JPH07330531A - 歯周病治療材の製造方法 - Google Patents

歯周病治療材の製造方法

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JPH07330531A
JPH07330531A JP6145619A JP14561994A JPH07330531A JP H07330531 A JPH07330531 A JP H07330531A JP 6145619 A JP6145619 A JP 6145619A JP 14561994 A JP14561994 A JP 14561994A JP H07330531 A JPH07330531 A JP H07330531A
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gelatin film
periodontal disease
water
cross
cementitious
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JP6145619A
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Teruo Makita
輝夫 牧田
Etsuo Yoshikawa
悦雄 吉川
Tomoki Nakanishi
知己 中西
Naho Michie
奈保 道江
Akira Yamaoka
昭 山岡
Kazuaki Nishimura
和晃 西村
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】架橋ゼラチン膜の表面にセメント質粒子の水中
懸濁液を散布し、これを減圧下に置くことによってセメ
ント質粒子を架橋ゼラチン膜の表面及び/または内部に
沈着させた後、凍結乾燥を行い、次いで滅菌処理を行う
ことを特徴とする歯周病治療材の製造方法。 【効果】本発明の製造法により、セメント質粒子の脱落
がなく、保存安定性が良好で、細菌汚染のない歯科材料
が得られ、性能が安定しかつ治療に安全な歯周病治療材
の製造が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋ゼラチン膜とセメン
ト質粒子とよりなる歯周病治療材の製造方法に関する。
本発明の方法により製造される歯周病治療材は、歯周病
の治療、特に、歯周組織の再生、咬合機能の回復を目的
とする歯周外科手術において使用される。
【0002】
【従来の技術】歯周病とは、歯垢(細菌の塊)が歯の支
持組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)すなわち歯周組織を破
壊する炎症性疾患であり、歯科領域において齲蝕と並ん
で二大疾患と言われている。近年、齲蝕は治療、予防の
進歩及び食生活の変化等により減少の一途をたどってい
るが、歯周病は老齢化社会の進行に伴い、益々増加傾向
を強めている。そのため近年の歯科医療においては歯周
病の治療が最も重要な課題といわれている。
【0003】歯周病では、その初期において歯と歯肉間
の連結組織(歯根膜)が破壊され、ポケットが形成され
る。そしてポケットが拡大するにつれ歯槽骨までが破壊
吸収され、最終的には自然脱落により歯が喪失する。歯
周病の内、中度以上のものは外科的手法によって歯の歯
周組織を再構築する必要がある。その目的は歯周ポケッ
トの除去のみならず、歯周病によって破壊された歯周組
織の再生にある。現在行われている代表的な手術法は歯
肉剥離掻爬術であるが、これによる治癒形態では新生セ
メント質を伴った歯周組織の再生(新付着)が根尖部に
限局され、殆どが上皮性の付着、あるいはセメント質を
伴わない結合組織性付着で、真の再生とは程遠いもので
ある。このような背景から近年、歯周組織の理想的な再
生を目標とする歯周病の治療法が種々提案されている。
【0004】特に注目を受けているのがGTR法であ
る。GTR法とは上皮や歯肉組織の歯根面上への進入を
物理的に排除することにより、セメント質形成を担うと
考えられる歯根膜由来細胞の増殖をはかり、新付着を得
るのを目的とするものである。この方法は、アメリカ、
