JPH08109069A - 窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体

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JPH08109069A
JPH08109069A JP6271737A JP27173794A JPH08109069A JP H08109069 A JPH08109069 A JP H08109069A JP 6271737 A JP6271737 A JP 6271737A JP 27173794 A JP27173794 A JP 27173794A JP H08109069 A JPH08109069 A JP H08109069A
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JP
Japan
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aluminum nitride
sintered body
aln
layer
porous
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JP6271737A
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Kazuo Kimura
和生 木村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】表面に液相の染み出し部分が生じることがな
く、接合強度が高い導電層を形成することが可能な窒化
アルミニウム焼結体を提供する。 【構成】窒化アルミニウム焼結体本体3aの少なくとも
一部の表面に、相対密度が90%未満の多孔質窒化アル
ミニウム層2aを一体に形成したことを特徴とする。ま
た窒化アルミニウム焼結体本体3a内部の相対密度は9
0%以上とする。さらに多孔質窒化アルミニウム層2a
の厚さは20〜1000μmに設定するとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置用の絶縁性基
板や放熱基板部品として使用される窒化アルミニウム焼
結体に係り、特に導電層との接合強度を高めることが可
能な窒化アルミニウム焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム(AlN)焼結体は高
温度まで強度低下が少なく、化学的耐性にも優れている
ため、耐熱材料として用いられる一方、その高熱伝導
性,高電気絶縁性を利用して半導体装置の放熱板材料,
回路基板用絶縁体材料としても広く使用されている。
【0003】上記窒化アルミニウム焼結体は通常、微細
な窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤として1〜7重量
%の希土類元素化合物(例えばY2 3 )を添加した原
料混合体を加圧成形法等によって所定形状に成形し、得
られた成形体を窒化アルミニウム製または窒化ほう素製
の敷き板上に載置し、これらを窒化アルミニウム製また
はカーボン製の鞘と蓋とから成る焼成容器内に収容し、
窒素ガスを含む還元性雰囲気中で1600〜2000℃
の温度で長時間焼成して製造されている。
【0004】このようにして製造された窒化アルミニウ
ム焼結体は、他のセラミックス焼結体と比較して高い熱
伝導率を有することを特徴としているが、この熱伝導率
の高低は焼結体内部の不純物酸素量の多少に大きく影響
される。すなわち上記焼成操作により、焼結助剤として
添加した酸化イットリウム(Y2 3 )が窒化アルミニ
ウム原料粉末表面の酸素や粉末内部の酸素と反応してA
X Y 3(X+Y)/2などのイットリウム・アルミニウム
化合物の液相を生成し、この液相により原料粉末の焼結
が促進される。
【0005】一方、焼結時にAlN中に固溶する酸素
が、Y2 3 を添加することにより、結晶粒界の酸化物
として偏析する。その結果、窒化アルミニウム結晶粒子
内が高純度化され、格子欠陥の少ないAlN焼結体とな
り、熱伝導率が向上するものと考えられる。
【0006】なお上記結晶粒界相に残存するAl5 3
12,AlYO3 ,Al2 4 9などの酸化物は熱伝
導の阻害物質になると考えられている。
【0007】そこで焼成容器としてカーボン製容器およ
び蓋を使用し、カーボンガスおよび窒素ガスを含有する
還元性雰囲気中でAlN成形体の焼成を行ない、粒界相
