JPH077046Y2 - バイメタルを用いた工作機械の主軸ベアリングのプリロ−ドを一定に維持する装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、マシニングセンタなどの工作機械の主軸に
取付けらた、主軸ベアリングに与えられるプリロード
を、バイメタルを用いて一定に維持して、正確な工作を
行うための装置に関するものである。

（従来の技術） 工作機械の主軸ベアリング間には、外輪用スペーサと内
輪用スペーサとが介装されており、外輪には、工作にあ
たって、主軸が正規の回転をするよう、油圧又は押しね
じなどによって、常に一定のプリロードが与えられてい
る。

ところが、加工につれて、主軸や主軸ベアリングに発生
する熱が、内外輪スペーサに伝わるため両スペーサが膨
張する。一方、主軸は冷却油などにより冷却されるが、
主軸に近接する内輪用スペーサに対して、主軸から離れ
た位置にある外輪用スペーサが相対的に高温となって、
内輪用スペーサに比し、外輪用スペーサがより膨張する
傾向がある。

このため、外輪に与えられたプリロードに余計な力がか
かって、主軸ベアリングのボールの滑りが大きくなっ
て、正規の回転をしなくなり、正確な加工ができなくな
ってしまう。この傾向は、主軸の回転数が大きくなるほ
ど著しい。

そこで、外輪のプリロードを一定に維持するため、主軸
の回転数を検出して、油圧を自動的に変化させる、又は
押しねじを調節するなどの手段がとられている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、主軸の回転数に応じて油圧を変化させる
手段は、構成が複雑で高価となる。又、押しねじを調節
する手段は、調節が難しいうえ、さらに高価になるなど
の欠点があった。

（問題点を解決するための手段） この考案は、複雑な構成を用いることなく、しかも安価
に、外輪に与えられるプリロードを一定に維持する装置
を提供することを目的とするものである。

即ち、工作機械の主軸に取付けられる主軸ベアリングの
外輪間に、間隔おいて対向配設されて、両外輪を互いに
反対方向へ押圧するとともに、温度上昇に伴って間隔を
縮める少なくとも一対のバイメタルを介装したことを要
旨とするものである。

（作用） 主軸、主軸ベアリングの発熱により外輪に伝わった熱
は、外輪間に介装されたバイメタルの温度を上昇させ
る。一対のバイメタルは温度上昇に伴って、その間隔を
縮めるので、熱膨張による余計な力が外輪にかからず、
外輪に与えられているプリロード量は一定に維持され
る。

（効果） 外輪間に介装されたバイメタルによって、外輪に与えら
れるプリロード量が、常に一定に維持されるので、押し
ねじによる調節が不要である。又、油圧、押しねじを用
いるような複雑な構成が不要でる。

（実施例） 図面に於いて、1a、1bは主軸ベアリングで、2a、2bはそ
の外輪、3a、3bはその内輪である。又、４は内輪間に介
装される内輪用スペーサである。

5a、5bは押し環で、前部押し環5aは前部外輪2aの、後部
押し環5bは後部外輪のそれぞれ対向する内輪面に当接す
るよう：適宜間隔をおいて配設されている。

6a、6bは一対のバイメタルで、それぞれ、間隔をおいて
対向する内側には、熱膨張率の小さい材質（例えば鉄）
の金属片Ａが、その外側には、熱膨張率の大きい材質
（例えば銅）の金属片Ｂが圧着されて形成されている。
このバイメタル6a、6bは、それぞれ上部を後述の主軸ハ
ウジング12内周面に設けられた凹部13に嵌着され、前部
バイメタル6aの下部は前部押し環5aの、又、後部バイメ
タル6bの下部は後部押環境5bのそれぞれ対抗する内端面
に当接するよう配設されている。

７は一対のバイメタル6a、6b上部間に張設された皿ばね
で、一対の両バイメタルを適当な力で互いに反対方向へ
押圧して連結しており、支持軸８によって支持されてい
る。この皿ばね７は、両バイメタル6a、6b間に数個所配
設される。

したがって、主軸、主軸ベアリングの熱は、押し環5a、
5bを経て一対のバイメタル6a、6bに伝わり、温度上昇に
伴い、それぞれバイメタルは、互いに内側へ曲がり間隔
が縮まる。

なお、11は主軸、12は主軸ハウジング、13は主軸ハウジ
ング内周面に設けられた凹部である。14は主軸ベアリン
グ押さえ兼用の前面フランジであって、押しねじ15によ
り、主軸ハウジング12に取付けられるとともに、主軸ベ
アリング1a、1bにプリロードを与えるものである。

上記実施例では、１対のバイメタルを前後の押し環を介
して外輪間に介装したが、押し環の一方または双方を廃
して、直接外輪間に介装することも可能である。

又、バイメタルを複数対設けることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は主軸要部の縦断面図である。 1a、1b……外輪 5a、5b……押し環 6a、6b……バイメタル 11……主軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械の主軸ベアリング外輪間に、間隔
   をおいて対向配設されて、両外輪を互いに反対方向へ押
   圧するとともに、温度上昇に伴って間隔を縮める少なく
   とも一対のバイメタルを介装したことを特徴とするバイ
   メタルを用いた工作機械の主軸ベアリングのプリロード
   を一定に維持する装置。