JPH0791347B2 - 耐衝撃性樹脂の製造方法 - Google Patents

耐衝撃性樹脂の製造方法

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JPH0791347B2
JPH0791347B2 JP26701586A JP26701586A JPH0791347B2 JP H0791347 B2 JPH0791347 B2 JP H0791347B2 JP 26701586 A JP26701586 A JP 26701586A JP 26701586 A JP26701586 A JP 26701586A JP H0791347 B2 JPH0791347 B2 JP H0791347B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、耐衝撃性樹脂の製造方法に関する。さらに詳
しくは、播種乳化重合法により屈折率を調整して製造し
たアクリル系ゴムに、芳香族ビニル単量体等をグラフト
重合させた熱可塑性樹脂であって、優れた着色性と表面
光沢とをもつ耐衝撃性樹脂の製造方法に関するものであ
る。
「従来の技術」 従来より、硬質樹脂にゴムを配合し、このゴムによって
強化した耐衝撃性の優れた樹脂を製造する方法は、数多
く知られている。ABS樹脂は、この種の代表的なもので
あるが、基体となるゴム成分には主としてジエン系ゴム
が用いられている。この基体ゴムの耐候性が悪いため
に、ジエン系ゴムを基体としたABS樹脂は、屋外での使
用が制限され、これがこの樹脂の最大の弱点となってい
る。
このような観点から、基体ゴムとしてジエン系ゴム以外
のものの使用が考えられるようになり、耐候性の良好な
飽和ゴムを用いた例が、種々提案されている。アクリレ
ート系ゴム状重合体(アクリル系ゴム)は、この一つの
例であるが、基体ゴムとしてのジエン系ゴムをこのアク
リル系ゴムに、単に置き換えグラフト重合してみても、
満足すべき特性を有する樹脂は得られない。確かに耐候
性の点に関しては、ジエン系ゴムを基体としたABS樹脂
に比較して、大巾に改良されるが、樹脂の着色性、成形
品の表面光沢および衝撃強度に問題があり、実用上満足
すべきものとは言い難い。
アクリル系ゴムによって強化されたゴム−樹脂二成分系
の樹脂は、通常、ラテックス状のゴム成分に、グラフト
共重合体の枝成分を形成する単量体混合物を、グラフト
重合して製造される。耐候性の良好なゴム成分として用
いられるアクリル系ゴムは、ジエン系ゴムに比べて、光
学的に屈折率が小さく、より軟かいため弾性率が低く、
弾性回復が遅く塑性変性し易いという欠点を有してい
る。このような屈折率が小さく軟かいアクリル系ゴムを
用いて、ゴム−樹脂二成分系の樹脂を製造し、成形材料
として射出成形等を行うと、基体ゴムとグラフト共重合
体の枝成分およびグラフト共重合体に配合される稀釈用
樹脂との屈折率の差が大きく、またゴム粒子の変形配向
が著しくなるため、成形品の表面に真珠様の光沢を示し
たり、ゴム粒子により光が乱反射して外観が白っぽくな
り、特に着色するとき色の深さ(彩度)を出し難いの
で、商品価値が低下する傾向がみられる。また、このよ
うな成形品は、成形表面の色および衝撃強度等の機械的
強度が、成形時の流動方向および成形品の場所によって
大きく異なり、色および艶等の外観や異方向割れ等の機
械的強度の不良を招くという欠点がある。
「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らは、アクリル系ゴムを基体ゴムに用いたゴム
−樹脂二成分系樹脂の従来の製造方法に存在していた上
記のような諸欠点を解決することを目的として、鋭意研
究を重ねた結果、本発明に到達したものである。すなわ
ち、まず、播種乳化重合法により2段階の重合反応を行
ない、順次、層状に屈折率を合わせながらアクリル系ゴ
ムのゴム粒子を製造し、ついで、ゴム成分とグラフトす
る成分との屈折率を近付けて架橋グラフト反応を行うこ
とにより、成形加工性および耐候性が良好で、かつ優れ
た着色性と表面光沢とをもつ耐衝撃性樹脂の製造方法を
提供しようとするものである。
「問題点を解決するための手段」 本発明の要旨とするところは、アルキル基の炭素数1〜
8のアルキルアクリレート単量体70〜100重量%、上記
アルキルアクリレートと共重合可能なビニル単量体0〜
30重量%、および多官能性ビニル単量体0〜5重量%よ
りなる単量体混合物(ただし単量体混合物は合計100重
量%とする。)を、乳化重合して、ゴム粒子径が0.03〜
0.15μmであるアクリル系種ゴム粒子を製造する第1工
程、 上記第1工程で得られたアクリル系種ゴム粒子1重量部
を種とし、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルアクリ
レート単量体20〜94.9重量%、単独の重合体の屈折率が
1.50以上の上記アルキルアクリレートと共重合可能なビ
ニル単量体5〜79.9重量%、および多官能性ビニル単量
体0.1〜5重量%よりなる単量体混合物(ただし単量体
混合物は合計100重量%とする。)2.5〜125重量部を添
加し、播種乳化重合法により、ゴム粒子径が0.15〜0.5
μmであるアクリル系ゴムを製造する第2工程、 上記第2工程で得られたアクリル系ゴム100重量部に、
芳香族ビニル単量体0〜80重量%、シアン化ビニル単量
体0〜40重量%、単独の重合体の屈折率が1.50未満の上
記芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜
99.9重量%、および多官能性ビニル単量体0.1〜5重量
