JPH0756239Y2 - 積層薄肉貴金属複合板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は記念品や贈答品として、手軽に所持または保
存することがで、かつ使用目的に応じて貴金属の量目を
自在に調整でき、しかも装飾的、資産的価値を有するよ
うな積層薄肉貴金属複合板に関する。

「従来の技術」 従来、小型の金塊は、コインやメダルに見られるように
金型を用いて刻印することにより、その表面に模様が付
与されていた。

ところで、近年、金の大衆化が進み、金の取り扱い単位
が小さくなってグラム単位での売買がされるようになっ
た。しかしながら、このような少量の金をコインやメダ
ルとしてある程度厚さを持った状態でプレス成形したも
のは、形状が非常に小さいため見栄えがせず、記念品や
贈答品としての効果が薄いという難点があった。

そこで、例えば、金塊を圧延して薄板状（1gの金を厚さ
15μｍに延ばすと名刺程度の大きさになる）とし、これ
の表面に目的に応じた模様や文字を刻印などによって施
し、さらに、この薄板を透明な樹脂からなる保護膜で被
覆して、ある程度の厚みを付与した複合板とすることに
より、カード状の記念品や贈答品として使用することが
できる。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、上記のような複合板の装飾的、資産的価値を
高めるには、貴金属薄板を厚くしてその量目を増加すれ
ばよいが、この場合、加工時に圧延厚を厳密に調整する
必要があり、使用目的に応じて厚さの異なる貴金属薄板
を製造するには多大の手間と労力がかかり、結果とし
て、薄肉貴金属複合板の製造コストが高くなるという問
題がある。

「考案の目的」 この考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、使用
目的に応じて、貴金属の量目を容易にかつ自在に調整す
ることができるとともに、装飾的、資産的価値を有する
積層薄肉貴金属複合板を提供することを目的としてい
る。

「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するために、この考案の積層薄肉貴金属
複合板は、貴金属または貴金属の合金からなる貴金属薄
板の表裏面を透明な樹脂からなる保護膜で被覆してなる
複合板を複数枚層状に重ね合わせ、これら全体を透明な
樹脂からなる被覆膜により一体的に被覆したものであ
る。

「作用」 この考案の積層薄肉貴金属複合板にあっては、複合板の
積層枚数を変えることにより、貴金属の量目を容易にか
つ自在に調整することができ、使用目的に応じて貴金属
の量目の異なる積層薄肉貴金属複合板を容易に製造する
ことができ、製造コストを低減することができる。

また、全体が保護膜により被覆されているので、汚れ等
の付着やスリ傷等の発生、折り曲がり等を防止して、装
飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

「実施例」 以下、第１図ないし第11図を参照してこの考案の積層薄
肉貴金属複合板の実施例を説明する。

第１図ないし第８図は第一実施例を示すものであり、図
中符号1,2,3はそれぞれ複合板を示す。

これら複合板1,2,3は、純度99.99％以上の金の塊状素材
を圧延を繰り返して厚さ15μｍに仕上げ、名刺大に切断
された金の薄板4,5,6の両面に、透明のポリエステル樹
脂フィルムからなり、かつ裏面に接着剤が塗布された保
護膜（厚さ:0.1mm）7,8,9を加熱圧着し、周縁部をトリ
ミング加工してなるものである。なお、上記ポリエステ
ル樹脂フィルムは、加熱圧着前は不透明であるが、加熱
圧着後は透明化される。

上記複合板1,2,3の表面には、第５図ないし第７図に示
すように、それぞれ、感謝状の文面、行事の記念写真、
許証に関する文字が印刷されてなる絵文字10,11,12が施
されており、複合板1,2,3の裏面にはそれぞれ、第８図
に示すように、装飾効果を高める人形絵（絵文字）13
と、金の品位、量目、メーカ名等からなる保証文字（絵
文字）14とが印刷されている。

上記絵文字10〜14は、印刷の他に、塗料の塗布、レリー
フ彫刻、エッチングなど適宜の方法及びこれらを組み合
わせた方法、さらに、コピーマシンによる方法があり、
熱複写、レーザコピー、写真方式のコピーなどによれ
ば、鮮明なカラーコピーを任意の原版を元に容易に行え
る。また、絵文字10,11,12の内容は、特に限定されるも
のではないが、例えば、行事の記念、著名な絵画やデダ
インの複製などが考えれ、また、結婚式の引き出物の場
合には新郎新婦の名前のように商品ごとに異なる表示が
される。

そして、上記複合板1,2,3をこの順で層状に重ね合わ
せ、これら全体を被覆膜15により一体的に被覆し、周縁
部をトリミング加工することにより、第１図ないし第３
図に示す積層薄肉貴金属複合板が製造される。

上記被覆膜15は、表面にアクリル樹脂からなり、表面硬
さが5Hのハードコート（厚さ:10μｍ）が施された厚さ
0.1mmのポリエステル樹脂フィルムからなるものであ
り、加熱圧着することにより全体に被覆される。

上記構成の積層薄肉貴金属複合板は、1gの貴金属薄板4,
5,6のそれぞれを保護膜7,8,9により被覆してなる複合板
1,2,3を重ね合わせ、これら全体を被覆膜15で一体的に
被覆したものである。したがって、複合板の積層枚数を
変えることにより、金の量目を容易かつ自在に調整する
ことができ、使用目的に応じて金の量目の異なる積層薄
肉貴金属複合板を容易に製造することができ、製造コス
トを低減することができる。

