JPH07330273A - 車いす兼用エスカレーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、踏段動作装置の動作機能を
向上させ、安全確実に特殊踏段を変形させるようにした
車いす兼用エスカレーターを提供することにある。 【構成】 本発明は、車いす運転時に、案内手段により
ラックとギアを案内して係合させ、ラックからの駆動入
力をギアに確実に伝え、特殊踏段の変形動作を安全確実
に行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車いす等を搬送可能に
した車いす兼用エスカレーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】車いす等を搬送可能なエスカレーターと
して従来提案されている方法として通常は一般利用者が
乗っている踏段または踏段列を車いす利用時は車いすの
まま乗り込めるまでの大きさに機械的に変形拡張して対
応するようにした車いす兼用型が一般的である。これを
図７により説明する。

【０００３】図７において、エスカレーター１は下階の
乗降口２と上階の乗降口３の間に傾斜して配置されてお
り、トラス１ａ、車いす利用者４、係員５、乗降口２に
設けられ係員５に連絡するための係員呼び出しボタン
６、エスカレーター１の欄干に設けられた車いす運転切
替スイッチ７、同じく車いす運転ボタン８、踏段９を有
し、乗降口２および乗降口３付近では複数個の踏段９の
上面は一平面となり、途中の傾斜部では各踏段９の上面
は互いに段差を形成するように構成されている。さら
に、多数の踏段９の内の車いす用踏段を形成する第１の
特殊踏段10、同じく第２の特殊踏段11、同じく第３の特
殊踏段12を有している。またさらには、車いす運転時に
これらの特殊踏段を車いす搭載可能な状態に変形させた
り通常運転状態に復帰させるための踏段動作装置13が設
けられている。

【０００４】図８乃至図12は特殊踏段の構成と動作を示
す図である。これらを用いて特殊踏段の動作を説明す
る。図８は特殊踏段が付勢されず通常運転される場合を
示す。また図９は特殊踏段が付勢され、車いす等を搭載
し運転される場合を示す。これらにおいて、１ａはトラ
ス、13は特殊踏段の踏段動作装置である。13ａは踏段動
作装置13に取り付けられたラックで、14ａ，14ｂ，14ｃ
はラック13ａと噛み合う特殊踏段側に取り付けられたピ
ニオン、15ａ，15ｂ，15ｃはピニオン14ａ，14ｂ，14ｃ
の回転力により踏段内機構を駆動する駆動部である。

【０００５】第１の特殊踏段10は踏段の一部が傾斜可能
な踏段で、傾斜踏段部16、固定踏段部17を有している。
通常運転状態では傾斜踏段部16に取り付けられた駆動部
15ａから保持子18ａが突出し、固定踏段部17の保持器19
ａと噛み合い、傾斜踏段部16と固定踏段部17が一体とな
っている。傾斜動作時は保持子18ａが保持器19ａより外
れ、傾斜回転軸20を中心として傾斜する。

【０００６】第２の特殊踏段11は第３の特殊踏段12の踏
板部分を連結し、斜辺走行時に踏段約２個分の踏面を形
成しうるように連結装置を備えた踏段である。この連結
装置は駆動部15ｂにより歯車21が回転しラック歯を有す
る連結棒22が進出退入して第３の特殊踏段12と連結、分
離を行なう。

【０００７】第３の特殊踏段12はその一部が前記第２の
特殊踏段11により連結されて広い踏面を構成する踏段
で、連結踏段部23、連結されない固定踏段部24を有して
いる。連結踏段部23と固定踏段部24はパンタグラフ25に
より結合され、連結踏段23の変位動作の自由度を規制し
ている。通常運転状態では固定踏段部24に取り付けられ
た駆動部15ｃにより保持子18ｃが突出し、連結踏段部23
の保持器19ｃと噛み合い、連結踏段部23と固定踏段部24
が一体となっている。第２と第３の特殊踏段の連結動作
時は、保持子18ｃが保持器19ｃより外れ、連結踏段部23
が第２の特殊踏段11に追従可能となる。さらに第３の特
殊踏段には車いす等の搭載時に車いす等の転落を防止す
るため、車止め25ａが設けられている。この車止め25ａ
は駆動部15ｃにより踏板上面より突出、退入する。

