JPH07320608A - 接点材料の製造方法 - Google Patents

接点材料の製造方法

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JPH07320608A
JPH07320608A JP6105128A JP10512894A JPH07320608A JP H07320608 A JPH07320608 A JP H07320608A JP 6105128 A JP6105128 A JP 6105128A JP 10512894 A JP10512894 A JP 10512894A JP H07320608 A JPH07320608 A JP H07320608A
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JP6105128A
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Isao Okutomi
功 奥冨
Shigeaki Sekiguchi
薫旦 関口
Keisei Seki
経世 関
Atsushi Yamamoto
敦史 山本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H1/00Contacts
    • H01H1/02Contacts characterised by the material thereof
    • H01H1/0203Contacts characterised by the material thereof specially adapted for vacuum switches

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスおよび不純物の混入が少なく、耐電圧特
性および大電流遮断特性に優れた接点材料が得られる接
点材料の製造方法を提供する。 【構成】 被熱処理金属粉末は、所定の粒子径を有する
Ag,Cuの少なくとも1つよりなる高導電性成分と、
所定の粒子径を有するTi,V,Cr,Nb,Mo,T
a,Wの少なくとも1つの金属、またはこれらの炭化物
よりなる耐弧性成分とを有し、これらを均一に混合して
得た混合粉または成型体を、所定形状を有する熱処理用
支持部材に均一に載置・導入する第一の工程と、前記混
合粉を、前記熱処理用支持部材と共に加熱、焼結し、相
対密度が85%より低い焼結部材を得る第二の工程と、前
記焼結部材に対して、相対密度を90%以上とするに充分
な外部エネルギを少くとも1回印加して素材を得る第三
の工程とを有する接点材料の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスおよび不純物の混
入が少なく、耐電圧特性および大電流遮断特性にすぐれ
た接点材料が得られる接点材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】真空中でのア―ク拡散性を利用して、高
真空中で電流遮断を行わせる真空バルブの接点は、対向
する固定、可動の2つの接点から構成されている。真空
遮断器には、大電流遮断性能、耐電圧特性、耐溶着性能
の基本的3要件の他に接触抵抗性能、耐消耗性能、電流
裁断性能等も重要な要件となっている。
【0003】しかしながら、これらの要件の中には相反
するものがある関係上、単一の金属種によって総ての要
件を満足させる事は不可能である。この為実用されてい
る多くの接点材料に於いては、不足する性能を相互に補
うような2種以上の元素を組合せる事によって、例えば
大電流用、高耐圧用などのように特定の用途に合った接
点材料の選択採用が行われ、それなりに優れた特性を持
つ真空バルブが開発されているが、さらに強まる要求を
充分満足する真空バルブは未だ得られていないのが実情
である。
【0004】例えば、大電流遮断性を目的とした接点と
して、Biを 0.5wt%(重量%)含有させたCu−Bi
合金(特公昭41-12131)、Cu−Te合金(特公昭44-2
3751)が知られている。これらは、Cu,Bi両者、又
はCu,Te両者を融解温度以上に加熱し冷却固化し接
点素材とする。これらの合金は、結晶粒界内に析出した
BiやCu2 Teが合金自体を脆化させる結果、耐電圧
特性を大幅に劣化させる事なく、溶着引きはずし力(耐
溶着性)を改善し、大電流遮断性を実現している。
【0005】大電流遮断性を目的とした他の接点とし
て、Crを70〜90容積%含有したCu−Cr合金(特公
昭45-35101)が知られている。これは、Cr自体がCu
と略同等の蒸気圧特性を保持しかつ強力なガスのゲッタ
作用を示す等の効果で高電圧大電流遮断性を実現してい
る。すなわちCu−Cr合金は、高耐圧特性と大容量遮
断とを両立させ得る接点として多用されている。
【0006】高耐電圧性を目的とした他の接点として、
Cu−W合金(特公昭46-26205、特開昭 50-5866)が知
られている。これは、W自体が極めて高い融解温度を持
つ為、優れた耐電圧性と溶着に対する高い抵抗性とをも
ち、更にCuに対する溶解度がなく導電性にも優れてい
る事から高耐圧接点として多用されている。
【0007】前記した接点材料は、一般に溶解法や焼結
法によって作製している。溶解法による接点材料として
Cu−Bi合金、Cu−Te合金が挙げられる。Cu,
Bi,Teを融解温度以上に加熱し、いわゆる溶解法に
よって接点素材としている。その為、重量編析問題で均
質な組成の合金が得られない場合がみられる上に、溶解
炉の溶解作業温度能力の制約から、耐電圧的に優れた高
い融解温度を持つ元素との合金化が困難であるなど、溶
解法では致命的欠陥として構成元素の選択に制約があ
