JPH0747487B2 - 易焼結性マイクロ波誘電体用粉体の製造方法 - Google Patents

易焼結性マイクロ波誘電体用粉体の製造方法

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JPH0747487B2
JPH0747487B2 JP2199273A JP19927390A JPH0747487B2 JP H0747487 B2 JPH0747487 B2 JP H0747487B2 JP 2199273 A JP2199273 A JP 2199273A JP 19927390 A JP19927390 A JP 19927390A JP H0747487 B2 JPH0747487 B2 JP H0747487B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はマイクロ波誘電体用粉体、特に水熱合成法によ
り合成されたすぐれた誘電特性を持つ粉体に関する。
(従来の技術) 通信情報量の増加と共にマイクロ波を用いた通信システ
ム、即ち衛星通信及び衛星放送等が急速に発達してお
り、通信、放送装置の共振素子に比誘電率が大きく、誘
電損失が小さい(Q値が大きい)誘電体が用いられてい
る。一般にマイクロ波とは500MHz程度以上の高周波数の
電磁波をいう。この誘電体の材料粉体には比誘電率が20
以上でQ値の大きいものが用いられているがQ値は比誘
電率によって種々の値のものが用いられる。比誘電率が
大きい程、誘電体素子の大きさを小さくすることがで
き、Q値が大きい程エネルギー損失が少ないので、比誘
電率とQ値を適当に選択して利用されるが、比誘電率が
同じ場合にはQ値が大きい程好ましい。実際に用いられ
ている材質としては下記のものが使用されている。すな
わち、MgTiO3、(CaLa)TiO3‐MgTiO3、MgTi2O5‐TiO2、M
gO-Nd2O3、(La2O3)‐TiO2、(CaSrBa)(ZrTi)O3、Ba(Mg
1/3Ta2/3)O3、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3‐Ba(Zn1/3Ta2/3)O3、B
a(Zn1/3Nb2/3)O3‐Sr(Zn1/3Nb2/3)O3、Ba(NiTa)O3‐Ba
(ZrZnTa)O3、Ba(ZnTa)O3‐BaZrO3、(SrCa)(LiNbTi)O3
(ZrSn)TiO4、BaTi4O9、Ba2Ti9O20及びBaO・4TiO2・O.1WO3
などである。
従来、上記した各組成を有するマイクロ波誘電体用粉体
は普通のセラミックスと同様に、原料の秤量、混合、焼
成などの工程を経て製造されていた。例えば、Ba(Zn1/3
Ta2/3)O3‐Ba(Zn1/3Nb2/3)O3セラミックス(略称BSTN)
について(「マイクロ波誘電体セラミックスの動向(総
論)」、エレクトロニクセラミックス、1988年3月号、
19巻)に紹介されている。これによれば、すなわち、ま
ず入手した固体原料中の有効成分を定量分析し、所望の
化学組成比になるように秤量採取する。次に固相反応を
均一に行わせるために、らいかい機などによる乾式混
合、或はボールミルなどによる湿式混合を行う。混合の
終った原料は焼成温度よりやや低い温度(約1000℃)で
仮焼した後、粉砕する。仮焼の条件は焼結時に炭酸塩の
熱分解でガス発生がなく、粉末の焼結性が失われないよ
うに900℃〜1100℃で2〜10時間行う。仮焼後の粉砕は
粉末の粒度を調製し平均粒径を2〜10μmとし、その後
の工程での異常膨張や収縮が減少し、緻密なセラミック
スを得られやすくする。粉砕の終った粉末に結合剤や潤
滑剤や水分を加えて顆粒を作る。結合剤にはポリビニル
アルコールや澱粉など、潤滑剤にはステアリン酸塩、カ
ーボワックス等が使用される。造粒粉末は所定の形状の
金型に入れ、油圧プレスや機械プレスで加圧圧縮して成
形する。厚手の板や柱状或は円筒状の試料を成形すると