スウェーデンに続き、近年、日本でも臨床に応用され始
めている。GTR法はその有用性を示す動物実験、臨床
データが発表されている反面、この方法の基礎となる概
念に疑問が生じていること、膜の取扱い、並びに術中管
理が難しいこと、術後付着が完了するまでに長期間(2
〜3ケ月)を要すること、歯槽骨側からの血液の供給不
足による歯肉の壊死や、術後の管理不十分による細菌汚
染を引き起こす危険性があること、さらには有用性その
ものを否定するデータが発表されてきたことにより、歯
科医の信頼を十分に得ていないのが現状である。
【0005】一方、歯周組織の再生を目的とした成長因
子の研究も広く行われている。代表的な成長因子として
は、TGF−β(Transforming grow
thfactor−β)、IGFーI(Insulin
like growthfactor−I)、PDG
F(Platelet−derived growth
factor)、b−FGF(basic fibr
oblast growth factor)、EGF
(Epidermal growth factor)
等がある。これらの成長因子は分離、精製等の困難な問
題も多く、さらに、これらを使用しても新生セメント質
を伴った歯周組織の理想的な再生が起こるとは報告され
ていない。
【0006】また、セメント質から抽出、分画した幾つ
かの蛋白質画分が、線維芽細胞等に対して活性を有し、
歯周組織の形成や再生に関与していると報告されている
(McAllister B.等、J.Periodo
nt Res.,25巻,99−105頁,1990年
参照)が、これら蛋白質画分に歯周組織の理想的な再生
効果があるとの報告は無い。
【0007】一方、生体吸収性膜と種々の生理活性物質
とよりなる複合体の歯周病治療への応用も提案されてい
る(特公平1ー18744、特公平5ー75425、特
公平5ー55149、特開昭62ー223115、特公
平4ー18865、特開昭63ー272355および特
開平2ー156954参照)が、これら複合体はいずれ
も生体吸収性膜と主に単離された生理活性物質とよりな
る複合体であって、生体吸収性膜とセメント質とよりな
る複合体に関するものではない。そしてこれら複合体に
ついても、新生セメント質の形成を伴なう歯周組織の再
生効果は確認されていない。
【0008】他方、本発明者等(本発明者6名中の3名
と本発明者以外の2名)は、架橋ゼラチン膜と牛セメン
ト質粒子とよりなる複合化膜(すなわち、歯周病治療
材)を歯肉剥離掻爬術後のルートプレーニングを施した
露出根面に適用すると、新生セメント質の形成を伴う歯
周組織の再生に有用であることを見出し、第35回日本
歯周病学会秋季総会で報告し、その製造方法についても
簡単に報告している(日本歯周病学会会誌、第34巻、
秋季特別号、108頁参照)。なお、架橋ゼラチン膜に
関しては特開平4ー135483に二層性の架橋ゼラチ
ン膜及びその製造方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記歯
周病学会で報告の製造法によって製造された歯周病治療
材では、例えばセメント質粒子の脱落、保存中の変質、
細菌汚染等の問題点があり、この製造法では性能が安定
し、安全に使用し得る歯周病治療材の供給が困難であっ
た。本発明の目的は歯周病治療材のかかる課題を解決す
る有用な製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、架橋ゼラチン膜の表面にセメント質粒子の水中
懸濁液を散布し、これを減圧下に置くことによってセメ
ント質粒子をゼラチン膜の表面及び/または内部に沈着
させた後、凍結乾燥を行い、次いで滅菌処理を行うこと
によって、前記課題が解決できることを見いだし本発明
を完成した。以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】さて、セメント質は、動物の種類によって
その厚さは異なるが、動物の歯根の表面を覆っている厚
さ0.02〜0.5mmの骨に類似の硬組織であって、
その組織構造の差によって、無細胞セメント質、細胞セ
メント質、セメント前質およびセメント芽細胞に分類さ