の酸化物を低減する方法も採用される。すなわち上記カ
ーボンガスおよび窒素ガスを含有する還元性雰囲気にて
焼成を行なうと、粒界相に残存していたイットリア・ア
ルミニウム化合物は焼結体表面でカーボンガスにより還
元され、さらに窒素ガスと反応して窒化イットリウム
(YN)を生成する。このような還元窒化反応が焼結体
の表面のみで進行しても、焼結体内部での物質拡散が順
次起こり、焼結体内部から粒界相を徐々に排除すること
ができる。その結果、260W/m・K程度の、より高
い熱伝導率を有するAlN焼結体も得られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記AlN焼結体によ
れば、その化学組成,熱伝導率,密度などの諸特性は、
焼結体の各部分において一様である。しかしながら、焼
結したままのAlN焼結体表面には、液相が染み出て固
化した部分が局部的に形成されているため、その焼結体
表面に、例えば高融点金属メタライズ法等で導電層を形
成して回路基板を形成しようとしても、導電層の接合強
度が低くなる欠点がある。そこで従来はラッピング加工
やホーニング加工により、予め上記染み出し部分を削り
取り、しかる後に導電層(メタライズ回路パターン)を
形成する方法を採用していた。しかしながら、この方法
においても、導電層の接合強度は充分ではなく、さらに
機械的な研削加工の工数も付加されるため、安価に回路
基板を製作することが困難であるという問題点があっ
た。
【0009】また従来の窒化アルミニウム焼結体の製造
方法においては、成形体全体に還元雰囲気が均一に作用
するように焼成していたため、組成,熱伝導率,密度な
どの特性は、一様な焼結体しか得られなかった。そのた
め、例えば要求伝熱特性が異なる素子等を複数搭載する
基板材料としては、その素子の要求特性に応じた基板を
個別に調製する必要があった。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、表面に液相の染み出し部分が生じるこ
とがなく、接合強度が高い導電層を形成することが可能
な窒化アルミニウム焼結体を提供することを目的とす
る。
【0011】また焼結体の表面とその内部とにおいて、
または焼結体の同一表面の任意形状部分において、組
成,熱伝導率,密度などの特性が異なる窒化アルミニウ
ム焼結体を提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、窒化アルミニウム成形体の焼成条件を種々
変えて焼結体を形成し、各条件が焼結体の組成,密度等
に及ぼす影響を比較検討した。その結果、特に窒化アル
ミニウム成形体と焼成用カーボン容器の内壁との距離を
調節することにより、表面に液相の染み出し部分がな
く、また焼結体の表面と内部とで密度や組成が異なる窒
化アルミニウム焼結体が得られた。すなわち焼結体表面
に窒化アルミニウムと窒化イットリウムとから成る低密
度の多孔質窒化アルミニウム層が形成される一方、内部
は緻密な窒化アルミニウムから成る窒化アルミニウム焼
結体が得られた。また焼成時に還元性ガスを放出するカ
ーボンなどの還元物質を含有するペーストを成形体表面
に部分的に塗布したり、あるいは上記還元物質を含有す
る治具を成形体上に部分的に載置したりすることによ
り、焼成時に上記還元物質による焼結助剤の還元作用に
よって当該部位に多孔質窒化アルミニウム層が皮膜状に
形成されることが判明した。
【0013】この皮膜状の多孔質窒化アルミニウム層
は、焼結体内部と比較して還元作用によって生じた窒化
イットリウム(YN)が存在し、熱伝導率および密度が
低いという特徴を有している。そしてこの多孔質窒化ア
ルミニウム層を介して窒化アルミニウム焼結体表面に、
メタライズ法等によって導電層を形成したときに高い接
合強度を有する回路基板が得られるという知見を得た。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0014】すなわち本発明に係る窒化アルミニウム焼
結体は、窒化アルミニウム焼結体本体の少なくとも一部
の表面に、相対密度が90%未満の多孔質窒化アルミニ
ウム層を一体に形成したことを特徴とする。また窒化ア
ルミニウム焼結体本体内部の相対密度は90%以上とす
る。さらに多孔質窒化アルミニウム層の厚さは20〜1
000μmに設定するとよい。また、窒化アルミニウム
焼結体本体表面に任意の平面形状の多孔質窒化アルミニ
ウム層を形成して構成することもできる。
