JPH07334877A - 光磁気記録媒体及び該媒体の情報再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及び該媒体の情報再生方法

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JPH07334877A
JPH07334877A JP6128779A JP12877994A JPH07334877A JP H07334877 A JPH07334877 A JP H07334877A JP 6128779 A JP6128779 A JP 6128779A JP 12877994 A JP12877994 A JP 12877994A JP H07334877 A JPH07334877 A JP H07334877A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構成で、光の回折限界以下の記録マー
クを、高い信号品質で再生可能な光磁気記録媒体及び情
報再生方法の提供。 【構成】 室温で面内磁化膜で、GdFeCoを主体と
して構成され、以下を満足する第一磁性層と、 Gdx(Fe100-yCoy100-x, 24≦x≦32,
20≦y≦50 第一磁性層、第二磁性層よりキュリー温度が低い、Gd
FeCoを主体として構成され、以下を満足する第三磁
性層と、 Gdp(Fe100-qCoq100-p, 25≦p≦50,
0≦q≦20 希土類−鉄族元素非晶質合金からなる垂直磁化膜で、第
一磁性層よりキュリー温度が低い第二磁性層とを、その
順で基板上に積層してなる光磁気記録媒体及び該媒体を
用いた情報再生方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ビームを用いて光学
的に情報の記録及び再生を行う光磁気記録媒体及び該媒
体の情報再生方法に関し、特に媒体の高密度化を可能と
する光磁気記録媒体及び該媒体の情報再生方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】書き換え可能な高密度記録方式として、
半導体レーザーの熱エネルギーを用いて、磁性薄膜に磁
区を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を用いて、
この情報を読み出す光磁気記録媒体が注目されている。
又、近年、この光磁気記録媒体の記録密度を高めて更に
大容量の記録媒体とする要求が高まっている。この光磁
気記録媒体等の光ディスクの線記録密度は、再生光学系
のレーザー波長λ、対物レンズの開口数NAに大きく依存
する。すなわち、再生光波長と対物レンズの開口数が決
まるとビームウエストの径が決まるため、最短マーク長
はλ/2NA程度が再生可能な限界となってしまう。一方ト
ラック密度は、主として隣接トラック間のクロストーク
によって制限され、最短マーク長と同様に再生ビームの
スポット径に依存している。したがって、従来の光ディ
スクで高密度化を実現するためには、再生光学系のレー
ザー波長を短くするか、対物レンズの開口数NAを大きく
する必要がある。しかしながら、レーザーの波長を短く
するのは素子の効率、発熱などの問題で容易ではなく、
又、対物レンズの開口数を大きくするとレンズの加工が
困難になるだけでなく、レンズとディスクの距離が近づ
き過ぎてディスクと衝突する等の機械的問題が発生す
る。このため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫
し、記録密度を改善する技術が開発されている。例え
ば、特開平6-124500号公報に開示された光磁気記録媒体
では、再生光の光学的な分解能以上の記録密度を実現す
る超解像技術として、図19に示すような媒体構成が提案
されている。図19(a) は、超解像技術の一例である光デ
ィスクの断面図を示している。基板20は通常ガラスある
いはポリカーボネートの様な透明な材料であり、あらか
じめ同心円状又はらせん状の溝(グループ6)がついて
おりガイドトラックを形成している。記録情報はランド
および/またはグループに沿って記録する。基板20上に
干渉層43、第一の磁性層(以下再生層と称する)41、第
二の磁性層(以下メモリ層と称する)42、保護層44の順
に積層する。干渉層43はカー効果を高めるため、保護層
44は磁性層の保護のために用いられるものである。磁性
層中の矢印は、膜中の鉄族元素副格子磁化の向きを表
す。メモリ層42は例えばTbFeCoやDyFeCoなどの垂直磁気
異方性の大きい膜で、記録情報はこの層の磁化が膜面に
対して上向きか下向きかによって磁区を形成し、保持さ
れる。再生層41は飽和磁化Msが大きく垂直磁気異方性が
小さい材料で希土類元素副格子磁化優勢な組成で構成さ
れている。図20に再生層41の静特性の一例を示す。室温
では面内磁化膜だが温度の上昇と共に飽和磁化Msは次第
に減少していき、所定温度に達すると垂直磁気異方性Ku
と2πMs2 の大小関係が逆転するために垂直磁化膜とな
る。図20は再生層単体での静特性を示したが、メモリ層
42と積層した場合にはメモリ層42との交換結合力が働く
ためにより低い温度Tth で垂直磁化膜となり、又垂直磁
化膜となるときの再生層41の磁化の向きはメモリ層42と
交換結合した向きとなる。このような媒体構成のディス
クに基板20側から情報再生用の光を照射すると、データ
トラック中心での温度勾配は図19(c) に示すようにな
り、これを基板20側から見ると、図19(b) の様にスポッ
ト内にTth の等温線が存在することになる。すると、先
述のようにTth 以下の部分では再生層41は面内磁化膜と
なるため極カー効果には寄与せず(フロントマスク4 を
形成する)、メモリ層42に保持された記録磁区はマスク
されて見えなくなる。一方Tth 以上の部分は再生層41が
垂直磁化膜になり、且つ磁化の向きはメモリ層42からの
交換結合により記録情報と同じ向きとなる。結果とし
て、スポット2 の大きさに比べて小さいアパーチャ3 の
部分だけにメモリ層42の記録磁区が転写されるので、超
解像が実現する。又、特開平3-93058 号公報及び特開平
4-255946号公報に開示された超解像再生方法では、図21
に示すように再生層31、第三の磁性層(以下中間層と称
する)32とメモリ層33からなる媒体を用いる。情報再生
に先立って初期化磁界21により再生層31の磁化の向きを
一方向に揃えてメモリ層33の磁区情報をマスクした後に
光スポット2 を照射し、その際に生じる媒体の温度分布
のうち、低温領域では再生層31に初期化状態を維持させ
(フロントマスク4 を形成する)、中間層32のキュリー
温度Tc2 以上の高温領域では再生層31を再生磁界22の方
向に強制的に配向させ(リアマスク5 を形成する)、中
温領域のみでメモリ層33の磁区情報が転写されるように
して再生スポットの実効的な大きさを小さくすることに
より、光の回折限界以下の記録マーク1 を再生可能と
し、線密度の向上を図っている。
【0003】これらの公知の超解像方式では、低温領域
でのフロントマスク4 が隣接するトラックの方向にのび
ているために、線記録密度と同時にトラック密度の向上
をも試みている。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、特
開平6-124500号公報に開示された超解像再生方法ではフ
ロントマスク4 のみを用いるために、解像度を上げるた
めにマスクの領域を広げるとアパーチャ3 の位置がスポ
ット中心から外れてしまって信号品質が犠牲になるとい
う問題があった。又、特開平3-93058 号公報及び特開平
