JPH079694Y2 - シートアジャスタの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、自動車におけるシートアジャスタの取付構造
に関する。

〈従来の技術〉 通常、乗用車のフロントシートはシートアジャスタによ
り前後に移動可能とされている。シートアジャスタは、
フロアに固定されるロアレールと、ロアレールにスライ
ド可能に装着されたアッパレールとを主要部分としてな
っている。シートはアッパレールに取付けられる。

従来、シートアジャスタにおけるロアレールのフロアへ
の固定は、ロアレールの前端部及び後端部をフロアにボ
ルト締めすることにより行なっていた。

しかし、この固定構造では、ロアレールの前部をボルト
で固定した後、ロアレールの後部をボルト止めする際に
は、シートが邪魔になるので、シートを前側にスライド
する必要があった。

このような不具合にかんがみ、シートを車室内に搬入し
た状態のまま取付けが行なえるようにするため、第４図
及びそのＶ−Ｖ矢視断面を表す第５図に示すように、シ
ートアジャスタ１のロアレール２の後部に側方に張り出
させて取付ブラケット３を設け、この取付ブラケット３
をフロア４にボルト５で固定することが考えられてい
る。

この構造によれば、ボルト止め位置が側方に張り出して
いるので、シートに邪魔されずにボルト５をフロア４に
ねじ込むことができるのである。なお、ロアレール２の
前部は従前通りその取付部６がボルト５でフロア４に固
定される。

ところで、シートアジャスタ１のアッパレール７には、
ブラケット８を介してシートベルトのバックル９が取付
けられているがバックル９のレール側保持強度を高める
ため、その取付構造としてキャッチャ構造をとるものが
ある。つまり、第５図に示すように、下部が上側に湾曲
してキャッチ部10aとなっているアパッレールキャッチ
ャ10をバックル９と一体としてブラケット８に取付ける
一方、上部が下側に湾曲して前記キャッチ部10aと嵌め
合うキャッチ部11aとなっているロアレールキャッチャ1
1をロアレール２に前記取付ブラケット３と共にボルト
結合し、バックル９に上方向きの力が加わった場合で
も、キャッチ部10a,11a同士の嵌め合いでバックル９の
移動を阻止するようになているのである。

〈考案が解決しようとする課題〉 上記のようにキャッチャ10,11をレール2,7の側面に設け
ると、その分スペースがとられることから、ロアレール
２後部の取付ブラケット３はさらに側方に延びたものと
し、キャッチャ10,11と重ならない位置にボルト止め位
置を設定しなければならない。

しかしながら、上記のようにキャッチャ10,11をよけて
ボルト止め位置を設定すると、レールセンタからボルト
止め位置までのオフセット量ｌが大きくなってしまい、
バックル９に大きな力がかかったときには、ロアレール
後部の剛性不足からこの部分が変形してしまう可能性が
あった。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を解決するため、本考案では、ロアレールの前
部をフロアに固定し、ロアレールの後部に側方に張り出
させて取付ブラケットを設けて、この取付ブラケットを
フロアに固定する一方、ロアレールにスライド可能に装
着されたアッパレールにシートバックルとアッパレール
キャッチャを一体的に取付けると共に、ロアレール側に
前記アッパレールキャッチャと対をなすロアレールキャ
ッチャを設けてなるシートアジャスタ取付構造におい
て、前記ロアレールの側方において前記ロアレールキャ
ッチャと前記取付ブラケットとを一体に結合したのであ
る。

〈作用〉 上記シートアジャスタ取付構造においては、レール側と
取付ブラケットのフロアへの固定位置との間が狭まって
いるのでキャッチャの剛性が高まり、衝撃的な荷重に対
しても変形を抑制することができる。

〈実施例〉 第１図は本考案の一実施例に係るシートアジャスタ取付
構造の第５図と同じ箇所の断面を示し、第２図はそのII
矢視（平面）を示している。

この実施例において、シートアジャスタ１等の構成は第
４図，第５図に示したものと同じとなっている。つま
り、シートアジャスタ１は、ロアレール２と、ロアレー
ル２に前後にスライド可能な装着されたアッパレール７
とからなり、ロアレール２の前部取付部６はボルト５で
フロア４に固定され、ロアレール２の後部においては、
側方に張り出して設けられた取付ブラケット３がボルト
５によってフロア４に固定される。図中、12はボルト５
を締め付けるための工具がある。

またシートアジャスタ１のアッパレール７にはブラケッ
ト８が一体的に取付けられ、このブラケット８に、シー
トベルトのバックル９及びアッパレールキャッチャ10が
ボルト13により一緒に取付けられている。

ロアレール２には、キャッチ部11aが前記アッパレール
キャッチャ10のキャッチ部10aと隙間をもって嵌まり合
うロアレールキャッチャ111が取付けられるのである
が、ロアレールキャッチャ111の構造は第３図に示す如
く、斜面部11bの一部に抜き出し加工を施して取付ブラ
ケット３と重なり合う平坦部11cを形成したものとなっ
ている。そして、この平坦部11cが取付ブラケット３と
リベット14により結合されるのである。つまり、ロアレ
ールキャッチャ111と取付ブラケット３とを取付ブラケ
ット３のフロア４への固定位置に近い位置で結合するの
である。なお、ロアレールキャッチャ111は取付ブラケ
ット３と共にボルト５によってロアレール２に固定され
る。

上記のように構成することにより、取付ブラケット３の
フロア４への取付位置と取付ブラケット３とレール２側
との接合位置との距離l₁が小さくなり、レール側の強度
が高まると共に、ロアレールキャッチャ111の強度も高
まる。つまりシートベルトのバックル９に衝撃的な力が
かかった場合でも、ロアレール２が第２図中二点鎖線で
示すような前側への変位を起こすことがなく、また、キ
ャッチ部10a,11a同士の係合を介してロアレールキャッ
チャ111自体の上側への変形も抑制されるのである。

上記実施例では、取付ブラケット３とロアレールキャッ
チャ111の平坦部11cとをリベット結合しているが、結合
手段としては、スポット溶接など他の方法でもよい。

〈考案の効果〉 本考案に係るシートアジャスタの取付構造によれば、ロ
アレールの取付ブラケットとロアレールキャッチャとを
結合するようにしたので、レール側の強度が高まり、シ
ートバックルに大きな荷重が加わったとしても、ロアレ
ール、ロアレールキャッチャの変位、変形を抑えること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図はそのII矢
視で示す平面図、第３図はロアレールキャッチャの斜視
図、第４図は従来のシートアジャスタの斜視図、第５図
はそのＶ−Ｖ矢視断面図である。 図面中、 １はシートアジャスタ、２はロアレール、３は取付ブラ
ケット、４はフロア、７はアッパレール、８はブラケッ
ト、９はシートバックル、10はアッパレールキャッチ
ャ、11はロアレールキャッチャ、11cは平坦部、14はリ
ベット、111はロアレールキャッチャである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロアレールの前部をフロアに固定し、ロア
   レールの後部に側方に張り出させて取付ブラケットを設
   けて、この取付ブラケットをフロアに固定する一方、ロ
   アレールにスライド可能に装着されたアッパレールにシ
   ートバックルとアッパレールキャッチャを一体的に取付
   けると共に、ロアレール側に前記アッパレールキャッチ
   ャと対をなすロアレールキャッチャを設けてなるシート
   アジャスタ取付構造において、前記ロアレールの側方に
   おいて前記ロアレールキャッチャと前記取付ブラケット
   とを一体に結合したことを特徴とするシートアジャスタ
   の取付構造。