JPH07316106A - シス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法 - Google Patents

シス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法

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JPH07316106A
JPH07316106A JP29861994A JP29861994A JPH07316106A JP H07316106 A JPH07316106 A JP H07316106A JP 29861994 A JP29861994 A JP 29861994A JP 29861994 A JP29861994 A JP 29861994A JP H07316106 A JPH07316106 A JP H07316106A
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Masakuni Harada
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シス−1−アミノインダン−2−オールの製
造方法において、工業的かつ安価な製造方法を提供す
る。 【構成】 一般式(I)(Xは酸性条件下で引き抜か
れ、インダン骨格の1位にカルボカチオンを生成し得る
置換基、Yはハロゲン原子)もしくは一般式(I′)
[Xは一般式(I)と同様]で表される1,2−ジ置換
インダン類もしくは一般式(VI) (エポキシ環はシス配
置)で表されるシス−1,2−エポキシインダンを酸性
条件下に一般式(II)(Rはフェニル基もしくは低級ア
ルキル基)で表されるニトリル類と反応させることによ
り、トランス−アミド誘導体ないしシス−オキサゾリン
誘導体を経て、一般式(V)(NH2 基とOH基はシス
配置)で表されるシス−1−アミノインダン−2−オー
ルを製造する。 【化39】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業的に有用な、シス
−1−アミノインダン−2−オールの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】シス−1−アミノインダン−2−オール
は医薬中間体として重要である。例えば、J.Med.
Chem.,35,2525(1992),J.Me
d.Chem.,35,1702(1992),J.M
ed.Chem.,35,1685(1992)等には
本化合物が抗HIV薬の製造の有用中間体であることが
開示されている。また、J.Chem.Soc.Che
m.Commun.,1992,1673には、光学活
性ヒドロキシエステル合成の原料として有用であること
が開示されている。これまでに、シス−1−アミノイン
ダン−2−オールの製造については、いくつかの方法が
開示されている。例えば、ルッツ(Lutz)等[J.
Am.Chem.Soc.,73,1639(195
1)]は、トランス−(±)−2−ブロモインダン−1
−オールを濃アンモニア水で処理してトランス−(±)
−1−アミノインダン−2−オールとし、これを塩化ベ
ンゾイルでアミド化した後に閉環してシス−(±)−2
−フェニルオキサゾリン誘導体とし、これを加水分解す
ることで目的とするシス−(±)−1−アミノインダン
−2−オールを得ている。また、リットル(Rittl
e)等[Tetrahedron Lett.,198
,521]はシス−(±)−1−アミノインダン−2
−オールをL−フェニルアラニンアミドに誘導し、これ
をクロマトグラフィーで分離した後、ナトリウムエトキ
シドで処理して、光学活性なシス−(−)−1−アミノ
インダン−2−オールを得ている(下記式)。
【0003】
【化26】
【0004】ルッツ等の方法は比較的有効な方法ではあ
るものの、トランス−(±)−1−アミノインダン−2
−オールを経由するために多段階を要し、大量の廃水や
廃液を副生する、容積効率が悪い等の欠点を有してい
る。
【0005】ハスナー(Hassner)等[J.Or
g.Chem.,32,540(1967)]は、エチ
ル−N−(トランス−2−ヨード−1−インダン)カー
バメートを無水グライム中で加熱して閉環し、シス−イ
ンダノ[1,2−d]−2−オキサゾリドンを形成し、
これを加水分解することにより、所望のシス−(±)−
1−アミノインダン−2−オールを得ている(下記
式)。
【0006】
【化27】
【0007】しかしながら、この原料のカーバメート体
はヨードイソシアネートのインデンへの付加反応によっ
て得られるものの、ヨードイソシアネートの合成方法が
困難であるため、工業的とは考えられず、オキサゾリド
ン体の生成には高い温度が必要である等の欠点を有す
る。
【0008】ディディエ(Didier)等[Tetr
ahedron,47,4941(1991)]は、2
−オキソインダン−1−カルボン酸メチルをパン酵母還
元することにより、光学活性なシス−(+)−2−ヒド
ロキシ−1−カルボン酸メチルとし、これを原料として
多段階の合成を行って、所望のシス−(+)−1−アミ
ノインダン−2−オールとシス−(−)−1−アミノイ
ンダン−2−オールを得ている(下記式)。
【0009】
【化28】
【0010】しかしながら、この方法は特殊な反応剤を
使用する必要があり、さらに収率も低いといった問題が
ある。
【0011】以上のように、シス−1−アミノインダン
−2−オールはその満足できる製造方法が知られておら
ず、工業的かつ安価に製造することが困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シス−1−
アミノインダン−2−オールの効率的な製造方法を提供
することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述のルッツ等の方法
は、比較的安価な原料を用いている点で有効であるもの
の、トランス−1−アミノインダン−2−オールを中間
体として経由する難点を有している。しかしながら、ト
ランス−アミド誘導体の閉環によるシス−オキサゾリン
誘導体を経由することでシス−1−アミノインダン−2
−オールが得られることは注目すべき事実である。本発
明者等は、重要中間体であるトランス−アミド誘導体お
よびシス−オキサゾリン誘導体の効率的な製造方法につ
いて検討し、安価に製造可能な原料を用いて、トランス
−アミド誘導体およびシス−オキサゾリン誘導体の合成
が可能であることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】すなわち、本発明は、一般式(I)
【0015】
【化29】
【0016】(ただし、式中、Xは酸性条件下において
引き抜かれることにより、インダン骨格の1位にカルボ
カチオンを生成し得る置換基であり、Yはハロゲン原子
であり、XとYはシス配置でもトランス配置でもよく、
ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表される1,2−
ジ置換インダン類もしくは一般式(I′)
【0017】
【化30】
【0018】(ただし、式中、Xは酸性条件下において
引き抜かれることにより、インダン骨格の1位にカルボ
カチオンを生成し得る置換基であり、XとOH基はシス
配置でもトランス配置でもよく、ラセミ体でも光学活性
体でもよい)で表される1,2−ジ置換インダン類を酸
性条件下に一般式(II)
【0019】
【化31】
【0020】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基である)で表されるニトリル類と反応さ
せる工程を有する、1,2−ジ置換インダン類の製造方
法を提供する。置換基Yとしてハロゲン原子を有する一
般式(I)の1,2−ジ置換インダン類を選択した場合
は一般式(III )
【0021】
【化32】
【0022】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、Yはハロゲン原子であり、NH
COR基とYはトランス配置であり、ラセミ体でも光学
活性体でもよい)で表されるトランス−アミド誘導体を
形成し、これを閉環して一般式(IV)
【0023】
【化33】
【0024】(ただし、式中、Rはフェニル基もしくは
低級アルキル基であり、オキサゾリン環はシス配置であ
り、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス
−オキサゾリン誘導体とする。出発原料として置換基と
してOH基を有する一般式(I′)で表される1,2−
ジ置換インダン類を用いた場合は、直接、一般式(IV)
で表されるシス−オキサゾリン誘導体が生成する。
【0025】一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリ
ン体を加水分解することにより、一般式(V)
【0026】
【化34】
【0027】(ただし、式中、NH2 基とOH基はシス
配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表さ
れるシス−1−アミノインダン−2−オールが生成す
る。
【0028】アルコール類が濃硫酸の存在下にニトリル
類と反応してアミド類を生成する反応はリッター(Ri
tter)反応としてよく知られている。例えば、リッ
ター(Ritter)等[J.Am.Chem.So
c.,70,4048(1948)]は第3級アルコー
ルからのアミドの合成を報告している。さらに、この反
応はハロアルコールにも適用可能であり、ルスキン(L
usskin)等[J.Am.Chem.Soc.,
,5577(1950)]は脂肪族ハロヒドリンを濃
硫酸の存在下にニトリル類と反応させ、種々のN−(2
−ハロ−1−エチル)アミド類を合成している。さら
に、ウォール(Wohl)[J.Org.Chem.,
38,3099(1973)]は、3−ブロモブタン−
2−オールを濃硫酸中でアセトニトリルもしくはベンゾ
ニトリル類と反応させて2−アミド−3−ブロモブタン
類を得ている。また、これらのアミド類は不安定であ
り、容易に閉環して2−オキサゾリン類を生成すること
が報告されている。
【0029】しかしながら、ハロアルコールとしてトラ
ンス−2−ハロインダン−1−オールを用いてのリッタ
ー反応の例はこれまで知られていない。本発明者等は、
この反応についての検討を行った。
【0030】一般式(I)で表される出発原料のトラン
ス−2−ハロインダン−1−オール類としては、トラン
ス−2−クロロインダン−1−オール、トランス−2−
ブロモインダン−1−オール、トランス−2−ヨードイ
ンダン−1−オール等があげられる。
【0031】トランス−2−クロロインダン−1−オー
ルはシュター(Suter)等[J.Am.Chem.