り、合金系が狭くなる。
【0008】また焼結法によるCu−Cr合金、Cu−
W合金では、原料となるCuとCr粉を混合したものを
圧縮加圧成型しこれを高温で焼結する粉末冶金法によっ
て接点素材としている。その為、圧縮加圧時に不純物の
混入や酸素含有量の増加、吸着の問題がある(Cu−W
でも同じ)。
【0009】このようなことから、本発明者らは合金系
の選択上で耐電圧的に有利な粉末冶金法の上記した欠陥
の排除を試みた。その結果不純物の混入や酸素含有量の
増加、吸着の問題を排除する技術を開発する接点製造方
法を提案し、従来の粉末焼結法による接点とくらべ、ガ
スおよび不純物の混入の少ない、かつ耐電圧特性および
大電流遮断特性にすぐれた接点材料を具備した真空バル
ブの製造方法を提供出来るようになった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明者
が、目標性能を達成する為の健全な真空バルブ用接点製
造方法を得る事を目的に、前記各工程を検討したとこ
ろ、前記原材料技術のうちで、特に加圧・成型加工技術
に起因すると考えられる被成型体の特性ばらつきや、溶
解、焼結など加熱処理中に素材あるいは部品と共に加熱
して用いる溶解用るつぼ、焼結用ボ―トの物理的、化学
的状態などの影響によって、得られる素材あるいは部品
(製品)の品質(例えば、表面状態の健全性)が、影響
を受けている事が判った。
【0011】例えば、被熱処理金属粉末として、Cu,
Ag,Ti,V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wの1つの
金属もしくはCu,Agを除くこれらの炭化物を用いた
場合、接点素材あるいは部品を製造する時に行われる加
熱処理には、一般に該接点素材あるいは部品を加熱処理
中に支えて置く為に、熱処理用部材(容器,るつぼ、ボ
―トなど。以下、熱処理用容器という。)が不可欠であ
る。このように、該接点素材あるいは部品は、熱処理用
容器に挿入するか載置して加熱処理を行い製品あるいは
半製品とするため、前記接点素材あるいは部品は、熱処
理用容器材質である黒鉛と、加熱処理中直接的に接触す
ることになり、該接点素材あるいは部品と炭素とが、冶
金的反応を呈する場合が見られる。その結果、該素材あ
るいは部品が熱処理用容器から、健全な形態で取り出せ
ず損傷を受けるのみならず熱処理用容器を破壊する等、
表面形状的な不都合さがみられる場合がある。これらは
製品として致命的損害となるばかりか、経済的損失も重
大な問題となる。
【0012】一方、熱処理用容器材質として、酸化カル
シウム(カルシア)又は酸化イットリウム(イットリ
ア)製熱処理用容器を選択したときには、上記炭素の場
合の様な著るしい冶金的反応は見られず、表面形状的に
は損傷がない接点素材あるいは部品が得られる。しか
し、通常の黒鉛又は酸化カルシウム(カルシア)又は酸
化イットリウム(イットリア)製熱処理用容器は、多孔
性でありその表面および内部には多量の水分、ガスが存
在しているため、この水分、ガスが加熱処理中直接的に
該接点素材あるいは部品表面を汚染する不都合さがみら
れる場合がある。特にこれらの表面は、吸着物が十分少
なくなるほど平滑に仕上げる事が出来ず、表面に水分、
ガス、その他表面付着物が存在しやすい。
【0013】また、表面形状的な不都合さがなくても、
成型技術に起因する被成型体内部でのガスの巻き込み
や、成型圧力分布の不均一性の為の焼結の不均一化によ
る組織上の偏析など、内面的な不都合さが残る。特にこ
の成型圧力分布の不均一性は接点組成、組織の安定性に
とって重要である。
【0014】さらに、冶金的反応に伴って熱処理用容器
中の不純物が該接点素材あるいは部品中に拡散、侵入
し、加熱処理後の該接点素材あるいは部品の純度を低下
させる不都合さがみられる場合がある。
【0015】このような不都合さは、健全な接点素材あ
るいは部品の製造に対して障害となり、真空バルブ特性
に対して好ましくない影響を与えている。本発明の目的
は、接点素材あるいは部品などを、熱処理用容器中に挿
入あるいは載置し、加熱処理して部材を製造するに於い
て、該接点素材あるいは部品が、組織的偏析、表面的損
傷、汚染等の障害を受けにくい接点材料の製造方法を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、損傷、汚染等の障害のない接点素材あるいは部品の
製造の為に、被熱処理金属粉末の加圧・成型加工技術、
熱処理用容器などを検討し、真空バルブ特性との対比を
研究した結果、この発明を完成するに至った。
【0017】以下、この発明をより詳細に説明する。最
新の開閉装置プラントや開閉システムでも、その性能が
1つの接点材料、接点部品の品質によって、ばらつきが
出たり、機能しないケ―スが存在する場合がある。
【0018】本発明者らが前記各工程を検討したとこ
ろ、上記した開閉装置プラントや開閉システムの電気的
(または機械的、化学的)性能のばらつきは、これらに
使った接点材料を製造する時の被成型体性状や加熱処理
工程と相関している事が判明した。特に、接点素材ある
いは部品を構成している原材料の個々に着いて、発生す
るガスの放出を制御する事により、上記した開閉装置プ
ラントや開閉システムの性能のばらつきを低減化出来る
ことを見出した。
【0019】そこで本発明者らは、成型体の製造過程、
加熱処理工程をさらに詳細に調査した結果、成型体の状
態のばらつきの程度、加熱処理の条件のばらつきの程度
で、前記開閉装置プラントや開閉システムの性能のばら
つきに、重大な影響を与えている事を確認した。
【0020】すなわち、健全な接点素材あるいは部品を
製造するためには、最適の成型体製造条件と、高性能の
熱処理用容器とが不可欠である事を示唆している。した
