JPH075536Y2 - 磁気ヘッド位置調整機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、磁気ヘッド位置調整機構に関し、特にたと
えば、ビデオテープレコーダ等において使用される磁気
テープに対応して設けられた磁気ヘッドを所定位置に調
整する機構に関する。

〈考案の概要〉 本考案は、磁気ヘッド位置調整機構の内で、いわゆるＸ
位置調整に関すもので、磁気ヘッドを支持しまた支軸を
回転中心とし１方向から付勢されたアーム部材と、付勢
逆方向から板バネ部材を圧接し、前記板バネ部材を変形
する事により磁気ヘッドの支軸を中心とした回転方向姿
勢の位置調整をアーム部材を通し行なうものである。

〈従来の技術〉 従来から、ビデオテープレコーダ（以下、VTRという）
等に装備された磁気ヘッドの位置調整においては、搬送
されてくる磁気テープに対し、その最適の高さ位置及び
最適角度を設定するためにたとえば以下に示すような各
種の調整を行う必要がある。

第１に磁気ヘッドの設置面からの高さ位置の調整、 第２いわゆるアジマス調整と呼ばれるものであって、磁
気テープの進行方向に対する磁気ヘッドの傾き角度の調
整、 第３にいわゆるチルト角調整と呼ばれるものであって、
磁気テープに対面した磁気ヘッドの前方及び後方への傾
き角度の調整、 第４にいわゆるＸ位置調整と呼ばれるものであって、磁
気テープの進行方向に対する磁気ヘッドのギャップの前
ずれ又は後ずれの位置調整、 等である。

次に、このような磁気ヘッドの高さ位置及び取り付け角
度調整機構の一典型例を第５図〜第７図に示す。第７図
において、磁気ヘッド３は、アーム１の上面1a上に一定
の間隔14を隔てて載置された平面視略菱形状の基台２上
に取り付けられている。アーム１は、その一端部に中空
の円筒部1cを垂直に具備しており、この円筒部1cが例え
ば、VTR（図示せず）の内部所定の設置面Ｅに垂直に設
けられたシャフト４に軸支されることによって取り付け
られている。尚、シャフト４の下部4aには、一端を設置
面Ｅに固定し且つ他端をアーム１の1bに係着して、アー
ム１を上方（第７図示の矢印Ａ方向）に付勢し且つ平面
視において第５図示の矢印Ｄ′方向に揺動可能に回動付
勢するコイルスプリング７が装着されており、一方、同
上部4bには、コイルスプリング７により上方に付勢され
ているアーム１の高さ位置を調整するための止ナット５
が螺着されている。

次いで、アーム１の第５図に図示の矢印Ｄ′方向への揺
動側近傍には、アーム１の側端面1dに当接し、回動して
くるアーム１をその位置で阻止するテーパナット11が設
けられている。テーパナット11は、その回動周面に傾斜
を設け、下方に向かって徐々に縮径されるように形成さ
れており、シャフト４と同様に設置面Ｅに垂直に設けら
れたシャフト13に回動可能に螺着されている。

一方、基台２は、例えば、第５図から分かるように各角
部2a,2b,2c及び2dに配布されたアーム１突部12,ビス6,
ピン8,ビス10を介して、アーム１上に取り付けられてい
る（第６図及び第７図参照）。このうちアーム突部12は
上述するように磁気ヘッド３の前部であって対応する角
部2aに配置され、このアーム突部12を介して、基台２が
アーム１に対して若干の自由度を保持でき得るように係
着している。

次に、アーム突部12に対向する位置に設けられるビス６
はその下端においてアーム１の上面1aに当接し、ピン８
はその下端においてアーム１にのみ螺合し、しかもピン
８の軸部には、例えば、基台２をアーム１側に押し下げ
ておくためのコイルばね９が装着されている。そして、
ピン８に対向する位置に設けられるビス10は基台２を貫
通し、下端においてアーム１にのみ螺合している。

従って、このような構造をとる従来の磁気ヘッド位置調
整機構の場合において、例えば、磁気ヘッド３の高さ位
置を調整しようとする時には、シャフト４に螺合してい
る止ナット５を緩めるかまたは締めつけるかして、アー
ム１を上下に移動させることによって行う（第７図示の
矢印Ａ−Ａ′方向）。また、アジマス調整を行おうとす
るときには、ビス10を緩めるかまたは締めつけるかしビ
ス10の対向位置に設けられているピン８と協働して基台
２を第６図示の矢印Ｂ−Ｂ′の方向に揺動させることに
よって行う。次いで、チルト角調整を行おうとするとき
には、ビス６を緩めるかまたは効めつけるかし、突部12
を回転中心として、基台２を第７図示の矢印Ｃ−Ｃ′の
方向に揺動させることによって行う。