Soc.,60,1360(1938)]のインデンク
ロリドを加水分解する方法により合成できる。トランス
−2−ブロモインダン−1−オールはポター(Pote
r)等[J.Am.Chem.Soc.,57,202
2(1935)]のインデンと臭素水による方法、もし
くはガス(Guss)等[J.Am.Chem.So
c.,77,2549(1955)]のインデンとN−
ブロモスクシンイミドの水中における反応等で合成でき
る。
【0032】本発明者等はトランス−2−ハロインダン
−1−オールを用いてリッター反応を行ったところ、反
応は円滑に進行して所望の一般式(III )で表されるト
ランス−アミド誘導体が得られた。このトランス−アミ
ド誘導体はこれまで知られていないものである。さら
に、本発明者等は、このアミド誘導体が容易に閉環して
一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体に転
化することを見いだした。先のウォール等の報文からリ
ッター反応は立体特異性保持で進行することから、トラ
ンス−2−ハロインダン−1−オールのリッター反応生
成物は一般式(III )で表されるトランス−アミド誘導
体であり、ルッツ等の報文から、一般式(III )で表さ
れるトランス−アミド誘導体が閉環することによって生
成するオキサゾリン誘導体はシス配置を有する。この化
合物は容易に加水分解して一般式(V)で表される所望
のシス−1−アミノインダン−2−オールを与えた。
【0033】本発明者等はさらに検討を進めた結果、リ
ッター反応終了後の反応混合物を水分散した後に一般式
(III )で表されるトランス−アミド誘導体を単離せず
とも、分散状態でかき混ぜることで連続的に一般式(I
V)で表されるシス−オキサゾリン誘導体および一般式
(V)で表されるシス−1−アミノインダン−2−オー
ルが生成することを見いだした。リッター反応はカルボ
カチオンの生成に引き続くニトリルの攻撃で進行するこ
とが知られている。トランス−2−ブロモ−1−インダ
ン−1−オールとニトリル類の酸性条件下における反応
によるトランス−アミド誘導体の生成は、インダン骨格
の1位にカルボカチオンが容易に生成すること、さらに
1位の置換基の配置は2位の置換基に対してシス配置で
もトランス配置でも可能であることを示唆している。
【0034】本発明者等は、インダン骨格の1位に酸性
条件下で容易に引き抜きが起こり得る置換基Xを、2位
には置換基Yとしてハロゲンを有する一般式(I)の
1,2−ジ置換インダンを選択して、一般式(II)で表
されるニトリル類との反応を検討した結果、リッター反
応が進行して一般式(III )で表されるトランス−アミ
ド誘導体が生成することを見いだした。
【0035】一般式(I)で表される1,2−ジ置換イ
ンダン類の1位の置換基Xとしては塩素、臭素、沃素等
のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ
基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキ
シ基、フェニルカルボニルオキシ基、水酸基等があげら
れる。また、2位の置換基であるハロゲン原子Yとして
は塩素、臭素、沃素等があげられる。さらに具体的な一
般式(I)の化合物としては、2−クロロインダン−1
−オール、2−ブロモインダン−1−オール、2−ヨー
ドインダン−1−オール、1,2−ジクロロインダン、
1,2−ジブロモインダン、1,2−ジヨードインダ
ン、1−クロロ−2−ブロモインダン、1−クロロ−2
−ヨードインダン、2−クロロ−1−アセトキシインダ
ン、2−ブロモ−1−アセトキシインダン、2−ヨード
−1−アセトキシインダン、2−クロロ−1−メトキシ
インダン、2−ブロモ−1−メトキシインダン、2−ヨ
ード−1−メトキシインダン等があげられる。
【0036】原料となる1,2−ジブロモインダンは
G.E.ヒースリー(Heasley)等[J.Or
g.Chem.,45,5150(1980)]の方法
により、インデンのブロム化により合成できる。なお、
この文献によると、アセトニトリル中でのブロム化での
シス:トランス比は21:79である。また、1−クロ
ロ−2−ブロモインダンもインデンとBrClとの反応
で得ることができる。さらに、R.A.オースチン(A
ustin)等の方法[J.Org.Chem.,
,1327(1969)]により、トランス−2−ク
ロロ−1−メトキシインダンはトランス−2−クロロ−
1−インダノールとジアゾメタンの反応で、シスあるい
はトランス−1−アセトキシ−2−クロロインダンは2
−クロロインダン−1−オールと塩化アセチルの反応
で、トランス−2−クロロ−1−ヨードインダンはイン
デンとIClの反応で得ることができる。
【0037】一般式(I)で表される1,2−ジ置換イ
ンダン類と一般式(II)で表されるニトリル類との混合
は酸性条件下で行う。この酸性条件を得るためには発煙
硫酸もしくは濃硫酸を用いることが好ましいが、これら
に限らず、過塩素酸、三フッ化ホウ素、メタンスルホン
酸、ゼオライト、イオン交換樹脂等、適当な酸性物質を
用いることによっても所望の条件を得ることができる。
【0038】一般式(II)で表されるニトリル類の使用
量は一般式(I)で表される1,2−ジ置換インダン類
に対して等モル以上が好ましく、過剰に用いてもよい。
経済性や回収を考慮すると、アセトニトリルの使用が好
ましい。使用する酸の使用量は一般式(I)で表される
1,2−ジ置換インダン類に対して等モル以上が好まし
い。より好ましい酸としては発煙硫酸、濃硫酸である。
これらの酸の使用量が少ないと反応は完結しないことも
ある。反応には不活性な溶媒を用いてもよい。この工程
における反応温度は−30℃から100℃が好ましい。
より好ましくは10〜100℃である。温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、高すぎると副反応により収率が低
下する。反応終了後に混合物を冷水中に分散すること等
により、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体となる。これを濾過や抽出等の適当な方法で分離し
て適当な条件で処理すると、一般式(IV)で表されるシ
ス−オキサゾリン誘導体が得られる。一般式(III )で
表されるトランス−アミド誘導体の2位の置換基Yはハ
ロゲン原子であるため、水分散後にかき混ぜれば一般式
(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体を与える。
一般式(IV)のシス−オキサゾリン体を加水分解すると
一般式(V)で表されるシス−1−アミノインダン−2
−オールが得られる。反応生成物の一般式(V)で表さ
れるシス−1−アミノンダン−2−オールは酸性では水
に溶解している。このため、不純物を除去する目的でこ
の水溶液を塩化メチレン等の水に不溶の有機溶媒で洗浄
した後に、水酸化ナトリウム等の水溶液を加えることが
好ましい。強アルカリ性になると目的とする一般式
(V)で表されるシス−1−アミノインダン−2−オー
ルが晶出するため、これを濾別した後に乾燥すればよ
い。
【0039】
【化35】
【0040】リッター反応によって得られた一般式(II
I )(ただし、式中、Yはハロゲン原子であり、Rはフ
ェニル基もしくは低級アルキル基である)で表されるト
ランス−アミド誘導体は単離することなしに、そのまま
分散状態でかき混ぜることによって目的とする一般式
(V)のシス−1−アミノインダン−2−オールを得る
ことも可能である。この場合、アセトニトリルのような
水溶性で揮発性の高いニトリルを過剰に使用した場合
は、反応終了後に蒸留等によって除去した後に、溶媒洗
浄して晶出させることが好ましい。出発原料はラセミ体
でも光学活性体でもよく、光学活性な一般式(I)で表
される1,2−ジ置換インダンを出発原料として用いた
場合は、一般式(III )で表されるトランス−アミド誘
導体、一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン体お
よび最終的に得られる一般式(V)で表されるシス−1
−アミノインダン−2−オールも光学活性体になる。
【0041】原料となるそれぞれの光学活性なトランス
−2−ハロインダン−1−オール類はボイド(Boy
d)等[J.Chem.Soc.Perkin Tra
ns.I,1982,2767]の方法によって、ラセ
ミ体の一般式(I)で表されるトランス−2−ハロイン
ダン−1−オールを(−)−メンチルオキシアセチルク
ロリドと反応させて、それぞれのジアステレオマーエス
テルとし、これをクロマトグラフィー等で分離した後ジ
ボラン処理することで得られる。あるいはカサイ(Ka
sai)等[J.Org.Chem.,49,675
(1984)]が報告しているようにラセミ体の一般式
(I)で表されるトランス−2−ハロインダン−1−オ
ールをアセチル化してラセミ体のトランス−2−ハロ−
1−アセトキシインダンとし、これを微生物的に加水分
解するか、イムタ(Imuta)等[J.Org.Ch
em.,43,4540(1978)]が報告している
ように、2−ハロインダン−1−オンの微生物還元によ
って得られる。
【0042】例えば、出発原料にトランス−(−)−2
−ブロモインダン−1−オールを選択した場合はシス−
(+)−1−アミノインダン−2−オールが得られ、ト
ランス−(+)−2−ブロモインダン−1−オールを選
択した場合はシス−(−)−1−アミノインダン−2−
オールが得られる。
【0043】また、それぞれの光学活性な一般式(I)
で表される出発原料は光学活性な2−ハロインダン−1
−オール類から誘導できる。
【0044】さらに本発明者等は、1位に酸によって容
易に引き抜きが起こり得る置換基を有し、2位の置換基
としてOH基を有する前記一般式(I′)で表される
1,2−ジ置換インダン類について前記反応条件でリッ
ター反応の検討を行ったところ容易に反応が進行し、前
記一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体が
生成することを見いだした。これは前述のように加水分
解することによって、一般式(V)で表されるシス−1
−アミノインダン−2−オールを生成した。
【0045】一般式(I′)で表される1,2−ジ置換
インダン類の酸で引き抜かれて1位にカルボカチオンを
生成し得る置換基Xとしては、塩素原子、臭素原子、沃
素原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ
基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキ
シ基、フェニルカルボニルオキシ基等があげられる。よ
り具体的には、1,2−インダンジオール、1−アセト
キシインダン−2−オール、1−エチルカルボニルオキ
シインダン−2−オール、1−ベンゾイルオキシインダ
ン−2−オール、1−クロロインダン−2−オール、1
−ブロモインダン−2−オール、1−ヨードインダン−
2−オール、1−メトキシインダン−2−オール、1−
エトキシインダン−2−オール等が使用できる。
【0046】トランス−1,2−インダンジオールは、
A.ガジス(Gagis)等の方法[J.Org.Ch
em.,37,3181(1972)]によりトランス
−2−ブロモインダン−1−オールと希炭酸ナトリウム
水溶液の反応によって得ることができる。また、シス−
1,2−インダンジオールは、J.E.テイラー(Ta
ylor)の方法[Synthesis,1142,
(1985)]によって、インデンの過ギ酸酸化で得る
ことができる。さらに、シス−1−メトキシインダン−
2−オールはM.イムタ(Imuta)等の方法[J.