4-255946号公報に開示された方法では、信号品質を落と
さずに解像力を上げられる反面、情報再生に先立って再
生層31の磁化を一方向に揃えなければならず、そのため
の初期化磁石21を従来の装置に追加することが必要と
なる。
【0005】以上のように、従来の超解像再生方法は、
解像力が十分上げられなかったり、光磁気記録再生装置
が複雑化し、コストが高くなる、小型化が難しい等の問
題点を有している。
【0006】本発明は、このような問題点の解決を図る
ものとして、再生時に初期化磁界及び再生磁界を必要と
しない簡易な構成で、光の回折限界以下の記録マーク
を、高い信号品質で再生可能な光磁気記録媒体及び該媒
体を用いた光学的情報再生方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段(及び作用)】本発明の前
記目的は、少なくとも第一の磁性層と第三の磁性層と第
二の磁性層とを、上記の順に基板上に積層して成る光磁
気記録媒体に於いて、前記第一の磁性層と第三の磁性層
は室温で面内磁化膜であり、前記第一の磁性層はGdF
eCoを主体として構成され、以下を満足する Gdx(Fe100-yCoy)100-x、24≦x ≦32(原子% )、20≦y
≦50(原子% )、 前記第三の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
を満足する Gdp(Fe100-qCoq)100-p、25≦p ≦50(原子% )、0 ≦q
≦20(原子% )、 前記第二の磁性層は希土類−鉄族元素非晶質合金からな
る垂直磁化膜で、該第二の磁性層のキュリー温度は前記
第一の磁性層のキュリー温度よりも低く前記第三の磁性
層のキュリー温度よりも高くすることによって達成され
る。
【0008】又、少なくとも第一の磁性層と第三の磁性
層と第二の磁性層とを、上記の順に基板上に積層して成
る光磁気記録媒体であって、前記第一の磁性層と第三の
磁性層は室温で面内磁化膜であり、前記第一の磁性層は
GdFeCoを主体として構成され、以下を満足する Gdx(Fe100-yCoy)100-x、24≦x ≦32(原子% )、20≦y
≦50(原子% )、 前記第三の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
を満足する Gdp(Fe100-qCoq)100-p、25≦p ≦50(原子% )、0 ≦q
≦20(原子% )、 前記第二の磁性層は希土類−鉄族元素非晶質合金からな
る垂直磁化膜で、情報が蓄積されると共に前記第二の磁
性層のキュリー温度は前記第一の磁性層のキュリー温度
よりも低く前記第三の磁性層のキュリー温度よりも高い
光磁気記録媒体に光ビームを用いて記録された情報を再
生する情報再生方法において、前記第一の磁性層側から
光ビームを照射し、前記光ビームのスポット内の低温部
分における前記第一の磁性層を面内磁化膜のままとし、
前記スポット内の低温部分以外の部分で前記第一の磁性
層を垂直磁化膜として前記第二の磁性層と交換結合さ
せ、前記第一の磁性層に前記第二の磁性層に蓄積された
情報を転写し、前記光ビームの反射光を検出することに
より前記第二の磁性層に蓄積された情報の再生を行うこ
とによって達成される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明する。
【0010】図1は本実施例における光ディスクの断面
図を示す。図1に示すように、本実施例に用いる光ディ
スクでは、基板20上に干渉層14、第一の磁性層(以下再
生層と称する)11、第三の磁性層(以下中間層と称す
る)12、第二の磁性層(以下メモリ層と称する)13、保
護層15の順に積層している。基板20は通常ガラスあるい
はポリカーボネートの様な透明な材料が使われる。
【0011】これらの各層は、マグネトロンスパッタ装
置による連続スパッタリング、あるいは連続蒸着などに
よって被着形成できる。
【0012】干渉層14は磁気光学効果を高めるために設
けられ、例えばSi3N4 、AlN 、SiO2、SiO 、ZnS 、MgF2
などの透明な誘電体材料が用いられる。
【0013】保護層15は磁性層の保護のために用いられ
るもので、干渉層14と同様の材料が用いられる。
【0014】干渉層14及び保護層15は本発明の本質とは
無関係であるので、構成上省略しても差し支えなく、
又、ここでは詳細な説明は省略する。又、図1には示し
ていないが、膜の保護、あるいは磁界変調オーバーライ
ト用磁界ヘッドを用いるために、保護層15にさらに紫外
線硬化樹脂などのハードコート材を塗布しても良い。
【0015】再生層11は、メモリ層13に保持した磁化情
報の再生を担う層で室温においては面内磁化膜で、室温
とキュリー温度の間の所定温度以上で垂直磁化膜となる
磁化特性を備える。又、再生層11は、中間層12、メモリ
層13に比べて光の入射に近い側に位置し、再生時にカー
回転角が劣化しないようにキュリー温度は少なくとも中
間層12、メモリ層13より高い。再生層11は希土類−鉄族
元素非晶質合金で垂直磁気異方性が小さいもの、具体的
にはGdFeCoが望ましい。また、これに短波長でのカー回
転角を大きくするためにNd,Pr,Smなどの軽希土類金属を
添加してもよい。好ましくは、室温とキュリー温度の間
に補償温度があるものが望ましい。尚、この補償温度は
後述する中間層12のキュリー温度近傍、即ち、中間層12
のキュリー温度を基準として−50℃〜+100℃、よ
り望ましくは−20℃〜+80℃の範囲に設定される。
【0016】中間層12の設けられる目的は、以下の3つ
である。
【0017】(1)室温付近において、再生層11とメモ
リ層13の間の磁壁エネルギーを緩和し、再生層11が面内
磁化膜となるのを助ける。これは結果として再生層の膜
厚低減にも寄与する。
【0018】(2)所定温度以上に達すると再生層11と
ともに垂直磁化膜に遷移し、メモリ層13から再生層11へ
の交換結合を媒介する。
【0019】(3)中間層12のキュリー温度以上では、
再生層11とメモリ層13の間の交換結合を切断する。
【0020】これらの目的を達成するために、中間層12
は再生層11とメモリ層13の間に位置し、キュリー温度を
室温より高く、再生層11及びメモリ層13のキュリー温度
より低くする。中間層12のキュリー温度は、再生時の光
スポット内の中温部で再生層11にメモリ層13からの交換
結合力を媒介できる程度に大きく、最高温度部で交換結
合力を切断できる程度に小さく、具体的には100 ℃以上
で220 ℃以下が良く、より望ましくは120 ℃以上で180
℃以下が良い。中間層12の材料としては、例えば希土類
−鉄族非晶質合金、具体的にはGdFeCoが良い。又キュリ
ー温度を低減するためにCr,Al,Si,Cu などの非磁性元素
を添加しても良い。
【0021】メモリ層13は記録情報を保持する層で、1u
m 以下の微小な磁区を安定に保持できることが必要であ
る。メモリ層13の材料としては、垂直磁気異方性が大き
く安定に磁化状態が保持できるもの、例えばTbFeCo、Dy
FeCo,TbDyFeCo などの希土類−鉄族非晶質合金、ガーネ
ット、あるいは、白金族−鉄族周期構造膜、例えばPt/C
o 、Pd/Co 、また白金族−鉄族合金、例えばPtCo、PdCo
などであっても良い。
【0022】再生層11と中間層12とメモリ層13には、A
l,Ti,Pt,Nb,Crなどの耐食性改善のための元素添加を行
なっても良い。また、熱伝導性改良のためAl,AlTa,AlT
i,AlCr,Cuなどの熱伝導性の良い層を設けても良い。ま
た、光変調オーバーライトを行なうために磁化を一方向
