JPH0745044B2 - サイドガイド付竪ロール圧延機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は熱間連続圧延機で使用される、圧延機に近接し
て設置されたサイドガイド付竪ロール圧延機に関するも
ので、特に熱間連続仕上圧延機の直前で被圧延材の幅を
圧下する左右一対の竪ロールと、被圧延材を誘導する左
右一対のサイドガイドを備えた前記サイドガイド付竪ロ
ール圧延機の改善に関するものである。

〈従来の技術〉 熱間連続仕上圧延機の人側には、従来から被圧延材を正
しく圧延ロールに誘導するためのサイドガイドが設けら
れている。

このサイドガイドは、被圧延材の全長に亘って蛇行や絞
込みを防止するために、できるだけ圧延機に接近して設
置する必要がある。

さらに、熱間連続仕上圧延機（以下単に仕上圧延機とい
う）の上流側圧延機では被圧延材の厚さが厚いことか
ら、十分な強度が必要である。

また近年、歩留向上のために板幅精度を細かく管理する
ことが要求され、そのために仕上圧延機にもスタンド間
エッジャの開発が行われている。（石川島播磨技報、ホ
ットストリップミル仕上スタンド間エッジャの開発、第
１報昭和62年１月第27巻第１号P30,第２報昭和62年７月
第27巻第４号P229,第３報昭和63年１月第28巻第１号P3
5） また、サイドガイドに竪ロールを組込んだ設備による圧
延方法も開示されている。（特開昭59−212110号公報） ここで、従来のサイドガイドの例を第６図および第７図
により説明する。第６図はサイドガイドの側面を、第７
図は第６図のＡ−Ａ断面を示す概略図面である。

図において、WRは上下ワークロールでありBURは上下バ
ックアップロールで、被圧延材は矢印Ｆ方向に進行す
る。そしてサイドガイドSGは第７図に示すように断面コ
形のものが左右一対で構成されている。このサイドガイ
ドSG₁，SG₂の間隔の調整は、左右互に逆方向のねじS₁，
S₂を旋削した２本のねじ軸Ｓを回転駆動し、ナットN₁，
N₂を回転不能な状態で内装したナットハウジングＨを介
してサイドガイドSG₁，SG₂を被圧延材の幅方向に移動さ
せて行う。

この場合、サイドガイドSGは入側の山形ガイドGaおよび
出側の山形ガイドGb上を摺動するが、入側の山形ガイド
Gaは両側傾斜部のみで、また出側の山形ガイドGbは上面
のみでサイドガイドSGの荷重を支持する。なおLa,Lbは
ライナである。

そして、入側ねじ軸Saは図示外の駆動装置で回転駆動さ
れ、出側ねじ軸SbはチエンによりスプロケットホイルSW
を介して入側ねじ軸と同調駆動される。CGはセンターガ
イドで山形ガイドＧに固定されている。

さらに、入側の山形ガイド側では第７図に１点鎖線で示
すように山形ガイドGaおよびサイドガイドの支持部を延
長し、サイドガイドの先端（ワークロール側）に作用す
る圧延ライン直角方向の力の偶力を受け止めるようにし
ている。

すなわち、入側山形ガイドGaはライナLa,Laにより前記
偶力とサイドガイドの重量を受け、出側山形ガイドGbは
ライナLbによりサイドガイドの重量のみを受け持つこと
になる。

〈発明が解決しようとする課題〉 上述の如き従来のサイドガイドでは、各ねじ軸Sa,Sbは
各山形ガイドGa,Gbによりその上部を覆われた状態にな
っているものの、下部は閉鎖することができないため開
放されており、そのねじ部S₁，S₂は常にロール冷却水，
スケール，水蒸気等を含む雰囲気にさらされ、苛酷な条
件下でしかも不十分な潤滑状態で使用されている。

このため、このねじ部に係合するナットは摩耗が著るし
く、１年間で４〜5mmも摩耗し、このナットを頻繁に交
換しなければならない。

ところが、ナットの交換に際してはその構造上、サイド
ガイド本体ならびに山形ガイドを取外し、圧延ライン外
で交換するより方法がなかった。このサイドガイドや山
形ガイドの取外し、再組込み作業は狭隘な場所で行わね
ばならず、しかも圧延作業を中断する必要があり、特に
サイドガイド付竪ロール圧延機では、さらに機器の配置
が複雑となり、装置も大型化することと、サイドガイド
の着脱が困難で設備保全上、また生産能率上大きな問題
となっていた。

また、サイドガイド先端にライン直角方向の力が作用し
た場合、その力による偶力は入側山形ガイドで受け止め
るが、山形ガイドとライナには多少のガタがあること
と、サイドガイドとナットハウジングは１体的に構成さ
れていることから、前記圧延ライン直角方向の力はナッ
トを介してねじ軸等に直接スラスト荷重として作用し、
これら駆動系の部品を破損することがある。

