JPH0752748Y2 - パワースライド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、モータの駆動力によってアッパーレール
を、固定のロアレール上で前後にスライドさせるパワー
スライドに関する。

〔従来の技術〕

たとえば、自動車等のシートは、スライドレールによっ
て、前後にスライド可能に支持されている。スライドレ
ールは、車体床面（車床）に固定されるロアレールと、
シートの側面下方でシートに固定され、転動子を介し
て、ロアレールにスライド可能に組込まれたアッパーレ
ールとを具備して構成されている。モータの駆動力によ
ってアッパーレールを前後にスライドさせるスライドレ
ールは、パワースライドと称されている。

一般に、パワースライドにおいて、モータがロアレール
に取付けられるとともに、ナットブロックがアッパーレ
ールに取付けられている。そして、モータに連結された
リードスクリューに、ナットブロックが噛合され、リー
ドスクリューの回転、駆動によって、ナットブロックが
アッパーレールを伴って前後にスライドして、アッパー
レール上のシートが、着座者の好みのポジションに移動
される。

〔考案が解決しようとする課題〕

公知のパワーシートでは、リードスクリューの一回転に
対して、アッパーレールは、リードスクリューのワンピ
ッチづつスライドする。そのため、アッパーレールのス
トローク（スライド量）が、リードスクリューの長短に
直接関連し、十分なストロークを確保するために、かな
りの長さのリードスクリューが必要となる。

この考案は、短いリードスクリューのもとでも十分なス
トロークの確保できるアッパーレールの提供を目的とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するために、この考案によれば、ナット
ブロックが、アッパーレールだけでなく、ロアレールに
も取付けられ、リードスクリューの右半部、左半部に成
形された相反するねじに、アッパーレール、ロアレール
のナットブロックが、それぞれ噛合されている。

〔作用〕

この構成では、ロアレールが固定されて、ロアレールサ
イドのナットブロックが移動しないため、リードスクリ
ューの一回転に対して、アッパーレールサイドのナット
ブロックは、ツーピッチづつ、ロアレールサイドのナッ
トブロックに接近、離反する。そのため、リードスクリ
ューの長さが理論的に半減される。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながらこの考案の実施例について詳
細に説明する。

第１図、第２図に示すように、この考案に係るパワース
ライド10は、固定のロアレール12と、スライド可能なア
ッパーレール14と、アッパーレールをスライドさせるた
めのモータ16とを具備して構成されている。ロアレール
12は、車床のような床面にレッグブラケット18を利用し
て前後端を固定されている。また、アッパーレール14
は、シートのサイド下方でシートに固定され、鋼球等の
転動子を介して、ロアレール内にスライド可能に組込ま
れている。

モータ16は、逆転可能なモータとされ、たとえば、逆転
可能なDCギヤードモータが利用される。実施例では、パ
ワースライド10は、シートの左右サイドで、アッパーレ
ール14をいずれもスライドさせるタイプとされ、モータ
16は、シート下面にブラケット20によって取付けられて
いる。モータシャフトにコネクティングロッド22が連結
され、コネクティングロッドの先端にウォーム24が固定
されている（第２図参照）。

モータ16からの駆動力によって、回転、駆動されるリー
ドスクリュー26は、第２図からよくわかるように、全体
的に同一のねじを成形せず、相反するねじがリードスク
リュー右半部、左半部にそれぞれ成形されている。実施
例では、右ねじ28Rがリードスクリュー右半部に、左ね
じ28Lがリードスクリュー左半部に成形されている。そ
して、モータサイドのウォーム24に噛合するウォームホ
ィール30が、リードスクリュー26の中央部に固着されて
いる。リードスクリュー26は、軸受34を利用してボック
ス形状のブラケット32に支承され、軸受の離脱防止のた
めに、Ｅリング36がリードスクリューに係合されてい
る。

ナットブロック38R,38Lが、リードスクリュー26の右半
部、左半部にそれぞれ噛合されている。ナットブロック
38R,38Lは、ナットハウジング39内でナット本体40を左
右からゴム片42で挟持した同一形状とされ、ナットブロ
ック38Rはブラケット44Rによってロアレール12に、ナッ
トブロック38Lはブラケット44Lによってアッパーレール
14にそれぞれ取付けられている。

上記構成のパワーシート10によれば、モータサイドのウ
ォーム24が、リードスクリューのウォームホィール30に
噛合しているため、モータ16を正転または逆転させる
と、モータの駆動力によって、リードスクリュー26が、
正転または逆転されて駆動される。ここで、リードスク
リュー右半部の右ねじ28R、左半部の左ねじ28Rに噛合す
るナットブロック38R,38Lのうち、ナットブロック38Rは
固定のロアレール12に取付けられているため、移動でき
ない。そのため、リードスクリュー26が回転すると、ナ
ットブロック38Lが、リードスクリュー26の一回転に対
して、リードスクリューのツーピッチづつ、ナットブロ
ック38Rに接近、離反して、アッパーレール14がスライ
ドされる。

