JPH0774012A - ボンド型永久磁石の製造方法と原料粉末 - Google Patents

ボンド型永久磁石の製造方法と原料粉末

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JPH0774012A
JPH0774012A JP5217688A JP21768893A JPH0774012A JP H0774012 A JPH0774012 A JP H0774012A JP 5217688 A JP5217688 A JP 5217688A JP 21768893 A JP21768893 A JP 21768893A JP H0774012 A JPH0774012 A JP H0774012A
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powder
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magnet
material powder
bond
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JP5217688A
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Masakazu Okita
雅一 大北
Hideki Matsunaga
秀樹 松永
Akio Kitagawa
晃朗 北川
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Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁石粉末を熱硬化性樹脂で被覆した原料粉末
の圧縮成形と熱硬化により製造されるボンド型磁石にお
いて、磁石粉末の充填率を向上させ、磁石粉末間の空隙
を大きく低減させ、異方性磁石粉末の場合に粉末の配向
度を向上させることにより、機械的強度と磁気特性のい
ずれも向上させる。 【構成】 原料粉末の形状を実質的に球形 (アスペクト
比0.75以上) にする。この球形の原料粉末は、熱硬化性
樹脂の有機溶媒溶液に硬磁性磁石粉末を混合した混合液
を噴霧乾燥することにより製造できる。原料粉末が正規
分布の粒度分布を有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気特性、機械的強
度、耐食性(耐酸化性)に優れたボンド型永久磁石の製
造方法とそれに用いる原料粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】永久磁石は、ボンド型磁石と焼結磁石と
に大別される。焼結磁石の方が古くからあり、ハードフ
ェライト、希土類磁石などの硬磁性を示す磁石粉末を必
要により金属質焼結助剤と混合して成形した後、加熱焼
結することにより一般に製造される。
【0003】一方、ボンド型磁石は、磁石粉末を樹脂で
結合(即ち、ボンド)した樹脂結合型の磁石であり、射
出成形、圧縮成形などの各種の樹脂成形法を利用して多
様な形状の磁石を容易に得ることができることから、雑
貨品から一般家庭用各種電気製品、さらには大型コンピ
ューターの周辺端末機器に至るまで幅広く利用されよう
になった。
【0004】ボンド型磁石の結合用樹脂としては、熱可
塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれも利用可能であるが、
熱硬化性樹脂を使用した方が、樹脂量を少なくすること
ができるため、磁石の磁気特性が向上する。熱硬化性樹
脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
ポリエステル樹脂などが利用されている。
【0005】ボンド型磁石は、焼結磁石に比べて、磁性
を発現しない樹脂分を含むことから磁気特性は劣るが、
焼結による収縮がないため、寸法精度良く種々の形状の
磁石が得られるという特徴がある。そのため、スピンド
ルモーター等の小型モーターに近年多く用いられてい
る。
【0006】ボンド型磁石に用いられる成形法のうち、
射出成形は、成形時に充分な流動性が必要となることか
ら、必然的に磁石粉末に対する樹脂量が多くなり、磁石
粉末の充填率の増大 (従って、磁気特性の向上) には限
