JPH0796437A - 工具ホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 従来の工具ホルダとの互換性を確保しつつ、
テーパ部およびフランジ部端面を同時に主軸に当接する
２面拘束を実現し、高精度な軸心合わせおよび高剛性保
持可能な工具ホルダの提供を目的とする。 ［構成］ 工作機械の主軸先端に設けられたテーパ穴に
挿入されるテーパ部と、前記主軸の先端端面に当接する
端面を有するフランジ部とを有する工具ホルダにおい
て、前記テーパ部と反対側を開口して前記フランジ部に
設けられた穴と、前記テーパ部と前記フランジ部の境界
部分又は主軸先端に設けられた溝と、前記穴と前記溝と
により薄肉状に形成された薄肉部とを備えた工具ホル
ダ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の主軸に装着
される工具ホルダに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、図５に示すように、マシニングセ
ンタ等の工作機械の主軸２に工具ホルダ６を装着する場
合、実願昭６３−１２４６７７公報に開示されるよう
に、工具ホルダ６のテーパ部６ａ端面に固定されたプル
スタッド７を、プッシュロッド４先端に設けられた把持
部材８により把持し、クランプ用スプリング１２の付勢
力によりプルスタッド７を引っ張り、工具ホルダ６のテ
ーパ部６ａを主軸２のテーパ穴５に当接して保持してい
た。この場合、工具ホルダ６はテーパ部６ａのみにより
保持され、工具ホルダ６のフランジ部端面６ｂは主軸１
の先端面には当接することがなく、隙間ｄが存在してい
た。

【０００３】ところが、工作機械に高回転加工の要求が
課され、これにともない、工具ホルダ６の高精度軸心合
わせおよび高剛性保持が必要となり、テーパ部６ａおよ
びフランジ部端面６ｂの同時当接による工具ホルダ保持
が要望された。この要望に対して、図６に示すように、
テーパ部１６ａとフランジ端面部１６ｂに高精度加工を
施し、テーパ部１６ａおよびフランジ端面部１６ｂがテ
ーパ穴５および主軸の先端端面の両方にそれぞれ当接す
るようした工具ホルダ１６が使用されている。なお、７
０は工具ホルダ１６に固定された工具である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した工具
ホルダ１６は、主軸２および工具ホルダ１６の両方に高
精度加工が必要になり、加工誤差によってはフランジ部
端面１６ｂの当接が弱くなったり、テーパ部１６ａの当
接が弱くなって、主軸２に対する工具ホルダ１６の拘束
精度に影響してしまう。また、主軸２の高速回転時には
テーパ穴５が遠心力により膨張し、テーパ部１６ａの当
接が弱くなって、工具ホルダ１６ａの軸心がずれる原因
となった。

【０００５】そこで、本発明の工具ホルダ−は、従来の
工具ホルダとの互換性を確保しつつ、テーパ部およびフ
ランジ端面を同時に主軸に当接して、高精度な軸心合わ
せおよび高剛性保持可能な工具ホルダの提供を目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した問題を解決する
ためには、工作機械の主軸の先端に形成された工具ホル
ダ取り付け用のテーパ穴に挿入されるテーパ部と、前記
主軸の先端面に当接する端面を有するフランジ部とを有
する工具ホルダにおいて、前記テーパ部と前記フランジ
部の境界部分又は前記主軸の先端に溝を設け、前記フラ
ンジ部に前記テーパ部と反対側を開口した穴を設け、前
記穴および前記溝により前記テーパ部と前記フランジ部
を相対的に前記主軸の軸線方向に弾性変位可能にする薄
肉部を設けたことからなる。

【０００７】

【作用】従来から使用されている工作機械の主軸に、本
発明の工具ホルダをチャックする。工具ホルダのテーパ
部端面に設けられたプルスタッドが工作機械の把持部に
より把持され主軸後退方向に引っ張られて、工具ホルダ
のフランジ部が主軸の端面に当接する。フランジ部と穴
の端面により形成された薄肉部が皿ばねの作用をし、テ
ーパ部とフランジ部の境界部分又は主軸線端に設けられ
た溝の範囲内で、テーパ部とフランジ部は主軸軸方向に
弾性変位可能なために、フランジ部が主軸先端に当接し
たまま、テーパ部分がテーパ穴に当接されまでテーパ部
は後退方向に引っ張られる。これにより、工具ホルダは
フランジ部およびテーパ部の両方を主軸に当接した２面
拘束状態で主軸に装着が行える。

