JPH0753137B2 - 金属製真空二重構造体の製造方法 - Google Patents

金属製真空二重構造体の製造方法

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JPH0753137B2
JPH0753137B2 JP63130736A JP13073688A JPH0753137B2 JP H0753137 B2 JPH0753137 B2 JP H0753137B2 JP 63130736 A JP63130736 A JP 63130736A JP 13073688 A JP13073688 A JP 13073688A JP H0753137 B2 JPH0753137 B2 JP H0753137B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、魔法瓶,真空二重パイプ等の金属製真空二重
構造体の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 金属製真空二重構造体、例えば魔法びん等の真空二重容
器の保温性を向上するには、内容器と外容器の間の真空
度を高くすることと、内容器から外容器へのふく射伝熱
を遮断することが重要である。
真空度を高めるには、真空排気処理能力を高めて高真空
に封止することはもちろんのこと、封止後の内容器外表
面又は外容器内表面からの吸蔵ガスの離脱を防止するこ
とが特に必要である。このため、従来、内容器外表面及
び外容器内表面を脱脂してさらに硝フッ酸等で酸洗いす
る方法、排気処理時に炉内で加熱して吸蔵ガスを空気と
ともに排出する方法、ゲッターを用いて金属表面から離
脱する吸蔵ガスを吸着させる方法があるが、通常これら
の方法をすべて使用することが行なわれている。
また、ふく射伝熱を防止する方法として、従来、少なく
とも内容器外表面に電解メッキあるいは銀鏡反応により
メッキ層を形成する方法、又は特開昭61−31111号公報
に示すように内容器外表面を銅又はアルミニウムの薄板
で覆う方法がある。
一方、真空排気処理後の真空封じ込み方法としては、外
容器底面に形成した排気口に閉塞部材をろう接して閉塞
する方法(以下、ろう接法という。)と、外容器底面に
設けた排気用のチップ管を挟み切る方法(以下、チップ
管法という。)とがある。
前記ろう接法において、閉塞部材のろう接にフラックス
を使用すると、ガスが内外両容器の真空空間に流入して
真空度を低下させることから、フラックスを使用するこ
となくろう接する必要がある。
このため、例えばステンレス鋼製真空二重容器では、高
温でその表面をフラッシュするとともに、ニッケルろう
等の約900〜1070℃の融点を有するろう材を使用しなけ
ればならない。しかも、ステンレス鋼は高温に添加する
際、あるいは高温から冷却する際に、ある温度域(一般
には、約450〜850℃)で固溶炭素が炭化物となって析出
し、鋭敏化して粒界腐食が生じやすくなり、耐食性が低
下する性質を有するため、鋭敏化の危険温度域を避けて
850℃以上の温度で真空排気処理及びろう接を行い、か
つ高温ら冷却する際に真空加熱炉内に不活性ガスを供給
して急冷しなければならない。
これに対し、チップ管法ではろう材を使用しないため、
鋭敏化領域より低い温度、すなわち400〜450℃で真空排
気処理が行なわれている。
ところで、真空排気処理時には、金属表面の清浄化と吸
蔵ガスの放出のために二重容器を加熱する必要がある
が、排気処理中に加熱するとメッキ面等が酸化するた
め、従来、加熱前に1×10-2Torr(1.33Pa)より高真空
に予備排気しておいてから、ろう接法では850〜950℃
に、チップ管法では400〜450℃加熱するようになってい
る。
以上の真空度を高める方法、ふく射伝熱を防止する方法
及び真空封じ込み方法は、凍結防止用の給水パイプ等に
用いられる真空二重パイプの製造にも適用されている。
なお、一般に真空度については、圧力が、 10-3Torr以上を低真空、 10-5〜10-3Torrの範囲を高真空、 10-8〜10-5Torrの範囲を超高真空、 10-8Torr以下を極超高真空、と称されているので本明細
