JP2782275B2 - 電極基板及び記録媒体の製造方法 - Google Patents

電極基板及び記録媒体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高密度記録媒体に用いられる電極基板及び記
録媒体の製造方法に関する。更に詳しくは、走査型トン
ネル顕微鏡(STM)を応用した情報処理装置において、
記録媒体を形成する電極基板及び記録媒体の製造方法に
関するものである。
[従来の技術] 近年、メモリ材料の用途は、コンピュータ及びその関
連機器、ビデオディスク、ディジタルオーディオディス
ク等のエレクトロニクス産業の中核をなすものであり、
その材料開発も極めて活発に進んでいる。メモリ材料に
要求される性能は用途により異なるが、一般的には、 高密度で記録容量が大きい、 記録再生の応答速度が早い、 消費電力が少ない、 生産性が高く、価格が安い、 などが挙げられる。
従来までは磁性体や半導体を素材とした磁気メモリや
半導体メモリが主であったが、近年レーザー技術の進展
にともない、有機色素、フォトポリマーなどの有機薄膜
を用いた光メモリによる安価で高密度な記録媒体が登場
してきた。
一方、最近、導体の表面原子の電子構造を直接観察で
きる走査型トンネル顕微鏡(以後、STMと略す)が開発
され[G.Binning et al.Phys.Rev.Lett,49,57(198
2)]、単結晶、非晶質を問わず実空間像の高い分解能
の測定ができるようになり、しかも試料に電流による損
傷を与えずに低電力で観測できる利点も有し、更に大気
中でも動作し、種々の材料に対して用いることができる
ため広範囲な応用が期待されている。
STMは金属の探針(プローブ電極)と導電性物質間に
電圧を加えて1nm程度の距離まで近づけると、トンネル
電流が流れることを利用している。この電流は両者の距
離変化に非常に敏感である。トンネル電流を一定に保つ
ように探針を走査することにより、実空間の全電子雲に
関する種々の情報をも読み取ることができる。この際、
面内方向の分解能は0.1nm程度である。
したがって、STMの原理を応用すれば、十分に原子オ
ーダー(サブ・ナノメートル)での高密度記録再生を行
なうことが可能である。例えば、特開昭61−80536号公
報に開示されている記録再生装置では、電子ビーム等に
よって媒体表面に吸着した原子粒子を取り除き、書き込
みを行ない、STMによりこのデータを再生している。
記録層として電圧電流のスイッチング特性に対してメ
モリ効果を持つ材料、例えばπ電子系有機化合物やカル
コゲン化合物類の薄膜層を用いて、記録・再生をSTMで
行なう方法が提案されている[特開昭63−161552号公
報、特開昭63−161553号公報]。この方法によれば、記
録のビットサイズを10nmとすれば、1012bit/cm2もの大
容量記録再生が可能である。
第6図にSTMを応用した情報処理装置の構成例を示
す。以下図面に従って説明する。
101は基板、102は電極層、103は記録層である。201は
XYステージ、202はプローブ電極、203はプローブ電極の
支持体、204はプローブ電極をZ方向に駆動するZ軸リ
ニアアクチュエータ、205,206はXYステージをそれぞれ
X,Y方向に駆動するリニアアクチュエータである。
301はプローブ電極202から記録層103を介して電極層1
02へ流れるトンネル電流を検出する増幅器である。302
はトンネル電流の変化をプローブ電極202と記録層103の
間隙距離に比例する値に変換するための対数圧縮器、30
3は記録層103の表面凹凸成分を抽出するための低減通過
フィルタである。304は基準電圧VREFと低域通過フィル
タ303の出力との誤差を検出する誤差増幅器、305はアク
チュエータ204を駆動するドライバーである。306はXYス
テージ201の位置制御を行う駆動回路である。307はデー
タ成分を分離する高域通過フィルタである。308はプロ
ーブ電極202と電極層102との間に情報処理用のパルス電
圧を印加する電源である。パルス電圧を印加するとプロ
ーブ電流が急激に変化する為、サーボ回路309を用いて
プローブ電極202のZ方向への急激な変位を制御できる
ようになっている。
第7図に電極基板を用いた記録媒体の断面とプローブ
電極202の先端を示す。
101は基板、102は電極層、103は記録層、104はトラッ
クである。202はプローブ電極である。
また、401は記録層103に記録されたデータビット、40
2は基板101上に電極層102を形成したときにできた結晶
粒である。この結晶粒402の大きさは電極層102の製法と
して通常の真空蒸着法、スパッタ法等を用いると30〜50
nm程度である。
プローブ電極202と記録層103との間隔は第6図に示さ
れた回路構成により一定に保つことができる。すなわち
プローブ電極202と記録層103の間に流れるトンネル電流
を検出し対数圧縮器302、低域通過フィルタ303を介した
後、この値を基準電圧と比較し、この比較値が零に近付
くようにプローブ電極202を支持するZ軸リニアアクチ
ュエータ204を制御することにより、プローブ電極202と
記録層103の間隔を一定にすることができる。
さらに、XYステージ201を駆動することにより記録媒
体の表面をプローブ電極202がなぞり、点の信号の高
域周波数成分を分離することにより記録層103のデータ
を検出できる。
このときの点の信号の周波数に対する信号強度スペ
クトラムを第8図に示す。
f0以下の周波数成分の信号は基板101の反り、歪等に
よる媒体の緩やかな起状によるものである。f1を中心と
した信号は電極層102の表面の凹凸によるもので、主と
して電極材料形成時に生じる結晶粒402によるものであ
る。f2は記録データの搬送波成分で、403はデータの信
号帯域を示すデータ信号帯域である。f3は記録層103の
原子、分子配列から生じる信号成分である。また、fT
トラッキング信号である。第6図の再生装置においては
図示されていないが、このトラッキング信号fTはデータ
列をプローブ電極202が追跡できるようにするための信
号で、媒体上に段差を形成するか、トラック104から外
れると検出できる信号を記録層103又は電極層102に書込
むことにより実現している。
[発明が解決しようとする課題] 上記した電極基板による記録媒体を使用した場合、以
下のような問題点があった。
(1)STMの特徴である高分解能を生かし高密度記録を
行うにはデータ信号帯域403をf1とf3の間に置かなけれ
