JP3668048B2 - 歯周病治療材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯周病の治療、特に、歯周組織の再生、咬合機能の回復を目的とする歯周外科手術において使用する歯周病治療材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯周病とは歯垢(細菌の塊)が歯の支持組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)に加え、歯の歯根面を被覆するセメント質を破壊する炎症性疾患であり、歯科領域において虫歯と並んで二大疾患と言われている。この疾患は、歯と歯肉間の連結組織(歯根膜=繊維性靱帯)を破壊し、その結果、ポケットを発生せしめる。疾患の進行に伴って、このポケットが深行し歯槽骨が破壊吸収される。治療せずにこの状況で放置されれば、歯が自然脱落することもある。虫歯に対しては治療・予防の進歩している中、老齢化社会の進行に伴い、歯周病の治療技術の改善が近年の重要課題となっている。
【0003】
歯周病のうち重度のものは、外科的手法による対処が必要である。従来からの代表的な手術法は歯肉剥離掻爬術である。本法は歯周感染組織を掻爬するという手法あり、歯周病の進行をくい止めることが主な目的である。他方、組織の新生や再生のための配慮が十分になされておらず、セメント質の新生が根尖部に限定され、歯槽骨、歯根膜の再生も極僅かである。このため歯と歯周の繊維組織との結合のほとんどが上皮性の付着であり、細菌に対するシーリングが不十分であるので、歯周病の再発の危険性も高かった。
【0004】
このような背景から、近年、歯周組織の理想的な再生を目標とする治療法が種々提案されている。その一つが日本でも一般臨床に応用され初めているGTR法である。GTR法は、歯肉剥離掻爬術により感染組織を完全に掻爬し、歯と歯肉の間にテフロンシートなどのシートを挿入しておき、この状態のもと、歯肉をシート上に置き縫合することを特徴とする。これは、シートの介在によって歯肉と歯根面が付着しないようにすることによって、根尖側の残存する歯根膜細胞と骨芽細胞の歯冠側(上方)への増殖再生と、歯根面上でのセメント質の新生を促し、歯周組織を再建しようとするものであった。
【0005】
一方、前記GTR法におけるシートの代わりに、架橋ゼラチンとセメント質からなる複合体を用いることが提案されている(特開平 07-330531 、USP 5,792,508 )。この複合体は、キャリアとしての架橋ゼラチン膜上に牛歯セメント質粒子を分散担持した複合体膜であることを特徴とし、複合化は、ゼラチン水溶液に粉砕セメント質粒子を分散・撹拌することにより懸濁液を調製し、これを架橋ゼラチン膜に含浸吸収させ、凍結乾燥を行うことにより行う。これを歯根面に適用すると新生セメント質の形成に有用であることが主唱されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記GTR法は、シートの取り扱い、並びに術式が難しいこと、術後、ある程度の治癒までに長期間(2〜3ケ月)を要すること、セメント質の新生や歯槽骨、歯根膜の再生が少ないこと、歯槽骨と歯根が癒着(骨癒着)すること、歯槽骨側から歯根膜への血液の供給不足による歯肉の壊死等の問題があり、実際の臨床での効果が顕著ではなったこともあり、歯科医の信頼を十分に得ていないのが現状である。
【0007】
次に前記架橋ゼラチンとセメント質からなる複合体は、生体内で粉砕セメント質粒子がマクロファージによる攻撃をうけるため、炎症が長引いたり、或いは、体液により粉砕セメント質粒子を架橋ゼラチン膜に固定しているゼラチンが即座に溶解し始め、粉砕セメント質粒子が架橋ゼラチン膜から剥がれてしまったり、膜中に沈降したりして所望の効果が得られない等の問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情を鑑みなされたものであって、その目的とするところは、歯周病治療材、特に、歯周外科手術による歯周組織の再生、咬合機能回復を必要とする重度の歯周病の治療に使用するのに好適な安定した品質の高性能歯周病治療材を工業的かつ、安価に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、哺乳類の歯のセメント質から溶出させたヒドロキシプロリン残基含有タンパク質を生体性吸収材料からなる膜中に含浸せしめた膜状物が歯周病の治療に好適に使用できることを見いだし本発明をなした。以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
