JPH0742061B2 - エレベータの遠隔監視装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この発明は、地震感知器を備えたエレベータの遠隔監視
装置に関し、特に電話回線を通して地震感知器の動作を
保守センタに自動通報するエレベータの遠隔監視装置に
関するものである。

【従来の技術】

エレベータの地震対応策として、ある一定レベル以上の
地震が発生すると、地震検知器が動作して走行中のエレ
ベータを最寄階に自動停止させる地震時管制システムが
確立され汎用されるに至っている。 したがって、地震時管制システムを備えたエレベータ
は、例えば震度４〜５程度の広域地震が発生すると安全
に停止し、エレベータの地震に対する安全性を向上でき
る。 しかしながら、広域地震の場合、エレベータの運転復旧
に多大の時間がかかる。すなわち、地震時管制システム
を有するエレベータは地震感知に関する機能を持ってい
ても、地震時に生じた故障を診断する機能を持っていな
いため、エレベータの運転復旧に際しては、専門家であ
るエレベータ保守員が安全を確認した上で、復旧させる
必要がある。このため、広域地震時のようにその地域に
存在する多数のエレベータが停止した場合、これらを短
時間で復旧させることができない。 これに対し、特開昭60−77081号公報に開示されたエレ
ベータの地震復旧装置では、エレベータに種々の自動点
検機能を付加し、これによりビル管理人が建物などに異
常がないと確認したとき、保守員の到着を待たずにエレ
ベータの運転復旧を可能にしている。しかし、エレベー
タの自動点検機能が保守員の点検と同等なものとするた
めには多大な費用がかかる問題がある。 そこで、従来においては、エレベータの復旧時間を短縮
するために、第５図に示すような遠隔地震管制運転監視
システムが提案されている。 第５図において、１は一定レベル以上の地震が発生する
と作動する地震感知器、２は地震管制運転と通常の運転
を行うエレベータ制御装置、３は地震発生を電話回線４
を介して保守センタ５へ通報する電話自動通報装置であ
る。 上記構成の監視システムにおいて、地震感知器１がエレ
ベータを停止しなければならないレベルの地震振動を検
知すると動作し、その検知信号はエレベータ制御装置２
及び電話自動通報装置３に出力される。 地震検知信号を受けたエレベータ制御装置２は、エレベ
ータを最寄階へ自動停止させる地震管制運転を行う。こ
れと同時に電話自動通報装置３は地震感知器１が作動し
たことを電話回線４を介して保守センタ５に自動通報す
る。 このようにエレベータ群の地震感知器１の動作を保守セ
ンサで常時監視して、早期にエレベータの運転復旧を図
るようにしている。

【発明が解決しようとする課題】

上述のような従来のエレベータ監視システムでは、単に
地震感知器１の作動状態を電話自動通報装置３により保
守センタへ自動通報するだけであるため、数個所の地震
感知器からの作動状態を保守センタ５で受信する場合は
問題がない。しかし、エレベータを停止させる必要があ
る地震は一般に規模が大きく、かつ広域にわたるため、
地震発生と同時に地震地域内の多くのビルの地震感知器
１が動作すると、保守センタ５への通報が短時間に集中
することになり、これに伴い電話交換機の処理能力をオ
ーバーして電話回線が混乱しダウンすることが予想され
る。 このような場合、地震感知器が動作したエレベータの保
守センタ５への通報が大幅に遅れたり、通報が不能にな
ったりして、地震感知器動作のエレベータを保守センタ
５で検知することができなくなり、エレベータの復旧が
大幅に遅れてしまうという問題があった。 この発明は、上記のような問題点を解決するためになさ
れたもので、大規模な広域地震の発生に伴い、地震感知
器が動作したエレベータを輻奏することなく保守センタ
で確実に検知でき、早期のエレベータ復旧措置を可能に
したエレベータの遠隔監視装置を得ることを目的とす
る。

【課題を解決するための手段】

この発明に係るエレベータの遠隔監視装置は、各エレベ
ータの設置ビルの地震感知器が動作してから発報するま
での時間を異ならせ前記保守センタへの発報の優先順位
を設定する発報制御手段を備えてなるものである。

【作用】

地震発生と同時に保守センタの監視区域内にある多くの
地震感知器が動作すると、その動作に伴う発報は、それ
ぞれの発報制御手段により優先順位が設定されるから、
優先順位の高いエレベータから順番に地震感知器の動作
を発報し、保守センタへ通報することになる。 従って、この発明にあっては、多くの地震感知器が同時
に動作しても、電話回線を通して保守センタへ通報され
る発報が輻奏することがなく、地震感知器が動作したエ
レベータを確実に検知できると共に、エレベータを早期
に復旧措置することが可能になる。