に揃えた初期化層、交換結合力または静磁結合力を調節
するための記録補助、再生補助のための補助層を設けて
も良い。
【0023】本発明の光ディスクへのデータ信号の記録
は、媒体を移動させると同時に、一定方向の磁界を印加
しながらレーザパワーを変調して行う(光変調記録)
か、もしくはメモリ層13がキュリー温度Tc3 前後になる
ような一定のパワーのレーザ光を照射しながら外部磁界
を変調して行う(磁界変調記録)。前者の場合、光スポ
ット内の所定領域のみがTc3 になるようにレーザ光の強
度を調整すれば、光スポット径より小さい記録磁区が形
成でき、その結果光の回折限界以下の周期の信号を記録
する事が出来る。また後者の場合は磁界の変調周波数を
光スポットと媒体との相対速度(線速)に比較して高周
波にすることで、小さい記録磁区が形成できる。
【0024】また、後述のメカニズムから明らかなよう
に、本発明の超解像が安定して機能するためには、記録
マークの周囲の磁化がマークと逆の方向を向いている必
要がある。もっとも一般的な光変調記録では、まず一定
の磁界を印加した状態でレーザパワーをハイパワーで一
定とし、記録しようとするトラックの磁化を初期化(消
去動作)し、その後磁界の向きを反転した状態でレーザ
パワーを強度変調して所望の記録マークを形成する。そ
の時、記録マークの周囲に磁化の向きがランダムな部分
があると、再生の際ノイズの原因となるため、再生信号
品質を上げるためには記録マークよりも広い幅で消去し
ておくことが一般に行われている。したがって、記録さ
れた磁区の周囲の磁化は必ず磁区と逆を向いていること
になるため、本発明の超解像は従来の光変調記録のもと
では安定に動作する。
【0025】また、光変調記録のもう一つの方式とし
て、光変調オーバーライトがある。これは、特開昭62-1
75948 に記載されているような構成の媒体を用いるもの
で、記録に先立つ消去動作を必要としないものである。
この媒体は記録情報を保持するメモリ層の他に、記録に
先立って磁化が一方向に向けられている書き込み層を備
えている。この媒体に記録を行う場合には、書き込み層
とは逆向きの一定の磁界を印加しながら記録情報に応じ
てレーザ強度をPh,Pl (Ph>Pl )の間で変調する。媒体
がPhに相当する温度Thまで昇温すると、Thは書き込み
層のTcとほぼ等しく設定されているので、メモリ層と
書き込み層の磁化は外部磁界の方向を向いて磁区を形成
し、媒体がPl相当の温度Tlまでしか昇温しないとメモリ
層の磁化の向きは書き込み層と同じ向きとなる。このプ
ロセスはあらかじめ記録されていた磁区とは無関係に起
こる。ここで、媒体にPhのレーザを照射した時を考える
と、記録磁区を形成する部分はThに昇温しているが、こ
の時の温度分布は2次元的に広がった形となっているの
で、レーザをPhまで上げたとしても磁区の周囲には必ず
Tlまでしか昇温しない部分が生じる。したがって記録磁
区の周囲には反対向きの磁化を持った部分が存在するこ
とになる。すなわち、本発明の超解像は従来の光変調オ
ーバーライト記録のもとでも安定に動作する。
【0026】さらに別の記録方法として先述の磁界変調
記録が挙げられる。これは、レーザをハイパワーでDC照
射しながら外部磁界の向きを交番状に変化させるもので
あるが、前に記録されていた磁区の履歴を残さずに新た
な情報を記録するためには、磁区を形成する幅は常に一
定にしなければならない。したがって、この場合は何ら
かの処置を施さなければ記録磁区の周囲に磁化の向きが
ランダムな領域が存在してしまい、本発明の超解像は安
定に動作しないことになる。したがって、磁界変調記録
を行う場合には、媒体の出荷時あるいは一回目の記録に
先立って、通常の記録パワーよりも大きいパワーで記録
領域に対して初期化動作を行っておくか、ランド、グル
ーブの両方に対して全面的に磁化の初期化を行う必要が
ある。
【0027】図2は本発明の光ディスクにレーザ光を照
射しながら、向かって右にディスクが移動したときのス
ポットの様子及び各磁性層の磁化状態を示している。こ
の時ディスクはおよそ9m/s程度で移動しており、レーザ
照射による熱の蓄積があるために、膜温度が最大となる
位置はレーザスポットの中心よりも後ろ側になる。
【0028】まず、スポット2 の進行方向に対して前縁
側では、媒体の温度は室温からそれほど上がっていな
い。再生層11と中間層12の飽和磁化Msの温度依存性は例
えば図3、図4に示すようになっており、スポット中の
低温領域ではどちらの層も飽和磁化Msが大きく垂直磁気
異方性Kuが小さい。この時、再生層11の垂直磁気異方性
Ku1 、飽和磁化Ms1 、中間層12を介してメモリ層13から
の交換結合力によって再生層11の磁化を垂直方向に向け
るエネルギーをEw13とすると、 (数1)2πMs2>Ku+Ew13 が成り立つ場合には、再生層11の磁化は膜面内を向くこ
とになる。特に、中間層12の飽和磁化は再生層11よりも
さらに大きく面内異方性が強いので、垂直磁化膜である
メモリ層13と面内磁化膜である再生層11の間の界面磁壁
エネルギーを中間層12で吸収する作用がある。したがっ
て中間層12を入れることにより、中間層12がない場合
に比べて、再生層11の膜厚を薄くした場合でも磁化の
向きが膜面内になり、メモリ層13の磁化は転写されずに
フロントマスク4 を形成する。
【0029】次に、スポット2 の照射により媒体温度が
上がってくると、再生層11、中間層12の飽和磁化Msは次
第に小さくなっていく。特に本発明の場合、再生層11の
補償温度と中間層12のキュリー温度が共に200 ℃前後と
近い値になっているので、媒体の昇温に従ってどちらも
急激に飽和磁化が下がる。そこで、媒体が所定温度Tth
に到達し、 (数2)2πMs2<Ku+Ew13 になると、再生層11は垂直磁化膜となると同時にメモリ
層13と交換結合するので、メモリ層13に保持された磁区
が再生層11に転写されてアパーチャ3 を形成する。さら
に温度が上がって中間層12のキュリー温度Tc2 よりも高
くなると、再生層11とメモリ層13との間の交換結合力が
なくなる。この温度で再生層11は希土類元素副格子磁化
優勢であり、メモリ層13が鉄族元素副格子磁化優勢にな
るようにあらかじめ組成を調整しておく(すなわちアン
チパラレル)。すると、Tc2 以下の温度で再生層11に転
写されていた磁区は、磁区を保持していたメモリ層13か
らの交換結合力がなくなると同時に、メモリ層13からの
静磁結合力が逆の方向に加わることになる。また再生層
11も補償温度に近いために再生層11自身の反磁界の影響
も少ないので、メモリ層13から転写されていた再生層11
の磁区はブロッホ磁壁エネルギーに抗じきれずに収縮し
て反転してしまう。すなわち、スポット2 内において中
間層12のキュリー温度Tc2 以上に昇温した部分では、再
生層に磁区が存在できずに同一方向に揃ってしまう領域
が生じる。この部分がすなわちリアマスク5 である。こ
のリアマスクの形成過程は、各磁性層間の相互作用に関
するエネルギーのバランス変化から生じるものなので、
特に再生用に外部磁界を加えずともマスクが形成され
る。
【0030】このアパーチャ部からリアマスクに移る過
程での、再生層11に転写された磁区の振る舞いについて
さらに詳細に述べる。
【0031】図5 には、メモリ層13から転写された再生
層11の記録磁区(以下、単に記録磁区と称する)が、光
スポットが移動する際に高温領域で収縮する過程を示し
た平面図と断面図である。簡便のため図5 では1つの記
録磁区の収縮過程を図示している。また、図5 では磁性
材料に希土類鉄族フェリ磁性体を想定しており、白抜き
矢印30は全体の磁化を、黒矢印31は鉄族副格子磁化を示
