JPH07337100A - 誘導電動機のベクトル制御系のトルク制御装置 - Google Patents

誘導電動機のベクトル制御系のトルク制御装置

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JPH07337100A
JPH07337100A JP6129386A JP12938694A JPH07337100A JP H07337100 A JPH07337100 A JP H07337100A JP 6129386 A JP6129386 A JP 6129386A JP 12938694 A JP12938694 A JP 12938694A JP H07337100 A JPH07337100 A JP H07337100A
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JP
Japan
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speed
deviation
value
output
observer
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Application number
JP6129386A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Yamada
哲夫 山田
Tadashi Ashikaga
正 足利
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低分解能の速度検出器を用いたときのトルク
制御性能を改善した。 【構成】 誘導電動機1はPWMインバータ2によりP
WM制御される。PWMインバータ2はPWM回路3で
制御される。このPWM回路3は非干渉演算部4からの
出力と、d,q軸ACRアンプ5、6の出力とを加算し
たもので制御される。7は滑り周波数演算部で、この滑
り周波数演算部7はトルク指令i1q*を励磁指令i1d
で割ったものと、二次抵抗R2を二次インダクタンスL2
で割ったものとを、乗算することによって滑り周波数ω
sを得るものである。滑り周波数ωsは速度検出回路8
から得たωrと加算され、その加算値ω1は非干渉演算
部4とPWM回路3に与えられる。3φ→2φ座標変換
部9にはPWMインバータ2の出力のうちiu,iwが入
力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は低分解能の速度センサ
を用いた極低速域の速度推定オブザーバを電気自動車な
どのトルク制御系へ適用した誘導電動機のベクトル制御
系のトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】低分解能のロータリー・エンコーダを用
いた速度制御系では、極低速域においてエンコーダパル
ス間隔が速度制御周期より長くなり、速度制御周期間に
正確な速度情報が得られなく。このため、極低速域で
は、速度制御系が不安定になり易く、速度制御の応答を
上げることが困難になる。このような理由からサーボモ
ータやエレベータ等のような位置決め精度を要求される
用途では速度検出器(速度センサ)としてレゾルバや高
パルス出力のエンコーダが用いられてきた。しかし、最
近ではオブザーバを用いて低速域の速度を推定すること
により、低分解能のエンコーダを用いても極低速域の速
度制御を安定に行うことができる方式がいくつも提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このうち最小次元の負
荷トルクオブザーバを用いた極低速域の速度推定方法を
用いて速度推定精度に特に影響を与えるモータイナーシ
ャの推定法について検討した。しかし、極低速域ではエ
ンコーダパルス間隔が長くなるために、トルク推定の安
定性を考慮して、オブザーバゲインは通常より小さく設
定する必要がある。
【0004】そのために、速度推定オブザーバより同時
に推定できる負荷トルク推定値を用いて外乱補償を行お
うとすると、高速域での外乱抑圧効果が低下するという
問題が発生する。
【0005】また、近年、地球環境の改善のために電気
自動車の研究と実用化の検討が積極的に進められてい
る。電気自動車の実用化への課題としては、コスト、効
率、小型化、信頼性などが上げられる。この中で、モー
タ小型化のために高速化(10000rpm以上)の研
究が行われている。しかし、1万回転程度になると、速
