JPH0755287A - ケミカルヒートポンプシステム - Google Patents

ケミカルヒートポンプシステム

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JPH0755287A
JPH0755287A JP22210093A JP22210093A JPH0755287A JP H0755287 A JPH0755287 A JP H0755287A JP 22210093 A JP22210093 A JP 22210093A JP 22210093 A JP22210093 A JP 22210093A JP H0755287 A JPH0755287 A JP H0755287A
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JP
Japan
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reactor
reaction
exothermic
endothermic
methanol
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Application number
JP22210093A
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English (en)
Inventor
Kentaro Ishida
健太郎 石田
Masato Watanabe
正人 渡辺
Junichi Ito
潤一 伊藤
Takashi Yoshizawa
隆 吉澤
Hiroshi Tsuchida
裕志 土田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮機を必要とすることなく、利用価値の低
い65℃以下の低温熱源から利用価値の高い200℃〜
350℃の高温熱源を高い効率で得ることができる経済
的なケミカルヒートポンプシステムを提供する。 【構成】 本発明によるケミカルヒートポンプシステム
は、メタノールを脱水素縮合して蟻酸メチルを生成する
吸熱反応と、蟻酸メチルを水素化してメタノールを生成
する発熱反応とを組み合わせたものである。発熱反応の
圧力より高い圧力で吸熱反応を行う吸熱反応器1と、発
熱反応を行う発熱反応器6と、吸熱反応器1及び発熱反
応器6からの流出物を塔頂の蟻酸メチル及び水素留分、
塔底のメタノール留分に分離する蒸留塔3とを備えてい
る。さらに、吸熱反応器1の流出物と発熱反応器6の流
出物との間で熱交換を行う熱交換器5を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機化合物の可逆的な
吸熱・発熱反応を利用したケミカルヒートポンプシステ
ムに関する。さらに詳しくは、有機化合物を縮合脱水素
する吸熱反応と、得られた縮合脱水素生成物を水素化し
て元の有機化合物を生成する発熱反応とを組合せ、工場
廃熱や地熱あるいはコジェネレーションなどの50〜1
00℃の比較的低温の熱源を200〜350℃の利用価
値の高い熱源に変換するケミカルヒートポンプシステム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーの手段として、ある
いは環境汚染問題に対する解決策の一つとして、価値の
低い低温熱源を価値の高い高温熱源に変換してエネルギ
ーの利用価値を高めるヒートポンプが注目されている。
【0003】ヒートポンプは、機械エネルギーを用いる
圧縮式ヒートポンプと、化学反応を利用するケミカルヒ
ートポンプとに大別されるが、圧縮式ヒートポンプは蒸
気の圧縮に大きな仕事量を必要とするためCOPの向上
に限界があり、また利用熱源や回収できる熱の温度レベ
ルに制限がある。
【0004】なお、COP(Coefficient of Performan
ce :成績係数)とは、ヒートポンプの効率を表す係数
であり、回収した熱エネルギーQと与えられた機械エネ
ルギーWとの比(Q/W)で定義される。ただし、Wは
化学反応の平衡を有利にするための変圧操作や、分離の
ための気体の凝縮などに用いられるコンプレッサーの仕
事によるものであり、単に流体を循環させるためだけに
用いられるポンプなどの仕事によるものは含まれないも
のとする。
【0005】一方、化学反応を利用するヒートポンプ、
特に有機化合物の可逆的な吸熱・発熱反応を利用したケ
ミカルヒートポンプでは、システムを駆動する機械エネ
ルギーが小さいため、高いCOPを得ることが可能であ
