JPH076118Y2

JPH076118Y2 - キャップ用脱酸素剤収納体

Info

Publication number: JPH076118Y2
Application number: JP16128088U
Authority: JP
Inventors: 義彰井上; 正人渡辺; 俊夫小松; 由一森田
Original assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Current assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date: 1988-12-14
Filing date: 1988-12-14
Publication date: 1995-02-15
Anticipated expiration: 2003-12-14
Also published as: JPH0283265U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は脱酸素剤を封入して用いられるキャップ用収納
体に関する。更に詳しくは、容器のキャップ内面に装着
するための脱酸素剤収納体において、カップ状本体の下
面の外側に、通気性を有し液体を通さないシートを配し
てなるキャップ用脱酸素剤収納体に関する。

酒類、醤油、ジュース類、栄養ドリンク剤あるいは写真
現像液等の中には微生物の栄養物質や還元物質が含まれ
ており、しかも空気中には酸素が存在するので、微生物
による腐敗あるいは変敗、還元物質の酸化による変色ま
たは機能の低下を招くことがある。これらの現象は系内
の酸素を除去することによって防止することができる
が、本考案は種々の物質、特に液状または半液状物質の
保存に用いるための脱酸素剤が封入されるキャップ用収
納体に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、食品をはじめとする種々の液状物質を保存するに
は例えば次のような方法が知られている。

酒類では酒を容器に充填する前に温度を70〜80℃まで上
げ、微生物を殺す方法（火入れ）によりその効果を上げ
てきた。しかしこの方法の場合は酒の味が変質するとい
う欠点があった。

液状または半液状である食料品およびその他の物質の保
存においては、密閉容器中の空気を窒素と置換する方法
も採られているが、容器の壁面から透過する酸素を除去
できないという欠点がある。またコスト的な理由から0.
1％以下まで酸素の濃度を下げることが困難であり、こ
の方法による保存効果は実用上限界があるものであっ
た。

液体に保存剤を添加する方法も採られているが、この方
法の場合は味が変質したりまたは安全衛生上人体に対す
る影響が種々論じられているのが実情である。

こうした事情のなかで、食品を保存する最も効果的な保
存方法として密封容器内に食品を入れ、脱酸素剤を適用
する方法が最近注目されている。しかし、従来の脱酸素
剤は酸素と反応する粉末を紙あるいは不織布等の通気性
包装材料からなる小さな袋に充填して用いられているた
め、これらの脱酸素剤を液状または半液状の食品等の物
質が入っている容器に適用した場合には次のような問題
があった。

（１）脱酸素剤の中の成分の一部が保存目的とする液状
または半液状の中に溶出し、その結果被保存物質が着色
したり、または味の変質や匂いの変質をひきおこす場合
があった。

（２）脱酸素剤を充填した包装材料が液状または半液状
物質で濡れてしまい酸素吸収が停止することがあった。

（３）小さなスペースには脱酸素剤を入れることが困難
な場合が多かった。

ところで、液状食品を保存する最も効果的な保存方法と
して、壜の密封容器内に食品を入れ、脱酸素剤をキャッ
プに装填した例が開示されている。

例えば、実開昭55-161858号公報及び実開昭56-38056号
公報には、脱酸素剤を通気性かつ耐水性の袋又は成形容
器に封入後、この袋又は成形容器をキャップに付帯した
収納室に収納したりキャップに付属せる保持部にはめこ
み固定したものが開示されている。これらの公報に開示
されたキャップは、脱酸素剤収納容器の一部が微多孔を
有し、常圧で水を通さない気体透過性シートで構成され
ているため、紙を使用した脱酸素剤包装袋に比べると耐
水性には優れている。

しかしながら、これらのキャップでは、気体透過性シー
トが脱酸素剤と接触したまま、多湿下で脱酸素剤が酸化
して固化すると、気体透過性シートに貼りつくことにな
り、そして、その脱酸素剤が酸化し吸湿する際生成する
液状成分が、シートを通して染み出す場合があった。特
に、液体容器全体が傾いた時や振動した際、脱酸素剤収
納容器がキャップに付帯した収納室内で移動して、収納
室の壁に衝突し、傾いたり転倒することになるが、その
場合、シートに傷がついたり、シートと脱酸素剤が固着
して、上記染み出しの現象が生じることがあった。

また、これらのキャップは、収納室の下部で液状食品と
接する側に***があるため、容器が振動した際に液面が
ゆれ、液が容易に脱酸素剤収納室にかかり、液が***を
閉塞したり、上記のしみが液と接触して、液を汚染する
こととがあった。

更に、キャップに付属した保持具に収納室をはめこむタ
イプの場合は、液面がゆれ、液が収納室にかかりやすい
し、収納室を保持具に入れる際、収納室が変形してシー
トがひずみ、傷がつく等、耐水性が低下する欠点もあ
る。また、このキャップは２個以上の部品をキャップに
装填する構造であるため、加工上の複雑さと困難さを伴
う欠点もある。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案の課題は、上述の従来技術の有する問題点に鑑
み、容器内を効果的に脱酸素すると共に、加工上の困難
性がなく、脱酸素剤の成分が保存しようとする物品、た
とえば液状または半液状物質へは移行しないようにする
ことである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するための手段は、容器のキャップ内
面に装着される脱酸素剤収納体においてカップ状本体の
下面の中央部が周縁部より内側に湾曲してなり、該湾曲
部に単数または複数個の小孔を設けてなり、かつ、通気
性を有し液体を通さないシートがカップ状本体の下面の
外側に配されその周縁部のみが固定されたもの、とした
ことである。