そして、Ｘ位置の調整を行おうとするときにはテーパナ
ット11を緩めるかまたは締めつけるかすることによって
行う。これにより、アーム１の端面1dに回動周面を接触
させるテーパナット11の半径は変化し、アーム１はシャ
フト４を回転中心として第５図示の矢印Ｄ−Ｄ′方向に
回動することになる。ここに、磁気ヘッド３の前方に位
置する開演ドラム（図示せず）から磁気ヘッド３のＨ点
（第５図参照）までの距離が調整されることになる。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところが、従来の磁気ヘッド位置調整機構の場合、磁気
ヘッドのＸ位置の調整が行われた後にこの磁気ヘッドの
高さ位置の調整を行おうとするとアーム１の高さが変化
し、テーパナット11の回動周面であってアーム１の端面
1dと接触する部分の半径も相対的に変化することとなっ
て、磁気ヘッド３のＸ位置の調整を再び行なわなければ
ならなかった。また、何等かの原因で磁気ヘッド３又は
アーム１に外力が加わり、たとえば、アーム１が第７図
示の矢印Ｃ方向に回動した場合には、このアーム１は、
コイルスプリング７の付勢力を受けかつテーパナット11
の縮径方向に移動していることにより第５図示の矢印
Ｄ′方向に回動してしまう。これでは、磁気ヘッド３を
もとの位置に復帰させるために、テーパナット11の操作
を介して戻さなければならず、極めて困難な作業になる
という欠点があった。

それゆえに、この考案の主たる目的は、磁気ヘッドの位
置調整を簡単且つ正確に行える磁気ヘッド位置調整機構
を提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成するために、この考案が採用する主たる
手段は磁気ヘッドを支持し、設置面に設定された第１支
軸を回転中心として揺動可能に設けられるアーム部材
と、前記アーム部材の揺動側近傍であって、前記第１支
軸から適宜離れて設定され屈曲してなる板バネ部材と、
第２支軸を回転中心として回動可能に設けられる前記板
バネ部材を変形ならしめる部材と前記アーム部材側に装
着され、このアーム部材の端面を前記板バネ部材に圧接
させておくための付勢手段とを備えてなる点である。

〈作用〉 ネジ部材（板バネ部材を変形ならしめる部材）が第２支
軸を回動中心として回されると、これに応じて板バネ部
材が変形しさらに板バネ部材の変形によりアーム部材が
第１支軸を回転中心として揺動する。一方、例えば、磁
気ヘッドの高さ位置を調整しようとして、止ナット５を
緩めるかまたは締めつけるかしてアーム１の高さ位置を
調整しようとしてみても、板バネ部材により押し出し量
がアーム部材への高さ方向への移動には何等影響せず、
磁気ヘッド２に揺動は生じない。

磁気ヘッドＸ位置調整のために行なわれるアーム部材の
揺動と、磁気ヘッドの高さ位置の調整のために行なわれ
るアーム部材１の上下方向への移動とが、それぞれ別個
の操作によて行われるので、一方の動きが他方の動きに
よって規制されあるいは影響されることがなくなり、磁
気ヘッドの高さ位置の調整とＸ位置の調整とを容易にか
つ確実に行うことができる。また、もし外力が加わりア
ーム部材が高さ方向あるいは回動方向に移動して位置ず
れを起した場合でも、板バネ部材によるアーム部材への
押し出し量がアーム部材の高さ方向あるいは回動方向に
おける移動によらないから、アーム部材の初期状態への
復帰を容易に行うことができる。

〈実施例〉 この考案の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は
図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明を一層明
らかとなろう。

第１図はこの考案の一実施例に係る磁気ヘッド位置調整
機構の概略平面図、第２図は第１図における実施例機構
の正面図、第３図は第１図における実施例機構の側面
図、第４図は第１図〜第３図の板バネ部材及び板バネ変
形用ネジ部材の組立概略図を示す。

尚、以下の実施例においては、第５図〜第７図に示した
従来の磁気ヘッド位置調整機構と共通する要素には同一
の符号を使用して説明する。また以下の実施例機構の場
合、磁気ヘッドの高さ位置及び角度調整を行うための高
さ位置調整機構，アジマス調整機構及びチウト角調整機
構等については、第５図〜第７図において既に説明した
従来の磁気ヘッド位置調整機構のものと同一の機構を使
用しているので、それらについての説明は省略する。

第３図において、磁気ヘッド位置調整機構20は、上述し
た従来のものと同様に、設置面Ｅ上に設けられたシャフ
ト４を回転中心として、第１図示の矢印Ｄ−Ｄ′の方向
に揺動可能に取り付けられたアーム１を具備している。
そして、この実施例においても、アーム１はシャフト４
の下部4aに装着されたコイルスプリング７によって上方
に付勢力を受けると共に、同第１図示の矢印Ｄ′方向に
回動付勢されている。

この場合、アーム１の第１図示の矢印Ｄ′方向への揺動
側近傍には、アーム１の側端面1cに当接し、回動してく
るアーム１をその位置で阻止する板バネ部材22が設けら
れている（第１図及び第２図参照）。

