JPH0743117Y2 - 畳吊上げ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願考案は、例えば高層住宅の上
層階に畳を搬入する場合に使用する畳吊上げ装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】高層住宅の上層階に畳を搬入する際に
は、従来では一般に畳を人手によって所定階まで担ぎ上
げていた。又、近年では、クレーン車やリフト車を使用
して畳を上層階に搬入する場合が見受けられる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、畳を人手に
よって高層住宅の上層階まで担ぎ上げる場合には、人が
畳を１枚づつ担いで何回も階段を上がり下りする必要が
あり、その搬入作業が大変な重労働となるとともに、作
業能率が極めて悪かった。尚、エレベータがある住宅で
も、人が畳を担いで移動する距離が相当あり（運搬車両
位置からエレベータまでの距離、及びエレベータから搬
入場所までの距離）、その間の運搬が大変であった。

【０００４】又、クレーン車やリフト車を使用して畳を
搬入する場合には、クレーン車等の大掛かりな機械装置
が必要（特に上層階になるほど大型機種が必要）となっ
て、設備コストが高価になるとともに、クレーン車等を
横付けできないような作業現場では使用できないという
問題があった。又、特に少量の畳を搬入する場合には、
このような大掛かりな機械装置は適さない。

【０００５】本願考案は、上記した従来の問題点に鑑
み、高層住宅の上層階（２階以上）に畳を搬入する際
に、荷揚げ階数（高さ）にかかわらず比較的軽作業で且
つ能率よく搬入作業が行え、さらに人が持ち運びできる
程度の小型（安価）でしかも広範な場所で使用し得るよ
うにした畳吊上げ装置を提供することを目的とするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本願請求項１の考案の畳
吊上げ装置は、窓枠や手摺り等の横桟に着脱自在に取付
け得るクランプ材に電動ウインチを連結し、該電動ウイ
ンチから延出されたワイヤーロープの先端部に、畳に突
き刺して該畳を保持し得る鉤針を取付け、さらに前記ワ
イヤーロープの先端部における、鉤針の上側近傍位置に
衝合部材を取付けるとともに、電動ウインチの下面に、
前記衝合部材が下方から接触することによって電動ウイ
ンチのモータへの通電を遮断するスイッチ装置を設けた
ことを特徴としている。

【０００７】又、本願請求項２の考案では、上記請求項
１の畳吊上げ装置において、電動ウインチの前面に、該
電動ウインチで畳を最上部まで吊上げた位置において該
畳の後面に突き刺して該畳を保持し得る上向きの針状突
起を設けたことを特徴としている。

【０００８】さらに、本願請求項３の考案では、請求項
１又は請求項２の畳吊上げ装置において、クランプ材又
は電動ウインチに、該クランプ材が横桟から外れたとき
に支持する補助ロープを連結したことを特徴としてい
る。

【０００９】

【作用】本願請求項１の畳吊上げ装置では、畳を搬入す
べき上層階の窓枠や手摺り等に取付けて使用されるが、
その際、電動ウインチが外側に位置するようにしてクラ
ンプ材を窓枠や手摺りの横桟に固定する。そして、電動
ウインチのワイヤーロープを巻解いて、ワイヤーロープ
先端部の鉤針を地上付近まで降ろし、地上の作業員によ
り鉤針を畳裏側に突き刺す。その際、鉤針は、畳を縦向
きにした状態において上端から1/3程度下がった位置で
且つ左右方向のほぼ中間部の裏側を鉤針先端が上向きに
なるようにして突き刺すようにする。次に、電動ウイン
チを巻上げ操作して、鉤針で保持されている畳を吊上げ
ていき、鉤針の上部側近傍にある衝合部材がスイッチ装
置に接触すると、該スイッチ装置がＯＦＦになって巻上
げ作用が停止する。この状態では、鉤針に保持されてい
る畳の上端部が、搬入すべき窓又はベランダ等の高さま
で吊上げられており、上層階にいる作業員が手をのば
し、畳上部の左右各端部を掴んで室内あるいはベランダ
上に取込めばよい。そのとき鉤針は上動できないので、
畳を該鉤針から自動的に外すことができる。順次同様に
して所定枚数の畳を上層階まで搬入する。この請求項１
の畳吊上げ装置によれば、畳を保持した鉤針が最上部ま
で上動したときに、衝合部材がスイッチ装置を自動でＯ
ＦＦにするようになっており、ウインチ巻上げ動作を停
止させるのに特別な操作が不要となる。

