JPH07312449A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JPH07312449A
JPH07312449A JP7062771A JP6277195A JPH07312449A JP H07312449 A JPH07312449 A JP H07312449A JP 7062771 A JP7062771 A JP 7062771A JP 6277195 A JP6277195 A JP 6277195A JP H07312449 A JPH07312449 A JP H07312449A
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JP
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ferromagnetic layer
ferromagnetic
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magnetoresistive effect
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JP7062771A
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Atsushi Maeda
篤志 前田
Minoru Kume
実 久米
Toshio Tanuma
俊雄 田沼
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気抵抗変化率が大きくかつ動作磁界強度が
小さい積層構造からなる磁気抵抗効果膜を有した磁気抵
抗効果素子を得る。 【構成】 基板1と、基板1上に実質的に互いに平行に
なるように設けられる複数の細線部2とを備え、細線部
2が、強磁性層2aと非磁性導電性層2bとを交互に積
層した構造を有し、非磁性導電性層2bを介して積層さ
れた強磁性層2a間に反強磁性結合が形成されている磁
気抵抗効果素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気抵抗効果型ヘッド
(MRヘッド)及び磁気抵抗効果型センサ(MRセン
サ)等に用いられる磁気抵抗効果素子(MR素子)に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】MR素子は、磁界印加による磁性膜の電
気抵抗の変化を検出して磁界強度やその変化を測定する
ものであり、磁気抵抗変化率/動作磁界強度の比が大き
いことが要求される。
【0003】従来、特公昭58−36406号公報等に
開示されているMRヘッドでは、磁気抵抗効果磁性材料
として、NiFe合金(パーマロイ)が用いられてい
る。しかしながら、パーマロイは磁気抵抗変化率(MR
比)が2〜3%と小さく、MR素子の材料として好まし
くない。
【0004】最近、パーマロイ等のバルク材料に比べ
て、磁気抵抗変化率が大きいものとして以下のような磁
気抵抗効果膜が知られている。 (1)Coからなる強磁性膜とCuからなる非磁性導電
性膜が交互に積層されてなる人工格子型磁気抵抗効果
膜。
【0005】(2)MnFe合金からなる反強磁性膜、
Co合金からなる強磁性膜、Cuからなる非磁性導電性
膜、及びNiFeからなる強磁性膜がこの順序で積層さ
れてなるスピンバルプ型磁気抵抗効果膜。
【0006】(3)Feからなる強磁性膜、Cuからな
る非磁性導電性膜、及びCoからなる強磁性膜がこの順
序に積層された保磁力差型磁気抵抗効果膜。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の磁気抵抗効果膜
は、比較的大きな磁気抵抗変化率を示すものであるが、
MR素子の高性能化を図るためには、さらに動作磁界強
度を小さくすることが要求される。
【0008】本発明の目的は、磁気抵抗変化率が大きく
かつ動作磁界強度が小さい積層構造からなる磁気抵抗効
果膜を有した磁気抵抗効果素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果素
子は、基板と、基板上に実質的に互いに平行になるよう
に設けられる複数の細線部とを備えている。
【0010】本発明において、細線部のアスペクト比は
1より大きいことが好ましく、アスペクト比は細線部の