し、再生層11はREリッチの磁性層、メモリ層13はTMリッ
チの磁性層を例として記載した。媒体の温度分布は熱伝
導度に限界があるため、光スポット中心から光スポット
の移動と反対方向にずれる。
【0032】図5 (a) は、記録磁区1 がアパーチャ領域
にある状態を示している。この記録磁区1 には、メモリ
層13からの交換結合力による実効的磁界Hwi以外に、
ブロッホ磁壁エネルギーによる実効的磁界Hwb、媒体
内部からの静磁界Hdが印加されている。Hwiは再生
層の記録磁区1 を安定に保持するように働くが、Hw
b、Hdは記録磁区を広げたり収縮させる方向に力が働
く。よって再生層11が安定的にメモリ層13の磁化を転写
するためには、記録磁区1 が高温領域5 に達するまで
に、(数3)の条件が必要である。
【0033】 (数3) |Hwb−Hd|<Hc1+Hwi (T<Th−mask) 再生層11の保磁力Hc1 は、メモリ層13からの交換結合
力によって、見かけ上大きくなるため、容易に(数3)
は成立し、安定的にメモリ層13の磁化情報を転写して正
確に記録情報を再生することが可能となる。
【0034】Hwiは、再生層11とメモリ層13の界面磁
壁エネルギーをσwi、再生層11の記録磁区1 の飽和磁化
をMs1、再生層の膜厚をh1とすると(数4)で表さ
れるが、さらに光スポット (数4) Hwi=σwi/2Ms1h1 が移動して高温領域5 に入ると、Hwiは中間層12のキ
ュリー温度付近に到達してσwiは急激に小さくなりHw
iは減少する。よって再生層11が本来の保磁力の小さい
状態に戻って(数5)となり、記録磁区1 のブロッホ磁
壁8 は容易に移動するようになる。
【0035】 (数5) |Hwb−Hd|>Hc1+Hwi (T>Th−mask) Hwbは再生層11のブロッホ磁壁エネルギーをσwb、再
生層11の記録磁区1 の半径をrとすると(数6)で表さ
れ、記録磁区1 を収縮させる方向に働く(図6)。
【0036】(数6)Hwb=σwb/2Ms1r よってHwbーHdが正(符号が+ )に優勢となって
(数7)となれば、記録磁区1 は収縮する。
【0037】 (数7)Hwb−Hd>Hc1+Hwi (T>Th−mask) こうして、図5 (b) に示すように記録磁区1 は高温領域
5 にはいると収縮して反転し、最終的に図5 (c) に示す
ように、磁化はすべて消去方向に配向する。
【0038】即ち、図2に示すように、光スポット2内
の高温領域5 においては、再生層11は常に消去方向に配
向した垂直磁化膜となるので、光学的なマスク(リアマ
スク5 )として機能する。よって図2に示したように光
スポット2 は、見かけ上、高温領域5 および低温の面内
磁化膜の領域(フロントマスク)を除いた狭い領域に絞
られることとなり、それ以外の領域では、アパーチャー
領域3 となり、検出限界以下の周期の記録磁区(記録マ
ーク)が検出可能となる。
【0039】なお、従来の超解像方法は、特開平4-2559
47に記載されているように外部磁界Hrを用いて(数
8)の関係によってマスクを形成する。
【0040】(数8)Hr>Hc1+Hwi 本発明では外部磁界Hrの代わりに媒体内部の実効的磁
界Hw−Hdの大きさを変化させることによってマスク
を形成するため外部磁界が不要となる。
【0041】次に、高温で実効的磁界Hw−Hdを正に
優勢とさせる、即ち、記録磁区1 を収縮させる方法につ
いてさらに具体的に述べる。(数7)のHdは周囲の消
去磁化からの漏洩磁界Hleak、メモリ層13の磁化か
らの静磁界Hstなどからなり(数9)で表される。
【0042】(数9) Hd=Hleak±Hst このうちHleakは図6 で示すように記録磁区1 を拡
大させる方向に働く。
【0043】高温領域で記録磁区1 をより容易に収縮さ
せる第1の方法は、Hleakを小さくして記録磁区1
の反転を妨げる磁界を減少させる方法である。Hlea
kは消失させる記録磁区周辺の再生層11の飽和磁化をM
s1”、記録磁区1 の半径をrとするとおおまかに(数
10)で表される。
【0044】 (数10)Hleak=4πMs1”h1/(h1+3/2r) (数10)のうち記録磁区半径rと再生層膜厚h1は、
容易には変更できないのでMs1”を小さくすることが
必要となる。このような場合、再生層に室温とキュリー
温度の間に補償温度のある材料を選択すればよい。補償
温度では磁化が小さくなるので、Hleakを小さくす
ることができる。
【0045】例として再生層11にGdFeCoを用いた
場合について述べる。図8 (a) 〜(c) は、それぞれ補償
温度の異なるGdFeCoのMsの温度依存性である
が、再生時の媒体上の最高温度は再生パワーによって異
なるが一般的に図に示した最高温度はおおよそ160〜
220℃に達し、中温領域はそれより20〜60℃程度
低い領域であるので図8 (b) ,図8 (c) のような場合に
はMs1”は大きい。このため、Hleakは大きくな
ってしまう。図8 (a) のように補償温度が室温とキュリ
ー温度の間にある組成を再生層11に用いると、中温およ
び高温領域のMsが低減してHdを減少させることがで
きる。GdFeCoを再生層11に用いた場合、補償温度
は図8のように特に希土類元素(Gd)の組成に強く依
存するので、主にGdFeCoを含む磁性層を再生層11
に用いた場合、Gd量を25〜35at%に設定するの
が望ましい。
【0046】第2の方法は、メモリ層13からの静磁界H
stを負に大きくして記録磁区1 の反転を促す方法であ
る。(数7)のうちHstは、交換結合領域から高温領
域に入った時点で再生層11とメモリ層13がパラレルタイ
プかアンチパラレルタイプかによって記録磁区1 が収縮
する方向に働くかそのまま保たれるように働くかが決ま
る。これは以下の理由による。
【0047】図7 に示したように交換結合力は交換力の
強いTM副格子磁化の向きにならい、静磁結合力は全体の
磁化の向きにならう。図7 (a) は再生層11がREリッチ
でメモリ層13がTMリッチであるアンチパラレルタイプ
を示しているが、この場合、中間層12がキュリー温度付
近に達して交換結合が切断するとメモリ層13との静磁結
合力によって記録磁区1 は磁化反転しようとする(Hs
tは負となる)。逆に図7 (b) に示したようにパラレル
タイプ(図では両層ともTMリッチの場合を示してい
る)の場合には静磁結合力は交換結合状態を持続する方
向に働く(Hstは正となる)。よって記録磁区1 を反
転させるためには、アンチパラレルタイプの構成にする
ことが望ましい。
【0048】具体的には、例えば再生層11とメモリ層13
をフェリ磁性として、優勢な副格子磁化の種類をお互い
に逆にすれば良い。例えば再生層11及びメモリ層13を希
土類(RE)鉄族(TM)元素合金から構成し、再生層
11が希土類元素副格子磁化優勢(REリッチ)な磁性層
で、メモリ層13が室温で鉄族元素副格子磁化優勢(TM
リッチ)の構成とする。尚このアンチパラレルの構成は
少なくとも記録磁区1が収縮する時点の温度(上述の中
温〜高温領域5 において)で達成されることが必要であ
る。
【0049】また、Hstの値は、円筒形磁区を想定し
記録磁区1 の半径、メモリ層13の磁区からの距離、メモ
リ層の磁化Ms2を用いて大まかに、計算することがで
きる(名古屋大学博士論文、1993.3月. ”希土類−鉄族
非晶質合金薄膜及びその複合膜の磁性と磁気光学効果に
関する研究”小林正のP40〜41参照)。Hstは、
メモリ層の飽和磁化Ms2に比例する(数11)。
【0050】(数11) Hst∝Ms2 そのため、Ms2は記録情報の安定性が悪化しない程