界がある。
【0007】これに対し、圧縮成形 (プレス成形) は、
射出成形に比べると成形工程が多く、コストが高くなる
反面、熱硬化性樹脂の量は、例えば5重量%以下と少量
でよいので、磁石粉末の充填率を大きくすることが可能
で、良好な磁気特性を得ることができる。
【0008】しかし、近年のコンピュータ、通信機器を
はじめとする電気・電子製品の小型化、高性能化の進展
はめざましく、ボンド型磁石に対しても、一層の磁気特
性の向上が求められている。
【0009】圧縮成形法によりボンド型磁石を製造する
には、まず、磁石粉末と熱硬化性樹脂溶液とを容器中で
混合し、溶媒除去後に得られた磁石粉末の凝集体を物理
的に破砕することにより、熱硬化性樹脂で表面被覆され
た原料粉末を調製する。この樹脂被覆された磁石粉末か
らなる原料粉末を、プレス金型に充填してプレス成形機
で圧縮成形して所望の形状に賦形した後、通常は脱型し
てから加熱して樹脂を硬化させるとボンド型磁石が得ら
れる。従って、圧縮成形法で製造されるボンド型磁石の
磁気特性を向上させるには、用いる磁石粉末の磁気特性
を向上させるか、或いは単位体積中の磁石粉末の充填率
を高める必要がある。
【0010】後者の磁石粉末の充填率を高める手段とし
ては、圧縮成形時のプレス圧力を高めること (例、特開
昭60−207302号公報) 、ならびに潤滑剤やシランカップ
リング剤を磁性粉末の表面に予め被覆しておくか、或い
は熱硬化性樹脂中に配合することにより磁石粉末相互間
および磁石粉末と樹脂との間の摩擦を低減させること
(例、特開昭60−220920号、特開昭62−264602号、特開
平3−74810 号各公報)などが提案されている。
【0011】しかし、プレス圧力の増大は、プレスの大
型化が避けられず、コストが高くなる上に、高い圧力を
かけることによってパンチやダイの摩耗、損傷が著しく
なるという問題があり、パンチなどの強度面からも、圧
力の増大は実際には困難である。
【0012】また、潤滑剤やシランカップリング剤の粉
末被覆や樹脂との混合は、結合剤である熱硬化性樹脂中
に硬化に寄与しない成分が混入するため、磁気特性の改
善は達成されても、機械的強度が低下するという問題が
ある。従って、上記のような難点のない、磁石粉末の充
填率の増大が可能なボンド型磁石がなお求められてい
る。
【0013】一方、磁石粉末の磁気特性自体の向上につ
いても、近年盛んに研究が行われている。その1手段と
して、Sm2Co17 合金系やNdFeB合金系などの磁石粉末で
は、どの方向に磁化しても同じ磁気特性を発現する従来
の等方性磁石粉末に比べてより優れた磁気特性を発揮で
きる、磁気異方性 (以下、単に異方性という) の磁石粉
末が開発されている。
【0014】この異方性磁石粉末は、ある決まった特定
方向 (磁化容易方向) にのみ磁気特性が極めて高いの
で、磁気特性を向上させるには、磁石粉末を樹脂で結合
する際に磁石粉末の磁化容易方向を同じ方向に揃える
(即ち、磁石粉末を配向させる)必要がある。この磁石粉
末の配向は、通常は成形を磁場の印加下で行う、即ち、
実際には磁石粉末を入れたプレス金型に対して加圧中に
1方向の磁場を外部より印加することにより行われる。
しかし、このような磁場の印加による配向を行っても、
磁石粉末の配向が不完全なため、予想されるような磁気
特性の向上が達成されないことが経験されてきた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決し、磁気特性と共に機械的強度が優れ
るボンド型永久磁石の製造方法とそれに用いる原料粉末
を提供することを目的とする。本発明のより具体的な目
的は、磁石粉末を熱硬化性樹脂で結合したボンド型永久
磁石の圧縮成形による製造において、磁石粉末の充填率
が向上し、磁石粉末間の空隙が解消ないし大きく低減さ
れ、かつ異方性磁石粉末の場合に磁場の印加による磁石
粉末の回転が容易な、機械的強度と磁気特性のいずれも
が向上したボンド型永久磁石の製造が可能な方法と、そ
れに用いる原料粉末とを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ボンド型
磁石を一定の樹脂被覆量と圧力で圧縮成形した場合に、
樹脂被覆した磁石粉末の形状と粒度分布により磁石粉末