Am.Chem.Soc.,101,3990(197
9)]によりシス−1,2−エポキシインダンのメタノ
ール中における銅−ピリジン錯体の反応によって得るこ
とができる。さらに、1−メトキシインダン−2−オー
ルのシス:トランス=50:50混合物はシス−1,2
−エポキシインダンと塩酸性メタノールの反応によっ
て、トランス−1−メトキシインダン−2−オールはシ
ス−1,2−エポキシインダンとナトリウムメトキシド
の反応によって[G.H.ポスナー(Posner)
等、J.Am.Chem.Soc.,99,8214
(1977)]得ることができる。トランス−1−アセ
トキシインダン−2−オールは、G.H.ポスナー(P
osner)等の方法[J.Am.Chem.So
c.,99,8208(1977)]を適用して、中性
アルミナ存在下でシス−1,2−エポキシインダンと希
酢酸の反応で得ることができる。
【0047】出発原料はラセミ体でも光学活性体でもよ
く、光学活性な一般式(I′)で表される1−置換イン
ダン−2−オールを出発原料として用いた場合は、一般
式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導体および最
終的に得られる一般式(V)で表されるシス−1−アミ
ノインダン−2−オールも光学活性体となる。
【0048】例えば、トランス−(−)−1,2−イン
ダンジオールを出発原料として選択した場合はシス−
(−)−1−アミノインダン−2−オールが得られ、ト
ランス−(+)−1,2−インダンジオールを出発原料
として選択した場合はシス−(+)−1−アミノインダ
ン−2−オールが得られる。さらに、シス−(−)−
1,2−インダンジオールを出発原料として選択した場
合はシス−(−)−1−アミノインダン−2−オールが
得られ、シス−(+)−1,2−インダンジオールを出
発原料として選択した場合はシス−(+)−1−アミノ
インダン−2−オールが得られる。
【0049】本発明者等は、さらに検討を進めた結果、
一般式(VI)
【0050】
【化36】
【0051】(ただし、式中、エポキシ環はシス配置で
あり、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシ
ス−1,2−エポキシインダンを出発物質とした場合で
もリッター反応が進行し、所望の一般式(V)で表され
るシス−1−アミノ−インダン−2−オールが得られる
ことを見いだした。本反応は、下記のように一般式(V
I)で表されるシス−エポキシドの酸による開裂に引き
続くニトリル類の付加を経由して、一般式(IV)で表さ
れるシス−オキサゾリン誘導体を生成するものと考えら
れる。これを加水分解すると一般式(V)で表されるシ
ス−1−アミノインダン−2−オールが生成する。
【0052】
【化37】
【0053】この反応における出発原料の一般式(VI)
で表されるシス−1,2−エポキシインダンは、ガジス
(Gagis)等[J.Org.Chem.,37,3
181(1972)]の方法により、トランス−2−ブ
ロモインダン−1−オールと水酸化ナトリウム水溶液の
反応で、もしくはフリンゲリ(Fringuelli)
等[Org.Prep.Proced.Int.,
,757(1989)]の方法により、インデンの過
酸化物酸化によって得ることができる。
【0054】一般式(VI)で表されるシス−1,2−エ
ポキシインダンと一般式(II)で表されるニトリル類と
の混合は酸性条件下で行う。この酸性条件を得るために
は、濃硫酸もしくは発煙硫酸を用いることが好ましい
が、これに限らず、過塩素酸、三フッ化ホウ素、メタン
スルホン酸、ゼオライトやイオン交換樹脂等、適当な酸
性物質を用いることによっても所望の条件を得ることが
できる。使用するニトリル類はシス−1,2−エポキシ
インダンに対し等モル以上が好ましく、過剰に用いても
差し支えない。
【0055】酸性条件を得るために硫酸もしくは発煙硫
酸を用いる場合、その使用量はシス−1,2−エポキシ
インダンに対して等モル以上が好ましい。この工程にお
ける反応温度は−30℃から50℃が好ましい。より好
ましくは−30℃から0℃である。反応終了後は混合物
を冷水中に分散させる。生成した一般式(IV)で表され
るシス−オキサゾリン誘導体は中和処理後に抽出等によ
って取り出すことができる。また、中和処理や抽出を行
わずに、水に分散の後に加水分解することによっても、
一般式(V)で表されるシス−1−アミノインダン−2
−オールを生成することができる。加水分解の反応温度
は室温から100℃が好ましい。
【0056】揮発性および水溶性の大きいアセトニトリ
ルのようなニトリル類を過剰に用いた場合は、反応終了
後に蒸留等でこれを除去することが好ましい。不純物は
塩化メチレン等の水に不溶な有機溶媒で洗浄して除去す
ることができる。目的とする一般式(V)で表されるシ
ス−1−アミノインダン−2−オールは酸性では水溶性
のため、水酸化ナトリウム水溶液等を加えることによ
り、アルカリ性とし、晶析した目的物を固液分離すれば
よい。
【0057】出発原料はラセミ体でも光学活性体でもよ
く、光学活性なエポキシドを出発原料とした場合は、得
られる一般式(IV)で表されるシス−オキサゾリン誘導
体および一般式(V)で表されるシス−1−アミノイン
ダン−2−オールは光学活性体となる。例えば、シス−
(+)−1,2−エポキシインダンを出発原料に選択し
た場合はシス−(−)−1−アミノインダン−2−オー
ルが得られ、シス−(−)−1,2−エポキシインダン
を出発原料に選択した場合はシス−(+)−1−アミノ
インダン−2−オールが得られる。
【0058】出発原料のシス−(+)−1,2−エポキ
シインダンおよびシス−(−)−1,2−エポキシイン
ダンは前述のボイド等の方法により、それぞれトランス
−(+)−2−ブロモインダン−1−オールとトランス
−(−)−2−ブロモインダン−1−オールの(−)−
メンチルオキシアセチルエステルから合成することがで
きる。
【0059】以上説明した本発明の各製造方法において
生じると推測される反応機構を模式的にまとめて例示す
ると以下のようになる。
【0060】
【化38】
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、安価に
製造可能な1,2−ジ置換インダン類もしくはシス−
1,2−エポキシインダンを原料としてトランス−アミ
ド誘導体ないしシス−オキサゾリン誘導体を中間体とし
て生成することによって、これまで工業的に製造するこ
とが困難であったシス−1−アミノインダン−2−オー
ルを容易かつ効率的に製造し、これを医薬中間体として
有効に利用することが可能になる。
【0062】
【実施例】以下の実施例で本発明をさらに詳細に説明す
る。
【0063】実施例1 トランス−(±)−2−ブロモ
インダン−1−オール(I:X=OH,Y=Br)から
トランス−(±)−アミド誘導体(III :Y=Br,R
=CH3 )の合成 300ml三ツ口フラスコにトランス−(±)−2−ブ
ロモインダン−1−オール(I)21.3g(0.1m
ol)、アセトニトリル150mlを仕込んだ。冷却下
に撹拌しつつ、懸濁状態で温度を10〜15℃に保ちな
がら発煙硫酸(SO3 含量25%)22.5gを1時間
を要して滴下した。スラリーは徐々に溶解し、やがて黄
色溶液となった。しばらく撹拌を続けると白色結晶が析
出し、スラリーとなった。薄層クロマトグラフィーを行
ったところ、原料の(I)は消滅していた。同温度で2
時間かき混ぜた後、冷却しつつ15〜20℃で水100
mlを加えた。
【0064】白色結晶がいったん溶解した後に、再度白
色の結晶が析出した。結晶を減圧濾過し、洗浄水が中性
になるまで水洗し、減圧乾燥して14.2gの白色結晶
を得た。母液と洗浄液から2次晶を濾別し同様に処理し
て6.73gの白色結晶を得た。
【0065】ガスクロマトグラフィー分析の結果、1次