がって、好ましい接点部材の製造方法としては、熱処理
の前段階での粉体の取扱いと、熱処理中の容器など熱処
理雰囲気の管理とが、偏析、損傷、汚染等の障害のない
焼結部材の製造に対してポイントとなる。
【0021】これらのことを考慮し、従来のものを検討
してみると、次のような問題点がある。 (1)公知技術として、接点材料の製造に於いては、熱
処理に先立ち、原料粉体を混合した後、成型プレス機械
によって、所定形状に圧粉成型したものを、焼結、熱処
理に供する事が行われている。該原料粉体を圧粉成型す
ることによって、熱処理時(焼結時)の取り使い作業性
の向上、該原料粉体容積の縮小化、焼結性の向上、焼結
後の部材の高密度化など多くの利益を得ている。
【0022】しかし、成型プレス機械によって粉体を圧
縮するため、内部にガスの残存が避けられず熱処理時
(焼結時)に、焼結体を変色、酸化させたり、このガス
の体積膨脹による焼結体の膨れ、変形現象を呈する等の
不具合が見られる場合がある。これらはいずれも成型時
のガスの閉じ込めに原因し、焼結時にガスが十分外部に
出される前に焼結の進行によって出口が閉じられる為と
考えられる。 (2)また、金型への装填時の該原料粉体の流動性の差
異や、成型時の成型技術に係わる成型圧力の該原料粉体
への圧力伝達の差異等で、密度等のばらつきの少ない均
一な成型体または/および焼結体の製作は、困難となっ
ている。これは、個々の成型体の成型作業時に、各成型
体に与えられる加圧力が成型体個々によって、ばらつき
が存在しているのみでなく、前述した流動性の相違によ
る加圧後の成型体内部の場所による圧力分布の相違に原
因している事が判った。この知見は、本発明の一要素を
構成する重要な知見である。 (3)別の、公知技術として、上記成型体を焼結するに
於て、熱処理中の該成型体を収納する容器として、炭素
製熱処理用容器が知られている。
【0023】これは、高温下での炭素(カ―ボン)の優
れた還元力と、多くの金属との低い濡れ性を利用したも
ので、工業的に多用されている。しかし、炭素製熱処理
用容器は、上記した利点があるものの、一方、熱処理す
る素材あるいは部品の材種によっては、両者間で著しい
冶金的反応を生じて、健全な状態での素材あるいは部品
の製造に対して障害となっている。例えば、接点組成と
して、Cr,Ti,Fe等を選択した場合には、Cr炭
化物、Ti炭化物、Fe炭化物の生成によって、接点素
材あるいは接点部品表面の損傷、熱処理用容器の破壊が
見られ好ましくない。このような冶金的反応を抑止する
技術として、両者間に酸化アルミニウム微粒子層を介在
させる技術が開発されている。しかし、微粒子間隙ある
いは微粒子表面に介在している水分、ガスによって、C
r,Ti,Fe等は何らかの影響を受け、やはり、健全
な状態での接点素材あるいは接点部品の製造に対して、
素材品質及び価格の点で障害となる場合がある。 (4)他の公知技術として、窒素硼素、窒化ケイ素など
窒化物製熱処理容器、酸化カルシウム、酸化イットリウ
ムなど酸化物製熱処理用容器が知られている。これは窒
化物、酸化物が高温下で多くの金属と濡れ難いという固
有の性質を利用したもので、工業的に用いられている。
【0024】しかし、窒化物熱処理用容器では、上記し
た利点があるものの、一方、雰囲気によっては使用が制
限されたり、比較的分解温度が低いなどの問題点が存在
する。また、酸化物製熱処理用容器でも前記した様に表
面吸着ガス、不純物の影響を避ける事が出来ず、素材品
質及び価格の点で障害となる場合がある。
【0025】問題点1で述べたように、被熱処理金属粉
末(接点材料原料粉末)を、所定形状に圧粉成型した場
合、成型時のガスの閉じ込めに原因となって、焼結後焼
結体の膨れ、変形現象を呈する等の不具合が見られる。
この様な状態の接点素材を真空バルブ用接点材料として
使用した時は耐電圧特性、遮断特性に悪影響を与える。
【0026】問題点2で述べたように、被熱処理金属粉
末を圧粉成型した場合、粉体への圧力伝達の差異や不均
一さで、密度等にばらつきが見られる。この様な状態の
接点素材を真空バルブ用接点材料として使用した時は耐
電圧特性、遮断特性に悪影響を与える。
【0027】問題点3,4で述べたように、被熱処理金
属粉末が焼結処理にって、熱処理用支持部材(容器)と
反応する時には、健全な接点素材を製造することが出来
ず、この様な状態の接点素材を真空バルブ用接点材料と
して使用した時は耐電圧特性、遮断特性に悪影響を与え
る。
【0028】ここで本発明者らは、上記問題点1、2を
解決する効果的手段として、成型時のガスの閉じ込め現
象を排除するのを助長させるのに、被熱処理金属粉末を
圧縮せず熱処理用支持部材に導入したり、又は若し圧縮
したとしても成型時に閉じ込められたガスが、焼結時に
閉じ込められる事なく十分外部に放出出来るように、焼
結後の焼結部材の相対密度を85%より低く抑制出来る程
度の低い圧縮外力を選択し圧縮した被熱処理金属粉末を
熱処理用支持部材に導入した。
【0029】焼結作業も焼結後の焼結部材の相対密度を
85%より低く抑制出来る程度の低い焼結温度を選択し
た。上記問題点3,4を解決する手段として、炭素製熱
処理用容器と被熱処理金属粉末の全面とが、熱処理中に
直接接触しないよう、被熱処理金属の少なくとも一部分
を所定金属(該被熱処理金属)の炭化物又は/及び酸化
物とする技術を開発しこれらの課題を同時に解決した。
すなわち本発明では、第1、2の工程で低ガス化に配慮
し、かつ第3の工程では接点材料としての電気特性に配
慮して素材の相対密度を90%以上に緻密化した。更に、
必要により諸特性の安定化の為に第4の工程を付与し
た。
【0030】
【実施例】以下、本発明の一実施例を表1乃至表4を参
照しながら詳細に説明する。本発明の製造方法の主旨