の充填量が変化することを見出し、本発明の完成に至っ
た。
【0017】ここに、本発明の要旨は、熱硬化性樹脂に
より被覆された永久磁石粉末からなるボンド型永久磁石
製造用の原料粉末であって、被覆後の形状が実質的に球
形であることを特徴とするボンド型永久磁石製造用原料
粉末にある。
【0018】この実質的に球形形状の原料粉末は、熱硬
化性樹脂の有機溶媒溶液に硬磁性磁石粉末を混合し、こ
の混合液を噴霧乾燥することにより製造できる。好適態
様にあっては、この原料粉末は正規分布の粒度分布を有
する。また、磁石粉末が異方性を示す異方性磁石粉末で
あることも好ましい。
【0019】この原料粉末を圧縮成形し、成形中および
/または成形後に樹脂を熱硬化させることにより、ボン
ド型永久磁石を製造することができる。磁石粉末が異方
性磁石粉末である場合には、本発明の原料粉末を磁場の
印加下で圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹
脂を熱硬化させることにより、異方性を示すボンド型永
久磁石を製造することができる。
【0020】ここで、原料粉末の形状が「実質的に球形
である」とは、外観観察で互いに直交する3方向の長さ
の最小長さ/最大長さの比(以下、長さ比という)が平
均で0.75〜1.0 の範囲内にあることを意味する。
【0021】
【作用】本発明者らは、圧縮成形されたボンド型磁石の
表面や、機械的強度試験を行って破断したボンド型磁石
の破断面について、顕微鏡などによりミクロ観察を行っ
た。その結果、圧縮成形されたボンド型磁石において
は、磁石粉末の粒子間が樹脂で完全には充填されておら
ず、空隙が多く存在しており、この空隙が多いほど機械
的強度が低く、かつ磁気特性も低下することを究明し
た。この空隙は、磁石粉末の樹脂被覆量を多くしても大
きくは低減させることができなかった。
【0022】その理由は次のように考えられる。ボンド
型磁石に用いる永久磁石粉末は、一般に形状が偏平であ
ったり、表面に突起を持つ不定形であり、それを少量の
樹脂で被覆した原料粉末もやはり不定形のままである。
さらに、磁石粉末が球形であっても、樹脂被覆工程での
物理的破砕により、樹脂被覆された原料粉末の形状は不
規則化する。この不定形の形状のために、圧縮成形時に
プレス金型内に原料粉末を充填する際の充填密度は比較
的小さくなり(即ち、空隙が多く)、よほど大きなプレ
ス圧力をかけないと、金型内に充填した際に生じた空隙
を磁石粉末や樹脂で埋めることができない。
【0023】また、この原料粉末の不定形の形状によ
り、異方性ボンド型磁石の製造時には、磁場を印加した
際の原料粉末の回転が妨害されるため、得られたボンド
型磁石中の配向度(磁化容易方向が磁場方向に一致した
磁石粉末粒子の割合)が低下し、異方性磁石粉末に固有
の優れた磁気性能が十分に発揮しえない。
【0024】以上の理由により、従来の圧縮成形ボンド
型磁石は、機械的強度と磁気特性のいずれも十分な性能
を示すことができなかったものと考えられる。
【0025】本発明によれば、このような問題点が、樹
脂被覆された磁石粉末である原料粉末の形状を実質的に
球形に制御し、好ましくはその粒度分布を正規分布に制
御することにより解決される。即ち、原料粉末が実質的
に球形であると、粉末の流動性が向上し、金型に充填し
た時の原料粉末の充填密度が増大すると共に、プレス時
の原料粉末同士のすべりが向上するため、磁石粉末の充
填率も増大し、磁気特性が向上する。同時に、通常の圧
力での圧縮成形により、数重量%程度の少量の樹脂量で
磁石粉末の粒子間の空隙が樹脂で埋まり易くなり、空隙
が解消されるか大きく低減するので、機械的強度も向上
する。
【0026】この球形の原料粉末を用いた場合の金型内
の原料粉末の充填密度や磁石粉末の充填率は、原料粉末
の粒度分布によっても変化する。即ち、シャープな粒度
分布や正規分布以外の粒度分布に比べ、RRS粒度線図
上で直線にのる正規分布の粒度分布に近いほど、原料粉
末の充填密度が増大し、その結果として磁石粉末の充填
率も増大する。従って、好ましくは原料粉末の粒度分布
を正規分布とする。
【0027】また、異方性磁石粉末を用いた異方性ボン
ド型磁石においては、原料粉末が実質的に球形である
と、成形時の磁場の印加による配向の際に、原料粉末の
回転の妨害が少なく、回転が容易に起こる。そのため、
