JPH07320310A - 記録媒体、情報処理装置および情報記録再生方法 - Google Patents

記録媒体、情報処理装置および情報記録再生方法

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JPH07320310A
JPH07320310A JP10667494A JP10667494A JPH07320310A JP H07320310 A JPH07320310 A JP H07320310A JP 10667494 A JP10667494 A JP 10667494A JP 10667494 A JP10667494 A JP 10667494A JP H07320310 A JPH07320310 A JP H07320310A
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recording medium
recording
layer
probe electrode
electrode
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JP10667494A
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Inventor
Yuuko Morikawa
有子 森川
Hiroshi Matsuda
宏 松田
Tsutomu Ikeda
勉 池田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 電極層と記録層とが、チオール基およびシロ
キサン結合を有する化合物の単分子膜または単分子累積
膜である密着層を介して積層された記録媒体を、STM
(走査型トンネル顕微鏡)の原理を応用した情報処理装
置に用いる。 【効果】 電極層と記録層の密着性が高くなり、それに
よって、(1)情報の記録再生時にプローブが外的ショ
ックなど何らかの原因で記録層と強く接触してしまった
場合などにおいても、従来に比べて数段高い機械的強度
を示す記録媒体を提供することができ、従って(2)記
録媒体とプローブ電極が近接した情報処理装置で、プロ
ーブ電極の走査によって、記録媒体表面の変形や破壊が
生じる危険を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報の記録および/ま
たは再生を行なう記録媒体およびそれを用いた記録およ
び/または再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報化社会の発展に伴って、大容
量メモリの開発が極めて活発に行なわれている。メモリ
に要求される性能は一般に 1)高密度で記録容量が大きい 2)記録再生の応答速度が高い 3)電力消費が小さい 4)生産性が高く価格が安い 等が挙げられ、現在もそのような性能を実現するメモリ
ー方式やメモリー媒体の開発が極めて活発に進められて
いる。
【0003】従来、メモリーの中心は、磁性体、半導体
を素材とした磁気メモリー、半導体メモリーであった
が、近年、レーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォ
トポリマーなどの有機薄膜を用いた安価で高密度な光メ
モリーが登場している。
【0004】現在これらのメモリーをさらに高密度で大
容量にするために、単位メモリービットの微細化に向け
ての技術開発が進められているが、これらの従来のメモ
リーとは全く別の原理に基づくメモリーの提案もされて
いる。例えば、個々の有機分子に論理素子やメモリー素
子の機能を持たせた分子電子デバイスの概念もその一つ
である。分子電子デバイスは単位メモリービットの微細
化を局限まで進めたものと見ることができるが、これま
で個々の分子にいかにアクセスするかが問題とされてき
た。
【0005】一方、最近では走査型トンネル顕微鏡(S
TM)が開発され(G. Binninig et al., Phys. Rev.
Lett., 49, 57(1982))、単結晶、非晶質を問わず、実
空間の高分解能測定が可能となった。STMは、金属の
探針(プローブ電極)と導電性物質の間に電圧を加えて
10Å程度の距離まで近付けるとトンネル電流が流れる
ことを利用している。この電流は、両者の距離変化に非
常に敏感であり、トンネル電流を一定に保つように探針
を走査することにより、実空間の表面構造を描くことが
できると同時に、表面原子の全電子雲に関する種々の情
報をも読み取ることができる。この際の面内方向の分解
能は1Å程度である。従って、STMの原理を応用すれ
ば、十分に原子オーダー(数Å)で高密度記録再生を行
なうことができる。この際の記録再生方法として、粒子
線(電子線、イオン線)あるいはX線等の高エネルギー
電磁波および可視・紫外光等のエネルギー線を用いて適
当な記録層の表面状態を変化させて記録を行ない、ST
Mで再生する方法や、記録層として電圧電流のスイッチ
ング特性に対するメモリ効果を持つ材料、例えばπ電子
系有機化合物やカルコゲン化物類の薄膜層を用いて記録
再生をSTMを用いて行なう方法等が提案されている。
その他、電圧パルスを印加することで、基板上に分子を
流体から捕捉し、選択的にデータビットを書き込み、ま
たそれを読み取り、消去を行なう方法・装置の提案があ
る(特開平1−196751公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のような記録また
は再生を行なう情報処理装置は、STMの原理を応用し
ているため、記録媒体の電極層には酸化膜の生成しない
材料、すなわち貴金属を用いることが望ましい。一方、
記録層としては、特開昭63−161552号公報に開
示されているように、電流−電圧特性においてメモリー
スイッチング現象(電気メモリー効果)を有する材料を
使用することが望ましいが、そのほとんどは有機材料で
ある。一部の有機材料は貴金属に対して密着性があまり
良好ではなく、記録媒体においても例外ではない。例え
ば、記録媒体に使用するような薄膜の基板上での強度に
ついて記載のある報告としては、E. Mayerらの報告(E.