れている。本発明には、セメント質の起源(動物種)お
よびその組織構造を問わずすべてのセメント質が使用可
能であるが、その起源については、ヒト由来のセメント
質および入手の容易なウシ、ブタ等の哺乳動物由来のセ
メント質が好適に使用できる。組織構造的には、特に無
細胞セメント質及び/または細胞セメント質が好適に使
用できる。
【0012】本発明に用いるセメント質粒子の形状につ
いては特に限定はないが、微粉状であることが好まし
い。微粉状セメント質粒子は比表面積が大きく歯周組織
への溶解吸収が良好で治癒が促進され、かつ使用量が低
減できるからである。また後述の多孔構造の架橋ゼラチ
ン膜を使用して歯科材料を製造する場合には、ゼラチン
膜の孔内に納まり得る粒子径の微粉状セメント質粒子を
使用するのが好ましい。従ってセメント質粒子の好まし
い平均粒子径(該セメント質粒子の最長方向の長さの平
均)は、0.001〜0.2mm、さらに好ましくは
0.001〜0.075mmである。このようなセメン
ト質粒子は、抜歯した歯の歯根面から適当な手段、例え
ば、歯科用スケーラー等で掻き取り、乳鉢、ボールミル
等で粉砕し、要すれば篩過して調製することができる。
【0013】セメント質粒子の使用量は、セメント質粒
子の粒度分布、平均粒子径、その生理活性物質の含量に
より一概には規定できないが、架橋ゼラチン膜1cm2
当たり0.03〜2.0mgが好ましく、さらに早期の
歯周組織の再生を得るためには0.1mg〜1.0mg
がより好ましい。
【0014】本発明に使用する架橋ゼラチン膜は、例え
ば、ゼラチンと架橋剤との混合物を膜状とし、これを公
知の架橋処理、例えば加熱することにより容易に製造す
ることができる。
【0015】ゼラチンには、例えば、牛骨、牛皮もしく
は豚皮からアルカリ法または酸性法によって工業的に得
られる通常の市販ゼラチン、またはコラーゲンを熱変性
させて調製したゼラチンが使用可能である。なかでも、
日本薬局方第12改正に規定されるゼラチンもしくは精
製ゼラチン、またはこれらと同等の規格を満足するゼラ
チンが好適に使用できる。架橋剤には、例えば水溶性エ
ポキシ化合物、水溶性アルデヒド類または水溶性カルボ
ジイミドが使用できる。水溶性エポキシ化合物として
は、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトー
ルポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテ
ル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコ
ールジグリシジルエーテルを例示することが出来る。水
溶性アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒ
ド、ホルムアルデヒド、グリオキザールを挙げることが
できる。水溶性カルボジイミドとしては、例えば、1ー
エチルー3ー(3ージメチルアミノプロピル)ーカルボ
ジイミド塩酸塩を挙げることができる。これらのうちで
も水溶性エポキシ化合物が取扱が容易で、低毒性である
ので好ましく、特にグリセロールポリグリシジルエーテ
ルが最も好ましい。
【0016】架橋剤の使用量は、架橋剤の種類、ゼラチ
ンの種類等により異なるが、通常ゼラチンに対し1〜2
0重量%である。例えば、架橋剤として水溶性エポキシ
化合物を使用して市販ゼラチンを架橋する場合は、ゼラ
チンに対し、1〜20重量%の水溶性エポキシ化合物で
架橋するのが好ましい。
【0017】架橋化は公知のいかなる処理方法を用いて
も良いが、加熱処理による架橋化が、未反応の架橋剤の
残留を低減できるので好ましい。例えば架橋剤にグリセ
ロールポリグリシジルエーテルを用いる場合は、80〜
150℃で1〜10時間の加熱処理が好ましい。
【0018】本発明に使用する架橋ゼラチン膜の構造
は、開放孔を有する多孔構造であることが好ましい。開
放孔を有する多孔構造の架橋ゼラチン膜は、セメント質
粒子を孔内に確実に保持させることができるばかりでな
く、患部に適用したときにその孔内に歯周組織細胞の進
入を容易にし、歯周組織の再生促進に利点を有する。さ
らには、架橋ゼラチン膜の構造は、一面が緻密面でもう
