JPH0731032B2 - 管式熱交換器用の洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、管式熱交換器における伝熱管内を洗浄する装
置に関し、詳しくは洗浄のために例えば弾性ボールであ
る洗浄体を伝熱管内に通すようにした洗浄装置、特に小
型の管式熱交換器に使用される洗浄装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来から、冷凍機用の熱交換器や復水器として、多数の
伝熱管を配列した管式熱交換器が使用されており、この
管式熱交換器における冷却水には一般に淡水が使用され
るが、場合により海水が使用されることもある。

そしてこの管式熱交換器を長期にわたり使用すると、伝
熱管の管内壁にスケールや藻などの付着物が発生し、熱
交換率が次第に低下してくるので、これらの付着物を定
期的に除去する作業が必要とされている。

この管式熱交換器における伝熱管内壁の洗浄法として
は、洗浄体としてスポンジボールを用い、これを伝熱管
内に強制的に通すことで管内壁の付着物を除去する方法
が知られており、例えば火力発電所等の大規模設備で
は、このような方法を実施するための専用大型設備を設
ける場合が多い。

このようなスポンジボールを洗浄体として用いた従来の
洗浄装置の概要は、例えば特開昭63−143497号により説
明される。この従来装置では、熱交換器出口より排出さ
れた洗浄体を含む冷却水を、篩装置により洗浄体を含ま
ない出口冷却水と、洗浄体を含む分岐流とに分け、分岐
流は更に分離器で洗浄体と水とに分離し、水はポンプに
より出口冷却水中に導き、地方洗浄体は通水遮断状態で
分離器内に受容した後、管路を切換えてポンプにより吐
出させた水により熱交換器入口冷却水中に導くことを繰
返して洗浄を行なうようにしているものである。

（発明が解決しようとする課題） しかし上述した従来の洗浄装置では、洗浄中において、
洗浄体は分離器中に一端全部受容され、その後ポンプの
吐出水により一度に入口冷却水中に導入されるため、洗
浄が間欠的となって洗浄時間がかかるという難点がある
と共に、一度に洗浄体が流れるために一部に滞留が起き
る虞れもある。

また一般のビル等の冷房装置のような比較的小型の熱交
換器に適用する洗浄装置については、上述した火力発電
所のような大型設備と異なり、地下室のような限られた
空間に設置する必要があるなど、予め設置場所等を確保
して固定化した装置として設けることが困難な場合が多
い。

更に、熱交換器の伝熱管内にスポンジボールを強制的に
通すという上記洗浄方式では、装置が小型であっても摩
耗したスポンジボールの交換，補給や点検等の必要性は
大型装置と同様にあるため、その保守、管理が容易であ
ることが望まれるのに対し、従来の装置ではこれが容易
でない。

本発明はこのような現状に鑑みなされたものであり、そ
の目的は、洗浄装置の基本構造を、一つの循環管路とこ
れにバイパス接続されたバイパス管路とを組合わせた管
路構造とし、これらの管路内を流れる搬送水流を切換え
ることだけで、洗浄体を熱交換器に連続的に流すことが
できる連続洗浄が可能な洗浄装置を提供するところにあ
る。

また本発明の別の目的は、洗浄体の回収が容易かつ確実
にでき、したがって保守、点検の容易な洗浄装置を提供
するところにある。

（課題を解決するための手段及び作用） 上記目的を実現する本発明の管式熱交換器用の洗浄装置
の特徴は、管式熱交換器の管内洗浄用の洗浄体であるス
ポンジボールを熱交換器上流の通水管路に導入する導入
管と、熱交換器を通ったスポンジボールを熱交換器下流
の通水管路から取出す取出管とにより、弁の開閉切換え
で上記管式熱交換器との間で通水・遮断が可能に接続さ
れた洗浄装置であって、この洗浄装置は、上記取出管か
ら導入管に渡り接続された循環管路と、この循環管路に
対しバイパス接続されたバイパス管路と、これらの管路
に上記スポンジボールの搬送水流を流す手段と、上記バ
イパス管路の循環管路からの分岐部に設けられてバイパ
ス管路への搬送水流の通水は許容するが搬送水流中のス
ポンジボールは堰止める洗浄体回収手段と、上記バイパ
ス管路が循環管路に合流する部分に設けられて搬送水流
の流れを上記循環管路とバイパス管路のいずれかを選択
して切換える３方弁と、バイパス管路の途中に設けられ
た逆流防止用の一方向弁とを備えているという構成をな
すところにある。