Mayer et al., Nature, 349, 398-400(1991))などが
ある。これらはSi基板上に有機膜を形成してその表面
を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、荷重を加えて実
験を行なっているが、比較的強い荷重に対しては、ダメ
ージが発生することが示唆されている。
【0007】また、媒体表面の凹凸による成分を再生信
号から除き、かつ記録時の間隔制御が印加電圧に左右さ
れないようにするためには、媒体表面とプローブ電極間
の距離を両者が流れる電流以外の量によって一定に制御
する方法が考えられ、その一つとして、両者間に働く原
子間力によって距離を制御する原子間力顕微鏡(AF
M)の利用が特開平1−245445号公報に開示され
ている。AFMにおいては、プローブ電極を弾性体で支
持し、プローブ電極先端と記録媒体表面間に働く力を弾
性体の変形によるバネ力と釣り合わせ、この変形量を一
定に保持するように帰還制御が行なわれる。
【0008】このような帰還制御を行なう場合において
も、電極層と記録層の密着性が不十分であると、まず記
録層が物理的な外力に弱くなるという問題が発生する。
例えば、情報の記録再生時にプローブ電極が外的ショッ
クなど何らかの原因で記録層と強く接触してしまった場
合、プローブ電極が容易に記録層を剥ぎ取ってしまうこ
とがある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、第1
に、少なくとも電極層と記録層が積層されて成る記録媒
体において、電極層と記録層とが、チオール基およびシ
ロキサン結合を有する分子を有してなる密着層を介して
積層されていることを特徴とする記録媒体を提供する。
そのように、電極層と記録層に間にチオール基およびシ
ロキサン結合を有する分子からなる密着層を形成するこ
とで、電極層と記録層の密着性を向上させ、プローブ電
極に外的ショックや荷重が加わったりしたときに、プロ
ーブ電極によって記録媒体表面が破壊される危険性を回
避することができる。そのような記録媒体の層構成の概
略を図1に示す。
【0010】第2に本発明は、上記の記録媒体、該記録
媒体と該記録媒体に対向配置されたプローブ電極との間
に電圧印加する手段、該記録媒体と該プローブ電極の間
に流れる電流を検知する電流検知手段、該記録媒体と該
プローブ電極との間の距離を設定する間隔設定手段、お
よびプローブ電極走査時に該設定間隔を一定に保持する
間隔保持手段を有する情報処理装置を提供する。
【0011】第3に本発明は、上記の情報処理装置を用
い、間隔設定手段によって記録媒体とプローブ電極の間
の距離をトンネル電流が流れ得る距離とし、間隔保持手
段によって該距離を保持しながら、該記録媒体と該プロ
ーブ電極の間に流れるトンネル電流を検出して、該記録
媒体の電気特性を検出することによって再生を行なう情
報再生方法、ならびにその装置を用い、記録媒体とプロ
ーブ電極の間に電圧を印加して、該記録媒体の電気特性
を変化させることによって記録を行なう情報記録方法を
提供する。
【0012】本発明の記録媒体に用いられる密着層は、
チオール基およびシロキサン結合を有する化合物を有し
てなるもので、その化合物としては特に一方の分子末端
にチオール基があり、他方の分子末端にシロキサン結合
を有するものが好ましい。
【0013】かかる密着層の簡便な形成方法としては、
上記化合物の飽和蒸気に電極層を曝露したり、その化合
物を有機溶剤等の溶媒に溶解したのち、電極層を溶液中
に浸漬するなどの手法で、電極層表面にその化合物の分
子を化学吸着させる方法などがある。
【0014】チオール基は、貴金属、特に金に選択的に
化学吸着される特性を有する(W. S. V. Kwan et al.,
Langmuir, 1419-25(1991))ことから、電極層上にチオ
ール基が選択的に化学吸着され、電極層との間で強固な
結合が形成される。
【0015】かかる密着層上に記録層を形成すると、電
極層への吸着に関与しない分子末端にあるシロキサン結
合の部分が記録層との間に結合を形成する。さらに、シ
ロキサン結合は密着層上で網目状構造を取る場合もあ
り、密着層と記録層との結合は強固になる。
【0016】このようにして、電極層と記録層の間に上
記のような密着層を形成することにより、機械的強度に
優れた記録媒体を得ることができる。
【0017】一方、本発明の記録媒体における記録層
は、特開昭63−161552号公報に開示されている
ように、電流−電圧特性においてメモリースイッチング
現象(電気メモリー効果)を有する材料を使用すること
が可能であるが、密着層におけるシロキサン結合部位と
結合しやすく、記録層そのものの強度を考慮すると、ポ
リイミドの単分子膜や単分子累積膜を用いることが好ま
しい。
【0018】さらに、かかるポリイミド単分子膜または
単分子累積膜はラングミュア−ブロジェット(LB)法
によって得られたポリアミド酸単分子膜または単分子累
積膜から形成することが薄膜化の観点から好ましい。そ
の方法としては例えば、まずポリアミド酸に適度の疎水
性を持たせるための長鎖アルキルアミン類を混合し、ポ
リアミド酸アミン塩として成膜し、その後、化学処理ま
たは加熱焼成することにより、脱水閉環(イミド化)反
応および脱アミンを行なわしめ、ポリイミド膜とする。
【0019】本発明で用いられるポリアミド酸はカルボ
ン酸無水物とジアミンとを縮合させることによって得ら
れる。カルボン酸無水物としては例えば、ピロメリット
酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパンの酸無水物などが挙げられる。
【0020】ジアミンとしては、フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4''−ジアミ
ノ−p−テルフェニル、4,4’−ジアミノジフェニル
チオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、α−(4−アミノフェニル)−p−トルイジン、
2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス
(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシロキサンなどが挙げられる。
【0021】さらに、かかるポリアミド酸は、アミド酸
構造の単位がポリマー主鎖に一部含まれているものであ
っても本発明の記録媒体に使用可能であることから、2
種以上のカルボン酸無水物および/または2種以上のジ
アミンを用いた共重合体ポリアミド酸の利用も可能であ
る。
【0022】本発明において、上記長鎖アルキルアミン
には1〜3級のアルキルアミン、さらに、アルキル基の
一部がハロゲン置換されているもの、アルキル鎖の一部
が水酸基で置換されているもの、分岐型アルキル基、ベ
ンゼン環等環状構造を有しているものなどを用いること
が可能である。
【0023】これら分子の混合比としては、ポリアミド
酸のカルボキシル基を全てアミン塩化させる程度とする
のが好ましい。すなわち、ポリアミド酸の1繰返し単位
当り通常2個のカルボキシル基が存在するが、この場
合、ポリアミド酸の繰返し単位数の総和:アルキルアミ
ンの分子数を、1:1〜1:3、より好ましくは1:2
〜1:2.5とする。
【0024】この時の溶媒としては、N,N−ジメチル
アセトアミド(DMAC)など、ポリアミド酸およびア
ミンが十分に溶解し、かつ水面上にそれの溶液を展開す
ることが可能な溶媒であれば何を用いてもよく、また混
合溶媒でもよい。
【0025】また、ポリアミド酸の濃度にも特に制限は
ないが、展開性の面から、単量体換算濃度1×10-7
1×10-3Mの範囲とすることが好ましい。
【0026】さて、以上のようにして調製したポリアミ
ド酸アミン塩の溶液を水面上に静かに展開する。この
時、水相としては、20〜25℃の純水が一般に用いら
れるが、各種金属イオンの添加や酸、アルカリを加えて
pHの調整を行なっても構わない。
【0027】次に、水面上に展開したポリアミド酸アミ
ン塩を圧縮し、水面上にポリアミド酸アミン塩の単分子
膜を形成する。
【0028】かかる単分子膜を表面圧を一定に保ったま
ま、水面上単分子膜を横切る方向に浸漬し、引続き引き
上げることにより、2層のY型分子膜を支持体上に累積
することが可能となる。
【0029】ポリアミド酸アミン塩の単分子膜を基板上
に写し取るには、上述の垂直浸漬法の他、水平付着法、
回転円筒法などの方法によることもできる。
【0030】かかる方法により形成したポリアミド酸ア
ミン塩の単分子累積膜をイミド化し、ポリイミドの単分
子累積膜として、本発明の記録媒体における記録層とす
る。イミド化の方法としては、化学的な方法と熱的な方
法とがあるが、いずれの方法を用いてもよく、なんら限
定するものではない。
【0031】上記のような単分子累積膜を2つの金属電
極で挟持したMIM構造素子(図10)は、図11およ
び図12に示すような電流電圧特性を示す(特開昭63
−96956号公報参照)。2つの状態(ON状態とO
FF状態)は閾値以上の電圧印加によって相互に遷移
し、かつそれぞれの状態は閾値電圧以下で保持される。
これらの特性は、数Åから数1000Åの膜厚のものに
発現されるが、本発明の記録媒体としては、特開昭63
−161552号公報および特開昭63−161553
号公報に開示されたごとく、好ましくは数Åから500
Åの範囲の膜厚のものであり、最も好ましくは10Åか
ら200Åの膜厚のものである。
【0032】また、本発明の記録媒体における電極層と
しては高い電導性を有するものであればよいが、記録媒
体表面の平滑性を高めるためには、平滑基板上に金属を
エピタキシャル成長させたものが好ましい。かかる平滑
基板は表面凹凸の最大値と最小値の差が1nm以下の平
滑面を、少なくとも1辺が1μmの正方形より広い領域
で有するものであることが望ましく、かつかかる平滑基
板は金属がエピタキシャル成長するのに適しているもの
が望ましい。これらの条件を満たす平滑基板としては、
マイカ、MgO、TiC、Si、グラファイト等から成
るものが挙げられる。
【0033】次に、電極層は平滑基板上に金属をエピタ
キシャル成長させて形成したものが望ましい。かかる金
属としては、Au、Ag、Pdなどのほか、Au−A
g、Au−Pdなどの合金でもよい。
【0034】また、かかる電極層上にトラックパターン
を形成することも可能であり、かかるトラックパターン
の形成には従来公知の種々のリソグラフィー技術を用い
ることも可能であるが、プロセスの簡略化、段差の制御
性、ビーム径の大きさなどから、収束イオンビーム(F
IB)などのイオンビーム技術を用いるのが好ましい。
また、記録されたデータの凹凸を区別でき、かつデータ
追跡時のプローブ電極の損傷を防ぐために、トラックの
段差は3nm〜30nmとすることが好ましい。
【0035】本発明の情報処理装置では、上述の本発明
の記録媒体を対向配置されたプローブ電極を介して情報
