JPH0787765B2 - 食品用水中油型乳化製剤 - Google Patents

食品用水中油型乳化製剤

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JPH0787765B2
JPH0787765B2 JP62094678A JP9467887A JPH0787765B2 JP H0787765 B2 JPH0787765 B2 JP H0787765B2 JP 62094678 A JP62094678 A JP 62094678A JP 9467887 A JP9467887 A JP 9467887A JP H0787765 B2 JPH0787765 B2 JP H0787765B2
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雅章 加藤
雅吉 岩崎
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トコフェロールを含有する水分散性の優れた
食品用水中油型乳化製剤に関するものである。
〔従来の技術及びその問題点〕
トコフェロールは、BHA、BHTと異なり、安全性の高い、
天然の酸化防止剤であり、生殖不能症、筋肉の破壊、赤
血球の溶血、貧血症等の発現を阻止する働きのあるビタ
ミンであるが、油溶性で且つ粘稠であるため、そのまま
食品に添加しても全体に均一に行きわたらず、通常、油
脂に溶解しショートニングやマーガリンの形態にして食
品に練り込んで使用されている。しかしながら、これら
のショートニングやマーガリンは、O型或いはW/O型で
あるため、適当な稠度であれば、小麦粉及びその他の蛋
白・でんぷん粒の表面への展延性はよいが、内部への浸
透性が悪いため、小麦粉等に含まれる脂質には殆ど酸化
防止効果を発揮しない。従って、米菓、ドラ焼き、ブッ
セ、麺類、水産練製品等の、油脂を添加せず、原料素材
に脂質が含まれているような食品にトコフェロールを加
えて酸化防止効果を持たせたり、或いは健康飲料等の健
康食品にトコフェロールを含有させ長期間安定とするに
は、トコフェロールを水に可溶化或いは水中油型に乳化
して、水への溶解性又は分散性、素材への浸透性を持た
せる必要がある。トコフェロールを水に可溶化させる方
法としては、例えば、特開昭59-48414号公報に記載のキ
ラヤサポニンを用いる方法、特開昭60-51104号公報に記
載のキラヤサポニンとモノグリセライドを用いる方法、
及び特開昭60-166676号公報に記載のサポニンと、糖又
は糖アルコールと、ポリグリセライド、蔗糖脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸等の乳化剤とを用
いる方法があるが、これらの方法の場合には、何れも、
得られるもののトコフェロール濃度が5〜8%と低い上
に、サポニン、糖、糖アルコール等の物性、食感に悪影
響を与える材料を15〜40%も含むため、トコフェロール
を多量使用すると必然的にこれらの余分な材料を多量に
含まなければならないという欠点がある。
また、トコフェロールを水に乳化させる試みも多数なさ
れており、例えば、特開昭47-22789号公報には、トコフ
ェロールをC812の油脂に溶解させた後、アラビアガ
ム、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等
の乳化剤を用いて乳化する方法、特開昭51-79746号公報
には、トコフェロールに油溶性乳化剤を溶解した後、ア
ラビアガム等の天然物多糖類(アラビアガム)の水溶液
と混合乳化する方法、及び特開昭59-210024号公報に
は、トコフェロール及びシュガーエステルの混合物をア
ラビアガム水溶液と混合乳化する方法が記載されてい
る。しかしながら、前者の場合には、特定の鎖長の油脂
に溶解しなければならないという制約と、トコフェロー
ル含量が30%程度以下に限られるという欠点があり、ま
た、後2者の場合には、トコフェロール含量が30%程度
以下に限られる上に、アラビアガムを15〜35%と多量使
用する必要があり、トコフェロールを多量使用しようと
するとどうしても糊っぽくなるという欠点がある。その
他、トコフェロールを乳化させる方法としては、特開昭