【0015】本発明の窒化アルミニウム焼結体は、窒化
アルミニウム原料粉末に対して1〜7重量%の焼結助剤
を添加して調製した原料混合体を成形し、得られた成形
体をカーボン製焼成容器内に収容した状態で還元雰囲気
中で1700〜2000℃の温度で3〜100時間焼成
して製造される。
【0016】上記窒化アルミニウム原料粉末としては、
焼結性および熱伝導性を考慮して不純物酸素含有量が3
重量%以下に抑制され、かつ平均粒径が0.05〜5μ
m、好ましくは3μm以下のAlN原料粉末を使用す
る。
【0017】従来、熱伝導率が260W/m・K程度の
高熱伝導性AlN焼結体を製造する場合には、焼成用カ
ーボン容器から発生するカーボンガスを含む還元雰囲気
が成形体全体に及ぶように充分な空間をカーボン容器内
に確保して焼成した。しかるに本願では、上記従来法と
は逆に成形体の特定表面をカーボン容器の内壁に接近さ
せたり、または焼成時に還元性ガスを放出するカーボン
などの還元物質を含有するペーストを成形体表面に部分
的に塗布したり、あるいは上記還元物質を含有する治具
を成形体上に部分的に載置したりすることにより、カー
ボンガス等の還元作用をより強く受ける焼結体部位を設
定し、この部位に部分的に多孔質AlN層を形成するも
のである。
【0018】窒化アルミニウム原料粉末に添加されたY
2 3 などの焼結助剤はAlN結晶粒の緻密化に大きく
影響し、焼結助剤が少ない場合には、焼結体の緻密化が
阻害されることになる。しかるに本願発明の焼成方法に
おいて、AlN成形体を焼成用カーボン容器の内壁に接
近させることにより、または還元物質を含有するペース
トや治具を成形体に塗布または載置したりすることによ
り、焼成初期において成形体表面に存在する焼結助剤と
してのY2 3 がカーボンガス等によって還元され、同
時に雰囲気中の窒素ガスによって窒化されて窒化イット
リウム(YN)となる。つまり、カーボン容器内壁に接
近したAlN成形体の表面部分のみ、またはペーストを
塗布した部分、治具を載置した部分のみにおいて焼結助
剤が欠乏状態となり、焼成後においても緻密化しない。
一方、AlN成形体の表面の上記以外の部分においては
充分な焼結助剤が残留し、通常通りの焼結が進行し、さ
らに焼結体の緻密化および高純度化が進行する。このよ
うにして表面だけに緻密化が進行しない多孔質窒化アル
ミニウム層が形成され窒化イットリウム(YN)が残る
一方、内部には緻密なAlN焼結体本体が形成される。
【0019】こうして形成された多孔質AlN層は、内
部のAlN焼結体内部と比較して相対的に熱伝導率およ
び密度が低いなどの特徴を有する。
【0020】また上記多孔質AlN層の相対密度は、そ
の上部に導電層を形成して回路基板を製作する場合に、
導電層の接合強度に影響を与える。多孔質AlN層の相
対密度が90%以上となると、導電層との接合強度が低
下するため、多孔質AlN層の相対密度は90%未満に
設定される。さらに多孔質AlN層の厚さは20〜10
00μmの範囲に設定される。この厚さが20μm未満
の場合には、導電層の接合強度の改善効果が少ない一
方、厚さが1000μmを超えると、AlN焼結体全体
の構造強度が低下し、さらにAlN本来の高熱伝導性が
損われる。
【0021】また表層部の多孔質AlN層以外の部分、
すなわち内部のAlN焼結体本体の相対密度は、焼結体
全体の構造強度を保持させるために90%以上、好まし
くは93%以上とする。
【0022】上記所定厚さの多孔質AlN層を形成する
ためには、焼成時におけるAlN成形体とカーボン製焼
成容器の内壁との距離を3〜20mmに設定して焼成を行
なう。
【0023】なお、多孔質AlN層を形成する方法とし
て、上記製法では、出発素体としてAlN成形体を使用
しているが、一旦通常の焼結法によって製造したAlN
焼結体を、カーボン製焼成容器内に収容し、AlN焼結
体とカーボン容器の内壁との間隔を上記範囲に設定して
焼成することにより形成する方法、または還元物質を含
有するペーストや治具を焼結体に塗布または載置した後
に、再度焼成して形成する方法も使用できる。
【0024】
【作用】上記構成に係る窒化アルミニウム焼結体によれ
ば、液相成分を還元して多孔質窒化アルミニウム層を形
成しているため、液相の染み出し部分等が形成されず、
そのまま導電層を形成した場合に、導電層成分が多孔質
窒化アルミニウム層の空孔部分に回り込んで固化するた
め、導電層の接合強度を大幅に高めることができ、信頼
性が高い回路基板等を安価に提供することができる。