前記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質は、繊維芽細胞、骨芽細胞やセメント芽細胞に活性を有している。したがって、後述する如く生体吸収性材料に直接含浸せしめた形態において、土台としての歯槽骨ならびに歯を支持し且つ細菌に対するシーリングを司る歯根膜を再生させ、これにより歯肉の上方成長も促進し、さらに歯と歯根膜とが結合組織性付着するべくセメント質を新生させる。以上のような作用でもって、歯周組織の再生を達成する。
【0011】
前記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質は、哺乳類の歯のセメント質をコラゲナーゼ水溶液中に浸漬し、上記セメント質から溶出したものを用いることができる。タンパク質酵素であるコラゲナーゼは、その水溶液中に上記セメント質を浸漬することにより、ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質を好適に溶出せしめることを確認した。なお、歯のセメント質は多くのタンパク質成分を含んでいるので、上記タンパク質の成分を完全に同定することは非常に困難であるが、本発明では、ヒドロキシプロリン残基を含有することを必須とする。
【0012】
コラゲナーゼ含有水溶液のコラゲナーゼ濃度は0.1%〜15%が好ましく、0.1%〜5%であればより効果的であった。また、ヒドロキシプロリン残基の溶出は多過ぎても少な過ぎても歯周組織再生の低下を来すので、その観点から溶出成分中の全アミノ酸残基に対して0.01〜10%が好ましく、0.1〜3.0%がより好ましい。上記溶出液中の不溶物を除去するために遠心分離及び濾過等を行っても良いが、溶出成分はあまり精製を行わないことが好ましい。その理由は、精製すればするほど歯周組織再生効果が低下するからである。したがって、分子量分画及びクロマトグラフィー等により、単一のタンパク質成分に精製することは避ける。
【0013】
前記セメント質の性状については特に限定がないが、哺乳類、特に牛の歯から採取したセメント質を粉砕し、微粉末であることが好ましい。その理由は、セメント質からタンパク質成分を効率良く抽出できるからである。歯のセメント質は歯根の表面を覆っている歯周組織の骨(歯槽骨)によく似た硬組織であり、これに含まれるヒドロキシプロリン残基含有タンパク質が成長因子として、歯周組織の再生に大きく寄与するものと考えられる。歯のセメント質を用いる利点は、一本の歯から採取できるセメント質の量が多いこと、また食用に牛などの哺乳類動物が大量に飼育されており、容易にまた安価で入手できることである。
【0014】
次に前記生体吸収性材料とは、生体内に移植した後、一定期間後分解吸収される材料であり、公知の天然物や合成物、すなわち、ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、キチン、キトサン等がある。また、合成物ではポリグルコール酸、ポリ乳酸及びこれらの共重合物等がある。本発明では、これら生体吸収性材料を架橋等の手段により膜状に成形する。該生体吸収性膜は、厚さが2mm以下、膜の操作性及び細胞の歯根面への進入を容易にするために、厚さが0. 1〜1. 0mmのものを用いると良い。
【0015】
かかる生体吸収性膜として、架橋したゼラチンの膜は好適に使用することができる。架橋ゼラチン膜は、例えば、ゼラチンと架橋剤との混合物を膜状とし、これを公知の架橋処理、例えば加熱することにより容易に製造することができる。
【0016】
ゼラチンには、例えば、牛骨、牛皮もしくは豚皮からアルカリ法または酸性法によって工業的に得られる通常の市販ゼラチン、またはコラーゲンを熱変成させて調整したゼラチンが使用可能である。なかでも、日本薬局方第12改正に規定されるゼラチンもしくは精製ゼラチン、またはこれらと同等の規格を満足するゼラチンが好適に使用できる。
【0017】