一方の面に膜の厚さ方向に開放孔を有する多孔構造であ
ることがより好ましい。その理由は上記の利点に加え一
面が緻密面であることによってこの面と歯根面との安定
した接着が得られ、歯周病の治療手術が容易になるから
である。
【0019】開放孔を有する多孔構造の架橋ゼラチン膜
は、例えば、ゼラチンと架橋剤とのゲル状混合物を膜状
とし凍結乾燥の後に前述の架橋処理をすることにより得
られる。特に、一面が緻密面でもう一方の面に膜の厚さ
方向に開放孔を有する多孔構造の架橋ゼラチン膜は、架
橋剤とゼラチンとを含有する水溶液を金属製またはプラ
スチック製のプレート上に流延、冷却して膜状のゲルと
し、プレートの下面から冷却してゲルを凍結し、続いて
凍結乾燥を行ない、前述の通りに架橋化処理を行うこと
によって容易に調製できる。
【0020】多孔構造の架橋ゼラチン膜の孔径は、セメ
ント質粒子の保持を可能とし、かつ患部に適用したとき
に歯周組織細胞の進入を容易にする大きさ、即ち、平均
孔径で0.02〜1mmが好ましく、さらに好ましくは
0.05〜0.5mmである。平均孔径の調整は凍結乾
燥前の凍結条件および凍結乾燥の条件を調製することに
より可能であり、凍結温度が低い程、また凍結時間が短
い程、孔径は小さくなる。例えば、厚さ2mmのスチー
ル製のプレート板上に厚さ0.5mmに流延されたゲル
状ゼラチン(水の重量に対してゼラチンを約5重量%溶
解して調製できる)をプレート板の下面から−70℃で
凍結し続いて−40〜−15℃で凍結乾燥した場合には
平均孔径は約0.07mmとなる。一方、厚さ2mmの
ポリメチルメタクリレート製のプレート板上に同様にゲ
ル状ゼラチンを調製し、これをプレート板の下面から−
70℃で凍結し続いて−40〜−15℃で凍結乾燥した
場合は平均孔径は約0.093mmとなり、厚さ5mm
のポリメチルメタクリレート製のプレート板上に同様に
ゲル状ゼラチンを調製し、これをプレート板の下面から
約−39℃で凍結し続いて−40〜−15℃で凍結乾燥
した場合は平均孔径は約0.16mmとなる。
【0021】架橋ゼラチン膜の厚さは、製造のし易さ、
膜の強度、手術部への適用のし易さ、およびこれを使用
したときの歯周組織の再生能の点から、0.05〜1.
0mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好まし
い。
【0022】本発明の製造方法では、まず、第1工程と
してセメント質粒子の水中懸濁液を、上記の方法で調製
した架橋ゼラチン膜上に散布する。この懸濁液のpH
は、セメント質粒子中の有効成分の分解を防止するため
に6〜7.5付近が好ましく、要すれば、酸、塩基また
は緩衝液(例えば、燐酸緩衝液)でpHの調整をする。
また、セメント質粒子の懸濁液には水溶性高分子を添加
することが好ましい。水溶性高分子の添加によって、懸
濁液の粘度が増加しセメント質粒子を均一に分散するこ
とが容易となり、また水溶性高分子の接着性によってセ
メント質粒子が架橋ゼラチン膜により強固に固定され
る。
【0023】かかる水溶性高分子としては例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチ
レンイミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、アルギン酸ソーダおよびゼラチン等が使用で
きる。その中でもゼラチンは、これを用いた歯周病治療
材を患部に適用した時に架橋ゼラチン膜本体と同様に歯
周組織内へ速やかに溶解、吸収されて歯周病治療材の治
癒効果を妨げないので、特に好ましい。
【0024】水溶性高分子の添加量は、少量であるとそ
の効果が乏しく、多量に過ぎるとセメント質粒子の水中
懸濁液の粘度が大きくなりすぎてこの散布に支障を来す
ので、セメント質粒子の水中懸濁液に対し、0.5〜2
重量%である。
【0025】なお、セメント質粒子の水中懸濁液には上
記水溶性高分子と共に、生体に悪影響を及ぼすことなく
治癒をさらに促進させる成分、例えば抗菌剤、ビタミン
剤、またはTGF−β(Transforming g
rowth factor−β)、IGFーI(Ins
ulin like growth factor−
I)などの成長因子を添加することも可能である。