本発明は、上記従来技術における課題を解決し，保全性
がよく，故障の少い改善されたサイドガイド付竪ロール
圧延機を提供することを目的としたものである。

〈課題を解決するための手段〉 本発明は、熱間圧延機に近接して設置され、被圧延材を
幅方向に圧下する左右一対の竪ロールと、被圧延材を誘
導する左右一対のサイドガイドを備えたサイドガイド付
竪ロール圧延機において、左右サイドガイドの間隔を調
整するためのねじ軸を左右サイドガイドに各１本設け、
各ねじ軸のねじ部は各々取付けるサイドガイドの反対の
側になるように配置して該ねじ部をねじ部保護ケースで
覆い、前記サイドガイドの移動量とほぼ等しい長さの円
筒部を有し前記ねじ部に係合したナットを保持するナッ
ト保持ケースを設けて該ナット保持ケースの端部に前記
サイドガイドをサイドガイド着脱手段により取付けると
ともに、前記ねじ部保護ケース内にナット保持ケースの
円筒部を摺動可能に嵌挿させ、かつ、ねじ部保護ケース
ならびにナット保持ケースの内部空間をシール手段によ
り密閉構造とすることにより、また、サイドガイド着脱
手段はナット保持ケース端部に設けた押圧ロッドをばね
によりサイドガイドに押圧し、該サイドガイドを弾性的
に取り付けることにより、改善されたサイドガイド付竪
ロール圧延機を開発し、上述従来技術の課題を解決し
た。

〈作用〉 本発明によるサイドガイド付竪ロール圧延機は、左右サ
イドガイドの間隔を調整するためのねじ軸を、従来は１
本のねじ軸に左右逆方向のねじ部を設け、左右それぞれ
のサイドガイドを、それぞれのナット，ナットハウジン
グを介して互いに逆方向に移動させていたものを、左右
サイドガイド毎に各１本設け、各ねじ軸のねじ部を保護
ケースで覆った。そして、ねじ部に係合するナットはナ
ット保持ケースに保持させて、該ナット保持ケースには
サイドガイドの移動量にほぼ等しい長さの円筒部を設け
るとともにその端部にサイドガイドの着脱手段を設ける
ことにより、左右サイドガイドの移動量を確保した。

さらに、前記ねじ部保護ケース内に前記ナット保持ケー
スを摺動可能に嵌挿させ、このねじ部保護ケースならび
にナット保持ケースの内部空間をシール手段により密閉
構造にすることにより、各ねじ軸のねじ部およびナット
を完全に外部雰囲気から遮断した。

このように構成することにより、ねじ部とナットは潤滑
を十分に行い得ることと相まって、ほとんど摩耗するこ
とがない。

また、サイドガイドの着脱手段は、ナット保持ケース端
部に設けた押圧ロッドをばねによりサイドガイドに押圧
し、該サイドガイドを弾性的に取付けることにより、サ
イドガイドの先端に過大な圧延ライン直角方向の力が作
用しても、前記ばねの収縮により緩和することができる
ため、サイドガイドの駆動用ナットやねじ軸等に直接無
理な外力が作用することがない。

このため、サイドガイド付竪ロール圧延機の保全性は飛
躍的に向上し、ひいてはその操業度も確保することがで
きる。

〈実施例〉 第１図〜第５図に本発明の実施例を示す。第１図は本発
明を用いたサイドガイド付竪ロール圧延機の平面配置を
示し、WRは仕上圧延機のワークロール、Hgはそのハウジ
ングである。そして、被圧延材は矢印Ｆ方向に進行す
る。さらに、この図において右側が駆動側、左側が操作
側であり、左右対称に設置された機器についてはその符
号に駆動側はａを、操作側にはｂを添字して示す。

竪ロール圧延機１は左右ハウジング2a,2b、竪ロール3a,
3bを備え、電動機４、減速機６、左右同調駆動軸７を介
して同調ギャボックス8a,8b内のギヤによりねじスピン
ドル25,26（第３図）を駆動し、ハウジング2a,2bの位置
調整を行う。なお５はブレーキを示す。

一方、サイドガイド10は左右それぞれのサイドガイド10
a,10bから成り、駆動側サイドガイド10aは駆動系11a
で、操作側サイドガイド10bは駆動系11bで前記ハウジン
グ2a,2bの位置調整と同調して、互の開度が調整され
る。すなわち、前記同調駆動軸７からギヤトレイン12内
のギヤ12a,12b,12cを介して前記駆動系11bを、またギヤ
12dにより駆動系11aを同調駆動する。なお、ギヤトレイ
ン12はこの例では操作側サイドガイド10bの下方位置に
不動に固設された架台54（第４図）上に取付けてある。
また、サイドガイド10a,10bは溶接等により竪ロール圧
延機のハウジングに強固に取付けてある。