書においてもこれに従う。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、前記従来のように1×10-2Torrより高真
空に予備排気すると、対流伝熱媒体である空気が希薄に
なり、外容器と内容器の間の伝熱性が極めて悪くなって
いる。このため、予備排気後に加熱したとしても内容器
の昇温が炉熱を直接受ける外容器に比べて著しく遅れる
結果、真空排気処理時間が長くかかったり、内容器外表
面からの脱ガスが不十分となり、真空封じ込み後に残留
した吸蔵ガスが遊離して真空度が低下し、断熱性が経時
変化して保温性がしだいに低下してゆくという問題があ
った。
また、特にろう接法では、高真空下で高温加熱されるた
め、メッキが蒸発したり、変質して断熱性が損なわれる
という問題があった。
以上の問題は、真空二重パイプの製造においても同様に
生じていた。
本発明は斯かかる問題点に鑑みてなされたもので、短い
真空排気処理時間で内壁からの脱ガスが十分に行なわ
れ、断熱性の安定化を図ることができる金属製真空二重
構造体の製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明は、真空度と断熱性の
関係において、1×10-4Torr以下の高真空下では極めて
優れた断熱性が得られることは従来周知のことである
が、この断熱性の変化は真空度が10-1〜10-3Torrのオー
ダーの間で急激に変化する(日本機械学会編伝熱工学資
料参照)ことに着目し、断熱性が顕著に現われず、伝熱
性がある程度良好な真空下、すなわち10-2Torrのオーダ
ー以上の低真空において加熱脱ガスを行なうこととした
ものである。
すなわち、本発明は、内壁と外壁とで二重壁構造を形成
し、内壁と外壁の間の空間を排気処理して真空封じ込み
する金属製真空二重構造体の製造方法において、第1図
に示すように、 第1工程Iで10-2Torrのオーダー以上の低真空に予備排
気し、第2工程IIで所定時間加熱して脱ガスを行なった
後、第3工程IIIで当該加熱温度を維持したまま10-4Tor
rのオーダー以下の高真空に排気処理して、第4工程IV
で真空封じ込みするものである。
内壁又は外壁の材質がSUS304等のオーステナイト系ステ
ンレス鋼の場合は、当該ステンレス鋼の鋭敏化領域より
低い温度又は当該領域を越える温度で加熱脱ガスを行な
うのが好ましい。
なお、真空封じ込み方法としては、従来のチップ管法又
はろう接法いずれでも可能であるが、内壁又は外壁の材
質がオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、チップ管
法では当該ステンレス鋼の鋭敏化領域より低い温度で加
熱脱ガスを行ない、ろう接法では当該鋭敏化領域を越え
る温度で加熱脱ガスを行なうべきである。
また、内壁と外壁の間の空間には、空気のほか窒素
(N2),アルゴン(Ar)等の不活性ガスを封入しておく
ことができる。ただ、空気の場合は、空気中の酸素
(O2)により壁面が酸化されるが、酸素(O2)と脱ガス
の主成分である水素(H2)との衝突確率が増えることに
より、酸素と水素とが結合して水蒸気(H2O)となって
放出されやすく、活性化の観点からみると、経済的であ
るという利点を有している。
(作用) 第1工程Iで10-2Torrのオーダー以上の低真空に予備排
気すると、内壁と外壁の間の伝熱性が低下し断熱性が生
じれてるが、10-2Torrのオーダー程度では、伝熱性はさ
ほど損なわれない。
このため、第2工程IIで加熱すると、炉熱を直接受ける
外壁の熱はふく射,伝導,対流によりすみやかに内壁に
伝わり、内壁は短時間で昇温する。従って、外壁はもち
ろん内壁の壁面より吸蔵ガスが遊離して脱ガスが十分
に、しかも短時間に行なわれる。
そして、さらに第3工程IIIで10-4Torrのオーダー以下
に排気処理すると、前記遊離ガスは空気とともに外部に
排出される。
この排気処理を終えた後、第4工程IVでチップ管法又は
ろう接法により真空封じ込みを行なうと、高真空の真空
二重構造体が得られる。
内壁又は外壁がSUS304等のオーステナイト系ステンレス
