JPH07322885A - シス−3−ヒドロキシ−l−プロリンの製造法 - Google Patents

シス−3−ヒドロキシ−l−プロリンの製造法

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JPH07322885A
JPH07322885A JP20958894A JP20958894A JPH07322885A JP H07322885 A JPH07322885 A JP H07322885A JP 20958894 A JP20958894 A JP 20958894A JP 20958894 A JP20958894 A JP 20958894A JP H07322885 A JPH07322885 A JP H07322885A
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英郎 森
Takeshi Shibazaki
剛 柴崎
Katsuhiko Ando
勝彦 安藤
Keiko Ochiai
恵子 落合
Shigeru Chiba
繁 千葉
Yoichi Uosaki
洋一 宇於崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 医薬品原料または食品添加物として有用なシ
ス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを工業的に有利に製
造する方法および該方法に有用なL−プロリン3位水酸
化酵素を提供する。 【構成】 L−プロリンからシス−3−ヒドロキシ−L
−プロリンへの水酸化反応を触媒する酵素源、二価鉄イ
オンおよび2−ケトグルタル酸の存在下、培養物中もし
くは水性媒体中でL−プロリンをシス−3−ヒドロキシ
−L−プロリンに変換させ、生成したシス−3−ヒドロ
キシ−L−プロリンを、該培養物中もしくは該水性媒体
中より採取することを特徴とするシス−3−ヒドロキシ
−L−プロリンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品の合成原料また
は食品添加物として有用なシス−3−ヒドロキシ−L−
プロリンを工業的に有利に製造する方法および該方法に
有用な新規L−プロリン3位水酸化酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンの製造法としては、化学的に合成する方法が知られ
ている〔ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル
ソサイアティ(J. Amer. Chem. Soc. )、84、39
80(1962)、同書、85、2824(196
3)、ネーチャー(Nature )、289、310(198
1)、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー
(J. Org. Chem. )、54、1866(1989)、ア
クタ ケミカ スカンジナビカ(Acta Chemica Scandin
avica )、43、290(1989)〕。
【0003】L−プロリンを直接、位置および立体選択
的に水酸化して、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン
を製造する方法は、合成化学的方法および生物機能を利
用した方法ともに、これまで報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の化学合成による
シス−3−ヒドロキシ−L−プロリンの製造方法は、
(1)原料が高価である、(2)反応工程が長い、
(3)分離精製工程が複雑である、(4)生産効率が低
い、などの点で工業的製造方法としては必ずしも満足で
きる方法ではなく、工業的に有利なシス−3−ヒドロキ
シ−L−プロリンの製造方法が求められている。
【0005】本発明の目的は、発酵法によって安価な糖
源から工業的に安価に生産されているL−プロリンを直
接微生物的あるいは酵素的に水酸化することにより、工
業的に簡便かつ有利にシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンを製造する方法および該方法に有用なL−プロリン
3位水酸化酵素を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、L−プ
ロリンからシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンへの水
酸化反応を触媒する酵素源、二価鉄イオンおよび2−ケ
トグルタル酸の存在下、培養物中もしくは水性媒体中で
L−プロリンをシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンに
変換させ、生成したシス−3−ヒドロキシ−L−プロリ
ンを、該培養物中もしくは該水性媒体中より採取するこ
とを特徴とするシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンの
製造法および新規なL−プロリン3位水酸化酵素を提供
することができる。
【0007】本発明のシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンの製造法で用いられる酵素源は、L−プロリンを水
酸化してシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを生成す
る反応を触媒する活性を有していれば、微生物、その培
養物、菌体、菌体処理物、精製酵素または粗酵素のいず
れでもよい。微生物の好適な例としては、ストレプトマ
イセス(Streptomyces)属、あるいはバチルス( Bacill
us)属に属する微生物があげられる。具体的には、スト
レプトマイセス カヌス(Streptomyces canus)ATCC 1
2647およびATCC 12646、ストレプトマセス エスピー
Streptomyces sp.)TH1、バチルス エスピー(Ba
cillus sp.)TH2およびTH3、あるいはこれらの菌
株の継代培養物、突然変異体もしくは誘導体などがあげ
られる。
【0008】ストレプトマイセス エスピー(Streptom
yces sp.)TH1は本発明者らが土壌から新たに分離し
た微生物である。以下にストレプトマイセス エスピー