長さ/細線部の幅を示している。アスペクト比を1より
大きくするためには、細線部の長さは細線部の幅より長
くなるように細線部の形状が設定される。また細線部の
厚みは細線部の幅よりかなり小さいものであり、従って
細線部の幅及び厚みが細線部の長さより小さい形状とな
る。本発明において細線部のアスペクト比は、さらに好
ましくは10以上である。
【0011】本発明において細線部の幅及び細線部間の
距離は、それぞれ10μm以下であることが好ましく、
さらに好ましくは0.1〜2μmの範囲内である。本発
明の第1の局面に従えば、細線部は強磁性層と非磁性導
電性層とを交互に積層した構造を有し、非磁性導電性層
を介して積層される強磁性層間に反強磁性結合が形成さ
れている。これは、上述の人工格子型磁気抵抗効果膜の
積層構造である。従って、例えば強磁性層としてCo層
が用いられ、非磁性導電性層としてCu層が用いられ
る。
【0012】本発明の第2の局面に従えば、細線部が、
第1の強磁性層と、第1の強磁性層上に設けられる非磁
性導電性層と、非磁性導電性層上に設けられ外部磁界が
弱い状態おいて第1の強磁性層の磁気モーメントと反平
行状態に配向しようとする磁気モーメントを有する第2
の強磁性層とを積層した構造を有している。
【0013】第2の局面の第1の実施態様においては、
細線部の積層構造が、第1の強磁性層または第2の強磁
性層の上に設けられる反強磁性層をさらに有している。
従って、この第2の局面の第1の実施態様においては、
反強磁性層、第1の強磁性層、非磁性導電性層、及び第
2の強磁性層が積層された構造を有している。従って、
第1の実施態様における細線部は、スピンバルブ型磁気
抵抗効果膜の構造を有している。この第1の実施態様で
は、例えば、反強磁性層としてMnFe層、第1の強磁
性層してCo層、非磁性導電性層としてCu層、第2の
強磁性層としてNiFe層が用いられる。
【0014】本発明の第2の局面に従う第2の実施態様
においては、第1の強磁性層として、第2の強磁性層と
保磁力が異なる強磁性層が用いられる。従って、第2の
実施態様における細線部は、保磁力差型磁気抵抗効果膜
の構造を有している。この実施態様では、第1の強磁性
層、非磁性導電性層、及び第2の強磁性層をこの順序で
積層した構造を有している。第2の実施態様では、例え
ば、第1の強磁性層としてFe層、非磁性導電性層とし
てCu層、第2の強磁性層としてCo層が用いられる。
【0015】
【発明の作用効果】本発明に従う磁気抵抗効果素子は、
以下の理由により大きな磁気抵抗効果を示す。
【0016】非磁性導電性層内を通過する伝導電子は、
非磁性導電性層を介して積層される強磁性層の磁気モー
メントの方向に依存して散乱確率が変わる。磁気モーメ
ントの向きが互いに平行である場合に散乱確率が最も小
さく、磁気モーメントの向きが互いに反平行である場合
に、散乱確率が最大となる。
【0017】強磁性層内にはドメインが存在するため、
磁気モーメントは面内方向に自由度を有しており、前述
の平行及び反平行状態は不完全となる。本発明では、磁
気抵抗効果膜を細線部にしている。従って、この形状異
方性により強磁性層の磁気モーメントの自由度は小さく
なり、細線部の延びる方向に対し、より平行に配向す
る。結果として、前述の平行及び反平行状態はより完全
なものとなる。
【0018】さらに、本発明に従えば、実質的に互いに
平行になるように細線部が設けられているので、磁気モ
ーメントの双極子相互作用等の相互作用により、隣合う
細線部の対応する強磁性層の磁気モーメントは、より平
行に配向しようとすると考えられる。この結果、弱い外
部磁界では、非磁性導電性層を介して積層される強磁性
層の磁気モーメントは実質的に反平行の状態となる。こ
のことも、前述の平行及び反平行状態をより完全なもの
とする。
【0019】従って、適当な弱い外部磁界が存在する状
態では、非磁性導電性層内の伝導電子は細線部が延びる
方向とほぼ平行な方向に通過し、伝導電子の通過方向と
一方の強磁性層の磁気モーメントの向きがほぼ逆方向と
なる。この結果、伝導電子は大きく散乱されて抵抗が大
きくなる。
【0020】細線部が延びる方向に沿って、強い外部磁
界、すなわち飽和磁界以上の強さの外部磁界が存在する
場合、非磁性導電性層を介して積層される強磁性層の磁
気モーメントの向きは、それぞれ外部磁界の方向に対し
てほぼ平行になる。また非磁性導電性層内の伝導電子は
細線部の延びる方向とほぼ平行に通過し、外部磁界の方