の記録および/または再生を行なう装置に組み込み、プ
ローブ電極・記録媒体間の間隔の変動を補正する方向の
力がそのプローブ電極・記録媒体間に作用するようにし
てその間隔を一定に保持しながら、プローブ電極・記録
媒体間に電圧を印加して情報の記録を行なうか、もしく
はプローブ電極・記録媒体間の電流を検出することによ
って再生を行なうようにするものである。
【0036】プローブ電極・記録媒体間の距離の制御を
行う手段としては、プローブ電極先端と記録媒体表面間
の原子間力を検出し、その検出値に基づいて上述の変動
補正を行う方向の力をプローブ電極・記録媒体間に加え
る手段、あるいはプローブ電極を支持しプローブ電極先
端と記録媒体表面間の斥力に応じて撓む弾性支持体など
がある。
【0037】後者の弾性支持体としては例えば、両持ち
梁の中央や片持ち梁の自由端側にプローブ電極を設けた
ものなどが挙げられる。また、梁の材料としては、A
u、Ni、SUSなどの箔を用いるのが好ましく、さら
に微小な梁を作るには、マイクロメカニクスで頻用され
るSiO2薄膜などが挙げられる。
【0038】また、プローブ電極と記録媒体との間に働
く力は非常に小さいので、プローブ電極および弾性支持
体の質量はできるだけ小さくしたほうが好ましく、ま
た、変化を大きくするために弾性支持体は柔らかくしか
も外部からの振動に対しては強いことが好ましい。
【0039】本発明においては、上記プローブ電極と記
録媒体の間の距離を両者の間に斥力などの力が作用する
まで近接した状態でプローブ電極を記録媒体表面上で走
査し、かつ両者間に電圧印加回路によって所望の電圧を
加え、記録、再生および消去を行なう。
【0040】そのため、プローブ電極の先端は、記録、
再生、消去の分解能を上げるためにできるだけ尖らせる
ことが望ましい。例えば、SiO2基板上にSiをフォ
ーカストイオンビームで打ち込み、そのSiの上に選択
的にSiを結晶させ、Auを蒸着して導電性処理を行な
ったプローブ電極を用いることができるが、プローブ電
極の形状や処理方法は何らこれに限定されるものではな
い。
【0041】
【実施例】以下、図面を用いながら、実施例によって本
発明を具体的に説明する。
【0042】(実施例1)図2に示した順序で、記録媒
体を作製した。
【0043】まず、大気中でマイカ板を劈開し、平滑基
板101を作製した(図2(a))。
【0044】次に、平滑基板101上にAuを真空蒸着
法を用いて蒸着させ、電極層102を形成した(図2
(b))。蒸着は基板温度400℃、成膜速度0.5n
m/sec、到達真空度5×10-7Torr、膜厚50
0nmの条件で行なった。
【0045】続いて、収束イオンビームにより、幅0.
1μm、ピッチ1.0μm、深さ5nmのトラック10
4を平滑電極層102上に形成した(図2(c))。収
束イオンビームはAu++イオンを用い、加速電圧40k
V、イオン電流14pA、ドーズ量1×1016/cm2
の条件で行なった。
【0046】次に、3−メルカプトプロピルトリメトキ
シシランの蒸気中に上述した方法で形成した平滑電極基
板を約12時間曝し、密着層105を形成した(図2
(d))。
【0047】その後、下記式(1)で表されるポリアミ
ド酸をジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解させ
(単量体換算濃度1×10-3M)、別途調製した1×1
-3MのN,N−ジメチルオクタデシルアミンのDMA
C溶液と1:2(v/v)に混合して、ポリアミド酸ア
ミン塩溶液を調製した。
【0048】
【化1】 その溶液を水温20℃の純水からなる水相上に展開し、
水面上に単分子膜を形成した。表面圧を25mN/mま
で高め、表面圧を一定に保ちながら、上記基板を水面を
横切る方向に速度5mm/minで静かに浸漬した後、
続いて5mm/minで静かに引き上げて、2層のY型
単分子累積膜を作製した。かかる操作を繰り返して、6
層のポリアミド酸アミン塩の単分子累積膜を形成した。
【0049】続いて、その基板を300℃で10分間加
熱焼成してポリイミド膜とし、本発明における記録層1
03とした(図2(e))。そのポリイミド膜の膜厚は
エリプソメトリ法により、一層当たり4Åと求められ
た。
【0050】以上のようにして作成した記録媒体を図3
に示す情報処理装置に用いて、情報の記録、再生、消去
を行なった。
【0051】以下、記録・再生方法について述べる。プ
ローブ電極2を記録媒体上のトラックパターンに対して
走査した。図13は、使用した記録媒体の一部の平面図
である。
【0052】この際、図3の平滑電極基板101に対し
てプローブ電極(Pt−Rh合金)2に−0.5Vのバ
イアス電圧を印加し、トンネル電流が0.1nAとなる
ようにドライバー305およびアクチュエータ204を
間隔保持手段として用いてプローブ電極2と電極層10
2との距離(図中のZ方向)を一定に保ちながら走査し
て、図13のトラック104の位置を検出し、検出され
たトラック104の位置をもとに、501のような走査
パターンに従ってプローブ電極2とトラック104の間
のトンネル電流変化を検出した。
【0053】その走査パターンの一部、すなわちトラッ
ク104の段差より50nmの位置から記録を10nm
ピッチで行なった。記録は記録層103の電気メモリ効
果を利用して行なった。すなわち、情報に従って図6に
示した波形を持つ三角波パルス電圧をパルス電源308
を用いて記録層103に印加し、印加部に低抵抗状態を
生じさせた。この時、トンネル電流は2nAとなった。