晶の純度は96%、2次晶の純度は73%であった。1
次晶のIR分析、1 H−NMR分析の結果、生成物は目
的物のトランス−アミド誘導体(III :Y=Br,R=
CH3 )と確認した。この生成物の分析結果は以下の通
りであった。
【0066】IR(KBr,cm-1) :326
8(νNH),1653(νC=O )1 H−NMR(CDCl3 ,ppm) δ=7.19〜7.74(4H,m,arom.) 5.55(1H,dd,CH) 4.33(1H,q,CH) 3.24(1H,dd,CH2 ) 3.54(1H,dd,CH2 ) 6.26(1H,d,NHCO) 2.06(1H,s,CH3 実施例2 トランス−(±)−アミド誘導体(III :Y
=Br,R=CH3 )からシス−(±)−1−アミノイ
ンダン−2−オール(V)の合成 200ml三ツ口フラスコに実施例1で得られたトラン
ス−(±)−アミド誘導体(III :Y=Br,R=CH
3 )の1次晶10.0g(0.039mol)と20%
塩酸100mlを仕込み、かき混ぜながら加温した。約
1時間を要して、20℃から75℃に昇温するとスラリ
ーは徐々に減少し、75℃では無色透明な溶液となっ
た。さらに108℃で2時間加熱撹拌した。その後、室
温まで冷却し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて
pHを11にすると白色結晶が析出した。スラリーを減
圧濾過し、水洗後に減圧乾燥して白色結晶3.26gを
得た。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、生成
物の純度は99.5%であった。また、IR分析、1
−NMR分析の結果、ディディエ等(前出)の分析値と
一致したことから、生成物は目的とするシス−(±)−
1−アミノインダン−2−オール(V)と確認された。
この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0067】IR(KBr,cm-1):3339(νN
H),3272(νNH),3600(νOH).1 H−NMR(CDCl3 ,ppm) δ=7.23〜7.32(4H,m,arom.) 4.32(1H,d,CH) 4.38(1H,td,CH) 2.94(1H,dd,CH2 ) 3.10(1H,dd,CH2 ) 2.17(1H,s,OH) 2.22(2H,s,NH2 実施例3 トランス−(±)−2−ブロモインダン−1
−オール(I:X=OH,Y=Br)からトランス−
(±)−アミド誘導体(III :Y=Br,R=CH3
の合成 200mlの四ツ口フラスコにアセトニトリル50m
l、トランス−(±)−2−ブロモインダン−1−オー
ル(I)21.3g(0.1mol)を仕込み、かき混
ぜながら5〜8℃で1時間を要して97%硫酸15.0
gを滴下した。その後同温度で1時間、20〜25℃で
2時間かき混ぜると白色のスラリーとなった。
【0068】反応混合物の0.75gを採取し、水5m
l中に分散して析出結晶をすばやく濾過して水洗後に未
乾燥のまま重クロロホルム5mlに溶解した。この溶液
を2時間後と4時間後に1 H−NMR分析を行ったとこ
ろ、トランス−(±)−アミド誘導体(III :Y=B
r,R=CH3 )とシス−(±)−オキサゾリン誘導体
(IV:R=CH3 )が生成していることが確認された。
【0069】得られたシス−(±)−オキサゾリン誘導
体(IV:R=CH3 )の1 H−NMRスペクトルは以下
の通りであった。
【0070】1 H−NMR(CDCl3 ,ppm) δ=7.74〜7.76(1H,m,arom.) 7.19〜7.74(3H,m,arom.) 5.99(1H,td,CH) 5.90(1H,d,CH) 3.47(1H,d,CH2 ) 3.64(1H,dd,CH2 ) 2.43(3H,s,CH3 ) また、(III )と(IV)のメチルプロトンの積分比によ
れば、2時間後と4時間後の組成は以下の通りであっ
た。
【0071】
【表1】
【0072】この結果から、トランス−(±)−アミド
誘導体(III :Y=Br,R=CH3 )は不安定であっ
て、徐々に閉環してシス−(±)−オキサゾリン誘導体
(IV:R=CH3 )に変化することが認められた。
【0073】反応終了後のスラリーの全量を、24時間
放置後に冷却しながら10%炭酸水素ナトリウム水溶液
215g中に注加した。析出結晶を濾過し、水100m
lで洗浄後に減圧乾燥し、白色結晶の粗トランス−
(±)−アミド誘導体(III :Y=Br,R=CH3
23.8g(粗収率93.7%)を得た。
【0074】実施例4 トランス−(±)−2−ブロモ
インダン−1−オール(I:X=OH,Y=Br)から
シス−(±)−1−アミノインダン−2−オール(V)
の合成 200ml四ツ口フラスコに酢酸50ml、トランス−
(±)−2−ブロモインダン−1−オール(I)21.
3g(0.1mol)、アセトニトリル4.52g
(0.11mol)を仕込み、撹拌しつつ、23〜25
℃で35分を要して97%硫酸12.1g(0.12m
ol)を滴下した。結晶は完全に消滅した。反応液はそ
のまま室温で20時間かき混ぜた。水200ml中に反
応液を分散すると白色スラリーとなった。これを撹拌し
つつ60℃で6時間加熱すると結晶は溶解した。室温ま
で冷却し、反応液を塩化メチレン100mlで2回洗浄
し、分液した。水層に25%水酸化ナトリウム水溶液を
加えてpHを11にすると結晶が析出した。これを減圧
濾過し、水100mlで洗浄後、減圧乾燥すると白色結
晶のシス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)5.33gを得た。液体クロマトグラフィーによ
る純度は96.9%であった。
【0075】実施例5 トランス−(±)−2−ブロモ
インダン−1−オール(I:X=OH,Y=Br)から
シス−(±)−1−アミノインダン−2−オール(V)
の合成 200ml四ツ口フラスコに、トランス−(±)−2−
ブロモインダン−1−オール(I)21.3g(0.1
mol)とアセトニトリル50mlを仕込み、25℃で
97%硫酸15.2gを約1時間を要して滴下し、その
後、室温で2時間かき混ぜた。スラリー状の反応混合物
を水140ml中に分散し、60℃で5時間かき混ぜ
た。次いで減圧下に過剰のアセトニトリルを留去し、さ
らに60℃で1時間かき混ぜた。室温まで冷却し、塩化
メチレンで不純物を抽出によって除去した後、25%水
酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11とした。析出
結晶を減圧濾過し、水80mlで洗浄した後に減圧乾燥
して白色結晶のシス−(±)−1−アミノインダン−2
−オール(V)10.35gを得た。その分析値は以下
の通りであった。
【0076】融点:127.4〜129.2℃ 液体クロマトグラフィーによる純度:98.2% 過塩素酸滴定による純度:99.4%実施例6 シス−(±)−1,2−エポキシインダン
(VI)からシス−(±)−1−アミノインダン−2−オ
ール(V)の合成 200ml四ツ口フラスコに、シス−(±)−1,2−
エポキシインダン(VI)9.24g(70mmol)と
アセトニトリル35mlを仕込み、冷却下にかき混ぜな
がら、97%硫酸10.62gを30分を要して20〜
25℃で滴下した。室温で1時間かき混ぜた後、30℃
以下で水72.5mlを加えると黄色スラリー状となっ
た。60℃で5時間加熱し、かき混ぜた後、アセトニト
リルを減圧下に留去した。さらに60℃で1時間かき混
ぜた。室温まで冷却し、塩化メチレン20mlと10m
lで混合物から不純物を抽出して除去した。水層に25
%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11とし、析
出した結晶を濾別後に減圧乾燥すると灰白色結晶のシス
−(±)−1−アミノインダン−2−オール(V)4.