向とほぼ平行な方向に通過する。従って、非磁性導電性
層内の伝導電子の通過方向と、強磁性層の磁気モーメン
トの方向がほぼ平行となる。従って、散乱が小さくな
り、抵抗が小さくなる。
【0021】以上のように、本発明に従う磁気抵抗効果
素子では、複数の細線部の構造を備えることにより磁気
モーメントの自由度が小さくなり、磁気抵抗効果が大き
くなる。
【0022】本発明の磁気抵抗効果素子において、動作
磁界が小さくなる理由としては、第1に形状異方性の効
果が挙げられる。すなわち、磁気モーメントは細線の幅
方向に自由度を有しないため、回転運動ではなくデジタ
ル的に反転する。第2に、複数の磁気モーメントがコー
ヒレント(同位相)的に動作するため、動作磁界が小さ
くなるものと思われる。
【0023】本発明に従う第1の局面においては、細線
部に人工格子型磁気抵抗効果膜の構造が形成されてい
る。このような磁気抵抗効果膜構造において、外部磁界
が弱い状態では、非磁性導電性層を介して隣合う強磁性
層の磁気モーメントは反平行になろうとする。この結
果、上述のように大きな磁気抵抗効果を示す。
【0024】本発明に従う第2の局面において、第1の
強磁性層、非磁性導電性層、及び第2の強磁性層が積層
された細線部を備えている。第2の強磁性層は、外部磁
界が弱い状態において第1の強磁性層の磁気モーメント
と反平行状態に配向しようとする磁気モーメントを有し
ている。従って、第1の強磁性層の磁気モーメントと、
第2の強磁性層の磁気モーメントは反平行状態になろう
とする。この結果、上述のような大きな磁気抵抗効果が
得られる。
【0025】第2の局面に従う第1の実施態様では、反
強磁性層、第1の強磁性層、非磁性導電性層、及び第2
の強磁性層が積層されたスピンバルブ型磁気抵抗効果膜
の構造を有している。外部磁界が弱い状態では、反強磁
性層に隣接した第1の強磁性層の磁気モーメントが、反
強磁性層の磁気モーメントと平行になろうとするので、
第1の強磁性層と第2の強磁性層の磁気モーメントが互
いに反平行になろうとする。
【0026】第2の局面に従う第2の実施態様では、第
1の強磁性層、非磁性導電性層、及び第2の強磁性層が
積層された保磁力差型磁気抵抗効果膜の構造を有してい
る。外部磁界が弱い状態では、この保磁力差に起因して
第1の強磁性層と第2の強磁性層の磁気モーメントとが
互いに反平行になろうとする。
【0027】
【実施例の説明】図1は、本発明の第1の局面に従う実
施例の磁気抵抗効果素子を示す断面図である。図1を参
照して、ガラス製の非磁性基板1の上には実質的に互い
に平行になるように複数の細線部2が設けられている。
細線部2間の距離Tは、約2μmである。また細線部2
の幅Wは約2μmである。細線部2の長さは約90μm
である。従って、本実施例の細線部2のアスペクト比は
約45である。
【0028】細線部2は、膜厚15ÅのCoからなる強
磁性層2aと、膜厚20ÅのCuからなる非磁性導電性
層(非磁性金属層)2bとを交互に29組積層した積層
体(積層構造)3から構成されている。
【0029】図2(a)〜2(d)は、図1に示す実施
例の磁気抵抗効果素子の製造工程を示す断面図である。
図2(a)を参照して、最初に、ガラス製非磁性基板1
の上の全面にレジストをスピンコート法等により塗布し
た後、熱処理して、厚さ1〜2μmのレジスト膜4を形
成する。
【0030】図2(b)を参照して、次に、レジスト膜
4を細線状に露光する。細線状の被露光部は一定の間隔
を隔て、かつ互いに平行になるように所定の幅で形成す
る。露光した後、レジスト膜4を現像して露光部分を除
去し、細線状のレジスト膜5を形成する。
【0031】図2(c)を参照して、次に、基板1上及
びレジスト膜5上に強磁性層と非磁性導電性層を交互に
電子ビーム蒸着法により形成して積層体3を形成する。
図2(d)を参照して、次に、レジスト膜5を除去し、
いわゆるリフトオフ法により、基板1上に互いに距離T
隔て、かつ互いに平行に形成された幅Wの積層体3を形
成する。この積層体3が細線部2となる。
【0032】図1に示す実施例の磁気抵抗効果素子(実
施例1)と、細線構造としない以外は実施例1と同様の
磁気抵抗効果膜を基板上に形成した磁気抵抗効果素子
(比較例1)について、外部磁界を−500〜+500
Oeの範囲で変化させたときの磁気抵抗を4端子法で測
定し、この測定結果により磁気抵抗変化率(MR比=Δ
R/R)を求めた。
【0033】MR比は、(R(H)−Rmin )/Rmin