%よりなる単量体混合物(ただし単量体混合物は合計10
0重量%とする。)10〜100重量部を添加し、播種乳化重
合法により、架橋グラフト反応を行う第3工程、 第3工程を終了した重合系に、さらに、芳香族ビニル単
量体10〜90重量%、シアン化ビニル単量体10〜40重量
%、およびメチルメタクリレート0〜80重量%よりなる
単量体混合物(ただし単量体混合物は合計100重量%と
する。)55〜185重量部を添加し、グラフト重合を行う
第4工程、 よりなることを特徴とする耐衝撃性樹脂の製造方法に存
する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における第1工程とは、播種乳化重合する際のア
クリル系種ゴム粒子を製造する工程をいう。この第1工
程において製造されるアクリル系種ゴム粒子は、アクリ
ル系ゴムの製造時に、最初に乳化重合系に添加され、ゴ
ム粒子径の大きいアクリル系ゴムをつくるための種とな
るものである。
本発明におけるアクリル系種ゴム粒子とは、アルキル基
の炭素数1〜8のアルキルアクリレート単量体70〜100
重量%、上記アルキルアクリレートと共重合可能なビニ
ル単量体0〜30重量%、および多官能性ビニル単量体0
〜5重量%よりなる単量体混合物(ただし単量体混合物
は合計100重量%とする。以下同じ。)(I)を、乳化
重合して製造し、ゴム粒子径が0.03〜0.15μmのものを
いう。
上記アクリル系種ゴム粒子の構成成分であるアルキルア
クリレート単量体は、アルキル基の炭素数1〜8のアル
キルアクリレートをいう。具体例としては、エチルアク
リレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート等のアルキルアクリレートがあげられ
る。これらは、1種または2種以上の混合物であっても
よい。
前記アクリル系種ゴム粒子の製造に用いる単量体混合物
(I)は、上記アルキルアクリレート単量体を70〜100
重量%の範囲で含有しなければならない。含有量が70重
量%より少ない場合には、種ゴム粒子の弾性が小さくな
り、種ゴム粒子の外層に形成されるアクリル系ゴム層と
の親和性が低下するので好ましくない。
上記アルキルアクリレートと共重合可能なビニル単量体
としては、後記する芳香族ビニル単量体、後記するシア
ン化ビニル単量体、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、アルキ
ルビニルエステル、アルキルメタクリレートおよびその
ハロゲン置換化合物等があげられる。これらは、1種ま
たは2種以上の混合物であってもよい。
この共重合可能なビニル単量体の単量体混合物(I)に
含ませる量は、0〜30重量%の範囲で選ばなければなら
ない。この共重合可能なビニル単量体が30重量%を超え
ると、種ゴム粒子の諸性質が低下するので好ましくな
い。
本発明における多官能性ビニル単量体は、アクリル系種
ゴムを架橋するために、単量体1分子中に2個以上のビ
ニル基を含有するビニル単量体をいう。この多官能性ビ
ニル単量体の具体例としては、シビニルベンゼン、シビ
ニルトルエン等の芳香族多官能性ビニル単量体、エチレ
ングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート等の多価アルコールのメタクリレー
トおよびアクリレート、ジアリルマレート、トリアリル
イソシアヌレート、ジアリルフタレート、アリルメタク
リレート等があげられる。これらは、1種または2種以
上の混合物であってもよい。
この多官能性ビニル単量体の単量体混合物(I)に含ま
せる量は、0〜5重量%の範囲で選ばなければならな
い。この多官能性ビニル単量体が5重量%を超えると、
外層に形成されるアクリル系ゴム層との相溶性および親
和性が不良となり、種ゴム粒子の諸性質が低下するので
好ましくない。
本発明におけるアクリル系種ゴム粒子は、公知の水を媒
体とした乳化重合において、乳化剤および重合触媒の種
類および量とその添加方法、単量体の添加方法等の公知
の種々の条件を適宜組み合わせて、製造することができ
る。
上記アクリル系種ゴム粒子は、ゴム粒子径が0.03〜0.15
μmでなければならない。ゴム粒子径が0.03μmより小
さい場合には、通常の乳化重合法では製造できず、乳化
剤の濃度が高い特殊なものとなり、経済的でなくなる。
ゴム粒子径が0.15μmを超える場合には、第2工程で製
造するアクリル系ゴムの組成および屈折率を適性化する
ことができず、優れた着色性と表面光沢とをもつ耐衝撃
性樹脂を製造することができない。
本発明においてゴム粒子径とは、米国コールター電子社
(Coulter Electronics Ltd.)製ナノサイザー(Coulte
r Nano−SizerTM)により、ラテックスを23℃の水中に
分散した系で測定した、重量平均ゴム粒子径をいう。
本発明における第2工程では、播種乳化重合法により、
アクリル系ゴムを製造する。この第2工程においては、
屈折率の高い単量体を共重合することによって、従来の
アクリル系ゴムに比べ屈折率の高いアクリル系ゴムが得
られる。
本発明におけるアクリル系ゴムとは、上記第1工程で得
られたアクリル系種ゴム粒子1重量部を種とし、アルキ
ル基の炭素数1〜8のアルキルアクリレート単量体20〜
94.9重量%、単独の重合体の屈折率が1.50以上の上記ア
ルキルアクリレートと共重合可能なビニル単量体5〜7
9.9重量%、および多官能性ビニル単量体0.1〜5重量%
よりなる単量体混合物(II)2.5〜125重量部を添加し、
播種乳化重合法により製造する。ゴム粒子径が0.15〜0.