なお、図6において、プローブ電極2がプラス(+)
極、電極10がマイナス(−)極としてある。記録後、
再び最初の走査パターン501に従って、情報の再生を
行なった。再生用バイアス電圧は新たな情報の記録、あ
るいは記録された情報の消去が生じないように0.5V
とし、トンネル電流の変化を測定し、情報の再生を行な
った。
【0054】以上の再生実験においては、データ転送速
度を1Mbpsとした時のビットエラーレートは1×1
-5であった。引続き、情報記録部に図7に示すパルス
電圧を印加した後、再び再生してみると、初期の高抵抗
状態(トンネル電流=0.1nA)に戻っており、記録
情報の消去が行なわれたことを確認できた。
【0055】次に、作製した記録媒体に対してAFM装
置を用いて荷重走査を行ない、記録層の密着性を測定し
た。AFM装置に使用するカンチレバーおよびティップ
は窒化シリコン製のものを用いた。測定は、ティップを
2×10-7Nの荷重で500nm角内を20回走査させ
て行なった。その結果、走査後の記録層表面には膜剥れ
等のダメージは観察されず、記録媒体が十分な強度を有
することが明らかになった。
【0056】(実施例2)図4は、本発明の情報処理装
置の他の例を示すブロック構成図である。1は記録媒
体、2は記録媒体1に対向して設けられたプローブ電
極、3はプローブ電極2が取り付けられている片持ち
梁、4は片持ち梁3の支持体である。この片持ち梁3に
よってプローブ電極2はz軸方向に変位できるようにな
っている。媒体1はxyz微動装置5によってx、yお
よびz軸方向に微小量動かすことができ、さらにxyz
粗動装置6によって動かすことができる。片持ち梁の支
持体4とxyz粗動装置6はベース7に固定されてい
る。ベース7は図示されていないが、除震台上に設置し
てある。
【0057】片持ち梁3はシリコンのエッチング技術を
用いて作製した。シリコンの結晶の性質を高度に利用し
た異方性エッチングの手法で長さ100μm、幅20μ
m、厚さ1μmのSiO2の片持ち梁を形成した。この
手法は公知である(K.E.Petersen Proc. IEEE., 70, 42
0(1982))。プローブ電極2は前記の異方性エッチング
で作製したSiO2の片持ち梁3の一端にSiイオンを
打ち込み、このSi上に選択的にSiを結晶成長させ
て、先端の鋭利なピラミッド状の結晶201を形成した
後、Auを真空蒸着法により厚さ300Å蒸着し、導電
層202を形成して作製した。xyz微動装置5は、円
筒形圧電素子を用いており、任意の電圧を印加すること
で、x、yおよびz軸方向に記録媒体1を微動できる。
xyz粗動装置6はxyzステージを使用している。
【0058】プローブ電極2と記録媒体1の下地電極1
02は、記録・消去用の電圧を印加する電圧印加回路
と、プローブ電極2と記録媒体1の間を流れる電流を検
知する電流検知回路からなる電圧印加および電流検知回
路10に接続されている。
【0059】xyz微動装置5およびxyz粗動装置6
は制御回路8および9によってそれぞれ駆動される。こ
れらの回路と、電圧印加および電流検知回路10はマイ
クロコンピュータ12と接続され、制御される。
【0060】実施例1と同様にして記録媒体を形成し、
図4に示す情報処理装置によって、情報の記録、再生お
よび消去を行なった。
【0061】記録媒体1をxyz微動装置5の上に固定
した後、プローブ電極2とAu電極102の間にバイア
ス電圧100mVを印加し、xyz粗動装置6そしてx
yz微動装置5を駆動し、媒体1をプローブ電極2に近
付ける。プローブ電極2と記録媒体1の間を流れる電流
をモニターしながら、両者間の距離を変えていくと、図
8に示すような電流特性(図中のIで示す曲線)が得ら
れた。
【0062】一方、プローブ電極2と記録媒体1が接近
すると、両者の間に力が働き、その力によって片持ち梁
3が変形する。レーザービームの片持ち梁での反射ビー
ムのずれによって検出する光てこ方式を用いて、前記の
電流特性と同時に、その変形量を測定し、その結果も同
時に図8に示した(図中のFで示した曲線)。
【0063】プローブ電極2と記録媒体1の間に斥力が
働く図8の領域aでは、両者の間に流れる電流は両者間
の距離に対してほぼ一定となっている。そこで以後の走
査では、まず、回路10によって電流をモニターして、
マイクロコンピュータ11による制御によってプローブ
電極2と記録媒体1とを両者間に斥力(具体的には10
-8[N]程度)が働く距離まで接近させる。
【0064】この状態で、xyz微動装置5は、媒体1
のz軸方向の位置を固定して、x軸およびy軸方向に媒
体1を移動させることにより、プローブ電極2で媒体1
を走査させる。情報記録時には、この走査中に記録情報
に応じて所定の位置で媒体をON状態にする閾値電圧以
下の電圧を回路10で印加していく。これにより、媒体
1上に情報記録がなされていく(オール0信号の記録で
ある)。
【0065】消去時には、媒体をOFF状態に戻す閾値
以下の電圧を印加しながら、回路10でプローブ電極2
と媒体1との間に流れる電流を検出していく。この時の
検出電流の変化状態が媒体上に記録された情報を示すこ
とになる。
【0066】このように、プローブ電極の先端と記録媒
体表面とをこの間に斥力が働く距離まで近付け、その斥
力によってプローブ電極の支持体を弾性変形させた状態
でプローブ電極2を記録媒体1表面上で走査させ、同時
にプローブ電極2と記録媒体1との間に媒体変化電圧を
加えて記録、消去を行ない、かつ微小電圧を印加して記
録媒体を流れる電流を検知することによって電導度の異