59-210870号(特開昭59-210024号と類似)公報、特開昭
59-45860号公報、特開昭61-78368号公報、特開昭56-125
315号公報等に記載されている方法があるが、これらの
公報に記載されている方法の場合も、トコフェロール含
量が限られる上に、本来必要でないものを多く含まねば
ならず、トコフェロールを多量使用するような場合には
不都合である。
従って、本発明の目的は、ごく少量の乳化剤を含有する
だけで任意の高濃度にトコフェロールを含有させても乳
化が長期間安定で、且つ水への分散性及び食品素材への
浸透性に優れた食品用水中油型乳化製剤を提供すること
にある。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは、種々検討した結果、特定の乳化剤を用い
ることにより前記目的が達成されることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、トコフェ
ロール、水、及び乳化剤としてリゾフォスファチドを含
有することを特徴とする食品用水中油型乳化製剤を提供
するものである。
尚、リゾフォスファチドは、リゾグリセロフォスファチ
ド又はモノアシルグリセロフォスファチドともいう。
以下、本発明の食品用水中油型乳化製剤について詳述す
る。
本発明で用いられるトコフェロールとしては、天然濃縮
トコフェロール及びこれを油脂で希釈したもの、天然ト
コフェロールからα−トコフェロールを濃縮したもの、
d1−α−トコフェロール等が挙げられ、これらの市販品
を用いることができる。上記トコフェロールは、単独で
又は適宜組み合わせて用いることができるが、酸化防止
を主目的とする場合はノンαのもの、特にノンα,δリ
ッチのものが好ましく、また、トコフェロール純分が60
%以上、特に80%以上のものが好ましい。
また、本発明で用いられる水は、飲用可能なものであれ
ば良く、トコフェロール乳化物に保存性を持たせるた
め、乳化物の用途に応じて、酸性としても、また食塩を
含有させても構わない。
また、本発明で用いられる乳化剤の必須の構成成分であ
るリゾフォスファチドは、構成脂肪酸としては炭素原子
数8以上が好ましく、アシル基の位置はα、βのいずれ
でも良い。かかるリゾフォスファチドとしては天然のL
型のもの、合成のラセミ体のもの、いずれも使用できる
が、天然食品用水中油型乳化製剤とする場合には天然の
L型のものを単独で用い、他の乳化剤は併用しない方が
好ましい。
天然物由来のリゾフォスファチドは、生物体内にジアシ
ルフォスファチドに伴って存在することが知られてお
り、例えば大豆、ナタネ、小麦等の穀物の脂質、動物細
胞の脂質中に含有されており、また、卵黄等の動物脂質
や大豆等の植物脂質中のジアシルフォスファチドに豚の
膵液や蛇毒中のフォスフォリパーゼA-2、または細菌等
のフォスフォリパーゼA-1を作用させて加水分解し、発
生した脂肪酸をアセトン等で除去し、要すればシリカゲ
ルクロマト等によって精製して製造することもできる
(特開昭46-13263号、同52-136966号及び同58-51853号
の各公報参照)。この場合、得られたリゾフォスファチ
ドを適当な溶媒中でニッケル等の触媒の存在下水素添加
を行えば、更に酸化安定性の良いものが得られる。
また、ジャーナル・オブ・アメリカン・オイル・ケミス
ト・ソサイアティ1981年10月号886〜888頁にはフォスフ
ォリパーゼA-2を作用させる条件を種々変化させて各種
組成のリゾフォスファチドが得られることが記載されて
いる。
更に、エチルアルコール等の溶媒を使用してジアシルフ
ォスファチドを分画し、これを原料としてリゾフォスフ
ァチドを得ることもできる。その他、ジャーナル・オブ
・バイオロジカル・ケミストリー188巻471〜476頁(195
1)に記載の卵黄からフォスファチジルコリンを得る方
法、特公昭60-16号、同59-42655号、同57-123496号及び
同56-23997号の各公報に記載の方法によるフォスファチ
ジルコリンを得る方法等も本発明に応用できる。この様
な天然型のリゾフォスファチドは光学活性が左旋性であ
り、動物に対する経口投与の場合の安全性も確認されて
いる(ジャーナル・サイエンス・オブ・フード・アンド