Streptomyces sp.)TH1の菌学的性質を示す。 1.形態的性質 TH1株の形態的性質を第1表に示す。
【0009】
【表1】
【0010】2.培養的性質 TH1株は、一般に使用されている合成および天然培地
で普通もしくは旺盛な生育を示し、基生菌糸は淡桃色、
橙色あるいは緑褐色系を示す。培地により茶色あるいは
黒色系統の可溶性色素が産生されることもある。各種培
地上での28℃、14日間培養した時の特徴を第2−
(1)表および第2−(2)表に示す。なお、色の表示はColo
r Harmony Manual (Container Corporation of Americ
a) による色の分類に従った。
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】3.生理学的性質 TH1株の生理学的性質を第3表に示す。生育温度範囲
は7日後の、その他は28℃、2〜3週間後の結果を記
述する。
【0014】
【表4】
【0015】4.化学分類学的性質 菌体中のジアミノピメリン酸の光学異性体;LL型 以上、形態的には、気菌糸に螺旋状に10個以上の胞子
からなる胞子鎖を形成すること、化学分類的には、細胞
壁がI型(LL−ジアミノピメリン酸)であることか
ら、本菌株は放線菌の中でストレプトマイセス属に分類
される。
【0016】本菌株をストレプトマイセス・エスピー
Streptomyces sp.)TH1と命名し、ブダペスト条約
に基づいて平成5年9月1日付けで工業技術院生命工学
工業技術研究所にFERM BP-4399として寄託した。バチル
ス エスピー(Bacillus sp.)TH2およびTH3は土
壌から本発明者らが新たに分離した微生物である。以下
に両株の菌学的性質を示す。
【0017】細胞の大きさが、TH2は1. 5〜1. 8
×3〜4μm、TH3は1. 2〜1. 5×3. 5〜4μ
m、DNA の塩基組成(G+Cmol%)がTH2は36. 4
6%、TH3は37. 74%である以外は2菌株ともに
以下の性質を有している。 1.形態的性質 TH2およびTH3の形態的性質を第4表に示す。
【0018】
【表5】
【0019】2.培養的性質 TH2およびTH3の培養的性質を第5表に示す。
【0020】
【表6】
【0021】3.生理学的性質 TH2およびTH3の生理学的性質を第6−(1)表およ
び第6−(2)表に示す。
【0022】
【表7】
【0023】
【表8】
【0024】4.その他の諸性質を第7表に、化学分類
学的性質を第8表に示す。
【0025】
【表9】
【0026】
【表10】
【0027】以上の菌学的性質を有する菌について、バ
ージェイのマニュアル(Bergey's Manual of Systemati
c Bacteriology, Vol. 2, 1986年)の記載と照合し
た。以上の結果から、2菌株はいずれも、バチルス(Ba
cillus)属に属する細菌と同定し、各々、バチルス・エ
スピー(Bacillus sp.)TH2、バチルス・エスピー
Bacillus sp.)TH3と命名し、それぞれブダペスト
条約に基づいて平成5年9月1日付けで工業技術院生命
工学工業技術研究所にFERM BP-4397およびFERMBP-4398
として寄託した。
【0028】これらの微生物を培養する培地は、微生物
が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、
L−プロリンを水酸化してシス−3−ヒドロキシ−L−
プロリンを生成する反応を触媒する活性を有する微生物
の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培
地のいずれでもよい。炭素源としては、それぞれの微生
物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラク
トース、シュークロース、これらを含有する糖蜜、デン
プンあるいはデンプン加水分解物などの炭水化物、酢
酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノ
ールなどのアルコール類が用いられる。
【0029】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、りん酸
アンモニウムなどの各種無機酸や有機酸のアンモニウム
塩、その他含窒素化合物、ならびに、ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体
およびその消化物などが用いられる。
【0030】無機物としては、りん酸第一カリウム、り
ん酸第二カリウム、りん酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養は、振盪
培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行
う。培養温度は15〜37℃がよく、培養時間は、通常
16〜96時間である。培養中pHは、5. 0〜9. 0
に保持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、ア
ルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを
用いて行う。
【0031】これら酵素源の反応液中における酵素活性
量は用いる基質の量などにより決定されるが、1.0〜
10,000,000U/l、好ましくは1,000〜
2,000,000U/lである。微生物の菌体および
菌体処理物を用いる場合、その濃度は、通常は湿菌体で
1〜300g/lである。酵素活性は、下記測定条件
下、1分間に1nmolのシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンを生成する活性を1単位(U)として表示する。5
mM L−プロリン、5mM 2−ケトグルタル酸、1
mM 硫酸第一鉄および5mM L−アスコルビン酸を
含有する100mMのTES緩衝液(pH7. 0)に酵
素標品を添加して合計100μlとし、35℃、10分
間反応する。反応液を100℃、2分間加熱して反応を
停止した後に、反応液中に生成したシス−3−ヒドロキ
シ−L−プロリンを高速液体クロマトグラフィーを用い
て定量する。
【0032】定量にはシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンを定量できる方法であればどのような方法を用いて