磁石粉末の配向度の向上、即ち、磁化容易方向が磁場方
向に揃った磁石粉末の割合の増大が得られ、異方性磁石
粉末による磁気特性の向上効果が十分に達成され、等方
性の磁石粉末を用いた場合に比べて磁気特性は著しく向
上する。
【0028】本発明で用いる磁石粉末は、従来よりボン
ド型永久磁石の製造に用いられてきた任意の永久磁石粉
末でよい。その例には、Nd、Pr、Ce、Dy、Tbなどの希土
類元素とFeとBとを主成分とする希土類鉄系磁石粉末の
ほか、希土類コバルト系磁石粉末、鉄の酸化物を主成分
とするハードフェライトなどの粉末が挙げられる。好ま
しい磁石粉末は磁気異方性を示すもの、即ち、前記の希
土類鉄系や希土類コバルト系の異方性磁石粉末である。
【0029】使用する磁石粉末は、長さ比が0.5 以上の
ものがよく、板状や鱗片状のものは好ましくない。磁石
粉末の平均粒度は 300μm以下であることが好ましい。
使用する磁石粉末は、公知方法で製造したものでも、或
いは市販品でもよい。
【0030】この磁石粉末の被覆に用いる熱硬化性樹脂
としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステ
ル樹脂を始めとする任意の熱硬化性樹脂を使用すること
ができる。必要であれば、熱硬化性樹脂に硬化剤を組合
わせる。熱硬化性樹脂は室温で固体のものがよい。好ま
しい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、特にノボラック型
エポキシ樹脂である。
【0031】本発明の原料粉末は噴霧乾燥(スプレード
ライ)法により製造することができる。即ち、熱硬化性
樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液中に磁石粉末を混
合して分散させ、得られた混合液をスプレーガンから加
熱雰囲気中に噴射して、溶媒を揮散させると、磁石粉末
が樹脂で被覆された実質的に球形の粒子を得ることがで
きる。樹脂の被覆が容易となるように、樹脂溶液は低粘
度のもの (例、室温で約1ps以下のもの) が好ましい。
樹脂溶液には、必要に応じて硬化剤を配合し、さらに所
望によりシランカップリング剤、潤滑剤などの添加剤を
添加してもよい。
【0032】磁石粉末に対する熱硬化性樹脂(固形分)
の割合は、一般には1〜20重量%の範囲内であり、好ま
しくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下であ
る。樹脂の割合が1重量%未満では、成形されたボンド
型磁石内の磁石粉末の結合が不十分となり、成形性が悪
く、かつ機械的強度を著しく低下する。一方、樹脂の割
合が20重量%を越えると、所定の高磁気特性を発揮でき
なくなる。実際の樹脂の割合は、磁石粉末を実質的に完
全に被覆でき、かつ実質的に球形の原料粉末が得られる
範囲内で可及的に少ないことが望ましい。従って、磁石
粉末の形状や粒径に応じて、適当な樹脂量を実験により
決定することができる。
【0033】噴霧乾燥により得られる実質的に球形の原
料粉末の平均粒径 (完全な球形でない場合には最大直径
を粒径とする) は30〜500 μmの範囲内が好ましい。
【0034】前述したように、原料粉末はシャープな粒
度分布よりも、正規分布に近い粒度分布をもつことが好
ましい。その意味で、粒度分布において最大粒径と最小
粒径との差が少なくとも100 μmあることが好ましく、
特に好ましくは粒度分布が正規分布を示す。
【0035】原料粉末の粒径および粒度分布は、使用し
た磁石粉末の粒度分布に依存するので、正規分布の粒度
分布を有する原料粉末を製造するには、用いる磁石粉末
を分級してその粒度分布が正規分布となるように調整し
ておくことが好ましい。もちろん、製造された原料粉末
を分級することにより、正規分布となるように粒度分布
を調整することもできる。
【0036】本発明の原料粉末を用いたボンド型永久磁
石の製造は常法により行うことができる。成形法は圧縮
成形が好ましいが、樹脂量が多い場合には射出成形も適
用できる。圧縮成形の場合、原料粉末が実質的に球形の
形状を有するため、金型内での原料粉末の充填密度が高
く、かつ加圧中の原料粉末のすべりも良好なため、圧力
を非常に高くしなくても、磁石粉末の充填率を高くする