×100(%)で定義される。ここでR(H)及びR
min はそれぞれ印加磁界強度Hでの抵抗値及び最小抵抗
値を示す。
【0034】図3は、実施例1及び比較例1の磁気抵抗
効果素子のMR比と印加磁界強度との関係を示す図であ
る。表1は、実施例1及び比較例1の最大MR比及び動
作磁界の値を示している。
【0035】
【表1】
【0036】図3及び表1から明らかなように、実施例
1の磁気抵抗効果素子の最大MR比は、約34%であ
り、比較例1の約17%に比べ格段に大きくなってい
る。また動作磁界についても、比較例1が310Oe程
度であるのに対して、実施例1では150Oe程度と顕
著に小さくなっている。従って、実施例1の飽和磁界が
比較例1に比べ小さくなっていることがわかる。
【0037】図4は、本発明に従う磁気抵抗効果素子の
MR比が大きくなる理由について説明するための模式図
である。図4(a)は、本発明に従う実施例の磁気抵抗
効果素子を示しており、図4(b)は従来の磁気抵抗効
果素子を示している。図4(a)及び4(b)共に、弱
い外部磁界が存在する状態を示している。
【0038】図4(a)を参照して、本実施例の磁気抵
抗効果素子においては、非磁性導電性層33を介して、
強磁性層32及び強磁性層34が積層されている。強磁
性層32、非磁性導電性層33、及び強磁性層34は、
いずれも細線状に形成されている。
【0039】図4(b)を参照して、非磁性導電性層4
3を介して、強磁性層42及び強磁性層44が積層され
ている。強磁性層42、非磁性導電性層43、及び強磁
性層44は従来の磁気抵抗効果膜の形態であり、膜状で
ある。
【0040】図4(a)を参照して、非磁性導電性層3
3を介して積層される強磁性層32及び34の間には反
強磁性結合が存在するので、強磁性層32の磁気モーメ
ント31と、強磁性層34の磁気モーメント35は反平
行になろうとする。
【0041】本実施例の磁気抵抗効果素子においては、
強磁性層32及び34がそれぞれ細線状に形成されてい
る。このため、形状異方性効果により、強磁性層32及
び34の磁気モーメント31及び35は互いにより反平
行に揃おうとする。さらに、複数の細線部がほぼ平行に
離れて設けられているので、隣合う細線部の対応する強
磁性層の磁気モーメント間の相互作用により、対応する
強磁性層の磁気モーメントが平行になろうとする。これ
らの結果、非磁性導電性層33を介して積層される強磁
性層32及び34の磁気モーメントはより完全な反平行
状態に近づく。
【0042】図4(b)に示す従来の磁気抵抗効果素子
においても、非磁性導電性層43を介して積層された強
磁性層42及び44の間に反強磁性結合が存在するの
で、強磁性層42及び強磁性層44の磁気モーメント4
1及び45は互いに反平行に配向しようとする。しかし
ながら、強磁性層42及び強磁性層44は、膜状に形成
されているため、それらの磁気モーメント41及び45
は面内方向に大きな自由度が存在する。従って、図4
(b)に示すように、強磁性層42の磁気モーメント4
1と強磁性層44の磁気モーメント45は反平行状態と
ならない。
【0043】以上説明したように、本発明に従う磁気抵
抗効果素子おいては、適当な弱い外部磁界が存在すると
き、非磁性導電性層内を通過する伝導電子の通過方向
と、非磁性導電性層を介して積層された強磁性層の一方
の磁気モーメントの方向となす角度が、従来の膜状の磁
気抵抗効果膜を有する素子の場合と比べてより180度
に近づくので、伝導電子の散乱が大きくなり、従来の磁
気抵抗効果素子に比べてその抵抗が大きくなる。
【0044】飽和磁界以上の大きさの外部磁界が印加さ
れたときには、非磁性導電性層を介して積層された強磁
性層の磁気モーメントは互いに平行になり、伝導電子の
通過方向と磁気モーメントの方向は平行となる。従っ
て、電子の散乱は小さくなる。これは図4(a)に示す
本発明に従う磁気抵抗効果素子も、図4(b)に示す従
来の磁気抵抗効果素子も同程度に小さくなる。従って、
両方のRmin は同じ程度の大きさとなる。
【0045】以上のように、本発明に従う磁気抵抗効果
素子は、従来のものに比べ最大抵抗値が大きく、従来と
同程度のRmin を有するので、最大MR比が大きくな
る。本発明に従う磁気抵抗効果素子において、動作磁界
が小さくなる理由としては、第1には形状異方性の効果
が挙げられる。すなわち、磁気モーメントは細線の幅方
向に自由度を有しないため、回転運動ではなくデジタル
