JPH08100012A - 近赤外光重合開始剤 - Google Patents

近赤外光重合開始剤

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JPH08100012A
JPH08100012A JP23365294A JP23365294A JPH08100012A JP H08100012 A JPH08100012 A JP H08100012A JP 23365294 A JP23365294 A JP 23365294A JP 23365294 A JP23365294 A JP 23365294A JP H08100012 A JPH08100012 A JP H08100012A
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JP
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substituted
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boron
aryl
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Application number
JP23365294A
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English (en)
Inventor
Shuichi Sugita
修一 杉田
Hirotoshi Kamata
博稔 鎌田
Satoru Miyazaki
哲 宮崎
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特殊なホウ素系触媒を用いることにより効率
よく光重合を行いうる近赤外光重合開始剤。 【構成】 近赤外光領域に吸収を持つ陽イオン色素とシ
リル基を有するホウ素触媒を必須成分とする重合開始
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改良された重合開始能
を有する光重合開始剤に関する。更に詳しくは特殊なホ
ウ素系触媒を用いることにより効率よく光重合を行いう
る近赤外光を用いた重合開始剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来光重合は塗膜の硬化、乾燥や印刷、
樹脂凸刷、プリント基盤作成用、レジストまたはフォト
マスク、白黒またはカラーの転写発色用シートもしくは
発色シート作成などの多方面の用途にわたり使用され、
特に最近では地球環境問題、省エネルギー、労務コスト
の上昇に対応する省力化等の観点から、光重合の特徴で
ある常温でも重合可能であること、速乾性、無溶剤化の
可能性等が注目され、開発が行われている。例えば紫外
光による硬化は、200〜400nmの紫外光を照射す
ることによつて重合性モノマーが急速硬化するものであ
り、各種工業分野において実用化されている。また近
年、紫外光の透過性が低い為に使用の制限を受ける厚膜
の塗装、隠ぺい率が高い顔料を含有した着色塗膜等に対
しても光重合が可能になるように、紫外光よりも波長の
長い近赤外光を用いた光重合開始剤の開発が進められて
いる(例えば特開平5−194619号)。
【0003】それらの光重合技術の中で、光吸収性色素
と、4個の置換基によって置換された4級ホウ素塩を組
み合わせた光重合開始剤が注目されている(例えば特開
昭62−143044号、特開平2−4804号)。こ
の技術は、光によって励起された色素に電子移動したホ
ウ素化合物から発生したラジカルを重合開始に利用する
システムであり、従来の光重合開始システムと比べて電
子移動及びラジカル発生効率の点で優れている上、任意
の光吸収性化合物を利用可能であるという特徴がある。
しかしながら、光に対する感度、重合速度等の点におい
て必ずしも実用的に十分ではないという欠点があり、そ
れらの欠点を解決する方法として近赤外光吸収色素と置
換シリル基を有するホウ素塩との錯体という特殊な光吸
収性化合物を用いる方法が提案されているが(特開平4
−261406号)、一般に入手容易な色素を用いた汎
用性の高い改善方法はこれまで知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は近赤外光重合
開始剤系において、一般に入手可能な陽イオン色素を用
いて、改良された光感度、重合速度及び酸素存在下での
改善された重合開始能を有する重合開始剤を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
を解決すべく光エネルギーを吸収する色素と併用するホ
ウ素系化合物の構造について検討を重ねた結果、ホウ素
原子に結合した置換基の少なくとも1つがシリル基ある
いは置換シリル基の場合に、一般の陽イオン色素と組み
合わせて、従来の開始剤系よりもはるかに優れた重合開
始能が発現することを見い出し、本発明を完成するに至
った。すなわち本発明によると、近赤外光波長領域に吸
収をもつ陽イオン色素及び一般式(3)で表わされるホ
ウ素系触媒 一般式(3);
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R5 、R6 、R7 及びR8 はそれ
ぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリ
ル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複
素環基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル
基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、または置換
アルキニル基を示し、R9 、R10、R11及びR12はそれ
ぞれ独立してアルキル基、アリール基、アリル基,アラ
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複
素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール
基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル
基、置換アルキニル基または置換シリル基を示すが、R
9 、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つの置換基
がシリル基あるいは置換シリル基である。)を組み合わ
せて光重合開始剤となし、近赤外光照射によって重合性
不飽和化合物を実用的な速度で重合させることができる
光重合開始剤が得られる。
【0008】本発明における重合開始剤は光重合性材
料、例えば印刷インキ、レジスト、接着剤、家具、電子
材料、建材などの塗装、木工、金属、プラスチック類等
の塗装、自動車の車体、内装、バンパー等の塗装、無機
材料のコーティング等に用いることが可能である。本発
明を構成する一般式(1)の陽イオン色素と一般式
(3)のホウ素系触媒を併用することで光によって陽イ
オン色素の分解が起こり、陽イオン色素の色が消色する
とともにラジカルが発生し、その際重合性不飽和化合物
が共存すると重合が開始される。陽イオン色素の消色反
応は不可逆反応であり、陽イオン色素の色が重合物の色
相を損なうことはない点にも本発明の大きな特徴があ
る。この光重合開始剤系の特徴を生かしつつ重合速度を
改善する方策として従来用いられてきたホウ素系触媒に
変えて本発明のシリル置換基を有するホウ素系化合物を
使用すると重合速度が大幅に改善され、実用的な重合時
間で光重合反応が完結する。
【0009】従来用いられていたホウ素系化合物の場
合、置換基の全てがアルキル基、アリール基等の炭素系
置換基であり、したがって光反応によって発生するラジ
カルはアルキルラジカル(例えばブチルラジカル)など
であって、その安定性、重合開始能などの面で、実用的
な重合開始速度を得るには問題があった。しかし本発明
のシリル置換基を有するケイ素系触媒を用いると、光反
応によってケイ素原子上に遊離基を持つシリルラジカル
を発生させることが出来、従来のアルキルラジカルと比
べて安定性等の点において優れ、重合開始効率が向上す
るものと推定される。
【0010】本発明のシリル置換基を有するホウ素化合
物は、D. Seyfertらが初めて合成したとされているが
(Journal of Organic Chemistry 1961年 303
4頁参照)、近赤外光重合に応用した例としては前述の
特開平4−261406号公報にカウンターアニオンが
シリルホウ素化合物である特殊な近赤外光吸収色素とシ
リルホウ素/アンモニウム錯体の組み合わせが本文中に
記載されているのみであり、しかも上記公開特許明細書
には重合性向上あるいは酸素存在下での重合反応などに
関しての詳細な記載はなく、一般に入手容易な近赤外光
吸収色素と組み合わせて近赤外光重合に用いた例は全く
知られていなかった。本発明におけるホウ素系触媒は一
般式(3)で表わされるが、ホウ素原子に結合している
置換基R5 〜R8 のうち少なくとも1つが一般式(6)
で表されるシリル基あるいは置換シリル基である。 一般式(6);−SiR131415 (式中、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アリール基、アリル基、アラルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、シリル
基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、
置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル
基、置換複素環基、置換シリル基である。)
【0011】本発明のホウ素系触媒におけるホウ素アニ
オンの具体的な例としては、トリフェニルシリルトリフ
ェニルホウ素イオン、ジフェニルメチルシリルトリフェ
ニルホウ素イオン、ジメチルフェニルシリルトリフェニ
ルホウ素イオン、トリトルイルシリルトリフェニルホウ
素イオン、トリフェニルシリルトリアニシルホウ素イオ
ン、ジ(トリフェニルシリル)ジフェニルホウ素イオ
ン、トリフェニルシリルトリブチルホウ素イオン、トリ
フェニルシリルトリメチルホウ素イオン、トリn−ブチ
ル(ジメチルフェニルシリル)ホウ素イオンなどがあげ
られる。
【0012】特に、発生するシリルラジカルの安定性、
重合開始能などを勘案した場合、シリル基の置換基の少