【0025】また上記多孔質窒化アルミニウム層を部分
的に形成することにより、密度や熱伝導性などの特性が
異なった焼結体が得られ、要求特性が異なる複数の素子
部品などを1個の窒化アルミニウム焼結体に組み付ける
ことが可能になり、素子搭載基板等を安価に製造するこ
とが可能になる。
【0026】
【実施例】以下本発明の実施例について添付図面を参照
してより具体的に説明する。
【0027】実施例1〜5 0.7重量%の不純物酸素を含有する平均粒径1.0μ
mの窒化アルミニウム原料粉末に焼結助剤としての酸化
イットリウム(Y2 3 )を5重量%添加し、さらにバ
インダーを加えて混合後、ドクターブレード法によって
シート成形した。得られたシート状成形体を複数層熱圧
着して積層成形体とし、この積層成形体を窒素ガス雰囲
気中で温度500℃で脱脂した後に、脱脂体を窒化アル
ミニウム製の敷き板に載置し、脱脂体を載置した敷き板
をカーボン製焼成容器内に収容した。そして脱脂体と焼
成容器の内壁との間隔を、表1に示すように、3〜15
mmの範囲でそれぞれ設定し、カーボンガスを含有する9
気圧の窒素ガス雰囲気において温度1800℃で2時間
保持した後、窒素ガス圧力を1気圧に下げた状態で温度
1850℃で24時間加熱焼成することにより、実施例
1〜5に係るAlN焼結体を調製した。
【0028】比較例1〜3 一方、実施例1〜5において、脱脂体とカーボン製焼成
容器の内壁との間隔を30,50,70mmの範囲と広く
設定した以外は、実施例1〜5と同様に成形・脱脂・焼
成処理してそれぞれ比較例1〜3に係るAlN焼結体を
調製した。
【0029】こうして調製した実施例1〜5のAlN焼
結体においては、表面部が還元されて多孔質AlN層が
形成されているため、液相の染み出し部分は一切観察さ
れなかった。また実施例1〜5のAlN焼結体の表面近
傍の組織を調査するため、各試料の厚さ方向の断面を走
査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1およ
び図2に示すような結果を得た。
【0030】図1〜図2に示すように実施例1〜5のA
lN焼結体においては、表面1から厚さ50〜800μ
mの範囲に亘って多孔質AlN層2が形成され、それよ
り内部には、緻密なAlN焼結体本体3が形成されてお
り、焼結体の表層部と内部とで組織が全く異なっている
ことがわかる。また緻密なAlN焼結体本体3をさらに
拡大してSEM観察したところ、窒化アルミニウム結晶
粒子と粒界部のイットリウム・アルミニウム化合物とが
観察された。
【0031】一方、実施例1〜5の焼結体から多孔質A
lN層部分のみを粉砕し、得られた粉末をX線回折装置
(XRD)に供してその構成成分を調査した結果、図3
に示すようなXRDプロファイルを得た。すなわち多孔
質AlN層は、AlN結晶粒子と、助剤成分等が還元さ
れて生成した窒化イットリウム(YN)とから成ること
が判明した。
【0032】一方、比較例1〜3に係るAlN焼結体に
おいては、成形体とカーボン容器との間隔を従来通り広
く設定しているため、表面部における還元窒化反応が大
きく進行することはなく、多孔質AlN層の形成は確認
できず、厚さ方向について組織も均一であった。
【0033】また上記実施例1〜5および比較例1〜3
に係るAlN焼結体表面にそれぞれ高融点金属メタライ
ズ法によって導電層を形成し、その導電層の接合強度を
測定した。すなわちAlN焼結体表面にMo−Mnペー
ストを塗布した後に、窒素ガスを封入した加熱炉中で温
度1700℃で20分間焼成し、Mo−Mnから成る厚
さ20μmの導電層を形成した、次に各導電層上面にピ
ンを半田接合して固定し、そのピンを上方に引っ張り上
げて導電層が剥離する際の最大プル強度を接合強度とし
て測定し、下記表1に示す結果を得た。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示す結果から明らかなように、焼成
時におけるAlN成形体とカーボン製焼成容器の内壁と
の間隔を小さくして焼成することにより多孔質AlN層
を形成した実施例1〜5に係るAlN焼結体において
は、多孔質AlN層を形成しない比較例1〜3に係るA
lN焼結体と比較して、いずれも導電層の接合強度が高
く、耐久性に優れた回路基板として使用できることが判
明した。
【0036】上記のように導電層の接合強度が高くなる
理由は、図4に示すように、AlN焼結体本体3aの表
面部に形成された多孔質AlN層2aの空孔部に導電層