5μmであるものをいう。
上記アクリル系ゴムの構成成分であるアルキルアクリレ
ート単量体としては、先にアクリル系種ゴム粒子の構成
成分として例示したアルキルアクリレート単量体があげ
られる。これらは1種または2種以上の混合物であって
もよい。上記アクリル系ゴムに用いる単量体混合物(I
I)は、上記アルキルアクリレート単量体を20〜94.9重
量%の範囲で含有させる。含有量が20重量%より少ない
場合には、アクリル系ゴムとしてゴム弾性が小さくなる
ので好ましくない。また、このアルキルアクリレート単
量体の含有量は、上記単量体混合物(II)が他の成分を
含むので、94.9重量%を超えることはない。
このアクリル系ゴムの構成成分である、単独の重合体の
屈折率が1.50以上の上記アルキルアクリレートと共重合
可能なビニル単量体とは、このビニル単量体を単独重合
して得られる重合体の屈折率が1.50以上であるものをい
う。上記単独の重合体の屈折率が1.50以上の前記アルキ
ルアクリレートと共重合可能なビニル単量体としては、
ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、スチ
レン、α−メチルスチレン、α−クロルスチレン、ビニ
ルトルエン、ジクロルスチレン、シクロヘキシルメタク
リレート、ベンジルメタクリレート等があげられる。こ
れらは、1種または2種以上の混合物であってもよい。
この単独の重合体の屈折率が1.50以上の前記アルキルア
クリレートと共重合可能なビニル単量体成分の、単量体
混合物(II)に含ませる量は、5〜79.9重量%の範囲で
選ばなければならない。この共重合可能なビニル単量体
成分が5重量%より少ない場合には、得られるアクリル
系ゴムの屈折率が小さくなり、グラフト共重合体の枝成
分および稀釈用樹脂との屈折率の差が大きくなるので好
ましくない。この共重合可能なビニル単量体成分は、前
記単量体混合物(II)が他の成分を含むので、79.9重量
%を超えることはない。
本発明において屈折率とは、JIS K7105−1981に準拠
し、アッベ屈折計を用いて、23℃NaのD線で測定したも
のをいう。
本発明におけるアクリル系ゴムは、先きにアクリル系種
ゴム粒子の構成成分として例示した多官能性ビニル単量
体成分を含む。この多官能性ビニル単量体は、アクリル
系ゴムの播種乳化重合に用いる単量体混合物(II)の0.