ことができる。成形圧力は通常10 ton/cm2以下で十分で
ある。圧縮成形により所望形状に成形した後、通常は脱
型後、場合によっては成形中から加熱して樹脂を熱硬化
させると、目的とするボンド型磁石が得られる。
【0037】以下に実施例により本発明を具体的に説明
する。実施例中、%および部は特に指定のない限り重量
%および重量部である。また、平均粒径は粒子の最大直
径の平均値を意味する。
【0038】
【実施例】(a) 磁石粉末の調製 原子分率で13%のNd、12%のCo、1%のGa、6%のB、
残部がFeからなるNd−Fe−B系合金を 970〜1170Kの水
素ガス中に保持して、Nd水素化物、 Fe2B、Feに分解す
る。次にこの温度領域で水素圧を下げ、Nd水素化物から
水素を解離させることによって、微細な Nd2Fe14B結晶
からなる磁気異方性を示す磁石粉末を作製した。得られ
た磁石粉末をさらに粉砕し、分級することにより、表1
に示す所定の平均粒径を有する磁石粉末を得た。この磁
石粉末の長さ比は0.66であった。
【0039】(b) 原料粉末の製造 熱硬化性樹脂として常温で固体のクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂を使用し、この樹脂100 部とフェノール
系硬化剤3部とを有機溶媒のメチルエチルケトンに溶解
して樹脂液を得た。この樹脂液に磁石粉末を混合して分
散させ、得られた23℃での粘度が50〜100 psの混合液を
噴霧乾燥に用いた。磁石粉末との混合割合は、磁石粉末
100 部に対して樹脂液中の樹脂固形分の量が3部となる
割合であった。
【0040】噴霧乾燥は、噴射口の孔径が 1.0mmのスプ
レーガンを用いて、上記混合液を噴出圧3kg/cm2で50〜
70℃の雰囲気に噴射することにより行った。溶媒のメチ
ルエチルケトンは蒸発し、硬化剤を含有する上記エポキ
シ樹脂で磁石粉末が被覆された原料粉末が得られた。原
料粉末は噴射終了後、粉末が室温まで冷えてから回収し
た。得られた原料粉末は、顕微鏡での外観観察により実
質的に球形 (互いに直交する3方向の長さの最小長さ/
最大長さの比の平均値が0.75〜1.0 の範囲内、測定粒子
数 200個) であるか否か判定した。
【0041】比較のために、従来の混合解砕法によって
も原料粉末を調製した。この方法では、磁石粉末に上記
樹脂とメチルエチルケトンとを適宜混合し、メチルエチ
ルケトンを蒸発させた後、乳鉢で粉砕して、原料粉末を
得る方法であった。この場合も、磁石粉末100 部に対し
て樹脂固形分の量が3部になるようにした。これらの原
料粉末の粒度分布を表2に示す。
【0042】(c) ボンド型磁石の製造 ボンド型磁石は圧縮成形法により作製した。上記の原料
粉末をプレス金型内に充填し、金型の外部から磁場 (20
kOe) を印加することによって磁石粉末を配向させつつ
6ton/cm2 の圧力で常温においてプレスした。続いて、
脱型後、アルゴンガス雰囲気中で150 ℃に60分間加熱し
て樹脂を熱硬化させ、長さ100 mm、幅10mm 、厚み5 mm
の成形物と10 mm 立方の成形物とからなるボンド型磁石
を得た。これらのボンド型磁石の磁石粉末充填率、密
度、および磁石粉末配向度を測定した。
【0043】磁石粉末の配向度は、使用した原料磁石粉
末の着磁方向の残留磁束密度と着磁方向と垂直な方向の
残留磁束密度との比を1とした時の得られたボンド磁石
の着磁方向ならびにそれに垂直な方向の残留磁束密度の
比率 (%) で表示した。
【0044】
【数1】
【0045】また、各ボンド型磁石の磁気特性と曲げ強
度を、下記の方法で評価した。 (1) 磁気特性測定 10 mm 立方のボンド型磁石を用い、BHトレーサーにより
残留磁束密度(Br)、保磁力 (iHc)ならびに最大エネルギ
ー積 (BHmax)を測定した。
【0046】(2) 曲げ強度試験 100 mm×10mm×5mmのボンド型磁石を用いてJIS K7203
の硬質プラスチックの曲げ試験方法に準じて行った。支
点間距離は75 mm 、試験速度は2mm/分で行い、試験結
果より曲げ破壊強度を算出した。
【0047】実施例1〜4 原料粉末の製造を上記の噴霧乾燥法により行った。得ら
れた原料粉末はいずれも実質的に球形の形状を有してい
た。