もよいが、例えば通常高速液体クロマトグラフィーを用
いたポストカラム誘導体化法あるいは反応液中の目的化
合物を予めNBDクロライド(7−クロロ−4−ニトロ
ベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル)を用い、NB
D誘導体化しておき、これを高速液体クロマトグラフィ
ーを用いた逆相クロマトグラフィーにかけてNBD誘導
体化物を分離後、その蛍光(励起波長 503nm、蛍
光波長 541nm)を用いて定量する方法(プレカラ
ム誘導体化法)などがあげられる。なおプレカラム誘導
体化法による検出は、ウィリアム J リンドブラッド
およびロバート F ディーゲルマンらの方法〔アナリ
ティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemis
try )、138、390、(1984)〕にしたがって
行う。L−プロリンからシス−3−ヒドロキシ−L−プ
ロリンへの水酸化反応に用いるL−プロリンの濃度は、
1mM〜2Mである。
【0033】反応には二価鉄イオンが必要とされ、通常
1〜100mMが用いられる。二価鉄イオンとしては、
二価鉄を含み反応を阻害しないものであれば、どのよう
なものでも用いることができる。たとえば硫酸第一鉄な
どの硫化物、塩化第一鉄などの塩化物、炭酸第一鉄など
のほか、クエン酸塩、乳酸塩、フマル酸塩などのような
有機酸塩などをあげることができる。
【0034】また反応には、2−ケトグルタル酸が必要
とされるが、反応液に2−ケトグルタル酸を添加しても
よいし、あるいは用いる菌体および菌体処理物の有する
代謝活性によって2−ケトグルタル酸に転換し得る化合
物を用いてもよい。このような化合物としては、グルコ
ースのような糖質、グルタミン酸、コハク酸などがあげ
られる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、ある
いは複数を併用してもよい。
【0035】水性媒体としては、水、りん酸塩、炭酸
塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝
液、およびメタノール、エタノールなどのアルコール
類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケト
ン類、アセトアミドなどのアミド類などの有機溶媒を含
有した水溶液があげられる。反応はL−プロリンを水酸
化してシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを生成する
反応を触媒する活性を有している前記微生物の培養物中
でおこなってもよいし、該培養物から分離した菌体ある
いは該菌体の処理物あるいは精製酵素や粗酵素を用いて
水性媒体中でおこなってもよい。
【0036】菌体処理物としては、菌体の乾燥物、凍結
乾燥物、界面活性剤および/または有機溶剤処理物、酵
素処理物、超音波処理物、機械的摩砕処理物、溶媒処理
物、菌体の蛋白分画、菌体および菌体処理物の固定化物
などがあげられる。また、該菌体より抽出した水酸化酵
素活性を有する酵素、それらの酵素の精製標品、固定化
物なども用いられる。反応は、通常、温度15〜50
℃、pH6. 0〜9. 0で1〜96時間行う。必要に応
じて、菌体処理あるいは反応時に界面活性剤や有機溶剤
を添加する。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン
・ステアリルアミン(たとえば、ナイミーンS−21
5、日本油脂社製など)、セチルトリメチルアンモニウ
ム・ブロマイド、カチオンFB、カチオンF2−40E
などのカチオン性界面活性剤、ナトリウムオレイルアミ
ド硫酸、ニューレックスTAB、ラビゾール80などの
アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン
・モノステアレート(たとえば、ノニオンST221)
などの両性界面活性剤、その他三級アミンPB、ヘキサ
デシルジメチルアミンなどがあげられ、反応を促進する
ものであればいずれでも使用できる。これらは通常0.
1〜50mg/ml 、好ましくは1〜20mg/ml の濃度で用
いられる。
【0037】有機溶剤としては、トルエン、キシレン、
脂肪族アルコール、ベンゼン、酢酸エチルなどが用いら
れる。通常0.1〜50μl/ml、好ましくは1〜20μ
l/mlの濃度で用いられる。培養物中または水性媒体中か
らシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを回収する方法
としては、イオン交換樹脂などを用いるカラムクロマト
グラフィーあるいは晶出法など、通常の分離方法が用い
られる。回収されたシス−3−ヒドロキシ−L−プロリ
ンは13C−NMRスペクトル、1H−NMRスペクトル、
マススペクトル、比旋光度などの通常の分析手段によっ
てその構造を確認することができる。
【0038】次に本発明のL−プロリン3位水酸化酵素
の取得方法を説明する。該酵素はL−プロリン3位水酸
化酵素を生産する能力を有する微生物を培養し、培養物
中にL−プロリン3位水酸化酵素を生成蓄積させ、該培
養物からL−プロリン3位水酸化酵素を採取することに
より得られる。L−プロリン3位水酸化酵素を生産する
能力を有する微生物であれば、野生株でも、その継代培
養物でも、突然変異体、誘導体などいずれの微生物も用
いることができる。好適な例としては、ストレプトマイ
セス(Streptomyces)属あるいはバチルス(Bacillus
属に属し、かつL−プロリン3位水酸化酵素を生産する
能力を有する微生物があげられる。具体的には前述した
ストレプトマイセス カヌス(Streptomyces canus)AT
CC 12647およびATCC 12646、ストレプトマイセエスピー
Streptomyces sp.)TH1、バチルス エスピー(Ba
cillus sp.)TH2およびTH3、あるいはこれらの菌
株の継代培養物、突然変異体もしくは誘導体などがあげ
られる。
【0039】このような微生物を培養する培地は、微生
物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有
し、L−プロリン3位水酸化酵素を生成する能力を有す
る微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培