ばならない。この場合、データ成分を分離するため遮断
周波数fCの高域通過フィルタ307を用いる。しかしなが
ら、f1の信号成分の裾野がデータ信号帯域403と重なっ
ている。これはf1の信号成分が電極層102の結晶粒402に
起因しているためであり、結晶粒402の30〜50nmに対し
データの記録サイズ及びビット間隔が1〜10nmと接近し
ていることによる。
このため、データ再生のS/N比が低下し、読取りデー
タの誤り率を著しく大きくしている。
(2)トラッキング信号fTはf0の近傍にしか置くことが
できない。このため、トラッキング信号fTはデータ信号
帯域403に比べかなり低い周波数となってしまいトラッ
キングのデータ追跡精度が落ちる。このことは結果とし
てデータの読み取り誤り率を大きくし、記録再生装置と
しての信頼性を低下させるなどの問題点を有することと
なっている。これらの問題を解決する為には平滑な表面
を有する電極基板が不可欠である。
[課題を解決するための手段及び作用] そこで本発明の目的は、記録媒体に用いて高いS/N
比、高速読み出しが得られる電極基板を歩留りよく提供
することにある。又係る電極基板上に記録層を設けた記
録媒体を提供することにある。
すなわち、本発明の特徴とするところは、平滑基板上
に第1の有機薄膜から成る剥離層を形成する工程と、該
剥離層上に第2の有機薄膜から成るパターニング層を形
成する工程と該パターニング層に凹形状を形成する工程
と以上を以って形成された母材上に、電極層を形成する
工程と、しかる後、該電極層を剥離する工程を含むこと
を特徴とする電極基板の製造方法である。更に係る方法
によって製造された電極基板上に記録層を設けた記録媒
体の製造方法である。
これにより、平滑面を有する電極基板を歩留りよく提
供することができ、STMの原理を応用した情報処理装置
の機能を十分に生かすことを可能とした。
以下、図面に従って本発明を更に詳しく説明する。
第1図は本発明の製造方法により製造された電極基板
を用いた記録媒体の断面図を示す。101は基板、102は平
滑面を有する電極層、103は記録層、104はトラックであ
る。
第3図は本発明の電極基板の製造方法の各工程におけ
る断面図を示したものである。
第3図(a)に於てまず平滑基板11を用意する。この
平滑基板は表面凹凸が1nm以下の平滑面を、好ましくは
1μm□以上有するものを必要とする。
表面凹凸の測定は、微小プローブの先端を試料基板表
面に接近させ、該微小プローブの先端原子と試料基板表
面の原子との間に働く原子間力を計測し試料表面形状を
観察するAFM(Atomic−Force−Microscopy)という手法
を用いて行うことができる(米国特許第4,724,318号明
細書に記載)。
かかるAFMを用いると、試料の導電性,絶縁性を問わ
ず原子オーダーの分解能で試料の表面形状を計測するこ
とができる。本発明者等はAFMを用いて各種材料の表面
を評価したところ、以下の材料が本発明における平滑基
板11として適していることが判明した。
.結晶の劈開面…結晶の劈開面はきわめて平滑な表面
を容易に得ことができ、結晶材料としては例えばマイ
カ,MgO,TiC,Si,グラファイト等が挙げられる。
.溶融したガラス表面…例えば、フロートガラス,コ
ーニング社製#7059フュージョン溶融石英,等が挙げら
れる。
.光学研磨されたガラス,セラミック或いは結晶材料
表面…例えばシリコン基板,BK−7ガラス基板,パイレ
ックス基板,合成サファイヤ基板,等が挙げられる。
AFMにより上記材料の表面形状を測定したところ、10
μm□の領域において、及びでは表面凹凸は1nm以
下であり又では研磨の程度によっても異なるが、最も
良好なものでは3nm以下であった。これらの中で、特に
マイカ劈開面は、劈開時に生じる格子面の段差も少な
く、大面積(mm)に亘って空間周波数3.3×105/cm以
下の凹凸は1nm以下であり、本発明に用いる平滑基板と
して好適である。又光学研磨基板はそれ自身の平滑性は
他の結晶劈開面や溶融ガラス面等と較べて劣るものの、
第3図(b)に示すように次の工程に於いて係る基板表
面に剥離層として第1の有機薄膜よりなる剥離層105を
形成するため、充分平滑基板として利用し得ることがわ
かった。即ち1000Å径程度以下の溝や穴等の形状欠陥に
対しては上記剥離層105がブリッジを作って堆積される
ので剥離層105表面の平滑性は平滑基板11のそれよりも
優れる。実際に例えばSiウエハ上にポリイソブチルメタ
クリレートから成る6層の単分子累積膜を形成したもの
をAFMでその表面形状を測定したところ、マイカ劈開面
と略同等の平滑性を有していることが確認できた。さて
剥離層105はその膜厚が極めて均一であることが要求さ
れる。又厚さの制約は余りないが、好ましくは4〜1000
Å、より好ましくは10〜600Åである。係る要請から上
記剥離層105として単分子膜又は単分子累積膜を利用す
ることが好ましい。
係る単分子膜又は単分子累積膜を形成する方法として
は、蒸着法や塗布吸着法、或いは気相吸着法等の手法も
あるが、何れもある程度の面積にわたって膜厚を厳密に
制御することは難しい。この様な中で現状最も簡便に均
一な単分子膜又は単分子累積膜を得る方法としてラング
ミュアー・ブロジェット法(LB法)を挙げることができ
る。このLB法によれば1分子中に疎水性部位と親水性部
位とを有する有機化合物の単分子膜又はその累積膜を基
板上に容易に形成することができる。即ち分子オーダー
で制御された膜厚を有しかつ大面積にわたって均一,均
質な有機超薄膜を安定に供給することができる。
LB法は、分子内に親水性部位と疎水性部位とを有する
構造に於いて両者のバランス(両親媒性のバランス)が
適度に保たれている時、分子は水面上で親水基を下に向
けて単分子の層になることを利用して単分子膜またはそ
の累積膜を作成する方法である。
疎水性部位を構成する基としては、例えば一般に広く
知られている飽和及び不飽和炭化水素基や縮合多環芳香
族基及び鎖状多環フェニル基等の各種疎水基が挙げられ
る。これらは各々単独またはその複数が組み合わされて
疎水性部分を構成する。一方、親水性部分の構成要素と
して最も代表的なものは、例えばカルボキシル基、エス
テル基、酸アミド基,イミド基,ヒドロキシル基,スル
ホニル基,リン酸基,アミノ基(1,2,3及び4級)等の
親水基を挙げる事ができる。
これらの疎水性基と親水性基をバランスよく併有する
分子であれば、水面上で単分子膜を形成することが可能
である。本発明では、特に平滑性並びに均質性に優れ、
