JPH0775762A - 金属フォイル洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化メチレンを洗浄液に用いて良好なフォイ
ル洗浄を行い得ると共に、洗浄後の外観不良を解消す
る。 【構成】 フォイル上下面の液切りローラーを設けると
共に、これらローラーに近接してヒーター付き拭き取り
装置を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、塩化メチレンを洗浄液
に用いる場合に好適の金属フォイル洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、１０〜１００μｍｍ厚のろう材
片を製造する場合、先ず所定の合金組成となるように原
料金属を溶解してインゴット状に鋳造し、このインゴッ
トを圧延機で所望の厚さのフォイルに圧延し、次いで得
られたフォイルをプレス機にセットされた打ち抜き金型
によって打ち抜いて所望の形状のろう材片にするのが一
般的な方法である。

【０００３】上記の工程において通常、圧延には潤滑油
を用いるが、打ち抜きには油を使用していない。これは
フォイルに油膜が付着した状態で打ち抜きを行うと、フ
ォイル表面にホコリやゴミあるいは微小な金属片などが
付着し易く、これがろう材片に圧着されると外観不良に
なるからである。そのため圧延に油を用いた場合には、
打ち抜きを行う前にフォイルに付着した油膜を洗浄除去
する必要がある。このようなフォイル洗浄には従来図２
に示すような洗浄装置を用い、洗浄液にはフロン１１３
や１・１・１トリクロロエタンあるいはトリクロロエチ
レンなどの有機溶剤を用いていた。

【０００４】この従来使用の洗浄装置は送りスプール１
から順次送りだされたフォイル２を２個の浸漬ローラー
３によって洗浄槽４内へ導いて洗浄液に浸漬させ、超音
波発生装置５によって超音波振動を与えつつ油膜を除去
し、洗浄槽４から引き出されるフォイル２の表面の付着
洗浄液を拭き取り布６によって拭き取った後、巻き取り
スプール７に巻き取る方法をとっていた。

【０００５】しかしながら、前記有機溶剤はオゾン層破
壊物質に指定され使用出来ないこととなり、これに代る
溶剤として脱脂能力があり、価格的にも有利な塩化メチ
レンの使用が検討された。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】塩化メチレンを洗浄液
として使用する場合問題となるのは、沸点が約４０℃と
トリクロロエタンに比べて低いことと、蒸発潜熱が大き
いことが挙げられる。そのため、図２に示す洗浄装置に
塩化メチレンを入れて使用した場合、フォイル２が洗浄
槽４から出てくる際にフォイル面上に付着同伴する洗浄
液が、拭き取り布６で拭き取られる前に蒸発してしま
い、このときフォイルから大量の気化熱を奪うためにフ
ォイル表面が過度に冷却され、そのため大気中の水分が
フォイル表面に結露して付着し、この結露が原因でフォ
イルの腐食や水シミなどの不良を招くことになる。

【０００７】本発明の目的は塩化メチレンを洗浄液に用
いて良好にフォイル洗浄を行い得ると共に、洗浄後の外
観不良を解消し得るフォイル洗浄装置を提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の金属フォイル洗浄装置は、塩化メチレンを洗浄
液として投入する洗浄槽と、該洗浄槽の一端側外部に配
置された送りスプールから順次送りだされる金属フォイ
ルを該洗浄槽中に導入、浸漬させるための浸漬ローラー
と、該洗浄槽内に設置されて洗浄を促進する超音波発生
装置と、洗浄液面から引き上げられたフォイルの上面に
接触せしめて液切りする上面液切りローラーと、該上面
液切りローラーの下流側に設けられてフォイル下面に接
触せしめて液切りする下面液切りローラーと、該下面液
切りローラーに近接して下流側に設けられ、フォイル表
面に残る洗浄液膜を拭き取るためのヒーター付き拭き取
り装置とを備える点に特徴がある。