鋼であり、チップ管法により真空封じ込みを行なう場合
は、第2工程IIで当該ステンレス鋼の鋭敏化領域より低
い温度で加熱脱ガスを行なうことにより、鋭敏化による
耐食性の低下の虞れがなくなる。
また、内壁又は外壁がオーステナイト系ステンレス鋼で
あり、ろう接法により真空封じ込みを行なう場合は、第
2工程IIで当該ステンレス鋼の鋭敏化領域を越える温度
で加熱脱ガスを行なうことにより、前記チップ管法と同
様耐食性の低下の虞れがなくなる。
(実施例) 次に、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
(1)真空二重容器の製造方法 i)第1実施例 第4図は、本発明に係る方法により製造される魔法瓶用
の真空排気処理前の二重容器1で、上部2aと下部2bの2
分割に形成しておいたステンレス鋼製の外容器2にステ
ンレス鋼製の内容器3を挿入して、内容器3と外容器2
の上部2aを口部Yで接合し、さらに、外容器2の上部2a
と下部2bをX部で接合して、二重壁構造に形成するとと
もに、外容器2の底部に排気用のチップ管4を設けたも
のである。
一方、この二重容器1の真空排気処理後の保温性を向上
させるため、真空空間5を形成する内外両容器の表面の
内、少なくとも内容器3の外表面には、電解メッキある
いは銀鏡反応によって銅又は銀のメッキ層が形成されて
いる。例えば、内容器3を予め酸化性雰囲気中250〜550
℃で数分〜数時間焼成して、その外表面に酸化皮膜を形
成しておき、二重容器1とした後、チップ管4から内容
器3と外容器2との間に形成される空間5に、公知の銀
鏡反応液を注入して銀鏡反応させ、内容器3の外表面に
銀鏡層を形成し、水洗、乾燥させてある。
また、空間5の壁面には図示しない保持部材によりゲッ
ターが装着され、真空封じ込み後に遊離するガスを吸着
して断熱性の完全化を図るようになっている。
次に、以上の構成からなる真空二重容器1の真空排気処
理及び真空封じ込み方法について説明する。
二重容器1を加熱炉に入れてチップ管4を真空ポンプに
接続する。
そして、第2図に示すように、第1工程21で、内容器3
と外容器2の間の空間5を予備排気して1×10-2Torrの
低真空にする。
この低真空状態のまま第2工程22で、400〜450℃に加熱
する。このとき、炉熱を直接受けて加熱された外容器2
の熱は、ふく射伝熱と、口部Yの熱伝導と、空間5内の
残留ガスを介して行なわれる対流伝熱とにより内容器3
に伝わる。第1工程21て1×10-2Torrの低真空に排気さ
れてはいるが、この程度の真空度では空間5内の残留ガ
スによる対流伝熱が支配的となり、外容器2から内容器
3への伝熱性はさほど損なわれない。このため、外容器
2の熱はすみやかに内容器3に伝わり、内容器3は10〜
20分程度で昇温する。従って、外容器2はもちろん内容
器3の外表面より、吸蔵ガスが空間5内に遊離して脱ガ
スが十分に、しかも短時間に行なわれる。なお、この第
2工程22における加熱はステンレス鋼の鋭敏化領域より
低い温度で行なわれるため、鋭敏化による耐食性の低下
の虞れはない。
そして、この第2工程22の温度を維持したまま、第3工
程23でさらに排気して1×10-4Torrの高真空にする。こ
のとき、空間5内の残留ガス及び遊離ガスはチップ管4
を通って外部に排出される一方、ゲッターが活性化す
る。
次に、この高真空状態を維持したまま第4工程24で冷却
し、第5工程25でチップ管4をピンチオフして真空封じ
込みを行なう。
以上の工程により製造された真空二重容器は、第2工程
22で外容器2はもちろん内容器3からも十分に脱ガスが
行なわれているため、真空封じ込み後の吸蔵ガスの遊離
が少なく、断熱性が安定化する。なお、本実施例では、
空間5内にゲッターを装着しているが、前記の通り製造
工程中に脱ガスが十分に行なわれているため、同じ時間
内で排気工程を行なう場合ゲッターの量を減少させるこ
とができる。
ii)第2実施例 第5図,第6図は、本発明の他の実施例に係る方法によ
り製造される魔法瓶用の二重容器10で、前記二重容器1a
の外容器2のチップ管4の替わりに、開口部4aを形成し
て、該開口部4aに中央に排気口6を有する排気口縁部材