【０００８】図10は特殊踏段10，11，12が付勢され、車
いす等搭載可能な状態で斜辺部を走行している状態を示
す。図11および図12は特殊踏段の外観を示す図で、図11
は通常運転状態を、図12は車いす等搭載可能な状態を示
す。以上のように車いす等搬送可能なエスカレーターは
構成されており、複数の踏段が連結されて車いす搭載用
のスペースが確保される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車いす
運転時に踏段動作装置13のラック13ａがピニオン14ａ，
14ｂ，14ｃと係合する際、踏段動作装置13の動作が完全
でなかったり、完全に動作しても、ラック13ａとピニオ
ン14間に相互にその係合から離れる方向に力が作用し
て、ギアが噛み合わずこまとびが発生したりする。この
ように、踏段動作装置が所望の動作をしなかったり、こ
まとびが発生するとピニオン14へ充分な駆動力を伝える
ことができず、特殊踏段の変形動作が完全に行われない
ばかりか、踏段動作装置やピニオンの損傷を引起こし、
結果として、エスカレーターの非常停止にもつながると
いう問題がある。

【００１０】そこで、本発明の目的は、踏段動作装置の
動作機能を向上させ、安全確実に特殊踏段を変形させる
ようにした車いす兼用エスカレーターを提供することに
ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を達
成するために、請求項１対応の発明では、多数が連結さ
れて循環移動する踏段と、これらの踏段のうち少なくと
も１つ設けられ、車いす搭載用に変形動作が可能な特殊
踏段と、この特殊踏段に設けられ、変形動作の駆動源と
なるギアと、乗降口付近に設けられ、車いす運転時に前
記ギアと係合して駆動力を与えるラックと、このラック
と前記ギアとの係合を案内する案内手段とを備えた車い
す兼用エスカレーターを提供する。

【００１２】請求項３対応の発明は、案内手段を構成す
る案内レールと、ギアに駆動力を与えるラックとを一体
型にしたものである。請求項４対応の発明では、多数が
連結されて循環移動する踏段と、これらの踏段のうち少
なくとも１つ設けられ、車いす搭載用に変形動作が可能
な特殊踏段と、この特殊踏段に設けられ、変形動作の駆
動源となるギアと、乗降口付近に設けられ、車いす運転
時に前記ギアと係合して駆動力を与えるラックと、この
ラックを備えた昇降テーブルと、この昇降テーブルの昇
降動作を案内する摺動軸受と、車いす運転時に前記昇降
テーブルを上昇させる昇降駆動手段とを備えた車いす兼
用エスカレーターを提供する。請求項５対応の発明は、
昇降テーブルをリンク機構により支持するとともに、上
昇時に昇降テーブルが降下しないようにしたものであ
る。

【００１３】

【作用】請求項１対応の発明では、車いす運転時に、案
内手段によりラックとギアを案内して係合させ、ラック
からの駆動入力をギアに確実に伝え、特殊踏段の変形動
作を安全確実に行わせる。

【００１４】請求項３対応の発明は、一体型となった案
内レールとラックによりそれぞれ係合を案内し、かつギ
アに駆動入力を与える。請求項４対応の発明は、ラック
を備えた昇降テーブルを摺動軸受により案内し、車いす
運転時に、昇降テーブルを昇降駆動手段により上昇させ
て、特殊踏段に設けられたギアにラックを係合させるよ
うにする。請求項５対応の発明は、昇降テーブルをリン
ク機構により支持するとともに、上昇時に昇降テーブル
が降下しないようにする。

【００１５】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。図１は、本発明の踏段動作装置の構成を示すもので
あり、踏段動作装置30は、乗降口２，３に設置される本
体フレーム31と、本体フレーム31に昇降可能に支持され
る昇降テーブル32と、この昇降テーブル32を昇降動作さ
せるための昇降駆動装置33とを備えている。本体フレー
ム31には、昇降テーブル32の昇降を案内するための摺動
軸受34が計４つ設けられている。昇降テーブル32には、
摺動軸受34と係合するガイド35が設けられている。昇降
テーブル32の上面踏段側には、特殊踏段10，11，12のピ
ニオン14ａ，14ｂ，14ｃにそれぞれに係合して駆動力を
与えるためのラック36と、ピニオン14ａ，14ｂ，14ｃを
ラック36に係合するように案内するための案内レール37
が設けられている。昇降駆動装置33は、昇降テーブル32
を昇降案内するリンク機構38と、このリンク機構38に水
平方向の駆動を与えるための水平駆動機構39を備えてい
る。ここで水平駆動機構39は、リンク機構38に進退駆動
を伝えるための押引リンク40と、この押引リンク40の進
退動作を案内するためのローラ41と、ローラ41を案内す
るガイド41a と、押引リンク40へ水平方向の駆動力を与
えるためのリニアドモータラック42と、このリニアドモ
ータラック42を水平駆動させるためのリニアドモータ43
とを備えている。