76g(粗収率45.7%)を得た。その2gを10℃
のアセトニトリル6mlで洗浄し、濾過後、減圧乾燥す
ると白色結晶の(V)を1.68g回収した。液体クロ
マトグラフィーによるその純度は98.9%であった。
【0077】実施例7 トランス−およびシス−(±)
−1,2−ジブロモインダン(I:X=Y=Br)混合
物からのシス−(±)−1−アミノインダン−2−オー
ル(V)の合成 1)インデンからの(±)−1,2−ジブロモインダン
の合成 1000ml四ツ口フラスコにインデン78.1g(純
度96%,0.646mol)とアセトニトリル75m
lを仕込み、氷浴で冷却した。0℃で予めアセトニトリ
ル75mlに溶解しておいた臭素103.2g(0.6
46mol)を6時間を要して0〜5℃で滴下した。同
温度で1.5時間かき混ぜ、最終的に黄色の1,2−ジ
ブロモインダン(純度:HPLCで87.3%)のアセ
トニトリル溶液を得た。
【0078】2)(±)−1,2−ジブロモインダンか
らのシス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)の合成 1,2−ジブロモインダンのアセトニトリル溶液25
9.5g(インデン0.559molの臭素化に相当)
を1000mlの四ツ口フラスコに仕込み、40℃に加
温した。この溶液に、95%硫酸86.57g(0.8
39mol)を1.5時間を要して40〜46℃で滴下
した。同温度で5時間かき混ぜた。HPLC分析する
と、1,2−ジブロモインダンが約15%残存してい
た。さらに95%硫酸43.29gを加え、50〜60
℃で1.5時間かき混ぜた。HPLC分析では、1,2
−ジブロモインダンはほとんど消滅し、トランス−アミ
ド誘導体(III :R=CH3 ,Y=Br)が11.0
%,シス−オキサゾリン誘導体(IV:R=CH3 )が2
5.3%生成していた。
【0079】水840mlを加えると、茶色の結晶が析
出した。60℃で加温しつつかき混ぜると、結晶が徐々
に溶解し、黄土色の溶液となった。そのまま4.5時
間、撹拌を続けたところ、HPLC上ではシス−オキサ
ゾリンのピークは消失した。
【0080】常圧下に96〜97℃でアセトニトリル1
50mlを共沸蒸留した。25℃まで冷却し、ジクロロ
メタンを加えてかき混ぜた後に分液した。水層を200
0mlのビーカーに採取し、25%水酸化ナトリウムを
加えてpHを9〜10とした。析出結晶を減圧で濾過
し、水洗、乾燥すると、シス−1−アミノインダン−2
−オールの白色結晶48.3g(インデンからの収率:
57.8%)を得た。
【0081】実施例8 シス−(±)−1,2−エポキ
シインダン(VI)からシス−(±)−1−アミノインダ
ン−2−オール(V)の合成 300ml四ツ口フラスコに、シス−(±)−1,2−
エポキシインダン(VI)10.0g(75.8mmo
l)、アセトニトリル50ml、ジクロロメタン40m
lを仕込んだ。ドライアイス−アセトン浴で−30℃ま
で冷却し、これに100%硫酸(97%硫酸と発煙硫酸
から調製)11.14g(113.6mmol)を−3
0〜−27℃で1時間を要して滴下した。1時間を要し
て室温に戻すと、白濁してスラリーとなった。内容物の
HPLC分析ではシス−オキサゾリン誘導体(IV:R=
CH3 )が46.8%生成していた。また、トランス−
アミド誘導体(III ′:R=CH3 ,Y=OH)は検出
されなかった。水72mlを加え加温しつつ、アセトニ
トリル−ジクロロメタン−水共沸混合物を1時間を要し
て100ml留出させた。室温まで冷却してジクロロメ
タン100mlで2回洗浄して分液した。水層に25%
水酸化ナトリウムを加えて強アルカリ性とし、析出結晶
を減圧濾過し、水洗、乾燥して、シス−(±)−1−ア
ミノインダン−2−オール(V)の白色結晶7.53g
(収率:66.8%)を得た。HPLCによる純度は9
5.5%であった。
【0082】実施例9 シス−(±)−1,2−エポキ
シインダン(VI)から、シス−(±)−1−アミノイン
ダン−2−オール(V)の合成 300ml四ツ口フラスコにシス−(±)−1,2−エ
ポキシインダン(VI)10.0g(75.8mmo
l)、アセトニトリル40mlを仕込み、氷塩浴で−1
6℃に冷却した。これに発煙硫酸(無水硫酸25%を含
む)10.62g(113.6mmol)を−13〜−
17℃で1.5時間を要して滴下した。滴下終了後に
1.5時間を要して室温まで戻した。HPLC分析によ
ると、シス−オキサゾリン誘導体(IV:R=CH3 )を
21.2%含んでいた。また、トランス−アミド誘導体
(III ′:R=CH3 ,Y=OH)は検出されなかっ
た。次いで水72mlを加えた。実施例8と同様に処理
し、シス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)の白色結晶5.62g(収率:49.8%)を得
た。HPLCによる純度は98.7%であった。
【0083】実施例10 トランス−(±)−1,2−
インダンジオール(I′:X=OH)からシス−(±)
−1−アミノインダン−2−オール(V)の合成 100ml四ツ口フラスコに、トランス−(±)−1,
2−インダンジオール(I′)4.48g(30.3m
mol)、アセトニトリル40mlを仕込み、懸濁させ
た。室温でかき混ぜながら、97%硫酸6.14g(6
0.6mmol)を20分かけて加えた。内温は19℃
から35℃に上昇した。スラリーは完溶し、微黄色透明
溶液となった。24℃で1時間、60℃でさらに1時間
かき混ぜた。HPLC分析すると、シス−オキサゾリン
誘導体(IV:R=CH3 )が70.8%生成しており、
トランス−アミド誘導体(III ′:Y=OH,R=CH
3)は検出されなかった。水30mlを加え、60℃で
3時間かき混ぜた。アセトニトリルを共沸蒸留で留去
し、ジクロロメタンで洗浄後に分液し、水層に25%水
酸化ナトリウム水溶液を加えると、結晶が析出した。こ
れを減圧濾過、水洗して乾燥すると、シス−(±)−1
−アミノインダン−2−オールの白色結晶2.70g
(収率:59.7%)を得た。HPLCによる純度は9
7.7%であった。
【0084】実施例11 トランス−およびシス−
(±)−1,2−インダンジオール(I′:X=OH)
からシス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)の合成 (±)−1,2−インダンジオール(シス:トランス=
81.1:15.7)(I′)2.0g(13.33m
mol)とアセトニトリル30mlを100ml四ツ口
フラスコに仕込み、懸濁させた。30℃でかき混ぜなが
ら、97%硫酸2.02g(20.0mmol)を30
分かけて滴下した。ジオールのスラリーは硫酸の滴下と
ともに減少した。60℃で2時間かき混ぜると、HPL
Cではジオールは消滅し、シス−オキサゾリン誘導体
(IV:R=CH3 )は48.8%であった。水25ml
を加え、60℃で24時間かき混ぜた。反応液は赤褐色
溶液となった。アセトニトリルを減圧下で留去し、ジク
ロロメタン100mlで3回洗浄した後、水層を25%
水酸化ナトリウムで強アルカリ性にした。ジクロロメタ
ン100mlで2回抽出し、ジクロロメタン層を減圧で
濃縮し、灰白色結晶1.10gを得た。HPLC分析で
は、シス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)が89.2%含まれており、シス−オキサゾリン
誘導体(IV:R=CH3 )から(V)生成の際の加水分
解中間体である、シス−(±)−2−ヒドロキシ−1−
アセトアミノインダンが9.3%含まれていた。
【0085】実施例12 (±)−1−メトキシインダ
ン−2−オール(I′:X=OCH3 )から、シス−
(±)−1−アミノインダン−2−オール(V)の合成 1) シス−(±)−1,2−エポキシインダン(VI)
からトランス−(±)−1−メトキシインダン−2−オ
ール(I′:X=OCH3 )の合成 500ml四ツ口フラスコにメタノール120mlを仕
込み、粉末のナトリウムメトキシド16.4g(0.3
04mol)を溶かした。30℃で、メタノール80m
lに溶解したシス−(±)−1,2−エポキシインダン
(VI)20.0g(0.152mol)を90分かけて
滴下した。30℃で5時間かき混ぜた後、水100ml
を加え、1N塩酸270mlで中和し、メタノールを減
圧で留去した。ジクロロメタン200mlで2回抽出
し、抽出層を無水硫酸ナトリウムで一夜乾燥した。ジク
ロロメタン層を減圧下に濃縮して、オレンジ色の油状物
質28.5gを得た。これをクロロホルムを展開溶媒と
してシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って精製
し、淡黄色オイルのトランス−(±)−1−メトキシイ
ンダン−2−オール(I′)16.32g(収率:6
5.5%)を得た。HPLC分析による純度は95.4
%であった。
【0086】1 H−NMRスペクトルおよびIRスペク
トルは、G.H.ポスナー(Posner)等、[J.