地、合成培地のいずれでもよい。炭素源としては、それ
ぞれの微生物が資化し得るものであればよく、グルコー
ス、フラクトース、シュークロース、これらを含有する
糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物などの炭水
化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、
プロパノールなどのアルコール類が用いられる。
【0040】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、りん酸
アンモニウムなどの各種無機酸や有機酸のアンモニウム
塩、その他含窒素化合物、ならびに、ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体
およびその消化物などが用いられる。
【0041】無機物としては、りん酸第一カリウム、り
ん酸第二カリウム、りん酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養は、振盪
培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行
う。培養温度は15〜37℃がよく、培養時間は、通常
16〜96時間である。
【0042】培養中pHは、5. 0〜9. 0に保持す
る。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶
液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行
う。培養の際、必要に応じてL−プロリンを添加しても
よい。
【0043】培養液から酵素を単離精製するには、通常
の酵素の単離、精製法を用いればよい。例えば、培養液
を遠心分離して集菌した後に、超音波破砕やフレンチプ
レス、マントンガウリン、ダイノミルなどによる機械的
破砕により無細胞抽出液を得る。遠沈後の上清を、硫安
などによる塩析、DEAE(ジエチルアミノエチル)−セフ
ァロースなどの陰イオン交換クロマトグラフィー、ブチ
ルセルロース、フェニルセルロースなどの疎水性クロマ
トグラフィー、分子篩を用いたゲル濾過法、等電点電気
泳動などの電気泳動法などを行い、精製酵素標品を得
る。得られた酵素標品の理化学的特徴は、通常の酵素学
的手法により特定できる。
【0044】このようにして得られたL−プロリン3位
水酸化酵素は、下記(1)〜(11)の理化学的性質を
有する。 (1) 作用および基質特異性 2−ケトグルタル酸および2価鉄イオンの存在下、遊離
のL−プロリンに作用して、シス−3−ヒドロキシ−L
−プロリンを生成する。 (2) 至適pH 30℃、20分間の反応において、pH6. 5〜7. 5
に至適pHを有する。 (3) pH安定性 4℃、23時間の処理で、pH6. 5〜8. 0の範囲で
安定に保たれる。 (4) 至適温度 pH7. 0、15分間の反応において、35〜40℃に
至適温度を有する。 (5) 温度安定性 pH7. 5、50℃、30分間の処理で失活する。 (6) 阻害剤 Zn++、Cu++、Co++およびBa++の金属イオンおよびEDT
Aにより阻害を受ける。 (7) 活性化 活性化には補酵素を必要としない。反応液へのL−アス
コルビン酸の添加は、反応を促進する。 (8) Km値 100mMのTES緩衝液(pH7. 0)中に5mM
L−アスコルビン酸、1mM硫酸第一鉄および酵素標品
を含有する反応液中で測定したL−プロリンに対するK
m値は0. 49mMであり、2−ケトグルタル酸に対す
るKm値は0.11mMである。 (9) 等電点 ファストシステム(Phast system;ファルマシア社製)
で測定した等電点が、4. 3である。 (10)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動
法による測定で、35,000±5,000である。 (11)N末端アミノ酸配列 配列番号1で表されるN末端アミノ酸を有する。
【0045】以下に本発明の実施例を示す。
【0046】
【実施例】
【0047】実施例1.シス−3−ヒドロキシ−L−プ
ロリンの生成 SR3培地〔グルコース 1. 0%、可溶性澱粉 1.
0%、酵母エキス 0. 5%、トリプトン 0. 5%、
肉エキス 0. 3%およびりん酸マグネシウム0. 05
%を含み、6N NaOHでpH7. 2に調整した培地〕を試
験管(径25mm × 200mm)に10mlずつ分
注し、120℃、20分間殺菌した。この培地に、HT
寒天平板培地〔可溶性澱粉 1%、NZアミン 0. 2
%、酵母エキス 0. 1%、肉エキス 0. 1%および
寒天 1. 5%を含み、6N NaOHでpH7. 2に調整
後、120℃、20分間殺菌した培地〕に生育したスト
レプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)TH1
を一白金耳植菌し、28℃、2日間振盪培養し、種培養
液として用いた。本種培養液を更に2リッター三角フラ
スコに分注、120℃、20分間殺菌した200mlの
SR3培地に植菌し、28℃、2日間振盪培養をした。
この培養液を、5リッタージャーファーメンターに分注
した2リッターのDf3培地〔可溶性澱粉 5%、コー
ンスティープリカー 3. 0%、りん酸一カリウム
0. 05%、硫酸マグネシウム7水塩0. 05%および
炭酸カルシウム 0. 5%を含み、6N NaOHでpH7.
0に調整した培地〕に無菌的に接種し、700rpm、
1vvm、の条件で28℃、2日間培養した。培養中の
pHは無調整で行った。得られた培養液を15,000
×g、10分間、4℃で遠心分離し、湿菌体を培養液1
リッター当たり75g得た。湿菌体は4℃で生理食塩水
で洗浄し、遠心後使用時まで−80℃で凍結保存した。
【0048】得られた湿菌体1. 0gを、10mlの反
応液(a) 〔5mM L−プロリン、5mM α−ケトグ
ルタル酸、5mM L−アスコルビン酸および1mM
硫酸第一鉄を含有する100mM TES緩衝液(pH
7. 5)にナイミーン溶液(ナイミーンS−215(日
本油脂株式会社製)4gをキシレン10mlに溶解)を
1. 4%(v/v)添加〕に懸濁し、30℃、5時間反
応を行った。
【0049】反応後、菌体反応液より菌体を遠心除去
し、上清中に生成したシス−3−ヒドロキシ−L−プロ
リンについて分析を行った。分析は、高速液体クロマト