【０００８】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本発明の実施例である工具ホルダ５０を保持
する従来と同様の工作機械の主軸頭の断面図である。１
０１は主軸頭、１０２は主軸頭１０１に対してベアリン
グにより回転自在に支持された筒状の主軸である。この
主軸１０２の軸穴１０３にプッシュロッド１０４が主軸
１０２の軸線方向に進退（図面左右方向）移動可能に挿
通されている。このプッシュロッド１０４の一端、すな
わち、後述する工具ホルダ５０を固定する主軸１０２の
先端のテーパ穴１０５側の端部に工具ホルダ５０より突
設されているプルスタッド５９を把持する把持部材１０
８が取り付けられている。この把持部材１０８はプッシ
ュロッド１０４の後方（図面右方向）への移動によりガ
イドスリーブ１０９内に引き込まれて径方向に縮小し、
プッシュロッド１０４の前進（図面左方向）への移動に
よりガイドスリーブ１０９より突出して径方向に拡開す
る。

【０００９】前記プッシュロッド１０４の他端にはスト
ッパ１１１が固着され、このストッパ１１１に当接する
スプリング受け１１０がプッシュロッド１０４に摺動可
能に嵌合されている。このスプリング受け１１０は軸穴
１０３内でプッシュロッド１０４に沿って設置した皿バ
ネ等のクランプ用スプリング１１２の付勢力を受け、通
常は前記ストッパ１１１を介してプッシュロッド１０４
を工具ホルダ５０の固定方向、すなわち図面右方向に押
し付けている。

【００１０】１１４はアンクランプ装置本体である。こ
のアンクランプ装置本体１１４は前記スプリング受け１
０に当接するピストン１１６を内設したアンクランプ用
シリンダ１１５を有し、主軸頭１０１に対し支持ボルト
１１７により主軸軸線方向に移動可能に支持され、かつ
通常はスプリング１１８にて主軸頭１０１側の所定位置
に押し付けられ位置決めされている。

【００１１】また、このアンクランプ装置本体１１４
は、主軸１０２の後端に固着されている当接部材１１９
に当接するスラストベアリング１２０を備え、ピストン
１１６が前進（図面左方向）してスプリング受け１１０
を押しつけ、クランプ用スプリング１１２を圧縮方向に
押圧したときのアンクランプ時に反力でアンクランプ装
置１１４を後退移動させ、前記スラストベアリング１２
０が当接部材１１９に当接してクランプ用スプリング１
１２のスプリング力を主軸ベアリングに作用させないよ
うにしている。

【００１２】１２１は前記アンクランプ装置本体１１４
に一体的に設けられたプッシュロッド操作用シリンダで
あり、プッシュロッド１０４と同一直線上で進退するピ
ストンロッド１２２を有している。このピストンロッド
１２２の前端面はプッシュロッド１０４の後端面に当接
可能に対向しており、この対向側には内周に突起１２４
を有する筒状の係合部材１２３が固着されている。

【００１３】また、プッシュロッド１０４の後端は前記
突起１２４を貫通して係合部材１２３内に挿入され、前
記突起１２４に係合する係合部１２５が形成されてい
る。なお、１１３ａ、１１３ｂは主軸２に固着された駆
動ギヤ、１１３ｃは変速用シフトギヤを示す。次に、本
発明の実施例を示す工具ホルダ５０について説明する。
図２は本実施例の工具ホルダ５０の部分断面を含む正面
図である。工具ホルダ５０は、前記工作機械の主軸１０
１のテーパ穴１０５に挿入されるテーパ部５１と、図略
の工作機械の工具把持アームが工具ホルダ５０を把持す
るフランジ部５２が形成されている。フランジ部５２に
は種々の工具７０を取り付けるための穴である工具取付
穴５３が形成されている。また、テーパ部５１およびフ
ランジ部５２の接合部分には溝５６が円周上に形成さ
れ、前記工具取付穴５３の端面５３ａと溝５６とにより
薄肉状の薄肉部５５が形成されている。この薄肉部５５
が皿ばねの作用を果たして、フランジブ５２とテーパ部
５１は微少変位可能になっている。また、テーパ部５１
の端面には工具ホルダ５０を上述した工作機械の把持部
材１０９にて把持されるプルスタッド５９が固定されて
いる。なお、５７はキー溝であり、工作機械に工具ホル
ダ５０を取付る場合に主軸１先端に設けられたキーと係
合して、工具ホルダ５０の主軸に対する回転滑りを防止
するようになっている。