る。しかも、利用熱源の種類、その温度レベル及び回収
できる熱の温度レベルに適した有機化合物とそれに係る
吸熱・発熱反応を選定することによって、ケミカルヒー
トポンプシステムの適用用途を拡大することができる。
【0006】これまでに、有機化合物の可逆的な吸熱・
発熱反応を利用したケミカルヒートポンプとして、2−
プロパノールの脱水素反応とアセトンの水素化反応とを
組み合わせた2−プロパノール/アセトン・水素系のケ
ミカルヒートポンプが特開昭61−116252号等
に、シクロヘキサンの脱水素反応とベンゼンの水素化反
応とを組み合わせたシクロヘキサン/ベンゼン・水素系
のケミカルヒートポンプが特開昭61−208474号
等にそれぞれ提案されている。
【0007】2−プロパノール/アセトン・水素系のケ
ミカルヒートポンプでは、50〜120℃の低温熱源を
利用して150〜200℃の高温熱源が得られるとして
いる。また、シクロヘキサン/ベンゼン・水素系のケミ
カルヒートポンプでは、200〜250℃の低温熱源を
利用し、発熱反応器の圧力を10〜20kg/cm2とするこ
とにより、250〜400℃の高温熱源が得られるとし
ている。本発明者らの知る限りでは、上述の2つの系以
外では、ケミカルヒートポンプシステムとして満足でき
る結果が未だ得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述した2−プロパノ
ール/アセトン・水素系のケミカルヒートポンプでは、
発熱反応器の圧力を常圧にすると、回収熱エネルギーの
温度の上限は約200℃に制限される。さらに高い温度
を得ようとすれば、発熱反応器の圧力を上昇させること
が必要になり、そのためには圧縮機で蒸気を圧縮して発
熱反応器に送入しなければならないので、COPが低下
する。また、吸熱反応器においても80℃以上でないと
十分な転化率が得られないため、エネルギーの汲み上げ
効率が低くなってしまう。
【0009】一方、シクロヘキサン/ベンゼン・水素系
のケミカルヒートポンプでも、同じような理由から発熱
反応器の圧力を10〜20kg/cm2に保つ必要があるた
め、前述の特開昭61−208474号ではその目的で
高価な水素吸蔵合金を用いており、したがってコスト的
に不利である。また、水素吸蔵合金を用いずに10〜2
0kg/cm2の圧力を得ようとすれば、圧縮機を用いること
になるので、COPが低下する。さらに、発熱反応器の
圧力を高くすると、圧縮機が必要となるのみならず、発
熱反応器及びその周辺機器の製作コストや圧縮機の保守
点検費用が嵩むので、経済的に不利となる。
【0010】従来のケミカルヒートポンプシステムは、
このような技術的及び経済的な問題点を有するために、
その実用化が進んでいないのが実情である。本発明は、
以上説明した従来のケミカルヒートポンプシステムの問
題点に鑑みてなされたもので、圧縮機などを必要とする
ことなく、利用価値の低い80℃未満の低温熱源から2
00℃以上の高温熱源を高いCOPで得ることのできる
経済的なケミカルヒートポンプシステムを提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
吸熱・発熱可逆反応を利用したケミカルヒートポンプに
用いる有機化合物の選定と、それを用いるシステムにつ
いて鋭意研究と実験を行った結果、有機化合物としてメ
タノールとその縮合脱水素生成物である蟻酸メチルを選
定し、メタノールから蟻酸メチル及び水素を生成する吸
熱縮合脱水素反応と、その逆反応である、蟻酸メチル及
び水素からメタノールを生成する発熱水素化反応とを組
み合わせるとともに、システムにおいて、上記吸熱縮合
脱水素反応を行う吸熱反応器と、上記発熱水素化反応を
行う発熱反応器と、両反応器に流入させる流入物からこ
れら反応器での反応にとって所望でない成分を予め分離
する蒸留塔とを設けることにより、本発明の目的を達成
できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】したがって、本発明は、メタノールを脱水
素して蟻酸メチルを生成する吸熱反応と、蟻酸メチルを
水素化してメタノールを生成する発熱反応とを組み合わ
せたケミカルヒートポンプシステムであって、前記吸熱
反応を行う吸熱反応器と、前記発熱反応を行う発熱反応
器と、吸熱反応器及び発熱反応器からの流出物を塔頂の
蟻酸メチル及び水素留分と塔底のメタノール留分とに分
離する蒸留塔とを備え、前記吸熱反応器からの流出物及
び前記発熱反応器からの流出物を共に前記蒸留塔に導入
して得た塔頂の蟻酸メチル及び水素留分を前記発熱反応
器に導入するとともに塔底のメタノール留分を前記吸熱