きは、金型の中の粉体流動を滑らかにし、応力分布を均
一にすることが必要である。応力分布が不均一のとき
は、焼成歪を生じ、焼結体の密度などの分布が不均一に
なる。成形圧力は1〜3t/cm2程度を使用する。成形体は
ふた付きのマグネシヤまたはアルミナのさやにいれて、
結合剤や潤滑剤を焼尽ののち酸化性雰囲気中で、所定の
温度(1350〜1550℃)で所要時間(2〜120時間)焼成
する。これらの焼結体は所要の寸法に研削や研磨で仕上
げられ最終製品とする。
(発明が解決しようとする課題) マイクロ波用誘電体の品質係数Qは、誘電損失の逆数で
与えられるが、誘電損失を小さくし、Qを大きくするに
は、粒界などの不純物格子欠陥などを除き、均質で、反
り、曲がりの少ない緻密なセラミックスとする必要があ
る。なぜならマイクロ波誘電体の比誘電率の温度安定性
や誘電損失がそのまま誘電体素子や部品、例えば誘電体
共振器の良否を決定するからである。
従来は、上述のように固体粉末原料を混合・仮焼してマ
イクロ誘電体用粉体を製造していたため、混合・仮焼工
程中で種々の不純物を含みやすく、製造した粉体の平均
粒径は1μm以上と大きく、粒度分布が広いため、焼成
温度を高くする必要があった。このため高温焼成中に組
成変動が起こりやすく、焼結体としたときに不純物、格
子欠陥などが入りやすく、粒径が不均一で、反り、曲が
りが入りやすく、緻密になりにくく、Q値が小さくなる
という問題を有していた。
本発明者らは前記した従来のマイクロ波誘電体用粉体の
課題を解決すべく、従来バリウムフェライト、チタン酸
バリウム(BaTiO3)や圧電セラミックス用及びコンデン
サー用の鉛含有酸化物粉末等の合成のみに用いられてい
た水熱合成法を、マイクロ波誘電体用粉体の製造に用い
られるように改良を重ね、鋭意努力した結果、不純物含
有量が少なく、平均粒径が小さく、粒度分布が狭く、焼
成温度が低く、焼成中に組成変動を起こしにくく、焼結
体としたときに粒界、不純物、格子欠陥などがはいりに
くく、均一で、反り、曲がりがはいりにくく、緻密にな
りやすく、Q値が大きくなる粉体を製造する方法を見い
だし、本発明に至った。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
金属水酸化物に付着している塩素イオンを除去したもの
を原料として、オートクレーブに仕込み、水熱合成した
後、乾燥することを特徴とする粒径0.1〜0.5μmの易焼
結性マイクロ波誘電体用粉体の製造方法。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明にいうマイクロ波誘電体用粉体とは、周波数500M
Hz程度以上のマイクロ波回路用の誘電体素子や部品、例
えば誘電体共振器等に使用される比誘電率が20程度以上
で、Q値が高いセラミックスの原料粉体である。
本発明の適用粉体組成を具体的に下記に示すならば、例
えば、MgTiO3、(CaLa)TiO3‐MgTiO3、MgTi2O5‐TiO2、M
gO-Nd2O3、(La2O3)‐TiO2、(CaSrBa)(ZrTi)O3、Ba(Mg
1/3Ta2/3)O3、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3‐Ba(Zn1/3Ta2/3)O3、B
a(Zn1/3Nb2/3)O3‐Sr(Zn1/3Nb2/3)O3、Ba(NiTa)O3‐Ba
(ZrZnTa)O3、Ba(ZnTa)O3‐BaZrO3、(SrCa)(LiNbTi)O3
(ZrSn)TiO4、BaTi4O9、Ba2Ti9O20、BaO・4TiO2・O.1WO3
どがあげられる。しかしながら、本発明は上記組成のみ
に限定されるものではない。
本発明でいう金属水酸化物とは、例えば上記に示した本
発明の適用粉体組成を構成する金属の金属水酸化物をい
う。
本発明の易焼結性マイクロ波誘電体用粉体を製造するに
当たっては、水熱合成法を用いる。水熱合成法は高温高
