JPH0741565Y2 - ろう付用蓋付パイプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、ろう付仕様によって製作されるパラレルフ
ロー形の凝縮器におけるヘッダーパイプとして用いられ
るろう付用パイプに関する。

従来の技術 上記のようなパラレルフロー形の凝縮器は、平行状に配
置された一対のヘッダーパイプと、並列状態に配置され
ると共に、両端を前記ヘッダーパイプに連通状態にろう
付接合されたチューブを備えている。このような凝縮器
では、ヘッダーパイプとして、心材の片面あるいは両面
にろう材層がクラッドされたブレージングシートをパイ
プ形状に成形したものが用いられ、このヘッダーパイプ
とチューブとが、真空ろう付あるいはフラックスろう付
されるものとなされている。

従来、上記のようなヘッダーパイプとしては、ブレージ
ングシートをその両側縁を突き合わせ状態にして筒状に
成形した後、その衝き合わせ部を電気抵抗溶接したいわ
ゆる電縫管が用いられていた。

考案が解決しようとする課題 しかし、電縫管では筒状に成形した後に別途衝き合わせ
部の閉合のための溶接を必要とするから製造工程が繁雑
となり、しかも溶接コストが高くつき、ひいてはヘッダ
ーパイプがコスト高となるという欠点があった。

この考案は係る欠点を解消する為になされたものであっ
て、パラレルフロー形の凝縮器におけるヘッダーパイプ
として用いられるろう付用パイプであって、ブレージン
グシートの筒状成形後における溶接工程を不要としたろ
う付用パイプの提供を目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、この考案は、ブレージング
シートの両側縁衝き合わせ部を別途溶接により閉合しな
くても、その後に実施されるヘッダーパイプとチューブ
とのろう付工程で必然的に接合され得る点に着目すると
共に、衝き合わせ部を未接合のままろう付した場合に生
じる加熱時の熱膨脹等による衝き合わせ部の開き方向へ
の熱変形を防止するため、衝き合わせ部の仮止め手段を
設けんとするものである。そして、凝縮器のヘッダーパ
イプはその少なくとも一端開口部が別途取着された蓋体
によって閉塞される場合が多いことに鑑み、上記仮止め
手段として蓋片を利用しようというものである。

すなわち、この考案は、図面の符号を参照して示せば、
平行状に配置された一対のヘッダーパイプ（３）（４）
と、並列状態に配置されると共に、両端を前記ヘッダー
パイプに連通状態にろう付接合されたチューブ（１）と
を備えた凝縮器の前記ヘッダーパイプ（３）（４）に用
いられるろう付用蓋付パイプであって、心材（30a）の
少なくとも片面にろう材層（30b）がクラッドされたブ
レージングシート（30）の成形材からなるとともに、周
方向の一部に長さ方向に伸びる未接合かつろう材介在状
態の衝き合わせ部（31）を有する一重のパイプ本体（3
a）（4a）の少なくとも一端に、閉塞部（72）と該閉塞
部の周縁に設けられた立ち上がり縁部（73）を有する前
記衝き合わせ部の開き防止用の蓋体（７）（８）が外嵌
状態に取着されてなることを特徴とするろう付用蓋付パ
イプを提供するものであり、これにより上記課題を解決
し得たものである。

作用 パイプ本体（3a）（4a）の少なくとも一端に閉塞部（7
2）と該閉塞部の周縁に設けられた立ち上がり縁部（7
3）を有する蓋体（７）（８）が外嵌状態に取着されて
いるから、蓋体によってパイプ本体の外径が規制され、
このためろう付時の加熱により衝き合わせ部（31）に熱
膨脹等熱変形を生じてもその変形が防止され、該衝き合
わせ部が開くことがない。また、衝き合わせ部（31）は
ろう付によって必然的に接合されるから、ろう付前に衝
き合わせ部を閉合するための溶接を施して電縫管とする
必要もない。