なる領域、すなわち記録ビットを検出する。
【0067】プローブ電極の支持体をプローブ電極先端
と記録媒体表面との間に働く斥力による弾性変形状態で
使用するため、媒体表面の凹凸のためにプローブ電極先
端が媒体表面に近付き斥力が大きくなれば支持体が変形
してプローブ電極先端は媒体表面から遠ざかり、またプ
ローブ電極先端が媒体表面から遠ざかって斥力が小さく
なれば、支持体が前記とは逆の方向に変形してプローブ
電極先端は媒体表面に近付き、走査中の表面凹凸による
プローブ電極支持体の変形量が弾性変形の範囲にあれ
ば、プローブ電極2と媒体1表面との距離は、支持体に
アクチュエータを取り付け、支持体の変形量によって帰
還制御をしなくともほぼ一定に保たれることになる。
【0068】さらに、この状態でプローブ電極の記録媒
体間に微小電圧を印加することによって検出される電流
信号には記録媒体表面の凹凸に起因する電流信号は含ま
れないため、正確な記録ビットの再生が可能となる。
【0069】また、本発明においては、上述の記録、再
生、消去に用いる記録媒体は前述した記録媒体の形成方
法により、記録媒体表面の機械的な強度が向上している
ことから、記録媒体表面をプローブ電極が走査したとき
に荷重がかかっても、プローブ電極先端で記録媒体表面
を変形させる危険性が減少し、走査中のトラブルによる
記録、再生、消去のエラーを減少させることが可能とな
った。
【0070】次に、この装置において行なった記録、再
生、消去の実験について述べる。
【0071】検出電流をモニターしながら、プローブ電
極2と記録媒体1との距離を図8のa領域で示す状態ま
で接近させ、この状態でxyz微動装置5、xyz粗動
装置6の制御回路8、9の出力を保持し、ON状態を生
じる閾値電圧VthON以上の電圧である図6に示した
波形を持つ三角波パルス電圧をプローブ電極2とAu電
極102との間に印加した後、再び100mVのバイア
スを印加して測定したところ、8μA程度の電流が流
れ、ON状態となったことを示した。
【0072】次に、ON状態からOFF状態へ変化する
閾値電圧VthOFF以上の電圧で図7に示した波形を
持つ三角波パルス電圧を印加した後、再び100mVの
バイアスを印加したところ、電流値1nA程度で、OF
F状態に戻ることが確認された。
【0073】次に、前記と同様にプローブ電極2と記録
媒体1との距離を図8のa領域で示される距離まで接近
させた状態でxyz微動装置5のy、z軸を固定し、x
軸方向のみに駆動して、電流をモニターしたところ、電
流値はほぼ1nAの一定値を示した。次に、x軸方向の
みを駆動しながら、10nm間隔に図6の波形を有する
閾値電圧VthON以上の三角波パルス電圧をプローブ
電極2とAu電極102の間に印加した後、バイアス1
00mV一定下で、再び、x軸方向のみの駆動を繰返
し、プローブ電極2とAu電極102の間を流れる電流
を測定したところ、10nm周期で4桁程度に変化する
電流が観測され、ON状態が周期的に書き込まれたこと
が確認された。さらに、ON状態とOFF状態とでの電
流の比もほぼ一定値を保持していた。
【0074】また、上記のON状態が周期的に書き込ま
れた領域を再びx軸駆動のみによって走査し、任意のO
N状態領域上でxyz微動装置5を停止させ、この位置
を保持した状態で、図7の波形を有する閾値電圧Vth
OFF以上の三角波パルス電圧を印加した。x軸方向の
みの走査を繰返し、電流を測定したところ、パルスを印
加した領域のON状態が消去され、1nA程度の電流を
示すOFF状態に戻っていることが確認された。この任
意のビット消去同様、プローブ電極2とAu電極の間の
電圧を閾値VthOFF以上に設定して、記録領域上を
走査し、その後、電流測定をしたところ、電流値は1n
A程度でほぼ一定値を示し、10nm周期で記録された
ON状態が全て消去されOFF状態となったことが確認
された。
【0075】続いて、xyz微動装置5を制御し、1n
mから1μmの間の種々のピッチで長さ1μmのストラ
イプを上記の方法で書き込み、分解能を測定したとこ
ろ、3nm以上のピッチでは常に4桁程度の電流変化が
書き込みピッチと同じピッチで確認されたが、3nm未
満のピッチでは電流量の変化が次第に小さくなった。
【0076】さらに、上記実験の間プローブ電極による
記録媒体表面の変形やプローブ電極走査中のエラーはな
かった。
【0077】(実施例3)次に、実施例2で用いた片持
ち梁の形成方法およびプローブ電極の形成方法によって
1辺のSi基板上に長さ100μm、幅20μm、厚さ
1μmのSiO2の片持ち梁を複数個形成し、それぞれ
の片持ち梁の先端にプローブ電極を設けた。
【0078】図5に示すように、片持ち梁が形成された
Si基板4を支持台13に固定した。支持台13は少な
くとも3個の圧電素子14を介してベース7に取り付け
られている。これら圧電素子14はマイクロコンピュー
タ11によって制御された圧電素子制御回路12によっ
て個々に駆動される。また、電圧印加および電流検知回
路10によって、個々のプローブ電極2に電圧が印加さ
れ、個々のプローブ電極2と記録媒体1の間に流れる電
流がそれぞれ別個に検知される。
【0079】この他の構成は、実施例1と同様である。
【0080】記録媒体は、記録層を次のようにした点を
除き、実施例1と同様とした。
【0081】すなわち、実施例1と同様にして平滑電極
基板および密着層を形成した。
【0082】次に、(2)式で表されるポリアミド酸と
N,N−ジメチルオクタデシルアミンをそれぞれ単量体