【００１６】リンク機構38は、昇降テーブル32の裏面に
平行して２本水平に設けられた軸44ａ，44ｂと、この軸
44ａ，44ｂに一端が取付けられる上側リンク45ａ，45ｂ
と、本体フレーム31に２本水平に平行して設けられた軸
46ａ，46ｂと、この軸46ａ，46ｂに一端が取付けられる
下側リンク47ａ，47ｂと、上側リンク45ａの他端及び下
側リンク４７ａの他端を連結する連結軸48ａと、上側リ
ンク45ｂの他端及び下側リンク47ｂの他端を連結する連
結軸48ｂと、連結軸48ａと連結軸48ｂを連結する連結リ
ンク49とを備えており、連結軸48ａには押引リンク40が
連結されている。

【００１７】踏段動作装置30は、ラック36の昇降移動す
なわち昇降テーブル32の昇降移動を制御するため、リニ
アドモータラック42に設けられた上昇検知用ドグ50、下
降検知用ドグ51を備え、これらドグ50，51をそれぞれ上
昇検知用スイッチ52、下降検知用スイッチ53により検知
して、ラック36の上昇位置及び下降位置に正確にかつ完
全に停止制御させるようにしている。

【００１８】図２乃至図４は、特殊踏段10，11，12を示
し、それぞれピニオン14ａ，14ｂ，14ｃの隣に踏段動作
装置30の案内レール37に案内される案内ローラ54ａ，54
ｂ，54ｃが設けられている。

【００１９】次に、このように構成された踏段動作装置
30の動作について図５を用いて説明する。図５は、ラッ
ク36の上昇時及び下降時の状態を示すものである。通
常、ラック36を載せた昇降テーブル32は、図５（ｂ）に
示すように下降している。

【００２０】ここで、エスカレーターが車いす運転に切
替わると、リニアドモータ43が駆動し、リニアドモータ
ラック42を昇降テーブル32と反対方向（図面左方向）に
移動させる。リニアドモータラック42が移動すると、押
引リンク40が連結軸48ａを引張り、連結リンク49により
それぞれ上側リンク45ａ，45ｂ、下側リンク47ａ，47ｂ
を直立させ、昇降テーブル32を上昇させる。この時上側
リンク45ａ，45ｂ、下側リンク47ａ，47ｂは完全に垂直
になった状態よりさらに回動させ、断面く字状になった
点で、上昇検知用スイッチ52が働き、リニアドモータ43
を止めるようになっている。また、ラック36の上昇完了
時、押引リンク40のローラ41は、リニアドモータ43のフ
ランジ部43ａにより図面左方向への移動が阻止されるよ
うになっている。

【００２１】昇降テーブル32のラック36が上昇した後、
特殊踏段10，11，12が踏段動作装置30上を通過すると、
特殊踏段10，11，12にそれぞれ設けられた案内ローラ54
ａ，54ｂ，54ｃが案内レール37に案内され、同時にピニ
オン14ａ，14ｂ，14ｃが順にラック36に係合して、それ
ぞれの特殊踏段の変形動作を行わせている。変形した特
殊踏段10，11，12を通常の形状に戻すためには、それぞ
れピニオン14ａ，14ｂ，14ｃを逆回転させる必要がある
ため、降口側の踏段動作装置30は、図６に示すようにラ
ック36が乗口側の踏段動作装置30のラック36と反対面に
設けられ、かつ案内レール37との一体型で構成されてい
る。

【００２２】車いす運転終了時には、リニアドモータ43
が再起動してリニアドモータラック42を昇降テーブル32
の方向（図面右方向）へ移動させる。リニアドモータラ
ック42が移動すると押引リンク40により連結軸48ａが押
され、く字状だった上側リンク45ａ，45ｂ、下側リンク
47ａ，47ｂが一旦完全に直立し、ラック36を最上位にも
っていった後、逆く字状に折り曲げられ、所望の下降位
置にて下降検知用スイッチ53が働き、リニアドモータ43
の駆動を停止させる。

【００２３】このように本実施例によれば、それぞれの
特殊踏段10，11，12に案内ローラ54ａ，54ｂ，54ｃを設
け、かつ踏段動作装置30の昇降テーブル32上に案内ロー
ラ54a,54ｂ，54ｃをガイドする案内レール37を設けるよ
うにしたので、案内ローラ54ａ，54ｂ，54ｃによりそれ
ぞれのピニオン14ａ，14ｂ，14ｃが昇降テーブル32上の
ラック36に確実に係合し、こまとびすることなく安定し
た駆動力をピニオン14ａ，14ｂ，14ｃに伝えることがで
き、特殊踏段10，11，12の変形動作を安全確実に行わせ
ることができる。

