JPH0740798U

JPH0740798U - 抄紙用ドライヤーカンバスの継手

Info

Publication number: JPH0740798U
Application number: JP7031793U
Authority: JP
Inventors: 由博村井; 靖利田中
Original assignee: 敷島紡績株式会社
Priority date: 1993-12-28
Filing date: 1993-12-28
Publication date: 1995-07-21

Abstract

(57)【要約】【目的】固定芯線とループとの間に隙間が残っている
ことによりスパイラル線とループの共通孔内へ固定芯線
が挿入しにくくなることを防止すると共に、固定芯線の
位置不同により継手部の表面平滑性が損われないように
する。【構成】反接紙面側及び接紙面側でドライヤーカンバ
スの最先端部に配置される緯糸に、合成繊維マルチフィ
ラメントの表面に樹脂加工を施こしてなるマルチプラス
ト糸を使用する。また、固定芯線の挿入と位置決め固定
を容易にするため、２群構成の各ループ内でマルチプラ
スト糸からなる最先端緯糸と固定芯線の間に、合成繊維
のマルチフィラメントもしくはモノフィラメントからな
る付加緯糸を挿入する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は抄紙用ドライヤーカンバスの継手に関するものである。

【従来の技術】

【０００２】抄紙用ドライヤーカンバス（９）の継手として、実開平１−１０２１９８号公報には、図３に示すように経糸（１）及び緯糸（２）が合成繊維フィラメントからなる抄紙用ドライヤーカンバス（９）の両端に、経糸半クリンプの長さに相当する経糸ループ（３）を形成し、この経糸ループ（３）と合成繊維フィラメントからなるスパイラル線（４）とを交互に噛み合わせ、この噛み合わせ部にカンバス（９）接合用の継ぎ線（５）を挿入することによって継手部（８）を構成し、この継手部（８）に接合用芯線（６）を挿通したものが提案されている。

【０００３】しかしながら上記構造のドライヤーカンバス（９）では、カンバス（９）の継手部（８）に、経糸ループ（３）及びスパイラル線（４）を配置するため、突合わされたドライヤーカンバス（９）の先端部分に経糸列（１）の長手方向に沿って一定のスペースを確保しておく必要がある。

【０００４】継手部（８）に上記スペースが介在することによって、継手部（８）の表面の平滑性が損われる。この結果、抄紙用ドライヤーカンバス（９）を湿紙の加熱乾燥手段として使用したとき、スパイラル線（４）の位置が不安定になったり抄造された紙の表面に継手マークが発生したりする場合が少なくなかった。

【０００５】上記スパイラル線（４）の位置を安定させ、かつ、継手マークの発生を防止する手段として、例えば実開平４−８９５９６号公報には、図４に示すように湿紙への圧接面として機能する経糸（１）に断面偏平な合成樹脂モノフィラメントを使用することが提案されている。実開平４−８９５９６号公報には、断面偏平な合成樹脂モノフィラメント（１Ａ）（１Ｂ）（１Ｃ）（１Ｄ）を経糸に使用し、反接紙面側（ＢＳ）の緯糸（２Ａ）と接紙面側（ＰＳ）の緯糸（２Ｂ）を対称に配置した緯二重織構造の抄紙用ドライヤーカンバス（９）が記載されている。このドライヤーカンバス（９）の端部には、上記経糸（１Ａ）（１Ｂ）（１Ｃ）（１Ｄ）の折り返しと綴り込みによって２群のループ（３Ａ）（３Ｂ）が形成されており、これら２群のループ（３Ａ）（３Ｂ）と、合成樹脂モノフィラメントからなるスパイラル線（４）とを交互に噛み合わせ、この噛み合わせ部の共通孔内に固定芯線（５）を挿通することによって抄紙用ドライヤーカンバス（９）用のスパイラル継手（８）を形成している。