7を嵌合して接合し、当該排気口6に排気口閉塞部材8
をろう材9を介して設置した以外は実質的に同一であ
り、対応する部分には同一番号を付して説明を省略す
る。
この二重容器1aを倒立させて、第6図に示すように、俳
句口6の外周縁に環状波形のろう材9を設置し、このろ
う材9の上に排気口閉塞部材8を載せた後、真空加熱炉
中にセットする。なお、排気口縁部材7の内側には図示
しない保持部材によりゲッターを装着しておく。
そして、第3図に示すように、第1工程31で前記第1実
施例に係る製造方法の第1工程21と同様、1×10-2Torr
の低真空に予備排気し、第2工程32で850〜950℃に加熱
して脱ガスを行なった後、第3工程33で1×10-4Torrの
高真空に排気する。次に、この高真空状態を保ったまま
第4工程34で1000℃前後に加熱すると、ろう材9が溶融
して排気口閉塞部材8が重力の作用により排気口縁部材
7の上に降下して排気口6を閉塞する一方、ゲッターが
活性化する。続いて、第5工程35で急冷するとろう材9
が急激に凝固し、内外両容器間の空間5を高真空に維持
したまま排気口縁部材7と排気口閉塞部材8の間が、第
5図に示すように完全に封止される。
この第2実施例に係る製造方法では、第1工程31で1×
10-2Torr低真空に予備排気されているため、前記第1実
施例に係る製造方法と同様、第2工程32における加熱脱
ガスが十分に、しかも短時間に行なわれるとともに、第
3工程33における真空排気処理時間も短くて済む。ま
た、第2工程32でステンレス鋼の鋭敏化領域を越える温
度で加熱して第5工程35で急冷するため、ステンレス鋼
が鋭敏化領域にさらされる時間が著しく短く、鋭敏化し
て耐食性が低下する虞れはない。
また、第2工程32では850〜950℃の高温に加熱するた
め、内容器3の外表面のメッキが蒸発したり、変質した
りする虞れがある。しかしながら、空間5内は高真空で
はなく、1×10-2Torrの低真空であってガスがある程度
残留しているため、蒸発したメッキ金属原子は残留ガス
の分子と衝突して拡散が阻止される結果、メッキの蒸発
が抑制される。また、斯かる低真空は、拡散ポンプを用
いることなく、機械ポンプで十分到達するため、機械ポ
ンプを用いればメッキの変質の一つの原因となる炭化水
素(HC)が入流してくる虞れはないため、メッキの変質
が抑制される。
なお、前記実施例では、第1工程21,31において1×10
-2Torrに予備排気したが、この数値に限定されるもので
はなく、10-2Torrのオーダーから100Torr程度の低真空
に排気すればよい。また、第3工程23,33における真空
度も、1×10-4Torrに限定されるものではなく、10-4To
rrのオーダーあるいはそれ以下の高真空領域であればよ
い。
iii)確認テスト 本発明者らは、本発明に係る方法により製造したステン
レス鋼製真空二重容器の保温性を確認するためのテスト
を行なった。
この保温性テストにおいては、表1に示す条件で、本発
明に係る方法により製造したステンレス鋼製真空二重容
器で、内容器をメッキの替わりに異なる肉厚を有する銅
箔で覆ったものを各々5本づつテスト試料とした。
また、これと比較するため、従来の方法により製造した
ステンレス鋼製真空二重容器の試料として、表2に示す
ものを用意した。
なお、いずれの試料もゲッターは使用されていない。
そして、各試料について、 初期:製造直後、 製造後1週間95℃雰囲気下に置いた後、 製造後2週間(よりさらに1週間)95℃雰囲気下
に置いた後、 製造後4週間(よりさらに2週間)95℃雰囲気下
に置いた後、 製造後3月(よりさらに2月)95℃雰囲気下に置
いた後、 製造後4月(よりさらに1月)95℃雰囲気下に置
いた後、 の6段階において、95℃の熱湯を内容器1に入れて20℃
雰囲気中での24時間後のその湯の温度を測定することに
より、保温性をテストした。
このテスト結果のうち、本発明のテスト試料のものを表
3に、従来の比較試料のものを第7a図〜第7d図に示す。
第7a図〜第7d図において、温度曲線の上下によって95℃
の熱湯の24時間保温後の温度降下、すなわち24時間保温