1〜5重量%の範囲で含有しなければならない。含有量
が0.1重量%より少ないと、アクリル系ゴムが、軟かく
なり流動性を帯びるので好ましくない。多官能性ビニル
単量体の含有量が5重量%を超すと、ゴム弾性を失い、
硬くなるので好ましくない。
本発明におけるアクタグ系ゴムは、前記アクリル系種ゴ
ム粒子1重量部に単量体混合物(II)を2.5〜125重量部
の範囲で添加し、播種乳化重合法によって製造する。単
量体混合物(II)の量が2.5重量部より少ないと、アク
リル系ゴムのゴム粒子径が目的とするゴム粒子径迄大き
くならず十分な厚みの層が形成されないので、好ましく
ない。単量体混合物(II)の量が125重量部より多い
と、播種乳化重合法によって重合するのに時間がかか
り、経済的でなくなる。
このアクリル系ゴムの播種乳化重合では、ラテックス状
のアクリル系種ゴム粒子を含む播種重合系へ、単量体混
合物(II)と重合開始剤等を添加することにより、重合
を開始する。この際、播種重合の重合率に合わせて、単
量体混合物(II)、乳化剤および重合開始剤等を、適
宜、分割し、時間経過に従って、添加するのが好まし
い。また、単量体混合物(II)の添加組成も、例えば重
合反応の初期から後期にかけて、適宜、変えることによ
って、アクリル系ゴムの内層から外層にかけて、順次屈
折率を大きくすることにより、アクリル系ゴムの補強効
果を落とさずに、ゴム基体とグラフト共重合体枝成分と
の屈折率を近似させ、成形品の外観を良好にすることが
できる。
この播種乳化重合を遂行するに当っては、水を媒体とし
た通常の乳化重合法により行うことができる。乳化重合
法を採用する場合には、過硫酸カリウム、ハイドロパー
オキシド等の公知の重合開始剤および重合開始助剤、脂
肪酸カリウム等のアニオン界面活性剤、第4級アンモニ
ウム塩等のカチオン界面活性剤、ポリエチレングリコー
ル誘導体等の非イオン界面活性剤等の公知の乳化剤を使
用できる。この播種乳化重合に用いる乳化剤の量は、ア
クリル系ゴムの重合反応に伴なうゴム粒子表面の拡大に
応じて必要となる量とする。こうして、重合反応率の上
昇とともにゴム粒子径を大きくすることができる。
本発明におけるアクリル系ゴムのゴム粒子径は、0.15〜
0.5μmの範囲内に調節する。アクリル系ゴムのゴム粒
子径が、0.15μmより小さい場合には、グラフト共重合
体の耐衝撃性を向上し得ないので好ましくない。0.5μ
mより大きい場合には、重合に時間が掛かり過ぎ、経済
的ではない。
本発明における第3工程では、播種乳化重合法により、
アクリル系ゴムに架橋グラフト反応を行う。この第3工
程において形成する硬質の架橋グラフト共重合体は、第
2工程で製造されたアクリル系ゴムを被覆し、アクリル
系ゴムと稀釈用樹脂との間にあって、屈折率の低いアク
リル系ゴムと屈折率の高い稀釈用樹脂との屈折率を近似
させる。これにより、グラフト共重合体の成形品の外観
に現れる真珠様光沢、着色性不良等の不良現象を減らす
ことができる。
本発明における第3工程での架橋グラフト反応では、前
記第2工程で得られたアクリル系ゴム100重量部に、芳
香族ビニル単量体0〜80重量%、シアン化ビニル単量体
0〜40重量%、単独の重合体の屈折率が1.50未満の上記
芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜9
9.9重量%、および多官能性単量体0.1〜5重量%よりな
る単量体混合物(III)10〜100重量部を添加し、播種乳
化重合する。
上記架橋グラフト反応に用いる芳香族ビニル単量体の具
体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のα−
アルキルスチレン、p−メチルスチレン等の核置換アル
キルスチレン、ビニルナフタリン等があげられる。これ
らは、1種または2種以上の混合物であってもよい。
芳香族ビニル単量体の単量体混合物(III)中に占める
比率は、0〜80重量%でなければならない。この比率
が、80重量%より多いと、屈折率が大きくなり、また製
造した樹脂が他の硬質樹脂と混合するとき混和性が不良
となる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等があげられる。これらは、
1種または2種以上の混合物であってもよい。シアン化
ビニル単量体の単量体混合物(III)中に占める比率
は、0〜40重量%でなければならない。40重量%を超え
ると、架橋グラフト重合した樹脂と他の樹脂との分散性
が低下し、成形加工性が不良となるので好ましくない。
単独の重合体の屈折率が1.50未満の上記芳香族ビニル単
量体と共重合可能なビニル単量体とは、このビニル単量
体を単独重合して得られる重合体の屈折率が1.50未満で
あるものをいう。この芳香族ビニル単量体と共重合可能
なビニル単量体の具体例としては、メチルアクリレー
ト、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ブチルメタク
リレート、メチルメタクリレート等があげられる。これ
らは、1種または2種以上の混合物であってもよい。
この単独の重合体の屈折率が1.50未満の上記芳香族ビニ
ル単量体と共重合可能なビニル単量体の単量体混合物
(III)中に占める比率は、0〜99.9重量%とする。単
量体混合物(III)は、他の成分を含むので99.9重量%
を超えることはない。
単量体混合物(III)は、先きにアクリル系種ゴム粒子
の構成成分として例示した多官能性ビニル単量体を含
む。この多官能性ビニル単量体の単量体混合物(III)
中に占める比率は、0.1〜5重量%とする。0.1重量%よ