第２図は第１図のＡ−Ａ矢視図で、ハウジング２は下部
ブロック２′に取付けたローラ21により、ガイドＧの上
面ライナL₁上を移動可能となっており、同時に圧延ライ
ン方向の力に対してはガイドＧの傾斜面に摺接するライ
ナ23,23で耐え得るようにしてある。また竪ロールチョ
ック20はその下部側面の突起20′に固定したライナ22,2
2によりハウジング２内を摺動可能となっている。

さらに、駆動側サイドガイド10aは操作側サイドガイド
駆動系11b上に設けたガイド13b上を摺動しながら移動可
能である。第１図に示した13aは操作側のサイドガイド1
0bのガイドを示している。そして、14はサイドガイドの
着脱手段である。

第３図は第１図のＢ−Ｂ矢視図であり、竪ロール圧延機
正面の断面を示す。図において、25,26は同調ギャボッ
クス８内のギヤ（図示せず）にスプライン係合したスプ
ライン軸24,24′に接続されて回転駆動されるねじスピ
ンドルであり、（以下、下側ねじスピンドル26について
は上側ねじスピンドルと同様であるため説明を省略す
る）そのねじ部25′に係合するナット27により、ハウジ
ング２をサイドガイド10と共に位置調整する。なお28は
ナット27を回転不能な状態で抱持するナットケースでス
タンド９に固定してあり、竪ロール３に加わる圧延反力
をスタンド９に伝達、該スタンド９で圧延反力を強固に
受け止める。また29はスラスト軸受ケースである。

30は油圧圧下シリンダであって、竪ロール３の圧下位置
を設定するためのもので、竪ロールチョック20にプレッ
シャブロックケース31を介して接続してあり、竪ロール
３とサイドガイド10との被圧延材軸方向の位置関係を調
整して、竪ロール３の非使用時には該竪ロール３を退避
させ、使用時には押し出すと同時に圧下量の設定を行
う。また、プレッシャブロックケース31内には図示しな
いプレッシャブロックおよびロードセルが内装されてい
る。32はバランスシリンダを示し、ねじスピンドル25,2
6による位置調整機構や、油圧圧下シリンダ31による圧
下機構のガタを吸収する。

なお、操作側については第３図と同様に構成されている
ため、説明を省略する。

第４図は第１図のＣ−Ｃ矢視図で駆動側サイドガイド10
a駆動系13aの断面図である。

図において、ギヤトレイン12は架台54上に載置され、ギ
ヤ12dの回転力はカップリング15を介してねじ軸16に伝
達される。該ねじ軸16はその両端を架台54′,55上に取
付けたベアリングケース40,41のベアリング42,43により
回転自在に支持されるとともにそのねじ部17にはナット
19が係合されている。18はねじ軸の延長部である。

そして、ねじ部17は内部が円形空胴となった保護ケース
44で覆われ、またナット19はナット保持ケース45に回転
不能な状態で保持されている。このナット保持ケース45
は、サイドガイド10aの移動量にほぼ等しい長さの円筒
部を有し、その外周部は前記ねじ部保護ケース44の内周
面に摺動可能に嵌挿させてある。さらに、サイドガイド
10a側にはサイドガイド着脱手段14が設けられている。

ここで46はアジャストスリーブであり、もしナット19が
摩耗等のために使用不能になり交換する必要が生じた場
合、ベアリングケース41とベアリング43を取外すだけ
で、サイドガイド10a本体を取外すことなくアジャスト
スリーブ46とともにナット19を着脱することができる。
しかし、このアジャストスリーブ46は、サイドガイド10
とナット保持ケース45の取付方法が簡単にオンラインで
着脱できるものであれば必ずしも必要としない。

さらに47,48,49はそれぞれシール手段であり、オイルシ
ール等が使用され、ねじ部保護ケース44とナット保持ケ
ース45（アジャストスリーブ46を用いた場合はアジャス
トスリーブ46）のそれぞれの内部空間部50,51を該シー
ル手段47,48,49によりシールし、外部雰囲気から完全に
遮断するものである。従って、図示外の潤滑剤供給配管
等から供給された潤滑剤は有効に作用することができ、
外気側からは水，スケール，水蒸気等が前記空間部に侵
入することはない。

なお、51は駆動系11aの支持材で架台54′,55上に取付け
てあり、また、53はガイド13aの支持材でベアリングケ
ース40、およびねじ部保護ケース44上に取付けてある。

なおまた、操作側のサイドガイド10bについては、その
駆動系11bは駆動側サイドガイド10aの駆動系11aとは、
ギヤトレイン12,ギヤ12c,カップリング15を除く他の構
成部材が左右逆になるのみであるため、説明を省略す
る。