架橋剤には、例えば水溶性エポキシ化合物、水溶性アルデヒド類または水溶性カルボジイミドが使用できる。水溶性エポキシ化合物としては、グリセロールポリグリシジエーテル、スルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジエーテル、エチレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを例示することが出来る。水溶性アルデヒドとして、例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキザールを挙げることができる。水溶性カルボジイミドとしては、例えば、1ーエチルー3ー(3ージメチルアミノプロピル)ーカルボジイミド塩酸塩を挙げることができる。これらのうちでも水溶性エポキシ化合物が取り扱い容易で、低毒性であるので好ましく、特にグリセロールポリグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0018】
架橋剤の使用量は、架橋剤の種類、ゼラチンの種類等により異なるが、通常ゼラチンに対し1〜20重量%である。
【0019】
架橋化は公知のいかなる処理方法を用いても良いが、加熱処理による架橋化が、未反応の架橋剤の残留を低減できるので好ましい。例えば架橋剤にグリセロールポリグリシジルエーテルを用いる場合は、80〜150℃で1〜10時間の加熱処理が好ましい。
【0020】
前記生体吸収性膜の構造は、開放孔を有する多孔構造であることが好ましい。
【0021】
開放孔を有する多孔構造膜は、患部に適用したときにその孔内に歯周組織の再生に寄与する生体液の流通をもたらし、したがって、組織再生の促進に利点を有する。さらには、生体吸収性膜の構造は、一面が緻密面でもう一方の面が多孔構造となっていることがより好ましい。その理由は上記の利点に加え一面が緻密面であることによってこの面と歯根面との安定した接着が得られ、歯周病の治療手術が容易になるからである。
【0022】
開放孔を有する多孔構造の生体吸収性膜は、原料と架橋剤とのゲル状混合物を膜状とし凍結乾燥の後に前述の架橋処理をすることにより得られる。特に、一面が緻密面でもう一方の面が多孔構造となった生体吸収性膜は、前記ゲル状混合物を金属製やプラスチック製のプレートの上に流延、冷却して膜状のゲルとし、プレートの下面から冷却してゲルを凍結し、続いて凍結乾燥を行い、前述の通りに架橋化処理を行って容易に調整できる。
【0023】
前記生体吸収性膜への前記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質の含浸は、例えば次のように行う。前記セメント質からヒドロキシプロリン残基含有タンパク質が溶出したコラゲナーゼ含有水溶液を凍結乾燥し、ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質の固形物を得る。この固形物を蒸留水に溶解し、上記生体吸収性膜に均一に含浸させた後、凍結乾燥を行う。この時、ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質の生体吸収性膜への含浸量が多過ぎても少な過ぎても歯周組織再生能が低下する。この観点から、ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質の含浸量は、0.00001mg〜10mg/平方センチメートルが好ましく、0.0001mg〜3mg/平方センチメートルがより好ましい。以上のような工程を経て、本発明の歯周病治療材が完成する。
【0024】
かかる本発明の歯周病治療材は、歯周外科手術、特に歯肉剥離掻爬術に好適に使用できる。即ち、基本的には歯肉剥離掻爬術後、適切な大きさに切断した本発明の歯周病治療材を露出歯根面に挿入し、その上に歯肉を被せて縫合するだけで手術は完了する。また、近年歯周病患者に審美的要求が高まっているが、本発明の歯周病治療材は遊離歯肉移植術や、有茎歯肉弁側方移植等の歯肉歯槽粘膜形成術に好適に使用でき、いずれの場合でも、歯周病の進行に伴って露出した歯根面への健全な歯肉の回復が可能である。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例、比較例、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
実施例
▲1▼セメント質からの溶出成分の調整