換算濃度1×10-3Mにジメチルアセトアミド(DMA
C)で溶解した溶液を1:2(v/v)に混合して、ポ
リアミド酸アミン塩溶液を調製した。
【0083】
【化2】 この溶液を用いて、実施例1と同様にして6層のポリア
ミド酸アミン塩の単分子累積膜を形成した。
【0084】次に、その基板を300℃で10分間加熱
焼成して、ポリイミド膜の記録層を形成した。
【0085】このようにして形成した記録媒体を、AF
Mを用いて1×10-7Nの荷重をかけて走査したとこ
ろ、記録媒体表面の変形は認められなかった。
【0086】続いて、その記録媒体1をxyz微動装置
5を駆動し、プローブ電極2とAu電極102の間にバ
イアス100mVを印加した状態で両者を接近させた。
この際、圧電素子14を制御して、全プローブ電極が一
様に記録媒体1に接近するように調節し、全プローブを
図8のa領域の状態になるまで接近させた。この状態下
でxyz微動装置5により、媒体1をx方向に移動させ
ながら、各プローブ電極2について実施例1と同様の記
録、再生、消去の操作を行なった。
【0087】次に、この装置における実験について述べ
る。上述した接近状態で、xyz微動装置を制御して、
記録媒体xy面内で駆動しながら、個々のプローブ電極
2とAu電極102の間を流れる電流を測定したとこ
ろ、いずれもほぼ1nA程度の電流値を示し、個々のプ
ローブ電極を流れる電流の走査中の変更は極めて小さか
った。
【0088】続いて、図9を用いて記録動作を説明す
る。上記と同様に記録媒体をxy面内で駆動しながら、
個々のプローブ電極に個別のビット情報(図9(a))
に基づいて図9中の(b)に示すような書き込みパルス
列を生成して、これに加えた。ここで、ビット情報の最
初のビットは個々のビット情報全てについてON状態に
対応するビットとしておいた(図中a−1)。パルス印
加後、再び書き込み時と同じ方法で記録媒体をxy平面
内で駆動して、バイアス100mV印加条件下でプロー
ブ電極2とAu電極102の間を流れる電流を測定した
ところ、4桁程度の電流変化が各プローブ電極に対して
得られ、これらの電流測定値を2値化して得たパルス列
は、各プローブ電極2に加えた個々のビット情報(図9
中の(a))に一致した。
【0089】次に、上で書き込んだ個々の個別ビット情
報に基づいて、図9中の(c)に示すような消去パルス
列を生成した。ここで、全てのビット情報に対して最初
のビットはONのまま消去しないものとしておく。書き
込み時と同じ方法で記録媒体をxy平面内で駆動して、
電流値を測定し、最初のビット、すなわち最初に電流値
が4桁程度変化した位置で、媒体の駆動を一時停止し
た。このとき、初めに定めたビット情報の条件の通り全
てのプローブ電極2について4桁程度の変化が認められ
た。続いて媒体の駆動を再開し、これに同期させて個々
のプローブ2に対して先に生成した個別の消去パルス列
を印加した。再び、書き込み時と同じ方法で記録媒体1
をxy平面内で駆動して電流を測定したところ、最初の
ビット以外は全てOFF状態、すなわち1nA程度の電
流値を示し、消去が完了したことが確認された。
【0090】ここで使用した消去パルスに代えて、書き
込みに用いたビット情報のうち、最初のビットを除く任
意のビットを選んで消去パルス列(図9中の(d))を
生成し、前述の手法と同様にして消去実験を行なったと
ころ、選択したビットのみの消去が確認できた。
【0091】さらに、本実施例においても、プローブ電
極による記録媒体表面の変形やプローブ電極の急激な位
置の変動はなく、プローブ電極走査中のエラーはなかっ
た。
【0092】(実施例4)本実施例では、基板を3−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液
(濃度1mM)中に浸漬して単分子吸着層を形成し、実
施例1と同様にして6層のポリアミド酸アミン塩の単分
子累積膜を形成し、300℃で10分間加熱焼成を行な
って密着層を形成した以外は、実施例1と同様にして記
録媒体を形成し、実施例1と同様の記録、再生、消去を
行なったところ、同様の良好な結果が得られた。
【0093】また、本実施例においても、プローブ電極
による記録媒体表面の変形やプローブ電極走査中のエラ
ーはなかった。
【0094】(比較例1)実施例1と同様に平滑基板を
形成した後、密着層形成操作を行なわずに、実施例1と
同様に平滑基板上にポリイミドLB膜の記録層を形成し
た。この記録媒体を実施例1と同様に密着性の測定を行
なった。その結果、2×10-7Nの荷重での500nm
角内のティップ走査において、3回目の走査で記録層に
ダメージが観察され始め、6回目で膜剥がれが発生し
た。
【0095】
【発明の効果】本発明により、貴金属からなる電極層と
有機膜からなる記録層との間にSH基およびシロキサン
結合を有する分子からなる密着層を設けることによっ
て、両層の密着性を十分に高めることができる。
【0096】その密着性向上により、(1)情報の記録
再生時にプローブが外的ショックなど何らかの原因で記
録層と強く接触してしまった場合などにおいても、従来
に比べて数段高い機械的強度を示す記録媒体を提供する
ことができ、従って(2)記録媒体とプローブ電極が近
接した情報処理装置で、プローブ電極の走査によって、
記録媒体表面の変形や破壊が生じる危険を回避すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体の層構成を示す模式的断面図
である。
【図2】本発明の記録媒体の製造過程の1例を示す断面