次に、サイドガイド10の着脱手段14について説明する
と、第４図の例によればナット保護ケース45のサイドガ
イド10a側端部に接続部56を立設し、該部にサイドガイ
ド押圧ロッド57を取付ける。一方、サイドガイド10a側
には受圧片58を取付け、前記押圧ロッド57で該受圧片58
を押圧するようにナット57′を調整してサイドガイドの
突起部59と受圧片58により摩擦係合させる。このように
することにより、サイドガイド10と駆動系11は着脱する
ことができる。

しかし、前述の如くサイドガイド10の先端に圧延ライン
直角方向の力が作用した場合は、駆動系11a,11bに無理
に生じる。これを防止するための他の実施例を第５図に
示す。

第５図において、ナット保持ケース45のサイドガイド10
aとの接続部56,サイドガイド10aの受圧片58,突起部59お
よび押圧ロッド57は第４図と同様であるが、この実施例
では押圧ロッド57にばね60を外装し、該ばね60の力を介
して押圧ロッド57を受圧片58に弾性的に押圧している。
この場合の押圧力は、サイドガイド10aに異常な力が作
用したときのみ、ばねが収縮して外力を吸収可能な程度
とする。従って、通常の使用に際しては第４図の例と何
んら変ったことなく使用でき、異常荷重に対しては駆動
系11a,11bを十分保護することができる。

本発明によるサイドガイド付竪ロール圧延機を、熱間連
続仕上圧延機F₁入側に設置し使用した。その結果、従来
はサイドガイドの間隔調整用ねじ軸のナット（ねじピッ
チ16mm）が１年間で４〜5mmも摩耗していたものが、６
ヶ月の使用において約0.2mm程度となり従来の1/10以下
に摩耗を低減させることができた。また、サイドガイド
の取付手段としてばねを介装させたため、サイドガイド
の駆動系の故障も全く発生しなかった。

〈発明の効果〉 本発明を実施することにより、サイドガイドの間隔調整
用ねじ軸のナットの摩耗がほとんどなくなり、該ナット
の交換頻度を極端に減少させることができ、またサイド
ガイドへの異常外力の作用に基づく故障もなくなること
から保全性の向上、操業の安定等その効果はすこぶる大
である。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本発明の実施例を示す図面で、第１図
はサイドガイド付竪ロール圧延機の概略平面図、第２図
は第１図のＡ〜Ａ矢視図、第３図，第４図は同様にＢ−
Ｂ矢視図、Ｃ〜Ｃ矢視図で、第３図は竪ロール圧延機正
面の断面図、第４図はサイドガイドのライン直角方向断
面図で、第５図はサイドガイド取付手段の他の実施例を
示す図面である。また、第６図および第７図は従来のサ
イドガイドの説明図である。 １…竪ロール圧延機、２…ハウジング、３…竪ロール、
７…同調駆動軸、10…サイドガイド、11…駆動系、12…
ギヤトレイン、14…サイドガイド着脱手段、16…ねじ
軸、17…ねじ部、19…ナット、20…竪ロールチョック、
25,26…ねじスピンドル、27…ナット、30…油圧圧下シ
リンダ、32…バランスシリンダ、44…ねじ部保護ケー
ス、45…ナット保持ケース、46…アジャストスリーブ、
47,48,49…シール手段、50,51…内部空間部、57…押圧
ロッド、60…ばね。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱間圧延機に近接して設置され、被圧延材
   を幅方向に圧下する左右一対の竪ロールと、被圧延材を
   誘導する左右一対のサイドガイドを備えたサイドガイド
   付竪ロール圧延機において、左右サイドガイドの間隔を
   調整するためのねじ軸を左右サイドガイドに各１本設
   け、各ねじ軸のねじ部は各々取付けるサイドガイドの反
   対の側になるように配置して該ねじ部をねじ部保護ケー
   スで覆い、前記サイドガイドの移動量とほぼ等しい長さ
   の円筒部を有し前記ねじ部に係合したナットを保持する
   ナット保持ケースを設けて該ナット保持ケースの端部に
   前記サイドガイドをサイドガイド着脱手段により取付け
   るとともに、前記ねじ部保護ケース内にナット保持ケー
   スの円筒部を摺動可能に嵌挿させ、かつ、ねじ部保護ケ
   ースならびにナット保持ケースの内部空間をシール手段
   により密閉構造としたことを特徴とするサイドガイド付
   竪ロール圧延機。
2. 【請求項２】サイドガイド着脱手段は、ナット保持ケー
   ス端部に設けた押圧ロッドをばねによりサイドガイドに
   押圧し、該サイドガイドを弾性的に取付けることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載のサイドガイド付竪ロ
   ール圧延機。