以上の構成をなす本発明の洗浄装置は、循環管路及びバ
イパス管路を、予めユニット化して作製した、３方弁、
ポンプ等の搬送水流の通水手段、網篭等として設けた洗
浄体回収手段に接続することによって簡易に構成させる
ことができ、特にこのようなユニット化により各部の装
置を、市販の装置をそのまま利用したり、合成樹脂等の
射出成形品として軽量化や耐錆性、難錆性を図った好ま
しい構成のものとして提供することができる。

また洗浄時にはスポンジボールを循環管路を通して連続
に熱交換器に通すことができるために洗浄時間の短縮化
を実現できる。

（実施例） 以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。

図において１は管式熱交換器であり、冷却水入口管２か
ら取り入れられた冷却水は、この熱交換器１の上半部で
は伝熱管内（図示せず）を図の右方向に流れると共に、
下半部では伝熱管内（同じく図示せず）図の左方向に流
れて出口より熱交換器の下流に流れ、捕集器10を通して
冷却水出口管３から系外に排水されるようになってい
る。なお捕集器10は後述する洗浄体としてのスポンジボ
ールを捕集するためのものであり、内部に傾動可能の格
子板10aが設けられていて、通常の冷却時にはこの格子
板10aを冷却水の流れに並行する姿勢にさせて通水やこ
れに含まれることのあるスケール等が下流に流れ易くす
ると共に、洗浄時にはスポンジボールを捕集して洗浄装
置に戻すために、格子板10aは図示の如くスポンジボー
ルの冷却水出口側への流れ出しを規制するように傾動し
た姿勢にされる。

次ぎに洗浄装置について説明すると、本例の洗浄装置は
ポンプユニットＡと操作ユニットＢとによって構成され
ている。

ここでポンプユニットＡは、モータ30により駆動される
循環ポンプ13を有していて、上記捕集器10から捕集器出
口弁11を介して洗浄装置に導入された水を加圧した搬送
水流として可撓導管19により操作ユニットＢに送るよう
になっている。

操作ユニットＢは、上記可撓導管19が回収器入口弁14を
介して回収器15に接続されており、この回収器15からの
導管33は３方弁16、可撓導管32、ボール圧入弁31を経て
熱交換器１の上流の冷却水入口管２に接続されている。

上記の回収器15は、本例においては縦型筒状の容器本体
と、この容器本体の上部を開閉可能とする蓋と、容器本
体の内部底に収納される網篭とからなっていて、容器本
体の中間部に上記導管19及び導管33が接続されている。
また容器本体の底部からは上記３方弁16に至るバイパス
管路22が接続されていて、３方弁16の切換えにより導管
19−回収器15−導管33を介して直接導管32に搬送水流を
通水させるか、又はバイパス管路22を介して搬送水流を
通水をさせるかが選択できるようになっている。なおバ
イパス管路22は、スポンジボールが流れることがないの
で十分に細い径のものとすることができる。

なお21はバイパス管路途中に介設された逆止弁であり、
３方弁16をバイパス管路22側に切換えた状態で洗浄を終
了し、循環ポンプ13を停止させたまま捕集器出口弁11及
びボール圧入弁31の閉路が行なわれなかった場合に生ず
る不具合、すなわち冷却水入口管２から出口管３に冷却
水が流れることで循環管路側に作用する負圧でボールが
網篭から捕集器10側に移動してしまう不具合を防止する
ように機能する。

17は導管32の途中に介設されたサイトグラスであり管路
内をスポンジボールが通過することを目視で確認できる
ようになっている。

次ぎに以上の構成をなす洗浄装置の動作について説明す
る。

図面に示したシステムにおいて、通常は、ボール圧入弁
31及び捕集器出口弁11を遮断した状態で、冷却水が冷却
水入口管２から冷却水出口管３に流され、熱交換が行な
われる。なおこの際は、捕集器の格子板10aは冷却水の
流れに対して並行にされている。

次ぎに熱交換器１の洗浄を行なうために、ボール圧入弁
31及び捕集器出口弁11を開路し、また捕集器の格子板10
aを図示の如くに傾動姿勢にさせる。また３方弁16は、
循環導管19,32に通水が行なわれる位置にしておく。

この状態でモータ30を駆動し、ポンプ13によって捕集器
10から冷却水の一部を搬送水流として導管19から回収器
15を通し、更に導管32通して熱交換器上流の冷却水入口
管２に流す。そしてこの際、回収器15の網篭内にスポン
ジボールを所定数入れておけば、搬送水流と共にスポン
ジボールが導管32から冷却水入口管２に圧入され、熱交
換器の伝熱管内部を通って目的とする付着物の除去が行
なわれる。