度センサの機械的強度の問題から、標準のロータリーエ
ンコーダが適用できなくなる。そのため、磁気抵抗素子
と磁性体歯車を用いた非接触のギアパルス式センサ等
が、歯車の加工の制約から1回転当たりのパルス数が6
0〜120P/R程度になる。このため、低速域の広範
囲に渡り、正確な速度情報が得られなくので、速度オブ
ザーバ等を用いた特性改善が必要となってきている。
【0006】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、低分解能の速度検出器を用いたときのトルク制御
性能を改善した誘導電動機のベクトル制御系のトルク制
御装置提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、第1発明は、PWMインバータと、
このPWMインバータで駆動される誘導電動機と、この
誘導電動機の速度をパルス出力として送出する非接触で
低分解能の速度検出器と、最小次元の負荷トルク推定値
オブザーバを速度制御周期と速度検出周期とにおける離
散系モデルに変換し、前記速度検出器から出力されるパ
ルス間隔での速度を推定する速度推定オブザーバと、ト
ルク指令と励磁指令および前記速度推定オブザーバから
出力される角周波数とが入力され、出力に前記PWMイ
ンバータ駆動用出力を送出するベクトル制御系とを備え
たことを特徴とするものである。
【0008】第2発明は、前記速度推定オブザーバが、
トルク指令と負荷トルク推定値との偏差をオブザーバモ
デル機械時定数で積分してモデル出力推定値を得る第1
演算部と、この第1演算部で得られたモデル出力推定値
からパルス間隔における平均値を得る第2演算部と、こ
の第2演算部の出力と速度検出器から出力されるパルス
変化時に求まる平均値速度との偏差を算出する第1偏差
部と、この第1偏差部に得られる偏差値をオブザーバゲ
イン倍して前記負荷トルク推定値を得るオブザーバゲイ
ン部と、前記第1演算部のモデル出力推定値と前記第1
偏差部の偏差値との偏差を求める第2偏差部とからな
り、前記第2偏差部で求められた偏差値を速度推定値と
して出力することを特徴とするものである。
【0009】第3発明は、前記第2演算部が速度制御周
期と速度検出周期とのタイミングずれを補正する手段で
構成したことを特徴とするものである。
【0010】第4発明は、前記負荷トルク推定値と第1
偏差部の出力から速度偏差の差分を速度偏差差分算出部
で算出し、算出された値を第1演算部で得られたモデル
出力推定値に補正値として加算し、その加算値をパルス
間隔における平均値を得る第2演算部に供給したことを
特徴とするものである。
【0011】第5発明は、前記速度偏差差分算出部が、
負荷トルク推定値が入力され、出力に負荷トルク推定値
との積算値が得られる次のサンプル時点で切り換えられ
るオブザーバゲイン逆数部と、この逆数部の出力と第1
偏差部の出力との偏差から出力に速度偏差を得る偏差部
と、この偏差部から得られる速度偏差差分を積分して出
力に補正値を得る積分器とからなり、逆数部の出力を第
2偏差部に供給して、その出力に速度推定値を送出する
ようにしたことを特徴とするものである。
【0012】第6発明は、偏差部で得られた速度偏差差
分をオブザーバモデル機械時定数で積分してモデル出力
推定値を得る積分器へ、次のサンプルのときのみ加算し
てモデル出力推定値を補正したことを特徴とするもので
ある。
【0013】第7発明は、前記オブザーバゲイン部を、
ある速度以上と以下で2段階に切換るようにようにした
ことを特徴とするものである。
【0014】第8発明は、オブザーバゲイン部を固定ゲ
イン、定数および補償ゲインの積算値としたことを特徴
とするものである。
【0015】
【作用】低分解能の速度検出器の角周波数を速度推定オ
ブザーバを通してベクトル制御系に、トルク指令と励磁
指令とともに入力し、これらにより誘導電動機のトルク
制御を行う。このため、低分解能の速度検出器を使用し
ても良好な始動特性が得られる。
【0016】
【実施例】以下この発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。まず、速度推定オブザーバについて述べる。
【0017】(A)速度推定の原理 モータを積分要素のみに近似したときのモータ部の方程
式は(1)式で表される。また、これより導出される最
小次元の負荷トルクオブザーバのトルク推定値は
(2)、(3)式で表される。
【0018】
【数1】
【0019】上記(1)〜(3)式よりモータ部と最小
次元の負荷トルクオブザーバのブロック図を示すと、図