図である。
【図3】実施例1のSTMを応用した情報処理装置の構
成を示す模式図である。
【図4】実施例2の情報処理装置の構成を簡略に示す模
式図である。
【図5】実施例3の情報記録処理装置の構成を簡略に示
す模式図である。
【図6】記録用のパルス電圧波形を示す波形図である。
【図7】消去用のパルス電圧波形を示す波形図である。
【図8】プローブ電極・記録媒体間の距離と、両者間に
流れる電流および両者間に働く力の関係を示すグラフで
ある。
【図9】実施例3の実験で、1つのプローブ電極に与え
られたビット情報、記録層パルス列、消去パルス列を示
す波形図である。
【図10】本発明の記録媒体を金属電極で挟持したMI
M素子の模式的斜視図である。
【図11】図10の素子で得られる電流電圧特性を示す
グラフである。
【図12】図10の素子で得られるメモリー効果を表す
電流電圧特性を示すグラフである。
【図13】本発明の記録媒体表面上の、プローブ電極走
査パターンとトラックおよび記録ビットとの位置関係の
1例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 記録媒体 2 プローブ電極 3 片持ち梁 4 片持ち梁の支持体 5 xyz微動装置 6 xyz粗動装置 7 ベース 8 xyz微動装置の制御回路 9 xyz粗動装置の制御回路 10 電圧印加および電流検知回路 11 マイクロコンピュータ 12 圧電素子の制御回路 13 支持台 14 圧電素子 72 単分子累積膜 73、74 金属電極 101 基板 102 電極層 103 記録層 104 トラック 105 密着層 201 Si結晶 202 導電層 203 支持体 204 Z軸リニアアクチュエータ 205 X軸リニアアクチュエータ 206 Y軸リニアアクチュエータ 207 XYステージ 301 増幅器 302 対数圧縮器 303 低域通過フィルター 304 誤差増幅器 305 ドライバー 306 ステージ駆動回路 307 高域通過フィルタ 308 パルス電源 309 サーボ回路 501 走査パターン 502 データビット

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも電極層と記録層が積層されて
    成る記録媒体において、電極層と記録層とが、チオール
    基およびシロキサン結合を有する分子を有してなる密着
    層を介して積層されていることを特徴とする記録媒体。
  2. 【請求項2】 電極層が金から成る請求項1記載の記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 記録層の厚さが100Å以下である請求
    項1記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】 記録層がポリイミド膜である請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の記録媒体。
  5. 【請求項5】 ポリイミド膜が、ラングミュア−ブロジ
    ェット法によって得られたポリアミド酸アミン塩の単分
    子膜をイミド化して形成されたものである請求項4記載
    の記録媒体。
  6. 【請求項6】 ポリイミド膜が、ラングミュア−ブロジ
    ェット法によって得られたポリアミド酸アミン塩の単分
    子累積膜をイミド化して形成されたものである請求項4
    記載の記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の記録媒体、該記録媒体と該記録媒体に対向配置された
    プローブ電極との間に電圧印加する手段、該記録媒体と
    該プローブ電極の間に流れる電流を検知する電流検知手
    段、該記録媒体と該プローブ電極との間の距離を設定す
    る間隔設定手段、およびプローブ電極走査時に該設定間
    隔を一定に保持する間隔保持手段を有する情報処理装
    置。
  8. 【請求項8】 プローブ電極が複数個あり、該プローブ
    電極のそれぞれに間隔保持手段がある請求項7記載の情
    報処理装置。
  9. 【請求項9】 間隔保持手段が、記録媒体とプローブ電
    極との間の原子間力を検出して該検出値に基づいて該プ
    ローブ電極を動かす手段である請求項7または8記載の
    情報処理装置。
  10. 【請求項10】 間隔保持手段が、記録媒体とプローブ
    電極との間の斥力によって撓む該プローブ電極を支持す
    る弾性支持体である請求項7または8記載の情報処理装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項7ないし10のいずれか1項に
    記載の情報処理装置を用い、間隔設定手段によって記録
    媒体とプローブ電極の間の距離をトンネル電流が流れ得
    る距離とし、間隔保持手段によって該距離を保持しなが
    ら、該記録媒体と該プローブ電極の間に流れるトンネル
    電流を検出して、該記録媒体の電気特性を検出すること
    によって再生を行なう情報再生方法。
  12. 【請求項12】 請求項7ないし10のいずれか1項に
    記載の情報処理装置を用い、記録媒体とプローブ電極の
    間に電圧を印加して、該記録媒体の電気特性を変化させ
    ることによって記録を行なう情報記録方法。
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