JPH0628040Y2 - 自動車用座席 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は、シートクッションが前後方向に位置調整可
能な自動車用座席（シート）に関する。

（従来の技術） 従来の前後位置調整可能な中折れ形のシートとしては例
えば、第３図〜第４図に示すようなものがある（実公昭
５７−１１５８０号及び実公昭６０−３１５４７号公報
参照）。

これらの図において、シートクッション１は床９上のス
ライド５により前後に位置調整可能であり、シートバッ
ク２は上背部６と下背部７とを有し、下背部７はシート
クッション１の後部に下端がヒンジピン４で結合され、
上背部６の下端にその上端がヒンジピン３で結合されて
いる。上背部６は車体側背パネルにアジャスタ（ガイド
穴）によって上下方向に摺動できるように結合されてい
る。

従来のものは、シートクッション１を前方に移動する
と、第３図の状態から第４図のようにシートバック２の
下背部７は下部が前方に移動し、それにつれて上部も矢
印のようにスライドして下方に移動し、乗員の腰部との
空間を埋め姿勢を安楽になしうるものである。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、このような従来のものは、シートバック
の下背部がシートクッションと上背部とに夫々にヒンジ
ピンのみで結合されているため、特に荷重分布力の大き
い下背部の結合ピン部分においてガタ（クリアランス）
により異音が発生し商品力を落すという問題点があっ
た。

この考案は乗員の姿勢変化に適切に対応できるシートに
おいて荷重分布力の大きい下背部の上端部支持方法を改
善することにより前述のガタ異音の発生の少い車両用シ
ートを提供し、もって、前述の問題点を改善することを
目的としている。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） この考案は、前述の目的を達成するため、車体前後方向
に位置を調整できるシートクッションと、該シートクッ
ションの後端にリクライニング装置にて下端が連結され
ているシートバックの下背部と、該下背部の上端に下端
が接しかつ車体に上下動可能にスライダにて取付けられ
ているシートバックの上背部とからなり、前記リクライ
ニング装置がシートクッションの前方移動に連動して傾
角が大きくなるようにしたものである。

（作用） シートクッションを前方に移動すると、下背部下端も前
方に移動するが、同時にその傾角も大きくなりその上端
が下がる。このため、上背部も自然に下がる。これによ
り乗員は安楽姿勢をとりうる。シートバックの下背部は
シートクッションとリクライニング装置により連結され
ているのでガタが少い。

（実施例） 以下この考案の一実施例を第１図及び第２図により説明
する。

まず構成を説明する。第１図においてシートクッション
１はスライドレール５により車体前後方向に移動可能に
設置され、その後端とシートバックの下背部７の下端と
がリクライニング装置１１にて連結されている。シート
バックの上背部６は下背部７とは分離しており、車体側
背パネル８にスライダ１３にて上下動可能に取付けらけ
ている。

第２図に示すように、スライドレール５はモータ１５に
よりウォームねじ歯車箱２７内で回転され、前後移動を
止められている棒ねじ１７と、これにねじこまれ回転を
止められているナット付ブラケット１９と、このブラケ
ット１９と一体でシートクッション１のフレーム２５
が、ボルト２９で取付けられる上レール２１と、この上
レール２１と摺動し車体床９に取付けられる下レール２
３とからなっている。

リクライニング装置１１はクッションフレーム２５に取
付けられるアーム３１と下背部フレーム３３に取付けら
れるアーム３５とからなる。アーム３１はケース３２と
一体で、このケース３２内には従来同様、偏心して互い
に噛合う内歯歯車３７と外歯歯車３９とを収容してい
る。内歯歯車３７は外歯歯車３９より歯数が１枚だけ多
くなっており、フレキシブルワイヤ４１の心線にて回転
されるようにケース３２に支持されている。外歯歯車３
９は下背部側のアーム３５と一体的に構成してある。フ
レキシブルワイヤ４１の他端は棒ねじ１７の後端に接続
され、その回転を内部の心線に伝えうるよう取付けられ
る。

上背部フレーム４３はブラケット４５を一体的に有し、
このブラケット４５にスライドピン４７が２個縦方向に
ねじこみ固定されている。車体背パネル８（第１図）に
固定されるスライダ１３には長穴４９があけられてお
り、この中をスライドピン４７が上下に摺動できるよう
になっている。

次に前記実施例の作用を説明する。第１図の実線の状態
で乗員がリラックスしたいため図示しないスイッチを入
れると、モータ１５が回転し、棒ねじ１７を回す。棒ね
じ１７は前後移動を止めらているため、ナット付ブラケ
ット１９が前進しこれと一体の上レール２１，従ってシ
ートクッションフレーム２５，シートクッション１を前
進させる。下背部７はフレーム３３と共にリクライニン
グ装置１１にてシートッション１と連結されているた
め、下端が前進する。これと同時に、棒ねじ１７の回転
はフレキシブルワイヤ４１によりリクライニング装置１
１内の内歯歯車３７に伝えられ、これを回転することに
なる。この内歯歯車３７の回転により外歯歯車３９は１
回転につき１歯ずれ分だけ微小角度（例えば数度）傾き
傾斜角度αを増す。これにより下背部７は鎖線の状態に
傾斜する。下背部７の傾斜により、その上端が下がるの
で、これと下端が接している上背部６は自重により、そ
のフレーム４３の一体ピン４７がスライダ１３の長穴４
９内を滑り落ち鎖線の状態となる。乗員はこれによりリ
ラックスした姿勢をとりうる。

而して、下背部７に乗員の荷重が多くかかったとして
も、下背部７はリクライニング装置１１によってしっか
りと連結されているので、従来のような細いピン結合に
比較してガタの少い、従って異音の生じないものとな
る。又、シートを元に戻すときは前述の逆とする。この
ときは上背部６は下背部７により押上げられてもとの位
置に戻る。

なお、この考案は、前記実施例に限定されるものではな
い。即ち、モータを前後移動用とリクライニング用とを
設け、これらをコントローラで同期させるものでもよ
く、又、モータを全く用いず、前後移動のスライドレー
ルと連動するようリクライニング装置をケーブル，リン
クなどで連結構成したものでもよい。

［考案の効果］ この考案は、以上説明してきたように、その構成を車体
前後方向に位置を調整できるシートクッションと、該シ
ートクッションの後端にリクライニング装置にて下端が
連結されているシートバックの下背部と、該下背部の上
端に下端が接しかつ車体に上下動可能にスライダにて取
付けられているシートバックの上背部とからなり、前記
リクライニング装置がシートクッションの前方移動に連
動して傾角が大きくなる構成としたため、異音の発生が
少くなるという効果を生ずる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の側面図、第２図は同じく
分解斜視図、第３図及び第４図は従来のものの変化の前
後を示す側面図である。 図面に現われた符号の説明 １……シートクッション、５……スライドレール ６……上背部、７……下背部 ８……車体側背パネル、９……床 １１……リクライニング装置、１３……スライダ １５……モータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体前後方向に位置を調整できるシートク
   ッションと、 該シートクッションの後端にリクライニング装置にて下
   端が連結されているシートバックの下背部と、 該下背部の上端に下端が接しかつ車体に上下動可能にス
   ライダにて取付けられているシートバックの上背部とか
   らなり、 前記リクライニング装置がシートクッションの前方移動
   に連動して傾角が大きくなるようになっている自動車用
   座席。