12のようになる。最小次元の負荷トルクオブザーバで
は、オブザーバゲインG1は比例要素のみで構成される
ため、負荷トルクτLが印加されるとモータモデル出力
推定値∧nM’(以下推定値には記号∧を付す)とモー
タ実速度nMとには偏差が生じる、この偏差Δnは
(2)式より次の(4)式で表すことができる。
【0020】
【数2】
【0021】ここで、速度偏差Δnの物理的な意味を検
討する。前記(1)〜(3)式を用いるとΔnは次の
(5)式で表すことができる。ただし、モータとモデル
の機械時定数が一致している(TM=TM*)と仮定す
る。
【0022】
【数3】
【0023】また、(4)、(5)式より負荷トルク推
定値∧τLは次の(6)式のように表すことができる。
【0024】
【数4】
【0025】上記(5)、(6)式より、負荷トルクと
一次遅れで推定した負荷トルク推定値との偏差を時定数
M*で積分したものがΔnとなる。
【0026】ここで、速度推定に完全次元の負荷トルク
オブザーバを使用した方式では、オブザーバゲインG1
はPI要素となる。従って、定常状態ではモータモデル
出力推定値∧nM’=nMとなるが、これは負荷トルク急
変時のような過渡状態には成立しない。また、オブザー
バゲインの調整要素も増える。このため、ここでは最小
次元の負荷トルクオブザーバを使用した速度推定方式に
ついて述べる。(4)式よりモータ速度は次式で表され
る。
【0027】
【数5】
【0028】(7)式より、モータモデル出力推定値∧
M’から速度偏差Δnを減算することにより、速度が
推定できる。このことが速度推定の基本原理である。こ
の原理は連続系では意味を持たないが、速度制御周期間
にエンコーダパルスが得られない極低速域では、(∧n
M=∧nM’−Δn)の式から速度推定が可能となる。上
記(7)式より、最小次元の負荷オブザーバをを用いた
速度推定回路の原理図を構成すると図13のようにな
る。
【0029】(B)速度推定オブザーバ 速度検出器としてエンコーダを使用する場合、極低速域
では速度制御周期よりもエンコーダパルス間隔の方が長
くなる。そのタイミングチャートを図14に示す。図1
4において、エンコーダのA相、B相信号を2相信号と
し、各相の立ち上がり、立ち下がりエッジ信号の合成を
4逓倍検出信号とする。また、A相立ち上がりエッジ信
号を1f検出信号とする。(A相立ち上がりエッジ以外
のエッジ信号を用いてもよい)エンコーダの2相信号
は、オン、オフ時間のデューティ比に約10%程度の誤
差を有しているので、通常高速域では速度検出信号とし
て1f検出信号を用いて、この誤差の影響を軽減してい
る。また、低速域では速度情報を速く検出するために、
4逓倍検出信号が用いられる。
【0030】図14に示すような極低速域では、エンコ
ーダパルス間における速度制御周期時点で最新の速度情
報が得られない。この間における速度を図13の速度推
定原理を用いて推定する。図13の速度推定オブザーバ
の原理図を速度制御周期Tと速度検出周期Tで離散
化すると、図15に示す速度推定オブザーバが得られ
る。図15において、速度検出値[−nM(j)]はエ
ンコーダパルス(j−1)〜(j)間の平均速度となる
ので、モータモデル出力平均値[−∧nM’(i)]も
この間の平均値を演算してモータモデル出力平均値[−
∧nM’(i)]を求める必要がある。速度検出周期が
速度制御周期より十分長ければモータモデル出力平均値
は次の(8)式で表すことができる。
【0031】
【数6】
【0032】但し、n(j)が小さいときには、より正
確な平均化処理の検討が必要となるが、ここでは、n
(j)が十分大きい極低速域を考えることとして、モー
タモデル出力平均値を(8)式で近似する。
【0033】次にオブザーバゲインの切換について述べ
る。最小次元の負荷トルクオブザーバではオブザーバゲ
インG1が比例要素で構成されているので、負荷トルク
τLが印加されると、速度検出周期j点でのモータモデ
ル出力の平均値[−∧nM’(j)]とモータ実速度の
平均値[−nM(j)]とには速度偏差Δn(j)が生
じる。この速度偏差Δn(j)は(4)式より次の
(9)式で表すことができる。
【0034】
【数7】
【0035】ここで、すでに負荷トルク∧τL(j)の
推定が完了し、ある値に収束していると仮定する。(j
−1)からj間の平均速度をj時点に検出し、オブザー
バゲインをG1(j−1)=G1LからG1(j)=G1H
無条件に切換ると、Δn(j)は一定のため負荷トルク
が変化してしまう。そのために、トルク変化がないにも
関わらず、トルク変化が生じたような過渡現象が発生