【実施例】

以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。 第１図および第２図は、この発明によるエレベータの遠
隔監視装置の一実施例を示す構成図である。 第１図において、地震感知器10はエレベータが休止すべ
き所定レベル以上の地震振動が発生すると機械的に動作
して接点を閉じ、人為的に復帰されるまで接点信号10a
を出力し続けるものである。 地震感知器発報制御器11は、地震感知器10の接点信号10
aを受け、地震感知器10の動作信号11aを出力すると共
に、予め設定された時間遅れて地震感知器10の遅延動作
信号11bを出力する。 前記地震感知器10の遅延動作信号11bは、監視されるエ
レベータの地震感知器10が動作した時、これを電話回線
を通して保守センタへ自動通報する時の優先順位を設定
するためのもので、監視地域内のエレベータの立地条
件、ビルの構造及び交通状態などにより決定される。 例えば、立地条件の場合は、保守センタの管理地域内に
あるエレベータが保守センタから遠く離れた保守員の到
着に時間がかかるものほど優先させる。 ビル構造などに応じて設定する場合は、階高，剛・柔構
造により物損被害の出やすいものを優先させる。 交通状態に応じて設定する場合は、ビルの大きさ、エレ
ベータの台数、通常の稼働率から地震発生に伴うエレベ
ータ休止の影響が大きいものほど優先させる。 第１図において、エレベータ制御装置12は、地震感知器
発報制御器11からの地震感知器動作信号11aを受信する
と、エレベータを最寄階に停止制御し、その後安全点検
終了までエレベータの自動による起動を阻止するととも
に、エレベータ運転に関する各種の運転モニタ信号12a
を出力する。 また、信号選択器13は、運転モニタ信号12aと遅延地震
感知器動作信号11bを選択的に取り込み、回線伝送用の
信号に変換して出力する。 自動電話装置14は、信号選択器13から出力された信号を
自動ダイアリングにより電話回線網15を介して保守セン
タ16の受信装置16aに伝送するものであり、自動電話装
置14と電話回線網15間、電話回線網15と保守センタ16間
に電話回線17,18によりそれぞれ接続されている。 さらにまた、無停電電源19は地震感知器発報制御器11及
び信号選択器13へ無停電で電源を供給する。 第２図は、地震感知器発報制御器11の内部構成の詳細図
で、地震感知器発報制御器11は、信号変換回路111、計
数回路112、クロック発生回路113、時間設定回路114及
びアンドゲート115とから構成されている。 信号変換回路111は、地震感知器10からの接点信号10aを
入力して地震感知器動作信号11aと計数回路112のイネー
ブル及び発報を兼ねた信号に変換するもので、動作信号
11aは出力端子Ａから、発報兼用の信号は出力端子Ｂか
らそれぞれ出力される。 また、計数回路112は、そのイネーブル端子Ｅに信号変
換回路111のＢ端子からの信号が入力されると、有意と
なって発生回路113からクロック端子Ｃに入力されるク
ロックを計数し、その計数値が時間設定回路114からロ
ード端子Ｌに加えられる設定値に達した時、計数完了信
号をＱ端子からアンドゲート115に出力して該アンドゲ
ート115をゲートし、信号変換回路111のＢ端子から出力
される信号を遅延動作信号11bとして送出する。 時間設定回路114は、地震感知器動作時の保守センタ16
への発報に際し、該発報が他のエレベータの地震感知器
動作に伴う発報と伝送回線上で輻奏しないように優先順
位を決定するもので、その優先順位決定のための遅延時
間はスイッチ回路又はメモリ回路によって設定される。 次に、上記のように構成された本実施例の動作について
説明する。 所定レベル以上の地震振動により地震感知器10が動作す
ると、接点信号10aが出力されるため、この接点信号10a
を受信した地震感知器発報制御器11の信号変換回路111
は地震感知器動作信号11aをエレベータ制御装置12に出
力する。これを受けたエレベータ制御装置12は、エレベ
ータを最寄階に停止させるなどの地震管制運転を行う。 一方、信号変換回路111のＢ端子から出力される信号が
計数回路112のイネーブル端子Ｅに入力されると、計数
回路112はカウントを開始する。そして、その計数値が
時間設定回路114で設定された設定時間に達すると、Ｑ
出力が『Ｈ』となり、これによりアンドゲート115をゲ
ートする。このため、信号変換回路111のＢ端子から出
力される信号は、時間設定回路114で設定された設定時
間遅延された後、遅延動作信号11bとして信号選択器13
に出力される。信号選択器13では遅延動作信号11bを電
話回線伝送用の信号に変換され、自動電話装置14に出力
される。 自動電話装置14では、自動ダイアリングにより電話回線
網15を通して保守センタ16とのデータリングを確立し、
これにより遅延後の地震感知器動作信号11bを電話回線
網を通して保守センタ16へ送信する。 また、地震感知器発報制御器11及び信号選択器13には、
無停電電源19から電力が供給されているため、地震発生
直後に停電しても、地震感知器の動作を保守センタ16へ
確実に通報することができる。また、停電発生はエレベ
ータ制御装置12の運転モニタ信号12aに異常があらわれ
るため信号選択器13でモニタされるから、該停電情報も
保守センタ16へ通報できる。 上述のような本実施例にあっては、保守センタ16の監視
区域内に存在する各エレベータ設置ビルの地震感知器10
が動作してから発報するまでの時間を、それぞれの地震
感知器発報制御器11により設定し、これにより各エレベ
ータ設置ビルから保守センタ16への発報に優先順位をつ
けて優先順位の赤い順番に発報する構成になっているた
め、大規模地域の地震発生と同時に多くの地震感知器10
が動作しても保守センタ16への発報が輻奏することなく
行うことができ、これに伴い地震感知器が動作したエレ
ベータを遠隔で確実に検知できる。そして、より早く復
旧を要すべきビルから順番に保守センタへ地震感知器動
作の発報を行うため、エレベータの早期の復旧措置が可
能になり、電話回線を通してのエレベータの遠隔監視の
信頼性が向上することになる。 第３図及び第４図は、この発明によるエレベータ遠隔監
視装置の他の実施例を示すもので、第３図は全体の構成
図、第４図は地震感知器発報制御器11Aの詳細を示すブ
ロック図である。 同図において、第１図及び第２図と同一の部分には同一
符号を付してその説明を省略し、異なる部分を重点に述
べる。 地震感知器発報制御器11Aは、発報遅延時間計数回路112
の設定値を記憶する時間設定メモリ116を有し、このメ
モリ116はE²PROM等の不揮発性メモリから構成され、こ
れに記憶される時間データは保守センタ16から書き込み
可能になっている。 このために、保守センサ16はその監視地域内の各ビルの
自動電話装置14と信号の送受を可能にした送受信装置16
bを備え、この送受信装置16bからは、発報遅延のための
時間データが電話回線用の信号に変換されて電話回線網
15を通し各ビルの自動電話装置14に送信できるようにな
っており、そして自動電話装置14で受信した信号は信号
選択器13に出力される。信号選択器13は自動電話装置14
からの受信信号を選択的に信号解読器20へ出力する。信
号解読器20は受信信号を解読して発報遅延のための時間
データ20aに変換する。この時間データ20aは時間設定メ
モリ116に書き込まれる。 上記の実施例にあっては、地震感知器の動作から発報す
るまでの時間は、保守センタ16から自動設定することが
できる。これに伴い、保守センタの監視区域内のエレベ
ータの増加により地震時の復旧体制を変更する場合、各
エレベータの発報遅延時間の最設定を保守センタ16側で
迅速に行うことができ、保守員の負担が大幅に軽減され
る。