【0026】次に第2工程として、セメント質粒子を架
橋ゼラチン膜の表面及び/または内部に沈着させるため
に、セメント質粒子の水中懸濁液が散布された架橋ゼラ
チン膜を減圧下に置く。この操作は、セメント質粒子の
水中懸濁液が散布された架橋ゼラチン膜を、減圧容器中
に入れ、通常、5〜100mmHgに減圧し同圧下で
0.5〜10分間静置することにより実施される。その
後は常圧に戻すが、セメント質粒子の沈着をより確実に
するために減圧と常圧戻しの操作を数回繰り返すことが
好ましい。前述したような開放孔を有する架橋ゼラチン
膜を使用すると該開放孔内にセメント質粒子はより一層
堅固に保持、固定される。
【0027】次に第3工程として凍結乾燥を行い、セメ
ント質粒子が沈着した架橋ゼラチン膜中の水分を取り除
く。この工程操作により長期間に亙って架橋ゼラチン膜
及びセメント質粒子の変質または腐敗等を防ぐことが可
能となる。凍結乾燥は−70℃〜−5℃で行なうのが好
ましい。特に、完全な凍結乾燥と凍結乾燥後の水分の再
付着防止のために、セメント質粒子が沈着した架橋ゼラ
チン膜を−70〜−30℃で凍結し同温度で0.03〜
0.4mmHgの減圧下で5〜60分間、次に架橋ゼラ
チン膜の温度を−20〜−5℃にして0.03〜0.4
mmHgの減圧下で4〜36時間凍結乾燥し、さらに同
様の減圧下、室温で1〜4時間減圧乾燥するのが好まし
い。
【0028】最後に第4工程として凍結乾燥されたセメ
ント質粒子沈着架橋ゼラチン膜(歯周病治療材)の滅菌
処理を行う。この処理により歯周病治療材の保存安定性
はさらに向上し、臨床に供ししても歯周治療材による細
菌感染の心配は無くなる。滅菌処理は、例えば紫外線照
射滅菌、γ線照射滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌等
の滅菌法により実施される。なかでも、紫外線照射滅菌
またはγ線照射滅菌によると歯周病治療材を変質させる
ことなく滅菌が可能でかつ滅菌剤が残留する心配が無い
ので好ましい。紫外線照射滅菌の場合は、歯周病治療材
を例えば15ワットの紫外線ランプから約30cm離れ
た所に置き、紫外線を20〜120分間照射することが
好ましい。γ線照射滅菌の場合は、10〜35kGyの
線量で滅菌するのが好ましい。エチレンオキサイドガス
で滅菌する場合は、歯周病治療材を例えばエチレンオキ
サイドガス濃度600mg/リットルの条件下に45℃
で10〜70分間暴露するのが好ましい。
【0029】
【発明の効果】本発明の製造法により、セメント質粒子
の脱落がなく、保存安定性が良好で、細菌汚染のない歯
科材料が得られ、性能が安定しかつ治療に安全な歯周病
治療材の製造が可能となった。本発明の効果を試験例を
挙げて以下に説明する。
【0030】試験例1(牛セメント質粒子の脱落試験) 1)試験方法 実施例1、実施例2、比較例1で調製した歯周病治療材
(それぞれ架橋ゼラチン膜の大きさ8×8cm、牛セメ
ント質粒子の含量15.36mg)をそれぞれ開放孔面
を下にしてシャーレの中に入れ、3分間一定の振動(2
40回/分)を加え、歯周病治療材からシャーレ内に脱
落した牛セメント質粒子の重量を測定し、その脱落割合
を算出した。 2)試験結果 脱落した牛セメント質粒子の重量及び脱落割合を表1に
示す。
【0031】
【表1】 歯周病治療材 脱落した牛セメント質粒子 重量(mg) 脱落割合(%) 実施例1で調製 0.00 0 実施例2で調製 0.51 3.3 比較例1で調製 6.88 44.8
【0032】試験例2(保存安定性試験) 1)試験方法 実施例1、比較例2、比較例3で調製した歯周病治療材
をそれぞれ37℃の恒温下に6ケ月間静置した後、外観
を観察することにより保存安定性を評価した。 2)試験結果 実施例1で調製した歯周病治療材・・・外見上は何の変
化もなかった。 比較例2で調製した歯周病治療材・・・膜は変色し、か
びが発生していた。 比較例3で調製した歯周病治療材・・・膜の所々に変色
が見られた。
【0033】
【実施例】以下に、実施例、比較例及び参考例を挙げて
本発明をさらに詳細に説明する。 実施例1(歯周病治療材の調製) 第1工程:アルカリ法で製造された市販ゼラチン〔6.