り少ないと、前記アクリル系ゴムのゴム粒子を架橋グラ
フト反応により包み、層状構造とすることが困難とな
る。多官能性ビニル単量体が5重量%を超えると、架橋
密度が高くなり、次の第4工程でのグラフト重合が難し
くなるので好ましくない。
本発明における架橋グラフト反応では、第2工程で得ら
れたアクリル系ゴム100重量部に、単量体混合物((II
I)を10〜100重量部の範囲で添加し、播種乳化重合法に
よって重合する。単量体混合物(III)の添加量が10重
量部より少ないと、架橋グラフト共重合体がアクリル系
ゴムのゴム粒子表面の一部を被覆するのに過ぎないの
で、好ましくない。単量体混合物(III)が100重量部を
超えると、架橋グラフト粒子中に占めるアクリル系ゴム
が少なくなるので、好ましくない。
この架橋グラフト反応は、前記第2工程において用いた
ものと同様、水を媒体とした通常の乳化重合法によって
行うことができる。この際、播種乳化重合の重合率に合
わせ、単量体混合物(III)、乳化剤及び重合開始剤等
を、適宜、分割し、時間経過に従って、添加するのが好
ましい。
本発明における第4工程では、第3工程を終了した重合
系に、さらに、芳香族ビニル単量体10〜90重量%、シア
ン化ビニル単量体10〜40重量%、およびメチルメタクリ
レートよりなる単量体混合物(IV)55〜185重量部を添
加し、グラフト重合を行う。上記単量体混合物(IV)の
成分である芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単
量体とは、先に第3工程で架橋グラフト反応に用いる成
分として例示した各々のビニル単量体である。上記単量
体混合物(IV)は、芳香族ビニル単量体10〜90重量%、
シアン化ビニル単量体10〜40重量%、およびメチルメタ
クリレート0〜80重量%の範囲で構成する。この範囲を
外れると、グラフト重合性が変化し、重合条件の変更が
必要となるばかりでなく、グラフト重合した樹脂の特性
が変化し、混合する他の樹脂の種類が限定されるので好
ましくない。
第4工程では、この単量体混合物(IV)を55〜185重量
部の範囲で、第3工程のアクリル系ゴム100重量部に架
橋グラフト反応を行った重合系に、さらに添加し、グラ
フト重合を行なう。この際に添加する単量体混合物(I
V)の量が55重量部より少ない場合には、アクリル系ゴ
ムラテックスのゴム粒子の表面を被覆するのに、充分な
樹脂量をグラフト重合によって生成できず、グラフト率
が小さくなりグラフト共重合体の耐衝撃性および分散性
を低下させるので好ましくない。添加量が185重量部を
超えると、グラフト率は飽和して一定となり、グラフト
重合していない樹脂のみが増え、樹脂中のアクリル系ゴ
ムの濃度が下がるので好ましくない。
グラフト重合は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合
法、または塊状重合法等の方法を採ることができる。乳
化重合法による場合には、前記播種乳化重合法で説明し
た水を媒体とする通常の乳化重合法により行うことがで
きる。
乳化重合法以外のグラフト重合を遂行するに当っては、
最初に、アクリル系ゴム粒子表面を硬質の樹脂で被覆
し、ゴム粒子のみによる分散が可能となったとき、乳化
系から懸濁系、溶液系または塊状重合系に移行して、グ
ラフト重合を続ける方法を採るのがよい。
本発明方法によって得られる樹脂は、そのまま成形加工
等に用いることができる。また、他の熱可塑性樹脂、例
えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重
合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチ
レン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル・エチレ
ン・プロピレン・ジエン・スチレン共重合体(AES樹
脂)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポ
リカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリフェニレンオキシド等と混練混合して、耐候
性耐衝撃性樹脂として用いることもできる。
本発明方法によって得られた樹脂には、樹脂の性質を阻
害しない種類および量の潤滑剤、離型剤、着色剤、紫外
線吸収剤、耐光性安定剤、耐熱性安定剤、充填剤等の各
種樹脂添加剤を、適宜組み合わせて添加することができ
る。
本発明方法によって得られる耐衝撃性の優れた樹脂は、
射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の各種加工方法
によって目的の成形品とされ、優れた耐候性および耐衝
撃性が要求される用途に使用することができる。
「発明の効果」 本発明は、以上説明したとおりであり、次のように特別
に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大
である。
(1)本発明方法によれば、播種乳化重合により、アク
リル系ゴムのゴム粒子を内層から順次外層に向けて任意
に屈折率を最適化できる。
(2)また、アクリル系ゴム粒子の外側に、任意の屈折
率の架橋グラフト層を設けることができるので、このよ
うなゴムを基体としてグラフト重合させたものを樹脂中
へ分散させた場合、稀釈樹脂とアクリル系ゴム粒子との
屈折率を段階的に近似させるので、優れた着色性と表面
光沢をもつ、耐衝撃性樹脂を得ることができる。
(3)本発明方法によって得られる樹脂は、飽和した炭