グラフィーでポストカラム誘導体化法を用いて、以下の
条件で分析した。検出は、目的化合物をカラム溶出後、
ライン上でNBD誘導体化し、NBD誘導体化物の蛍光
を用いて行った。高速液体クロマトグラフィー分析条件 [1]装置: 島津製作所製高速液体クロマトグラフィー クロマトパック CR6A システムコントローラー SCL-6B オートインジェクター SIL-6B 送液ポンプ LC-6A カラムオーブン CTO-6A 化学反応槽 CRB-6A 蛍光検出器 RF-550A [2]使用カラム:SUMCHIRAL OA5000(株式会社住化分
析センター製)(径4.5mm × 250mm) [3]分析条件: 1)移動相 :1mM 硫酸銅水溶液 2)同上流速 :1.0 ml/分 3)カラム温度 :38℃ 4)緩衝液 :0.3M 硼酸緩衝液(pH9.6) 25mM EDTA 5)同上流速 :0.2 ml/分 6)NBDクロライド溶液:0.5g/l メタノール溶液 7)同上流速 :0.5 ml/分 8)反応温度 :60℃ 9)反応時間 :約3分 10)検出波長 :励起波長 503nm 蛍光波長 541nm 11)試料 :10μl その結果、反応液中に910μM(119mg/l)の
シス−3−ヒドロキシ−L−プロリンが生成していた。
【0050】実施例2.シス−3−ヒドロキシ−L−プ
ロリンの精製 実施例1で得られた湿菌体100gを1リッターの反応
液(a) に懸濁し、2リッタービーカー中、攪拌しつつ、
30℃、5時間、反応を行った。反応後、菌体反応液よ
り菌体を遠心除去した上清中に生成したシス−3−ヒド
ロキシ−L−プロリンについて分析を行った。その結
果、反応液中に809μM(106mg/l)のシス−
3−ヒドロキシ−L−プロリンが生成していた。
【0051】反応液上清を、pHを4.5に調整した後
に、イオン交換樹脂ダイヤイオンSK1B(NH4
+ 型、三菱化成社製)200mlに通塔した。シス−3
−ヒドロキシ−L−プロリンを含む画分を減圧下濃縮
後、イオン交換樹脂ダイヤイオンPA412 (OH- 型、三菱
化成社製)20mlに通塔した。シス−3−ヒドロキシ
−L−プロリンを含む画分を減圧濃縮後、pHを9. 6
とした後に、10%容量のo−フタルアルデヒド溶液
(0. 075g/mlエタノール溶液)および2%容量
のβ−メルカプトエタノール溶液(10%v/v水溶
液)を加え、60℃、5分間保持し、侠雑一級アミノ酸
をo −フタルアルデヒド化した。セパビーズSP207
(三菱化成社製)10mlに通塔し、o −フタルアルデ
ヒド化した侠雑一級アミノ酸とシス−3−ヒドロキシ−
L−プロリンを分離した。シス−3−ヒドロキシ−L−
プロリンを含む画分を減圧濃縮後、再度イオン交換樹脂
ダイヤイオンPA412 (OH- 型、三菱化成社製)20ml
に通塔し、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを含む
画分を得た。本画分を濃縮乾燥し、シス−3−ヒドロキ
シ−L−プロリンの白色結晶68mgを得た(収率63
%)。
【0052】上記化合物の理化学的性質は以下のとおり
である。 比旋光度:[α]D 21=−93. 4°(c=0. 50
3、H2O ) FAB-マススペクトル:132(M+H)+ 13 C−NMRスペクトル(D2O 、125MHz)ppm :
33. 9、44. 5、68. 3、71. 6、171. 31 H−NMRスペクトル(D2O 、500MHz)ppm :
2. 18(1H)、2. 27(1H)、3. 52(1
H)、3. 62(1H)、4. 18(1H)、4. 77
(1H) 上記の比旋光度、マススペクトルによる測定分子量、1H
−NMRスペクトル、 13C−NMRスペクトルなどの分
析結果は、文献記載値〔ザ ジャーナル オブバイオロ
ジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、241、1
300(1966)〕〔ジャーナル オブ アンチビオ
ティックス(J. Antibiotics)、45、824(199
2)〕および、文献記載の方法に従って合成した化学合
成シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン〔リービッヒス
アナーレン デア ケミー(Liebigs Ann. Chem.)、
1881、(1979)〕〔テトラヘドロン(Tetrahed
ron )、42、2421、(1986)〕と一致した。
【0053】実施例3.シス−3−ヒドロキシ−L−プ
ロリンの生成 ストレプトマイセス カヌス(Streptomyces canus)AT
CC 12647およびATCC 12646、バチルス エスピー(Baci
llus sp.)TH2およびTH3を用いてL−プロリンの
水酸化を行った。SR3培地〔グルコース 1. 0%、
可溶性澱粉 1. 0%、酵母エキス 0. 5%、トリプ
トン0. 5%、肉エキス 0. 3%およびりん酸マグネ
シウム0. 05%を含み、6N NaOHでpH7. 2に調整
した培地〕を試験管(径25mm × 200mm)に
10mlずつ分注し、120℃、20分間殺菌した。こ
の培地に、HT寒天平板培地に生育した各菌株を一白金
耳植菌し、28℃、1日間振盪培養し、種培養液として
用いた。
【0054】一方、Df4培地〔グリセロール 2. 5
%、グルコース 2. 5%、、ソイビーンミール 1.
5%、りん酸1カリウム 0. 05%、硫酸マグネシウ
ム7水塩 0. 05%、炭酸カルシウム 0. 5%を含
み、6N NaOHでpH7. 0に調整した培地〕を試験管
(径25mm × 200mm)に10mlずつ分注
し、120℃、20分間殺菌した。この培地に、種培養
液1mlを無菌的に接種し、28℃、1日間振盪培養し
た。得られた培養液2mlを、15,000×g、10
分間、4℃で遠心した。得られた菌体を80mM TE
S緩衝液(pH7.5)で洗浄後、遠心した。得られた
湿菌体を、1mlの反応液(a) に懸濁し、30℃、3時
間反応を行った。
【0055】その結果反応液中に、各々、242μM、
202μM、318μM、141μMのシス−3−ヒド
ロキシ−L−プロリンが生成していた。
【0056】実施例4.シス−3−ヒドロキシ−L−プ
ロリンの生成 バチルス エスピー(Bacillus sp.)TH2およびTH
3を、Df4培地のかわりにL−プロリン1g/lを添
加したDf2培地〔可溶性澱粉 5%、乾燥酵母 1.