なくとも1つがフェニル基、トルイル基、ナフチル基等
のアリール基あるいは置換アリール基であることが好ま
しい。更に製造の容易さの点等をも考慮すると、トリフ
ェニルシリル基、トリトルイルシリル基、ジフェニルメ
チルシリル基等が置換シリル基として特に好ましい。ま
たホウ素原子の置換基は化合物の安定性、製造の容易さ
等を勘案すると、置換基の1つがシリル基に置換された
化合物が好ましく、更に好ましくは3個の(置換)アリ
ール基と1個のシリル基に置換されたトリアリールシリ
ルホウ素化合物である。また対イオンは 一般式(7);
【0013】
【化6】
【0014】(式中、R5 、R6 、R7 及びR8 はそれ
ぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリ
ル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複
素環基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル
基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、または置換
アルキニル基を示す。)で表わされる4級アンモニウム
陽イオンである。
【0015】本発明の一般式(1)で示される陽イオン
染料は近赤外光波長領域に吸収を持つ染料であればよ
く、具体的には700nm以上の波長領域に吸収を持つ
陽イオンであり、好ましくは780nm以上の波長領域
に吸収を持つ化合物である。近赤外光は従来一般に用い
られている紫外光あるいは可視光に比べ波長が長く光の
透過性に優れているため、従来の紫外光では困難であっ
た光隠ぺい性の高い各種顔料等添加系の組成物、厚みの
ある組成物等に対しても良好な光重合を行うことが出来
る。
【0016】本発明の陽イオン(D+ )は700nm以
上の波長領域に吸収を有するものであれば特に制限はな
いが、好ましいものとしては例えばシアニン、キサンテ
ン、オキサジン、チアジン、ジアリールメタン、トリア
リールメタン、ピリリウム系陽イオン染料の陽イオンな
どがあげられる。かかる陽イオン染料のうち代表例とし
ては、例えば表1に示すような陽イオンがあげられる。
【0017】
【表1】
【0018】
【表1】
【0019】カウンターアニオンであるA- は一般式
(2)で表される4級ホウ素陰イオン、あるいはホウ素
陰イオン以外の任意の陰イオンであり、例えばp−トル
エンスルホネート等のスルホン酸陰イオン、ClO4
イオン、SbF6 陰イオン、PF6 陰イオン、塩素、臭
素等のハロゲン陰イオン、酢酸、安息香酸等の各種カル
ボン酸陰イオン、硝酸塩イオン、各種硫酸塩陰イオン、
リン酸塩陰イオン、タングステン酸、チタン酸、ジルコ
ン酸などの金属酸塩の陰イオン等が挙げられる。それら
の中でも一般式(2)の4級ホウ素陰イオン、p−トル
エンスルホン酸陰イオン、ClO4 、ハロゲン陰イオン
が特に好ましい。 一般式(2);
【0020】
【化7】
【0021】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれ
ぞれ独立してアルキル基、アリール基、アリル基,アラ
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、ハ
ロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換ア
リル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換ア
ルキニル基を示す。)
【0022】4級ホウ素陰イオンの具体例としてはn−
ブチルトリフェニルホウ素イオン、n−オクチルトリフ
ェニルホウ素イオン、n−ブチルトリアニシルホウ素イ
オン、ジn−ドデシルジフェニルホウ素イオン、テトラ
フェニルホウ素イオン、トリフェニルナフチルホウ素イ
オン、テトラブチルホウ素イオン、BF4 陰イオンなど
があげられ、更に詳細には本発明者らが先に出願した
(特開平6−75374号)特許明細書に記載された陰
イオン等が挙げられる。
【0023】本発明の光重合開始剤は一般に重合性不飽
和化合物と組み合わせて光重合性組成物として用いられ
る。その際用いられる重合性不飽和化合物は重合性オリ
ゴマー、重合性モノマーが挙げられ、重合性オリゴマー
としてはウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアク
リレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアク
リレート樹脂、シリコンアクリレート樹脂、メラミンア
クリレート樹脂、特開平4−28722号公報に開示さ
れている(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシルセス
キオキサン等が挙げられる。これらのオリゴマーは各種
製造業者によって多種の化合物が生産されており容易に
入手可能である。上記重合性オリゴマーは重合生成物の
物性を決定する主成分であり、各種用途に応じて要求さ
れる硬度、強度、耐久性、付着性等の物性に応じて選択
され、任意量配合される。
【0024】また重合性モノマー類としては(メタ)ア
クリル酸と1価アルコールとのエステル化物、スチレ