反応器に導入することを特徴とするケミカルヒートポン
プシステムを提供する。
【0013】ケミカルヒートポンプは、低い温度で吸熱
反応を行い、その逆反応である発熱反応を吸熱反応の温
度よりも高い温度で行うことにより、廃熱等の利用価値
の低い低温熱源を利用価値の高い高温熱源に変換し回収
することを目的としている。
【0014】その目的から言って、ケミカルヒートポン
プに用いる有機化合物は、その吸熱反応が低い温度で進
行し易く、一方、その生成物の発熱反応がなるべく高い
温度で進行し易いものであって、かつ吸熱・発熱反応の
可逆反応以外の副反応が起きにくいことが要求される。
【0015】以上の要求を満たすため、本発明者らは、
次の式1に示すようなメタノールと蟻酸メチル及び水素
との可逆反応を本発明に係るケミカルヒートポンプにお
いて利用した。 2CH3OH = HCOOCH3 + 2H2 + ΔH … (式1) ΔH = 9.6kcal/mol
【0016】なお、一般に反応方程式は、左辺に反応物
質を、右辺に生成物質を書くことになっており、反応方
程式に併記される反応熱の値は、反応方程式の左辺から
右辺へ反応が進んだ結果起こるエンタルピー変化を表
す。吸熱反応の場合、エンタルピーが増加するので、Δ
Hは正となる。
【0017】図1は、常圧におけるメタノール/蟻酸メ
チル・水素系の温度に対する平衡組成の変化を、下記の
反応式2に示す2−プロパノール/アセトン・水素系と
比較して示している。 (CH32CHOH = (CH32CO + H2 + ΔH … (式2) ΔH = 10.4kcal/mol
【0018】図中、符号(1)を付した+印を含む実線
はメタノール/蟻酸メチル・水素系、符号(2)を付し
た四角印を含む実線は2−プロパノール/アセトン・水
素系を示す。縦軸は式1及び式2での左側から右側への
平衡状態における反応物質の転化率を示している。
【0019】一般的な有機化合物の系は、温度の高い領
域で吸熱反応を行い、温度の低い領域で発熱反応を行
う。それに対して、本発明で用いたメタノール/蟻酸メ
チル・水素の系は、図1からわかる通り、高温領域で2
−プロパノール/アセトン・水素系に比べて有利な転化
率で発熱反応を行うことが可能であり、一方150℃以
下の比較的低い温度域においても、2−プロパノール/
アセトン・水素系に比べて有利な転化率で吸熱反応を行
うことが可能である。
【0020】さらに説明すれば、メタノール/蟻酸メチ
ル・水素の系では、65℃で式1の反応が左側から右側
に約9%の転化率で進む。これは、80℃の温度範囲で
吸熱反応が経済的に十分許容できる程度の転化率で進行
することを示している。ちなみに、この転化率は、2−
プロパノール/アセトン・水素系での100℃のときと
同等である。
【0021】また、250℃では、式1の反応は右側か
ら左側に約56%の転化率で進む。これは、高温領域に
おいて発熱反応が経済的に許容できる程度の転化率で進
行することを示している。ちなみに、この転化率は、2
−プロパノール/アセトン・水素系での200℃のとき
と同等である。
【0022】以上説明したメタノール/蟻酸メチル・水
素系の反応特性により、本発明は、50〜100℃程
度、特に65℃以下の熱エネルギーを、200〜350
℃程度、特に250℃以上の利用価値の高い熱エネルギ
ーに転換することが可能である。
【0023】また、2−プロパノール/アセトン・水素
系は、約220℃以上で式2の右側から左側に進む発熱
反応が不利になるので、約220℃以上の高温で発熱反
応を効率よく進行させ、その熱を回収することは困難で
ある。つまり、図1は、この系を常圧で運転する限り、
100℃前後の熱を200℃少々までの温度の熱にしか
転換できないことを示している。
【0024】以上のように、本発明で採用したメタノー
ル/蟻酸メチル・水素系は、従来提案されている有機化
合物の系に比較して、常圧において、所望の温度範囲で
吸熱縮合脱水素反応とその逆の発熱水素化反応が経済的
な転化率で進行するという顕著な利点を有している。後
述の構成例において添付図面を参照して説明するよう
に、本発明に係るケミカルヒートポンプシステムは、こ
の利点を最大限活用するように構成されている。
【0025】吸熱反応、発熱反応とも転化率を高くし、
かつ副反応を抑制するためには、吸熱反応器には水素及
び蟻酸メチルを、発熱反応器にはメタノールを流入させ
ないことが重要である。蒸留塔は、吸熱反応器から流出
した未反応のメタノールを分離して発熱反応器へ流入す
るのを抑制するために、また、発熱反応器から流出した
未反応の蟻酸メチル及び水素を分離して吸熱反応器へ流