66%水溶液にしたときの粘度28mp、ゼリー強度9
6、(株)ニッピ製〕の2重量%水溶液を調製し、この
ゼラチン水溶液1ml当たりに参考例1で調製した牛セ
メント質粒子15.36mgを懸濁させ、懸濁液を調製
した。次に参考例2で調製した架橋ゼラチン膜を、その
緻密面を下に開放孔面を上に向けてポリメチルメタクリ
レート板上に置き、架橋ゼラチン膜の開放孔面側に上記
の懸濁液を散布した(牛セメント質粒子の散布量は架橋
ゼラチン膜1cm2当たり0.24mg)。
【0034】第2工程:牛セメント質粒子懸濁液散布済
の架橋ゼラチン膜を静かに密閉容器内に入れ、30mm
Hgに減圧し1分間静置、続いて常圧に戻した。この操
作を3回繰り返しセメント質粒子を沈着させた後、常圧
の状態で30分間静置した。
【0035】第3工程:凍結乾燥装置(FTS−FD−
6−54B、FTS SYSTEMS,INC.製)を
使用してまず膜を−40℃に凍結して同温度に保ち0.
2mmHgの減圧下で10分間凍結乾燥した。次に30
分間かけて膜の温度を−15℃に上昇させた後、同温度
に保ち0.2mmHgの減圧下で12時間凍結乾燥し
た。その後、30分間かけて温度を20℃に上昇させ、
0.2mmHgの減圧下で2時間減圧乾燥し、凍結乾燥
された歯周病治療材を得た。
【0036】第4工程:凍結乾燥された歯周病治療材を
ポリエチレンの袋の中に密閉し、これを東芝社製の紫外
線滅菌ランプ(15ワット)から30cmの距離に静置
し、、歯周病治療材の表裏それぞれに30分間ずつ紫外
線照射を行い、滅菌済の歯周病治療材(架橋ゼラチン膜
の大きさ8×8cm、牛セメント質粒子の含量15.3
6mg)を得た。この歯周病治療材は手術部の大きさに
合わせ、適度に切断して使用される。
【0037】実施例2(歯周病治療材の調製) 実施例1の第1工程で牛セメント質粒子をゼラチン水溶
液に懸濁させるかわりに、牛セメント質粒子を水に懸濁
させ、それ以外は実施例1と同様にして歯周病治療材を
調製した。
【0038】比較例1(歯周病治療材の調製) 実施例1の第1工程で牛セメント質粒子をゼラチン水溶
液に懸濁させるかわりに水に懸濁させ、さらに第2工程
を省き、その他は実施例1と同様にして歯周病治療材を
調製した。
【0039】比較例2(歯周病治療材の調製) 実施例1の第3工程の凍結乾燥と減圧乾燥を風乾(24
時間)に換える以外は実施例1と同様にして歯周病治療
材を調製した。
【0040】比較例3(歯周病治療材の調製) 実施例1の第4工程の紫外線照射を省略する以外は実施
例1と同様にして歯周病治療材を調製した。
【0041】参考例1(牛セメント質粒子の調製) 食用肉屠殺場より提供されたウシ顎骨から歯を抜歯用鉗
子で抜去し、−4℃で冷凍保存した。解凍後、ただちに
付着する歯肉組織およびセメント前質を掻爬し除去し
た。これらの処置後、手術用スケーラーで1本の歯につ
き100〜200ストロークで(ウシの無細胞セメント
質の厚さは0.4〜0.5mmであるのでこのストロー
ク数でも下層の象牙質までは達しない)細胞セメント質
および無細胞セメント質を掻爬し、牛歯40本から2.
3gの細胞セメント質および無細胞セメント質の切削片
を得た。この細胞セメント質および無細胞セメント質の
切削を25mlのチューブに集め10mlの生理食塩水
に懸濁後、遠心分離した。上清液を除去し、細胞セメン
ト質および無細胞セメント質の切削片をクリーンベンチ
内で自然乾燥した。次に、乾燥した細胞セメント質およ
び無細胞セメント質の切削片を乳鉢に入れ、乳棒で粉砕
し、篩過し、粒子径が0.075mm以下の細胞セメン
ト質および無細胞セメント質粒子よりなる牛セメント質
粒子を取得した。この牛セメント質粒子の平均粒子径を
測定したところ0.014mmであった。
【0042】参考例2(架橋ゼラチン膜の調製) アルカリ法で製造された市販ゼラチン〔(株)ニッピ
製、6.66%水溶液にしたときの粘度28mp、ゼリ
ー強度96g〕の5重量%水溶液に、架橋剤としてグリ
セロールポリグリシジルエーテル〔ナガセ化成工業
(株)製〕をゼラチン重量に対し3重量%添加、溶解
し、ゼラチンとグリセロールポリグリシジルエーテルの
混合液を調製した。ポリメチルメタクリレート板(大き
さ10×10cm、厚さ2mm)の片面に幅1cm、厚
さ0.6mmのテフロン製の粘着テープで縁どりし、そ
の内側(8×8cm)に上記の混合液2gを流延した。
【0043】混合液を流延したポリメチルメタクリレー
ト板を5〜10℃に保った水平な台に乗せ、20分間冷
却してゲル化させ、−70℃に保持した板上に乗せ下面
より冷却して凍結させた。次に、凍結乾燥装置(FTS
−FD−6−54B、FTSSYSTEMS,INC.
