JPH0753158A - 高速エレベータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】テールコードによる乗りかごのバランスの変化
で乗心地の低下することがなく、かつ安価とした高速エ
レベータを提供する。 【構成】乗りかごを構成するかご床６ａにテールコード
支持装置16を取付ける。このテールコード支持装置16
は、かご床６ａの下部に取付けるテールコード支持枠17
と、このテールコード支持枠17にローラ18を介して移動
可能に支持されたテールコード固定部19と、このテール
コード固定部19の移動範囲を規制するストッパ20ａ，20
ｂと、テールコード固定部19を傾斜方向に沿って引き上
げるバネ21で構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高層ビル等に設置され
る高速エレベータに係り、特にこのエレベータの乗りか
ごにおけるテールコードの支持部の構成に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】図４は、この種のエレベータの全体概略
構成を示したもので、１は高層ビルに垂直に設けられた
昇降路であり、この昇降路１には１対のガイドレール２
が並設されている。

【０００３】また、昇降路１の上部の機械室３には巻上
機４が設置され、この巻上機４に巻き掛けられた吊りロ
ープ５の一端に連結された乗りかご６がガイドレール２
に案内されて昇降路１を昇降自在に設けられ、吊りロー
プ５の他端に連結されたつり合いおもり７も図示しない
ガイドレールに案内されて昇降路１を昇降自在に設けら
れている。

【０００４】乗りかご６は、かご枠６ａとかご室６ｂか
ら構成され、かご枠６ａのガイドレール２との係合部上
下４箇所にはローラガイド８が設けられ、このローラガ
イド８を介してガイドレール２に係合している。

【０００５】乗りかご６の下部には、つり合いロープ９
とテールコード10が吊り下げられている。つり合いロー
プ９の他端はつり合いおもり７に連結され、テールコー
ド10の他端は昇降路１に設けられた中継箱11に接続され
ている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、テールコー
ド10は、乗りかご６が最下階付近に降下した際、乗りか
ご６に接触するのを防ぐため、中継箱11から水平方向に
自重径だけ離れた位置の乗りかご６の下部に取付けられ
ている。ここで、テールコード10の自重径は、一般に１
ｍ以下のため、その吊り位置は乗りかご６の中心よりも
中継箱11よりに吊られている。

【０００７】一方、昇降行程の長い高層ビルにおいて
は、乗りかご６の位置が最上階と最下階で乗りかご６の
下に垂下されるテールコード重量が大きく変化し、しか
もこの重量の作用位置が乗りかご中心にないため、最上
階付近と最下階付近では、乗りかご６は左右のバランス
が大きく崩れることになる。

【０００８】図５は、ローラガイド８の詳細を示したも
のである。ローラガイド８は、ガイドレール２に接触し
て回転するローラ12、このローラ12をガイドレール２に
押圧すると共にガイドレール２の曲がり等により乗りか
ご６に横揺れが発生するのを防ぐバネ13、ローラ12の過
大な変位を規制するストッパ14等で構成されているが、
ガイドレール２の曲がりが乗心地に影響するのを防ぐた
めには、バネ13のバネ定数をなるべく小さくすることが
望ましい。ところが、バネ定数を小さくすると、最上
階，最下階付近では上記したようにテールコード重量に
よる乗りかご６のバランスの崩れからローラ12がストッ
パ14に接触した状態となり、乗心地が大きく低下する。

【０００９】これを防ぐために、図６に示すようにテー
ルコード10の反対側にダミーのバランス用ケーブル15を
吊る方法もあるが、この方法は非常にコストアップとな
るという問題がある。

【００１０】そこで、本発明の目的は、テールコードに
よる乗りかごのバランスの変化で乗心地が低下すること
を防止し、かつ安価に製作し得る高速エレベータを提供
することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、高層建築物等に設けられた昇降路に昇降自
在に設置され、乗りかごの下部にテールコードの端部を
支持した高速エレベータにおいて、テールコードの端部
を乗りかごの下部に移動可能に支持するテールコード支
持部と、このテールコード支持部が乗りかごの昇降行程
中間で乗りかごの中心側に移動し、乗りかごの最下階近
傍では乗りかごの中心側から一方の端部側へ上昇しなが
ら移動するように外力を付加する弾性部材とを設けたも
のである。