【0048】比較例1〜4 原料粉末の製造を上記の混合解砕法により行った。得ら
れた原料粉末の形状はいずれも実質的に球形ではなかっ
た。
【0049】なお、原料粉末の粒度分布は、実施例1と
比較例1ではシャープな粒度分布であり、実施例2と比
較例2ではブロードな粒度分布であるが非正規分布であ
り、1施例3、4と比較例3、4ではブロードな粒度分
布で、かつ正規分布である粒度分布であった。試験結果
を次の表3にまとめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表3に示した試験結果から明らかな通り、
本発明の実質的に球形の原料粉末から製造されたボンド
型磁石は、磁石粉末の充填率、従ってボンド型磁石の密
度が高く、磁気特性に優れている上、曲げ破壊強度も著
しく向上している。これらの向上は、特に原料粉末の粒
度分布が正規分布である実施例3および4において顕著
であった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、原料粉末が実質的に球
形であるため、金型内での原料粉末の充填密度が向上
し、それによりボンド型磁石中の磁石粉末の充填率が向
上するとともに空隙が大幅に低減されるため、ボンド型
磁石の磁気特性と機械的強度が向上する。この効果は、
原料粉末の粒度分布が正規分布である場合にはさらに顕
著になる。
【0055】また、異方性の磁石粉末から異方性のボン
ド型磁石を製造する場合、従来は磁場の印加による配向
時に金型内の原料粉末の回転が起こりにくく、配向度を
上げることが困難であった。これに対し、本発明では原
料粉末が実質的に球形であるため、原料粉末の磁化容易
方向が容易に磁場方向に揃うように回転するので、配向
度が向上し、それによっても磁気特性が向上し、異方性
ボンド型磁石に固有の高い磁気特性を十分に発現させる
ことが可能となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【数1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】なお、原料粉末の粒度分布は、実施例1と
比較例1ではシャープな粒度分布であり、実施例2と比
較例2ではブロードな粒度分布であるが非正規分布であ
り、施例3、4と比較例3、4ではブロードな粒度分
布で、かつ正規分布である粒度分布であった。試験結果
を次の表3にまとめて示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 晃朗 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂により被覆された永久磁石
    粉末からなるボンド型永久磁石製造用の原料粉末であっ
    て、被覆後の形状が実質的に球形であることを特徴とす
    るボンド型永久磁石製造用原料粉末。
  2. 【請求項2】 正規分布の粒度分布を有する、請求項1
    記載のボンド型永久磁石製造用原料粉末。
  3. 【請求項3】 磁石粉末が磁気異方性を示す粉末であ
    る、請求項1または2記載のボンド型永久磁石製造用原
    料粉末。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の原料粉
    末を圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂を
    熱硬化させることからなる、ボンド型永久磁石の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の原料粉末を磁場の印加
    下で圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂を
    熱硬化させることからなる、磁気異方性を示すボンド型
    永久磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂の有機溶媒溶液に永久磁石
    粉末を混合し、この混合液を噴霧乾燥することからな
    る、請求項1〜3のいずれかに記載のボンド型永久磁石
    製造用原料粉末の製造方法。
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