実施例 次にこの考案の実施例を説明する。

第３図〜第７図はこの考案に係るろう付用パイプを用い
たカークーラー用としてのアルミニウムないしはその合
金製のパラレルフロー形凝縮器を示すものである。

これらの図において、（１）は水平状態で上下方向に配
置された複数のチューブ、（２）はその隣接するチュー
ブ（１）（１）間に介在されたコルゲートフィンであ
る。チューブ（１）はアルミニウムによる偏平状の押出
形材をもって構成されたものである。このチューブ
（１）はいわゆるハモニカチューブと称されるような多
孔型のものを用いても良い。コルゲートフィン（２）は
チューブ（１）とほぼ同じ幅を有し、ろう付によりチュ
ーブに接合されている。コルゲートフィン（２）もアル
ミニウム製であり、望ましくはルーバーを切り起こした
ものを用いるのが良い。

（３）（４）は断面円形の左右のヘッダーパイプであ
り、これらヘッダーパイプとしてこの考案に係るろう付
用蓋付パイプが使用されている。各ヘッダーパイプ
（３）（４）はパイプ本体（3a）（4a）と各パイプ本体
の上下両端に取着された閉塞用蓋体（７）（８）とによ
って構成されている。そして各パイプ本体（3a）（4a）
には第６図に示すように、長さ方向に沿って間隔的にチ
ューブ挿入孔（13）が穿設されると共に、該孔に各チュ
ーブ（１）の両端が挿入され、かつろう付により強固に
接合連結されている。また左ヘッダーパイプ本体（3a）
の上端部周面には冷媒入口管（５）が連結される一方、
右ヘッダーパイプ本体（4a）の下端部周面には同出口管
（６）が連結されている。また、左ヘッダーパイプ本体
（3a）のほぼ中央部にはパイプ本体を上下２室に分割す
る仕切板（９）が設けられる一方、右ヘッダーパイプ本
体（4a）の中央部より下側の位置にも仕切板（10）が設
けられ、もって冷媒入口管（５）から左ヘッダーパイプ
本体（3a）に流入した冷媒は、チューブ群によって構成
される全冷媒通路を巡って蛇行状に流通して冷媒出口管
（６）から流出し、この間に、チューブ（１）（１）間
に形成されたコルゲートフィン（２）を含む空気流通間
隙を矢印（Ｗ）で示す方向に流通する空気と熱交換を行
い、凝縮するものとなされている。なお、第３図に示す
（11）（12）は最外側のコルゲートフィンの外側に配置
された上下のサイドプレートである。

前記ヘッダーパイプ（３）（４）は次のようにして構成
されている。すなわち、これらヘッダーパイプは第１図
及び第２図に示すように、心材（30a）の両面にろう材
層（30b）が被覆形成された両面ブレージングシート（3
0）が、その両側縁を衝き合わせ状態となされることに
より一重のパイプ本体（3a）（4a）に成形されると共
に、各パイプ本体の上下両端に蓋体（７）（８）が取着
されたものである。ここに蓋体（７）（８）はパイプ本
体（3a）（4a）の外径とほぼ同じか僅かに大きい内径の
嵌合部（71）を有する有底筒状のキャップ形状に形成さ
れており、この嵌合部（71）にパイプ本体（3a）（4a）
の端部が嵌合された外嵌状態に取着されろう付一体化さ
れている。この蓋体（７）（８）はパイプ本体（3a）
（3b）の開口端部の閉塞の役割と共に、パイプ本体の外
径を規制することで、ろう付加熱時の熱変形によるパイ
プ本体の衝き合わせ部（31）の開きを防止する役割を果
たすものである。また蓋体（７）（８）はその閉塞部
（72）が強度確保の点からやや厚肉に形成されると共
に、閉塞部（72）の周縁に設けられた、嵌合部（71）を
形成する立ち上がり縁部（73）はその外面がテーパー状
に切削されて先端に至るほど漸次肉薄に形成されてい
る。蓋体（７）（８）の立ち上がり縁部をこのように形
成することで、該立ち上がり縁部とパイプ本体（3a）
（4a）の周面との間に段差がなくなり見栄えが良くな
る。

上記ヘッダーパイプ（３）（４）の製造方法を説明する
と、まず第８図及び第９図に示すように、アルミニウム
からなる心材（30a）の両面にろう材層（30b）を被覆形
成した所定の大きさのブレージングシート（30）を用意
する。ろう材層（30b）としては一般的にはSi含有量約
６〜13wt％程度のAl-Si系合金を用いる。