【００１２】

【作用】乗りかごが最下階近傍に降下した場合には、テ
ールコード支持部に作用するテールコードの重量が軽い
ため、テールコード支持部は、弾性部材による外力で乗
りかごの一方の端部側へ移動する。このとき、テールコ
ードは自重径近傍の曲率で吊られているために垂直に垂
れ下がり、乗りかごと接触することはない。また、テー
ルコード支持部に作用するテールコードの重量も軽いの
で、テールコード支持部が乗りかごの一方の端部に移動
しても、テールコードの重量による乗りかごのバランス
の崩れは小さく問題になることはない。

【００１３】一方、乗りかごが昇降路内を上昇する場合
には、その上昇するのに従ってテールコード支持部に作
用するテールコードの重量が増加するため、テールコー
ド支持部は弾性部材の弾性力に対抗して乗りかごの中心
側へ移動する。これにより、乗りかごのバランスは良好
に保たれる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は、本発明の一実施例の要部を示す正面図、
図２は、図１のＡ−Ａ断面図である。図１および図２に
おいて、６ａは乗りかごを構成するかご枠、10はテール
コードで、16はこのテールコード10を乗りかごに支持す
るテールコード支持装置である。

【００１５】このテールコード支持装置16は、かご枠６
ａの下部に取付けられたテールコード支持枠17と、この
テールコード支持枠17にローラ18を介して移動可能に支
持されたテールコード固定部19と、このテールコード固
定部19の移動範囲を規制するゴム材から形成されたスト
ッパ20ａ，20ｂと、テールコード支持枠17とテールコー
ド固定部19とに連結され、テールコード固定部19を傾斜
方向に沿って引き上げるように作用するバネ21で構成さ
れている。

【００１６】このような構成において、テールコード固
定部19は、上部の両側に回転自在にローラ18を設け、上
部の中央部にバネ21の一端を連結している。バネ21は、
そのバネ定数を乗りかごが昇降行程の20〜40％上昇した
ときに、テールコード固定部19が乗りかごの中心（図１
において左右方向の中心）に移動するように設定されて
いる。

【００１７】また、テールコード支持枠17は、間隔をも
って配置され、図１において左側（テールコードの中継
箱側）を短かくした一対の垂直部22ａ，22ｂと、この垂
直部22ａ，22ｂに傾斜して取付けられ、横断面をＵ状と
しローラ18を案内するガイド部23と、横断面をＵ状また
はＬ状としローラ18がガイド部23から外れるのを防ぐた
めの外れ止めレール24で構成されている。ここで、スト
ッパ22ｂは、テールコード固定部19が乗りかごの中心に
移動したときに当接するようにテールコード支持枠17に
取付けられている。

【００１８】次に、以上のように構成された実施例の作
用を説明する。乗りかご６が最下階付近にある場合に
は、テールコード固定部９に加わるテールコード重量が
軽いため、テールコード固定部19はバネ21に引張られて
図１に二点鎖線で示すようにテールコード10の自重径付
近にある。

【００１９】乗りかご６が昇降路１をガイドレール２に
沿って上昇するに従って、テールコード固定部19に作用
するテールコード重量が増加する。このためテールコー
ド固定部19は、ガイド部23の斜面に沿って下がろうとす
る力が大きくなり、バネ21が徐々に伸びる。これによっ
てテールコード固定部19は徐々に乗りかご中心に移動し
ていく。

【００２０】そして、昇降行程の20〜40％上昇したとき
に、乗りかご中心に到達するようにバネ21のバネ定数が
設定されているので、テールコード固定部19は、ローラ
20がガイド部23に沿って回転することにより乗りかご中
心に移動し、乗りかご中心に到達するとストッパ20ｂに
当接し、それ以上は移動しなくなる。

【００２１】したがって、以上のように動作することに
よって、乗りかご６とテールコード10の接触から不具合
が発生する乗りかご６の最下階付近ではテールコード10
の吊り位置は自重曲げ径付近となるため、テールコード
10は真下に垂れ下がり、乗りかご６とテールコード10は
接触しないように作用する。

【００２２】また、テールコード重量による乗りかご６
のバランスが問題となる乗りかご中間階以上では、テー
ルコード10の吊り位置は乗りかご中心付近に移動するた
め、乗りかご６の左右方向のバランスの崩れは発生しな
いように作用する。