ン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどのビニルベン
ゼン類、ビニルイソブチルエーテル、2−エチルヘキシ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類、(メタ)アク
リロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス
アクリルアミド等の(メタ)アクリル化合物類、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニル
エステル類、アリルアルコール、酢酸アリル、フタル酸
ジアリル類等のアリル基を含有するモノマー等が挙げら
れる。
【0025】さらに該モノマーとして、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;ブチ
ルイソシアネート、フェニルイソシアネートなどのポリ
イソシアネートと上記水酸基含有モノマーとの付加物;
リン酸と上記水酸基含有モノマーとの付加物;Nービニ
ルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、Nービニルア
セトアミド、ビニルピリジン類などの含窒素不飽和モノ
マーなども使用できる。さらに該モノマーとして、ジエ
チレングリコールジアクリレート、1,6ーヘキサンジ
オールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのジ
−、トリ−またはテトラビニル化合物;前記の多価アル
コールとエチレンオキシドとの付加物に(メタ)アクリ
ル酸を反応せしめた生成物;前記の多価アルコールとプ
ロピレンオキシドとの付加物に(メタ)アクリル酸を反
応せしめた生成物;前記の多価アルコールとεー カプロ
ラクトンとの付加物に(メタ)アクリル酸を反応せしめ
た生成物;含リン重合性不飽和モノマー等が包含され
る。更に詳細な具体例は先に出願した(特開平6−75
374号)特許明細書に記載されている。
【0026】本発明の重合開始剤及び重合性不飽和化合
物等を含有する組成物の重合反応は近赤外領域に分光分
布を有する光発生装置による光照射により達成される。
例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、太陽光等であ
る。従来用いられてきた紫外光の場合、高圧水銀ラン
プ、メタルハライドランプ等の比較的高価な照射装置が
必要である上、オゾンの発生、皮膚ガンの可能性等安全
面においても実用的な問題点を有していたが、近赤外光
の場合比較的安価な照射装置が使用可能である上、安全
性も高い点にも特徴がある。
【0027】光重合反応の際には酸素による重合阻害を
低減するために低酸素濃度下で光照射することが好まし
い。例えば窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス
雰囲気、あるいは空気中上記不活性ガスを硬化物表面に
ブローすることにより酸素濃度を低減し、重合を促進さ
せることが望ましい。前に述べたように、本発明のホウ
素系触媒を含む重合開始剤は従来のホウ素系触媒を用い
る場合よりも酸素存在下での重合開始能に優れており、
高濃度の酸素存在下でも重合反応を行うことが出来る。
【0028】また本発明の近赤外光重合開始剤を使用す
る際、従来知られている酸素除去剤、各種重合促進剤な
どを併用することが出来る。酸素除去剤としてはフォス
フィン、フォスファイト、フォスフォネート、各種還元
剤、一重項酸素クエンチャー等、重合促進剤としてはN
ーフェニルグリシン、ペンタメチルアニリン、2−メル
カプトベンゾチアゾール等の連鎖移動剤として知られて
いる化合物、ナフトキノンジアジド系化合物などの光酸
発生剤、トリアジン化合物、芳香族オニウム化合物、ビ
スイミダゾール化合物などの各種電子受容性物質等が挙
げられる。
【0029】本発明における一般式(1)で表される陽
イオン色素と一般式(2)で表されるホウ素系触媒は任
意の比率で使用可能であり、一般に10:1〜1:50
(モル比)の割合で使用されるが、ホウ素系触媒を陽イ
オン色素よりも大量に用いる方が好ましい。すなわち、
1:1〜1:10(モル比)の範囲が特に好ましい。本
発明の陽イオン色素及びホウ素系触媒は必要に応じて1
種、あるいは2種以上混合して用いることもできる。す
なわち吸収波長の異なる2種類以上の陽イオン色素を併
用し、広範囲の照射光を活用することもできるし、また
ホウ素系触媒も単独使用に限定されない。コスト、溶解
度、重合活性等の点を勘案して従来のシリル基を含まな
い、従来用いられているホウ素系触媒と併用してもよ
い。
【0030】本発明の重合開始剤は、陽イオン色素、ホ
ウ素系触媒を、各々重合性組成物全体の0.001重量
%以上用いることにより本発明の目的を達成することが
出来る。それ以下だと重合が充分に行われないおそれが
ある。好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。
大量に用いすぎることは、経済的観点上好ましくない。
更に、本発明の開始剤を含む重合性組成物には任意の添
加物、充填剤を添加することが出来る。ここでいう添加
剤としては、例えば一般に塗料用添加剤として用いられ