は、対象とする被熱処理金属(原材料粉末)に外力を与
えることなく(又は若し与えたとしても所定条件以内の
圧縮外力)、所定の表面条件を満たした熱処理用容器
に、載置・導入した後、前記被熱処理金属を前記熱処理
用容器と共に加熱・焼結して、焼結部材を得る接点材料
の製造方法である。
【0031】従って、対象とする被熱処理金属の種類
を、特に限定する必要はなく、ここでは、まずCrを被
熱処理金属の代表金属として選定した。なお、具体的な
評価方法は次のとおりである。
【0032】(1)遮断特性 前記した各条件で製造した直径70mmの接点を装着した遮
断テスト用実験バルブを開閉装置に取り付けると共に、
ベ―キング、電圧エ―ジング等を与えた後、24kv,50Hz
の回路に接続し5kAずつ電流を増加しながら遮断限界を
真空バルブ3本につき比較評価した。尚、実施例1の結
果のみは、真空バルブ3本の平均値であり、他の数値は
実施例1の値を 100とした時の比較値をバラツキ幅を持
って示した。
【0033】遮断テスト終了実験バルブを破壊して、ア
―クの拡がり程度も観察し遮断性能の判断の一助とし
た。 (2)耐電圧特性 羽布研磨により表面を鏡面研磨したNi針を陽極とし、
前記した各条件で製造した接点素材から切出した直径30
mmの円板状電極表面を、同様に羽布研磨により鏡面研磨
し陰極とし、両極間のギャップを 0.5mmとし、104
a.の真空中で徐々に電圧を上昇させ、スパ―クを発生
した時の電圧値を測定した。尚、実施例1の結果のみ
は、真空バルブ3本の平均値であり、他の数値は実施例
1の値を 1.0とした時の比較値をバラツキ幅を持って示
した。
【0034】(3)再点弧特性@ 直径30mm、厚さ5mmの円板状接点片を、ディマウンタブ
ル型真空バルブに装着し、24kv× 500Aの回路を2000回
遮断した時の再点弧発生頻度を2台の遮断器(真空バル
ブとして6本)のバラツキ値を考慮して表示した。
【0035】接点片の装着に際してはベ―キングのみ行
い、銀臘の使用並びにこれに伴う加熱は行わなかった。 (4)素材中のガス量 前記した各条件で製造した接点素材から5mm立方の試験
片を切出し、2400〜2600℃で所定時間保持している間に
放出されるガス量を測定した。すなわち高真空中に保持
した例えば黒鉛るつぼ中に前記試験片を投入し、黒鉛る
つぼに直接通電するか、高周波加熱などの方法によって
加熱し、試料から放出されるガス量を定量した。数値は
3個のバラツキ幅で示した。
【0036】(5)接触抵抗特性 表面荒さを5μmに仕上げ加工した直径30mm、厚さ5mm
のフラット電極と、同じ表面荒さを持つ曲率半径 100R
の凸状電極とを対向させ、両電極を開閉機構を持つ10
3 Pa.の真空容器内に取り付け3Kgの荷重を与え、交
流10Aを与えた時の電圧降下から接触抵抗を求めた。数
値は3回の測定のバラツキ幅で考察した。なお記載した
接触抵抗値は測定回路を構成する配線材料、開閉器等の
抵抗又は接触抵抗を回路定数として含んだ値で考察し
た。
【0037】(6)温度上昇特性 上記した接触抵抗特性測定と同じ電極条件の電極を対向
させ、103 Pa.の真空容器内に取り付け、接触力30
Kg,開離力20Kgで 400Aの電流を20回開閉後、固定側電
極の側面に予め開けておいた直径 1.5mm,深さ4mmの測
定穴に熱電対を挿入し測定したものである。なお測定は
周囲温度を含んだ値で測定し、かつ電極を取り付けるホ
ルダ―の熱容量の影響も含んだ比較値をもって考察し
た。次にこの評価方法に基づいて行った各実施例につい
て検討する。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】実験;参考A 表面を極めて清浄化した、厚さ3mmの高純度Cr板を使
用して、金属Cr板製熱処理用容器を作製した。
【0043】真空中約1250℃で十分脱ガス処理した電解
法で製造した平均粒径80μmのCr粉と、水素中約 450
℃で十分脱ガス処理した電解法で製造した平均粒径50μ
mのCu粉とを、重量比50:50になる様に秤量し混合し
た混合粉末を使用して、 0.8トン/cm2 にて、直径42
mmのCr・Cu圧粉体を製作した。
【0044】前記金属Cr板製熱処理用容器に、上記C
r・Cu圧粉体を直接接触する状態で載置、導入し(第
1の工程)、真空中1100℃の加熱処理を行いCr・Cu
焼結体製造実験を行った(第2の工程)。その結果、C
r板製熱処理用容器とCr・Cu焼結体との間は、強固
な相互拡散現象が見られ、Cr・Cu焼結体を損傷なく
容器から取出す事は出来ず、健全なCr・Cu焼結体を
得る事は出来なかった。但しCr・Cu焼結体の表面汚
染および内部への不純物の侵入は無かった。第1,第2
の工程のみでは表1の様に遮断特性、耐電圧特性、接触
抵抗特性、温度上昇特性ともに著しく劣った。
【0045】実験;参考B 表面を極めて清浄化した、厚さ3mmの高純度Cr板を使
用して、金属Cr板製熱処理用容器を作製した。
【0046】電解法で製造した脱ガス処理をしていない
平均粒径80μmのCr粉と平均粒径50μmのCu粉とを
重量比50:50になる様に秤量し混合した混合粉末を使用
して、 0.8トン/cm2 にて、直径42mmのCr・Cu圧
粉体を製作した(脱ガス処理条件以外は実験と同
等)。
【0047】前記金属Cr板製熱処理用容器に、上記C
r・Cu圧粉体を直接接触する状態で載置、導入し(第
1の工程)、真空中1100℃の加熱処理を行いCr・Cu
焼結体製造実験を行った(第2の工程)。その結果、C
r・Cu焼結体では、同実験と同じ加熱処理を与えた
にも拘らず、Cr板製熱処理用容器とCr・Cu焼結体
との間には、実験の場合のような、強固な相互拡散現
象が見られず、実験の場合より損傷の程度は低くCr