的に反転する。また第2には、複数の磁気モーメントが
コーヒレント(同位相)的に動作するためであると思わ
れる。
【0046】比較のため、ガラス製基板上にNiFe合
金からなる細線構造を形成し、最大MR比及び動作磁界
を測定した。この比較の磁気抵抗効果素子は、図1に示
すような細線構造を有しているが、細線部は図1に示す
ような積層膜の構造ではなく、NiFe合金の単一組成
のものである。NiFe合金からなる細線部を有した比
較の磁気抵抗効果素子おいては、最大MR比及び動作磁
界の数値は本発明のような良好な値ではなかった。また
細線部の幅を小さくするほど悪い数値を示した。このよ
うにNiFe合金からなる細線部を有する磁気抵抗効果
素子において、本発明の効果が得られない理由は、この
ようなNiFe合金では伝導電子が磁性体内を通り、本
発明のように非磁性導電性層を通らないからであると考
えられる。すなわち、磁気抵抗効果が得られる原理が異
なることに基づくものと考えられる。
【0047】本発明の第1の局面に従う磁気抵抗効果素
子において、強磁性層と非磁性導電性層の組合せは、上
記実施例以外のものでもよい。例えば、強磁性層とし
て、Fe層、Co層、それらの合金等の中から選択して
もよい。非磁性導電性層としては、Cu層、Ag層等の
中から選択してもよい。非磁性導電性層を介して積層さ
れる強磁性層間に反強磁性結合を生じさせるためには、
非磁性導電性層の厚みを適宜選択する必要がある。
【0048】図5は、本発明の第2の局面に従う第1の
実施態様の磁気抵抗効果素子を示す断面図である。図5
を参照して、ガラス製非磁性基板11の上には、距離T
を隔て幅Wの細線部12が設けられている。本実施例に
おいて距離Tは約2μmであり、幅Wは約2μmであ
る。また細線部12の長さは90μmである。従ってア
スペクト比は45である。細線部12は反強磁性層12
a、第1の強磁性層12b、非磁性導電性層12c、及
び第2の強磁性層12dを積層した積層体13から構成
されている。
【0049】反強磁性層12aは、膜厚80ÅのMnF
e合金(Mn50重量%、Fe50重量%)膜から形成
されている。第1の強磁性層12bは、膜厚50ÅのC
o膜から形成されている。非磁性導電性層12cは、膜
厚22ÅのCu膜から形成されている。第2の強磁性層
12dは、膜厚75ÅのNiFe合金(Ni80重量
%、Fe20重量%)膜から形成されている。
【0050】図5に示す磁気抵抗効果素子も、図1に示
す実施例と同様に、基板11上に細線状のレジスト膜を
作製し、レジスト膜及び基板の上に電子ビーム蒸着法に
より積層膜を形成し、この後レジスト膜をリフトオフす
ることにより形成することができる。
【0051】図5に示す実施例の磁気抵抗効果素子(実
施例2)と、細線構造でない以外は、実施例2と同様の
積層膜を有した磁気抵抗効果素子(比較例2)につい
て、実施例1と同様にして磁気抵抗変化率を求めた。
【0052】図6は、実施例2及び比較例2のMR比と
印加磁界強度との関係を示す図である。表2は実施例2
及び比較例2の最大MR比及び動作磁界を示している。
【0053】
【表2】
【0054】図6及び表2から明らかなように、最大M
R比については、実施例2の素子が約13%であり、比
較例2の素子の値約5%に比べて格段に大きくなってい
る。動作磁界についても、比較例2が300Oe程度で
あるのに対して、実施例2は240Oe程度と顕著に小
さくなっている。従って、実施例2が比較例2に比べ
て、飽和磁界が小さくなっていることがわかる。
【0055】本実施例のようなスピンバルブ型磁気抵抗
効果膜においては、上述の形状異方性及び複数の磁気モ
ーメントのコーヒレント的な動作により、高いMR比及
び低い動作磁界が得られる。
【0056】反強磁性層、第1の強磁性層、非磁性導電
性層、及び第2の強磁性層からなる積層膜においても、
種々の材料のものを選択することができる。図7は、本
発明の第2の局面に従う第2の実施態様の磁気抵抗効果
素子を示す断面図である。図7を参照して、ガラス製非
磁性基板21の上には、距離T離れ互いに平行な幅Wの
複数の細線部22が設けられている。細線部22は、第
1の強磁性層22a、非磁性導電性層22b、及び第2
の強磁性層22cを積層した積層体23から構成されて
いる。第1の強磁性層22aは、膜厚56ÅのFe膜か
ら形成されている。非磁性導電性層22bは、膜厚50
ÅのCu膜から形成されている。第2の強磁性層22c