力の大小を知ることができ、温度曲線の減少勾配によっ
てエージングによる真空度の低下、すなわち真空維持力
の大小を知ることができる。また、同一種類の材料、例
えばA2,A3,A4について各図を比較することによって製造
時の排気時間の短調の影響を知ることができる。
本テスト結果により保温性及び排気時間に関する次の事
項が確認された。
表3中の各試料I,IIの平均値から明らかなよう
に、真空維持力は、試料Iでは1週間後に1℃低下し、
試料IIでは1週間後に0.8℃低下、2週間後にさらに0.2
℃低下し、また試料IIIでは1週間後に2.3℃低下するだ
けで、その後は上昇又は横這い傾向にある。従って、本
発明に係る方法によれば、真空維持力は横這いで、極端
に低下することはない。
なお、試料I,IIの24時間保温力(67℃前後)が試料III
の24時間保温力(45℃前後)より大となっているのは、
銅箔のふく射伝熱防止作用及びガス吸収作用によるもの
である。
表3中試料Iと同条件である第7c図の試料B3とを比
較すると明らかなように、試料Iの真空維持力の低下は
1℃程度であるのに対し、試料B3の真空維持力は2週間
後に約3℃低下している。従って、本考案に係る方法に
よれば、従来の方法と比べて真空維持力が向上してい
る。
表3中試料Iと第7a図の試料B1とを比較すると明ら
かなように、両者は同程度の24時間保温力を有し、か
つ、真空維持力も横這い傾向にあるが、試料Iの排気時
間が50(10+40)分であるのに対し、試料B1の排気時間
は100分である。従って、本発明に係る方法によれば、
従来の方法に比べて50分の排気時間の短縮が可能であ
る。
表3中試料IIIと排気方法を除き同じ条件である第7
c図の試料D3とを比較すると明らかなように、初期の24
時間保温力は両者同じ程度であるが、その後、試料III
では温度曲線がほぼ水平で真空維持力が横這いであるの
に対し、試料D3では温度曲線が下降傾向になって真空維
持力が低下し、約3週間目に低いピークとなっている。
従って、本考案に係る方法によれば、同一排気時間の従
来の方法と比べて、真空維持力及び24時間保温力共に優
れている。
(2)真空二重パイプの製造方法の実施例 第8図は凍結防止用の給水パイプ等に用いられる真空二
重パイプを示し、概略、給水パイプ10と、外筒11と、連
結部材13,14とで構成されている。
給水パイプ10は内径22mm、厚さ1mmのステンレスパイプ
で、外筒11が外装される部分は銅箔で被覆されるか銅又
は銀のメッキ層が形成されている。なお、外筒11とのギ
ャップを一定に保持するとともに、外筒11と給水パイプ
10との熱接触をできるだけ防止するようにした適宜スペ
ーサを設けてもよい。外筒11は内径42mm、厚さ1.2mmの
ステンレスパイプで、給水パイプ10に外装されるように
なっており、上流側の外周部には銅製のチップ管12が取
り付けてある。連結部材13,14はステンレス材で形成さ
れた断面コ字状のリング部材で、給水パイプ10に挿通さ
れて給水パイプ10の外面と外筒11の端部に全周溶接さ
れ、給水パイプ10と外筒11の間の空間部を蓋するように
なっている。
そして、この空間部はチップ管12を介して加熱排気処理
し、チップ管12を挟み切ることにより真空封じ込みされ
ている。
また、外筒11の両端及び連結部材13,14の外側にステン
レス材からなるキャップ15,16が夫々装着され、該キャ
ップ15,16と連結部材13,14との間にシール剤17,17が夫
々注入されるとともに、キャップ16の下流側と別のキャ
ップ18とで前記チップ管12を覆い、適宜シール剤等で封
止されている。なお、図示するように、チップ管12をキ
ャップ19で覆い、その内部にシール剤17を充填してもよ
い。
なお、この真空二重パイプにおいて、チップ管12を挟み
切って真空封じ込みする替わりに、前記真空二重容器の
第2実施例のように開口部を形成し、該開口部を閉塞部
材で閉塞してろう接するようにしてもよい。
以上の構成からなる真空二重パイプを製造するには、ま
ず第9図に示すように、給水パイプ10の下流側に連結部
材13をそのコ字状内面を下流側に向けて外装し、矢印A
で指し示す点を全周溶接し、外筒11の上流側端部に連結