圧の水あるいは水溶液が反応に関与する単結晶合成法と
してよく知られているが、マイクロ波誘電体用粉体の微
粒子であって、形状、粒径が均一で、純度の高い粉体の
合成にも適した方法である。
金属水酸化物に付着している塩素イオンを除去したもの
とは、あらかじめ作製された金属水酸化物、あるいは金
属塩化物などの金属化合物を酸性溶液などで中和して生
成される水酸化物を水や溶剤でスラリーとし、スラリー
の液中に遊離してくる塩素イオンを除去したものをい
う。塩素イオンが除去されたかどうかは、該金属水酸化
物の洗浄液に硝酸銀を滴下しても、白濁しない程度、す
なわち塩素イオン10ppm以下程度の状態をいう。
ここではBaTi4O9を合成する場合について説明する。水
熱合成の原料にはBaとTiの水酸化物が好ましく、市販の
水酸化物の結晶を用いても良く、酸性溶液などを中和し
て水酸化物沈殿を合成しても良い。酸性溶液を中和する
場合には、沈殿を一旦ろ過し、塩素イオン等の不純物イ
オンが10ppm以下となるように充分に洗浄することが好
ましい。この様なイオンが残存すると、水熱合成によっ
て合成されたマイクロ波誘電体用粉体の結晶粒界や結晶
中へ不純物が混入しやすく結晶欠陥を発生し易くした
り、最終の焼結体の誘電特性を阻害したりするからであ
る。洗浄の際、Baなどの塩基性の元素の水酸化物は水に
溶解してしまうので、水に溶解しやすい元素の水酸化物
原料は、中和によって沈殿を得るのではなく、純度の高
い水酸化物結晶を用いる方が好ましい。製造する粉体の
化学量論を合わせやすいからである。
次に水酸化物結晶または水酸化物沈殿を純水に分散させ
る。Baなど塩基性の元素は水への溶解度が高いので、水
酸化物の量と水の量の比を適当に選ぶ必要がある。水の
量が多すぎる場合には、水熱反応後もBa等の塩基性元素
が水媒体中に溶存し、目的とする組成を有する粉体を合
成できないためである。BaTi4O9の場合には(Ba(OH)2・8
H2O結晶/H2O)の質量比にしておおよそ1/20以上で反応
させれば良い。
BaとTiの水酸化物を分散した水をオートクレーブに仕込
み、水熱反応を進行させる。反応温度及び反応圧力の条
件は反応速度や粉体粒径を制御するだけでなく、合成さ
れる粉体の結晶系を変えるので、合成すべき結晶系にあ
った温度と圧力の条件を選ばなければならない。BaTi4O
9の場合には、150℃〜300℃、10kg/cm2〜100kg/cm2で反
応させれば、結晶粒径0.3μm程度の粉体を合成でき
る。オートクレーブの容積に対する水の充填率によっ
て、反応温度における系の圧力が決定されるので、水の
充填率は反応させるべき温度と圧力に従って適当な値を
選ばねばならない。BaTi4O9を200℃かつ30kg/cm2程度で
反応させる場合には、充填率を約50%に選べはよい。
本発明の易焼結性マイクロ波誘電体用粉体の場合、反応
は100℃以上の高温で行う。100℃以下では反応速度が小
さすぎ、実用に適さないからである。高温にすると反応
速度が大きくなると共に、製造される粉体の粒径が大き
くなる。水の臨界点である374℃以上では、反応速度及
び粉体の粒径は特に大きくなる。粉体に低温焼結性を与
えるには粒径0.1〜0.5μmで、平均粒径0.3μm程度の
粉体とする必要があるので、反応温度は臨界点以下に抑
えることが必要である。合成した粉体はろ過または遠心
分離などにより取り出し、乾燥させる。必要に応じてス
プレードライ法により造粒しても良い。
オートクレーブはバッチ型のものでもよく、連続型のも
のでも良い。一般には多品質の製品を少量ずつ製造する
場合にはバッチ型のものが適当であり、少品種のものを
大量に製造する場合には連続型のものが適当である。
(作用) 本発明では、マイクロ波誘電体用粉体を構成する金属の
金属水酸化物に付着している塩素イオンを除去したもの
を原料としてオートクレーブに仕込み、水熱合成した
後、乾燥することによって、平均粒径が1μm以下と小