は、膜厚48ÅのCo膜から形成されている。
【0057】図7に示す磁気抵抗効果素子も、図1に示
す実施例と同様に、基板21上に細線状のレジスト膜を
形成し、その細線状のレジスト膜上及び基板上に電子ビ
ーム蒸着法により上述の積層膜を形成した後、レジスト
膜をリフトオフすることにより作製することができる。
【0058】図7に示す磁気抵抗効果素子(実施例3)
と、細線状の構造としない以外は、実施例3と同様の積
層膜を用いた磁気抵抗効果素子(比較例3)について、
上記実施例1と同様にして磁気抵抗変化率を求めた。
【0059】図8は、実施例3及び比較例3の磁気抵抗
効果素子におけるMR比と印加磁界強度との関係を示す
図である。表3は、実施例3及び比較例3の最大MR比
及び動作磁界の値を示している。
【0060】
【表3】
【0061】図8及び表3から明らかなように、最大M
R比については、実施例3が約9%であり、比較例3の
約3%に比べ格段に大きくなっている。動作磁界につい
ても、比較例3が250Oe程度であるのに対し、実施
例3は170Oe程度と顕著に小さくなっている。従っ
て、実施例3の方が比較例3に比べて、飽和磁界が小さ
くなっていることがわかる。
【0062】このように、実施例3で上述の形状異方性
及び複数の磁気モーメントのコーヒレント的な動作によ
り、実施例1と同様に、高いMR比及び低い動作磁界を
得ることができる。
【0063】本実施例においても、第1の強磁性層及び
第2の強磁性層に保磁力の差があれば、種々の材料のも
のを選択することができる。例えば、第1の強磁性層、
非磁性導電性層、及び第2の強磁性層として、それぞれ
NiFe合金層、Cu層、及びCo層を用いてもよい。
【0064】上記各実施例においては、細線部間の距離
T及び細線部の幅Wを約2μmとしたが、この数値に限
定されるものではない。距離T及び幅Wとしては、上述
のように、0.1〜2μmの範囲内であることが好まし
い。
【0065】また細線部の長さは90μmとしたが、こ
の値に限定されるものではない。細線部の長さは、少な
くとも200μm以内であることが好ましい。本発明に
おいて、各細線部を構成するそれぞれの層の厚み、及び
それらの高さの位置は、一致していることがもっとも好
ましいが、必ずしも厳密に一致している必要はなく、ほ
ぼ一致していればよい。
【0066】図9は、図7に示す磁気抵抗効果素子に電
極を取り付けた状態を示す平面図である。図9に示すよ
うに、基板21の両端部に例えばAuからなる第1の導
電層24及び第2の導電層25を設ける。第1の導電層
24及び第2の導電層25のそれぞれに、電流を流すた
めの電極27a及び27bと、電圧を読み取るための電
極26a及び26bを設けている。第1の導電層24及
び第2の導電層25は、各細線部22と接続されている
ので、電極27aと27b間に電流を流し、電極26a
と26b間で電圧を読み取ることにより、抵抗を測定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の局面に従う実施例の磁気抵抗効
果素子を示す断面図。
【図2】図2(a)〜2(d)は、図1に示す実施例の
磁気抵抗効果素子の製造工程を示す断面図。
【図3】図1に示す実施例の磁気抵抗効果素子のMR比
と印加磁界強度の関係を示す図。
【図4】図4(a)及び4(b)は、本発明に従う磁気
抵抗効果素子の磁気モーメントを示す模式図。
【図5】本発明の第2の局面の第1の実施態様の磁気抵
抗効果素子を示す断面図。
【図6】図5に示す実施例の磁気抵抗効果素子のMR比
と印加磁界強度との関係を示す図。
【図7】本発明の第2の局面の第2の実施態様に従う磁
気抵抗効果素子を示す断面図。
【図8】図7に示す実施例の磁気抵抗効果素子のMR比
と印加磁界強度との関係を示す図。
【図9】本発明に従う磁気抵抗効果素子を示す平面図。
【符号の説明】
1…基板(基体) 2a…強磁性層 2b…非磁性導電性層 2…細線部 3…積層体 11…基板(基体) 12…細線部 12a…反強磁性層 12b…第1の強磁性層 12c…非磁性導電性層 12d…第2の強磁性層 13…積層体 21…基板(基体) 22…細線部 22a…第1の強磁性層 22b…非磁性導電性層 22c…第2の強磁性層 23…積層体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 10/08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 前記基板上に実質的に互いに平行になるように設けられ