かつ成膜速度を大きくとれる等、相対的に成膜が容易な
材料の使用が望ましく、一例としては下記の如き分子を
挙げることができる。
(1)高分子化合物 ポリイミド誘電体,ポリアミック酸誘導体,ポリアミ
ド誘導体,各種フマル酸共重合体,各種マレイン酸共重
合体,ポリアクリル酸誘導体,各種アクリル酸共重合
体,ポリジアセチレン誘導体,各種ビニル化合物,合成
ポリペプチド類など。
(2)脂肪酸類 長鎖アルキル基を有するカルボン酸及びカルボン酸塩
乃至はこれらのフッ素置換体、少なくとも一本の長鎖ア
ルキル基を有するエステル,スルホン酸及びこれの塩,
リン酸及びこれの塩乃至はこれらのフッ素置換体など。
これらの化合物の内、特に耐熱性の観点からは高分子
化合物の利用が望ましく、殊にポリイミド類,ポリアク
リル酸類,各種フマル酸共重合体,或いは各種マレイン
酸共重合体等の高分子材料を使用すれば係る耐熱性に優
れるばかりでなく1層当りの膜厚を5Å程度にできる。
本発明では、上記以外でもLB法に適している材料であ
れば本発明に好適なのは言うまでもない。又剥離層105
を構成する有機分子は一種の材料に限定する必要は無く
二種以上の分子を混合して用いてもよいし異なる分子か
ら成る層を積層(ヘテロ積層)してもよい。更には均一
な膜が形成できればLB法以外の方法、例えば蒸着法、分
子線エピタキシー、電解重合法等も適用可能である。
次に第3図(c)に示す様に係る剥離層105上に第2
の有機薄膜から成るパターニング層106を形成する。係
るパターニング層106はその膜厚が極めて均一であるこ
とに加えてその厚さがその後形成されるトラックの高さ
に対応するので10〜200Å程度、好ましくは50〜100Å程
度の膜厚であることが要求される。係る要請から上記パ
ターニング層106としては剥離層105と同様に単分子膜又
は単分子累積膜を利用することが望ましく又その形成方
法としてはLB法に因るのが簡便である。即ちパターニン
グ層106は剥離層105と略同様にして形成される。パター
ニング層106と剥離層105とを構成する有機分子は各々同
じでも異なっていても構わない。前者の場合では改めて
パターニング層106を形成する必要はなく剥離層105の膜
厚を適度に厚く形成しその後のイオンビームや電子線照
射(後述)によってその一部を除去する際に厚さ方向に
完全に除去されて平滑基板11の表面が露出することのな
い様にすればよい。従ってその膜厚としては15〜1200Å
程度より好ましくは60〜1100Å程度である。一方パター
ニング層106と剥離層105とを構成する有機分子が各々異
なる場合においては、パターニング層106を構成する分
子の方が剥離層105を構成する分子と比較して、イオン
ビームや電子線照射によって容易に除去される組み合わ
せにすることが望まれる。これについては次項で述べ
る。
次に第3図(d)に示す様にパターニング層106の一
部を除去し、所望のトラック104に対応するパターニン
グを行う。パターニングを行う方法としては、収束電子
線又はイオンビームをパターニング層に照射し、マスク
レス加工により直接パターニング層の一部をエッチング
(スパッタ)してパターンを得る方法或いは電子線照射
した後露光部又は非露光部を溶剤によって選択的に除去
(現像)してパターンを得る方法等が考えられる。何れ
にせよ現状ではマスクレス加工することが望ましい。直
接スパッタする場合に於いてはパターニング層106を構
成する分子に対し、剥離層105を構成する分子のエッチ
レートが小さくなる様な組み合わせにすることが望まし
く、例えばパターニング層106として遊離脂肪酸、剥離
層105として脂肪酸金属塩、或いはパターニング層106と
してポリアクリル酸類、剥離層105として脂肪酸金属塩
といった組み合わせが考えられる。一方現像に因る場合
には、パターニング層106としてポリアクリル酸類、剥
離層105としてそれ以外のポリイミド類、脂肪酸類等の
組み合わせにすることが考えられる。以上の組み合わせ
はあくまでも一例であってこれ以外の組み合わせでもよ
く詳しくは照射条件等も含めて実験的に求められること
は言うまでもない。又、パターニング層106及び剥離層1
05を構成する分子が同一のものである場合に於いては、
電子線やイオンビームの照射条件を適度に調節すること
で、平滑基板の表面が露出されることなく、上記有機薄
膜(パターニング層106及び剥離層105)の一部が除去さ
れる。
次に第3図(e)に示すように、電極層102をトラッ
ク104,及び有機薄膜層105,106を含む平滑基板11上に形
成する。本発明に係る電極層102としては高導電性を有
するものが好ましい。例えばAu,Ag,Pt,Pdなどの金属及
びAu−Pd,Pt−Pdなどの合金、さらにそれらの積層膜が
挙げられる。このような材料を用いた電極形成法として
も従来公知の薄膜形成技術で十分である。
次に第3図(f)に示すように電極層102上に接着層1
3を形成する。本発明に係る接着層13としては無溶剤型
の体積収縮がないものが好ましく、例えばエポキシ樹脂
系、α−シアノアクリレート系などの絶縁性接着剤やエ
ポテック銀シリーズなどの導電性接着剤などが挙げられ
る。
次に第3図(g)に示すように接着層13上に基板101
をはり付ける。この工程に於て、基板101と電極層102が
直接接合される場合、例えば共晶結合、電鋳などの場合
は接着層13を省くことができる。本発明に係る基板101
としては接着層13を介する場合は金属、ガラス、セラミ
ックス、プラスチック材料等いずれの材料も使用でき
る。また直接基板101と接合させる場合は、比較的平滑
な材料が好ましい。さらに電極層102が厚い場合は、基
板101を省くことも可能である。
次に第3図(h)に示すように、平滑基板11を電極層
102から引き剥すことにより、表面凹凸が1nm以下の平滑
面を1μm□以上有する平滑電極基板が形成できる。
この際、剥離層105の一部が剥離された電極層102の表
面に付着される場合もあり得るが係る場合においては、
クロム酸混液やKOH飽和エタノール溶液等の酸又はアル
カリ溶液、或いはエタノール、メタノール、等の有機溶
媒を用いて簡単に除去することが可能である。
以上の様にして製造された電極基板上に記録層103を
設けることにより、記録媒体が製造される(第3図
i)。本発明で用いられる記録層103としては、機械
的,電気的(電圧印加)又は熱的な手段を用いて該記録
層103の一部の形状が変化し、例えば、ピット状の凹み
等を容易に形成し得る材料、例えば、有機物やカルコゲ