製)を使用してゲル化物の温度を−40℃に保ち0.2
mmHgの減圧下で10分間凍結乾燥し、続いて30分
間かけて温度を−15℃に上昇させた後、同温度に保ち
0.2mmHgの減圧下で12時間凍結乾燥した。その
後、30分間かけて温度を20℃に上昇させ、0.2m
mHgの減圧下で2時間減圧乾燥し、凍結乾燥済のゼラ
チン膜を得た。
【0044】このゼラチン膜を110℃で2時間熱処理
することにより架橋反応を行なった後、50℃の蒸留水
で洗浄し、未架橋ゼラチン及び未反応の架橋剤を除去
し、再度上記と同様の条件で凍結乾燥して架橋ゼラチン
膜を得た。この架橋ゼラチン膜は、一面が緻密面で、他
の面に多数の開放孔を有する面からなる二層構造であ
り、孔壁は主として膜面に垂直に配向していた。膜の大
きさは8×8cm、膜の厚さは平均0.18mmであ
り、開放孔の平均孔径は0.093mmであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 知己 大阪府大阪市都島区都島南通2丁目12番2 −409号 (72)発明者 道江 奈保 大阪府堺市高倉台2丁3番1−103号 (72)発明者 山岡 昭 大阪府大阪市東住吉区山坂1丁目10番6号 (72)発明者 西村 和晃 大阪府堺市新檜尾台3丁5番4号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋ゼラチン膜の表面にセメント質粒子
    の水中懸濁液を散布し、これを減圧下に置くことによっ
    てセメント質粒子を架橋ゼラチン膜の表面及び/または
    内部に沈着させた後、凍結乾燥を行い、次いで滅菌処理
    を行うことを特徴とする歯周病治療材の製造方法。
  2. 【請求項2】 架橋ゼラチン膜が水溶性エポキシ化合物
    で架橋された開放孔を有する多孔構造であり、セメント
    質粒子が無細胞セメント質及び/または細胞セメント質
    の粒子である請求項1に記載の歯周病治療材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 水溶性エポキシ化合物がグリセロールポ
    リグリシジルエーテルである請求項2に記載の歯周病治
    療材の製造方法。
  4. 【請求項4】 架橋ゼラチン膜が一方の面が緻密面で、
    他の面が開放孔を有する壁面によりなる厚みが0.05
    〜1.0mmの架橋ゼラチン膜である請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載の歯周病治療材の製造方法。
  5. 【請求項5】 セメント質粒子の水中懸濁液に水溶性高
    分子を添加する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    歯周病治療材の製造方法。
  6. 【請求項6】 水溶性高分子としてゼラチンを用いる請
    求項5に記載の歯周病治療材の製造方法。
  7. 【請求項7】 平均粒子径が0.001〜0.2mmの
    セメント質粒子を、架橋ゼラチン膜1cm2 当たりに
    0.03〜2.0mg沈着させる請求項1〜請求項6の
    いずれかに記載の歯周病治療材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0734712A1 (en) * 1995-03-28 1996-10-02 Kanebo Ltd. Hybrid dental implant
WO2011052089A1 (ja) * 2009-11-02 2011-05-05 ニチバン株式会社 電離性放射線で架橋したヒドロゲルから成る生体内薬剤徐放用担体材料及びその製造方法

Cited By (3)

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WO2011052089A1 (ja) * 2009-11-02 2011-05-05 ニチバン株式会社 電離性放射線で架橋したヒドロゲルから成る生体内薬剤徐放用担体材料及びその製造方法

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