入するのを抑制するために設けられている。
【0026】本発明において、蒸留塔塔頂の蟻酸メチル
及び水素留分は、蟻酸メチルと水素を主成分とし、わず
かのメタノールを含むものであり、塔底のメタノール留
分は、メタノールを主成分とし、わずかの蟻酸メチルを
含むものである。蒸留塔での所望の分離程度は、与えら
れた熱源の温度、熱量あるいは回収する熱の温度等を考
慮して蒸留塔の設計条件及び運転条件を設定することに
より、工学的に十分実現することができる。
【0027】吸熱反応器の反応温度は、転化率及び反応
速度を上げるため、利用できる熱源の温度範囲で高い温
度ほど好ましい。吸熱反応温度の下限は、式1で反応が
左側から右側に進行する限りどの温度でもよいが、経済
的な転化率を得るために、好ましくは50℃以上、さら
に好ましくは65℃以上である。
【0028】発熱反応器の反応温度は、回収すべき熱の
所望温度に設定する。この温度を低くすれば回収できる
熱量が増加し、高くすれば回収できる熱量が低下するの
で、回収した熱の使用目的に合わせて反応温度を設定す
る。上限の温度は、式1で反応が右側から左側に進む温
度範囲の上限であるから、図1より、500℃以下、好
ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下
である。また、発熱反応器に導入する蟻酸メチルと水素
との混合物の温度は、回収熱量を増加させるために可能
な限り高いほうが望ましい。
【0029】蒸留塔の塔頂コンデンサーの温度を低くす
れば、発熱反応器に導入される混合物中のメタノールの
割合が低下し、水素化発熱反応には有利となるが、コン
デンサーからの熱損失が大きくなる。逆に、コンデンサ
ーの温度を高くすれば、発熱反応器に導入される混合物
中のメタノールの割合が増加し、水素化発熱反応には不
利となるが、コンデンサーからの熱損失は小さくなる。
【0030】蒸留塔に導入される混合物の温度は、熱交
換器の運転条件の設定によって、あるいはリボイラーを
設けることによって、変えることができる。この温度を
高くすると、吸熱反応器に供給される混合物中の蟻酸メ
チルの割合が低下し、脱水素吸熱反応には有利となる
が、コンデンサーからの熱損失は大きくなる。逆に、こ
の温度を低くすると、吸熱反応器に供給される混合物中
の蟻酸メチルの割合が増加し、脱水素吸熱反応には不利
となるが、コンデンサーからの熱損失は小さくなる。
【0031】以上述べた塔頂コンデンサーの温度、発熱
反応器への導入温度、蒸留塔への供給温度等の温度条件
の設定は、経済計算を行って最適な条件に設定される。
【0032】また、好適には、必要に応じて吸熱反応器
の流出物及び発熱反応器の流出物から熱を回収するため
に、それぞれの流入物との間で熱交換する熱交換器を設
け、ケミカルヒートポンプシステム内での熱効率を向上
させる。
【0033】本発明では、通常、吸熱反応器の圧力は発
熱反応器の圧力よりも高く設定され、例えば発熱反応器
は常圧に、吸熱反応器はそれよりやや高い圧力に設定さ
れる。流体は、それにより圧力差で、吸熱反応器から蒸
留塔に入り、さらに蒸留塔塔頂から発熱反応器に入る。
経路途中に熱交換器を設けて熱を回収する場合には、そ
の熱交換器の圧力損失をも考慮して圧力差を定める。し
たがって、本発明のケミカルヒートポンプシステムは、
従来のケミカルヒートポンプシステムのように蒸気を圧
縮するための圧縮機を設ける必要をなくすことができ
る。
【0034】なお、発熱反応器からの流出物を蒸留塔を
経て吸熱反応器に導入するには、流出物を熱交換器等で
冷却して液化した後、ポンプで送入し循環することが好
ましい。このポンプを駆動するために用いられる動力
は、液状のものを移送するために使用されるので、その
仕事量は小さく、また前述のCOPにも関与しない。
【0035】
【実施例】以下、添付図面を参照し、構成例に基づいて
本発明をより詳細に説明する。構成例 図2は、本発明に係るケミカルヒートポンプシステムの
構成例を示す。この構成例では、吸熱反応器1におい
て、外部の熱源1Aから熱を吸収してメタノールの吸熱
脱水素反応が行われる。生成した蟻酸メチル及び水素と
未反応のメタノールとの混合物は、ライン7を通って混
合器2に送られ、ここでライン13からのメタノールと
未反応の水素及び蟻酸メチルとの混合物(後述)と混合
された後、ライン8を通って蒸留塔3に導入され、ここ
で蟻酸メチル及び水素留分とメタノール留分とに分離さ
れて、それぞれ塔頂と塔底とに留出する。
【0036】蒸留塔3は、塔頂にコンデンサー4を備え
ており、それにより塔頂留分を冷却、凝縮するととも