5%、りん酸1カリウム 0. 05%、硫酸マグネシウ
ム7水塩 0.05%、炭酸カルシウム 0. 5%を含
み、6N NaOHでpH7. 0に調整した培地〕を用いて、
実施例3と同様に、種培養1日、Df2培地で1日培養
を行った。その結果培養液上清中にTH2株で745μ
M(97. 6mg/l)、TH3株で327μM(4
2. 8mg/l)のシス−3−ヒドロキシ−L−プロリ
ンが生成していた。
【0057】実施例5 L−プロリン3位水酸化酵素の
単離精製 (1) 無細胞抽出液の調製 実施例2で得た凍結菌体30gを溶解後、200mlの
緩衝液(A) 〔1mMジチオスレイトール(DTT)、
0. 2mM EDTA 、0. 1%(v/v)ツイーン20
(Tween 20)および10%(v/v)グリセロールを含
む20mMピペラジン緩衝液(6N HClでpHを
5. 3に調整)〕に氷冷下懸濁した。懸濁液中の菌体
を、氷冷下超音波破砕し、4℃、30,000×g、3
0分間遠心後、上清を得た。これ以降の操作は全て氷冷
下ないしは4℃で行った。 (2) カラムクロマトグラフィーによる単離および精製 (2)-1.酸処理 前記工程で得た上清のpHを6N塩酸で4. 5に調整
後、生じた沈殿を15、000g、30分間遠心除去
し、上清を得た。
【0058】(2)-2.リソースQカラムクロマトグラフィ
ー(I) 前記工程で得た上清を、緩衝液(A) で平衡化したファル
マシア社製のリソースQカラム(RESOURCETM Q, 6ml )
に通塔した。緩衝液(A) で洗浄後、該酵素を含む画分を
緩衝液(A) 中に作成した0から0. 3M間での食塩の直
線濃度勾配を用いて溶出した。
【0059】(2)-3.リソースQカラムクロマトグラフィ
ー(II) 前記工程で得た活性画分を、緩衝液(B) 〔1mM DT
T、0. 2mM EDTAおよび10%(v/v)グリセロ
ールを含む20mM TES緩衝液(pHを7. 5に調
整)〕で3倍に希釈後、緩衝液(B) で平衡化したファル
マシア社製のリソースQカラム(RESOURCETM Q, 1ml )
に通塔した。緩衝液(B) で洗浄後、該酵素を含む画分を
緩衝液(B) 中に作成した0から0. 3M間での食塩の直
線濃度勾配を用いて溶出した。
【0060】(2)-4.フェニルセファロースクロマトグラ
フィー 前記工程で得た活性画分に、食塩を2Mになるように添
加溶解し、2M食塩を含む緩衝液(B) で平衡化したフェ
ニルセファロースカラム(Phenyl Sepharose HP HiLoa
d, 1ml )に通塔した。2M食塩を含む緩衝液(B) で洗
浄後、該酵素を含む画分を、0. 1%(v/v)ツイー
ン20(Tween 20)を含む緩衝液(B) を用いて溶出し
た。
【0061】(2)-5.リソースQカラムクロマトグラフィ
ー(III) 前記工程で得た活性画分を緩衝液(A) で平衡化したファ
ルマシア社製PD−10カラムを用いて脱塩後、緩衝液
(A) で平衡化したファルマシア社製のリソースQカラム
(RESOURCETM Q, 1ml )に通塔した。緩衝液(A) で洗浄
後、該酵素を含む画分を緩衝液(A) 中に作成した0から
0. 3M間での食塩の直線濃度勾配を用いて溶出した。
【0062】(2)-6.リソースQカラムクロマトグラフィ
ー(IV) 前記工程で得た活性画分を、0. 1%(v/v)ツイー
ン20(Tween 20)を含む緩衝液(B) で3倍に希釈後、
緩衝液(B) で平衡化したファルマシア社製のリソースQ
カラム(RESOURCETM Q, 1ml )に通塔した。緩衝液(B)
で洗浄後、該酵素を含む画分を緩衝液(B) 中に作成した
0から0. 3M間での食塩の直線濃度勾配を用いて溶出
した。L−プロリン3位水酸化酵素の単離および精製の
概要を第9表にまとめた。
【0063】
【表11】
【0064】実施例6.L−プロリン3位水酸化酵素の
性質 (1) 電気泳動による分析 実施例5で得られた精製酵素標品を、ドデシル硫酸ナト
リウム−ポリアクリルアミド電気泳動法(ATTO社製ポリ
アクリルアミドPAGEL NPU-12.5Lおよびバイオラッド社
製分子量スタンダードSDS-PAGE Molecular Weight Stan
dard Broad Rangeを使用)によって分析した。その結果
本酵素は分子量約35,000±5,000のほぼ均一
なサブユニットからなることが明かとなった。 (2) 酵素反応に関する性質 以下の反応液を用いて、反応成分の基質省略テスト(オ
ミッションテスト)および添加物テストを行うことによ
り、L−プロリン3位水酸化酵素反応の必須化合物、促
進化合物、阻害化合物の検討を行った。
【0065】基本となる反応液組成は、5mM L−プ
ロリン、5mM 2−ケトグルタル酸、1mM 硫酸第
一鉄、5mM L−アスコルビン酸および酵素標品を含
有する100mMのTES緩衝液(pH7. 0)で、液
量は合計100μlとした。反応は酵素の添加によって
開始し、35℃、10分間反応する。反応液を100
℃、2分間加熱して反応を停止した後に、反応液中に生
成したシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンをプレカラ
ム誘導体化法によって高速液体クロマトグラフィーを用
いて定量した。反応液100μlに0. 3M硼酸緩衝液
(pH10. 7)100μl、10%(v/v)メルカ
プトエタノール水溶液4μlおよび5%(w/v)o −
フタルアルデヒドのエタノール溶液16μlを添加し6
0℃、30秒間放置した。更に2%(w/v)NBDク
ロライドのエタノール溶液50μlを加え、60℃、4
0分間反応した。1N塩酸30μlを加えて反応を停止
後、沈殿を遠心およびフィルター濾過により除去した