さく、粒径が0.1〜0.5μmと粒度分布が狭く、低温焼結
性に優れ、結晶粒界や結晶中の不純物の混入が少なく、
結晶欠陥が発生しにくい高純度の粉体であり、焼成温度
を低く選ぶことができ、焼結体としたときのQ値が高い
マイクロ波誘電体用粉体を得ることができる。
(実施例) 以下更に実施例を挙げて詳しく説明する。
〔実施例1〕 16%塩化チタン水溶液を250gに2NのNaOH水溶液を撹拌し
ながらpH=10となるまで滴下し、水酸化チタン沈殿のス
ラリーを得た。このスラリーを遠心分離器に掛け、上澄
み液を除いて沈殿物を得た。次にこの沈殿物にイオン交
換水を加え、超音波洗浄器中で撹拌しながら分散させ、
再びスラリーとした。この様に沈殿物の遠心分離と再分
散の工程を3度繰り返して、沈殿物に付着した塩素イオ
ンを洗浄した。4度目に遠心分離したのちの上澄み液を
採取して、硝酸銀を滴下したところ白色の沈殿を生じな
かったので、沈殿に付着していた塩素イオンがほぼ除か
れたことが分かった。
更にこの水酸化チタン沈殿のスラリーに純度98%のBa(O
H)2・8H2Oを67.876g混合し、この沈殿混合物にイオン交
換水を加えて全量を1500mlとした。その上澄み液を10ml
分取し、硝酸銀を滴下したところ白色の沈殿は生じなか
った。残りを超音波洗浄器中で撹拌して分散させて得た
スラリーをハステロC製の4lのオートグレーブに仕込ん
で100〜150rpmで撹拌しながら120分で240℃まで昇温
し、0.5時間水熱処理した。
反応終了後、スラリーを濾別して水洗した。真空乾燥器
内で乾燥させた後、理学電気製RAD-IIB型回折装置によ
りエックス線回折パターンを測定し、更に化学組成を蛍
光エックス線測定により分析したところ、期待した通り
Ba1.0Ti4.0O9.0の組成を保育する結晶が得られたことが
明らかになった。また、遠心沈降法粒度分布測定器によ
り測定した粉体の粒度分布は、0.1μmから0.5μmの間
に分布し、そのヒストグラムは単一のピークを持ってい
た。また平均粒径は第1表に示すごとく0.3μmであっ
た。また、不純物含有量を発光分析法によって測定した
結果を第2表に示したが、いずれの元素も10ppm以下で
あり、純度の高いものであった。
この粉体にPVAの5wt%水溶液を粉体質量に対して5wt%
加えて造粒した。造粒粉末を直径8mmの円筒形状の金型
に入れ、油圧プレスで1t/cm2で加圧圧縮して成形した。
成形体をふた付きのマグネシヤのさやにいれて、酸化性
雰囲気中、1200℃で5時間焼成した。その結果第1表に
示すとおり、焼結体の密度は理論密度の99%であった。
またεとQ値を測定したところ、室温におけるεは40で
あり、Qは12300であった。測定にはYHP社製ネットワー
クアナライザーを用いて、サンプル保持具に村田製作所
製治具を用いた。測定周波数は1GHzであった。
〔比較例1〕 BsCO3とTiO2原料をBa:Tiの比が1:4となるように秤量し
た。次に固相反応を均一に行わせるために、ボールミル
などによる湿式混合を行った。混合の終った原料を1000
℃で10時間仮焼した後、ボールミルを用いて湿式粉砕し
た。
エックス線回折パターンを測定したところ、BaTi4O9
回折パターンが得られた。この粉体の化学組成を蛍光エ
ックス線測定により分析したところ、期待した通りBa
1.0Ti4.0O9.0の組成を保有することが明らかになった。
また、遠心沈降法粒度分布測定器により粉体の粒度分布
を測定したところ、0.5μmから7.5μmの間に分布し、
そのヒストグラムは複数のピークを持っていた。また平
均粒径は第1表に示すとおり2.3μmであった。しか
し、発光分析による不純物量は第2表に示すとおりであ
り、Na、Ca、Al、Fe、Mnの含有量が実施例1に比較して
多くなっていた。
この粉体にPVAの5wt%水溶液を粉体質量に対して5wt%
加えて造粒した。造粒粉末を円筒形状の金型に入れ、油
圧プレスで1t/cm2で加圧圧縮して成形した。成形体をふ