・アグリカルチャー、32巻451〜458頁)。
また、本発明で用いるフォスファチド類の分析法として
は、シンレイヤークロマト法、イヤトロスキャン法、高
速液体クロマト法等がある。
本発明で用いるリゾフォスファチドは、上記のようにし
て得ることができるが、本発明においては、リゾフォス
ファチド(a)が実質的にリゾフォスファチジルコリン
からなるものを用いるのが好ましく、更にリゾフォスフ
ァチド(a)はリゾフォスファチジルエタノールアミン
を含有していても良く、又、少量のリゾフォスファチジ
ルイノシトール、リゾフォスファチジン酸、リゾフォス
ファチジルセリンからなる群から選ばれる一種以上のリ
ゾフォスファチドを含有していても良い。更に天然物か
らリゾフォスファチド(a)を製造する場合は、製造法
の特質上、通常上記リゾフォスファチド(a)と対応す
るジアシルフォスファチド(b)を含有する場合が多い
が、これらを含有する場合はフォスファチド全量
〔(a)+(b)〕に対してリゾフォスファチド(a)
の量が40重量%以上、なるべくは50重量%以上であるも
のを使用するのが良い。
本発明で用いる乳化剤は上記の通りリゾフォスファチド
を必須の成分として含有するものであるが、天然食品用
水中油型乳化製剤ということにこだわらなければ、他の
乳化剤をリゾフォスファチドと併用することができる。
併用が好ましい乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸
エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル或いはグリセリンモノ脂肪酸エステルが挙げられ、
これらを併用すると比較的安価に本発明の目的を達成す
ることができる。
併用が好ましい乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エス
テルとしては、重合度4〜10のポリグリセリンと炭素原
子数14〜22の飽和及び/又は不飽和の脂肪酸とのモノ、
ジ、又はポリエステルの一種又は二種以上の混合物が好
ましい。炭素原子数13以下の脂肪酸のポリグリセリン脂
肪酸エステルは苦みを有する場合があり、一方炭素原子
数23以上の脂肪酸はあまり一般的でない。
また、併用が好ましい乳化剤である蔗糖脂肪酸エステル
としては、炭素原子数12〜22の飽和及び/又は不飽和の
脂肪酸と蔗糖のモノ、ジ、又はポリエステルの一種又は
二種以上の混合物が好ましい。炭素原子数11以下の脂肪
酸の蔗糖脂肪酸エステルは乳化効果が乏しい場合があ
り、一方炭素原子数23以上の脂肪酸はあまり一般的でな
い。
また、併用が好ましい乳化剤であるソルビタン脂肪酸エ
ステルとしては、炭素原子数12〜22の飽和及び/又は不
飽和の脂肪酸とソルビトール、ソルビタン、ソルバイド
の一種又は二種以上の混合物とのモノ、ジ、又はポリエ
ステルの一種又は二種以上の混合物が好ましい。炭素原
子数11以下の脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステルは乳化
効果が乏しい場合があり、一方炭素原子数23以上の脂肪
酸はあまり一般的でない。
また、併用が好ましい乳化剤であるグリセリンモノ脂肪
酸エステルとしては、炭素原子数12〜22の飽和及び/又
は不飽和の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルが好ま
しく、若干量のジエステル、トリエステルを含有してい
てもよい。炭素原子数11以下の脂肪酸のグリセリンモノ
脂肪酸エステルは乳化効果が乏しい場合があり、一方炭
素原子数23以上の脂肪酸はあまり一般的でない。
これらの併用される乳化剤は、リゾフォスファチド/併
用乳化剤=30/70〜100/0(ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの
場合)、50/50〜100/0(グリセリンモノ脂肪酸エステル
の場合)の重量割合で使用できる。リゾフォスファチド
がこれ以下の割合では、本発明の効果は得られない。
前記リゾフォスファチドの使用量は、前記トコフェロー
ルに対して0.1〜5重量%であり、0.1重量%より少ない