【００２４】また、昇降テーブル32上に設けられたラッ
ク36と案内レール37を一体型に構成したため、昇降テー
ブル32のスペースを有効に使うことができ、踏段動作装
置30の小型化を図ることができ、コスト低減にもつなが
る。

【００２５】さらに、昇降テーブル32は、摺動軸受34に
より案内されるため、ガイド35と摺動軸受34との間にゴ
ミやホコリなどの塵埃が溜まることがなく、例えばエス
カレーターを屋外へ設置させた場合にも、安定した昇降
動作を与えることが可能になり、踏段動作装置30の動作
信頼性を向上させることができる。

【００２６】またさらに、昇降テーブル32をリンク機構
38により案内し、昇降テーブル32の上昇時に上側リンク
45ａ，45ｂ、下側リンク47ａ，47ｂをそれぞれ断面く字
状になったところで停止させるようにしているので、ラ
ック36や昇降テーブル32が上側より負荷を受けた時でも
ローラ41の移動方向がリニアドモータ43のフランジ部43
ａにより阻止されるため、昇降テーブル32が降下するこ
とがなく、ラック36とピニオン14ａ，14ｂ，14ｃの係合
を得ることができる。尚、本実施例では、押引リンク40
の水平方向の案内をローラ41とガイド41ａにより行って
いるが、摺動軸受により案内すれば、さらに動作信頼性
が向上する。

【００２７】

【発明の効果】以上本発明によれば、踏段動作装置の動
作機能を格段に向上させ、特殊踏段を安全確実に変形動
作させるようにしたので、車いす利用者を安全に搬送す
ることができ、車いす兼用エスカレーターの動作信頼性
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の車いす兼用エスカレーターの踏段動作
装置の外観図。

【図２】本発明の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の外観図。

【図３】本発明の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の外観図。

【図４】本発明の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の外観図。

【図５】本発明の車いす兼用エスカレーターの踏段動作
装置の動作説明図。

【図６】本発明の車いす兼用エスカレーターの踏段動作
装置の外観図。

【図７】本発明及び従来の車いす兼用エスカレーターの
全体構成図である。

【図８】従来の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段の
構成を示す図である。

【図９】従来の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段の
構成を示す図である。

【図１０】従来の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の構成を示す図である。

【図１１】従来の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の外観を示す斜視図である。

【図１２】従来の車いす兼用エスカレーターの特殊踏段
の外観を示す斜視図である。

【符号の説明】

９…踏段、10，11，12…特殊踏段、14ａ，14ｂ，14ｃ…
ピニオン、30…踏段動作装置、32…昇降テーブル、34…
摺動軸受、36…ラック、37…案内レール、38…リンク機
構、39…水平駆動機構、54ａ，54ｂ，54ｃ…案内ロー
ラ。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数が連結されて循環移動する踏段と、
   これらの踏段のうち少なくとも１つ設けられ、車いす搭
   載用に変形動作が可能な特殊踏段と、この特殊踏段に設
   けられ、変形動作の駆動源となるギアと、乗降口付近に
   設けられ、車いす運転時に前記ギアと係合して駆動力を
   与えるラックと、このラックと前記ギアとの係合を案内
   する案内手段とを備えたことを特徴とする車いす兼用エ
   スカレーター。
2. 【請求項２】 請求項１記載の車いす兼用エスカレータ
   ーにおいて、案内手段は、前記特殊踏段に設けられる案
   内ローラと、乗降口付近に設けられる案内レールとを備
   えたことを特徴とする車いす兼用エスカレーター。
3. 【請求項３】 請求項２記載の車いす兼用エスカレータ
   ーにおいて、案内レールと前記ラックとを一体型にした
   ことを特徴とする車いす兼用エスカレーター。
4. 【請求項４】 多数が連結されて循環移動する踏段と、
   これらの踏段のうち少なくとも１つ設けられ、車いす搭
   載用に変形動作が可能な特殊踏段と、この特殊踏段に設
   けられ、変形動作の駆動源となるギアと、乗降口付近に
   設けられ、車いす運転時に前記ギアと係合して駆動力を
   与えるラックと、このラックを備えた昇降テーブルと、
   この昇降テーブルの昇降動作を案内する摺動軸受と、車
   いす運転時に前記昇降テーブルを上昇させる昇降駆動手
   段とを備えたことを特徴とする車いす兼用エスカレータ
   ー。
5. 【請求項５】 請求項４記載の車いす兼用エスカレータ
   ーにおいて、前記昇降テーブルを支持するとともに、車
   いす運転時に上昇した昇降テーブルの降下を阻止するよ
   うにしたリンク機構を備えことを特徴とする車いす兼用
   エスカレーター。