部材14をそのコ字状内面を上流側に向けて内装し、矢印
Bで指し示す点を全周溶接する。
そして、給水パイプ10の上流側から外筒11を外装し、矢
印C,Dで指し示す点を全周溶接し、給水パイプ10の外側
に、外筒11と連結部材13,14で囲まれた空間部を形成す
る。なお、給水パイプ10に外筒11を外装する際、最終位
置近くまで給水パイプ10、外筒11の先端は夫々連結部材
14,13と接触しないため、無理なく容易に行なうことが
できる。また、給水パイプ10の外面に設けた銅箔あるい
はメッキ層を損傷することもない。
次に、給水パイプ10と外筒11の間の空間部の加熱排気処
理及び真空封じ込み処理を行なうが、その方法は前記真
空二重容器の第1実施例における方法と同一であり、そ
の作用,効果も同一であるため、説明を省略する。
この製造過程において、常温状態から炉内に入れて加熱
すると、まず、外筒11の温度が上がり、その後給水パイ
プ10の温度が後を追って上昇していくため、加熱時にあ
っては、外筒11の膨張量が大きく、連結部材13,14の外
側,内側は第8図中夫々矢印a,b方向に力を受けて変形
する。
逆に冷却に移ると、外筒11の方が給水パイプ10よりも早
く冷却されるため、冷却時にあっては、外筒11の収縮量
が大きく、前記加熱時とは逆に、連結部材13,14は夫々
矢印a′,b′方向に力を受けて変形する。
このように、連結部材13,14は加熱時と冷却時とで全く
逆方向に力を受けることになるが、連結部材13,14は、
その内リング部及び外リング部に対して中間の連結部が
略直角を為し、両方向に自由度を有するため、変形時に
無理な応力がかからず破損するようなことはない。
本発明者らは、本発明に係る方法により製造された真空
二重パイプについて確認テストを行なったが、その結
果、凍結防止パイプの上部及び下部を摂氏5℃の雰囲気
に保ち、それらの間を摂氏−30℃の低温状態にさらして
も、内部の水は約80時間凍結しないという結果を得た。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高真
空に排気する前に、伝熱性の損なわれない低真空下で加
熱して内壁をすみやかに昇温させるものであるから、特
に内壁からの脱ガスが十分に、しかも短時間に行なわ
れ、全体的な加熱排気処理時間が短縮されて製造工程の
短縮化が図られるとともに、断熱性が安定化する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る金属製真空二重構造体の製造方法
による製造工程を示す図、第2図,第3図は本発明のそ
れぞれチップ管法,ろう接法によるスンテンレス鋼製真
空二重構造体の製造工程を示す図、第4図はチップ管法
で本発明に係る方法により製造する二重容器の断面図、
第5図はろう接法で本発明に係る方法により製造する二
重容器の断面図、第6図は第5図の部分拡大断面図、第
7a図〜第7d図は従来の方法により製造された真空二重容
器の保温性に関するテスト結果を示す図、第8図はチッ
プ管法で本発明に係る方法により製造する真空二重パイ
プの半断面図、第9図は真空二重パイプの製造途中の状
態を示す半断面図である。 1……二重容器、2……外容器、 3……内容器、5……空間。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内壁と外壁とで二重壁構造を形成し、内壁
    と外壁の間の空間を排気処理して真空封じ込みする金属
    製真空二重構造体の製造方法において、 10-2Torrのオーダー以上の低真空に予備排気し、所定時
    間加熱して脱ガスを行なった後、当該加熱温度を維持し
    たまま10-4Torrのオーダー以下の高真空に排気処理して
    真空封じ込みすることを特徴とする金属製真空二重構造
    体の製造方法。
JP63130736A 1988-02-05 1988-05-27 金属製真空二重構造体の製造方法 Expired - Lifetime JPH0753137B2 (ja)

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