と本発明の効果が得られない。また5重量%より多くて
も効果は変わらず不経済であるばかりか、風味の変化を
来す場合もある。乳化系中のトコフェロール分が少ない
場合にはトコフェロールに対するリゾフォスファチドの
使用量は多い方がよい。一般的にはリゾフォスファチド
の純度が高いほど、添加効果は少量で現れる傾向があ
る。
また、前記の他の乳化剤を併用する場合、混合乳化剤
(リゾフォスファチド+併用乳化剤)の添加量は、トコ
フェロールに対して0.1〜5重量%である。5重量%よ
り多く添加しても効果は変わらず不経済であるばかり
か、風味の変化を来す場合もある。
本発明の方法では本発明の目的を逸脱しない範囲でその
他の界面活性剤を乳化剤として併用できる。
本発明の食品用水中油型乳化製剤は、前記リゾフォスフ
ァチド或いは前記混合乳化剤を少量用いることにより、
トコフェロール及び水を任意の割合、好ましくはトコフ
ェロール90重量%以下及び水10重量%以上の割合で水中
油型に乳化して得られる。トコフェロールは、食用油脂
より粘性が高く、水中油型に乳化するのは困難である
が、本発明の乳化剤によれば、トコフェロールを高濃度
に乳化でき、乳化物は逆に、油脂と水で水中油型に乳化
したものより軟らかく、流動状となる。本発明の食品用
水中油型乳化製剤は、安定な流動状であり、また、上記
リゾフォスファチドを主体とする乳化剤の水分散性及び
浸透力が抜群であるため、容易に水に分散或いは小麦粉
等の脂質に浸透し、酸化防止効果或いは保健効果を顕著
に発揮する。また、本発明の食品用水中油型乳化製剤
は、トコフェロール含量にかかわらず乳化は安定であ
り、トコフェロールは分離しないが、トコフェロール低
含量の場合には、連続相である水相が保存条件によって
はクリーミングアップすることがあるが、少し振とうす
ることにより元の状態に戻るので、使用上問題はない
が、均一性を重視する場合には、キサンタンガムを水に
対して0.1〜1.0重量%添加すると良い。
また、本発明の食品用水中油型乳化製剤は、保存性を高
めるため、超高温瞬間殺菌することが可能であり、また
前記したように水相を酸性とすることも水相に食塩を添
加することも可能である。超高温瞬間殺菌する場合は、
トコフェロールの独特の臭いを出させないため、直接加
熱方式の方が好ましい。
本発明においては、その他、少量であれば、香料、調味
料、香辛料、保存料、その他の食品添加物を本発明の目
的の範囲内で添加することができる。
本発明の食品用水中油型乳化製剤の製造法の概略は以下
の通りである。
リゾフォスファチド及び必要に応じ上記の併用しうる乳
化剤を水相或いはトコフェロール相に、好ましくは親水
性乳化剤は水相に、親油性乳化剤はトコフェロール相
に、それぞれ溶解ないし分散させ、更に必要に応じその
他の添加物を加えた後、水相とトコフェロール相とを混
合し、必要に応じ加温攪拌して、予備乳化し、高速攪拌
による乳化、加圧式ホモゲナイザーによる乳化、その他
コロイドミル、超音波等或いはこれらを組み合わせて乳
化を行い、目的物(水中油型乳化物)を得る。得られた
乳化物はそのまま製品としてもよいし、乳化物を更に超
高温瞬間殺菌した後、製品とすることもできる。
本発明の食品用水中油型乳化製剤は、特に用途に限定さ
れるものではなく、従来のトコフェロールが含有される
食品を始め種々の食品に添加することができる。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例に制限されるものではない。
尚、フォスファチドとはリゾフォスファチドとジアシル
フォスファチドとを主成分とするフォスファチドを意味
する。
実施例1 市販大豆燐脂質からアセトン沈澱、含水エタノール分画
により70%のジアシルフォスファチジルコリンを含有す
るフォスファチドを得、これに豚膵臓フォスフォリパー
ゼA-2(ノボ社製、レシターゼ10L)を作用させ、発生脂
肪酸をアセトンで除去しアルコールにより分画し、珪酸
カラムとアルコールにより更に分画してリゾフォスファ
チジルコリン95%、リゾフォスファチジルエタノールア
ミン2%、総リゾフォスファチド含量97%のフォスファ
チドを得た。
このフォスファチド0.8gを水19.2gに溶解し、これに理
研ビタミン製Eオイルゴールド80-5(トコフェロール含