Am.Chem.Soc.,99,8214(197
7)]の値と一致した。
【0087】2)トランス−(±)−1−メトキシイン
ダン−2−オール(I′:X=OCH3 )からシス−
(±)−1−アミノインダン−2−オール(V)の合成 300ml三ツ口フラスコにアセトニトリル70ml、
トランス−(±)−1−メトキシインダン−2−オール
(I′)10.0g(0.061mol)を仕込んだ。
30℃で、アセトニトリル35mlに溶解したメタンス
ルホン酸11.7g(0.122mol)を1時間で滴
下した。60℃で4時間かき混ぜたところ、シス−オキ
サゾリン誘導体(IV:R=CH3 )がHPLC分析で6
0.0%生成した。水50mlを加え、60℃で3時間
かき混ぜた。アセトニトリルを減圧で留去し、ジクロロ
メタン100mlで2回洗浄した。水層に25%水酸化
ナトリウム水溶液を加えてpHを10とした。析出結晶
を減圧で濾過し、水洗、乾燥して白色結晶3.36gを
得た。この結晶をHPLC分析すると、シス−(±)−
1−アミノインダン−2−オールが79.5%含まれて
いた。また、加水分解不十分の場合の副生成物であるシ
ス−(±)−1−アセトアミドインダン−2−オールが
18.6%含まれていた。この副生成物はクロロホルム
を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー
を行って分離し、標品(シス−(±)−1−アミノイン
ダン−2−オールと塩化アセチルから合成した)とのI
Rスペクトルが一致したことでその構造を確認した。
【0088】実施例13 トランス−(±)−1−メト
キシインダン−2−オール(I′:X=OCH3 )から
のシス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)の合成 トランス−(±)−1−メトキシインダン−2−オール
(I′)14.5gをアセトニトリル100mlに溶解
し、30℃に加温した。これにアセトニトリル50ml
に溶解した97%硫酸11.49g(113.6mmo
l)を同温度で1時間を要して滴下し、60℃で3時間
かき混ぜた。HPLC分析の結果、シス−オキサゾリン
誘導体(IV:R=CH3 )が53.3%生成していた。
水72mlを加え、60℃で4時間かき混ぜ、実施例1
2と同様に処理して、白色結晶4.34gを得た。HP
LC分析の結果によると、この結晶はシス−(±)−1
−アミノインダン−2−オール(V)53.4%とシス
−(±)−1−アセトアミドインダン−2−オール4
6.6%を含んでいた。
【0089】実施例14 シス−(±)−1,2−エポ
キシインダン(VI)からシス−(±)−オキサゾリン誘
導体(IV:R=CH3 )の合成 300ml四ツ口フラスコにシス−(±)−1,2−エ
ポキシインダン(VI)10.0g(75.75mmo
l)、アセトニトリル170ml、ジクロロメタン17
0mlを仕込み、かき混ぜながら−16℃に冷却した。
同温度で25%発煙硫酸14.2g(151.5mmo
l)を1時間を要して滴下した。さらに1時間を要して
23℃まで昇温し、23℃で4時間かき混ぜた。析出結
晶を濾過し、アセトニトリル20ml、ジクロロメタン
50mlで洗浄した後に減圧乾燥し、白色結晶の粗シス
−(±)−オキサゾリン誘導体(IV:R=CH3 )の硫
酸塩9.98gを得た。50mlナス型フラスコに水1
0mlを仕込み、水酸化ナトリウム1.0g(25mm
ol)を溶かした。ジクロロメタン20mlを加え、先
に得た硫酸塩3.0gを加えた。10分間かき混ぜた後
に分液し、水層をさらにジクロロメタン20mlで抽出
した。ジクロロメタン層を合わせ、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後に溶媒を留去して、白色結晶のシス−(±)−
オキサゾリン誘導体(IV:R=CH3 )1.22gを得
た。その融点は65.0〜66.5℃であった。この物
質の1 H−NMRスペクトルは実施例3のシス−(±)
−オキサゾリン誘導体(IV:R=CH3 )のスペクトル
と一致した。
【0090】実施例15 光学活性なトランス−(−)
−1,2−インダンジオール(I′:X=OH)から、
光学活性なシス−(−)−1−アミノインダン−2−オ
ール(V)の合成 トランス−(−)−1,2−インダンジオール(トラン
ス体:98.0%、シス体:2.0%、光学純度100
%e.e)(I′)3.0g(20.1mmol)をア
セトニトリル40mlに溶かし、室温で97%硫酸3.
2g(31.7mmol)を30分を要して滴下した。
室温で1時間かき混ぜると、(I′)はHPLC上で消
失した。反応液に水20mlを加え、すぐに加熱して、
常圧でアセトニトリル−水共沸混合物を42ml留去し
た。さらに、常圧下で1.5時間還流して反応を完結さ
せた。反応液を室温まで冷却し、ジクロロメタン10m
lで2回洗浄し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加え
てpHを10.5に調整した。析出した灰白色鱗片状結
晶を減圧濾過後に少量の水で洗浄し、減圧乾燥してシス
−(−)−1−アミノインダン−2−オール(V)の1
次晶1.77gを得た。さらに、晶析後の母液をジクロ
ロメタン抽出後に抽出層を濃縮して(V)の2次晶0.
69gを得た。
【0091】1次晶の分析結果 純度 :97.5%(HPLC内部標準物質法) 純分含量:1.73g(収率:57.7%) 光学純度:99.8%e.e. 2次晶の分析結果 純度 :91.6%(HPLC内部標準物質法) 純分含量:0.63g(収率:21.0%) 光学純度:99.8%e.e.実施例16 光学活性なシス−(−)−1,2−インダ
ンジオール(I′:X=OH)から、光学活性なシス−
(−)−1−アミノインダン−2−オール(V)の合成 シス−(−)−1,2−インダンジオール(シス体:9
7.5%、トランス体:2.5%、光学純度100%
e.e.)(I′)3.0g(20.1mmol)およ
びアセトニトリル40mlを100ml四ツ口フラスコ
に仕込み、溶かした。室温で97%硫酸3.2g(3
1.7mmol)を30分を要して滴下した。室温で1
時間かき混ぜると、HPLC分析で原料の(I′)は消
失した。反応液に水20mlを加え、すぐに加熱し、常
圧で水−アセトニトリル共沸混合物42mlを留去し
た。さらに還流下に1.5時間かき混ぜ反応を完結させ
た。室温まで冷却し、反応液をジクロロメタン10ml
で2回洗浄し、25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて
pHを10.5に調整した。析出した灰白色鱗片状結晶
を減圧濾過後に少量の水で洗浄し、減圧乾燥してシス−
(−)−1−アミノインダン−2−オール(V)の1次
晶0.78gを得た。さらに母液をジクロロメタン抽出
し、抽出層を濃縮して(V)の2次晶1.93gを得
た。
【0092】1次晶の分析結果 純度 :98.9%(HPLC内部標準物質法) 純分含量:0.77g(収率:25.7%) 光学純度:99.9%e.e. 2次晶の分析結果 純度 :98.7%(HPLC内部標準物質法) 純分含量:1.90g(収率:63.3%) 光学純度:99.9%e.e.実施例17 光学活性なシス−(+)−1,2−エポキ
シインダン(VI)から、光学活性なシス−(−)−1−
アミノインダン−2−オール(V)の合成 300mlフラスコにアセトニトリル30mlを仕込み
−16℃に冷却した。同温度で、シス−(+)−1,2
−エポキシインダン(光学純度:95.1%e.e.)