度、消去磁化が反転しない程度に大きくするのが望まし
い。
【0051】また上述のメモリ層13からの静磁界Hst
は、消去方向の磁化にも働く。しかし消去方向の磁化
は、Hstによって反転した場合、高温領域5 の広範囲
にわたって磁壁が形成されるため磁壁エネルギーが大き
く上昇する。したがって磁化反転せずに同じ消去方向の
磁化を保つ。このため高温領域5 においては常に消去方
向に磁化配向した領域が生成し、ここがリアマスク5 と
なる。消去磁化が反転した場合のブロッホ磁壁エネルギ
ーの実効的磁界Hwb’は、反転磁区半径をRとすると
(数12)で表される。
【0052】(数12)Hwb’=σwb/2Ms1R よって消去磁化がHstによって反転しない条件は(数
13)となる。
【0053】(数13)Hwb’>Hst 以上の記録磁区1 を容易に反転させて消去状態にする2
つの方法―Hleakを低減する方法及びHstを負に
大きくする方法―は、どちらか片方の方法のみを用いて
も良いが、2つの方法を併用する場合に最もよく超解像
効果を発揮する。以上のように本発明の光磁気記録媒体
を用いれば 再生時に外部磁界を印加せずに光スポット
の高温領域5 で一様な方向に磁化配向させることがで
き、メモリ層13の磁化を光学的にマスクすることができ
る。
【0054】以上説明したようなメカニズムにより、本
発明の光磁気記録媒体においては最も効率の良い超解
像、すなわち情報再生用スポットの中心付近のみが情報
再生に寄与するため高い再生信号品質が期待でき、また
さらに膜特性を最適化することでフロントマスクが形成
でき、隣接トラックからのクロストークにも強い超解像
方式が、外部磁界など従来の再生装置に新たな部品を加
えることなしに実現できるものである。
【0055】以下に実験例をもって本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
験例に限定されるものではない。
【0056】(実験例1)直流マグネトロンスパッタリ
ング装置に、Si、Gd、Tb、Fe、Coの各ターゲットを取り
付け、直径130mm のガラス基板及びピッチ1.6um のプリ
グルーブ付きポリカーボネイト基板をターゲットからの
距離が150mm になる位置に設置された基板ホルダーに固
定した後、1x10-5Pa以下の高真空になるまでチャンバー
内をクライオポンプで真空排気した。真空排気をしなが
らArガスを0.4Pa となるまでチャンバー内に導入した
後、SiN 干渉層を90nm、Gd28(Fe60Co40)72再生層を40n
m、Gd37Fe63中間層を10nm、Tb20(Fe80Co20)80メモリ層
を30nm、SiN 保護層を70nmを各々順々に成膜して図1の
構成の媒体を得た。各SiN 誘電体層成膜時には、Arガス
に加えてN2ガスを導入し、その混合比を調節しながら屈
折率が2.1 となるように反応性スパッタにより成膜し
た。Gd28(Fe60Co40)72再生層は、室温で希土類元素副格
子磁化優勢であり、飽和磁化Msは225emu/cc 、補償温度
は217 ℃、キュリー温度は300 ℃以上となる様に設定し
た。
【0057】Gd37Fe63中間層は、室温で希土類元素副格
子磁化優勢であり、飽和磁化Msは470emu/cc 、キュリー
温度は190 ℃となる様に設定した。
【0058】Tb20(Fe80Co20)80メモリ層は、室温で鉄族
元素副格子磁化優勢であり飽和磁化Msは250emu/cc 、キ
ュリー温度は270 ℃となる様に設定した。
【0059】この光磁気記録媒体に0.78umのマーク長の
磁区を記録した後、830nm の半導体レーザーにより光照
射しながら偏光顕微鏡で磁区観察を行なった。レーザー
パワーを上げると、あるレーザーパワーにおいては光ス
ポットの中心部(高温の領域)において記録磁区が収縮
して消去方向に磁化が配向することが確認された。
【0060】次にこの光磁気記録媒体を用いて、記録再
生特性を測定した。測定は、対物レンズのNA0.53、レー
ザー波長は780nm の光ヘッドを用い、線速9m/s、記録パ
ワーは10mWとした。初めに媒体の全面を消去した後に、
11.3MHz の周波数でレーザを変調して長さ0.40umのマー
クを記録しておき、再生パワーを0.8mW から4.4mW まで
変化させた時のC/N の変化を測定した。結果を図9に示
す。
【0061】本発明の光磁気記録媒体では、再生パワー
が1.0mW 以下の場合には媒体の温度が十分に上がらない
ので再生層の磁化はほぼ膜面内を向いている。従ってメ
モリ層に記録されたマークは再生層にマスクされてしま
うためにほとんどC/N が出ない。再生パワーを2.0〜2.8
mW 程度にまで上げると、再生スポット内に中温領域、
すなわちアパーチャが形成されてメモリ層の磁区が再生
層に転写されるためにC/N が上がっていく。この時のア
パーチャの形状は、図19に示した従来の面内膜を用いた
2 層構成の超解像とほぼ同様となり、超解像現象は起こ
っているがアパーチャの大きさと位置が最適になってい
ないために、C/N としては36dB程度しか得られない。更
に再生パワーを3.2〜4.0mW に上げると、スポット内で
中間層がキュリー温度に達する部分が現れ、すなわち、
リアマスクが形成される。するとアパーチャ形状は図2
に示したようにスポットに対して最適な形状となるの
で、C/N も45dBが得られた。再生パワーが4.0mW を越え
ると、最高温度がメモリ層のキュリー温度を超えてしま
うために記録データが破壊され、C/N は下がってしま
う。
【0062】次に、同じ媒体に対して記録時のレーザ変
調周波数を5.8 、9.0 、11.3、15MHz (それぞれマーク
長0.78、0.50、0.40、0.30umに相当する)と変化させ
て、C/N のマーク長依存性を調べた。結果を図10に示
す。図に示すように、本発明の記録媒体では良好な空間
周波数特性が得られた。
【0063】次に、隣接トラックとのクロストーク(以
下、クロストークと称する)の測定を行なった。これ
は、ランド、グルーブともに全面消去を行った後、ラン
ド部に上述の方法でマーク長0.78umの信号を記録してキ
ャリアレベル(これをCLとする)を測定した後、隣接グ
ルーブにトラッキングをかけた時のキャリアレベル(こ
れをCGとする)を測定し、それらの比CL/CG として表し
た。つまり、ランド、グルーブの両方にデータ記録する
ことを想定して実験を行っているので、実効的なトラッ
クピッチは0.8um である。この時の結果を図11に示す。
図から明らかなように、この媒体に対して最適な再生パ
ワーである3.2〜4.0mW の範囲でクロストークは-28dB
程度に抑えられており、本媒体が狭トラックピッチ化に
対しても効果があることを示している。
【0064】以上示したデータは全て初期化磁界、再生
磁界を印加せずに測定しており、従来の情報記録再生装
置と同様の装置で、高密度記録のマークについて良好な
結果が得られている。また、最適条件でのC/N 及び同じ
再生パワーでのクロストークを表1の実験例1にまとめ
る。
【0065】(実験例2)実験例1と同様の装置、方法
でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gdx(Fe
60Co40)100-x再生層を40nm、GdpFe100-p中間層を10nm、
Tb20(Fe80Co20)80メモリ層を30nm、SiN 保護層を70nmを
各々順々に成膜して図1と同様の構成の媒体を作成し
た。但し、今回は再生層、中間層各々のGd含有量x 、p
を様々に変化させて、各組成に対する特性の変化を調べ
た。
【0066】実験例1と同じ条件で各サンプルに長さ0.