【００１４】７０は工具であり、台座７２に工具本体７
１が固定されている。台座７２には工具取付穴５３に嵌
合される凸部７２ａが設けられており、この凸部７２ａ
を工具取付穴５３に嵌合し、ボルト７２によって工具７
０を工具ホルダ５０に位置決め固定するようになってい
る。またこのとき、台座７２の凸部７２ａは工具取付穴
５３の全部を含有することはなく、凸部７２端面と工具
取付穴５３の間には空間７４が存在するようになってい
る。なお、特許請求の範囲における穴は、本実施例にお
いては工具取付穴５３を示す。

【００１５】以上の構成により実施例の工具ホルダ５０
の作用を図３に基づき説明する。図略の工作機械に具備
された交換アームによって把持された工具ホルダ５０の
テーパ部５１がテーパ穴１０５に挿入される。工具ホル
ダ５０のテーパ部５１端面に設けられたプルスタッド５
９が工作機械の把持部により把持され主軸後退方向に引
っ張られ、工具ホルダ５０のフランジ部５２が主軸１０
２の端面に当接する（図面上方の状態）。工具ホルダ５
０のテーパ部５１およびフランジ部５２の間に形成され
た薄肉部５５が皿ばねの作用をすることにより、テーパ
部５０およびフランジ部５２は微少変位可能になってい
る。このため、工具ホルダ５０は把持部１０８の引張力
により、フランジ部５２が主軸１０２先端に当接したま
ま、テーパ部５１がテーパ穴１０５に完全に当接されま
でテーパ部は後退方向に引っ張られる（図面下方の状
態）。これにより、工具ホルダ５０はテーパ部５１およ
びフランジ部５２の両方を主軸１０２に当接した２面拘
束状態で主軸１０２に装着されるようになっている。

【００１６】なお、上述した本実施例の工具ホルダ５０
は、薄肉部５５を工具取付穴５３と溝５６とによって形
成しているが、図４に変形例を示すように、工具取付穴
５３とフランジ部５２の端面で薄肉部５５を形成し、主
軸２のテーパ部先端に溝２ａを設けてもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明の工具ホル
ダは従来の工具ホルダとの互換性を確保しつつ、そのう
え、主軸および工具ホルダのテーパ部およびフランジ端
面に特別な高精度加工を施すことなくフランジ部および
テーパ部の両方を主軸に確実に当接保持することがで
き、軸心ずれを発生しない高剛性保持が達成できる。ま
た、主軸高速回転時にテーパ部が遠心力により膨張して
も、これに追従して薄肉部が変位することにより、テー
パ部はテーパ穴に密着するため拘束精度が常に確保され
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す工具ホルダを主軸に装着
した図である。

【図２】本発明の実施例を示す工具ホルダを示した図で
ある。

【図３】本発明の実施例を示す工具ホルダの作用を示し
た図である。

【図４】本発明の変形例を示す工具ホルダを示した図で
ある。

【図５】従来の工具ホルダを工作機械の主軸に装着した
図である。

【図６】従来の工具ホルダを工作機械の主軸に装着した
図である。

【符号の説明】

２ 主軸 ２ａ 溝 ５０ 工具ホルダ ５１ テーパ部 ５２ フランジ部 ５３ 工具取付穴 ５５ 薄肉部 ５６ 溝 ５９ プルスタッド １０１ 主軸頭 １０２ 主軸 １０５ テーパ穴 １０８ 把持部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械の主軸の先端に形成された工具
   ホルダ取り付け用のテーパ穴に挿入されるテーパ部と、
   前記主軸の先端面に当接する端面を有するフランジ部と
   を有する工具ホルダにおいて、前記テーパ部と前記フラ
   ンジ部の境界部分又は前記主軸の先端に溝を設け、前記
   フランジ部に前記テーパ部と反対側を開口した穴を設
   け、前記穴および前記溝により前記テーパ部と前記フラ
   ンジ部を相対的に前記主軸の軸線方向に弾性変位可能に
   する薄肉部を設けたことを特徴とする工具ホルダ。