に、必要な還流を行う。塔頂から流出した水素及び蟻酸
メチルと少量のメタノールとの混合物は、ライン10か
ら熱交換器5を経て昇温された後、ライン11により発
熱反応器6に導入される。発熱反応器6において、蟻酸
メチルは、水素化されてメタノールに変換される。この
水素化反応は発熱反応であって、適当な伝熱手段6Aを
介して発熱した熱を外部に供給する。
【0037】生成したメタノールと未反応の水素及び蟻
酸メチルは、ライン12から熱交換器5を経て冷却され
た後、ライン13により混合器2へ送られる。蒸留塔3
で分離されたメタノールとわずかな量の蟻酸メチルは、
蒸留塔3の塔底からライン9を通して吸熱反応器1に戻
される。そこで、再びメタノールの脱水素反応が行わ
れ、以下、同じ経路、反応工程を循環する。
【0038】本構成例において、混合器2は、2本のラ
インから合流する流れを混合する手段であって、合流し
た流体を混合できるものである限り、特別のものを要し
ない。また、混合器以外の反応器1、6、蒸留塔3、熱
交換器5なども既知の機器を使用できる。
【0039】本構成例において、流体は、吸熱反応器1
から蒸留塔3を経由して発熱反応器6に途中の熱交換器
5を含めて圧力差により流れるので、圧縮機は不要であ
る。なお、蒸留塔3の塔底に接続したライン9及び熱交
換器5から混合器2に向かうライン13には、流体を吸
熱反応器1に送入するためのポンプを設置する。また、
本発明で直接関係しない箇所、例えば蒸留塔の還流ポン
プ、塔頂留分の受け槽等については、説明を省略してい
る。
【0040】以下、本発明をより詳細に説明するために
実施例を示すが、本発明はこれら実施例によって限定さ
れるものではない。以下に示す実施例は、Simulation S
ciences Inc. のプロセスシュミレーションソフト PRO/
II を用いて行ったシュミレーション結果である。ま
た、前述の図1に示した平衡組成も PRO/II によって求
めたものである。実際の反応は、反応器に触媒を充填し
て行うので触媒の性能によっても影響されるが、本実施
例では、プロセスの性能を明らかにするためのものであ
るから、反応は化学平衡通りに進むものとした。
【0041】実施例1 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次の条件でシュミレーションを行った。 [シュミレーションの設定条件] 蒸留塔3の段数:10段 吸熱反応器1へのメタノールの供給量:100kg-mol/H
r 吸熱反応器1、発熱反応器6の圧力:共に常圧 吸熱反応器1:65℃ 発熱反応器6:200℃ コンデンサー4:20℃ ライン11を経て発熱反応器6に導入される混合物:1
90℃
【0042】なお、各反応器、熱交換器、ライン及び蒸
留塔での熱損失は無いものとしてシュミレーションを行
った。シュミレーション結果を表1及び表2に示す。吸
熱反応器へ65℃の熱を0.6703×106 kcal/Hr
投入することにより、発熱反応器から200℃の熱を
0.0322×106 kcal/Hr 回収できることがわか
る。
【0043】実施例2 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次に示す条件以外は実施例1と同じ条件でシュ
ミレーションを行った。 発熱反応器6:250℃
【0044】シュミレーション結果を表1及び表2に示
す。吸熱反応器へ65℃の熱を0.6351×106 kc
al/Hr 投入することにより、発熱反応器から250℃の
熱を0.0315×106 kcal/Hr 回収できることがわ
かる。
【0045】実施例3 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次に示す条件以外は実施例1と同じ条件でシュ
ミレーションを行った。 発熱反応器6:300℃
【0046】シュミレーション結果を表1及び表2に示
す。吸熱反応器へ65℃の熱を0.5853×106 kc
al/Hr 投入することにより、発熱反応器から300℃の
熱を0.0282×106 kcal/Hr 回収できることがわ
かる。
【0047】実施例4 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次に示す条件以外は実施例1と同じ条件でシュ
ミレーションを行った。 発熱反応器6:350℃
【0048】シュミレーション結果を表1及び表2に示
す。吸熱反応器へ65℃の熱を0.5220×106 kc
al/Hr 投入することにより、発熱反応器から350℃の
熱を0.0232×106 kcal/Hr 回収できることがわ
