JPH0756237Y2 - 貴金属複合板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は記念品や贈答品として所持または保存するこ
とができ、かつ装飾的および資産的価値を有する貴金属
複合板に関する。

「従来の技術」 従来、小型の金塊は、コインやメダルに見られるように
金型を用いて刻印することにより、その表面に模様が付
与されていた。

ところで、近年、金の大衆化が進み、金の取り扱い単位
が小さくなってグラム単位での売買がされるようになっ
た。しかしながら、このような少量の金をコインやメダ
ルとしてある程度厚さを持った状態でプレス成形したも
のは、形状が非常に小さいため見栄えがせず、記念品や
贈答品としての効果が薄いという難点があった。

そこで、例えば、金塊を圧延して薄板状（例えば、1gの
金を厚さ15μｍに延ばすと名刺程度の大きさになる）と
し、これの表面に目的に応じた模様や文字を刻印などに
よって施し、さらに、この薄板を透明な樹脂からなる保
護膜で被覆して、ある程度の厚みを付与した複合板とす
ることにより、カード状の記念品や贈答品等として使用
することができる。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、上記複合板を例えばA4判程度の大きさに形成
して、これを額縁等に入れて装飾的、資産的価値をさら
に高めることが考えられるが、この場合、貴金属薄板が
非常に薄い（15μｍ程度）ため、製造過程において、シ
ワが発生したり、破損しやすく、さらに、ある程度の大
きさを越えると、技術的に限界があり製造が困難であ
る。

また、上記複合板は貴金属薄板による同一色調であるた
め、装飾性が乏しく、さらに、裸の状態またはビニール
袋等に入れられて売買されているので、表面の傷、汚
れ、折れ曲がり等によりなお一層装飾的価値の低下を招
きやすいという問題がある。

「考案の目的」 この考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、比較
的広面積で装飾的、資産的価値にも優れ、かつ、表面の
傷、汚れ、折れ曲がり等を防止して装飾的価値を長期に
亙って維持することができる貴金属複合板を提供するこ
とを目的としている。

「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するために、この考案の請求項１の貴金
属複合板は、貴金属または貴金属の合金からなる貴金属
薄板の表裏面を透明な樹脂からなる第１保護膜で被覆し
てなる複合板を複数枚水平方向に並設し、これら複合板
に、部分的に不透明な絵文字を施した透明装飾板を重ね
合わせ、これら全体を透明な樹脂からなる第２保護膜で
一体的に被覆したものである。

また、請求項２の貴金属複合板は、貴金属または貴金属
の合金からなる貴金属薄板の表裏面を透明な第１保護膜
で被覆してなる複合板と、絵文字を施した貴金属および
貴金属の合金以外の装飾板とをそれぞれ少なくとも１枚
以上水平方向に並設し、これら全体を透明な樹脂からな
る第２保護膜で被覆したものである。

「作用」 請求項１の貴金属複合板にあっては、材質の異なる貴金
属薄板を有する複合板を並設することにより、異なる色
調によるコントラストが得られ装飾効果を高めることが
でき、さらに、コントラストの採れた色調を背景として
透明装飾板に施された絵文字が浮き上がって見えるの
で、より一層装飾効果を高めることができる。

また、複合板を水平方向に並設することにより比較的広
面積のものでも容易に製造することができ、しかも、貴
金属薄板にシワの発生や破損等が生じることがない。

さらに、全体が第２保護膜で被覆されているので、汚れ
等の付着やスリ傷等の発生、折り曲がり等を防止するこ
とができる。

また、請求項２の貴金属複合板にあっては、使用目的に
応じたデザインの装飾板を、貴金属薄板を第１保護膜で
被覆してなる複合板と並設したので、一段と装飾効果を
高めることができるとともに、貴金属薄板を自在に小さ
くして金の量目を減らすことができるので、極少量の貴
金属で記念品や贈答品としての機能を十分に持たせるこ
とができる。

また、全体が第２保護膜で被覆されているので、汚れ等
の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止すること
ができる。