4の構成成分が回り込むことによって多孔質AlN層2
aと導電層4との引っ掛かりによる接合面積が増加する
ためと考えられる。
【0037】また、実施例1〜5に係るAlN焼結体の
表面には液相の染み出し部分が形成されないため、染み
出し部分を除去するためのラッピング加工やホーニング
加工が不要であり、焼結後、そのままの状態で導電層を
形成して回路基板を形成することができる。したがっ
て、接合強度が高い導電層を形成する回路基板を安価に
製造することができる。
【0038】さらに上記各実施例によれば、表面と内部
とにおいて、密度,熱伝導率,組成などの諸特性が異な
る焼結体が得られるため、要求特性が異なる複数の素子
部品などを1枚の焼結体表面上に組み付けることができ
る。したがって、従来要求特性毎に基板を個別に調製し
ていた場合と比較して素子搭載部品等を安価に、かつ低
コストで製造することができる。
【0039】また本実施例に係るAlN焼結体によれ
ば、熱伝導性および光透過性が小さい多孔質AlN層を
所定箇所に形成することによって、熱の伝達方向や光の
透過方向を任意に設定することができる。すなわち図5
に示すようにAlN焼結体本体3bの裏面に多孔質Al
N層2bを形成した場合には、裏面方向には熱を伝達せ
ずに矢印で示すように表面と側面方向のみに熱を伝達す
る基板を形成することができる。一方、図6に示すよう
に、柱状のAlN焼結体本体3cの側面のみに多孔質A
lN層2cを形成した場合には、矢印で示すように、A
lN焼結体の高さ方向のみ、熱を伝達したり、光を透過
させることができる。
【0040】実施例6 0.7重量%の不純物酸素を含有する平均粒径1.0μ
mの窒化アルミニウム原料粉末に焼結助剤としての酸化
イットリウム(Y2 3 )を5重量%添加し、さらにバ
インダーを加えて混合後、ドクターブレード法によって
シート成形した。得られたシート状成形体を複数層熱圧
着して積層成形体とした。次に図7に示すように、この
積層成形体5の表面に、カーボン(グラファイト)ペー
ストをスクリーン印刷して所定形状のペースト層6a,
6bを形成した。次にこの積層成形体5を窒素ガス雰囲
気中で温度500℃で脱脂した後に、脱脂体を窒化アル
ミニウム製の敷き板に載置し、脱脂体を載置した敷き板
をカーボン製焼成容器内に収容した。そしてこの脱脂体
を収容した焼成容器を、カーボンガスを含有する9気圧
の窒素ガス雰囲気において温度1800℃で2時間保持
して焼成した後、窒素ガス圧力を1気圧に下げた状態で
温度1850℃で24時間保持して熱処理することによ
り、実施例6に係るAlN焼結体を調製した。
【0041】上記実施例6に係るAlN焼結体において
は、図8に示すようにカーボンペーストを印刷した形状
に対応して平面形状の多孔質AlN層2d,2eが形成
される一方、印刷を行なわない部位においては、通常の
高密度で高熱伝導率の窒化アルミニウム焼結体の性状を
呈していた。
【0042】また上記AlN焼結体の多孔質AlN層2
d,2e上面に、Mo−Mnペーストを塗布した後に、
窒素ガスを封入した加熱炉中で温度1700℃で20分
間焼成し、図9に示すようにAlN焼結体本体3dの上
面に多孔質AlN層2d,2eを介してMo−Mnから
成る厚さ15μmの導電層4a,4bを形成した。そし
てこの導電層4a,4bの最大プル強度を同様に測定し
たところ、前記実施例1〜5の場合と同様に高い値が得
られた。
【0043】実施例7 0.7重量%の不純物酸素を含有する平均粒径1.0μ
mの窒化アルミニウム原料粉末に焼結助剤としての酸化
イットリウム(Y2 3 )を5重量%添加し、さらにバ
インダーを加えて混合後、ドクターブレード法によって
シート成形した。得られたシート状成形体を複数層熱圧
着して積層成形体とし、この積層成形体を窒素ガス雰囲
気中で温度500℃で脱脂した後に、脱脂体を窒化アル
ミニウム製の敷き板に載置し、脱脂体を載置した敷き板
を窒化アルミニウム製焼成容器内に収容した。そしてこ
の脱脂体を収容した焼成容器を1気圧の窒素ガス雰囲気
において温度1800℃で2時間保持して焼成し熱伝導
率が170W/m・KのAlN焼結体本体を調製した。
次に得られたAlN焼結体本体上に所定形状のカーボン
製治具を載置し、この治具を載置したAlN焼結体本体
をカーボン製焼成容器内に収容した状態で、1気圧の窒
素ガス雰囲気中で温度1850℃で24時間保持して熱
処理することにより、実施例7に係るAlN焼結体を調
製した。
【0044】上記実施例7に係るAlN焼結体において