次いで、第10図に示すように、ブレージングシート（3
0）の両側縁の同一位置に複数個の切り込み（34）を形
成する。この切り込みは両側縁の衝き合わせ後は相互に
対応するものどおしが合致されて、前記仕切板（９）
（10）を設置するための、仕切板挿入孔（14）を形成す
るものとなる。

次に上記ブレージングシート（30）の幅方向の両側端部
（35a）（35b）を肉厚方向にハンマーないしはプレスで
打撃する。この打撃は一方の側端部（35a）については
下面において、他方の側端部（35b）については上面に
おいて行うことにより、第11図に示すように、一方の側
端部については下縁から上縁に向けて漸次肉薄となる傾
斜面（35a′）を形成せしめ、また他方の側端部につい
ては上縁から下縁に向けて漸次肉薄となる傾斜面（35
b′）を形成せしめる。しかもいずれの傾斜面にもろう
材層（30b）が存在するものとなる。ブレージングシー
ト（30）の両側端部をこのように形成することで、第７
図に示すように、両側縁を衝き合わせて筒状に成形した
際に、衝き合わせ部（31）が重なり状に合致してその当
接面にろう材層（30b）を介在させることができ、その
後のろう付により衝き合わせ部（31）の十分な接合を保
証することができる。

次に、第12図に示すように、ブレージングシート（30）
の幅方向の中央部を長さ方向に沿ってプレスにより断面
半円弧状に膨出成形して膨出部（36）を形成する。

次に第13図に示すように、膨出部（36）に、円周方向に
沿うチューブ挿入孔（13）を該膨出部の長さ方向に間隔
的に列設する。この孔開けは、膨出部（36）の形状に適
合する形状の当て型を下面側からあてがってプレスによ
り行ったものである。こうすることにより膨出部（36）
の圧潰や変形の発生を防止でき、適正な位置に寸法精度
の高いチューブ挿入孔（13）を穿設することができる。

次に、チューブ（１）のチューブ挿入孔（13）への挿入
を行い易くするため、好ましくは、第14図に示すよう
に、膨出部（36）の膨出側の面において、チューブ挿入
孔（13）の端縁の面取り加工を行う。同図において、
（37）は面取り部である。

続いて必要に応じて面打ちを行った後、ブレージングシ
ート（30）の膨出部（36）を除く両側水平部（38）を、
プレスにより第15図に示すように断面Ｕ字状をなすよう
に折曲成形した後、両側縁が衝き合わせ状となるように
プレスにより外力を付与しながら一重の丸パイプ形状に
変形し、ヘッダーパイプ本体（3a）（4a）を得る。その
後必要に応じてヘッダーパイプ本体（3a）（4a）を洗浄
した後、熱交換器組み立て工程に送り、該工程の途中に
おいて別途製作した蓋体（７）（８）を両端部に取着
し、所期するヘッダーパイプ（３）（４）とする。

なお凝縮器の製作は、ヘッダーパイプ（３）（４）の前
記チューブ挿入孔（13）に各チューブ（１）の端部を挿
入すると共に、仕切板挿入孔（14）に仕切板（９）（1
0）を挿入した後、サイドプレート（11）（12）等を所
定位置に配置して炉中ろう付等により一括ろう付するこ
とにより行われたものである。かかるろう付後において
は、第７図に示すように、ヘッダーパイプ本体（3a）
（4a）とチューブ（１）との接続部に十分なフィレット
（15）が形成され、ヘッダーパイプ（３）（４）とチュ
ーブ（１）とが隙間なく強固に接合一体化されたものと
なる。かつパイプ本体（3a）（4a）の各衝き合わせ部
（31）にもフィレットが形成されて、該衝き合わせ部
（31）は密閉状態に接合されたものとなる。

なお、以上の実施例では、ブレージングシートは両面に
ろう材層がクラッドされたものを示したが、ろう材層は
片面のみにクラッドされたものであっても良い。また、
蓋体の立ち上がり縁部は必ずしも全周に亘って存在しな
ければならないものではなく、部分的突出状態に存在す
るものであっても良い。またパイプの断面形状は円形に
限らず、断面四角形その他の形状でも良い。