(VI)10.0g(75.8mmol)をアセトニトリ
ル10mlに溶かした溶液と97%硫酸11.5g(1
13.6mmol)をそれぞれ同時に滴下した。滴下に
は2時間10分を要した。反応液の冷却を止めて徐々に
室温に戻した。水72mlを加えると白色結晶が析出し
た。反応混合物を加熱し、常圧で水−アセトニトリル共
沸混合物を74ml留去し、還流下に1時間かき混ぜ
た。オキサゾリン誘導体の白色結晶は消失し、透明な溶
液となった。室温まで冷却し、反応液をジクロロメタン
50mlで2回洗浄し、水層に25%水酸化ナトリウム 水溶液を加えてpHを10.5に調整した。析出した白
色鱗片状結晶を減圧濾過し、少量の水で洗浄した後に減
圧乾燥して、シス−(−)−1−アミノインダン−2−
オール(V)6.69g(収率:59.3%)を得た。
この結晶の化学純度は96.9%であり、光学純度は9
9.6%e.e.であった。
【0093】実施例18 光学活性なシス−(−)−
1,2−エポキシインダン(VI)から、光学活性なシス
−(+)−1−アミノインダン−2−オール(V)の合
成 300mlフラスコにアセトニトリル30mlを仕込
み、−18℃に冷却した。同温度で、シス−(−)−
1,2−エポキシインダン(光学純度:94.0%e.
e.)(IV)10.0g(75.8mmol)をアセト
ニトリル10mlに溶かした溶液と97%硫酸11.5
g(113.6mmol)をそれぞれ同時に滴下した。
滴下には2時間30分を要した。反応液を室温に戻し、
水72mlを加えると白色結晶が析出した。かき混ぜな
がら反応混合物を加熱し、常圧で水−アセトニトリル共
沸混合物を75ml留去し、さらに還流下に1時間かき
混ぜた。オキサゾリン誘導体の白色結晶は消失し、透明
な溶液となった。室温まで冷却し、反応液をジクロロメ
タン50mlで洗浄し、水層に25%水酸化ナトリウム
水溶液を加えてpHを10.5に調整した。析出した白
色鱗片状結晶を減圧濾過し、少量の水で洗浄した後に減
圧乾燥して、シス−(+)−1−アミノインダン−2−
オール(V)6.78g(収率:60.0%)を得た。
この結晶の化学純度は98.2%であり、光学純度は9
8.2%e.e.であった。
【0094】実施例19 トランス−(±)−2−クロ
ロインダン−1−オール(I:X=OH,Y=Cl)か
ら、シス−(±)−1−アミノインダン−2−オール
(V)の合成 300mlフラスコにトランス−(±)−2−クロロイ
ンダン−1−オール(I:X=OH,Y=Cl)23.
6g(140mmol)とアセトニトリル70mlを仕
込み、かき混ぜながら、20〜30℃で98%硫酸2
3.8g(238mmol)を100分で滴下した。水
190mlを加え、60℃で2時間かき混ぜた。さら
に、常圧下にアセトニトリル−水共沸混合物130ml
を留去し、水50mlを加えて更に3時間還流した。室
温まで冷却し、不溶物を減圧濾過した後、濾液をジクロ
ロメタン60mlで洗浄した。水層に25%水酸化ナト
リウム水溶液を加えてpHを11に調整した。析出結晶
を減圧濾過し、少量の水で洗浄後に減圧乾燥して白色結
晶9.76gを得た。この結晶を内部標準物質法で分析
すると、目的とする(V)が6.95g(収率:33.
2%)含まれていた。先の濾過母液をジクロロメタン2
00mlで抽出し、有機層を濃縮して白色結晶2.25
gを得た。この結晶を内部標準物質法で分析すると、目
的とする(V)が1.42g(収率:6.8%)含まれ
ていた。
【0095】実施例20 光学活性なトランス−(+)
−1,2−インダンジオール(I′:X=OH)から、
光学活性なシス−(+)−1−アミノインダン−2−オ
ール(V)の合成 トランス−(+)−1,2−インダンジオール(トラン
ス体:98.3%、シス体:1.7%、光学純度93.
0%e.e.)(I′)3.0g(20.1mmol)
およびアセトニトリル40mlを100ml反応フラス
コに仕込み、室温でかき混ぜながら97%硫酸4.06
g(40.2mmol)を30分で加えた。同温度で1
時間、さらに60℃で4時間かき混ぜた後、水20ml
を加え室温で一夜かき混ぜた。常圧下にアセトニトリル
−水共沸混合物を44ml留去し、さらに3.5時間還
流した。室温まで冷却し、反応液をジクロロメタン10
mlで2回洗浄後、水層に25%水酸化ナトリウム水溶
液を加えてpHを11に調整した。析出結晶をジクロロ
メタンで溶解、抽出した後に有機層を濃縮し、白色結晶
の(V)を2.37g得た。HPLCによる内部標準物
質法で求めた純度は96.7%であり、目的物収量は
2.29g(収率:76.3%)であった。また、光学
純度は96.8%e.e.であった。
【0096】実施例21 光学活性なシス−(+)−
1,2−インダンジオール(I′:X=OH)から、光
学活性なシス−(+)−1−アミノインダン−2−オー
ル(V)の合成 シス−(+)−1,2−インダンジオール(シス体:9
7.2%,トランス体:2.8%,光学純度93.0%
e.e.)(I′)3.0g(20.1mmol)およ
びアセトニトリル40mlを100ml反応フラスコに
仕込み、室温でかき混ぜながら97%硫酸4.06g
(40.2mmol)を30分で加えた。同温度で1時
間、さらに60℃で2時間かき混ぜた。反応液に水20
mlを加えた後に加熱し、内温が101℃になるまでア
セトニトリル−水共沸混合物を常圧下に留去した。さら
に還流下に2時間かき混ぜ、室温まで冷却した。反応液
をジクロロメタン10mlで2回洗浄し、水層に25%
水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを約11に調整し
た。ジクロロメタン抽出後に抽出層を飽和食塩水10m
lで洗浄した。ジクロロメタン溶液を減圧下に濃縮し、
白色結晶の(V)2.37gを得た。HPLCによる内
部標準物質法で求めた純度は96.5%であり、目的物
収量は2.29g(収率:76.3%)であった。ま
た、光学純度は97.6%e.e.であった。
【0097】実施例22 光学活性なトランス−(+)
−2−ブロモインダン−1−オール(I:X=OH,Y
=Br)から、光学活性なシス−(−)−1−アミノイ
ンダン−2−オール(V)の合成 10mlのナス型フラスコにトランス−(+)−2−ブ
ロモインダン−1−オール(光学純度:81.6%e.
e.)(I:X=OH,Y=Br)1.07g(5.0
mmol)およびアセトニトリル2.6mlを仕込み、
マグネチックスタ−ラ−でかき混ぜるとともに水浴で冷
却しながら、97%硫酸0.76g(7.5mmol)
を2時間で滴下した。1時間室温でかき混ぜ、水6.5
mlを加えた。アセトニトリル−水共沸混合物を浴温4
0℃,200mmHgの減圧下に留去した後に常圧下で
80℃に加熱し、同温度で4.5時間かき混ぜた。反応
液を室温まで冷却し、ジクロロメタン10mlで2回洗
浄した。分液後の水層に25%水酸化ナトリウムを加え
てpHを11に調整した。ジクロロメタン10mlで3
回抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後に溶媒を留去し
て0.60gの粗生成物を得た。これを97%硫酸に溶
かし、ジクロロメタン10mlで2回洗浄した。その
後、室温に冷却しながら、25%水酸化ナトリウムでp
Hを7に調整し、ジクロロメタン10mlで2回洗浄し
た。水層に25%水酸化ナトリウムを加えてpHを11
に調整し、ジクロロメタンで抽出後に無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後に減圧乾固して、白色結晶のシス−(−)−
1−アミノインダン−2−オール(V)0.38g(収
率:51.0%)を得た。このもののHPLCによる化
学純度は98.5%であり、光学純度は82.0%e.