板バネ部材22は、第２図から分かるように、調整機構に
組み込んだ状態で側面から見ると設置面Ｅと共に平行四
辺形様形状となる様に設定されている。

また板バネ部材を貫通し設置面Ｅより垂直に建てられた
ネジ付シャフト31と、それに螺着されたナット部材30に
より板バネ部材22は固定されている。

さらに、板バネ部材22と当接するアーム１の側端面1e
は、第２図に示す様設置面Ｅに垂直に設定され、また第
１図に示す様円弧状の平面視形状に設定されている。

第４図（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）に示す様、板バ
ネ材22を設置面Ｅに設置する際、設置面Ｅに設けられた
突起33及び穴32にはめこむことにより、それら突起穴部
における回転，移動を防止している。

上記の構成によれば、板バネ部材22の上部に螺着された
ナット部材30を回転することにより磁気ヘッドをスムー
ズにＤ′−Ｄ方向へ移動することができる。例えばナッ
ト部材30を右回転するとナット部材30は第２図下方向へ
移動し、板バネ部材22は押しつけられる事となる。その
際アーム１に当接する板バネ部材部位22aはＧ方向へ移
動し同時にアーム１を同方向へ移動する事によりアーム
１に労り付けられた基台２上の磁気ヘッド３をＤ方向へ
回動する。逆にナット部材30を左回転すると、ナット部
材30はＦ′方向へ板バネ部材22はのび部位22aはＧ方向
へそれぞれ移動し磁気ヘッド３はＤ′方向へ回動する。

尚、板バネ部材22と設置面Ｅ構成される形状を平行四辺
形様とした事により板バネ部材22を変形した際にもナッ
ト部材30間に隙間は生じることはない。またアーム１の
側端面1e（板バネ部材22との当接部位）を円弧状平面視
形状とした事により板バネ部材22とアーム１を片寄って
当てることなく無理なく当接できる。さらに前記側端面
1eを設置面Ｅと垂直に設定する事によりナット５を回転
して磁気ヘッド３の高さを変更しようとした時に、アー
ム部材１を上下方向に移動してもＸ位置に何ら変化を与
えない。

〈考案の効果〉 本考案の磁気ヘッド位置調整機構は上記のような構成で
あるから、磁気ヘッドのＸ位置調整のために行われるア
ーム部材の揺動と、磁気ヘッドの高さ位置の調整のため
に行われるアーム部材の上下方向への移動とが、それぞ
れ別個の走査によって行われるので、一方の動きが他方
の動きによって規制され或いは影響されることがなくな
り、磁気ヘッドの高さ位置の調整とＸ位置の調整とを容
易に且つ確実に行うことができる。

また、もし外力が加わりアーム部材が高さ方向或いは回
動方向に移動して位置ずれを起こした場合でも、板バネ
部材によるアーム部材への押し出し量がアーム部材の高
さ方向或いは回動方向における移動によらないから、ア
ーム部材の初期状態への復帰を容易に行うことができ
る。

さらに、板バネ部材は設置面とで平行四辺形状になるよ
うに設定されているので、磁気ヘッドのＸ位置調整をス
ムーズに行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る磁気ヘッド位置調整
機構の概略平面図、第２図は第１図の正面図、第３図は
第１図の側面図、第４図（ａ）は板バネ部材及び板バネ
変形用ネジ部材等で構成される本磁気ヘッド位置調整機
構の主要組立て概略図、第４図（ｂ）は第４図（ａ）の
板バネ部材の平面図、第４図（ｃ）は第４図（ａ）の板
バネ部材の左側面図、第４図（ｄ）は第４図（ａ）の板
バネ部材の右側面図、第４図（ｅ）は第４図（ａ）の設
置面の平面図、第５図は従来の一実施例に係る磁気ヘッ
ド位置調整機構の概略平面図、第６図は第５図の正面
図、第７図は第５図の側面図である。 図面中、１はアーム、２は基台、３は磁気ヘッド、４は
シャフト、５は止ナット、６はビス、７はコイルスプリ
ング、８はピン、９はコイルバネ、10はビス、11はテー
パナット、12はアーム突部、13はシャフト、14は間隔、
22は板バネ部材、30はナット部材、31はシャフト、32は
穴、33は突起を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気ヘッドを支持し、設置面に設定された
   第１支軸を回転中心として揺動可能に設けられるアーム
   部材と、 前記アーム部材の揺動側近傍であって、前記第１支軸か
   ら適宜離れた位置に設置面とで平行四辺形状になるよう
   に設定された、略コの字状に屈曲してなる板バネ部材
   と、 第２支軸を回転中心として回転可能に設けられ、前記板
   バネ部材を押圧して変形ならしめる回転部材と、 前記アーム部材側に装着され、このアーム部材の側端面
   を前記板バネ部材に圧接させておくための付勢手段とを
   備えたことを特徴とする磁気ヘッド位置調整機構。