た付きのマグネシャのさやにいれて、酸化性雰囲気中、
1200℃で5時間焼成しても充分な焼結体密度が得られな
かった。順次焼成温度をあげて焼結性を確かめた結果、
第1表に示すとおり、1380℃で5時間焼成したとき焼結
体の密度は理論密度の99%となり、実施例1と同等の密
度が得られた。しかし、室温における比誘電率は38であ
り、Q値は8800であって、特にQ値が実施例1に比較し
てかなり劣っていた。
〔実施例2〕 25wt%の塩化タンタル水溶液250gに2NのNaOH水溶液を撹
拌しながらpH=10となるまで滴下し、水酸化タンタル沈
澱のスラリーを得た。スラリーを遠心分離器に掛け、上
澄み液を除いて沈澱物を得た。沈澱物にイオン交換水を
加え、超音波洗浄器中で撹拌しながら分散させ、再びス
ラリーとした。この用に沈澱物の遠心分離と再分散の工
程を3度繰り返して、沈澱物に付着した塩素イオンを洗
浄した。4度目に遠心分離したのちの上澄み液を採取し
て、硝酸銀を滴下したところ白色の沈澱は生じなかった
ので、沈澱に付着した塩素イオンがほぼ除かれたことが
分かった。
更にこの水酸化タンタルの沈澱に純度99.8%、粒径約0.
3μmのMgOの微粉3.5gとBa(OH)2・8H2Oを315.3gを混合
し、この沈澱混合物にイオン交換水を加えて全量を1500
mlとした。その上澄み液を10ml分取し、硝酸銀を滴下し
たところ白色の沈殿は生じなかった。残りを超音波洗浄
器中で撹拌して分散させて得たスラリーをハステロイC
製の4lのオートクレーブに仕込んで100〜150rpmで撹拌
しながら120分で240℃まで昇温し、0.5時間水熱処理し
た。
反応終了後、スラリーを濾別して水洗した。真空乾燥器
内で乾燥させた後エックス線回折パターンを測定したこ
とろ、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3の回折パターン以外にはピーク
が現れておらず、単相であることが分かった。この粉体
の化学組成を蛍光エックス線測定により分析したとこ
ろ、期待した通りBa:Mg:Ta=3.0:1.0:2.0の組成を保有
することが明らかになった。遠心沈降法粒度分布測定器
により測定した粉体の粒度分布は、0.1μmから0.5μm
の間に分布し、そのヒストグラムは単一のピークを持っ
ていた。また、平均粒径は第1表に示すように0.3μm
であった。発光分析法により見いだされた含有不純物元
素は第2表に示すものであり、いずれの元素も10ppm以
下の含有量であった。
この粉体にPVAの5wt%水溶液を粉体質量に対して5wt%
加えて造粒した。造粒粉末を円筒形状の金型にいれ、油
圧プレスで1t/cm2で加圧圧縮して成形した。成形体をふ
た付きのマグネシヤのさやにいれて、酸化性雰囲気中、
1200℃で5時間焼成した。結果を第1表に示すが、焼結
体の密度は理論密度の99%であった。また比誘電率とQ
値を測定したところ、室温における比誘電率は20であ
り、Q値は19,200であった。
〔比較例2〕 BaCO3とMgOとTa2O5原料をBa:Mg:Taの比が3:1:2の比にな
るように秤量採取した。次に固相反応を均一に行わせる
ために、ボールミルなどによる湿式混合を行なった。混
合の終った原料を1000℃で10時間仮焼した後、ボールミ
ルを用いて湿式粉砕した。
エックス線回折パターンを測定したところ、Ba(Mg1/3Ta
2/3)O3の回折パターンが得られた。この粉体の化学組成
を蛍光エックス線測定により分析したところ、期待した
通りBa:Mg:Ta=3.0:1.0:2.0の組成を保有することが明
らかになった。しかし、発光分析による不純物量は第2
表に示すとおりであり、Na、Ca、Al、Fe、Mn及びNbの含
有量が実施例2に比較して多くなっていた。更に、遠心
沈降法粒度分布測定器により粉体の粒度分布を測定した
ところ、0.5μmから7.5μmの間に分布し、そのヒスト
グラムは複数のピークを持っていた。また平均粒径は2.