【００１０】本願請求項２では、請求項１の畳吊上げ装
置において、電動ウインチの前面に上向きの針状突起を
設けているので、最上部まで引き上げた畳を室内等に取
り込む際に、畳を掴んでいる手が滑って畳が手から離れ
ても、該畳が針状突起に引っ掛かるようになり、畳の落
下事故を未然に防止し得る。

【００１１】本願請求項３では、請求項１又は請求項２
の畳吊上げ装置において、クランプ材又は電動ウインチ
に補助ロープを連結しているので、クランプ材を横桟に
取付けた状態で、補助ロープの先端部を構築物の適所に
固定するか、あるいは補助ロープで畳吊上げ装置を構築
物に固縛しておけば、もしクランプ材が横桟から外れた
り緩んだりしても、クランプ材及び電動ウインチが補助
ロープで支持されるようになり、畳吊上げ装置の落下事
故を未然に防止し得る。

【００１２】

【考案の効果】本願請求項１の畳吊上げ装置では、窓枠
や手摺り等の横桟に取付けられるクランプ材に電動ウイ
ンチを連結して構成しているので、全体が手で持ち運び
し得る程度の大きさとなり、安価に製作できるとともに
取り扱いが容易となる。又、クランプ材を横桟に固定し
た状態で電動ウインチを巻上げ操作することにより、鉤
針に保持させた畳を搬入すべき所望の高さまで吊上げる
ことができるので、畳を高所に搬入する作業を容易に行
え、且つクレーン車等が横付けできないような作業現場
でも使用できる。又、鉤針は畳に対して突き刺すことに
よって保持しているので、高所位置において畳を取り込
む際に該畳を鉤針から自動的に外すことができ、畳に対
する保持及び解放操作が簡単となる。さらに、畳を最上
部まで吊上げた位置において衝合部材がスイッチ装置を
ＯＦＦ操作するので、特別に巻上げ動作を停止させる操
作が不要となるとともに、電動ウインチが過巻きされる
ことがない、等の効果がある。

【００１３】又、本願請求項２の畳吊上げ装置では、電
動ウインチの前面に上向きの針状突起を設けているの
で、畳を最上部まで引き上げた状態で、該畳を取り込む
際に、もし畳を掴持している手が滑っても、該畳が針状
突起に係止されるようになり、畳が落下することがなく
なる（安全性が高まる）という効果がある。

【００１４】さらに、本願請求項３の畳吊上げ装置で
は、クランプ材又は電動ウインチに補助ロープを連結し
ているので、使用時において補助ロープの先端側を構築
物の適所に固定しておけば、もしクランプ材が外れても
補助ロープで支持することができ、安全性を確保できる
という効果がある。

【００１５】

【実施例】図１〜図３を参照して本願考案の実施例を説
明すると、この実施例の畳吊上げ装置は、窓枠や手摺り
等の横桟Ａに着脱自在に取付け得るクランプ材１に電動
ウインチ２を連結して構成している。

【００１６】クランプ材１は、万力構造のものが採用さ
れている。このクランプ材１は、下向きに開口するコ形
枠１０の後板１６に対して、スクリューボルト（ハンド
ル付き）１７を回転させると押板１８が進退動作するよ
うになっており、それによって前板１２と押板１８との
間隔を調整し得るようにしている。

【００１７】クランプ材１のコ形枠１０は、この実施例
では前側鉤形板１１と後側鉤形板１５とに２分割されて
おり、該前側鉤形板１１と後側鉤形板１５の各水平板部
をボルト・ナット２０，２０で緊締している。又、この
前側鉤形板１１と後側鉤形板１５とは、長穴１９，１９
の長さ範囲内において前後に伸縮し得るようになってお
り、このクランプ材１を取付けるべき横桟Ａの太さによ
ってコ形枠１０内の前後スペース長さを調整し得るよう
にしている。尚、このコ形枠１０は、他の実施例では、
２分割せずに一体形成したものを使用することもでき
る。

【００１８】電動ウインチ２は、外装体２１内にワイヤ
ーロープ３を巻回したドラム２２と該ドラム２２を正逆
両方向に回転駆動させるモータ２３とをそれぞれ内装し
ている。外装体２１の下面には、ワイヤーロープ３を延
出させる開口が形成されている。この電動ウインチ２
は、操作スイッチ６で、巻上げ、巻下げ、停止等の各種
操作を行える。

