＰＥＴフィルム、53…シリコーンゴム注型
口、54…離型剤、 55…ゲージペーパー、56…ク
ロロプレンスポンジゴム層、 57…ブラン
ケット基材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブランケット基材上に表面ゴム層を形成
   したオフセット印刷用ブランケットを製造する方法にお
   いて、 金型内にブランケット基材とともに基材面側が表面粗さ
   １μｍ以下でかつ表面ゴム層に対し離型可能なシートを
   前記基材と離間して対向するように配置した後、金型内
   の前記基材とシート間の領域に表面ゴム層の材料を注
   入、成型して、シート面側が鏡面である表面ゴム層を形
   成することを特徴とするオフセット印刷用ブランケット
   の製造方法。
2. 【請求項２】 ブランケット基材と、この基材上に形成
   された表面ゴム層と、この表面ゴム層上に形成された請
   求項１記載のシートとを具備することを特徴とするオフ
   セット印刷用ブランケット。