・Cu焼結体を容器から取出す事が出来た。しかし、局
所的な溶着部分が引きはずし跡として残った。また焼結
体内部には 100μm級のポアの存在も見られ健全なCr
・Cu焼結体を得る事は出来なかった。なお、表面汚染
および内部への不純物の侵入は実験と同様に無かっ
た。
【0048】すなわち、本発明者らは、両実験によ
って取出し時のCr・Cu焼結体の表面損傷問題の相違
を除くと、表面汚染および内部への不純物の侵入の観点
からは、被熱処理金属(原材料)と同じ材質の高純度金
属が熱処理用容器として、有用である観察知見を得た。
しかも、後者実験の場合の方が、表面損傷問題が軽微
であった事実を考察すると、Cr粉、Cu粉に残存して
いた適度の表面ガスが、表面を極めて清浄化した熱処理
用容器の表面に作用し、濡れにくい状態の被膜を適度に
生成したと考えられる。微少分析の結果検出元素は、C
r,Cu,O,Cであった。
【0049】第2の工程で得たCr・Cu焼結部材に対
して、加圧機で9トン/cm2 (実施例1,比較例
1),鍛造機で6トン/cm2 (比較例2)の外部エネ
ルギを印加(第3の工程)して接点素材とした。電気特
性は第3の工程の追加でやや改善の傾向が見られるもの
の実用には供し得ない水準であった(参考B)。
【0050】実験;実施例1、比較例1〜2 実験、では、被熱処理金属として成型体(Cr粉、
Cu粉)を使用した為、ポア、ガスの存在量や存在場所
にばらつきが生じやすく、特に閉じられた内部にガスが
存在していた場合、熱処理時に爆発的なガス放出がおこ
り、表面損傷の原因ともなっている場合がある。そこ
で、一つの解決施策として、相対密度を85%より低い焼
結体としガス放出を促進させる。他の解決施策として、
熱処理中に内部ガスを簡単に放出出来る様にする為に、
使用する被熱処理金属の状態を、実験、実験の場合
の様な粉末成型体とせず、実験として、ガス放出が簡
単に行える様にする為に、粉末状のままで熱処理用容器
に導入しそのまま焼結する実験を試みた。実験の示唆
によって、熱処理用容器は、炭素を素材としてその表面
に、被熱処理金属と同じCrを厚さ 0.1μmイオンプレ
―テイング法で被覆した。その結果、各々施策とも有効
であり両施策の併用は特に有益でガスおよび不純物のよ
り少ない、表面損傷のより少ない焼結部材(実験;実
施例1)を得た。すなわち第2の工程後のガス量を比較
すると、実験では 500〜1000PPM、実験では1000
〜2000PPMと多かったのに対して、実験(実施例
1)では 200〜 400PPMに低下する効果を示した。そ
の効果によって表1に示す様に実用レベルの電気特性を
示した。
【0051】これに対して熱処理用容器として、実験
、のように厚さ3mmの高純度Cr板を使用した金属
Cr板製熱処理用容器を使用したところ、金属Cr板の
品質ばらつきに起因すると考えられる被熱処理金属中の
ガス量に、ばらつきが発生する傾向(実験;比較例1
350〜 900PPM)にあった。また、第2の工程後の相
対密度を大きくすると、ガス量の値及びそのばらつきも
大( 850〜4550PPM)となり好ましくない(実験;
比較例2)。
【0052】実験;実施例2 さらに本発明者らは、上記実験では、使用した高純
度Cr板製熱処理用容器の表面を極めて清浄化して使用
したが、被熱処理金属の状態の差異によって、その結果
に相違がでたものと上記実験の結果を考察した。
【0053】そこで本発明者らは、実験として、炭素
製熱処理用容器の表面にあらかじめ、スパッタリング法
で、厚さが 0.1μm程度の極薄いCr被膜を生成させた
熱処理用容器を作製した。この熱処理用容器を用いて、
真空中1050℃で加熱処理(第2の工程)を行ったとこ
ろ、熱処理用容器から表面損傷なく、健全な状態で被熱
処理金属(実施例2)を取出せた上、該部品は、表面汚
染および内部への不純物の侵入は無かった。
【0054】第2の工程で得たCr・Cu焼結部材に対
して、加圧機で4トン/cm2 (実施例2)の外部エネ
ルギを印加(第3の工程)して、相対密度99.7%の接点
素材とした。その結果表1の様に安定した電気的特性を
示した。
【0055】実験;実施例3〜4 実験として、炭素の表面に厚さ 0.1μm程度の極薄い
Cr被膜を生成した後、その表面をスパッタリング法
で、雰囲気を調整しながら、Cr23 として、(Cr
−Cr 203)被膜を炭素の上に生成させた熱処理用容器
を作製した(実施例3)。
【0056】また、同様にして厚さ 0.1μm程度の極薄
い(Cr−Cr 3C2)被膜を炭素の上に生成させた熱処
理用容器を作製した(実施例4)。これらの熱処理用容
器を用いて、真空中 975℃〜1000℃で加熱処理(第2の
工程)を行ったところ、熱処理用容器から表面損傷な
く、健全な状態でCr・Cu焼結体を取出す事が出来た
上、該Cr・Cu焼結体は、表面汚染および内部への不
純物の侵入は無かった(実施例3,4)。
【0057】第2の工程で得たCr・Cu焼結部材に対
して、加圧機で4トン/cm2 (実施例3)相当、加圧
機で4トン/cm2 相当(実施例4)の外部エネルギを
印加(第3の工程)して、相対密度99.7%の接点素材と
した。その結果表1の様に安定した電気的特性を示し
た。
【0058】実験;実施例5、比較例3 実験として、真空蒸着法で、雰囲気を調整しながら、
厚さ 100μm程度の(Cr−Cr 203)被膜を炭素の上
に生成させた熱処理用容器を作製した。
【0059】またスパッタリング法で、雰囲気を調整し
ながら、厚さ 0.01 μm程度の(Cr−Cr 203)被膜
を炭素の上に生成させた熱処理用容器を作製した。この
熱処理用容器を用いて、真空中 880℃〜1000℃で加熱処
理(第2の工程)を行ったところ、軽度の表面損傷を受
けていたが、ほぼ健全な状態でCr・Cu焼結体を、熱