【０００９】

【作用】拭き取り装置の前に上下面の液切りローラーを
配置したことによりフォイル表面に付着して引き上げら
れる塩化メチレンは大部分液切りされて洗浄槽に戻され
る。それでもなお残る薄い液膜は拭き取り装置で除去さ
れるが、拭き取り布だけでは付着した塩化メチレンの蒸
発により周辺の温度が低下し、結露を発生させる。その
ため本発明においてはこの拭き取り布をヒーターに巻き
付けて用いることとした。このヒーターにより気化熱が
補われ、結露が効果的に防止され、洗浄不良の原因が解
消されるのである。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明装置の一実施態様を示す概念
図である。本発明に用いる洗浄槽４は直方体のステンレ
ス製の槽が適当で、超音波発生装置５及び浸漬ローラー
３が液面に完全に没するように塩化メチレンを満たす。
上面液切りローラー８はその下端が液面にわずかに接触
するように配設するのが望ましい。液切りローラー８が
液面から離れると、液切りされてローラー８に付着した
液膜が蒸発する際気化熱を奪われて露点以下になり結露
がおきるからである。液切りローラー８を液面にわずか
に接触するように配設すると、ローラー８に付着した液
膜が蒸発しても接触している洗浄液から熱が補給される
ため結露を生じることがない。

【００１１】下面液切りローラー９は上面液切りローラ
ー８の下流側に配設し、上面液切りローラー８の場合と
同じ理由でその下端が液面にわずかに接触するようにす
る。ローラー３，８及び９はテフロン、軸受けはルーロ
ン、このローラーを支えるシャフトはステンレス製が適
当である。また浸漬ローラー３及び液切りローラー８及
び９はステンレス製のアームにより位置を調節できるよ
うにするのが望ましい。

【００１２】本発明の拭き取り装置は拭き取り布６をヒ
ーター１０に巻き付けたもので、液切りされたフォイル
２に平行になるように傾斜させ、下面液切りローラー９
にできるだけ近接させて一対で対面設置する。ヒーター
本体は線状の発熱体を平行にジグザグ状にしたものを絶
縁体で包んで板状にしたものが適当で、ヒーター板が嵌
合し得る窪みを設けた直方体のフェノール樹脂板に埋め
込み、熱伝導を均一にさせるためヒーター側を銅板で覆
うのが適切である。この銅板側をフォイル２側に向け、
使用時はフォイル２を挟み込む。

【００１３】拭き取り布６は網目の細かい布を使用する
のが望ましい。網目の粗い布を使用するとフォイル２の
端のバリにより布が切れる恐れがあるからである。材質
としては、例えば木綿のさらしなどが適当である。

【００１４】

【発明の効果】本発明の洗浄装置により、塩化メチレン
を洗浄液に用いて良好な洗浄を行い得ると共に、効果的
に結露を防止し、シミなどの発生を解消することができ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の洗浄装置の一実施態様を示す概念図で
ある。

【図２】従来の洗浄装置を概念的に示す図である。

【符号の説明】

１ 送りローラー ２ 素材 ３ 浸漬ローラー ４ 洗浄槽 ５ 超音波発生装置 ６ 拭き取り布 ７ 巻き取りスプール ８ 上面液切りローラー ９ 下面液切りローラー １０ ヒーター

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塩化メチレンを洗浄液として投入する洗
   浄槽と、該洗浄槽の一端側外部に配置された送りスプー
   ルから順次送りだされる金属フォイルを該洗浄槽中に導
   入、浸漬させるための浸漬ローラーと、該洗浄槽内に設
   置されて洗浄を促進する超音波発生装置と、洗浄液面か
   ら引き上げられたフォイルの上面に接触せしめて液切り
   する上面液切りローラーと、該上面液切りローラーの下
   流側に設けられてフォイル下面に接触せしめて液切りす
   る下面液切りローラーと、該下面液切りローラーに近接
   して下流側に設けられ、フォイル表面に残る洗浄液膜を
   拭き取るためのヒーター付きの拭き取り装置と、を備え
   てなる金属フォイル洗浄装置。