は、載置した治具の形状に対応して平面形状の多孔質A
lN層が形成される一方、治具を載置しない部位におい
ては、通常の高密度で高熱伝導率の窒化アルミニウム焼
結体の性状を呈していた。
【0045】また前記実施例6と同様に上記AlN焼結
体の多孔質AlN層上面に、導電層を形成し、その最大
プル強度を同様に測定したところ、前記実施例1〜5の
場合と同様に高い値が得られた。
【0046】実施例6〜7によれば、所望の形状の多孔
質窒化アルミニウムを通常の緻密な窒化アルミニウム表
面に一体に形成することができ、その多孔質部分は液相
成分を還元して多孔質窒化アルミニウム層を形成してい
る。そのため、液相の染み出し部分等が形成されず、そ
のまま多孔質窒化アルミニウム層の表面に導電層を形成
した場合に、導電層成分が多孔質窒化アルミニウム層の
空孔部分に回り込んで固化するため、導電層の接合強度
を大幅に高めることができた。一方、導電層を形成しな
い部分については通常の窒化アルミニウムの特性が得ら
れるため、放熱性が高く、また信頼性が高い回路基板等
を安価に提供することができた。
【0047】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る窒化アルミ
ニウム焼結体によれば、液相成分を還元して表面部に多
孔質窒化アルミニウム層を形成しているため、液相の染
み出し部分等が形成されず、そのまま導電層を形成した
場合に、導電層成分が多孔質窒化アルミニウム層の空孔
部分に回り込んで固化するため、導電層の接合強度を大
幅に高めることができ、信頼性が高い回路基板等を安価
に提供することができる。
【0048】また上記多孔質窒化アルミニウム層を部分
的に形成することにより、密度や熱伝導性などの特性が
異なった焼結体が得られ、要求特性が異なる複数の素子
部品などを1個の窒化アルミニウム焼結体に組み付ける
ことが可能になり、素子搭載基板等を安価に製造するこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化アルミニウム焼結体の結晶組
織を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真。
【図2】図1に示す結晶組織を模式的に示す断面図。
【図3】多孔質AlN層部分のXRDプロファイルを示
すグラフ。
【図4】導電層を形成したAlN焼結体を模式的に示す
断面図。
【図5】実施例の窒化アルミニウム焼結体の熱の移動方
向を示す断面図。
【図6】実施例の窒化アルミニウム焼結体中の熱の移動
方向および光の透過方向を示す断面図。
【図7】窒化アルミニウム積層成形体表面にペースト層
をスクリーン印刷した状態を示す斜視図。
【図8】図7に示す積層成形体を焼成した後の図7にお
けるVIII−VIII矢視断面図。
【図9】図8に示す多孔質AlN層表面に導電層を形成
した窒化アルミニウム焼結体の断面図。
【符号の説明】
1 AlN焼結体表面 2,2a,2b,2c,2d,2e 多孔質AlN層 3,3a,3b,3c,3d AlN焼結体本体(内
部) 4,4a,4b 導電層 5 AlN積層成形体 6a,6b ペースト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/64 C04B 35/64 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム焼結体本体の少なくと
    も一部の表面に、相対密度が90%未満の多孔質窒化ア
    ルミニウム層を一体に形成したことを特徴とする窒化ア
    ルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム焼結体本体内部の相対
    密度が90%以上であることを特徴とする請求項1記載
    の窒化アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】 多孔質窒化アルミニウム層の厚さが20
    〜1000μmであることを特徴とする請求項1記載の
    窒化アルミニウム焼結体。
  4. 【請求項4】 窒化アルミニウム焼結体本体表面に任意
    の平面形状の多孔質窒化アルミニウム層を形成したこと
    を特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体。
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