処理用容器から取出すことができ、かつ該Cr・Cu焼
結体には、表面汚染および内部への不純物の侵入はなか
った(実施例5)。
【0060】しかし、被膜の厚さが必要量なかった場合
には、黒鉛の表面や内部に存在する水分、ガスが、熱処
理中のCr・Cuにまで拡散し、これらの表面変色、汚
染および内部への不純物侵入を招き、健全なCr部品を
得る事は出来なかった(比較例3)。
【0061】第2の工程で得たCr・Cu焼結部材に対
して、鍛造機で5トン/cm2 相当(実施例5)、加圧
機で4トン/cm2 相当(比較例6)の外部エネルギを
印加(第3の工程)して、相対密度99.9%(実施例
5),79.8%(比較例3)の接点素材とした。その結果
表1の様に実施例5では安定した電気的特性を示した
が、比較例3では実用のレベルには達しなかった。
【0062】実験;実施例6〜8 上記した実験では、熱処理用容器の素材材
質としてCr板、や炭素を使用し、その表面を所定の条
件を有する金属クロ―ムや酸化クロ―ムを被覆して使用
した(実施例1〜5で示したように)。
【0063】しかし、本発明では、これらに限る事なく
その目的を達成する事ができる。すなわち、熱処理用容
器の素材材質として、上記したCr板や炭素以外の酸化
カルシウム又は酸化イットリウムであっても、表面を所
定条件とした熱処理用容器を使用し、かつ被熱処理金属
(原材料)を加圧せず前記熱処理用容器に載置・導入
し、被熱処理金属(原材料)を前記熱処理用容器と共に
加熱、焼結する本発明方法によれば、効果を達成出来る
ことが判った(実施例6、実施例7)。
【0064】すなわち、酸化カルシウム製の熱処理用容
器の表面に 0.1μmのCrを被覆した後、そのCrを炭
化クロ―ム(主としてCr32 )としたの(実施例
6)、および酸化イットリウム製の熱処理用容器の表面
に 0.1μmのCrを被覆した後、そのCrを酸化クロ―
ム(主としてCr23 )としたもの(実施例7)であ
る。
【0065】また、酸化カルシウム製の熱処理用容器の
表面に 0.1μmのCrを被覆した後、そのCrを炭化ク
ロ―ム(主としてCr32 )、および酸化クロ―ム
(主としてCr23 )とを混在させて良いもの(実施
例8)。
【0066】被熱処理金属(原材料)を熱処理用容器に
導入・載置した後、熱処理温度、原料粒径の調節,焼結
助材の添加などで、焼結部材の空隙率を広範囲に調節す
ることが可能である。
【0067】第2の工程で得たCr・Cu焼結部材に対
して、加圧機で4トン/cm2 相当の外部エネルギを印
加(第3の工程)して、相対密度99.9%(実施例6),
99.9%(実施例7),99.8%(実施例8)の接点素材を
得た。その結果表1の様に安定した電気的特性を示し
た。
【0068】実験;実施例9 実施例1の接点素材(第3の工程まで終了した素材)に
対して、接触抵抗の低減を必要とする時には、接点形状
に加工後、真空中少なくとも 350℃で再加熱熱処理(第
4の工程)を与える事によって、接触抵抗のばらつき幅
を縮小するなど素材の安定化に寄与する。表1の様に実
施例1の接触抵抗が、70〜90μΩであったのに対して第
4の工程の追加で、65〜70μΩと改善された。この場合
の再加熱熱処理温度の選択は、接触抵抗の安定性の観点
から、特に接触抵抗特性を重要視する製品に於いては高
導電性成分の著しい蒸発が起こらない範囲する事が重要
で、約 900℃が限度である。
【0069】実施例10 上記した実施例1〜9,比較例1〜2,参考例A〜Bで
は、平均粒径80μmのCr粉と、平均粒径50μmのCu
粉を使用した例を代表例としてのべたが、第1〜3の工
程を具備する事を特徴とする本発明の主旨は、この粒子
径に限定されるものではなく、本発明の接点材料の製造
方法の提供目的に対して、平均粒径が 0.1μm未満では
ガス成分を十分低減できず耐電圧特性の維持が困難とな
り遮断性能の低下が見られる。また、平均粒径が 150μ
m以上では、接触抵抗にばらつきが見られこれらの合金
製造への応用はいずれも好ましくない。従って本発明の
製造方法は、平均粒径を 0.1〜 150μmの範囲を選択し
た合金の製造方法に適応出来る。
【0070】実施例11 上記した実施例1〜10,比較例1〜2,参考例A〜Bで
は、高導電性成分と耐弧性成分との比率をほぼ50:50
(重量比)試料の例を代表例としてのべたが、第1〜3
の工程を具備する事を特徴とする本発明の主旨は、この
高導電性成分と耐弧性成分との比率に限定されるもので
はなく、本発明の接点材料の製造方法の提供目的に対し
て、合金中の高導電性成分の量が、10%未満では接触抵
抗が高くなるのみならず遮断性能の低下が見られる。ま
た、合金中の高導電性成分の量が、85%以上では耐電圧
特性の維持が困難となり、これらの合金製造への応用は
いずれも好ましくない。従って本発明の製造方法は、合
金中の高導電性成分の量が10〜85重量%の範囲に選択し
た合金の製造方法に適応出来る。
【0071】実施例12 上記した実施例1〜11,比較例1〜2,参考例A〜Bで
は、高導電性成分と耐弧性成分とで構成した合金の代表
例としてのべたが、第1〜3の工程を具備する事を特徴
とする本発明の主旨は、この構成に制限されるものでは
なく、本発明の接点材料の製造方法の提供目的に対し
て、更に補助成分(例えばBi)を 0.05〜5重量%含
有させた合金製造に対しても適応出来る。補助成分の量
が、 0.05重量%未満では補助成分を添加する本来の目
的である耐溶着性の改善効果が少ないのみならず、成分
コントロ―ルもばらつきが見られる。また、合金中の補
助成分の量が、5%以上では耐電圧特性の維持が困難と
なるのみでなく、偏析による成分コントロ―ルにもばら
つきが見られ、これらの合金製造への応用はいずれも好