量82.6%、α−トコフェロール1.6g、δ−トコフェロー
ル47.3%)80gを加え、60℃で特殊機化工業製ホモミキ
サーにより13000r.p.m.で6分間乳化し、水中油型乳化
液(本発明の食品用水中油型乳化製剤)を得た。この乳
化液は、粘性流動状であり、水に速やかに分散し、油滴
は観察されなかった。また、この乳化液をガラスシリン
ダーにとり、20℃と35℃を1日に各1回サイクルする恒
温槽に保存したところ、2ヶ月後も全体が均一な流動状
であり、油分離、クリーミングアップとも生じなかっ
た。また、2ヶ月保存後の乳化液について、水分散性を
調べたところ、製造直後と同様に速やかに分散し、油滴
は観察されなかった。
実施例2 実施例1で用いたトコフェロールに代えて、理研ビタミ
ン製Eオイルゴールド60-5(トコフェロール含量62.4
%、α−トコフェロール1.5g、δ−トコフェロール46.9
%)を用いた以外は実施例1と同様にして乳化液(本発
明の食品用水中油型乳化製剤)を得た。この乳化液につ
いて、実施例1と同様にして水分散性及び保存テストを
行ったところ、何れのテストでも実施例1と同様な良好
な結果が得られた。
実施例3 大豆燐脂質からアセトン沈澱を行って脱脂燐資質を得、
これにレシターゼ10Lを作用させた後、イソプロピルア
ルコール・ヘキサン混合溶媒でフォスファチドを抽出
し、アセトン処理して脱脂肪する。これをアルコールで
抽出してリゾフォスファチドを多く含むフォスファチド
を得た。このフォスファチドはリゾフォスファチジルコ
リン48%、リゾフォスファチジルエタノールアミン11%
を主とし、総リゾフォスファチド含量62%のフォスファ
チドであった。
実施例1で用いたフォスファチドに代えて、このフォス
ファチドを用いた以外は実施例1と同様にして乳化液
(本発明の食品用水中油型乳化製剤)を得た。この乳化
液について、実施例1と同様にして水分散性及び保存テ
ストを行ったところ、何れのテストでも実施例1と同様
な良好な結果が得られた。
実施例4 実施例3で用いたフォスファチド0.7g及び食塩3gを水2
6.3gに溶解し、これに理研ビタミン製Eオイルゴールド
80-5 70gを加え、60℃で特殊機化工業製ホモミキサーに
より15000r.p.m.で10分間乳化し、水中油型乳化液(本
発明の食品用水中油型乳化製剤)を得た。この乳化液に
ついて、実施例1と同様にして水分散性及び保存テスト
を行ったところ、何れのテストでも実施例1と同様な良
好な結果が得られた。
実施例5 実施例3で用いたフォスファチド7Kgを水293Kgに溶解
し、これに理研ビタミン製Eオイルゴールド80-5 700Kg
を加え、60℃でプロペラ式攪拌機により200r.p.m.で15
分間攪拌乳化した。次いで、乳化物をアルファ・ラバル
社製VTIS殺菌装置により145℃で3秒間処理し、40℃に
冷却した後、均質圧力50Kg/cm2で無菌的に均質処理し、
容器に無菌充填し、水中油型乳化液(本発明の食品用水
中油型乳化製剤)を得た。この乳化液について、実施例
1と同様にして水分散性及び保存テストを行ったとこ
ろ、何れのテストでも実施例1と同様な良好な結果が得
られた。
実施例6 実施例3で用いたフォスファチド0.5g及びキサンタンガ
ム0.2gを水49.3gに溶解し、これに理研ビタミン製Eオ
イルゴールド80-5 50gを加え、60℃で特殊機化工業製ホ
モミキサーにより13000r.p.m.で6分間乳化し、水中油
型乳化液(本発明の食品用水中油型乳化製剤)を得た。
この乳化液について、実施例1と同様にして水分散性及
び保存テストを行ったところ、何れのテストでも実施例
1と同様な良好な結果が得られた。
実施例7〜10 実施例1におけるフォスファチド部分を、実施例1で用
いたフォスファチド/SYグリスターMS500=5/5(重量
比、以下同じ)の混合乳化剤(実施例7)、実施例1で
用いたフォスファチド/SE-S1670=5/5の混合乳化剤(実
施例8)、実施例1で用いたフォスファチド/エマゾー
ルS-10-F=7/3の混合乳化剤(実施例9)、実施例1で
用いたフォスファチド/エマルジーMS=7/3の混合乳化
剤(実施例10)に代えた以外は実施例1と同様にし乳化
液(本発明の食品用水中油型乳化製剤)をそれぞれ得