ン等の薄膜を利用することができる。何れの材料を用い
るにしても記録層103堆積時に、電極基板のトラック104
構造が保存されなければならない。従って記録層103の
膜厚としては数Å〜500Å,より好ましくは数Å〜100Å
の範囲にあって、かつ膜厚が均一である必要がある。係
る要請から、前述したLB法を用いて記録層103を形成す
ることが望ましい。更に本発明で用いられる記録層103
としては電流、電圧特性に於いて2種以上の抵抗状態を
有し、閾値以上の電圧印加に因って各抵抗状態間を遷移
し得るメモリー・スイッチング現象(電気メモリー効
果)を持つ材料を利用できる。例えば、 (1)酸化物ガラスやホウ酸塩ガラスあるいは周期律表
III,IV,V,VI族元素と化合したSe,Te,Asを含んだカルコ
ゲン化物ガラス等のアモルファス半導体が挙げられる。
それらは光学的バンドギャップEgが0.6〜1.4eVあるいは
電気的活性化エネルギーΔEが0.7〜1.6eV程度の真性半
導体である。カルコゲン化物ガラスの具体例としては、
As−Se−Te系、Ge−As−Se系、Si−Ge−As−Te系、例え
ばSi16Ge14As5Te65(添字は原子%)、あるいはGe−Te
−X系、Si−Te−X系(X=少量のV,VI族元素)例えば
Ge15Te81Sb2S2が挙げられる。
更にはGe−Sb−Se系カルコゲン化物ガラスも用いるこ
とができる。
上記化合物を電極層102上に堆積したアモルファス半
導体層において、膜面に垂直な方向にプローブ電極202
を用いて電圧を印加することにより媒体の電気メモリー
効果を発現することができる。
係る材料の堆積法としては従来公知の薄膜形成技術で
充分本発明の目的を達成することができる。例えば好適
な成膜法としては、真空蒸着法やクラスターイオンビー
ム法等を挙げることができる。一般的には、係る材料の
電気メモリー効果は数μm以下の膜厚で観測されている
が本発明のトラック付電極基板を有する、記録媒体とし
ての記録分解能に関しては、より薄い方が好ましく、均
一性、記録性の観点から100Å以上500Å以下の膜厚のも
のが良い。
(2)更にはテトラキノジメタン(TCNQ)、TCNQ誘導
体、例えばテトラフルオロテトラシアノキノジメタン
(TCNQF4)、テトラシアノエチレン(TCNE)およびテト
ラシアノナフトキノジメタン(TNAP)などの電子受容性
化合物と銅や銀などの還元電位が比較的低い金属との塩
を電極上に堆積した有機半導体層も挙げることができ
る。
係る有機半導体層の形成法としては、銅あるいは銀の
電極上に前記電子受容性化合物を真空蒸着する方法が用
いられる。
かかる有機半導体の電気メモリー効果は、数十μm以
下の膜厚のもので観測されているが、本発明のトラック
付電極基板上に堆積させる場合には、100Å〜500Åの膜
厚のものが好ましい。
(3)また更にはπ電子準位をもつ群とσ電子準位のみ
を有する群を併有する分子を電極上に積層した記録層を
挙げることができる。
本発明に好適なπ電子系を有する色素の構造としては
例えば、フタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン
等のポルフィリン骨格を有する色素、スクアリリウム基
及びクロロニックメチン基を結合鎖としてもつアズレン
系色素及びキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサ
ゾール等の2ケの含窒素複素環をスクアリリウム基及び
クロコニックメチン基により結合したシアニン系類似の
色素、またはシアニン色素、アントラセン及びピレン等
の縮合多環芳香族、及び芳香環及び複素環化合物が重合
した鎖状化合物及びジアセチレン基の重合体、さらには
テトラキノジメタンまたはテトラチアフルバレンの誘導
体およびその類縁体およびその電荷移動錯体、また更に
はフェロセン、トリスビピリジンルテニウム錯体等の金
属錯体化合物が挙げられる。
以上の如き低分子材料に加えて各種の高分子材料を利
用することも可能である。例えば、ポリアクリル酸誘導
体等の付加重合体、ポリイミド又はポリフェニレン又は
ポリチオフェン等の縮合重合体、ナイロン等の開環重合
体或いはポリペプチドやバクテリオロドプシン等の生体
高分子材料を挙げることができる。
有機記録層の形成に関しては、具体的には蒸着法やク
ラスターイオンビーム法等の適用も可能であるが、制御
性、容易性そして再現性から公知の従来技術の中では前
述したLB法が極めて好適である。
LB法を用いて電気メモリー効果を有する記録層を形成
するのに適する分子の具体例としては、例えば下記の如
き材料を挙げることができる。
ここでR1は前述のσ電子準位をもつ群に相当したもの
で、しかも水面上で単分子膜を形成しやすくするために
導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n≦
30が好適である。
以上具体例として挙げた化合物は基本構造のみであ
り、これら化合物の種々な置換体も本発明において好適
であることは言うにおよばない。
[II]スクアリリウム色素 [I]で挙げた化合物のクロコニックメチン基を下記
の構造を持つスクアリリウム基で置き換えた化合物。
Rは単分子膜を形成しやすくするために導入されたも
ので、ここで挙げた置換基に限るものではない。又、R1
〜R4,Rは前述したσ電子準位をもつ群に相当している。
[V]ジアセチレン化合物 CH3CH2 nC≡C−C≡CCH2 mX 0n,m20 但しn+m>10 Xは親水基で一般的には−COOHが用いられるが−OH,
−CONH2等も使用できる。
ここで、R1は水面上で単分子膜を形成し易くするため
に導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n
≦30が好適である。
また、R5は短鎖アルキル基であり、炭素数nは1≦n
≦4が好適である。重合度mは100≦n≦5000が好適で
ある。
以上、具体例として挙げた化合物は基本構造のみであ
り、これら化合物の種々の置換体も本発明に於いて好適
であることは言うにおよばない。
尚、上記以外でもLB法に適している材料であれば、本
発明に好適なのは言うまでもない。例えば、近年研究が
盛んになりつつある生体材料(例えばバクテリオロドプ
シンやチトクロームC)や合成ポリペプチド(PBLGな
ど)等も適用が可能である。
これらのπ電子準位を有する化合物の電気メモリー効
果は数十μm以下の膜厚のもので観測されているが、成
膜制、均一性及びトラック付電極基板上に堆積させる観