40umのマークを記録したときの、再生層中のGd含有量x
(at%)とC/N の関係を図12に示す。例えば中間層のGd含
有量p(at%)が30の時のカーブを見てみると、x=30付近で
極大値を持つ上に凸のカーブとなっている。これは、x
が小さいと再生層の飽和磁化Msが小さくなるので再生層
の面内異方性が小さくなり、すなわちメモリ層との交換
結合によって磁化が垂直になる温度が低くなるためにフ
ロントマスクの効果が薄れ、C/N が下がると考えられ
る。逆にx が大きすぎると、フロントマスクが強すぎて
アパーチャが十分に開かない内に中間層がキュリー温度
に達してしまうため、やはりC/N は悪化する。フロント
マスクの効果は、再生層、中間層それぞれの面内異方性
のバランス関係で決まり、再生層の面内異方性が弱くな
ると中間層の面内異方性を強くしなければならない。つ
まり、中間層のGd含有量p が大きくなると、x の最適値
は小さくなる。したがって、図12に示すようにp の変化
によってC/N のピーク位置がシフトしていく。後で述べ
るように、面内磁化膜を使った従来の2 層構成の超解像
媒体においては、0.40umのマーク長に対して37dB程度の
C/N が得られているので、これと比較すると本発明の媒
体により優れた超解像効果が得られていることが分か
る。情報再生の高信頼性を確保するためには、C/N は43
dB以上得られることが必要であるので、本発明の超解像
媒体における再生層中のGd含有量x(at%)は、24≦x ≦32
の範囲にあるといえる。また、さらに高い信頼性を確保
するためには45dB程度のC/N が得られることが望まし
く、その為には26≦x ≦30の範囲に設定することがより
望ましい。
【0067】次に、本実験例における各媒体について実
験1と同様の方法でクロストークの測定を行った。結果
を図13に示す。例えば中間層のGd含有量p(at%)が30の時
のカーブを見てみると、x=30付近で極大値を持つ下に凸
のカーブとなっている。これは、同じ中間層組成に対し
て、x が大きいと再生層の面内異方性が大きすぎてフロ
ントマスクの効果が強すぎ、ランドでのキャリアレベル
が上がらないためにグルーブで再生した時との差が出に
くく、逆にx が小さいときはフロントマスクの効果が小
さくなってグルーブ再生時にクロストークの影響を受け
やすくなるからである。したがってクロストークに関し
ても両者のバランスがもっとも取れたところに最適値が
存在する。後述のように、TbFeCo単層ディスクに対して
同様の実験を行うと-22dB 程度のクロストークとなるこ
とを鑑みると、x≧24の時に本発明の超解像媒体におけ
るフロントマスクの効果が現れる。これはすなわち先述
の、C/N の観点から見た、再生層の最適Gd含有量x(at%)
の範囲では、フロントマスクが形成されており、クロス
トークに対しても効果を発揮するといってよい。
【0068】次に、同じデータを中間層Gd含有量p(at%)
に関する依存性の形にして図10、11に示す。
【0069】図14はC/N のデータで、図12と同様に上に
凸のカーブとなっている。これは、中間層Gd含有量が少
ない場合には面内異方性が小さいと同時にキュリー温度
が高くなるので中間層がキュリー温度に達するまで再生
パワーを増大させるとスポット中にアパーチャが広がり
すぎて解像度が上がらなくなり、逆に中間層Gd含有量が
多い場合には低パワーで中間層がキュリー温度に達し、
メモリ層との交換結合が十分に行われないことによる。
再生層Gd含有量依存性の場合と同様に、情報再生の高信
頼性を確保するために、C/N は43dB以上得られる範囲を
考えると、本発明の光磁気記録媒体による効果が得られ
るのは20≦p ≦50の範囲にあるといえる。また、さらに
高い信頼性のために45dB程度のC/N を確保するためには
30≦p ≦45の範囲がより望ましい。
【0070】しかし、図15のクロストークのデータをみ
ると、中間層Gd含有量に対してクロストークは大きく変
化していることがわかる。これは中間層Gd含有量が、面
内異方性及び再生パワーの双方の低下に影響することか
ら、フロントマスクの効果に対して大きく影響している
ことによる。図15の結果によると、C/N43dB 以上が得ら
れている組成で必ずしもクロストークが改善されている
わけではなく、TbFeCo単層ディスクで得られる-22dB を
基準にすると、p≧25のときにフロントマスクの効果が
得られている。
【0071】以上の結果から、本発明の中間層のGd含有
量p(at%)は25≦x ≦50に設定するのがよく、より望まし
くは30≦x ≦45にするのがよい。また、本実験例で得ら
れたデータの一部を表1に記す。
【0072】また、本実験例は比較のためにすべてのサ
ンプルで再生層、中間層の膜厚をそれぞれ40nm,10nm と
して実験を行ったが、再生層のマスク効果を考えると、
再生層膜厚は20nm以上あれば差し支えない。また中間層
はキュリー温度以上で再生層、メモリ層の交換結合を切
断する働きから鑑みて、膜厚は3nm 以上あればよい。さ
らにメモリ層は、安定に磁区が保存されるために10nm以
上の膜厚が得られれば本発明の効果を実現する媒体が得
られる。逆に、情報の記録再生に必要なパワーから見る
と、磁性層全体の膜厚は200nm 以下に抑えることが望ま
しい。
【0073】従って、膜厚に関しては以上に述べた範囲
にあれば、本発明の思想から逸脱するものではない。
【0074】(実験例3)実験例1と同様の装置、方法
でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gdx(Fe
100-yCoy)100-x再生層を40nm、GdpFe100-p中間層を10n
m、Tb20(Fe80Co20)80メモリ層を30nm、SiN 保護層を70n
mを各々順々に成膜して図1と同様の構成の媒体を作成
した。但し、今回は実験例2で得られた再生層、中間層
各々のGd含有量x,p に対して再生層のCo含有量y(at%)を
様々に変化させた。
【0075】GdFeCo合金におけるCo含有量は様々な物性
値に影響を与えるが、この場合影響が大きい項目は垂直
磁気異方性Ku及びキュリー温度Tcである。本発明におけ
る再生層の役割としては、すでに述べたマスク効果のほ
かに、アパーチャ部分でのカー効果を高めるという働き
がある。つまり、垂直磁化膜に偏光ビームを照射したと
きに得られるカー回転角は一般的にキュリー温度が高い
材料の方が大きく、再生信号の品位が高いので、再生層
の組成としてはある程度キュリー温度を高めに設定して
おくことが望ましい。GdFeCo合金内でCo量を減らすとキ
ュリー温度は下がる傾向にあるために、再生層にはある
程度のCoを添加することが望まれる。本実験例では再生
層にGd24(Fe80Co20)76を用いた。結果は表1に示すとお
り、0.40umのマークに対しても42dBのC/N が得られ、本
発明の効果があることが確認できた。しかし、再生層の
Co含有量を19at% 以下にまで減少させると、キュリー温
度の低下によりC/N が39dBまで低下した。
【0076】一方、再生層のCo含有量が多すぎると、垂
直磁気異方性の低下により、レーザによって加熱しても
再生層が垂直磁化膜に遷移しにくくなり、すなわちメモ
リ層との交換結合が弱くなるのでC/N は低下する。再生
層にGd32(Fe50Co50)68を用いた時の結果を表1に示す。
このように、0.40umのマークに対しても42dBのC/N が得
られた。しかし、再生層のCo含有量を51at% 以上にまで
増加させると、アパーチャ部分での交換結合が十分に行
われないことによりC/N が38dBまで低下した。
【0077】以上の結果から、本発明における再生層の
Co含有量y(at%)は20≦y ≦50に設定するのがよい。
【0078】(実験例4)実験例1と同様の装置、方法
でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gdx(Fe
100-yCoy)100-x再生層を40nm、Gdp(Fe100-qCoq)100-p
間層を10nm、Tb20(Fe80Co20)80メモリ層を30nm、SiN 保
護層を70nmを各々順々に成膜して図1と同様の構成の媒
体を作成した。但し、今回は実験例2、3で得られた再
生層、中間層各々のGd含有量x,p 、Co含有量y に対して
中間層のCo含有量q(at%)を様々に変化させた。
【0079】中間層のCo含有量はキュリー温度に関係
し、それは媒体に対する再生パワーを決定する重要な要
因の一つである。例えば線速が9m/sの時に再生パワーが