ている増粘剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、分
散剤等が挙げられ、また充填剤としては、有機物、無機
物、或いはそれらの複合物、混合物が挙げられる。また
先にも述べたように、本発明の重合開始剤は特に従来用
いられてきた紫外光に較べて長波長領域に吸収を有する
陽イオン色素を用いるので、光透過性の低いカーボンブ
ラック等の黒色顔料、アルミニウム、チタン等のメタリ
ック顔料等を含有していても光重合を生起させることが
可能であり、それらの各種顔料などを添加することが可
能である。
【0031】本発明の光重合開始剤は先にも述べたよう
に、塗料、インク、接着剤等の光硬化性材料の重合開始
剤として好適である。これらの光硬化性材料は無溶剤型
材料として利用可能であり、地球環境改善に寄与するこ
とが期待される。従来の反応硬化性組成物は硬化前のポ
リマー成分を溶解させるために大量の溶剤を必要として
いたが、光硬化性材料は希釈剤として反応性化合物を用
い得るので本質的に無溶剤化が可能であり、無溶剤化あ
るいは溶剤量の大幅な低減が可能となる。
【0032】勿論従来の溶剤で希釈した形で用いても何
等差し支えはないが、地球環境面からの資源節約、環境
破壊防止等の観点及びコスト面等から使用溶剤量は可能
な限り少量であることが望ましい。その際に用い得る溶
剤としては、陽イオン色素及びホウ素系触媒の化学的安
定性を損なわない化合物であれば、従来塗料用に用いら
れている一般の溶剤など、例えばトルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の
脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢
酸アミル等のエステル類、メチルセルソルブ、エチルセ
ルソルブ等のエチレングリコールのモノエーテル類など
が使用可能である。これらの溶剤1種または2種以上を
混合して使用することが出来る。また、溶媒、あるいは
分散媒として水を使用することも可能である。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。 (実施例1)ペンタエリスリトールトリアクリレート−
ヘキサメチレンジイソシアネート−ウレタンプレポリマ
ー70g、ノナエチレングリコールジアクリレート30
g、アセトン30gを十分に混合した後、近赤外光吸収
性陽イオン色素(表1錯体番号3、陰イオンはn−ブチ
ルトリフェニルホウ素アニオン)0.1g及びシリルホ
ウ素系触媒(テトラブチルアンモニウムトリフェニルシ
リルトリフェニルホウ素)0.3gを溶解しサンプル1
とした。
【0034】(実施例2)ホウ素系触媒をテトラメチル
アンモニウムトリフェニルシリルトリフェニルホウ素に
変える以外は実施例1と同様にサンプル2を作成した。
【0035】(実施例3)ホウ素系触媒をテトラブチル
アンモニウム(フェニルジメチルシリル)トリフェニル
ホウ素に変える以外は実施例1と同様にサンプル3を作
成した。
【0036】(実施例4)ホウ素系触媒をテトラブチル
アンモニウム(ジフェニルメチルシリル)トリフェニル
ホウ素に変える以外は実施例1と同様にサンプル4を作
成した。
【0037】(実施例5)近赤外光吸収色素のカウンタ
ーアニオンをパラトルエンスルホネートアニオンに変え
る以外は実施例1と同様にサンプル5を作成した。
【0038】(比較例1)ホウ素系触媒をテトラブチル
アンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素に変える以
外は実施例1と全く同様に比較サンプル1を作成した。
【0039】(実施例6)陽イオン色素を表1番号3か
ら番号1の色素(陰イオンはn−ブチルトリフェニルホ
ウ素アニオン)に変える以外は実施例1と全く同様にサ
ンプル6を作成した。
【0040】(比較例2)ホウ素系触媒をテトラブチル
アンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素に変える以
外は実施例6と全く同様に比較サンプル2を作成した。
【0041】(実施例7)陽イオン色素を表1番号2の
色素(陰イオンはn−ブチルトリフェニルホウ素アニオ
ン)に変える以外は実施例1と全く同様にサンプル7を
作成した。 (比較例3)ホウ素系触媒をテトラブチルアンモニウム
n−オクチルトリフェニルホウ素に変える以外は実施例
7と全く同様に比較サンプル3を作成した。 (実施例8)陽イオン色素を表1番号5の色素(陰イオ
ンはn−ブチルトリフェニルホウ素アニオン)に変える
以外は実施例1と全く同様にサンプル8を作成した。 (比較例4)ホウ素系触媒をテトラブチルアンモニウム
n−ブチルトリフェニルホウ素に変える以外は実施例8
と全く同様に比較サンプル4を作成した。
【0042】[サンプルの重合試験及び重合性評価]作
成したサンプルをアプリケーターにてアルミ基板上に1
00μmの厚さに塗布し、窒素雰囲気下、波長800〜
950nmの範囲に分光分布を有する出力1500Wの
ハロゲンランプを3分間照射した。得られた塗膜を剥し
FT−IRにて残留二重結合を定量した。結果を表2に
示す。残留二重結合が少ないほど、重合が進行している
ことを示す。一般に光硬化反応においては反応が終了し
た時点でも二重結合が20〜40%残留するとされてお