点から数Å〜500Å、より好ましくは数Å〜200Åの膜厚
のものが好ましい。
本発明の製造方法により製造された電極基板及び記録
媒体を、第6図の情報処理装置に用いた場合の点の信
号の周波数スペクトラムを第2図に示す。
f0以下の周波数成分の信号は基板101の反り、歪等に
よる媒体の緩やかな起状によるものである。f2は記録デ
ータの搬送波成分で、403はデータの信号帯域を示す。f
3は記録層103の原子、分子配列から生じる信号成分であ
る。また、fTはトラッキング信号である。f1を中心とし
た信号は母材の表面の僅かな凹凸が電極層102の表面に
転写されたもので、この凹凸はデータの記録信号と同等
もしくは記録信号より小さく作成される。この凹凸の変
化は、STMを応用した記録再生では1nm以下である。また
本発明の製造方法により製造された電極基板及び記録媒
体では、平滑面の大きさが1μm□以上になる。このこ
とにより、以下のような作用効果が得られる。
(1)電極基板の凹凸による信号成分f1とデータ信号帯
域403は重なりあうことはなく、f1のスペクトラムの拡
がりによるS/Nの低下はない。すなわち、データ誤り率
を小さくすることができる。
(2)トラッキング信号fTをデータ信号帯域403の近傍
に置くことができる。これは、トラッキングの周波数を
高く採れることからトラッキングの追跡精度を十分に確
保することができる。
(3)またトラッキングの周波数が高いことから、この
トラッキングのための段差を記録媒体へ形成する場合
は、データビットサイズとほぼ同程度の形状で良く、記
録密度を犠牲にすることなくトラッキングを行うことが
できる。
さらに、本発明によると以下のような作用がある。
(4)電極基板の凹凸が無いため、記録層103の表面と
プローブ電極202との間隔を一定にしながらXY走査を行
う時のプローブ電極202のZ軸の変位は少ないため、極
めて高速にXYステージを駆動することができる。
(5)電極基板の凹凸がないことから、プローブ電極20
2の先端、すなわちトンネル電流が流れる先端原子の位
置が安定して選択される。また凹凸のある電極基板でみ
られるような、プローブ電極202の複数の原子と記録層1
03との間で、トンネル電流が流れる所謂ゴースト現象が
なくなる。
尚、本発明の製造方法により製造された電極基板は、
記録媒体を構成する電極基板に限定されるものではな
く、各種電子デバイスを構成する電極基板としても用い
ることができる。
[実施例] 以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 本発明の実施例1を第3図(a)〜(i)を参照しつ
つ説明する。
まず第3図(a)に示すように、大気中でマイカ板を
劈開し平滑基板11とする。
続いて第3図(b)に示すように上記マイカ基板11上
にアラキジン酸カドミウム塩の9層LB膜(厚さ249Å)
を形成し剥離層105とした。以下アラキジン酸カドミウ
ム塩LB膜の形成方法を述べる。
塩化カドミウム4×10-4M,炭酸水素カリウム5×10-5
Mを含むpH6.4、20℃の水相に上記マイカ基板11を浸漬せ
しめた後アラキジン酸(C19H39COOH)のクロロホルム溶
液(濃度:1×10-3M)を水面上に展開し、溶媒蒸発除去
後表面圧を30mN/mに迄高めて水面上にアラキジン酸カド
ミウム塩の単分子膜を形成した。次に表面圧を一定(30
mN/m)に保ったまま、前記マイカ基板11を前記水面上単
分子膜を垂直に横切る方向に速度3mm/minで静かに引き
上げアラキジン酸カドミウム塩単分子膜をマイカ基板11
上に積層した。この後係る基板を速度10mm/minで浸漬,
引き上げを繰り返し、アラキジン酸カドミウム塩の9層
LB膜をマイカ基板11上に形成した。
続いて第3図(c)に示す様に上記剥離層105上にポ
リイソブチルメタクリレート(PIBM)の6層LB膜(厚さ
60Å)を形成しパターニング層106とした。以下PIBM・L
B膜の形成方法を述べる。20℃の純水上にPIBMのクロロ
ホルム溶液(濃度0.4g/)を水面上に展開し、溶媒蒸
発除去後、表面圧を11mN/mに迄高めて水面上にPIBMの単
分子膜を形成した。次に表面圧を一定(11mN/m)に保っ
たまま、前記剥離層105付きのマイカ基板11をPIBMの水
面上単分子膜を垂直に横切る方向に速度10mm/minで静か
に浸漬・引き上げを繰り返し、PIBMの6層LB膜を剥離層
105上に形成した。
続いで第3図(d)に示す様にパターニング層106の
一部を除去し、トラック104パターンを形成した。即ち
パターニング層106に電子線露光装置(エリオニクス社
製ELS−3300)により加速電圧30kV、ドーズ量100μC/cm
2で描画を行った後、イソプロピルアルコール/水(85/
15)で現像を行ないトラックパターンを得た(幅0.1μ
m,ピッチ1.0μm)。
続いて第3図(e)に示す様にトラック104を持つパ
ターニング層106及び剥離層105上に真空蒸着法により金
を成膜し、電極層102を形成する。該電極層102は基板温
度を室温に保ち、蒸着速度10Å/sec、到達圧力2×10-6
Torr、膜厚2000Åの条件で行った。続いて第3図(f)
に示すように、接着層13(セメダイン製ハイスーパー5
《エポキシ樹脂系》)を電極層102上に塗布する。続い
て第3図(g)に示すように、基板101を接着層13上に
貼り付ける。該基板101の接着は加圧力5kg/cm2、温度23
℃、硬化時間24時間の条件で行った。続いて第3図
(h)に示すように、平滑基板11を電極層102から引き
剥し、基板101、接着層13、電極層102、トラック104か
らなる電極基板を得た。次に上述した方法により作製し
た電極基板の表面をSTMで観察したところ10μm□に於
いて、トラック104は高さ60Åに形成されており、該ト
ラック104以外の表面凹凸は1nm以下であり、トラック10
4が明確に判別できた。
実施例2 本発明の実施例2を第4図(a)〜(e)を参照しつ
つ説明する。実施例1と全く同様にしてトラック付きの
母材を形成した後(第4図(a)〜(d))、第4図
(e)に示すように上記母材上に真空蒸着法により金を
成膜し、電極層102を形成する。該電極層102は基板温度
を室温に保ち、蒸着速度10Å/sec、到達圧力2×10-6To
rr、膜厚5000Åの条件で行った。続いて第4図(f)に
示すように、Siウェハーを基板101として、ヒーターに
より加熱し、一定の温度に保ち続けて平滑基板11に形成
された電極層102の表面を基板101に軽くこすり付けるこ