後、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行い、生
成したシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを定量し
た。高速液体クロマトグラフィーは、以下の条件で行っ
た。 移動相:10mMクエン酸(pH4. 0)/メタノール
=3/1(v/v) 流速:1ml/分 カラム:YMC Pack ODS AQ-312 (YMC社性、6×15
0mm) カラム温度:50℃ 検出:蛍光検出、励起波長503nm、蛍光波長541
nm その結果、L−プロリン3位水酸化酵素反応にはL−プ
ロリン、2−ケトグルタル酸、Fe++イオンが必須であ
り、L−アスコルビン酸は反応を促進、またZn++、C
u++、Co++およびBa++イオンおよびEDTAの添加は反応を
阻害した。結果を第10表に示す。
【0066】
【表12】
【0067】(3) 至適pH L−プロリン3位水酸化酵素の活性測定法において、反
応液中の緩衝液成分を、pH5. 5〜6. 0はMES 〔2
−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸〕緩衝液、pH
6. 5〜7. 5はPIPES 〔ピペラジン−N,N’−ビス
(2−エタンスルホン酸〕緩衝液、pH7. 0〜8. 0
はTES緩衝液、pH8. 0〜9. 0はTAPS〔N−トリ
ス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンス
ルホン酸〕緩衝液に置換え反応を行った結果、pH6.
5〜7. 5で最高活性の80%以上の活性を示した。結
果を第11表に示す。
【0068】
【表13】
【0069】(4) pH安定性 緩衝液(B) 中の本酵素液を100mM緩衝液〔pH5.
5〜6. 5はMES 緩衝液、pH6. 1〜7. 5はPIPES
緩衝液、pH7. 0〜8. 0はTES緩衝液、pH8.
0〜9. 0はTAPS緩衝液〕で3倍に希釈し、4℃、23
時間保持した後、活性を測定した。pH6. 5〜8. 0
の範囲で保持した酵素は保持前の活性の80%以上の活
性を有しており、pH6. 5〜8. 0の範囲で活性は安
定に保たれた。 (5) 至適温度 L−プロリン3位水酸化酵素の活性測定において、15
〜50℃の温度範囲で15分間反応を行った結果、35
〜40℃で最高活性の80%以上の活性を示した。結果
を第12表に示す。
【0070】
【表14】
【0071】(6) 温度安定性 本酵素を緩衝液(B) 中で、0〜60℃の温度範囲で30
分間保持した後、活性測定を行った結果、本酵素は50
℃、30分間の処理で完全に失活した。 (7) Km値 100mM TES緩衝液(pH7. 0)、1mM 硫
酸第一鉄、5mM L−アスコルビン酸および酵素表品
を含有する反応液中で測定したL−プロリンに対するK
m値は0. 49mM、2−ケトグルタル酸に対するKm
値は0. 11mMであった。 (8) 等電点 ファストシステム(Phast system;ファルマシア社製)
で等電点を測定した結果、等電点は4. 3であった。 (9) N末端アミノ酸配列 Protein sequencer model PPSQ-10 (島津製作所社製)
を用いて本酵素蛋白のN末端アミノ酸配列を分析した結
果、以下の結果を得た。
【0072】
【化1】
【0073】実施例7.L−プロリンの水酸化 実施例5で取得した精製酵素標品を用いて、L−プロリ
ンの水酸化を行った。20mM 2−ケトグルタル酸、
20mM L−プロリン、5mM L−アスコルビン
酸、1mM硫酸第一鉄および106Uの精製酵素標品を
含有する200mM TES緩衝液(pH7. 0)10
0μlを用いて、35℃、30分間反応を行った。その
結果反応液中には、18mM(2. 4g/l)のシス−
3−ヒドロキシ−L−プロリンが生成した。
【0074】
【配列表】
【0075】配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces
sp.) 株名:TH1 (FERM BP-4399) 配列 Met Cys Ser His Ile Leu Gly Arg Ile Glu Leu Asp Gln Glu Arg Leu Gly 1 5 10 15 Arg Asp Leu Glu Tyr Leu Ala Thr Val Pro Thr Val 20 25
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、発酵法によって糖源か
ら工業的に生産されているL−プロリンを直接微生物的
あるいは酵素的に水酸化することにより、工業的に有利
にシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンを製造する方法
および該方法に有用な新規L−プロリン3位水酸化酵素
を提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正内容】
【0072】
【化1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces
sp.) 株名:TH1 (FERM BP-4399) 配列 Met Arg Ser His Ile Leu Gly Arg Ile Glu Leu Asp Gln Glu Arg Leu Gly 1 5 10 15 Arg Asp Leu Glu Tyr Leu Ala Thr Val Pro Thr Val 20 25
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 繁 神奈川県川崎市麻生区王禅寺2625−202 (72)発明者 宇於崎 洋一 東京都町田市中町3−9−11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−プロリンの3位の位置でL−プロリ