また、全体が被覆膜15により被覆されているので、汚れ
等の付着やすり傷等の発生、折れ曲がり等を防止して、
装飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

さらに、複合板1,2,3の表裏面に使用目的に応じた絵文
字10,11,12が施されており、しかもこれら絵文字10,11,
12は、金の持つ黄金色を背景として浮き上がって見える
ので、記念品や贈答品としての機能を十分に果たすると
ともに、装飾効果をより高めることができる。

加えて、被覆膜15の外周部を切断することにより、中身
の複合板1,2,3を容易に分離することができ、しかも、
複合板1,2,3自体に絵文字10,11,12が施されているの
で、複合板1,2,3を、このまま記念品や贈答品として使
用することができる。

なお、上記実施例では複合板1,2,3のそれぞれの貴金属
薄板4,5,6を全て金で形成したが、これに限ることな
く、例えば、複合板３の貴金属薄板を白金で形成しても
よい。このようにすれば、積層薄肉貴金属複合板の表裏
面で、金による黄金色と、白金による白系色との異なる
色調を得ることができ、さらに、装飾的効果を高めるこ
とができる。また、上記と同様に被覆膜15の外周部を切
断することにより、各複合板を分離することができるの
で、金と白金とを容易に分離することができ、換金、回
収等の際に便利である。

第９図ないし第11図はこの考案の第二実施例を示すもの
であり、これらの図において符号20は複合板を示す。こ
の複合板20は、長辺が20mm、短辺が10mm、高さが40mmの
台形板状をなす純度99.99％以上の金の薄板（厚さ15μ
ｍ）22の両面に、透明のポリエステルからなり、かつ裏
面に接着材が塗布された保護膜（厚さ:0.1mm）23,23を
加熱圧着し、周縁部をトリミング加工してなるものであ
る。

この複合板20の表面には、部分的に不透明な絵文字24を
施した透明装飾板（厚さ:0.1mm）25が重ね合わされてい
る。この透明装飾板25は、透明のポリエステル樹脂フィ
ルムに、絵文字24である人形絵を印刷等の適当な方法で
施してなるものであり、複合板20は同形状に形成されて
いる。

また、図中符号26は複合板を示す。この複合板26は、上
記複合板20より広面積な台形板状のものであり、純度9
9.99％以上の色金の薄板（厚さ15μｍ）27の両面に、透
明のポリエステルからなり、かつ裏面に接着材が塗布さ
れた保護膜（厚さ:0.1mm）28,28を加熱圧着し、周縁部
をトリミング加工してなるものである。また、裏面側の
保護膜28の表面には印刷等の適当な方法で人形絵（絵文
字）29が施されている。

そして、複合板26の表面下部に、上記透明装飾板25が重
ね合わされた複合板20を重ね、全体を上記被覆膜15と同
材質の被覆膜30により被覆して一体化し、その上縁中央
にリボン取付穴31を形成してリボン32を取り付け、さら
に、周縁部をトリミング加工することにより、しおりと
して使用される積層薄肉貴金属複合板が製造される。

上記構成の積層絵文字付き薄肉貴金属複合板によれば、
第一実施例の効果に加え、表面側において、金による黄
金色と、バックグランドとなる白金の白系色とのコント
ラストにより、装飾効果をより高めることができるとい
う効果が得られる。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案の積層薄肉貴金属複合板
によれば、貴金属薄板を保護膜により被覆してなる複合
板を複数枚層状に重ね合わせ、これら全体を被覆膜で一
体的に被覆したものであるから、複合板の積層枚数を変
えることにより、貴金属の量目を容易かつ自在に調整す
ることができ、使用目的に応じて貴金属の量目の異なる
積層薄肉貴金属複合板を容易に製造することができ、製
造コストを低減することができる。

また、全体が被覆膜により被覆されているので、汚れ等
の付着やスリ傷等の発生、折れ曲がり等を防止して、装
飾的、資産的価値を長期に亙って維持することができ
る。

さらに、被覆膜の外周部を切断することにより、中身の
複数枚の複合板を容易に分離することができるので、複
合板をこのまま記念品や贈答品として使用することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図はこの考案の一実施例を示すもので
あり、第１図は積層薄肉貴金属複合板の断面図、第２図
および第３図はそれぞれ積層薄肉貴金属複合板の表裏面
を示す平面図、第４図は複合板を示す断面図、第５図な
いし第７図はそれぞれ複合板の表面を示す平面図、第８
図は複合板の裏面を示す平面図、第９図ないし第11図は
第二実施例を示すものであり、第９図は積層薄肉貴金属
複合板の断面図、第10図および第11図はそれぞれ積層薄
肉貴金属複合板の表裏面を示す平面図である。 1,2,3……複合板、4,5,6……貴金属薄板、7,8,9……保
護膜、15……被覆膜、20,26……複合板、22,27……貴金
属薄板、23,28……保護膜、30……被覆膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貴金属または貴金属の合金からなる貴金属
   薄板の表裏面を透明な樹脂からなる保護膜で被覆してな
   る複合板を複数枚層状に重ね合わせ、これら全体を透明
   な樹脂からなる被覆膜により一体的に被覆したことを特
   徴とする積層薄肉貴金属複合板。