た。但し、エマゾールS-10-F及びエマルジーMSはトコフ
ェロールに溶解して使用した。これらの乳化液それぞれ
について、実施例1と同様にして水分散性及び保存テス
トを行ったところ、何れのテストでも実施例1と同様な
良好な結果がそれぞれ得られた。
尚、実施例7〜10でフォスファチドと併用した乳化剤は
下記の通りである。
SYグリスターMS-500 阪本薬品製、ヘキサグリセリンモノステアレート、HLB1
1.6 SE-S1670 三菱化成食品製、蔗糖モノステアレート、 HLB15 エマゾールS-10-F 花王製、ソルビタンモノステアレート、 HLB4.7 エマルジーMS 理研ビタミン製、グリセリンモノステアレート、 HLB2.5 比較例1 実施例1で用いたフォスファチドに代えて、SYグリスタ
ーMS500を用いた以外は実施例1と同様にして水中油型
乳化液を得た。この乳化液は、粘性流動状であり、水分
散性は良かったが、実施例1と同条件で保存したとこ
ろ、翌日から油分離を生じはじめ、5日後には油分離2
%、クリーミングアップ7%を生じ、15日後には凝集固
化した。
比較例2 実施例1で用いたフォスファチドに代えて、SE-S1670を
用いた以外は実施例1と同様にして水中油型乳化液を得
た。この乳化液は、粘性流動状であり、水分散性は良か
ったが、実施例1と同条件で保存したところ、翌日から
油分離を生じはじめ、5日後には油分離1%、クリーミ
ングアップ4%を生じ、20日後には凝集固化した。
上記の比較例1及び2の結果から、比較例1及び2で得
られた乳化液は、実施例1で得られた乳化液に比較して
乳化安定性が悪いといえる。また、比較例1及び2で得
られた乳化液について、1ケ月保存後の水への分散性を
調べたところ、何れの乳化液も、ホモミキサー等を用い
なければ容易には分散せず、水相の表面にトコフェロー
ルの油滴を多量生じた。
比較例3〜4 実施例1で用いたフォスファチドに代えて、エマゾール
S-10-F(比較例3)、エマルジーMS(比較例4)を用い
た以外は実施例1と同様にして乳化を試みたが、何れの
場合も乳化不能であった。
次に、実施例1〜10で得られた乳化液(本発明の食品用
水中油型乳化製剤)及び比較例1〜2で得られた乳化液
を用いて、下記の配合及び製法によりフィナンシェ(半
生タイプ高級クッキー)を試作した。
但し、No.〜ではトコフェロール200ppm含有の通常
のマーガリンを用いて、No.ではトコフェロール0.4%
含有の試作マーガリンを用いた。また、配合量の単位は
重量部である。
(製法) 下記(1)〜(5)の工程順からなる。
(1)生卵白+砂糖の1/2を充分ホイップする。
(2)アーモンドプードル+砂糖の1/2をブレンドした
ものに上記(1)で得られたものを混合する。
(3)上記(2)で得られたものに薄力粉を加えた後、
マーガリンを軟化して加え、更に水又は乳化液を混合す
る。
(4)最終生地比重が0.60〜0.65になるようにする。
(5)マドレーヌ型に生地50gを入れ、180℃で25分間焼
成する。
試作したフィナンシェそれぞれを30℃に保存し、油脂風
味の安定性を観察した。No.〜のフィナンシェは、
何れも、2ケ月後も異臭を感じなかったが、No.〜
のフィナンシェは、15〜20日で若干の異臭を感じ、1ケ
月で劣化臭を感じた。また、No.のフィナンシェは、1
0日で異臭を感じ、20日で明らかな劣化臭を感じた。こ
れらの結果は、No.〜で用いた乳化液(本発明の食
品用水中油型乳化製剤)がアーモンドプードル、小麦粉
等に速やかに浸透するのに対し、No.〜で用いた乳
化液は浸透性が劣り、またNo.のフィナンシェのよう
にマーガリンの油脂中にトコフェロールを溶解したもの
は浸透しないためと推察される。
実施例11 実施例3で用いたフォスファチド0.7Kgを水29.3Kgに溶
解し、d1−α−トコフェロール(98%純度品)70Kgを加
え、これに60℃で特殊機化工業製ホモミキサーにより15
000r.p.m.で十分間乳化し、水中油型乳化液(本発明の
食品用水中油型乳化製剤)を得た。この乳化液は、粘性
流動状であり、この乳化液について、実施例1と同様に
して水分散性及び保存テストを行ったところ、何れのテ
ストでも実施例1と同様な良好な結果が得られた。