素結合の主鎖を持つアクリル系ゴムを基体ゴムとしてい
るので、耐候性が極めて優れている。
(4)本発明方法によって得られる樹脂は、この硬質の
熱可塑性樹脂と優れた相溶性を持つので、混練混合する
ことにより、耐候性耐衝撃性の優れた樹脂組成物を製造
することができる。
「実施例」 次に、本発明を実施例および比較例にもとづいて具体的
に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の例に限定されるものではない。
実施例1 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造ブチルア
クリレート(以下BAと略記する。)937.5g、アクリロニ
トリル(以下ANと略記する。)62.5g、およびアリルメ
タクリレート(以下AMAと略記する。)5gを秤量し混合
して、単量体混合物(I)を調製した。
攪拌装置、還流冷却器、温度計、助剤追加添加装置を備
えた3lガラス製フラスコに脱イオン水1520g、高級脂肪
酸石鹸(炭素数18の脂肪酸のナトリウム塩を主成分とす
る。)20g、および炭酸水素ナトリウム10gを仕込み、窒
素気流下、内温を75℃に昇温した。ついで、このフラス
コに過硫酸カリウム(以下KPSと略記する。)水溶液20m
l(0.75gのKPSを含む。)を添加し、続いて、単量体混
合物(I)40gを添加し、同温度で重合反応を開始し
た。重合反応を開始してから15分経過後、残部の単量体
混合物(I)965gを約65g/10分間の添加速度で連続して
重合系に加えた。
重合反応を開始してから、15分後にKPS水溶液20ml(0.7
5gのKPSを含む。)を、1時間30分後に高級脂肪酸石鹸6
gを添加した。重合反応を開始後、2時間45分で単量体
混合物(I)の添加を完了した。さらに、同温度で1時
間重合反応を継続し、反応を完結終了させ、アクリル系
種ゴム粒子を得た。使用した単量体の転化率は、98.5%
であった。得られたラテックスのゴム粒子径を測定し
た。結果を第1表に示す。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 攪拌機、還流冷却器、温度計、助剤追加添加装置をそな
えた容量が2lのガラス製フラスコに、上記(i)に記載
の方法で得られたアクリル系種ゴム粒子のラテックス3
4.1g、脱イオン水750g、および炭酸水素ナトリウム3.9g
を仕込み、フラスコ内温を75℃に昇温した。KPS水溶液8
ml(0.3gのKPSを含む。)を添加し、重合にそなえた。
一方、第2工程で重合系に添加する次の組成からなる3
種類の単量体混合物(II)−A、(II)−B、(II)−
Cを調製した。
上の3種類の単量体混合物(II)−A、(II)−B、
(II)−Cを、次の手順により3段階に分けて順次フラ
スコに連続的に添加し、重合反応を開始し、継続した。
重合反応を開始してから、45分後、1時間30分後、3時
間後、および4時間後に、各々石鹸水溶液10ml(高級脂
肪酸石鹸0.92gを含む。)づつを添加し、また、1時間3
0分後、および3時間後に、各々KPS水溶液4ml(KPS0.15
gを含む。)づつを追加添加した。重合反応を開始して
から、4時間30分後に単量体混合物の添加を完了し、続
いて同温度でさらに1時間反応を続け、重合反応を完結
終了した。得られたアクリル系ゴムのゴム粒子径を測定
した。
結果を第1表に示す。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 第1工程て使用したと同じ3lのガラス製フラスコに上記
(ii)に記載の方法で得られたアクリル系ゴムのラテッ
クス全量、脱イオン水750g、および炭酸水素ナトリウム
6gを仕込み、フラスコ内温を75℃に昇温した。KPS水溶
液8ml(KPS0.3gを含む。)を添加し、重合にそなえた。
一方、第3工程で重合系に添加する次の組成からなる単
量体混合物(III)を調製した。
単量体混合物(III) MMA*4 58.5g St 95.6g AN 40.9g AMA 1 g [註]*4:メチルメタクリレートを意味する。
以下同じ意味を有する。
上の、単量体混合物(III)を、添加速度約16.3g/10分
間でフラスコに連続して添加し、重合反応を開始した。
重合反応を開始してから、1時間30分後に石鹸水溶液20
ml(高級脂肪酸石鹸1.95gを含む。)を添加した。2時
間後に、単量体混合物(III)の添加を完了し、架橋グ
ラフト反応を終了した。
(iv)第4工程:グラフト重合 上記(iii)に記載の第3工程を終了した重合系をその
ままとし、フラスコ内温を75℃に維持し、攪拌下に、KP
S水溶液8ml(0.3gのKPSを含む。)を添加した。そし
て、St286.6gおよびAN122.9gよりなる単量体混合物(I
V)を添加速度約22.8g/10分間で連続して添加し、グラ
フト重合反応を開始した。
重合反応を開始してから、1時間後および3時間後に、
各々石鹸水溶液20ml(高級脂肪酸石鹸2gを含む。)つづ
を添加し、また、1時間後にKPS水溶液8ml(KPS0.3gを
含む。)を追加添加した。重合反応を開始してから、3
時間後に単量体混合物(IV)の添加を完了し、続いて同
温度でさらに1時間反応を続け、グラフト重合反応を完
結終了した。
使用した単量体の転化率は99%であった。グラフト重合
したラテックスを、常法により塩析し、水でよく洗浄
し、乾燥して、グラフト共重合体約1kgを得た。
(v)樹脂の物性の評価 上記(IV)に記載の方法で得られたグラフト共重合体約
650g、アクリロニトリル・スチレン樹脂(SAN −C、