し、速度制御系への外乱となってしまう。そこで、過渡
現象の生じないオブザーバゲイン切換が必要になる。
【0036】次にその切換方法を述べる。いま、j時点
にてオブザーバゲインをG1LからG1Hに切換ると、負荷
トルクの推定はすでに完了し、ある値∧τL(j−1)
に収束しおり、ゲイン切換の間は負荷トルクは変化しな
いものとする。(j−1)からj間での速度偏差Δn
(j)がj時点にて(9)式より求められたとする。
【0037】ここで、負荷トルク推定値∧τL(j−
1)=∧τL(j)に保つためには、j時点でゲイン切
換を実行することはできない。そこで、G1LからG1H
ゲイン切換を次の速度検出周期(j+1)へ1サンプル
遅れさせることを検討する。そのため、j時点ではG1
(j)=G1(j−1)=G1Lのままとする。いま、
(j+1)時点にてG1(j)=G1LからG1(j+1)
=G1Hにゲインを切換るとする。
【0038】(j+1)時点での速度偏差Δn(j+
1)は次の(10)式で表される。
【0039】
【数8】
【0040】(j+1)時点にてトルク推定値∧τ
L(j+1)=∧τL(j)に保つには、jと(j+1)
間においてモータモデル出力∧nM’(i)を次の(1
1)式に示す速度偏差の差分Δnc(j)で補正してお
けばよい。
【0041】
【数9】
【0042】(11)式よりΔn(j+1)は次の(1
2)式で表される。
【0043】
【数10】
【0044】ここで、速度偏差Δn(j)は(5)式に
示す負荷トルク推定誤差分としてモータモデル出力∧n
M’(i)にすでに積算されているので、速度偏差の差
分をモータモデル出力に補正すればよい。また、モータ
モデル出力を速度偏差の差分で補正するため、速度推定
値算出のための速度偏差として(10)式のΔn(j+
1)を予測値として用いる。図16は上述したゲイン切
換を考慮した速度推定オブザーバのブロック構成図であ
る。
【0045】図16において、トルク指令τM*(i)
と負荷トルク推定値∧τL(j)は、偏差器111に供
給されて、その偏差出力が第1演算部112に入力され
る。第1演算部112は、速度制御周期Tsをモデル機
械時定数TM*で割算した割算部112aと、この割算
部112aの出力と積分器112cの出力とを加算した
加算器112bとから構成されている。第1演算部11
2で演算されて得られたモータモデル出力推定値∧
M’(i)はパルス間隔における平均値を得る第2演
算部113に入力される。第2演算部113で演算され
たモータモデル出力の平均値は第1偏差部114のプラ
ス入力端に供給され、そのマイナス入力端には図示しな
いパスルエンコーダにより検出された速度検出出力の平
均値が供給される。
【0046】第1偏差部114の偏差出力はオブザーバ
ゲイン部116に供給され、ここで所定倍されて出力に
負荷トルク推定値∧τL(j)を得る。また、第1偏差
部114の偏差出力は第2偏差部117のマイナス入力
端に供給される。第2偏差部117のプラス入力端には
モータモデル出力推定値∧nM’(i)が供給され、そ
の出力には速度推定値∧nM(i)が得られる。
【0047】131は速度偏差の差分算出部で、この速
度偏差の差分算出部131は負荷トルク推定値∧τ
L(j)が入力され、次のサンプル時点(j+1)でオ
ブザーバゲインを切り換えるオブザーバゲインG1(j
+1)逆数部132と、このオブザーバゲイン逆数部1
32で負荷トルク推定値∧τL(j)と1/G1(j+
1)とを積算する出力がプラス端に、第1偏差部114
の偏差出力値がマイナス端に供給される偏差部133
と、この偏差部133の偏差出力値が第1入力端に供給
される加算器134と、この加算器134の出力を積分
して第2入力端に供給する積分器135とから構成され
る。オブザーバゲイン逆数部132の積算出力は第2偏
差器117のマイナス端に供給され、加算器134の出
力Δnc’(j)[差分の積算(積分要素)]は加算器
112bの出力と加算器136で加算される。図10に
おいては、速度推定オブザーバより負荷トルク推定値も
検出できるので、この負荷トルク推定値をトルク指令に
加算することにより外乱補償が可能となる。これによ
り、等価的にPI要素が現れるので、速度制御アンプは
比例要素のみとした。
【0048】図17はシミュレーションに用いたブロッ
ク構成図で、この図17において、21はモータ部、2
2はエンコーダモデル、23は速度検出部である。速度
検出部23の出力は速度推定オブザーバ24に供給され
る。速度推定オブザーバ24からの速度推定値は速度指