とにより、電極層102と基板101を共晶接合させる。該接
合は基板温度を400℃に保ち、加圧力2kg/cm2、保持時間
1分の条件で行った。続いて第4図(g)に示すよう
に、平滑基板11を電極層102から引き剥し、基板101、電
極層102、トラック104からなる電極基板を得た。
次に上述した方法により作製した電極基板の表面をST
Mで観察したところ10μm□に於いて、トラック104は高
さ60Åに形成されており、該トラック104以外の表面凹
凸は1nm以下であり、トラック104が明確に判別できた。
実施例3 本発明の実施例3を第5図(a)〜(g)を参照しつ
つ説明する。実施例1と全く同様にしてトラック付きの
母材を形成した後(第5図(a)〜(d))、第5図
(e)に示すように、上記母材上に真空蒸着法によりAu
−Pdを成膜し、電極層102を形成した。該電極層102は母
材温度を室温に保ち、蒸着速度10Å/sec、到達圧力2×
10-6Torr、膜厚1000Åの条件で行った。続いて第5図
(e)に示すように、電極層102上にニッケルを電鋳に
より形成し、基板101とした。該電鋳はワット浴を用い
て温度を50℃に保ち、電流密度0.06A/cm2、電鋳時間2
時間の条件で行い、厚さ100μmを得た。続いて第5図
(e)に示すように、平滑基板11を電極層102から引き
剥し、基板101、電極102、トラック104からなる電極基
板を得た。
次に上述した方法により作製した電極基板の表面をST
Mで観察したところ、10μm□に於いて、トラック104は
高さ60Åに形成されており、該トラック104以外の表面
凹凸は1nm以下であり、トラック104が明確に判別でき
た。
実施例4 本発明の実施例4を第3図(a)〜(h)を参照しつ
つ説明する。実施例1と全く同様にして、アラキジン酸
カドミウム塩の10層LB膜から成る剥離層105を、結晶面
(111)を有するシリコンウエハ11上に形成した(第3
図(a)〜(b))。
続いて第3図(c)に示すようにベヘン酸(C21H43CO
OH)の2層LB膜(厚さ60Å)を形成しパターニング層10
6とした。以下ベヘン酸・LB膜の形成方法を述べる。20
℃の純水上にベヘン酸のクロロホルム溶液(濃度1×10
-3M)を水面上に展開し、溶媒蒸発除去後表面圧を21mN/
mに迄高めて水面上にベヘン酸の単分子膜を形成した。
次に表面圧を一定(21mN/m)に保ったまま前記剥離層付
きのマイカ基板をベヘン酸の水面上単分子膜を垂直に横
切る方向に速度30mm/minで静かに浸漬・引き上げを行な
い、ベヘン酸の2層LB膜を剥離層105上に形成した。
続いて第3図(d)に示す様にパターニング層106の
一部を除去し、トラック104パターンを形成した。即ち
パターニング層106に電子線露光装置(エリオニクス社
製ELS−3300)により加速電圧30kV、ドーズ量4×10-3c
/cm2で描画を行った。(幅0.1μmピッチ1μm)この
条件ではパターニング層の電子線照射部は直接スパッタ
されている。
続いて実施例1と全く同様にして金から成る電極層10
2、接着層13、基板101を順次堆積若しくは貼り付けた後
(第3図(e)〜(g))、第3図(h)に示すように
シリコンウエハ11を電極層102から引き剥し、基板101、
接着層13、電極層102、トラック104から成る電極基板を
得た。
次に上述した方法により作製した電極基板の表面をST
Mで観察したところ、10μm□に於いて、トラック104は
高さ60Åに形成されており、該トラック104以外の表面
凹凸は1nm以下であり、トラック104が明確に判別でき
た。
実施例5 本発明の実施例5を第3図(a)〜(h)を参照しつ
つ説明する。実施例4と全く同様にして、シリコンウエ
ハ基板11上にアラキジン酸カドミウム塩の10層LB膜から
成る剥離層105及びベヘン酸の2層LB膜から成るパター
ニング層106を順次形成した(第3図(a)〜
(c))。
続いて第3図(d)に示す様にパターニング層106の
一部を除去し、トラック104パターンを形成した。即ち
パターニング層106に集束イオンビームを加速電圧40k
V、イオン電流14pA、ドーズ量1.0×1016/cm2、Auイオン
の条件で照射して、照射部を直接スパッタし、トラック
104を得た(幅0.1μm、ピッチ1.0μm)。
続いて実施例4と全く同様にして、金から成る電極層
102、接着層13、基板101を順次堆積若しくは貼り付けた
後(第3図(e)〜(g))、第3図(h)に示す様に
シリコンウエハ11を電極層102から引き剥し、基板101、
接着層13、電極層102、トラック104から成る電極基板を
得た。
次に上述した方法により作製した電極基板の表面をST
Mで観察したところ、10μm□に於いて、トラック104は
高さ60Åに形成されており、該トラック104以外の表面
凹凸は1nm以下であり、トラック104が明確に判別でき
た。
実施例6 実施例1と全く同様にして作成したトラック104付電
極基板上にスクアリリウム−ビス−6−オクチルアズレ
ン(以下SOAZと略す)のLB膜(8層)を用いた記録層10
3を形成した(第3図(i))。以下SOAZの8層LB膜の
形成方法について述べる。先ずSOAZを濃度0.2mg/mlで溶
かしたベンゼン溶液を20℃の純水から成る水相上に展開
し水面上に単分子膜を形成した。溶媒蒸発除去後、係る
単分子膜の表面圧を20mN/mに迄高め、更にこの表面圧を
一定に保ち乍ら前記電極基板を水面を横切る方向に速度
3mm/分で静かに浸漬・引き上げを繰り返しSOAZ単分子膜
の8層累積膜からなる記録層103を電極基板上に作成し
た。
以上の様にして作成した記録媒体と第6図に示す情報
処理装置を用いて、情報の記録・再生・消去を行った。
以下記録・再生方法について述べる。プローブ電極202
を記録媒体上トラックパターンに対して第9図501に示
すパターンに従って走査せしめた。第9図は記録媒体の
一部の平面図である。この際電極基板102に対してプロ
ーブ電極(Pt−Rh合金)202に−0.5Vのバイアス電圧を
印加し、トンネル電流が0.1nAとなる様ドライバー305及
びアクチュエータ209を用いてプローブ電極202と電極層
102との距離Zを一定に保ち乍ら走査しトラック104の位
置を検出し、係る検出されたトラック104の位置を基に5
01の如きパターンに従ってプローブ電極202を走査させ
た。係る走査パターンの一部,即ちトラック104の段差
より500Åの位置から記録を100Åピッチで行なった。な