かる。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】比較例1 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次の条件で2−プロパノール/アセトン・水素
系によるシュミレーションを行った。 [シュミレーションの設定条件] 蒸留塔3の段数:10段 吸熱反応器1への2−プロパノールの供給量:100kg
-mol/Hr 吸熱反応器1、発熱反応器6の圧力:共に常圧 吸熱反応器1:65℃ 発熱反応器6:200℃ コンデンサー4:40℃
【0052】シュミレーションを行った結果、吸熱反応
器において吸熱反応がほとんど進行せず、2−プロパノ
ール/アセトン・水素系では、吸熱反応器が65℃のと
きにケミカルヒートポンプとして機能しないことがわか
る。
【0053】比較例2 図2に示した構成例のケミカルヒートポンプシステムに
ついて、次に示す条件以外は比較例1と同じ条件でシュ
ミレーションを行った。 吸熱反応器1:80℃
【0054】シュミレーション結果を表3及び表4に示
す。2−プロパノール/アセトン・水素系では、吸熱反
応器へ80℃の熱を0.8416×106 kcal/Hr 投入
することにより、発熱反応器から200℃の熱を0.0
438×106 kcal/Hr 回収できることがわかる。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明は、メタノールを脱水素縮合して
蟻酸メチルを生成させる吸熱反応と、蟻酸メチルを水素
化してメタノールを生成させる発熱反応とを組み合わ
せ、かつ各反応器に流入させる流入物から所望でない成
分を予め蒸留塔で分離する共に、圧力差で吸熱反応器か
ら蒸留塔を経て発熱反応器に流体を流すことにより、圧
縮機を要することなく、利用価値の低い50〜100
℃、特に65℃以下の低温熱源から所望により200℃
から350℃程度の高温熱源を高い効率で得ることので
きる経済的なケミカルヒートポンプシステムを実現して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】常圧におけるメタノールと蟻酸メチルの温度に
対する平衡組成の変化を、2−プロパノールとアセトン
の平衡組成の変化と比較して示した図である。
【図2】本発明に係るケミカルヒートポンプシステムの
構成例のフローシートである。
【符号の説明】
1 吸熱反応器 2 混合器 3 蒸留塔 4 コンデンサー 5 熱交換器 6 発熱反応器 7〜13 各機器を連結するラインであり、各成分は矢
印の向きに流れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 潤一 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 吉澤 隆 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 土田 裕志 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタノールを脱水素して蟻酸メチルを生
    成する吸熱反応と、蟻酸メチルを水素化してメタノール
    を生成する発熱反応とを組み合わせたケミカルヒートポ
    ンプシステムであって、 前記吸熱反応を行う吸熱反応器と、前記発熱反応を行う
    発熱反応器と、吸熱反応器及び発熱反応器からの流出物
    を塔頂の蟻酸メチル及び水素留分と塔底のメタノール留
    分とに分離する蒸留塔とを備え、 前記吸熱反応器からの流出物及び前記発熱反応器からの
    流出物を共に前記蒸留塔に導入して得た塔頂の蟻酸メチ
    ル及び水素留分を前記発熱反応器に導入するとともに塔
    底のメタノール留分を前記吸熱反応器に導入することを
    特徴とするケミカルヒートポンプシステム。
  2. 【請求項2】 吸熱反応器の流出物と発熱反応器の流出
    物との間で熱交換を行う熱交換器を設けた請求項1記載
    のケミカルヒートポンプシステム。
  3. 【請求項3】 吸熱反応器が、発熱反応器における発熱
    反応の圧力よりも高い圧力で吸熱反応を行うものである
    請求項1又は2記載のケミカルヒートポンプシステム。
JP22210093A 1993-08-13 1993-08-13 ケミカルヒートポンプシステム Pending JPH0755287A (ja)

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