JPH0743307Y2 - スパニッシュ瓦のふき構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はスパニッシュ瓦のふき構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、スパニッシュ瓦のふき構造とし
て、図４に示すように、たる木１の上面に野地板２を張
り、その上面にルーフィング３を張り、その上面に瓦を
止着するための角材４を屋根の流れ方向に沿って配置す
ると共にこれを釘８によりルーフィング３を貫通して野
地板２に止着し、この隣設する角材４間にスパニッシュ
瓦５を配置し、角材４上にスパニッシュ瓦の上瓦６を、
その両裾が前記上瓦にまたがるようにして配置し、該上
瓦６を釘７によって前記角材４に止着するようにしたも
のが一般的である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記従来のふき構造に
おいては、その角材４を釘８によって図示のようにルー
フィング３を貫通して野地板２に止着するため、該釘８
によってルーフィング３に穴があき、防水性が破壊され
る。そのため屋板勾配がゆるく、瓦相互の重合部から雨
が瓦の裏面側に逆さ漏れする場合には、ルーフィング３
における前記釘８による穴から雨漏りする問題がある。

【０００４】そこで本考案は前記釘８によりルーフィン
グに穴が形成されても逆さ漏れ時に該穴から雨水が漏れ
ないようにすると共に、瓦を止着する釘の穴からも雨水
の漏れを防止できるようにして、防水効果を向上する構
造を提案することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は前記の課題を解
決するために野地板（１１）の上面に防水シート（１
２）を敷設し、該防水シート（１２）上に多数の角材
（１３）を屋根の流れ方向に配置すると共に釘（１４）
によって野地板（１１）止着し、前記角材（１３）相互
間における防水シート（１２）上に防水板（１５）を敷
設すると共に該防水板（１５）の両側を上方へ折曲して
なる立上り片（１５ａ）を前記角材（１３）の側面に沿
わせ、上辺（１６ａ）とその両側を下方へ折曲してなる
両側辺（１６ｂ）とからなるキャップ（１６）を、角材
（１３）上に、両側辺（１６ｂ）が前記防水板（１５）
の立上り片（１５ａ）の外面に重合するようにして被
せ、この両側辺（１６ｂ）と立上り片（１５ａ）とを釘
（１７）により角材（１３）に止着し、前記キャップ
（１６）の上面には粘性を有する防水テープ（１８）を
貼着し、スパニッシュ瓦の上瓦（２０）を釘（２１）に
より防水テープ（１８）を通じて角材（１３）に止着す
ることを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】瓦からその裏面に流れ込んだ雨水は防水板（１
５）上を軒先方向に流れ落ちる。このとき防水板（１
５）の両側に立上り片（１５ａ）が形成されているた
め、雨水は防水シート（１２）上に流れ込まない。

【０００７】そのため、釘（１４）によって防水シート
（１２）に釘穴が形成されても、この釘穴から漏水しな
い。また上瓦（２０）の釘穴から雨水が侵入した場合に
は、粘性を有する防水テープ（１８）が釘（２１）に密
着していることにより、キャップ（１６）の釘穴への雨
水の侵入が阻止され、かつ防水テープ（１８）上に流れ
落ちた雨水はキャップ（１６）の両側辺（１６ｂ）（１
６ｂ）によって防水板（１５）上に流れ落ちる。

【０００８】

【実施例】図１及び図２に示す本考案の第１実施例につ
いて説明する。１０はたる木で、これらの上面の間に野
地板１１が釘止により張られている。１２は野地板１１
の上面の全面に敷設したルーフィング等の防水シートで
ある。

【０００９】１３は瓦を止着するための角材で、前記防
水シート１２の上面において屋根の流れ方向に沿って配
置され、釘１４によって野地板１１に止着されている。
該角材１３はスパニッシュ瓦の上瓦２０が配設される位
置において多数並列的に配置されている。

【００１０】１５は防錆性の金属板からなる防水板で前
記防止シート１２の上面に敷設されており、その両側部
は、前記角材１３、１３の側面に沿って折曲して立ち上
がらせ、この立上り片１５ａ、１５ａにより横断面形状
が樋型になっている。該防水板１５は、屋根の棟から軒
先まで敷設されている。

【００１１】１６は防錆性の金属板からなるキャップ
で、前記角材１３の上面を被覆する上辺１６ａと、前記
防水板１５の立上り片１５ａの外面に重合するように下
方へ折曲した両側辺１６ｂ、１６ｂとにっよって横断面
形状が逆樋状に形成されている。