3μmであった。
この粉体にPVAの5wt%水溶液を粉体質量に対して5wt%
加えて造粒した。造粒粉末を円筒形状の金型に入れ、油
圧プレスで1t/cm2で加圧圧縮して成形した。第1表に示
すように、形成体をふた付きのマグネシヤのさやにいれ
て、酸化性雰囲気中、1200℃で5時間焼成しても充分な
焼結体密度が得られなかった。さらに順次焼成温度をあ
げて焼結性を確かめていくと、1500℃で5時間焼成した
とき、焼結体の密度は理論密度の99%となり、実施例2
と同等の密度が得られた。しかし、室温における比誘電
率は20であり、Q値は14900であって、特にQ値が実施
例2に比較してかなり劣っていた。
〔実施例3〕 アンモニア塩基性水酸化タンタルスラリー(三井金属鉱
業、Ta2O599.5%、Nb2O50.05%、Fe2O3<0.0005%、SiO
20.0020%、灼熱損失71.4%)にイオン交換水を加え、T
a2O5換算で24.4wt%のスラリーを調製した。また、アン
モニア塩基性水酸化ニオブスラリー(三井金属鉱業、Ta
2O5<0.02%、Fe2O3<0.0005%、SiO20.0020%、灼熱損
失67%)も同様に、Nb2O5換算で24.2wt%のスラリーを
調製した。調製したタンタルスラリー113.652gをビーカ
ーに採取し、調製したニオブスラリー7.658gを混合した
後、ZnO(正同化学、99.82%)の微粉5.7382gとBa(OH)2
・8H2O(和光純薬工業、98%)76.677gを加え、イオン交
換水を加えて全量を500mlとした。その上澄み液10mlを
分取し、硝酸銀を滴下したところ白色の沈殿は生じなか
った。残りを撹拌式ホモジナイザーを用いて均一分散さ
せた。実施例1と同じオートクレーブ内に入れたアルミ
ナビーカー中に仕込んで、スターラーにより150rpmで撹
拌しながら、120分で290℃まで昇温し、30分保持して反
応させた後、室温まで冷却し、反応物を遠沈管に採取し
た。遠心分離処理により遠沈管底部に分離した粉体を、
実施例1と同様の方法で洗浄し、塩素イオンを取り除い
た。実施例1と同様の方法で粉体を分析したところ、Ba
(Zn1/3Ta2/3)O3の単相であり、期待した通りBa:Zn:Ta:N
b=3.07:1.00:1.90:0.10の組成を保有し、含有不純物量
はいずれの元素も10ppm以下であり、その平均粒径は0.3
μmであった。
この粉体を実施例1と同様の方法で成形し、1200℃で5
時間焼成すると、焼結体の密度は7.63g/cm3に達した。
また、実施例1と同様の方法で誘電特性を測定したとこ
ろ、共振周波数10.0GHzでの室温比誘電率は30.5であ
り、Q値は10,500であった。
〔比較例3〕 BaCO3(99.98%、石原産業)18.4696g、ZnO(99.82%、
正同化学)2.5179g、Ta2O5(99.8%、三井金属鉱業)1
2.3095g及びNb2O5(99.8%、三井金属鉱業)0.8218gを2
50mlポットに秤量し、媒体をクロロセンとしてボールミ
ル混合した。混合粉を乾燥し、700kg/cm2の圧力でディ
スク状に成形した後、1050℃で8時間仮焼し、これを水
を媒体としてボールミル解砕して微粉化したところ、平
均粒径は1.8μmとなった。バインダーを添加した後、1