り、本発明の光重合開始剤を用いると3分間の光照射で
光反応がほぼ完了していることがわかる。一方、従来の
ホウ素系触媒を用いた場合、同時間の光照射では残留二
重結合が50%以上残り、光反応が完了していない。
【0043】
【表2】
【0044】(実施例9)酸素存在下での重合反応 上記重合試験と同様に、実施例1の組成物を塗布した基
板を酸素濃度0.5%の雰囲気で上記ハロゲンランプを
10分間照射した。塗膜表面は十分に硬化しており、表
面タックは全く見られなかった。
【0045】(比較例5)実施例9と同様に、比較例1
の組成物を塗布した基板を酸素濃度0.5%の雰囲気で
上記ハロゲンランプを10分間照射した。塗膜表面は全
く硬化していない様子であり、指で触れると組成物が指
に付着した。
【0046】
【発明の効果】本発明により、重合速度及び酸素存在下
での重合性の改良された光重合開始剤が提供された。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表わされる陽イオン色素
    と一般式(3)で表わされるホウ素系触媒を必須成分と
    する近赤外光重合開始剤。 一般式(1);D+ ・A- (式中、D+ は近赤外光領域に吸収を持つ陽イオンであ
    り、A- は、一般式(2)で表される4級ホウ素陰イオ
    ンあるいはホウ素陰イオン以外の各種陰イオンを示す) 一般式(2); 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立して
    アルキル基、アリール基、アリル基,アラルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、複素環基、ハロゲン原子、
    置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、置換
    アラルキル基、置換アルケニル基または置換アルキニル
    基を示す。) 一般式(3); 【化2】 (式中、R5 、R6 、R7 及びR8 はそれぞれ独立して
    水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、アラル
    キル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、置換
    アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラ
    ルキル基、置換アルケニル基、または置換アルキニル基
    を示し、R9 、R10、R11及びR12はそれぞれ独立して
    アルキル基、アリール基、アリル基,アラルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロ
    ゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリ
    ル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アル
    キニル基または置換シリル基を示すが、R9 、R10、R
    11及びR12のうち少なくとも1つの置換基がシリル基あ
    るいは置換シリル基である。)
  2. 【請求項2】 ホウ素系触媒が下記一般式(4)で表さ
    れる請求項1の光重合開始剤。 一般式(4); 【化3】 (式中、R5 〜R11は一般式(3)と同じ、R13、R14
    及びR15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリ
    ール基、アリル基、アラルキル基、アルケニル基、アル
    キニル基、複素環基、シリル基、置換アルキル基、置換
    アリール基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換ア
    ルケニル基、置換アルキニル基、置換複素環基または置
    換シリル基である。)
  3. 【請求項3】 ホウ素系触媒が下記一般式(5)で表さ
    れる請求項1及び2の光重合開始剤。 一般式(5); 【化4】 (式中、R5 〜R8 、R13〜R15は一般式(4)と同
    じ、Arはアリル基、置換アリール基である。)
JP23365294A 1994-09-28 1994-09-28 近赤外光重合開始剤 Pending JPH08100012A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6174642B1 (en) 1999-02-25 2001-01-16 Cycolor, Inc. Imaging system employing encapsulated radiation sensitive composition
JP2006274240A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Bridgestone Corp 光硬化性樹脂組成物
CN104672358A (zh) * 2015-01-22 2015-06-03 大连理工大学 一种催化极性乙烯基单体聚合的催化体系

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