【００２３】以上説明したように本実施例によれば、テ
ールコード重量による乗りかごのバランスの崩れが非常
に小さいため、ローラガイドのストッパが動作すること
が少なく、ガイドレールの曲がりや段差に対してもロー
ラガイドのバネによる良好な緩衝効果が得られる。した
がって、横揺れの少ない乗心地の良好なエレベータを得
られる。

【００２４】また、ダミーのバランス用ケーブルを設け
る必要がないため、コストダウンを図ることができる。
さらに、テールコード支持装置にストッパや外れ止めレ
ールを設けているので、ローラの脱輪や移動し過ぎを防
止し、信頼性の向上を図ることができる。

【００２５】次に、本発明の他の実施例を説明する。図
３は、本発明の他の実施例の要部を示す正面図である。
同図において、６ａはかご枠、10はテールコードで、25
はこのテールコード10を乗りかごに支持するテールコー
ド支持装置である。このテールコード支持装置25は、か
ご枠６ａの下部に取付けられたテールコード支持枠26
と、このテールコード支持枠26に一端を回動自在に取付
けられたレバー27と、このレバー27の他端に回動自在に
取付けられたテールコード固定部28と、このテールコー
ド固定部28の回動範囲（または移動範囲）を規制するゴ
ム材から形成されたストッパ29ａ，29ｂと、テールコー
ド支持枠26とレバー27に連結され、レバー27を引き上げ
るように作用するバネ30で構成されている。

【００２６】このような構成において、テールコード支
持枠26は、直交する水平部26ａと垂直部26ｂを有し、水
平部26ａに座板31を介してストッパ29ａを取付け、垂直
部26ｂにストッパ29ｂを取付け、角部にピン27ａを介し
てレバー27を回動自在に取付けている。また、テールコ
ード固定部28は、上部をレバー27に回動自在に取付けら
れるが、その他は上記したテールコード固定部19と同様
である。さらに、バネ30は、そのバネ定数を乗りかごが
昇降行程の20〜40％上昇したときに、テールコード固定
部28が乗りかごの中心に移動するように設定されてい
る。

【００２７】以上の構成による実施例も作用は上述した
実施例と同様であり、テールコード固定部28は、最下階
付近では二点鎖線で示すように自重曲げ径付近にあり、
中間階に近ずくにつれて乗りかご中心に移動する。した
がって、テールコード10が乗りかごに接触することな
く、また、乗りかごのバランス崩れも発生しない。これ
によって、乗心地の良好なエレベータを得ることができ
る。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
層建築物等に設けられた昇降路に昇降自在に設置され、
乗りかごの下部にテールコードの一方の端部を支持した
高速エレベータにおいて、テールコードの端部を乗りか
ごの下部に移動可能に支持するテールコード支持部と、
このテールコード支持部が乗りかごの昇降行程中間で乗
りかごの中心側に移動し、乗りかごの最下階近傍では乗
りかごの中心側から一方の端部側へ上昇しながら移動す
るように外力を付加する弾性部材を設けているので、テ
ールコードによる乗りかごのバランスの変化で乗心地が
低下することがなく、安価とした高速エレベータを提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の要部を示す正面図。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図。

【図３】本発明の他の実施例の要部を示す正面図。

【図４】エレベータの概略を示す構成図。

【図５】エレベータのローラガイドを示す正面図。

【図６】従来の高速エレベータの一例の概略を示す構成
図。

【符号の説明】

１…昇降路、５…吊りロープ、６…乗りかご、10…テー
ルコード、16，25…テールコード支持装置、17，26…テ
ールコード支持枠、18…ローラ、19，28…テールコード
固定部、20ａ，20ｂ，29ａ，29ｂ…ストッパ、21，30…
バネ、23…ガイド部、27…レバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高層建築物等に設けられた昇降路に昇降
   自在に設置され、乗りかごの下部にテールコードの端部
   を支持した高速エレベータにおいて、前記テールコード
   の端部を前記乗りかごの下部に移動可能に支持するテー
   ルコード支持部が前記乗りかごの昇降行程中間で前記乗
   りかごの中心側に移動し、前記乗りかごの最下階近傍で
   は前記乗りかごの中心側から一方の端部側へ上昇しなが
   ら移動するように外力を付加する弾性部材とを設けたこ
   とを特徴とする高速エレベータ。