t/cm2の圧力でディスク状に成形し、1350℃から1575℃
で焼成したが、緻密な焼結体は得られなかった。
〔実施例4〕 16%塩化チタン水溶液(大阪チタニウム)100.00gと16
%オキシ塩化ジルコニウム水溶液(第一稀元素化学)7
5.20gを混合し、塩化スズ(97wt%、和光純薬工業)4.5
29gを加えて溶解し、2NのNaOH水溶液をpH=10となるま
で撹拌しながら滴下し、共沈物を得た。このスラリーを
遠心分離器に掛け、上澄み液を除いて沈澱物を分離し
た。更に、実施例1と同じ方法で洗浄し、塩素イオンを
取り除いた。この混合物にイオン交換水を加えて全量を
500mlとした。その上澄み液10mlを分取し、硝酸銀を滴
下したところ白色の沈殿は生じなかった。残りを超音波
洗浄器で撹拌して分散させて得たスラリーをオートクレ
ーブに、実施例3と同様に仕込んで、100〜150rpmで撹
拌しながら120分で240℃まで昇温し、0.5時間水熱処理
した。
反応終了後、スラリーを濾別して水洗し、真空乾燥器内
で乾燥させた。実施例1と同様の方法で分析したとこ
ろ、ZrTiO4と同じ結晶相が確認され、期待した通りZr:S
n:Ti=0.80:0.20:1.00の組成を保有しており、含有不純
物量はいずれの元素も10ppm以下であり、その平均粒径
は0.2μmであった。
この粉体を実施例1と同様の方法で成形し、1250℃で5
時間焼成すると、焼結体の密度は5.17g/cm3に達した。
実施例1と同様の方法で誘電特性を測定したところ、共
振周波数10GHzでの室温比誘電率は37であり、Q値は7,3
00であった。
〔比較例4〕 ZrO2、TiO2及びSnO2を原料として、250mlボールミルで
クロロセンを用いて20時間混合を行い、乾燥後、950℃
で2時間仮焼した。これをボールミルで2時間水解砕し
たところ、平均粒径は1.5μmとなった。5%PVA溶液を
用いて造粒し、1t/cm2でディスク状に成形して、1400℃
で5時間焼成すると、密度は5.16g/cm3となった。実施
例1と同様の方法で誘電特性を測定したところ、共振周
波数10GHzでの室温比誘電率は36であり、Q値は6,680で
あった。
〔発明の効果〕 本発明の易焼結性マイクロ波誘電体用粉末は、平均粒径
が1μm以下と小さく、粒度分布が狭く、低温焼結性に
優れ、不純物を含まない高純度の粉体であり、焼結体と
したとき、粒界、不純物、格子欠陥などがはいりにく
く、均質で、反り、曲がりが少ない、緻密で、Q値が高
いマイクロ波誘電体用粉体を得ることができ、その産業
上の意義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C04B 35/46 35/49 35/495 H01P 7/10 11/00 J C04B 35/49 Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属水酸化物に付着している塩素イオンを
    除去したものを原料として、オートクレーブに仕込み、
    水熱合成した後、乾燥することを特徴とする粒径0.1〜
    0.5μmの易焼結性マイクロ波誘電体用粉体の製造方
    法。
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