【０００６】このスパイラル継手（８）において、一方のループ（３Ａ）は上記ドライヤーカンバス（９）の端部で反接紙面側（ＢＳ）の緯糸（２Ａ）１本を巻回することによって形成されており、また、他方のループ（３Ｂ）は上記ドライヤーカンバス（９）の端部で接紙面側（ＰＳ）の緯糸（２Ｂ）１本を巻回することによって上記一方のループ（３Ａ）と上下対称に、かつ、緯糸（２）の整列方向に沿って上記一方のループ（３Ａ）と交互配置状態で形成されている。これらのループ（３Ａ）（３Ｂ）に、上記緯糸（２）の長手方向に沿って連続ループを形成してなるスパイラル線（４）を噛み合わせ、この噛み合い部の共通孔内に固定芯線（５）を挿通することによって、抄紙用ドライヤーカンバス（９）は無端状に接合され、またスパイラル継手（８）は動きにくい状態に保持される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記実開平４−８９５９６号公報に記載されているように経糸（１）に断面偏平な合成樹脂フィラメント（１Ａ）（１Ｂ）（１Ｃ）（１Ｄ）を使用することによって、スパイラル線（４）の配設位置の不安定やカンバス（９）の表面の平滑性の低下に起因する継手マークの発生等を回避することができる。しかしながら、実開平４−８９５９６号公報に記載された継手構造を採用した場合、経糸（1A ）（1B）（1C）（1D）の折り返しと綴り込みによって形成されたループ（3A）（ 3B）とスパイラル線（４）が食い違い状態で噛み合うため、噛み合わせ部に挿入された固定芯線（５）とループ（3A）、（3B）との間に隙間が生じる場合が見受けられた。スパイラル線（４）の内側にこのような隙間が残っていると、ループ（3A）（3B）と継手部（８）の組織が食い込み状態となることによってスパイラル線（４）とループ（3A）（3B）の共通孔内への接合用芯線（18）の挿入が困難になる。

【０００８】また、固定芯線（５）のガタ付きによって、ドライヤーカンバス（９）の先端部分及び継手部（８）でカンバス表面の平滑性が損われてしまう。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記課題の解決手段として、この考案は経糸に断面円形な合成繊維モノフィラメントを使用し、抄紙用ドライヤーカンバスの端部に上記経糸の折り返しによって複数個のループを形成し、これらのループに緯糸の長手方向に沿って連続ループを形成してなるスパイラル線を噛み合わせ、この噛み合い部の共通孔内に固定芯線を挿入したスパイラル継手において、

【００１０】上記のループが２群に形成され、一方のループが上記ドライヤーカンバスの最先端部で反接紙面側に位置する緯糸１本を巻回することによって形成され、また、他方のループが上記ドライヤーカンバスの最先端部で接紙面側に位置する緯糸１本を巻回することによって上記一方のループと上下対称に、かつ、緯糸の長手方向に沿って上記一方のループと交互に形成され、上記反接紙面側及び接紙面側で上記ドライヤーカンバスの最先端部に配置される緯糸に、合成繊維マルチフィラメントの表面に樹脂加工を施こしてなるマルチプラスト糸を使用し、上記２群構成の各ループ内で上記マルチプラスト糸からなる最先端部緯糸と固定芯線の間に、上記ループ及びスパイラル線と噛み合い係合する固定芯線の位置決め固定部材として、付加緯糸を挿入したことを特徴とする抄紙用ドライヤーカンバスの継手を提供するものである。

【００１１】

【作用】

抄紙用ドライヤーカンバス、特にその継手部の表面平滑化手段として、反接紙面側及び接紙面側でドライヤーカンバスの最先端部に配置される緯糸に、合成繊維マルチフィラメントの表面に樹脂加工を施こしてなるマルチプラスト糸を使用する。

【００１２】また、スパイラル線と、経糸の折り返しによって形成されたループとの共通孔内への接合用芯線（18）の挿入と位置決め固定を容易化するため、２群構成の各ループ内で上記マルチプラスト糸からなる最先端緯糸と固定芯線の間に、付加緯糸を挿入する。

【００１３】

【実施例】

（実施例１）

【００１４】図１および図２と表１を参照しながらこの考案の第１の具体例を説明する。

【００１５】反接紙面側（ＢＳ）緯糸（11）、中間層緯糸（21）、接紙面側（ＰＳ）緯糸（ 12）と、円形断面を有するポリエステルモノフィラメントからなる第１経糸（13 A）、第２経糸（13B）、第３経糸（13C）、及び第４経糸（13D）を製織し、反接紙面側緯糸（11）と接紙面側緯糸（12）が中間層緯糸（21）の整列面を対称軸として上下対称に配置され、緯三重織り構造の抄紙用ドライヤーカンバスを作成した。

【００１６】次いで、第１経糸（13A）の延長部を、カンバス端部の接紙面側（ＰＳ）緯糸（12A）をその下側から上側に向って巻回するように折り返すことによって一方のループ（14）を形成し、上記延長部の先端側を第２経糸（13B）の除去跡に綴り込む。

【００１７】また、第３経糸（13C）の延長部を、カンバス端部の反接紙面側（ＢＳ）緯糸（11A）をその上側から下側に向って巻回するように折り返すことによって他方のループ（15）を形成し、上記延長部の先端側を第４経糸（13D）の除去跡に綴り込む。

【００１８】この後、上記２群構成のループ（14）、（15）の間にスパイラル線（16）を噛み合わせ、ループ（14）、（15）とスパイラル線（16）の共通孔内に、直径０．９０mmのポリエステルモノフィラメントからなる固定芯線（17）を挿通し、また、上記ループ（14）、（15）と最先端緯糸（11A）（12A）との間に、上記ループ（14）、（15）及びスパイラル線（16）と噛み合い係合する上記固定芯線（17）の位置決め固定部材として、合成繊維のマルチフィラメントもしくはモノフィラメントからなる付加緯糸（22）を挿入して継手を作成した。