おトラック104間の記録ビット502の数は各列90とし、記
録ビット502がトラック104上に形成されぬよう注意し
た。記録は記録層103の電気メモリー効果を利用して行
った。即ち情報に従って第10図に示した波形を持つ三角
波パルス電圧をパルス電源308を用いてSOAZ8層LB膜から
成る記録層103に印加し、印加部に低抵抗状態を生じさ
せた。この時、トンネル電流は2nAとなった。なお第10
図に於いてプローブ電極202側が+極,電極層102側が−
極としてある。記録後再び最初の走査パターン501に従
って記録情報の再生を行った。再生用バイアス電圧は、
新たな情報の記録、或いは記録された情報の消去が生じ
ない様、0.5Vとし、トンネル電流の変化を測定し、情報
再生を行った。以上の再生実験に於いて、データ転送速
度を1Mbpsとした時のビット・エラーレートは1×10-5
であった。引き続き、情報記録部に第11図に示すパルス
電圧を印加した後に再び再生してみると、初期の高抵抗
状態(トンネル電流=0.1nA)に戻っており、記録情報
の消去が行なわれたことを確認できた。
実施例7 実施例2と全く同様にして作成したトラック104付電
極基板上2〜8層のポリイミドLB膜を用いた記録層103
を形成した(第4図(h))。以下ポリイミドLB膜の作
成方法について述べる。
(1)式に示すポリアミック酸をN,N−ジメチルアセ
トアミド溶液に溶解させた(単量体換算濃度1×10
-3M)後、別途調製したN,N−ジメチルオクタデシルアミ
ンの同溶媒による1×10-3M溶液とを1:2(V/V)に混合
して(2)式に示すポリアミック酸オクタデシルアミン
塩溶液を調製した。
かかる溶液を水温20℃の純水から成る水相上に展開
し、水面上に単分子膜を形成した。溶媒除去後、表面圧
を25mN/mにまで高めた。表面圧を一定に保ちながら、電
極基板を水面を横切る方向に速度5mm/minで静かに浸漬
した後、続いて5mm/minで静かに引き上げて2層のY型
単分子累積膜を作製した。更にかかる操作を繰り返し
て、4,6,8層のポリアミック酸オクタデシルアミン塩の
単分子累積膜も形成した。
次に、かかる基板を300℃で10分間の熱処理を行い、
ポリアミック酸オクタデシルアミン塩をイミド化し(式
(3))、2,4,6或いは8層のポリイミドLB膜を得た。
以上の様にして作成した記録媒体を用いて、実施例6
と同様の手法により記録・再生・消去実験を行った。再
生実験の結果、データ転送速度が1Mbpsの時のビットエ
ラーレートは9×10-6であった。
実施例8 実施例3と全く同様にして作成したトラック104付電
極基板上にCuTCNQF4を用いた記録層103を形成した(第
5図(h))。
以下CuTCNQF4記録層103の作成法について述べる。電
極層102上に、CuとTCNQF4を真空蒸着法により共蒸着し
てCu+TCNQF4層を100Å堆積した(基板温度;室温)。
このとき蒸着速度をCu;1Å/s,TCNQF4;4Å/s程度になる
ようにあらかじめ設定した電流値を流し加熱した。その
結果、CuTCNQF4生成による青い膜が堆積することを確認
した。
以上の様にして作成した記録媒体を用いて、実施例6
と同様の手法により情報の記録・再生・消去実験を行っ
た。
なお、記録用印加電圧は、2Vmax,10nsの矩形パルスを
用い、再生用の印加電圧は0.1Vとした。また、消去用印
加電圧は5Vmax,100nsの矩形パルスを用いた。再生実験
の結果、データ転送速度を1Mbpsとした時のビット・エ
ラー・レートは1×10-5であった。
参考例1 大気中でマイカ板を劈開した後、係る劈開面に集束イ
オンビームを用いて幅0.1μm、ピッチ1.0μm、深さ50
Åのトラックを平滑基板上に形成した。該集束イオンビ
ームを加速電圧80kV、イオン電流50pA、ドーズ量2.0×1
013/cm2、H+イオンの条件で行った。続いて、実施例1
と同様にして金から成る電極層、接着層、基板を順次堆
積、若しくは貼り付けた後マイカ基板を電極層から引き
剥し最終的に基板、接着層、電極層、トラックから成る
電極基板を形成した。係る電極基板の表面をSTMで観察
したところ、引き剥しが一部不完全な領域がしばしば見
られ剥離層を設けた実施例1の場合と比較して引き剥し
が実用上完全となる件数が30%程度に過ぎないことがわ
かった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の電極基板及び記録媒体
の製造方法によれば以下の効果を有する。
(1)基板の有する表面形状を転写させることにより、
トラック以外の表面凹凸が1nm以下で、トラックが明確
に判別可能な表面を有する電極基板及び記録媒体が歩留
まりよく得られるようになった。
(2)母材の表面形状を転写できるので、基板上の任意
の場所に平滑面を形成することが可能となり、基準マー
カ等の形成も同時に行なうことができる。
(3)電極材料によらず平滑な電極を形成できるので、
記録媒体においてはあらゆる記録材料と適合させること
ができ、さらには記録媒体のみならず電子デバイス用の
電極基板としても用いることができる。特に超薄膜機能
デバイス、MIM(Metal−insulater−Metal)デバイス、
薄膜半導体デバイスなど電極に比較的高電界が誘起され
るデバイスにおいて好適に応用することができる。
(4)電極層は母材上に形成した後、基板に貼りつける
ことができるので、基板はどのような材料、形態のもの
でも用いることができる。たとえば記録媒体を例にとる
とSi chip上に書込み、読出しの制御回路を組込み、こ
のchipを基板として本発明の電極基板を形成する。これ
により、書込み、読出しの制御回路と記録層が一体に形
成された記録媒体を提供できる。
最近のマイクロメカニクス技術を応用し、Si chip上
に駆動アクチュエータを組込み、このアクチュエータ上
に本発明の電極層を設け、微動機構付の記録媒体とする
こともできる。もちろん、このような応用は記録媒体に
限らずセンサ、メモリ、ディスプレイ等の各種デバイス
にも適用できることは言うまでもない。
(5)更に本発明の電極基板上に記録層を設けた記録媒
体に於いては、トラック形状を用いてトラッキングを行
ない乍ら情報処理を行うことができるので、情報処理時
の位置に関する誤まり率を非常に小さくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法により製造された記録媒体の
模式断面図、第2図は本発明の製造方法により製造され