    ンを水酸化する反応を触媒する酵素源、二価鉄イオン、
    2−ケトグルタル酸およびL−プロリンを水性媒体中に
    存在せしめ、L−プロリンをシス−3−ヒドロキシ−L
    −プロリンに変換させ、生成したシス−3−ヒドロキシ
    −L−プロリンを、該水性媒体中より採取することを特
    徴とするシス−3−ヒドロキシ−L−プロリンの製造
    法。
  2. 【請求項2】 酵素源が、ストレプトマイセス(Strept
    omyces)属あるいはバチルス(Bacillus)属に属する微
    生物である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 酵素源が、微生物の培養物、菌体、菌体
    処理物、精製酵素または粗酵素である請求項2記載の製
    造法。
  4. 【請求項4】 L−プロリンからシス−3−ヒドロキシ
    −L−プロリンへの変換を、微生物の培養液中で行うこ
    とを特徴とした請求項2記載の製造法。
  5. 【請求項5】 酵素源が、下記(1) 〜(11)の理化学的性
    質を示すL−プロリン3位水酸化酵素である請求項1記
    載の製造法。 (1) 作用および基質特異性 2−ケトグルタル酸および2価鉄イオンの存在下、遊離
    のL−プロリンに作用して、シス−3−ヒドロキシ−L
    −プロリンを生成する。 (2) 至適pH 30℃、20分間の反応において、pH6. 5〜7. 5
    に至適pHを有する。 (3) pH安定性 4℃、23時間の処理で、pH6. 5〜8. 0の範囲で
    安定に保たれる。 (4) 至適温度 pH7. 0、15分間の反応において、35〜40℃に
    至適温度を有する。 (5) 温度安定性 pH7. 5、50℃、30分間の処理で失活する。 (6) 阻害剤 Zn++、Cu++、Co++およびBa++の金属イオンおよびエチレ
    ンジアミンテトラ酢酸により阻害を受ける。 (7) 活性化 活性化には補酵素を必要としない。反応液へのL−アス
    コルビン酸の添加は、反応を促進する。 (8) Km値 100mMのN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−
    2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH7. 0)中に
    5mM L−アスコルビン酸、1mM硫酸第一鉄および
    酵素標品を含有する反応液中で測定したL−プロリンに
    対するKm値は0. 49mMであり、2−ケトグルタル
    酸に対するKm値は0. 11mMである。 (9) 等電点 ファストシステム(Phast system;ファルマシア社製)
    で測定した等電点が、4. 3である。 (10)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動
    法による測定で、35,000±5,000である。 (11)N末端アミノ酸配列 配列番号1で表されるN末端配列を有する。
  6. 【請求項6】 下記(1) 〜(11)の理化学的性質を示すL
    −プロリン3位水酸化酵素。 (1) 作用および基質特異性 2−ケトグルタル酸および2価鉄イオンの存在下、遊離
    のL−プロリンに作用して、シス−3−ヒドロキシ−L
    −プロリンを生成する。 (2) 至適pH 30℃、20分間の反応において、pH6. 5〜7. 5
    に至適pHを有する。 (3) pH安定性 4℃、23時間の処理で、pH6. 5〜8. 0の範囲で
    安定に保たれる。 (4) 至適温度 pH7. 0、15分間の反応において、35〜40℃に
    至適温度を有する。 (5) 温度安定性 pH7. 5、50℃、30分間の処理で失活する。 (6) 阻害剤 Zn++、Cu++、Co++およびBa++の金属イオンおよびエチレ
    ンジアミンテトラ酢酸により阻害を受ける。 (7) 活性化 活性化には補酵素を必要としない。反応液へのL−アス
    コルビン酸の添加は、反応を促進する。 (8) Km値 100mMのN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−
    2−アミノエタンスルホン酸緩衝液(pH7. 0)中に
    5mM L−アスコルビン酸、1mM 硫酸第一鉄およ
    び酵素標品を含有する反応液中で測定したL−プロリン
    に対するKm値は0. 49mMであり、2−ケトグルタ
    ル酸に対するKm値は0. 11mMである。 (9) 等電点 ファストシステム(Phast system;ファルマシア社製)
    で測定した等電点が、4. 3である。 (10)分子量 ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド電気泳動
    法による測定で、35,000±5,000である。 (11)N末端アミノ酸配列 配列番号1で表されるN末端配列を有する。
  7. 【請求項7】 ストレプトマイセス(Streptomyces)属
    に属し、かつL−プロリン3位水酸化酵素を生産する能
    力を有する微生物を培養し、培養物中にL−プロリン3
    位水酸化酵素を生成蓄積させ、該培養物からL−プロリ
    ン3位水酸化酵素を採取することを特徴とするL−プロ
    リン3位水酸化酵素の製造法。
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