【００１９】この具体例において、ドライヤーカンバス（10）の最先端部で反接紙面側（ＢＳ）及び接紙面側（ＰＳ）に配置する緯糸（11A）及び（12A）としては、マルチフィラメントの表面に樹脂加工を施こすことによって製作された直径０．５５mm のマルチプラスト糸を使用する。また、固定芯線（17）には、直径０．９０mmのポリエステルモノフィラメントを使用する。そして、固定芯線（17）の位置決め固定部材として機能する付加緯糸（22）には、トータルデニール２５０dのポリエステルマルチフィラメントと、トータルデニール２１０dのポリアミドマルチフィラメントをそれぞれ複数本加撚した合成繊維糸を使用する。

【００２０】上記抄紙用ドライヤーカンバス（10）の製織組織と糸仕様を表１に一括して表示する。

【００２１】

【表１】

【００２２】接合に際しては、挿入されたスパイラル線（16）、固定芯線（17）、及び付加緯糸（22）の端末部分を処理した後、ドライヤーカンバス（10）の両端を突き合わせ、スパイラル線（16）のループ内にループの形状保持をするための部材として直径０．９０mmのポリエステルモノフィラメントからなる保形材兼用の芯線（ 17）を挿通する。

【００２３】（実施例２）

【００２４】この実施例の製織組織と糸仕様を下記表２に一括して表示する。

【００２５】

【表２】

【００２６】尚、上記実施例には、緯三重織りの織り組織を有する抄紙用ドライヤーカンバス（10）が記載されているが、この考案は緯二重斜文織り等の他の織り組織を有するドライヤーカンバス（10）等に対しても同様に実施することが可能である。

【００２７】

【考案の効果】

反接紙面側及び接紙面側でドライヤーカンバス（10）の最先端部に配置される緯糸（11A）（12A）に柔軟なマルチプラスト糸を使用することによって、継手の先端部分にクッション性を持たせることが可能になり、ドライヤーカンバス（10 ）の継手部分の表面平滑化に対して顕著な効果が発揮される。

【００２８】また、各ループ（14）及び（15）内で、最先端緯糸（11A）（12A）と固定芯線（17）の間に挿入された付加緯糸（22）でスパイラル線（16）を押圧し、各ループ（14）及び（15）とスパイラル線（16）の間の隙間を狭めることによって、接合用芯線（18）の挿入と位置決め固定が容易化される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る抄紙用ドライヤーカンバスの継
手部分の縦断面図。

【図２】上記継手部分の拡大平面図。

【図３】継手の従来例を示す抄紙用ドライヤーカンバス
要部の縦断面図。

【図４】継手の従来例を示す抄紙用ドライヤーカンバス
要部の縦断面図。

【符号の説明】

10 抄紙用ドライヤーカンバス 11 反接紙面側に配置された緯糸 11A カンバス最先端の反接紙面側に配置された緯糸 12 接紙面側に配置された緯糸 12A カンバス最先端の接紙面側に配置された緯糸 13A 経糸 13B 経糸 13C 経糸 13D 経糸 14 ループ 15 ループ 16 スパイラル線 17 固定芯線 18 接合用芯線 22 付加緯糸

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】経糸に断面円形な合成繊維モノフィラメ
ントを使用し、抄紙用ドライヤーカンバスの端部に上記
経糸の折り返しによって複数個のループを形成し、これ
らのループに緯糸の長手方向に沿って連続ループを形成
してなるスパイラル線を噛み合わせ、この噛み合い部の
共通孔内に固定芯線を挿入したスパイラル継手におい
て、上記のループが２群に形成され、一方のループが上記ド
ライヤーカンバスの最先端部で反接紙面側に位置する緯
糸１本を巻回することによって形成され、また、他方の
ループが上記ドライヤーカンバスの最先端部で接紙面側
に位置する緯糸１本を巻回することによって上記一方の
ループと上下対称に、かつ、緯糸の長手方向に沿って上
記一方のループと交互に形成され、上記反接紙面側及び
接紙面側で上記ドライヤーカンバスの最先端部に配置さ
れる緯糸に、合成繊維マルチフィラメントの表面に樹脂
加工を施こしてなるマルチプラスト糸を使用し、上記２
群構成の各ループ内で上記マルチプラスト糸からなる最
先端部緯糸と固定芯線の空間に、上記ループ及びスパイ
ラル線と噛み合い係合する固定芯線の位置決め固定部材
として、合成繊維の付加緯糸を挿入したことを特徴とす
る抄紙用ドライヤーカンバスの継手。