ましくない。従って本発明の製造方法は、補助成分を
0.05 〜5重量%の範囲に選択した合金の製造方法に適
応出来る。
【0072】実施例13 上記した実施例1〜12では、本発明の「第2の工程」に
於ける熱処理条件としてその温度が1050℃(実施例1、
2)〜 830℃(実施例7)の範囲の例を示したが、第1
〜3の工程を具備する事を特徴とする本発明の主旨は、
この熱処理条件に限定されるものではなく、本発明の接
点材料の製造方法の提供目的に対して、「第2の工程」
に於ける熱処理条件としてその温度は、高導電性成分の
溶融温度以下で 500℃以上の温度範囲を選択する。
【0073】この条件が 500℃未満では、「第2の工
程」によって得た焼結部材の機械的強度が十分でなく作
業性に難点を持った部材となる。また高導電性成分の溶
融温度以上とすると、重量差による偏析のみでなく、偏
析による成分コントロ―ルにもばらつきが見られ、これ
らの合金製造への応用はいずれも好ましくない。従って
本発明の製造方法は、「第2の工程」に於ける熱処理条
件としてその温度を高導電性成分の溶融温度以下で 500
℃以上の温度範囲に選択した合金の製造方法に適応出来
る。
【0074】実施例14 上記した実施例1〜13,比較例1〜2,参考例A〜Bで
は、耐弧性成分粉末は、表面被覆等せずそのままの例を
代表例としてのべたが、第1〜3の工程を具備する事を
特徴とする本発明の主旨は、この代表例に限定されるも
のではなく、本発明の接点材料の製造方法の提供目的に
対して、厚さ 0.01 〜50μmのCu又は/及びAgを被
覆した粉末とする事は、接触抵抗を20〜50%低減するな
ど接触抵抗特性を改善する製造方法を提供する。
【0075】実施例15 上記した実施例1〜14,比較例1〜2,参考例A〜Bで
は、高導電性成分・耐弧性成分の各原料粉末は、表面被
覆等せずそのままの例を代表例としてのべたが、第1〜
3の工程を具備する事を特徴とする本発明の主旨は、こ
の代表例に限定されるものではなく、本発明の接点材料
の製造方法の提供目的に対して、厚さ 0.01 〜50μmの
Fe,Co,Niを被覆した粉末とする事は、耐電圧値
を10〜20%向上させるなど耐電圧特性を改善する製造方
法を提供する。
【0076】また、被熱処理金属(原材料)として、C
r・Cuを代表例として述べたが、被熱処理金属(原材
料)の耐弧成分がTi,V,Nb,Ta,Mo,Wの場
合、これらの炭化物であっても、また導電成分がAg,
Cu−Agであっても、熱処理用容器を上記の様な条件
とするなど第1〜3の工程を具備する事によって、同様
に高品質の接点素材を得ることが出来る。高導電性成分
と耐弧性成分との比率がほぼ同じなら、実施例1〜2と
同程度の実用に供し得る接点を得た。
【0077】本発明者らは、炭素製熱処理用容器の上に
金属被膜を生成させた熱処理用容器であっても、表面損
傷および表面汚染および内部への不純物の侵入のない健
全な状態の接点素材がえられる事、しかし炭素製熱処理
用容器の上に金属被膜の厚さが不適切であると、強固な
相互拡散現象が見られ好ましくない事等を明らかにし
た。
【0078】以上述べた上記知見に基き本発明者は、前
記した焼結前の該原料粉体の受ける圧力が、各焼結部材
毎のみならず各焼結部材内部のミクロ的部分について
も、一定となる技術についての検討、及び前記した実験
検討とを相乗した結果、本発明を完成し、真空バルブの
電気的性能の向上に寄与した。
【0079】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、被熱処理
金属粉末は、所定の粒子径を有するAg,Cuの少なく
とも1つよりなる高導電性成分と、所定の粒子径を有す
るTi,V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wの少なくとも
1つの金属、またはこれらの炭化物よりなる耐弧性成分
とを有し、これらを均一に混合して得た混合粉または成
型体を、所定形状を有する熱処理用支持部材に均一に載
置・導入する第一の工程と、前記混合粉を、前記熱処理
用支持部材と共に加熱、焼結し、相対密度が85%より低
い焼結部材を得る第二の工程と、前記焼結部材に対し
て、相対密度を90%以上とするに充分な外部エネルギを
少くとも1回印加して素材を得る第三の工程とを備える
ようにしたので、ガスおよび不純物の混入が少なく、優
れた耐電圧特性および大電流遮断特性が得られる接点材
料の製造方法を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被熱処理金属粉末は、所定の粒子径を有
    するAg,Cuの少なくとも1つよりなる高導電性成分
    と、 所定の粒子径を有するTi,V,Cr,Nb,Mo,T
    a,Wの少なくとも1つの金属、またはこれらの炭化物
    よりなる耐弧性成分とを有し、これらを均一に混合して
    得た混合粉または成型体を、所定形状を有する熱処理用
    支持部材に均一に載置・導入する第一の工程と、前記混
    合粉を、前記熱処理用支持部材と共に加熱、焼結し、相
    対密度が85%より低い焼結部材を得る第二の工程と、前
    記焼結部材に対して、相対密度を90%以上とするに充分
    な外部エネルギを少くとも1回印加して素材を得る第三
    の工程とを備えたことを特徴とする接点材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第一の工程は、所定形状を有する熱
    処理用支持部材に、前記混合粉を加圧せず載置・導入し
    たことを特徴とする請求項1記載の接点材料の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第3の工程は、外部エネルギを印加