4mW 以上であるとすると、パワーマージンの関係からデ
ータの消去に必要なレーザパワーは7mW 以上が要求され
る。さらに光変調記録時はレーザはパルス点灯であるの
で記録パワーは13mW程度必要となりドライブ装置の信頼
性が著しく制限される。従って情報再生時のレーザパワ
ーは4mW 以下、望ましくは3mW 以下がよい。そのために
は中間層のキュリー温度は220 ℃以下でなければならな
い。
【0080】表1に示したデータは中間層にGd45(Fe80C
o20)55を用いた場合である。中間層のCo含有量が20at%
の時キュリー温度は220 ℃となり、信頼性の高い情報再
生が可能である。しかし、Co含有量が20at% を越えると
再生パワーが高くなり、ドライブ装置の信頼性が著しく
損なわれる。
【0081】本実験例では中間層にGdFeCoを用いた場合
について説明しているが、キュリー温度だけを考えるな
らば、耐食性向上の目的でAl,Cr などの非磁性元素を添
加することでキュリー温度が下がるので、Coを20at% 以
上添加した場合でも非磁性元素の添加により同等のキュ
リー温度が得られる。しかしこの場合、非磁性元素の添
加により全体として磁性体としての性質が損なわれるこ
とになり、かつCoの添加により垂直磁気異方性が下がる
ことになるので、アパーチャ部分でのメモリ層との交換
結合が弱くなりS/N の良い再生信号が得られにくくな
る。以上のことから、本発明における中間層はGdp(Fe
100-qCoq)100-pを主成分とし、さらに他の元素を添加し
た場合であってもCo含有量q(at%)は0 ≦q ≦20に設定す
るのがよい。
【0082】(実験例5)次に実験例1と同様の装置、
方法でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gd
x(Fe100-yCoy)100-x再生層を40nm、Gdp(Fe100-qCoq)
100-p中間層を10nm、Tba(Fe100-bCob)100-aメモリ層を3
0nm、SiN 保護層を70nmを各々順々に成膜して図1と同
様の構成の媒体を作成した。但し、今回は実験例2、
3、4で得られた再生層、中間層各々のGd含有量x,p 、
Co含有量y,q に対してメモリ層のTb含有量a(at%)、Co含
有量b(at%)を様々に変化させた。
【0083】図16は、メモリ層のTb含有量a(at%)とC/N
の関係とを示している(マーク長0.40um)。但し、この
時のメモリ層のCo含有量b(at%)は、キュリー温度がほぼ
270℃で一定になるようにTb含有量に応じて変化させて
いる。
【0084】図からわかるように、C/N から見たメモリ
層の組成マージンは十分に広く、18≦a ≦31の範囲でほ
ぼ一定のC/N が得られている。Tb含有量a が18at% 以下
になると、飽和磁化が250emu/cc 以上(鉄族元素副格子
磁化優勢)となるために反磁界の影響が強くなり、磁区
の内部でさらに微小な磁区(マイクロドメイン)が形成
されたり、磁区の形状に歪みを生じてノイズ成分が増え
るためにC/N が悪化する。逆にTb含有量a が31at% 以上
になると、飽和磁化が200emu/cc 以上(希土類元素副格
子磁化優勢)で且つ補償温度が200 ℃以上となる。この
場合、メモリ層の補償温度が中間層のキュリー温度より
も高くなるために、再生層との交換結合が切断された温
度でのメモリ層は希土類元素副格子磁化優勢である。す
ると、メモリ層から再生層に対して働く静磁結合力は低
温での交換結合力と同じ向きとなるので、再生層に転写
された磁区がリアマスクで反転するのを阻害する方向に
働く。したがって超解像効果が次に薄れていきC/N は低
下していく。
【0085】図16の結果と、従来の面内磁化膜を使った
2 層構成の超解像の行える光磁気記録媒体でのデータを
比較すると、本発明の光磁気記録媒体による効果が得ら
れるのは14≦a ≦33の範囲にあるといえる。また、信頼
性向上のために42dB以上のC/N を確保するためには16≦
a ≦32の範囲がより望ましい。さらにまた、組成マージ
ンから見て安定したC/N が得られるためには18≦a ≦31
の範囲がより望ましい。
【0086】(実験例6)次に実験例1と同様の装置、
方法でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gd
x(Fe100-yCoy)100-x再生層を40nm、Gdp(Fe100-qCoq)
100-p中間層を10nm、Tba(Fe100-bCob)100-aメモリ層を3
0nm、SiN 保護層を70nmを各々順々に成膜して図1と同
様の構成の媒体を作成した。但し、今回は実験例2、
3、4、5で得られた再生層、中間層各々のGd含有量x,
p 、Co含有量y,q 、メモリ層のTb含有量aに対してメモ
リ層のCo含有量b(at%)を様々に変化させた。結果の一例
を表1に示す。
【0087】メモリ層のCo含有量はキュリー温度に関係
し、これはすなわち記録時のレーザパワーを決定する重
要なパラメータである。また、媒体上での情報の保存安
定性を考えるとメモリ層のキュリー温度はある程度高温
である必要がある。これらのことからメモリ層のキュリ
ー温度は180〜280 ℃程度が望ましい。したがって、実
験例5で述べたTb含有量の範囲でこのキュリー温度を確
保するためには、Co含有量b(at%)は14≦b ≦45に設定す
るのがよい。
【0088】(実験例7)次に実験例1と同様の装置、
方法でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gd
28(Fe60Co40)72再生層を40nm、Gd37Fe63中間層を10nm、
Tb20(Fe80Co20)80メモリ層を30nm、SiN 保護層を70nmを
各々順々に成膜し、さらに熱特性を改善するためにAlの
放熱層を60nm成膜して図17に示す構成の媒体を作成し
た。放熱層を加えることにより、熱特性の線速依存性が
改善されることはすでに知られており、本発明において
も放熱層を追加すると記録、再生パワーの線速依存性が
改善される。
【0089】この効果は実験例1〜6 で述べた光変調記
録でも得られるが、磁界変調記録方式でも同様の効果が
得られる。また磁界変調記録の場合、記録時の媒体の温
度分布形状に従って記録マークの形が弓状(いわゆる矢
羽マーク)になることが知られており、放熱層をつけた
場合にはマークの円弧の部分の曲率が低減されるという
効果がある。
【0090】本実験例の媒体に磁界変調記録を行った場
合のキャリア、ノイズの記録パワー依存性を図18に示
す。このように、本実験例によれば磁界変調記録を行っ
た場合でも微小なマーク(0.40um)に対しても44dBとい
う良好なC/N が得られ、本発明の目的である超解像の効
果を発揮できることがわかった。
【0091】(実験例8)実験例1と同様の装置、方法
でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gd28(F
e60Co40)72再生層を40nm、Gd37Fe63中間層を10nm、Dy25
(Fe70Co30)75メモリ層を30nm、SiN 保護層を70nmを各々
順々に成膜して図1と同様の構成の媒体を作成した。
【0092】本実験例ではメモリ層としてTbFeCoの代わ
りにDyFeCoを用いたが、C/N 、クロストークともに実験
1とほぼ同様の良好な結果が得られ、本発明の主旨はTb
FeCoメモリ層に限定されないことを確認した。
【0093】次に、本発明の効果をより明確にするた
め、従来知られていた媒体構成で同様の実験を行い比較
を行った。
【0094】(比較実験例1)実験例1と同様の装置、
方法でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Tb
20(Fe80Co20)80メモリ層を80nm、SiN 護層を70nmを各々
順々に成膜した。つまり、実験例1で用いたメモリ層の
みを磁性層とした単層ディスクを作成した。まず、本実
験例で作成した媒体にマーク長0.40umのマークを記録
し、キャリア、ノイズの再生パワー依存性を測定した。
結果を図9 に示す。このように、再生パワーの増加に従
ってキャリアレベルは増加していくものの、本発明の媒
体で見られたようなマスク効果が得られないために傾斜
は緩やかである。
【0095】次に本実験例の媒体に様々な大きさのマー
クを記録して、空間周波数特性を測定した。結果は図10
に示すように、マーク長が0.78umと大きいときには十分