e.であった。
【0098】実施例23 光学活性なトランス−(−)
−2−ブロモインダン−1−オール(I:X=OH,Y
=Br)から光学活性なシス−(+)−1−アミノイン
ダン−2−オール(V)の合成 10mlナス型フラスコに、トランス−(−)−2−ブ
ロモインダン−1−オール(比旋光度による光学純度:
42.5%)(I:X=OH,Y=Br)1.07g
(5.0mmol)およびアセトニトリル2.6mlを
仕込み、マグネチックスターラーでかき混ぜながら、室
温で97%硫酸0.76g(7.5mmol)を2時間
で加えた。室温で1時間かき混ぜた後、水6.5mlを
加えた。40℃、200mmHgの減圧下にアセトニト
リル−水共沸混合物を留去し、次いで60℃で4.5時
間かき混ぜた。反応液を室温まで冷却し、反応液をジク
ロロメタン10mlで2回洗浄した。水層に25%水酸
化ナトリウム水溶液を加えてpHを7に調整し、ジクロ
ロメタン10mlで2回洗浄した。さらに、水層に25
%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11とした。
ジクロロメタン10mlで3回抽出し、抽出層を無水硫
酸ナトリウムで乾燥後に減圧留去し、白色結晶のシス−
(+)−1−アミノインダン−2−オール0.47g
(収率:63.0%)を得た。HPLCによる化学純度
は98.8%,比旋光度による光学純度は42.0%で
あった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 263/62 (72)発明者 原田 昌晋 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 中野 茂 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 岩井 良二 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 ▲矢▼上 奎介 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内 (72)発明者 今野 裕仁 福島県いわき市泉町下川字大剣1−133 市川合成化学株式会社内

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、インダン骨格の1位にカルボカチオンを生成し
    得る置換基であり、Yはハロゲン原子であり、XとYは
    シス配置でもトランス配置でもよく、ラセミ体でも光学
    活性体でもよい)で表される1,2−ジ置換インダン類
    を酸性条件下に、一般式(II) 【化2】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させ、一般式
    (III ) 【化3】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体を生成させ、こ
    れを閉環することにより、一般式(IV) 【化4】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体とし、これを加水分解することからなる一般式
    (V) 【化5】 (ただし、式中、NH2 基とOH基はシス配置であり、
    ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1
    −アミノインダン−2−オールの製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、XがOH基であ
    り、Yが臭素原子であり、XとYはトランス配置である
    トランス−2−ブロモインダン−1−オールを用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノインダ
    ン−2−オールの製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、XおよびYが臭
    素原子である1,2−ジブロモインダンを用いることを
    特徴とする請求項1記載のシス−1−アミノインダン−
    2−オールの製造方法
  4. 【請求項4】 一般式(II)においてRがメチル基であ
    るアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項1記
    載のシス−1−アミノインダン−2−オールの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸もし
    くは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項1記載のシ
    ス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(I)において、XがOH基であ
    り、Yが臭素原子であり、XとYはトランス配置である
    光学活性なトランス−(−)−2−ブロモインダン−1
    −オールを用いることを特徴とする請求項1記載の光学
    活性なシス−(+)−1−アミノインダン−2−オール
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(I)において、XがOH基であ
    り、Yが臭素原子であり、XとYはトランス配置である
    光学活性なトランス−(+)−2−ブロモインダン−1
    −オールを用いることを特徴とする請求項1記載の光学
    活性なシス−(−)−1−アミノインダン−2−オール
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(I′) 【化6】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、インダン骨格の1位にカルボカチオンを生成し
    得る置換基であり、XとOH基はシス配置でもトランス
    配置でもよく、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表
    される1,2−ジ置換インダン類を酸性条件下に、一般
    式(II) 【化7】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させ、一般式
    (IV) 【化8】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体とし、これを加水分解することからなる一般式
    (V) 【化9】 (ただし、式中、NH2 基とOH基はシス配置であり、
    ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1
    −アミノインダン−2−オールの製造方法。
  9. 【請求項9】 一般式(I′)において、XがOH基で
    あり、両OH基がトランス配置であるトランス−1,2
    −インダンジオールを用いることを特徴とする請求項8
    記載のシス−1−アミノインダン−2−オールの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 一般式(I′)において、XがOH基
    であり、両OH基がトランス配置である光学活性なトラ
    ンス−(−)−1,2−インダンジオールを用いること
    を特徴とする請求項8記載の光学活性なシス−(−)−
    1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  11. 【請求項11】 一般式(I′)において、XがOH基
    であり、両OH基がトランス配置である光学活性なトラ
    ンス−(+)−1,2−インダンジオールを用いること
    を特徴とする請求項8記載の光学活性なシス−(+)−
    1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  12. 【請求項12】 一般式(I′)において、XがOH基
    であり、両OH基がシス配置であるシス−1,2−イン
    ダンジオールを用いることを特徴とする請求項8記載の
    シス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  13. 【請求項13】 一般式(I′)において、XがOH基
    であり、両OH基がシス配置である光学活性なシス−
    (−)−1,2−インダンジオールを用いることを特徴
    とする請求項8記載の光学活性なシス−(−)−1−ア
    ミノインダン−2−オールの製造方法。
  14. 【請求項14】 一般式(I′)において、XがOH基
    であり、両OH基がシス配置である光学活性なシス−
    (+)−1,2−インダンジオールを用いることを特徴
    とする請求項8記載の光学活性なシス−(+)−1−ア
    ミノインダン−2−オールの製造方法。
  15. 【請求項15】 一般式(II)において、Rがメチル基
    であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
    8記載のシス−1−アミノインダン−2−オールの製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項8記載の
    シス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  17. 【請求項17】 一般式(III ) 【化10】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体。
  18. 【請求項18】 前記Yが臭素原子であることを特徴と
    する請求項17記載のトランス−アミド誘導体。
  19. 【請求項19】 前記Rがメチル基であることを特徴と
    する請求項17記載のトランス−アミド誘導体。
  20. 【請求項20】 一般式(I) 【化11】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、インダン骨格の1位にカルボカチオンを生成し
    得る置換基であり、Yはハロゲン原子であり、XとYは
    シス配置でもトランス配置でもよく、ラセミ体でも光学
    活性体でもよい)で表されるトランス−2−ハロインダ
    ン−1−オール類を酸性条件下に一般式(II) 【化12】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させることから
    なる一般式(III ) 【化13】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体の製造方法。
  21. 【請求項21】 一般式(II)において、Rがメチル基
    であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
    20記載のトランス−アミド誘導体の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項20記載
    のトランス−アミド誘導体の製造方法。
  23. 【請求項23】 一般式(I)において、XがOH基で
    あり、Yが臭素原子であり、XとYはトランス配置であ
    り、ラセミ体もしくは光学活性体であるトランス−2−
    ブロモインダン−1−オールを用いることを特徴とする
    請求項20記載のトランス−アミド誘導体の製造方法。
  24. 【請求項24】 一般式(I)において、XおよびYが
    臭素原子である1,2−ジブロモインダンを用いること
    を特徴とする請求項20記載のトランス−アミド誘導体
    の製造方法。
  25. 【請求項25】 一般式(III ) 【化14】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、Yはハロゲン原子であり、NHCOR基とY
    はトランス配置であり、ラセミ体でも光学活性体でもよ
    い)で表されるトランス−アミド誘導体を閉環すること
    からなる一般式(IV) 【化15】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体の製造方法。
  26. 【請求項26】 一般式(III )においてRがメチル基
    であるトランス−アミド誘導体を用いることを特徴とす
    る請求項25記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 一般式(I′) 【化16】 (ただし、式中、Xは酸性条件下で引き抜かれることに
    よって、インダン骨格の1位にカルボカチオンを生成し
    得る置換基であり、XとOH基はシス配置でもトランス
    配置でもよく、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表
    される1,2−ジ置換インダン類を酸性条件下に、一般
    式(II) 【化17】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させることから
    なる一般式(IV) 【化18】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項27記載
    のシス−オキサゾリン誘導体の製造方法。
  29. 【請求項29】 一般式(I′)において、XがOH基
    である1,2−インダンジオールを用いることを特徴と
    する請求項27記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造
    方法。
  30. 【請求項30】 一般式(II)において、Rがメチル基
    であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
    27記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方法。
  31. 【請求項31】 一般式(VI) 【化19】 (ただし、式中、エポキシ環はシス配置であり、ラセミ
    体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1,2−
    エポキシインダンを酸性条件下に一般式(II) 【化20】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させ、一般式
    (IV) 【化21】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、オキサゾリン環はシス配置であり、ラセミ体
    でも光学活性体でもよい)で表されるシス−オキサゾリ
    ン誘導体とし、これを加水分解することを特徴とする一
    般式(V) 【化22】 (ただし、式中、NH2 基とOH基はシス配置であり、
    ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1
    −アミノインダン−2−オールの製造方法。
  32. 【請求項32】 一般式(II)においてRがメチル基で
    あるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項3
    1記載のシス−1−アミノインダン−2−オールの製造
    方法。
  33. 【請求項33】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項31記載
    のシス−1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  34. 【請求項34】 一般式(VI)において、光学活性なシ
    ス−(+)−1,2−エポキシインダンを用いることを
    特徴とする請求項31記載の光学活性なシス−(−)−
    1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  35. 【請求項35】 一般式(VI)において、光学活性なシ
    ス−(−)−1,2−エポキシインダンを用いることを
    特徴とする請求項31記載の光学活性なシス−(+)−
    1−アミノインダン−2−オールの製造方法。
  36. 【請求項36】 一般式(VI) 【化23】 (ただし、式中、エポキシ環はシス配置であり、ラセミ
    体でも光学活性体でもよい)で表されるシス−1,2−
    エポキシインダンを酸性条件下に一般式(II) 【化24】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基である)で表されるニトリル類と反応させることから
    なる一般式(IV) 【化25】 (ただし、式中、Rはフェニル基もしくは低級アルキル
    基であり、NHCOR基とOH基はトランス配置であ
    り、ラセミ体でも光学活性体でもよい)で表されるシス
    −オキサゾリン誘導体の製造方法。
  37. 【請求項37】 一般式(II)において、Rがメチル基
    であるアセトニトリルを用いることを特徴とする請求項
    36記載のシス−オキサゾリン誘導体の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記酸性条件を得るために発煙硫酸も
    しくは濃硫酸を用いることを特徴とする請求項36記載
    のシス−オキサゾリン誘導体の製造方法。
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