令値と偏差が採られて、偏差が比例部25に与えられ
る。比例部25の出力は速度推定オブザーバ24からの
負荷トルク推定値と加算されてモータトルクを得る。こ
のトルクと負荷トルクとの偏差がモータ部21に供給さ
れる。
【0049】図17によるシミュレーションは、速度制
御演算周期Tsを1msとし、速度検出演算周期Tpは
エンコーダパルスが入力されたときのみ実行した。また
モータ部の演算は連続系とした。このときのシミュレー
ション条件を次の表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】ゲイン切換特性のシミュレーション結果を
図18〜図20に示す。負荷トルクが1%印加されてい
る状態にて、モータを定格速度の1/5000という極
低速で始動し、負荷トルク推定が完了した後、オブザー
バゲインを切り換えたときのシミレーション結果であ
る。図18はオブザーバゲインG1=100と大きな値
に設定して始動し、オブザーバゲイン切換を行っていな
いときの特性である。この図18からオブザーバゲイン
が大きいために負荷トルク推定の安定性が悪くなり、始
動時の速度変動が大きくなる。
【0052】図19は始動時G1=50に設定し、ゲイ
ン切換補償無しの状態でG1=100に切り換えた時の
もので、この場合には図18に比べてオブザーバゲイン
を小さく設定したので、始動時のトルク推定は安定して
いる。しかし、ゲイン切換補償が無いために、ゲイン切
り換え時にトルク推定値が変化し、結果として速度変動
が発生する。
【0053】図20は始動時G1=50に設定し、ゲイ
ン切換補償有りの状態でG1=100に切り換えたとき
の結果である。この結果から始動時及びゲイン切換時の
トルク推定の安定性が確保されており、オブザーバ切換
方法の有効性が確認できることが判明した。なお、この
ときの速度検出周期は速度1/5000にて25msと
なる。
【0054】図21と図22は負荷トルクが1%印加さ
れている状態にてモータを定格速度の1/2000とい
う極低速で始動し、負荷トルク推定が完了した後、負荷
トルクを3%に変化させたときのシミュレーション結果
で、図21はG1=50一定のときであり、図22はゲ
イン切換補償有りの状態でG1=100に切り換えたと
きの結果である。ゲイン切換方式により外乱抑圧効果が
改善されることが判明した。
【0055】次に上述した速度推定オブザーバを誘導電
動機のベクトル制御系に組み込んだこの発明の実施例を
述べる。図1はそのベクトル制御系の構成図を示す実施
例で、シミュレーションは図17のモータ部分を図1の
ベクトル制御系に置き換えて実行したものである。図1
において、1は誘導電動機IM、2はIM1をPWM制
御するPWMインバータである。3はPWMインバータ
2を制御するPWM回路で、このPWM回路3は非干渉
演算部4からの出力と、d,q軸ACRアンプ5、6の
出力とを加算したもので制御される。7は滑り周波数演
算部で、この滑り周波数演算部7はトルク指令i1q*を
励磁指令i1d*で割ったものと、二次抵抗R2を二次イ
ンダクタンスL2で割ったものとを、乗算することによ
って滑り周波数ωsを得るものである。滑り周波数ωs
は速度検出回路8から得たωrと加算され、その加算値
ω1は前記非干渉演算部4とPWM回路3に与えられ
る。9は3φ→2φ座標変換部で、この変換部9にはP
WMインバータ2の出力のうちiu,iwが入力される。
【0056】変換部9の出力はd,q軸ACRアンプ
5、6の入力に設けられる偏差器10、11のマイナス
端に供給され、偏差器10、11のプラス端にはi
1q*,i1d*が供給される。前記非干渉演算部4は一次
抵抗R1を漏れインダクタンスLsと一次インダクタンス
1にω1を乗算した値で補正してd,q軸ACRアンプ
5、6の出力と加算器12、13で加算してPWM回路
3に供給される。
【0057】図1のように構成したベクトル制御系の実
施例において、速度検出回路8に代えて速度推定オブザ
ーバを設けることによってシミュレーションを実行し
た。図2は速度制御系を構成したときの始動特性のシミ
ュレーション結果で、この特性は負荷トルクが1%印加
されている状態にて、モータを1/200の低速で始動
したときの結果である。図2から速度検出周期は速度1
/200にて約44msとなる。このときのシミュレー
ション条件を次の表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】最高速度が10000rpm程度のモータ
を想定して、速度検出信号の一回転当たりのパルス数を