熱交換器１を通り過ぎたスポンジボールは、捕集器10の
格子板10aで冷却水出口管３方向に流れることは規制さ
れ、捕集器出口弁11を通ってポンプ13に至り導管19を通
して循環される。したがってこの状態ではスポンジボー
ルは搬送水流にのって連続的に洗浄装置と熱交換器の間
を流れ、迅速且つ効率の良い洗浄が実現できる。なお回
収器15の網篭に収納させておいたスポンジボールを搬送
水流にのせるため、あるいは循環中のスポンジボールが
同網篭に落ちて滞留することを防ぐために、回収器15に
は容器内で乱流を起こさせるようにしておくことが好ま
しく、例えば容器本体内に搬送水流に対する邪魔板を設
けたり、容器本体に接続される導管19,33の位置をずら
せて接続することで上記乱流を与えることができる。

洗浄終了後は、３方弁16をバイパス側に接続する位置に
切換え、搬送水流が、導管19−回収器15−バイパス管路
22−３方弁16と流れるようにする。これにより搬送水流
にのって流れているスポンジボールは回収器の網篭にた
まり、他方通水は上記経路で熱交換器との間に流れるこ
とになる。したがって熱交換器に圧入されたスポンジボ
ールはすべて自然に網篭内に貯留されることになり、こ
の操作を所定時間継続させた後ポンプ13を止め、ボール
圧入弁31及び捕集器出口弁11の双方を遮断した後、回収
器15の蓋を開くことでスポンジボールを外に取り出した
り、交換、補充を容易に行なうことができる。

（発明の効果） 以上述べたように、本発明よりなる管式熱交換器用の洗
浄装置は、基本構造を、一つの循環管路とこれにバイパ
ス接続されたバイパス管路とを組合わせた管路構造をそ
の基本構造とするものであり、これらの管路中の搬送水
流を切換えることだけでスポンジボールを熱交換器に連
続的に流すことができるため、連続洗浄により洗浄時間
の短縮が実現されるという効果がある。またスポンジボ
ールを連続的に流すために洗浄効率が向上し、洗浄体の
数を低減することができるという効果もある。

また管路以外の部分をユニット化して、装置全体の小型
化を実現できるという効果もある他、ユニット化により
装置を構成する材料に合成樹脂等を用いて例えば射出成
形品とすることも出来るため、軽量化や耐錆性、難錆性
が向上し、使用できる冷却水の制限が緩和されるという
効果もあり、またバイパス管路にはスポンジボールが流
れないので十分に細い径のものを用いてこれを構成する
ことができ、更に又、このバイパス管路に逆止弁を設け
たことによって、洗浄終了後におけるスポンジボールが
網籠から浮遊して捕集器に移動するような不具合も確実
に防ぐことができるという効果が得られる。

更に、スポンジボールの回収が容易かつ確実にでき、保
守、点検も容易となる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明よりなる管式熱交換器用の洗浄装置の構
成概要−例をフローで示した図である。 １……管式熱交換器、２……冷却水入口管 ３……冷却水出口管、10……捕集器 11……捕集器出口弁、13……循環ポンプ 15……回収器、16……３方弁 19,32,33……導管、31……ボール圧入弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大沢 忠義 千葉県柏市十余二348 昭和ゴム株式会社 柏工場内 (72)発明者 佐々木 卓也 神奈川県横須賀市船越町１丁目284番地の ５ 日立機械エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 柳原 誠 神奈川県横須賀市船越町１丁目284番地の ５ 日立機械エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−40497（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】管式熱交換器の管内洗浄用の洗浄体である
   スポンジボールを熱交換器上流の通水管路に導入する導
   入管と、熱交換器を通ったスポンジボールを熱交換器下
   流の通水管路から取出す取出管とにより、弁の開閉切換
   えで上記管式熱交換器との間で通水・遮断が可能に接続
   された洗浄装置であって、 この洗浄装置は、上記取出管から導入管に渡り接続され
   た循環管路と、この循環管路に対しバイパス接続された
   バイパス管路と、これらの管路に上記スポンジボールの
   搬送水流を流す手段と、上記バイパス管路の循環管路か
   らの分岐部に設けられてバイパス管路への搬送水流の通
   水は許容するが搬送水流中のスポンジボールは堰止める
   洗浄体回収手段と、上記バイパス管路が循環管路に合流
   する部分に設けられて搬送水流の流れを上記循環管路と
   バイパス管路のいずれかを選択して切換える３方弁と、
   バイパス管路の途中に設けられた逆流防止用の一方向弁
   とを備えていることを特徴とする管式熱交換器用の洗浄
   装置。