なお、上記の解決手段において、脱酸素剤収納体は、例
えば、従来の酒壜用打栓あるいはスクリューキャップの
特に外形形状をも利用して、その機能を果たすようにし
たものである。そして脱酸素剤収納体は容器のキャップ
の内面に装着ないし嵌合されるものである。

脱酸素剤収納体はカップ状本体と、通気性を有し液体を
通さないシートと、所望により設けられるガスバリヤー
性蓋体シートとから構成される。

カップ状本体はその内部空間に脱酸素剤を収納しうるカ
ップ状の形状のものであり、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィンや、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレン等の１種または２種以上の
プラスチック材料が好ましく用いられる。また、開栓性
を良好とするため、脂肪酸アミド等の滑剤を添加するこ
とも好ましい態様である。カップ状本体がこれらのプラ
スチック材料から形成される場合は、たとえばインジェ
クション成型によって製造される。

カップ状本体の底部である下面は、その中央部が内側
（カップの内部空間側）へ湾曲した構造を有する。そし
て、その湾曲部にはカップ状本体内部と容器本体内部と
の通気を可能にするために単数または複数の小孔が設け
られる。小孔の口径は0.5〜5mmの範囲が好ましく、0.5
〜3mmの範囲が特に好ましい。

カップ状本体の下面の外側（容器本体側）には通気性を
有し液体を通さないシート（以下、「通気性を有し液体
を通さないシート」を、単に「シート」ということがあ
る。）が配される。そしてこのシートは、カップ状本体
と一体的に周縁部のみのシール、好ましくは熱シールに
より固定される。この場合、シールされる周縁部のシー
ル内端の径は8mm以上が好ましく、12mm以上とすること
が更に好ましい。

通気性を有し液体を通さないシートは、その透気度が1,
000ml/m²・Ｄ・atm以上のものが用いられ、10,000ml/m²
・Ｄ・atm以上のものが好ましい。このシートは、少な
くとも常圧では水を通さない特性、好ましくは0.1kg/cm
²以上、更に好ましくは0.3kg/cm²以上の水圧では水を通
さない特性を有するものでる。このシートは、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ
リふっ化エチレン等のふっ素樹脂、ポリ塩化ビニル等で
例示される合成樹脂のフィルムの冷間延伸、異物を含有
する上記フィルムの延伸、異物を含有する上記フィルム
からの異物抽出後の延伸、上記合成樹脂の繊維の束の交
錯分散後の熱プレス、上記フィルムへの電子線等の照
射、上記合成樹脂の繊維の液中抄造後の熱プレス、上記
フィルムへのエンボス加工等によって得られる。これら
のシートには、耐水耐油性を更に向上させるため、シリ
コン樹脂、シリコンアクリル樹脂ポリフルオロカーボン
等を表面塗布及び／又は含浸させることも好ましい。

更に、これらのシートには、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等の熱軟化性の不織布や有孔フィルムをラミネート
して用いることも、カップ状本体との接着性を考慮する
と、好ましい態様である。

シートの市販の具体的な商品例としては、ジュラガード
（米セラニーズ社製）、NFシート（徳山曹達（株）
製）、タイベック（米ジュポン社製）、アルト（阿波製
紙（株）製）、ゴーアテックス（米ゴーア社製）、NTF
（日東電工（株）製）等、またはそれらの処理品、加工
品を挙げることができる。

また、本考案のキャップ用脱酸素剤収納体は、キャップ
本体との密着性に不備が生じても、気密性を保持できる
ように、カップ状本体の上面開口部はガスバリヤー性シ
ートによって、密閉遮断した構造とすることが望まし
い。このガスバリヤー性シートの酸素透気度は、100ml/
m²・Ｄ・atm以下が好ましく、50ml/m²・Ｄ・atm以下が
特に好ましい。例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のシート
またはフィルム、及び、それらの低発泡体、さらには、
これにポリ塩化ビニリデンをコートしたシート、及び／
又は、アルミ箔、アルミ蒸着したシート又はフィルム等
が用いられる。更に、これらのシートは、カップ状本体
への貼り合わせ加工を容易にするため、カール防止等の
目的で、紙等の他のシートと積層することも好ましい態
様である。

カップ状本体の内部空間に収納される脱酸素剤として
は、鉄粉をはじめとする金属粉、硫酸第一鉄、塩化第一
鉄等の第一鉄塩、亜二チオン酸塩等の還元性硫黄化合
物、アスコルビン酸および／またはその塩、エリソルビ
ン酸および／またはその塩、カテコール、ハイドロキノ
ン等の還元性有機化合物等を主剤としたものが用いられ
る。これらの中で鉄粉、アスコルビン酸および／または
その塩、エリソルビン酸および／またはその塩を主剤と
して用いる脱酸素剤が特に好ましい。