    る複数の細線部とを備え、 前記細線部が強磁性層と非磁性導電性層とを交互に積層
    した構造を有し、前記非磁性導電性層を介して積層され
    た前記強磁性層間に反強磁性結合が形成されている磁気
    抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記強磁性層及び前記非磁性導電性層が
    少なくとも10組積層されている請求項1に記載の磁気
    抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記強磁性層がCo層であり、前記非磁
    性導電性層がCu層である請求項1に記載の磁気抵抗効
    果素子。
  4. 【請求項4】 基板と、 前記基板上に実質的に互いに平行になるように設けられ
    る複数の細線部とを備え、 前記細線部が、第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層
    上に設けられる非磁性導電性層と、前記非磁性導電性層
    上に設けられ、外部磁界が弱い状態において前記第1の
    強磁性層の磁気モーメントと反平行状態に配向しようと
    する磁気モーメントを有する第2の強磁性層とを積層し
    た構造を有する磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 前記細線部の積層構造が、前記第1の強
    磁性層及び前記第2の強磁性層の少なくとも一方の上に
    設けられる反強磁性層をさらに有する請求項4に記載の
    磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記反強磁性層がMnFe層であり、前
    記第1の強磁性層がCo層であり、前記非磁性導電性層
    がCu層であり、前記第2の強磁性層がNiFe層であ
    る請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 前記第2の強磁性層が、前記第1の強磁
    性層と保磁力が異なる強磁性層である請求項4に記載の
    磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 前記第1の強磁性層がFe層であり、前
    記非磁性導電性層がCu層であり、前記第2の強磁性層
    がCo層である請求項7に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 前記細線部の幅及び前記細線部間の距離
    が10μm以下である請求項1または4に記載の磁気抵
    抗効果素子。
  10. 【請求項10】 前記細線部のアスペクト比が1以上で
    ある請求項1または4に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 前記細線部のアスペクト比が10以上
    である請求項1または4に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】 基板と、 前記基板上に実質的に互いに平行になるように設けられ
    る複数の細線部とを備え、 前記細線部が、第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層
    上に設けられる非磁性導電性層と、前記非磁性導電性層
    上に設けられる第2の強磁性層と、前記第1の強磁性層
    及び前記第2の強磁性層の少なくとも一方の上に設けら
    れる反強磁性層とを積層した構造を有する磁気抵抗効果
    素子。
  13. 【請求項13】 基板と、 前記基板上に実質的に互いに平行になるように設けられ
    る複数の細線部とを備え、 前記細線部が、第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層
    上に設けられる非磁性導電性層と、前記非磁性導電性層
    上に設けられ、前記第1の強磁性層と保持力が異なる第
    2の強磁性層とを積層した構造を有する磁気抵抗効果素
    子。
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