「実施例」 以下、第１図ないし第９図を参照して、この考案の貴金
属複合板の実施例を説明する。

（請求項１に相当する実施例） 第１図ないし第６図はこの考案の第一実施例を示すもの
であり、図中符号1,2,3はそれぞれ複合板を示す。

複合板1,3は、第４図に示すように、純度99.99％以上の
白金の塊状素材を圧延を繰り返して厚さ15μｍに仕上
げ、縦横の寸法をそれぞれ47mm、25mmにして切断された
薄板4,5の両面に、透明のポリエステルからなる第１保
護膜6,7を接着し、周縁部をトリミング加工してなるも
のである。また、複合板２は上記と同様にして形成され
た金の薄板８の両面に、第１保護膜９を接着し、周縁部
をトリミング加工してなるものである。そして、これら
複合板1,2,3はこの順で長辺どうしを当接させて水平方
向に並設されている。

これら複合板1,2,3の表面には、部分的に不透明な絵文
字10,11,12を施した透明装飾板13（厚さ:0.1mm）が重ね
合わされている。この透明装飾板13は、第５図に示すよ
うに、複合板1,2,3を並設したものと同形状の透明のポ
リエステル樹脂フィルムに、絵文字10,11,12である人形
絵を施してなるものであり、各絵文字10,11,12はそれぞ
れ複合板1,2,3上に位置するよう施されている。

上記絵文字10,11,12を施す方法としては、塗料の塗布、
レリーフ彫刻、エッチングなど適宜の方法及びこれらを
組み合わせた方法、さらに、コピーマシンによる方法が
あり、熱複写、レーザコピー、写真方式のコピーなどに
よれば、鮮明なカラーコピーを任意の原版を元に容易に
行える。また、不透明な部分を絵文字10,11,12の部分と
しても、絵文字の背景の部分としてもよい。絵文字の部
分を繰り抜いてその部分の貴金属を露出させてもよい。
この透明装飾板13に表示する絵文字10,11,12の内容は、
特に限定されるものではないが、例えば、行事の記念、
著名な絵画やデザインの複製などが考えられ、また、結
婚式の引き出物の場合には新郎新婦の名前のように商品
ごとに異なる表示がされる。

さらに、上記複合板1,2,3の裏面には、絵文字14,15,16
として貴金属の元素名を施した透明装飾板17が重ね合わ
されている。なお、この透明装飾板17の材質、形状、厚
さは上記透明装飾板13と同一である。

そして、第１図ないし第３図に示すように、上記複合板
1,2,3および透明装飾板13,17全体が第２保護膜20により
被覆され、周縁部がトリミング加工されて、貴金属複合
板が製造される。

上記第２保護膜20は、表面にアクリル樹脂からなり、表
面硬さが4Hのハードコート（厚さ:10μｍ）が施された
厚さ0.1mmポリエステル樹脂フィルムからなるものであ
り、加熱圧着することにより全体に被覆される。なお、
このポリエステル樹脂フィルムは加熱圧着前は不透明で
あるが加熱圧着後は透明化される。また、上記ハードコ
ートの硬さは3H〜6Hの範囲に設定することにより、扱い
時等による表面のスリ傷やクラックの発生を防止するこ
とができる。

上記構成の貴金属複合板によれば、白金による白系色
と、金による黄金色との異なる色調によるコントラスト
により装飾効果を高め、さらに、コントラストの採れた
色調を背景として透明装飾板13に施された絵文字10,11,
12が浮き上がって見えるので、より一層装飾効果を高め
ることができる。

また、貴金属薄板4,5,6の表裏面を第１保護膜6,7,8で被
覆してなる複合板1,2,3を水平方向に並設することによ
り製造するようにしたので、比較的広面積のものでも容
易に製造することができ、しかも、貴金属薄板4,5,6に
シワの発生や破損等が生じることがない。

さらに、全体が第２保護膜20で被覆されているので、汚
れ等の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止し
て、装飾的、資産的価値を長期に亙って維持することが
できる。

なお、上記実施例では、３枚の複合板1,2,3を並設した
が、これに限ることなく多数の複合板を並設すれば、額
縁等に挿入可能な任意の大きさに形成することができ、
さらに、装飾的、資産的価値を高めることができる。

（請求項２に相当する実施例） 第７図ないし第９図はこの考案の第二実施例を示すもの
であり、図中符号21は複合板を示す。

この複合板21は、第７図に示すように、純度99.99％以
上の金の塊状素材を圧延を繰り返して厚さ15μｍに仕上
げ、縦横の寸法をそれぞれ72mm、21.5mmにして切断され
た薄板22の両面に、透明のアクリル樹脂らなる第１保護
膜23,23を接着し、周縁部をトリミング加工してなるも
のである。なお、裏面側の第１保護膜には金の品位、量
目、メーカ名等の保証文字24が印刷されている。