食用肉屠殺場より提供されたウシ顎骨から歯を抜歯用鉗子で抜去し、−4℃で冷凍保存した。解凍後、ただちに付着する歯肉組織を掻爬し、除去した。これらの処置後、手術用スケーラーをも用い1本の歯につき100〜200ストロークでセメント質を掻爬し(ウシの歯のセメント質の厚さは0.4〜0.5mmであるのでこのストローク数でも下層の象牙質までは達しない)、牛歯200本からセメント質の切削片を得た。セメント質の切除片を凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥を行った後、乳鉢に入れ、乳棒で粉砕し、さらに篩過し、粒子径0.075mm以下のセメント質粒子9.3gを得た。さらに得られたセメント質粒子を1%コラゲナーゼ含有pH7の生理食塩水30mlに投入し、スターラーで1時間、攪拌した。不溶物を3000rpm、10分間の遠心分離で除去し、上清液を得た。この上清液を凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥することで固形物0.73g (溶出成分0.16g 、コラゲナーゼ0.3g、塩化ナトリウム0.27)を得た。
【0027】
この溶出成分中にヒドロキシプロリン残基は、全アミノ酸残基に対して0.5%の割合で含まれていた。
【0028】
▲2▼架橋ゼラチン膜の調製
アルカリ法で製造された市販ゼラチン[(株)ニッピ製、6.66%水溶液にしたときの粘度28mp、ゼリー強度96g ]の5重量%水溶液に、架橋剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル[ナガセ化成工業(株)製]をゼラチン重量に対し3重量%添加、溶解し、ゼラチンとグリセロールポリグリシジルエーテルの混合液を調製した。ポリメチルメタクリレート板(大きさ10×10cm、厚さ2mm)の片面に幅1cm、厚さ1.0mmのシリコン製のテープで縁取りし、その内側(8×8cm)上記の混合液3g を流延した。これを凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥を行うことでゼラチン膜(膜の大きさ8×8cm、膜の厚さ0.3mm)を得た。このゼラチン膜を110℃で2時間熱処理する事により架橋を行い架橋ゼラチン膜を得た。
【0029】
▲3▼複合化膜の調製
▲1▼で調製した固形物0.684g(溶出成分0.15g)を1000mlの蒸留水に溶解し、溶解液2gを採取し、ポリメチルメタクリレート板(大きさ10×10cm、厚さ2mm)の片面に幅1cm、厚さ1.0mmのシリコン製のテープで縁取りし、その内側(8×8cm)に流延した。さらにその上に▲2▼で調製した架橋ゼラチン膜をかぶせる様にして、乗せ、溶解液を架橋ゼラチン膜に吸収させたあと、凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥を行い、セメント質からの溶出物を複合化した架橋ゼラチン膜(複合化膜)を得た。またセメント質からの溶出成分の複合化量は0.0156mg/立方センチメートルとなる。複合化膜を1×1cmの大きさに切断し、これを歯周病治療材として用いた。
【0030】
比較例
▲1▼1%コラゲナーゼ含有pH7の生理食塩水の調製
1%コラゲナーゼ含有pH7の生理食塩水30mlを調製、凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥行うことで固形物0.57g (溶出問成分0、コラゲナーゼ0.3g、塩化ナトリウム0.27)を得た。
【0031】
▲2▼生体吸収性材料の調製
アルカリ法で製造された市販ゼラチン[ニッピ(株)製、6.66%水溶液にしたときの粘度28mp、ゼリー強度96g ]の5重量%水溶液に、架橋剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル[ナガセ化成工業(株)製]をゼラチン重量に対し3重量%添加、溶解し、ゼラチンとグリセロールポリグリシジルエーテルの混合液を調製した。ポリメチルメタクリレート板(大きさ10×10cm、厚さ2mm)の片面に幅1cm、厚さ1.0mmのシリコン製のテープで縁取りし、その内側(8×8cm)に上記混合液3g を流延した。これを凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥を行うことで、凍結乾燥済のゼラチン膜(膜の大きさ8×8cm、膜の厚さ0.3mm)を得た。このゼラチン膜を110℃で2時間熱処理する事により架橋を行い架橋ゼラチン膜を得た。