脱酸素剤の形状としては、たとえば、粒状、球状、タブ
レット状に成形したもの、またはこれらをブリスター包
装等の通気性容器に収納したもの等が用いられる。脱酸
素剤の大きさはカップ状本体の下部の湾曲部に設けた穴
より大きいことが必要である。特に脱酸素剤をタブレッ
ト状に成形したものは本考案のキャップを製造する際の
容易さの点で好ましい。

〔作用〕

前記の解決手段は以下のように作用する。

本考案では、カップ状本体の下面中央部が周縁部より内
側に湾曲しているため、保存すべき液状物質が容器の振
動等によって周縁部のみにて固定されたシートにかかっ
た場合でも、液状物質がシートを通してカップ状本体内
部に浸透することはない。

一方、カップ状本体の下面部分が湾曲していない場合
は、カップ状本体の下面とシートが接触するため、液の
揺れによる衝撃によってシートはカップ状本体下面と液
圧に挟まれ、液がカップ状本体内部に浸透し、シートの
通気性を損なわせる場合があり、好ましくない。

また、本考案の脱酸素剤収納体を容器に適用し、液状ま
たは半液状物質の変質防止に使用した場合、脱酸素剤が
酸素を吸収した際に生成する液体可溶性成分の保存すべ
き液状または半液状物質などの物品側への移行がない。
更に、脱酸素剤収納体の中空部であるカップ状本体内部
に脱酸素剤が収納されるため、脱酸素剤とシートは、カ
ップ状本体の下面と、カップ状本体下面の湾曲により形
成された空間とにより隔てられるため、脱酸素剤はシー
トと接触することがなく、したがって、脱酸素剤の酸化
固化によるシートへの悪影響等を皆無となる。

〔実施例〕

図面は脱酸素剤収納体を例示したものである。

第１図はスクリューキャップ10に適用した場合である。
プラスチックで形成されたカップ状本体20の下面の中央
部Ａはカップ内部へ湾曲し、カップ状本体20の下面の外
側には通気性を有し液体を通さないシート６が配され
る。カップ状本体20の下面とシート６とは、シート６の
周縁部のみの熱シールにより固定される。カップ状本体
20の上面開口部にはガスバリヤー性蓋体シート５が設け
られ、カップ状本体20の上面縁部とのシールにより固定
される。この脱酸素剤収納体はスクリューキャップ10内
面に装着（嵌合）される。

この脱酸素剤収納体装着キャップを用いて液体を保存し
たとき、容器本体内部の酸素が好適に吸収されるととも
に、シートへの脱酸素剤成分の染みだしは皆無であっ
た。

第２図は打栓11に適用した場合であり、カップ状本体21
はスクリューキャップの場合と同様のものである。

〔考案の効果〕

本考案の脱酸素剤収納体を容器に適用し、液状または半
液状物質の変質防止に使用した場合、脱酸素剤が酸素を
吸収した際に生成する液体可溶性成分の保存すべき液状
または半液状物質側への移行が防止されるため容器内の
被保存物が何ら汚染されることなく、効果的に脱酸素さ
れ好適に液体の品質が保持される。更に、脱酸素剤は、
シートとは接触することがなく、したがって、脱酸素剤
の酸化固化によるシートへの悪影響等は皆無となる。

なお、本考案の被保存物は特に液体に限定されることな
くスラリー状、ジェリー状、ゾル状あるいは固体であっ
ても水分活性の高いもの全てに好適に用いられる。

また、本考案の収納体は脱酸素剤を収納し、キャップに
適用され、特に好適に用いられるものであるが、乾燥剤
収納体、防臭剤収納体、芳香剤収納体、防虫剤収納体等
として転用することも可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は、キャップの内面に装着した脱酸素剤収納体の一
態様の断面図である。第１図はスクリューキャップに適
用した例、第２図は打栓に適用した例を示す。図面において、10および11はキャップ、20および21はカ
ップ状本体、３は脱酸素剤、40および41は容器の口部、
５はガスバリヤー性蓋体シート、６は通気性を有し液体
を通さないシート、７は小孔、Ａは湾曲部を表す。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】容器のキャップ内面に装着される脱酸素剤
収納体であって、カップ状本体の下面の中央部が周縁部
より内側に湾曲してなり、該湾曲部に単数または複数個
の小孔を設けてなり、かつ、通気性を有し液体を通さな
いシートがカップ状本体の下面の外側に配されその周縁
部のみが固定されてなるキャップ用脱酸素剤収納体。
【請求項２】脱酸素剤収納体の中空部カップ状本体内部
に脱酸素剤が収納されてなる請求項１に記載のキャップ
用脱酸素剤収納体。
【請求項３】カップ状本体の上端がガスバリヤー性シー
トからなる蓋体で密閉されてなる請求項１または請求項
２に記載のキャップ用脱酸素剤収納体。
【請求項４】その内面に請求項１〜３のいずれかに記載
の脱酸素剤収納体が装着されてなるキャップ