60P/Rとすることにより、良好な始動特性が得られ
る。図3から図11にトルク制御系としたときの始動特
性のシミュレーション結果を示す。このときのシミュレ
ーション条件を次の表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】図3〜図8は負荷トルクを20%印加した
状態で、トルク指令を25〜35%に設定してモータを
始動したときの結果である。速度推定オブザーバ無しの
ときは、エンコーダパルスが入力されるまでに実速度は
上昇を開始するために、モータの滑りが小さくなりトル
クが低下してくる。エンコーダパルスが入力されて速度
検出が可能となると、トルクは設定値に回復して行く
が、加速時間が非常に長くなる。トルク指令を大きくす
ると、加速特性は改善されるが、トルクが指令値通り発
生しないために、加速時間が長くなる。これに対して、
速度推定オブザーバを用いたときには、エンコーダパル
スが検出されるまでは、負荷トルクを推定できないため
に、速度推定値が実速度より大きく推定される。そのた
めに必要とされる出力周波数よりも上昇して、モータの
滑りが大きくなる。これにより加速トルクが発生し、滑
らかに加速している。エンコーダパルスが入力されて速
度検出が可能となると、負荷トルク推定が開始され、発
生トルク指令値に近づいて行く。また、トルク指令値が
小さいときでも、加速特性は良好である。
【0062】図9〜図11はモータモデル機械時定数T
M*=2sに固定し、モータ機械時定数TMを2倍、1/
2倍、1/4倍と変化させたときの始動特性である。負
荷トルクを20%印加した状態で、トルク指令値を25
%に設定してモータを始動した。TM=2TM*のとき
は、エンコーダパルスが入力されるまでの速度推定誤差
が大きいために、トルク推定のオーバーシュートが大き
いが、安定して始動できていることが分かる。また、T
M=1/2・TM*、TM=1/4・TM*のときは、エン
コーダパルスが入力されるまでの負荷トルク推定誤差分
をイナーシャ誤差で相殺するので、速度推定誤差が小さ
くなり、良好な始動特性が得られている。
【0063】以上より負荷トルク印加状態でのトルク制
御系の始動特性では、イナーシャ誤差の影響を受け難い
ことが分かる。しかし、さらに良好な始動特性を得るに
は、始動時の負荷トルク補償法を確立する必要がある。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
速度推定オブザーバを誘導電動機ベクトル制御系のトル
ク制御に適用したので、低分解能の速度検出器を使用し
ても良好な始動特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す構成説明図。
【図2】速度制御系の始動特性図
【図3】速度推定オブザーバ無しでトルク指令値25%
のときの始動特性図。
【図4】速度推定オブザーバ無しでトルク指令値30%
のときの始動特性図。
【図5】速度推定オブザーバ無しでトルク指令値35%
のときの始動特性図。
【図6】速度推定オブザーバ有りでトルク指令値25%
のときの始動特性図。
【図7】速度推定オブザーバ有りでトルク指令値30%
のときの始動特性図。
【図8】速度推定オブザーバ有りでトルク指令値35%
のときの始動特性図。
【図9】イナーシャ誤差TM=2TM*があるときの始動
特性図。
【図10】イナーシャ誤差TM=1/2TM*があるとき
の始動特性図。
【図11】イナーシャ誤差TM=1/4TM*があるとき
の始動特性図。
【図12】負荷トルクオブザーバ構成図。
【図13】速度推定オブザーバの原理図。
【図14】速度制御のタイミングチャート。
【図15】離散化した速度推定オブザーバ構成図。
【図16】ゲイン切換を考慮した速度推定オブザーバの
ブロック構成図。
【図17】シミュレーションのブロック構成図。
【図18】オブザーバゲイン切換無しによるシミュレー
ション結果の特性図。
【図19】オブザーバゲイン切換補償無しによるシミュ
レーション結果の特性図。
【図20】オブザーバゲイン切換補償有りによるシミュ
レーション結果の特性図。
【図21】オブザーバゲイン切換無しによる外乱抑圧効
果のシミュレーション結果の特性図。
【図22】オブザーバゲイン切換補償有りによる外乱抑
圧効果のシミュレーション結果の特性図。
【符号の説明】 1…誘導電動機 2…PWMインバータ 3…PWM回路 4…非干渉演算部 5…d軸ACRアンプ 6…q軸ACRアンプ 7…滑り周波数演算部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PWMインバータと、このPWMインバ