【００１９】電動ウインチ２の外装体２１の上部には、
コ形棒状の連結材１４の各端部が軸２５で枢着されてい
る。この連結材１４は、取付台１３に溶接している。取
付台１３は、前側鉤形板１１にボルト・ナット２６，２
６で固定されている。又、この取付台１３は、長穴２
７，２７の長さ範囲内において前後に進退調整し得るよ
うになっていて、コ形枠１０の前板１２と電動ウインチ
２との間の間隔を調整し得るようにしている。

【００２０】ワイヤーロープ３の先端部には、鉤針４が
取付けられている。この鉤針４の針先は、斜め上方に向
けて突出している。この鉤針４は、図２及び図３に示す
ように畳Ｙの裏面側に突き刺して該畳Ｙを保持するもの
である。

【００２１】又、ワイヤーロープ３の先端部における、
鉤針４の上側近傍位置には板状の衝合部材５が取付けら
れている。この衝合部材５は、電動ウインチ２の最大巻
上げ時において次に説明するスイッチ装置７を自動でＯ
ＦＦ操作するためのものである。

【００２２】電動ウインチ２の外装体２１の下面には、
モータ２３への通電を制御するスイッチ装置７が設けら
れている。このスイッチ装置７は、外装体２１の下面に
沿って前後に細長い形状の板材（以下、これを揺動板と
いう）７１を該外装体２１の下面に軸７２で枢着すると
ともに、外装体２１の下面後側に揺動板７１の後部７１
ｂで操作されるスイッチ７３を設けて構成している。揺
動板７１は、その後部側寄りを軸７２で枢着しており、
自然状態では揺動板７１の前部７１ａ側が自重で下方に
下がるようになっている。従って、自然状態では、揺動
板７１の後部７１ｂが上動方向に付勢されて、スイッチ
７３をＯＮ状態に維持するようになっている。

【００２３】揺動板７１の前部７１ａには、ワイヤーロ
ープ３を挿通させる穴７５が形成されており、該穴７５
にワイヤーロープ３を通して該ワイヤーロープ３をガイ
ドさせている。又、揺動板７１の前部側上面には、クッ
ション材７４が設けられており、揺動板の前部７１ａ側
が上方に押上げられたときに、該クッション材７４が外
装体２１の下面に衝合してクッション作用を発揮するよ
うになってる。

【００２４】前記コ形枠１０の前板１２の前面には、電
動ウインチ２の傾斜角度を調整するための調整ボルト２
８が設けられている。この調整ボルト２８は、クランプ
材１が水平状態に取付けられない場合に出没操作して、
電動ウインチ２を鉛直姿勢に保持するものである。

【００２５】電動ウインチ２の外装体２１の前面には、
上向きの針状突起８が設けられている。この針状突起８
は、畳Ｙの後面に突き刺して該畳Ｙを保持するためのも
のであり、図３に鎖線図示するように、電動ウインチ２
で畳（符号Ｙ′）を最上部まで吊上げた位置において、
畳Ｙ′をベランダ内（又は室内）に取り込む際に、畳を
掴んでいる手が滑っても、該畳Ｙ′が自重で針状突起８
に突き刺さって保持されるようになっている。

【００２６】連結材１４には、補助ロープ９の一端が連
結されている。この補助ロープ９は、この畳吊上げ装置
のセット状態で、該補助ロープ９の他端側を適宜の構築
物（例えばベランダの桟）に固定したり又は補助ロープ
９で畳吊上げ装置を構築物に固縛しておくことにより、
使用中に、もしクランプ材１が取付部となる横桟Ａから
外れたり緩んだりした場合にも該補助ロープ９で畳吊上
げ装置を支持することができるようにしている。

【００２７】図示の畳吊上げ装置は、次のようにして使
用される。即ち、この畳吊上げ装置は、比較的軽量に構
成されているため、人が手に提げて高層住宅の所定上層
階まで持ち運べる。そして、この畳吊上げ装置は、例え
ば図２〜図３に示すように、所定上層階のベランダの手
摺りの横桟Ａにクランプ材１を固定してセットする。そ
のとき、補助ロープ９の先端側を適宜の構築物（例えば
ベランダの桟）に固定しておく。尚、この補助ロープ９
で畳吊上げ装置を桟に固縛してもよい。