考案の効果 この考案は上述の次第で、ブレージングシートの成形体
からなるとともに、周方向の一部に長さ方向に伸びる未
接合かつろう材介在状態の衝き合わせ部を有するパイプ
本体の少なくとも一端に、前記衝き合わせ部の開き防止
用の蓋体が外嵌状態に取着されているから、パイプ本体
の外径が規制され、このため、このろう付用パイプをヘ
ッダーパイプに用いて該ヘッダーパイプとチューブをろ
う付した場合、パイプ本体が一重であるがゆえにろう付
加熱時の熱変形により容易に開きやすいヘッダーパイプ
の衝き合わせ部の開きを蓋体によって防止でき、成形後
の形状を保持したまま良好なろう付を行い得る。もとよ
り、ろう付後においては衝き合わせ部はろう材によって
完全に接合されるから、従来の電縫管のようにろう付前
に衝き合わせ部の閉合のための溶接を実施する必要もな
くなり、ヘッダーパイプとチューブとのろう付接合工程
と共に衝き合わせ部のろう付を実施することができる。
従って溶接工程を不要にでき、ろう付用パイプひいては
凝縮器の製作工程の簡略化、製造コストの低廉化を図り
得る。しかも、ろう付後の凝縮器の使用状態において
は、ヘッダーパイプに高い内圧が加わり、これによって
衝き合わせ部に剥離方向の力が加わるが、蓋体がこれを
妨げるべく作用するから、ろう付後のパイプの強度向上
をも図ることができ、ひいては耐久性に優れた凝縮器の
提供が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す断面斜視図、第２図
は同じく一部を切欠いて示す正面図、第３図は第１図及
び第２図に示すろう付用蓋付パイプをヘッダーパイプと
して用いた凝縮器の正面図、第４図は同じく平面図、第
５図は第３図のＶ−Ｖ線断面図、第６図はヘッダーパイ
プ本来とチューブとコルゲートフィンとを分離して示す
斜視図、第７図は第３図のVII-VII線断面図、第８図〜
第15図は第１図に示したヘッダーパイプの製造工程を説
明するための図で、第８図は材料としてのブレージング
シートの断面斜視図、第９図は第８図のIX-IX線断面
図、第10図は切欠き形成後の断面斜視図、第11図はブレ
ージングシートの両側端部を打撃した後の断面図、第12
図は膨出部形成後の断面斜視図、第13図はチューブ挿入
孔の穿孔後の断面斜視図、第14図はチューブ挿入孔の面
取り後の側面図、第15図は断面Ｕ字状に成形した後の断
面斜視図である。 （３）（４）……ヘッダーパイプ（ろう付用蓋付パイ
プ）、（3a）（4a）……パイプ本体、（７）（８）……
蓋体、（30）……ブレージングシート、（30a）……心
材、（30b）……ろう材層、（31）……衝き合わせ部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小太刀 登 大阪府堺市海山町６丁224番地 昭和アル ミニウム株式会社内 (56)参考文献 実開 昭51−42838（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭55−42665（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭62−26706（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平行状に配置された一対のヘッダーパイプ
   （３）（４）と、並列状態に配置されると共に、両端を
   前記ヘッダーパイプに連通状態にろう付接合されたチュ
   ーブ（１）とを備えた凝縮器の前記ヘッダーパイプ
   （３）（４）に用いられるろう付用蓋付パイプであっ
   て、 心材（30a）の少なくとも片面にろう材層（30b）がクラ
   ッドされたブレージングシート（30）の成形体からなる
   とともに、周方向の一部に長さ方向に伸びる未接合かつ
   ろう材介在状態の衝き合わせ部（31）を有する一重のパ
   イプ本体（3a）（4a）の少なくとも一端に、閉塞部（7
   2）と該閉塞部の周縁に設けられた立ち上がり縁部（7
   3）を有する前記衝き合わせ部の開き防止用の蓋体
   （７）（８）が外嵌状態に取着されてなることを特徴と
   するろう付用蓋付パイプ。