    ータで駆動される誘導電動機と、この誘導電動機の速度
    をパルス出力として送出する非接触で低分解能の速度検
    出器と、最小次元の負荷トルク推定値オブザーバを速度
    制御周期と速度検出周期とにおける離散系モデルに変換
    し、前記速度検出器から出力されるパルス間隔での速度
    を推定する速度推定オブザーバと、トルク指令と励磁指
    令および前記速度推定オブザーバから出力される角周波
    数とが入力され、出力に前記PWMインバータ駆動用出
    力を送出するベクトル制御系とを備えたことを特徴とす
    る誘導電動機のベクトル制御系のトルク制御装置。
  2. 【請求項2】 前記速度推定オブザーバは、トルク指令
    と負荷トルク推定値との偏差をオブザーバモデル機械時
    定数で積分してモデル出力推定値を得る第1演算部と、
    この第1演算部で得られたモデル出力推定値からパルス
    間隔における平均値を得る第2演算部と、この第2演算
    部の出力と速度検出器から出力されるパルス変化時に求
    まる平均値速度との偏差を算出する第1偏差部と、この
    第1偏差部に得られる偏差値をオブザーバゲイン倍して
    前記負荷トルク推定値を得るオブザーバゲイン部と、前
    記第1演算部のモデル出力推定値と前記第1偏差部の偏
    差値との偏差を求める第2偏差部と、この第2偏差部で
    求められた偏差値を速度推定値として出力することを特
    徴とする請求項1記載の誘導電動機のベクトル制御系の
    トルク制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2演算部は速度制御周期と速度検
    出周期とのタイミングずれを補正する手段で構成したこ
    とを特徴とする請求項2に記載の誘導電動機のベクトル
    制御系のトルク制御装置。
  4. 【請求項4】 前記負荷トルク推定値と第1偏差部の出
    力から速度偏差の差分を速度偏差差分算出部で算出し、
    算出された値を第1演算部で得られたモデル出力推定値
    に補正値として加算し、その加算値をパルス間隔におけ
    る平均値を得る第2演算部に供給したことを特徴とする
    請求項2記載の誘導電動機のベクトル制御系のトルク制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記速度偏差差分算出部は、負荷トルク
    推定値が入力され、出力に負荷トルク推定値との積算値
    が得られる次のサンプル時点で切り換えられるオブザー
    バゲイン逆数部と、この逆数部の出力と第1偏差部の出
    力との偏差から出力に速度偏差を得る偏差部と、この偏
    差部から得られる速度偏差差分を積分して出力に補正値
    を得る積分器とからなり、逆数部の出力を第2偏差部に
    供給して、その出力に速度推定値を送出するようにした
    ことを特徴とする請求項4記載の誘導電動機のベクトル
    制御系のトルク制御装置。
  6. 【請求項6】 偏差部で得られた速度偏差差分をオブザ
    ーバモデル機械時定数で積分してモデル出力推定値を得
    る積分器へ、次のサンプルのときのみ加算してモデル出
    力推定値を補正したことを特徴とする請求項4記載の誘
    導電動機のベクトル制御系のトルク制御装置。
  7. 【請求項7】 オブザーバゲイン部を、ある速度以上と
    以下で2段階に切換るようにようにしたことを特徴とす
    る請求項4、5または6記載の誘導電動機のベクトル制
    御系のトルク制御装置。
  8. 【請求項8】 オブザーバゲイン部を固定ゲイン、定数
    および補償ゲインの積算値としたことを特徴とする請求
    項7記載の誘導電動機のベクトル制御系のトルク制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002330600A (ja) * 2001-04-27 2002-11-15 Fuji Electric Co Ltd 速度センサを持たない誘導モータドライブの制御システム、オブザーバ及び制御方法
WO2013088533A1 (ja) * 2011-12-14 2013-06-20 株式会社安川電機 モータ制御装置及びモータシステム

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