公知の構成では、リードスクリューの一回転毎に、アッ
パーレールがワンピッチづつスライドされる。これに対
して、この考案の構成では、アッパーレール14がツーピ
ッチづつスライドされる。そのため、同一のストローク
に対して、この考案によれば、リードスクリュー26の長
さが、公知のものに対して、理論上、半減できる。いい
かえると、同一長さのリードスクリューにおいては、こ
の考案では、２倍のストロークが得られる。このよう
に、大きなストロークが確保できるパワーシート10によ
れば、ドライバーシート、アシスタントシートからの乗
降が容易になるとともに、ツードアタイプの自動車にお
けるリヤシート着座者の乗降も容易になり、乗降性が大
幅に改善される。

実施例では、リードスクリュー26を水平に設け、リード
スクリュー、ナットブロック38R,38Lを同一の水平面内
に配列している。この構成では、アッパーレール14がス
ライドしても、リードスクリューのブラケット32、ナッ
トブロック38R,38Lを傾斜させるモーメントが発生せ
ず、ブラケット、ナットブロックを枢動可能に構成する
必要がなく、パワーシート10が構成的に簡単化される。

モータ16の駆動力は、ウォーム24、ウォームホィール30
を介して、リードスクリュー26に伝達されている。この
構成では、ウォームホィール30からウォーム24に押力が
伝達されないため、シートに大きな押力を加えても、ア
ッパーレール14はスライドせず、シートの不必要な移動
が確実に防止できる。しかし、ウォーム24、ウォームホ
ィール26以外の組合せによって、モータ16の駆動力を伝
達可能としてもよい。また、コネクティングロッド22の
代りにフレキシブルワイヤーを利用してもよい。

この考案のパワースライド10は、通常、自動車のシート
に装着されるが、自動車のシートに限定されず、たとえ
ば、新幹線のような電車、飛行機、船舶等のシートにも
装着できることはいうまでもない。

上述した実施例は、この考案を説明するためのものであ
り、この考案を何等限定するものでなく、この考案の技
術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの考案
に包含されることはいうまでもない。

たとえば、右のナットブロック38Rをロアレール12に、
左のナットブロック38Lをアッパーレール14に取付けて
いるが、ナットブロック38Rをアッパーレールに、ナッ
トブロック38Lをロアレールに取付けてもよい。

また、モータ16がシートの下面中央に設けられて、左右
のアッパーレール14を同時に移動させるように構成され
ている。しかし、モータ16をロアレール12に取付け、左
右いずれかのアッパーレール14のみを直接駆動する構成
としてもよい。

〔考案の効果〕

上記のように、この考案によれば、アッパーレールは、
リードスクリューの一回転に対してツーピッチづつスラ
イドされ、リードスクリューの長さが短くでき、理論
上、半減できる。

また、リードスクリューを公知のものと同一長さに設定
すれば、従来に比較して、２倍という大きなストローク
が得られ、乗降性に優れたパワーシートが得られる。

リードスクリュー、一対のナットブロックを同一の水平
面内に配列すれば、ブラケット、ナットブロックを枢動
可能に構成する必要がなく、構成的に簡単化できる。

さらに、モータの駆動力が、ウォーム、ウォームホィー
ルを介して、リードスクリューに伝達される構成とすれ
ば、シートの不必要な移動が確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は、この考案に係るパワースライドの概
略斜視図およびリードスクリューに沿った概略端面図で
ある。 10:パワースライド、12:ロアレール、14:アッパーレー
ル、16:モータ、18:レッグブラケット、22:コネクティ
ングロッド、24:ウォーム、26:リードスクリュー、28R,
28L:リードスクリュード右半部、左半部のねじ、30:ウ
ォームホィール、38R,38L:ナットブロック、39:ナット
ハウジング、40:ナット本体、42:ゴム片、44R,44L:ブラ
ケット。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リードスクリューの右半部、左半部に相反
   するねじを成形し、 リードスクリュー右半部、左半部のねじに噛合するナッ
   トブロックを、アッパーレール、ロアレールにそれぞれ
   取付け、 モータの駆動力をリードスクリューに伝達し、リードス
   クリューを回転、駆動させて、固定のロアレール上でア
   ッパーレールがスライドされるパワースライド。
2. 【請求項２】モータサイドにウォームを設けるととも
   に、このウォームに噛合するウォームホィールをリード
   スクリューの中央部に固定した請求項１記載のパワース
   ライド。
3. 【請求項３】リードスクリュー、一対のナットブロック
   が同一の水平面内に配列されている請求項１または２記
   載のパワースライド。
4. 【請求項４】リードスクリューに噛合するナットブロッ
   クをアッパーレールに取付け、モータの駆動力をリード
   スクリューに伝達し、リードスクリューを回転、駆動さ
   せて、固定のロアレール上でアッパーレールがスライド
   されるパワースライドにおいて、 リードスクリューの右半部、左半部に相反するねじを成
   形し、 リードスクリュー右半部、左半部のねじに噛合するナッ
   トブロックが、アッパーレール、ロアレールにそれぞれ
   取付けられていることを特徴とするパワースライド。