た記録媒体の再生信号の周波数スペクトラムのダイヤグ
ラム、第3図〜第5図は各実施例に於ける製造工程図、
第6図はSTMを応用した再生装置の構成図、第7図は従
来例の記録媒体の模式断面図、第8図は従来例の再生信
号の周波数スペクトラムのダイヤグラムである。 第9図は本発明の製造方法により製造された記録媒体表
面上のプローブ電極走査パターンとトラック及び記録ビ
ットとの位置関係の一形態を示した模式図である。第10
図は本発明の製造方法により製造された記録媒体の記録
層を高抵抗状態から低抵抗状態へ遷移させるのに必要な
電気パルスの波形を示す図である。第11図は本発明の製
造方法により製造された記録媒体の記録層上の低抵抗状
態部位を再び高抵抗状態に戻すのに必要な電気パルスの
波形を示す図である。 101……基板、102……電極層 103……記録層、104……トラック 105……剥離層、106……パターニング層 11……平滑基板、13……接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 江口 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 23/00 E02D 23/04 E02D 27/20

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平滑基板上に第1の有機薄膜から成る剥離
    層を形成する工程と、該剥離層上に第2の有機薄膜から
    成るパターニング層を形成する工程と該パターニング層
    に凹形状を形成する工程と、以上を以って形成された母
    材上に電極層を形成する工程と、しかる後、該電極層を
    剥離する工程を含むことを特徴とする電極基板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】電極層を貴金属で形成することを特徴とす
    る請求項(1)の電極基板の製造方法。
  3. 【請求項3】電極層を貴金属合金で形成することを特徴
    とする請求項(1)の電極基板の製造方法。
  4. 【請求項4】電極層を貴金属または貴金属合金を含む多
    層膜で形成することを特徴とする請求項(1)の電極基
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】平滑基板として、その主要面が劈開した結
    晶基板を用いることを特徴とする請求項(1)の電極基
    板の製造方法。
  6. 【請求項6】平滑基板として、その主要面が溶融により
    形成されたガラスを用いることを特徴とする請求項
    (1)の電極基板の製造方法。
  7. 【請求項7】平滑基板として、その主要面が、光学研磨
    された基板を用いることを特徴とする請求項(1)の電
    極基板の製造方法。
  8. 【請求項8】平滑基板上に堆積せしめる第1及び第2の
    有機薄膜として、その膜厚が各々4Å〜400Åの範囲に
    あってかつ一様である膜を用いることを特徴とする請求
    項(1)の電極基板の製造方法。
  9. 【請求項9】平滑基板上に堆積せしめる第1及び第2の
    有機薄膜として、単分子膜又は単分子累積膜を用いるこ
    とを特徴とする請求項(1)の電極基板の製造方法。
  10. 【請求項10】平滑基板上に堆積せしめる第1及び第2
    の有機薄膜をラングミュアー・プロジェット法により堆
    積することを特徴とする請求項(1)の電極基板の製造
    方法。
  11. 【請求項11】平滑基板上に堆積せしめる第1及び第2
    の有機薄膜を同一の有機分子で構成することを特徴とす
    る請求項(1)の電極基板の製造方法。
  12. 【請求項12】平滑基板上に堆積せしめる第1及び第2
    の有機薄膜を各々異なる有機分子で構成することを特徴
    とする請求項(1)の電極基板の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項(1)〜(12)によって製造され
    た電極基板上に記録層を設けたことを特徴とする記録媒
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】記録層として、有機化合物の単分子膜又
    は該単分子膜を累積した累積膜を用いることを特徴とす
    る請求項(13)記載の記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】単分子膜又は累積膜の膜厚を数Å〜500
    Åとすることを特徴とする請求項(14)記載の記録媒体
    の製造方法。
  16. 【請求項16】単分子膜又は累積膜をラングミュアー・
    ブロジェット法によって成膜することを特徴とする請求
    項(14),(15)記載の記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】記録層として、2種以上の抵抗状態を有
    し、該記録層へ閾値以上の電圧を印加することにより上
    記抵抗状態間の遷移が可能である電気メモリー効果を有
    する記録層を用いることを特徴とする請求項(13)記載
    の記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】電気メモリー効果を有する記録層とし
    て、分子中にπ電子単位を持つ群とσ電子準位を持つ群
    とを有する有機化合物を用いることを特徴とする請求項
    (17)記載の記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】π電子準位を持つ群とσ電子準位を持つ
    群とを有する有機化合物から成る記録層として、単分子
    膜又は該単分子膜を累積した単分子層累積膜を用いるこ
    とを特徴とする請求項(18)記載の記録媒体の製造方
    法。
  20. 【請求項20】単分子膜又は単分子層累積膜をラングミ
    ュアー・ブロジェット法によって成膜することを特徴と
    する請求項(19)記載の記録媒体の製造方法。
  21. 【請求項21】π電子準位を持つ群とσ電子準位を持つ
    群とを有する有機化合物から成る記録層の膜厚を数Å〜
    500Åとすることを特徴とする請求項(18)記載の記録
    媒体の製造方法。
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