三菱モンサント化成(株)製)650g、ブチル化ヒドロキ
シトルエン3g、およびステアリン酸マグネシウム5gをそ
れぞれ秤量し、180℃に温度調節した試験用バンバリー
ミキサーで混練し、アクリル系ゴムの含有量が20重量%
の樹脂組成物のペレットを作成した。
この樹脂組成物のペレットを、射出成形機により、耐衝
撃性測定用と光沢評価用の試験片をそれぞれ成形した。
JIS K7110に準拠して、アイゾット衝撃強さ(ノッチ
付)をJIS K7105に準拠して、入射角60°の反射率によ
る光沢をそれぞれ測定した。結果を第1表に示す。
着色性を評価するために、前記組成物用諸原料を上記試
験用バンバリーミキサーによって混練する時に、カラー
用カーボンブラック5.2gを混合添加し、上の場合と同様
の操作により、着色した樹脂組成物のペレットを作成し
た。
この樹脂組成物のペレットを、射出成形機により試験片
を成形した。成形試験片について、下記の基準に基づ
き、肉眼で着色性および外観を判定した。結果を第1表
に示す。
着色性および外観の判定基準 ◎:着色性が良好である。深い黒色(漆黒)となる。真
珠様光沢がなく、ウェルドライン(樹脂溶融接合線)
は、ほとんど認められない。
○:着色性は普通である。黒色の深みに欠け、色合せに
は着色剤の増量が必要である。真珠様光沢はない。ウェ
ルドラインが、若干認められる。
×:着色性が不良である。鈍い灰色様の黒色となる。着
色剤の増量によっても、色合せが困難である。真珠様光
沢を示し、層状剥離が、若干認められる。ウェルドライ
ンが、明確に認められる。
実施例2 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造 実施例1(i)に記載したのと同じ。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 実施例1(ii)に記載したのと同じ。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 実施例1(iii)に記載の例において、単量体混合物(I
II)の組成を、次に示すように変更した外は、同例(ii
i)におけると同様の手順とした。
単量体混合物(III) St 136.5g AN 58.5g AMA 1 g (iv)第4工程:グラフト重合 実施例1(iv)に記載したのと同じ。
(v)樹脂の物性の評価 実施例1(v)に記載したのと同じ。
実施例3 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造 実施例1(i)に記載したのと同じ。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 実施例1(ii)に記載の例において、単量体混合物(I
I)の組成を次の2種類、および添加を次に示すような
2段階の添加に変更した外は、同例(ii)におけると同
様の手順とした。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 実施例1(iii)に記載したのと同じ。
(iv)第4工程:グラフト重合 実施例1(iv)に記載したのと同じ。
(v)樹脂の物性の評価 実施例1(v)に記載したのと同じ。
比較例1 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造 実施例1(i)に記載したのと同じ。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 実施例1(ii)に記載の例において、単量体混合物(I
I)の組成を、BA390gおよびAMA1.95gとし、添加方法を
重合反応開始直後より4時間30分経過する迄の間、単量
体混合物(II)を添加速度約14.5g/10分間で連続添加す
るように変更した外は、同例(ii)におけると同様の手
順とした。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 実施例2(iii)に記載したのと同じ。
(iv)第4工程:グラフト重合 実施例1(iv)に記載したのと同じ。
(v)樹脂の物性の評価 実施例1(v)に記載したのと同じ。
比較例2 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造 実施例1(i)に記載したのと同じ。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 実施例1(ii)に記載の例において、単量体混合物(I
I)の組成を、BA195g、MMA195g、およびAMA1.95gとし、
添加方法を重合反応開始直後より4時間30分後迄の間、
単量体混合物(II)を添加速度約14.5g/10分間で連続添
加するように変更した外は、同例(ii)におけると同様
の手順とした。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 実施例2(iii)に記載したのと同じ。
(iv)第4工程:グラフト重合 実施例1(iv)に記載したのと同じ。
(v)樹脂の物性の評価 実施例1(v)に記載したのと同じ。
比較例3 (i)第1工程:アクリル系種ゴム粒子の製造 実施例1(i)に記載したのと同じ。
(ii)第2工程:アクリル系ゴムの製造 実施例1(ii)の第2工程で用いたと同じ、2lのガラス
製フラスコに、上記(i)に記載の方法で得られたアク
リル系種ゴム粒子のラテックス34.1g、脱イオン水750
g、および炭酸水素ナトリウム3.9gを仕込み、フラスコ