次に、この乳化液20Kg及びキサンタンガム2Kgを豆乳197
8Kgに加え、40℃で15分間攪拌混合した後、アルファ・
ラバル社製VTIS殺菌装置により145℃で3秒間処理し、4
0℃に冷却した後、均質圧力50Kg/cm2で無菌的に均質処
理し、容器に無菌充填し、健康豆乳を試作した。この健
康豆乳を35℃に保存したところ、2ケ月後もトコフェロ
ールの油滴は観察されなかった。
〔発明の効果〕
本発明の食品用水中油型乳化製剤は、ごく少量の乳化剤
を含有するだけで任意の高濃度にトコフェロールを含有
させても乳化が長期間安定で、且つ水への分散性及び食
品素材への浸透性に優れ、ビタミンE含有食品用水中油
型乳化製剤として優れた性質を有するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トコフェロール、水、及び乳化剤としてリ
    ゾフォスファチドを含有することを特徴とする食品用水
    中油型乳化製剤。
  2. 【請求項2】トコフェロール及び水の合計量に対して、
    トコフェロールが90重量%以下及び水が10重量%以上の
    割合で含まれていることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項記載の食品用水中油型乳化製剤。
  3. 【請求項3】リゾフォスファチドが、トコフェロールに
    対して0.1〜5重量%含まれていることを特徴とする特
    許請求の範囲第(1)項又は第(2)項記載の食品用水
    中油型乳化製剤。
  4. 【請求項4】リゾフォスファチド(a)が、リゾフォス
    ファチジルコリン(モノアシルフォスファチジルコリ
    ン)を主成分とし、リゾフォスファチジルエタノールア
    ミンを含有し、且つリゾフォスファチジルイノシトー
    ル、リゾフォスファチジン酸、リゾフォスファチジルセ
    リンからなる群から選ばれる一種以上のリゾフォスファ
    チドを含有するものであり、これらリゾフォスファチド
    (a)が該リゾフォスファチド(a)と対応するジアシ
    ルフォスファチド(b)を更に含む場合はフォスファチ
    ド全量〔(a)+(b)〕に対してリゾフォスファチド
    (a)の量が40重量%以上であることを特徴とする特許
    請求の範囲第(1)〜(3)項何れかに記載の食品用水
    中油型乳化製剤。
  5. 【請求項5】リゾフォスファチド(a)が、実質的にリ
    ゾフォスファチジルコリン(モノアシルフォスファチジ
    ルコリン)であり、該リゾフォスファチド(a)がジア
    シルフォスファチド(b)を更に含む場合は、フォスフ
    ァチド全量〔(a)+(b)〕に対してリゾフォスファ
    チド(a)の量が40重量%以上であることを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)〜(3)項何れかに記載の食品
    用水中油型乳化製剤。
  6. 【請求項6】乳化剤として、リゾフォスファチドと、ポ
    リグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソ
    ルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた一種又
    は二種以上の乳化剤とを、重量割合〔前者/後者〕で30
    /70〜100/0の割合で混合した混合乳化剤を、トコフェロ
    ールに対して0.1〜5重量%添加することを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)〜(5)項何れかに記載の食品
    用水中油型乳化製剤。
  7. 【請求項7】乳化剤として、リゾフォスファチドとグリ
    セリンモノ脂肪酸エステルとを、重量割合〔前者/後
    者〕で50/50〜100/0の割合で混合した混合乳化剤を、ト
    コフェロールに対して0.1〜5重量%添加することを特
    徴とする特許請求の範囲第(1)〜(5)項何れかに記
    載の食品用水中油型乳化製剤。
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