    する手段が、プレス成型機械、圧延機械、鍛造機械な
    ど、静的もしくは動的な加圧または圧延法を選択したこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載の接点材料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記非酸化性雰囲気において、少なくと
    も 350℃の加熱処理を少なくとも1回与えて素材を得る
    第四の工程を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載の接点材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記被熱処理金属粉末の所定の粒子径
    は、 0.1〜 150μmであることを特徴とする請求項1〜
    請求項4のいずれかに記載の接点材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 接点材料中に占める高導電性成分の量
    は、10〜85重量%であることを特徴とする請求項1〜請
    求項5のいずれかに記載の接点材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の工程は、前記熱処理用支持部
    材面上にCu粉末またはCu薄板を載置した後、その上
    に前記混合粉をCu・Cr混合粉として載置後、両者を
    同時に加熱、焼結し、一面にCu層を持つCu・Cr焼
    結部材を得ることを特徴とする請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の接点材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の工程は、非酸化性雰囲気にお
    いて 500〜1000℃の熱処理を少なくとも1回与えたこと
    を特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の接
    点材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記被熱処理金属粉末が、 0.05 〜5%
    の補助成分Biを均一に混合して得たCu・Cr・Bi
    混合粉であることを特徴とする請求項1〜請求項8のい
    ずれかに記載の接点材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記被熱処理金属粉末の補助成分が、
    Te,Se,Pb,Sbのうちの1つであることを特徴
    とする請求項9記載の接点材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記被熱処理金属の高導電性成分とし
    たCu粉末の一部もしくは総てをAgで置換したことを
    特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載の接点
    材料の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記熱処理用支持部材は、その表面の
    少なくとも一部分をCrで被覆した後、該被覆したCr
    の少なくとも一部分をCrの炭化物または酸化物のいず
    れかとしたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいず
    れかに記載の接点材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記被熱処理金属粉末の耐弧性成分の
    表面には、厚さ 0.01〜50μmのCuまたはAgのいず
    れかを被覆してなることを特徴とする請求項1〜請求項
    12のいずれかに記載の接点材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記被熱処理金属粉末の表面には、厚
    さ 0.01 〜50μmのFe,Ni,Coより選ばれた1つ
    を被覆してなることを特徴とする請求項1〜請求項13の
    いずれかに記載の接点材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記被熱処理金属粉末の耐弧性成分の
    表面には、厚さ 0.01〜50μmのTi,V,Nb,T
    a,Mo,Wより選ばれた1つを被覆してなることを特
    徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の接点材
    料の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記熱処理用支持部材の材質は、炭
    素、酸化カルシウム、酸化イットリウムより選ばれた1
    つであることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれ
    かに記載の接点材料の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記熱処理用支持部材の材質は、炭素
    であり、その表面の少なくとも一部分を金属クロム、酸
    化クロム、炭化クロム、酸化アルミ、酸化カルシウム、
    酸化イットリウムの少なくとも1つであることを特徴と
    する請求項1〜請求項16のいずれかに記載の接点材料の
    製造方法。
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