【００１２】そして、該キャップ１６は、その両側辺１
６ｂ、１６ｂを立上り片１５ａの外面に重合するように
して角材１３上に被せ、その両側辺１６ｂと立上り１５
ａとを角材１３の側部上方において釘１７により角材１
３に止着されている。

【００１３】該キャップ１６は、角材１３における棟部
から軒先部まで全長に亘って被せられている。１８はゴ
ムアスファルト系の粘性を有する防水テープで、前記キ
ャップ１６における上辺１６ａの上面に、棟部から軒先
部に亘る全面に貼着されている。

【００１４】１９はスパニッシュ瓦の下瓦で、前記両角
材１３、１３部間に配置されている。２０はスパニッシ
ュ瓦の上瓦で、その両側を両下瓦１９、１９に載置し、
該上瓦２０に貫通させた釘２１を前記防水テープ１８、
キャップ１６の上辺１６ａを通じて角材１３に打ち込ん
で、該上瓦２０が止着保持されている。

【００１５】以上のような構造であるから、屋根勾配が
ゆるやかな場合において、雨水が下瓦１９の上下方向の
重なり部で逆さ漏れした場合、その漏れた雨水は防止板
１５上に流れ落ちる。しかし、この防水板１５の両側に
立上り片１５ａ、１５ａが折曲して一体的に形成されて
いるため、防水板１５上に流れ落ちた雨水はこの防止板
１５上においてその方向へ流出することなく軒先方向に
流れる。雨水は防水シート１５の上面に流れ込まない。
従って、角材１３を止着するための釘１４によって防水
シート１５に穴があいても、この穴からは雨水が漏れな
い。

【００１６】また上瓦２０を止着するための釘２１と防
水テープ１８との間は防水テープ１８が粘性を有するた
め、該防水テープ１８が釘２１の周面に水密的に密着し
て密封されている。そのため、上瓦２０の釘穴から仮に
雨水が侵入した場合には、その雨水がキャップ１６にお
ける上辺１６ａの釘穴に侵入することなく防水テープ１
８上を両側へ向って流れ、かつその雨水がキャップ１６
の両側辺１６ｂ、１６ｂの外面を伝って前記の防水板１
５上に流れ落ちる。

【００１７】図３はスパニッシュ瓦において上瓦のみで
屋根をふく場合の実施例を示す。この実施例は隣接する
両上瓦２０、２０をその相互の側部を近接させて配置
し、防水板１５が外視されないようにしたものである。

【００１８】本実施例においても、防水シート１２、角
材１３、防水板１５、キャップ１６、防水テープ１８は
前記実施例と同様に構成されて夫々止着されている。そ
のため、本実施例において、上瓦２０、２０間の隙間か
ら流入した雨水は、防水板１５上を流れ、また、上瓦２
０における釘穴から侵入した雨水は前記実施例と同様に
流れる。

【００１９】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、角材の釘
止めにより生じる防水シートの防水性の破壊及び上瓦の
釘止めにより生じる防水性の破壊が生じても、この破壊
部への雨水の侵入を阻止できる。そのため、屋根勾配が
ゆるいスパニッシュ瓦のふき構造においても防水性能が
向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す正断面図。

【図２】角材部の拡大正断面図。

【図３】本考案の他の実施例を示す正断面図。

【図４】従来構造を示す正断面図。

【符号の説明】

１１ 野地板 １２ 防水シート １３ 角材 １４ 釘 １５ 防水板 １５ａ 立上り片 １６ キャップ １６ａ 上辺 １６ｂ 側片 １７ 釘 １８ 防水テープ ２０ 上瓦

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 野地板（１１）の上面に防水シート（１
   ２）を敷設し、該防水シート（１２）上に多数の角材
   （１３）を屋根の流れ方向に配置すると共に釘（１４）
   によって野地板（１１）に止着し、前記角材（１３）相
   互間における防水シート（１２）上に防水板（１５）を
   敷設すると共に該防水板（１５）の両側を上方へ折曲し
   てなる立上り片（１５ａ）を前記角材（１３）の側面に
   沿わせ、上辺（１６ａ）とその両側を下方へ折曲してな
   る両側辺（１６ｂ）とからなるキャップ（１６）を、角
   材（１３）上に、両側辺（１６ｂ）が前記防水板（１
   ５）の立上り片（１５ａ）の外面に重合するようにして
   被せ、この両側辺（１６ｂ）と立上り片（１５ａ）とを
   釘（１７）により角材（１３）に止着し、前記キャップ
   （１６）の上面には粘性を有する防水テープ（１８）を
   貼着し、スパニッシュ瓦の上瓦（２０）を釘（２１）に
   より防水テープ（１８）を通じて角材（１３）に止着す
   ることを特徴とするスパニッシュ瓦のふき構造。