【0032】
▲3▼複合化膜の調製
▲1▼で調製した固形物0.534g(溶出成分0g)を1000mlの蒸留水に溶解し、溶解液2gを採取し、ポリメチルメタクリレート板(大きさ10×10cm、厚さ2mm)の片面に幅1cm、厚さ1.0mmのシリコン製のテープで縁取りし、その内側(8×8cm)に流延した。さらにその上に▲2▼で調製した架橋ゼラチン膜をかぶせる様にして、乗せ、溶解液を架橋ゼラチン膜に吸収させたあと、凍結乾燥装置(DURA−STOP、FTSSYSTEMS,INK.製)を用いて凍結乾燥を行い、セメント質からの溶出物を含まない架橋ゼラチン膜を得た。複合化膜を1×1cmの大きさに切断した。
【0033】
試験例(歯周組織再生実験)
ニホンザルの上顎左右側側切歯、及び第2小臼歯の頬側粘膜骨膜弁を剥離後、頬側歯槽骨を根尖側方向へ、4mm削除した。この際、骨欠損形態を裂開型モデルとするため、歯間部歯槽骨を完全に削除した。その後上顎左側の側切歯、第2小臼歯の露出歯根面部には、実施例1で調製した歯周病治療材を挿入し、一方上顎右側の側切歯、第2小臼歯には比較例1で調製したセメント質からの溶出成分を含まない架橋ゼラチン膜を挿入した後、歯肉弁を元の位置に戻し、縫合した。
【0034】
ニホンザルは、術後3週にて屠殺、潅流固定後、組織ブロックを採取した。そして通法に従いパラフィン切片を作製、H−E染色を施し、組織学的観察を行い、新たに形成付着したセメント質の長さと新たに形成された歯槽骨の長さを測定し、次式によってセメント質及び歯槽骨の再生率を計算した。
【0035】
・セメントの再生率(%):新付着の長さ(mm)÷ 4(mm)× 100
・歯槽骨の再生率(%):新生骨の長さ(mm)÷ 4(mm)× 100
【0036】
【表1】
【0037】
その結果は表1に示す様に、実施例品の歯周病治療材を適用した上顎左側ではセメント質の再生率が85%以上、歯槽骨の再生率が60%以上であるのに対し、セメント質からの溶出物を含まない比較例の架橋ゼラチン膜を適用した上顎右側での再生率は何れも10%未満であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の歯周病治療材は、生体性吸収材料からなる膜状体に、哺乳類の歯のセメント質から溶出させたヒドロキシプロリン残基含有タンパク質を含浸せしめており、上記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質が、繊維芽細胞、骨芽細胞やセメント芽細胞に活性を有することから、土台としての歯槽骨ならびに歯を支持し且つ細菌に対するシーリングを司る歯根膜を再生させ、これにより歯肉の上方成長も促進し、さらに歯と歯根膜とが結合組織性付着するべくセメント質を新生させる。以上のような作用でもって、歯周組織の再生を達成する。
【0039】
したがって、従来では不可能に近いと考えられていた重度の歯周病に対しても歯を保存し、さらに健全歯周組織と同様の咬合機能を回復することができる。また、セメント質の新生が豊富であることにより、細菌に対するシーリングが達成されるので歯周病再発の危険性がほとんどない。
【0040】
加えて、本発明の歯周病治療材は、以下のような効果を奏する。
・ 本歯周病治療材の作製は容易で、且つ安価である。
・ 均質な歯周病治療材の作製が可能である。
・ 治療方法が簡単で、早期に治癒するため、歯科医師に技術の差による効果のバラツキが少なく、また手術および手術後に受ける患者の苦痛が少ない。
Claims (3)
- 生体性吸収材料からなる膜状体に、哺乳類の歯のセメント質から溶出させたヒドロキシプロリン残基含有タンパク質を含浸せしめてなる歯周病治療材。
- 前記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質の含浸量が0.0001mg〜3mg/平方センチメートルであることを特徴とする請求項1記載の歯周病治療材。
- 前記ヒドロキシプロリン残基含有タンパク質に含まれるヒドロキシプロリン残基の含有量は全アミノ酸残基含有量に対して0.1〜3.0%であることを特徴とする請求項1乃至2記載の歯周病治療材。
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