内温を75℃に昇温した。KPS水溶液3ml(0.1gのKPSを含
む。)を添加した。
BA57gおよびAMA0.3gからなる単量体混合物(II)を、添
加速度14.3g/10分間で連続添加して、重合反応を開始し
た。重合反応を開始してから、45分後に石鹸水溶液5ml
(高級脂肪酸石鹸0.35gを含む。)添加した。重合反応
を開始してから、40分後に単量体混合物(II)の添加を
完了し、続いて同温度でさらに1時間反応を続け、重合
反応を完結終了した。得られたアクリル系ゴムのゴム粒
子径を測定した。結果を第1表に示す。
(iii)第3工程:架橋グラフト反応 実施例1(iii)第3工程で使用したと同じ3lのガラス
製フラスコに、上記(ii)に記載の方法で得られたアク
リル系ゴムのラテックス全量を仕込み、フラスコ内温を
75℃に昇温した。KPS水溶液4ml(KPS0.15gを含む。)を
添加した。
St21g、AN9g、およびAMA0.15gからなる単量体混合物(I
II)を、添加速度12.0g/10分間で連続添加して、重合反
応を開始した。重合反応を開始してから、25分後に単量
体混合物(III)の添加を完了し、架橋グラフト反応を
終了した。
(iv)第4工程:グラフト重合 上記(iii)に記載の方法で得られた架橋グラフト反応
を行った重合系を、ひきつづき、フラスコ内温75℃に維
持し、攪拌した。
St52.5gおよびAN22.5gからなる単量体混合物(IV)を、
添加速度約30g/10分間で連続添加して、グラフト重合反
応を開始した。重合反応を開始してから、40分後に石鹸
水溶液10ml(高級脂肪酸石鹸1.05gを含む。)を添加し
た。重合反応を開始してから、25分後に単量体混合物
(IV)の添加を完了し、続いて同温度でさらに1時間反
応を続け、重合反応を完結終了した。
重合添加率は、98%であった。グラフト重合したラテッ
クスを、常法により、塩析し、洗浄、乾燥して、グラフ
ト共重合体を得た。
(v)樹脂の物性の評価 実施例1(v)に記載の例において得られる樹脂組成物
のアクリル系ゴムの含有量が20重量%となるように、グ
ラフト共重合体の量を変更した外は、同例(v)におけ
ると同様の手順とした。
実施例より、次のことが明らかとなる。
(1)本発明方法によって得られる樹脂は、グラフト共
重合体のアクリル系ゴム粒子の内層および外層の屈折率
と稀釈樹脂との屈折率を段階的に漸増させるので、優れ
た着色性と表面光沢をもつ。
(第1表、実施例1〜3) 他方、アクリル系ゴム粒子の屈折率が小さく、稀釈樹脂
の屈折率が大きく、屈折率が近似せず、不連続的に大き
く変化する比較例の場合には、着色性または表面光沢が
不良となる。(第1表、比較例1〜3) (2)本発明方法によって得られる樹脂は、アクリル系
ゴム架橋共重合体ゴムであるので、ブチルアクリレート
単独重合体ゴム(若干の架橋単量体成分を含む。)より
なる樹脂と比較して、耐衝撃性が優れる。(第1表、実
施例1、比較例1) (3)本発明方法によって得られる樹脂は、他の硬質の
熱可塑性樹脂と混練混合することにより、着色性が良好
で、耐衝撃性の優れた樹脂組成物とすることができる。
(第1表、実施例1〜3) また、本発明方法の条件の範囲外で得られる樹脂を用い
た樹脂組成物は、耐衝撃性が劣る。(第1表、比較例1
〜3)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル基の炭素数1〜8のアルキルアク
    リレート単量体70〜100重量%、上記アルキルアクリレ
    ートと共重合可能なビニル単量体0〜30重量%、および
    多官能性ビニル単量体0〜5重量%よりなる単量体混合
    物(ただし単量体混合物は合計100重量%とする。)
    を、乳化重合して、ゴム粒子径が0.03〜0.15μmである
    アクリル系種ゴム粒子を製造する第1工程、 上記第1工程で得られたアクリル系種ゴム粒子1重量部
    を種とし、アルキル基の炭素数1〜8のアルキルアクリ
    レート単量体20〜94.9重量%、単独の重合体の屈折率が
    1.50以上の上記アルキルアクリレートと共重合可能なビ
    ニル単量体5〜79.9重量%、および多官能性ビニル単量
    体0.1〜5重量%よりなる単量体混合物(ただし単量体
    混合物は合計100重量%とする。)2.5〜125重量部を添
    加し、播種乳化重合法により、ゴム粒子径が0.15〜0.5
    μmであるアクリル系ゴムを製造する第2工程、 上記第2工程で得られたアクリル系ゴム100重量部に、
    芳香族ビニル単量体0〜80重量%、シアン化ビニル単量
    体0〜40重量%、単独の重合体の屈折率が1.50未満の上
    記芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜
    99.9重量%、および多官能性ビニル単量体0.1〜5重量
    %よりなる単量体混合物(ただし単量体混合物は合計10
    0重量%とする。)10〜100重量部を添加し、播種乳化重
    合法により、架橋グラフト反応を行う第3工程、 第3工程を終了した重合系に、さらに、芳香族ビニル単
    量体10〜90重量%、シアン化ビニル単量体10〜40重量
    %、およびメチルメタクリレート0〜80重量%よりなる
    単量体混合物(ただし単量体混合物は合計100重量%と
    する。)55〜185重量部を添加し、グラフト重合を行う
    第4工程、 よりなることを特徴とする耐衝撃性樹脂の製造方法。
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