なC/N が得られているのに対し、光学系のカットオフ周
波数を超えると急激に解像力が低下していくことがわか
る。
【0096】また、クロストークの測定でも、実効的ト
ラックピッチ0.8um では再生スポットに対して狭い上
に、単層ディスクの場合にはマスク効果がないために、
図11に示すように-22dB 程度のクロストークしか得られ
なかった。
【0097】(比較実験例2)実験例1と同様の装置、
方法でポリカーボネイト基板上にSiN 干渉層を90nm、Gd
28(Fe60Co40)72再生層を70nm、Tb20(Fe80Co20)80メモリ
層を30nm、SiN 保護層を70nmを各々順々に成膜して図19
と同様の構成の媒体を作成した。
【0098】まず、本実験例で作成した媒体にマーク長
0.40umのマークを記録し、キャリア、ノイズの再生パワ
ー依存性を測定した。結果を図9 に示す。このように、
本実験例の媒体でも低温で面内磁化膜を用いることによ
る超解像効果があるので、再生パワーが0.8〜2.8mW の
範囲では実験例1の媒体と同様にキャリアレベルが増加
していく。しかし、本実験例の2層構成超解像媒体で
は、さらに再生パワーを3mW 以上に増加してもリアマス
クが出現することはないので、実験例1の媒体のような
急激なキャリアの増加は見られない。
【0099】次に本実験例の媒体に様々な大きさのマー
クを記録して、空間周波数特性を測定した。結果は図10
に示すように、単層ディスクに比べると高周波域での解
像度は上がっているものの、リアマスクの効果がなく又
アパーチャとスポットとの位置関係が最適になっていな
いために、実験例1のディスクに比べると解像力は劣っ
ている。
【0100】しかし、クロストークに関しては、フロン
トマスクが大きく影響しリアマスクは関係しない。した
がって、図11に示すように実験例1の媒体と同等の-30d
B 程度のクロストークが得られた。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の光
磁気記録媒体及び該媒体の情報再生方法を用いれば、再
生磁界および/または初期化磁界が不要である簡素な装
置(従来と同様の装置)を用いて、ビームスポット系よ
り小さい磁区の再生が可能で、線記録密度もしくは線密
度とトラック密度の両方を大幅に向上して高密度記録の
達成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成図。
【図2】本発明における超解像のメカニズムを説明する
図。
【図3】本発明の第一磁性層の飽和磁化曲線を示す図。
【図4】本発明の第三磁性層の飽和磁化曲線を示す図。
【図5】(a)(b)(c)は本発明の光磁気記録媒体の再生時
の状態を示す図。
【図6】再生層に転写された記録磁区にかかる静磁界H
leak,Hst及びブロッホ磁壁エネルギーによる実
効的磁界Hwbを示した図。
【図7】(a) はアンチパラレルタイプの層構成について
各々交換結合力及び静磁結合力が支配的に作用する場合
に安定な磁化の向きを示した図、(b) はパラレルタイプ
の層構成について各々交換結合力、静磁結合力が支配的
に作用する場合に安定な磁化の向きを示した図。
【図8】(a)(b)(c)は磁化の温度変化を補償温度の異な
るGdFeCoについて示した図。
【図9】キャリア、ノイズの再生パワー依存性を示す
図。
【図10】C/N のマーク長依存性を示す図。
【図11】クロストークの再生パワー依存性を示す図。
【図12】本発明におけるC/N の再生層Gd含有量依存性
を示す図。
【図13】本発明におけるクロストークの再生層Gd含有
量依存性を示す図。
【図14】本発明におけるC/N の中間層Gd含有量依存性
を示す図。
【図15】本発明におけるクロストークの中間層Gd含有
量依存性を示す図。
【図16】本発明におけるC/N のメモリ層Tb含有量依存
性を示す図。
【図17】本発明の他の実施例の構成図。
【図18】本発明の媒体に磁界変調記録を行ったときの
キャリア、ノイズの記録パワー依存性を示す図。
【図19】(a)(b)(c)は従来の面内磁化膜を用いた2層
構成超解像の原理図。
【図20】従来の面内磁化膜を用いた2層構成超解像の
一磁性層の静特性を示す図。
【図21】(a)(b)(c)は従来の垂直磁化膜を用いた3層
構成超解像の原理図。
【符号の説明】
1 記録マーク 2 再生スポット 3 アパーチャ 4 フロントマスク 5 リアマスク 6 グルーブ 7 ランド 11 再生層 12 中間層 13 メモリ層 14 干渉層 15 保護層 16 放熱層 20 基板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも第一の磁性層と第三の磁性層
    と第二の磁性層とを、上記の順に基板上に積層して成る
    光磁気記録媒体に於いて、 前記第一の磁性層と第三の磁性層は室温で面内磁化膜で
    あり、 前記第一の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
    を満足する Gdx(Fe100-yCoy)100-x、24≦x ≦32(原子% )、20≦y
    ≦50(原子% )、 前記第三の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
    を満足する Gdp(Fe100-qCoq)100-p、25≦p ≦50(原子% )、0 ≦q
    ≦20(原子% )、 前記第二の磁性層は希土類−鉄族元素非晶質合金からな
    る垂直磁化膜で、該第二の磁性層のキュリー温度は前記
    第一の磁性層のキュリー温度よりも低く前記第三の磁性
    層のキュリー温度よりも高いことを特徴とする光磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記第一、第二、第三の磁性層は、室温と第三磁性層の
    キュリー温度の間の温度で交換結合すると共に前記第一
    の磁性層の磁化は、前記第三の磁性層のキュリー温度以
    上では一方向に揃えられる。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記第二の磁性層はTbFeCoを主体として構成され、以下
    を満足する Tba(Fe100-bCob)100-a、14≦a ≦33(原子% )、14≦b
    ≦45(原子% )。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記第二の磁性層はDyFeCoを主体として構成されてな
    る。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 前記第一の磁性層は補償温度を有し、前記補償温度は前
    記第三の磁性層のキュリー温度近傍にある。
  6. 【請求項6】 少なくとも第一の磁性層と第三の磁性層
    と第二の磁性層とを、上記の順に基板上に積層して成る
    光磁気記録媒体であって、 前記第一の磁性層と第三の磁性層は室温で面内磁化膜で
    あり、 前記第一の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
    を満足する Gdx(Fe100-yCoy)100-x、24≦x ≦32(原子% )、20≦y
    ≦50(原子% )、 前記第三の磁性層はGdFeCoを主体として構成され、以下
    を満足する Gdp(Fe100-qCoq)100-p、25≦p ≦50(原子% )、0 ≦q
    ≦20(原子% )、 前記第二の磁性層は希土類−鉄族元素非晶質合金からな
    る垂直磁化膜で、情報が蓄積されると共に前記第二の磁
    性層のキュリー温度は前記第一の磁性層のキュリー温度
    よりも低く前記第三の磁性層のキュリー温度よりも高い
    光磁気記録媒体に光ビームを用いて記録された情報を再
    生する情報再生方法において、 前記第一の磁性層側から光ビームを照射し、前記光ビー
    ムのスポット内の低温部分における前記第一の磁性層を
    面内磁化膜のままとし、前記スポット内の低温部分以外
    の部分で前記第一の磁性層を垂直磁化膜として前記第二
    の磁性層と交換結合させ、前記第一の磁性層に前記第二
    の磁性層に蓄積された情報を転写し、前記光ビームの反
    射光を検出することにより前記第二の磁性層に蓄積され
    た情報の再生を行うことを特徴とする情報再生方法。
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