【発明の効果】

以上説明したように、この発明によれば保守センタの監
視区域内にある各エレベータ設置ビルの地震感知器が所
定レベル以上の地震振動により動作してから保守センタ
へ発報するまでの時間を、それぞれの地震感知器発報制
御手段により異ならしめ、これにより各エレベータ設置
ビルから電話回線を通して保守センタへの発報に優先順
位をつけて優先順位の高いエレベータから順番に発報で
きるよう構成したので、地震発生と同時に多くの地震感
知器が動作しても、その動作に伴う発報が輻奏すること
なく保守センタへ通報することができ、地震感知器が動
作したエレベータを遠隔で確実に検知できると共に、エ
レベータを早期に復旧措置できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明によるエレベータ遠隔監視装置の一実
施例を示す全体の構成図、第２図は第１図における地震
感知器発報制御器の詳細を示すブロック図、第３図はこ
の発明によるエレベータ遠隔監視装置の他の実施例を示
す構成図、第４図はその地震感知器発報制御器の詳細を
示すブロック図、第５図は従来の地震管制運転監視シス
テムの構成図である。 10……地震感知器、11,11A……地震感知器発報制御器、
12……エレベータ制御装置、13……信号選択器、14……
自動電話装置、15……電話回線網、16……保守センタ、
20……信号解読器。 なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エレベータの設置ビルに設置され、所定レ
   ベル以上の地震振動により地震感知器が動作した時にエ
   レベータを最寄階に停止し休止させると共に、地震感知
   器の動作を電話回線を通して保守センタへ自動通報する
   エレベータの遠隔監視装置において、 それぞれの遠隔監視装置で前記地震感知器が動作してか
   ら発報するまでの時間を異ならせて前記保守センタへの
   発報の優先順位を設定する発報制御手段を備えたことを
   特徴とするエレベータの遠隔監視装置。