また、図中符号25は装飾板を示す。この装飾板25は上記
複合板21と同形状でかつ厚さが0.4mmの紙からなるもの
であり、その表裏面には絵文字26が描かれている。

そして、上記複合板21と装飾板25とを長辺どうしを当接
させて水平方向に並設し、これら全体が透明なアクリル
樹脂フィルムからなる第２保護膜（厚さ0.3mm）27によ
り被覆され、周縁部がトリミング加工されて、貴金属複
合板が製造される。

上記構成の貴金属複合板によれば、貴金属以外からな
り、かつ使用目的に応じたデザインの装飾板25を、貴金
属薄板22が第１保護膜23により被覆れてなる複合板21と
並列に並べたので、一段と装飾効果を高めることができ
るとともに、複合板21を小さくすることにより、貴金属
薄板22を自在に小さくして金の量目を減らすことができ
るので、極少量の金で記念品や贈答品としての機能を十
分に持たせることができる。

また、全体が第２保護膜27で被覆されているので、汚れ
等の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止して、
装飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

なお、上記実施例では、１枚の複合板21と１枚の装飾板
25とを並設したが、これに限ることそれぞれを複数枚並
設してもよい。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案の請求項１の貴金属複合
板によれば、貴金属薄板の表裏面を透明な樹脂からなる
第１保護膜で被覆してなる複合板を複数枚水平方向に並
設したので、材質の異なる貴金属薄板を使用することに
より、異なる色調によるコントラストが得られ装飾効果
を高めることができ、さらに、コントラストの採れた色
調を背景として透明装飾板に施された絵文字が浮き上が
って見えるので、より一層装飾効果を高めることができ
る。

また、貴金属薄板の表裏面を第１保護膜で被覆してなる
複合板を水平方向に並設することにより比較的広面積の
ものでも容易に製造することができ、しかも、貴金属薄
板にシワの発生や破損等が生じることがない。

さらに、全体が第２保護膜で被覆されているので、汚れ
等の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止して、
装飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

また、請求項２の貴金属複合板によれば、貴金属以外か
らなり、かつ使用目的に応じたデザインの装飾板を、貴
金属薄板を第１保護膜で被覆してなる複合板と並列に並
べたので、一段と装飾効果を高めることができるととも
に、複合板を小さくすることにより、貴金属薄板を自在
に小さくして金の量目を減らすことができるので、極少
量の金で記念品や贈答品としての機能を十分に持たせる
ことができる。

また、全体が第２保護膜で被覆されているので、汚れ等
の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止して、装
飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図はこの考案の貴金属複合板の第一実
施例を示すものであり、第１図は貴金属複合板の断面
図、第２図および第３図はそれぞれ貴金属複合板の表裏
面を示す平面図、第４図は複合板の斜視図、第５図およ
び第６図はそれぞれ透明装飾板を示す平面図、第７図な
いし第９図は第二実施例を示すものであり、第７図は貴
金属複合板の断面図、第８図および第９図はそれぞれ貴
金属複合板の表裏面を示す平面図である。 1,2,3……複合板、4,5,8……貴金属薄板、6,7,9……第
１保護膜、13,17……透明装飾板、20……第２保護膜、2
1……複合板、22……貴金属薄板、23……第１保護膜、2
5……装飾板、27……第２保護膜。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貴金属または貴金属の合金からなる貴金属
   薄板の表裏面を透明な樹脂からなる第１保護膜で被覆し
   てなる複合板を複数枚水平方向に並設し、これら複合板
   に、部分的に不透明な絵文字を施した透明装飾板を重ね
   合わせ、これら全体を透明な樹脂からなる第２保護膜で
   一体的に被覆したことを特徴とする貴金属複合板。
2. 【請求項２】貴金属または貴金属の合金からなる貴金属
   薄板の表裏面を透明な第１保護膜で被覆してなる複合板
   と、絵文字を施した貴金属および貴金属の合金以外の装
   飾板とをそれぞれ少なくとも１枚以上水平方向に並設
   し、これら全体を透明な樹脂からなる第２保護膜で被覆
   したことを特徴とする貴金属複合板。