【００２８】この畳吊上げ装置を使用して畳Ｙの搬入作
業をするには、まず操作スイッチ６により電動ウインチ
２を巻下げ操作して、ワイヤーロープ先端部の鉤針４を
地上付近まで降ろす。次に、地上において作業員により
鉤針４を畳Ｙの裏面適所（例えば上端から上下長さの1/
3程度下がった位置の左右方向中間位置）に突き刺した
後、ベランダ上の作業員が操作スイッチ６を巻上げ側に
操作して、電動ウインチ２により畳Ｙを吊上げる。そし
て、該畳Ｙが最上部まで引き上げられると、図３に鎖線
図示するように衝合部材５′がスイッチ装置７の揺動板
７１の前部７１ａ下面に衝合して、該揺動板７１を符号
７１′で示すように枢動変位させ、それによってスイッ
チ７３がＯＦＦになって（モータ２３への通電が遮断さ
れる）電動ウインチ２の巻上げ動作が停止する。この状
態でベランダ上の作業員が両手をのばし、鉤針４で保持
されている畳Ｙ′の上端寄り左右各端部を掴んで、畳を
矢印Ｂで示すように上方且つ手前側に引き上げると、鉤
針４は上方に変位できないために該畳を鉤針４から自動
的に抜き外すことができる。又、その畳取り込み操作中
に、もし畳を掴んでいる手が滑って畳が手から離れた場
合には、その畳が自重で外装体２１前面の針状突起８に
突き刺さり、畳Ｙの落下事故を未然に防止し得るように
なる。尚、１枚の畳搬入作業が終われば、上記と同様に
して鉤針４を地上まで降ろし、次の畳Ｙの搬入作業を行
う。

【００２９】このように、この実施例の畳吊上げ装置
は、窓枠や手摺り等の横桟Ａに取付けて使用できる程度
の大きさであって、安価に製作できるとともに取り扱い
が容易となり、しかも広範囲の場所で（例えばクレーン
車が横付けできないような場所でも）使用できる。又、
畳Ｙを高層住宅の上層階に搬入するのに、地上において
鉤針４を畳Ｙに突き刺した後、電動ウインチ２を巻上げ
操作することで畳Ｙを所望の高さまで吊上げることがで
き、後はその畳Ｙを手で掴んで室内（又はベランダ上）
に取り込むだけでよいので、その畳搬入作業が極めて簡
単に行える。又、畳を最上部まで吊上げた位置において
衝合部材５がスイッチ装置７を自動でＯＦＦ操作するの
で、特別に巻上げ動作を停止させる操作が不要となると
ともに、電動ウインチ２が過巻きされることがない。

【００３０】又、電動ウインチ２の前面に上向きの針状
突起８を設けると、畳を取り込む際に、もし畳を掴持し
ている手が滑っても、該畳が針状突起８に係止されるよ
うになっているので畳Ｙの落下防止作用があり、さらに
補助ロープ９を使用すると、もしクランプ材１が外れて
も補助ロープ９で支持することができるので、安全性が
確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案の実施例にかかる畳吊上げ装置の斜視
図である。

【図２】図１の畳吊上げ装置の使用状態を示す説明図で
ある。

【図３】図２の状態変化を示す一部拡大図である。

【符号の説明】

１はクランプ材、２は電動ウインチ、３はワイヤーロー
プ、４は鉤針、５は衝合部材、６は操作スイッチ、７は
スイッチ装置、８は針状突起、９は補助ロープ、１０は
コ形枠、１７はスクリューボルト、１８は押板、２１は
外装体、２３はモータ、Ａは横桟、Ｙは畳である。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 窓枠や手摺り等の横桟（Ａ）に着脱自在
   に取付け得るクランプ材（１）に電動ウインチ（２）を
   連結し、 前記電動ウインチ（２）から延出されたワイヤーロープ
   （３）の先端部に、畳（Ｙ）に突き刺して該畳を保持し
   得る鉤針（４）を取付け、 前記ワイヤーロープ（３）の先端部における、鉤針
   （４）の上側近傍位置に衝合部材（５）を取付け、 前記電動ウインチ（２）の下面に、前記衝合部材（５）
   が下方から接触することによって電動ウインチ（２）の
   モータ（２３）への通電を遮断するスイッチ装置（７）
   を設けた、 ことを特徴とする畳吊上げ装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、電動ウインチ（２）
   の前面に、該電動ウインチ（２）で畳（Ｙ）を最上部ま
   で吊上げた位置において該畳（Ｙ）の後面に突き刺して
   該畳を保持し得る上向きの針状突起（８）を設けたこと
   を特徴とする畳吊上げ装置。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２において、クラン
   プ材（１）又は電動ウインチ（２）に、該クランプ材
   （１）が取付部から外れたときに支持する補助ロープ
   （９）を連結したことを特徴とする畳吊上げ装置。