JPH07308338A - 温度調節衣服 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷却パネルと人体との接触面積の増大を図る
ことにより、冷却効率を向上させる。 【構成】 冷却水Ｗが供給される多数の冷却パネル１に
より衣服の一部を構成してなる温度調節衣服において、
前記各冷却パネル１を、人体面Ｍに接触し且つ冷却水供
給時においても変形しない内面シート２と、該内面シー
ト２の外面に接着されて前記内面シート２との間に前記
冷却水Ｗが供給される冷却水通路４を形成する外面シー
ト３とによって構成している

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、冷却水が供給される
多数の冷却パネルにより衣服の一部を構成したものであ
って、人体の冷却を目的とする温度調節衣服に関し、さ
らに詳しくはこのような温度調節衣服における冷却パネ
ルの構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、原子力施設などで作業する作業
者は、一般に放射線防護用のシール性の高い作業衣を着
用する関係で、非常に暑く発汗度も高い。そこで、冷却
水が供給される多数の冷却パネルにより防護用衣服の一
部を構成することにより、人体を冷却する温度調節衣服
が提案されている(例えば、特開昭６２ー２２７３５３
号公報参照)。

【０００３】該公知例の温度調節衣服の場合、図８ない
し図１０に示すように、２枚の軟塩化ビニールシート
２,３を融着して内部に冷却水の通路４を形成するよう
に仕切り部１１を設けてなる矩形状の多数の冷却パネル
１によって衣服の一部を構成している。なお、この場
合、冷却パネル１内の冷却水通路４は、冷却パネル１の
一方の角隅部に設けられた入口５から供給された冷却水
Ｗが平行に形成された複数の分岐路４a,４a・・に分か
れた後集合せしめられて冷却パネル１において入口５の
対角位置に設けられた出口６から流出するように構成さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公知例
の場合、冷却パネル１に冷却水Ｗを供給した場合、図１
０に示すように、冷却水通路４を構成する内外シート
２,３が内外両方向に膨出するため、人体Ｍとの接触面
積が小さくなり、冷却効率が悪くなるという不具合があ
る。

【０００５】また、冷却水通路４が、平行な分岐路４a,
４a・・によって構成されているため、分岐路４a,４a・
・間に偏流が生ずるおそれがある。

【０００６】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、冷却パネルと人体との接触面積の増大を図ること
により、冷却効率を向上させることを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願発明の基本構成は、
冷却水が供給される多数の冷却パネルにより衣服の一部
を構成してなる温度調節衣服において、前記各冷却パネ
ルを、人体面に接触し且つ冷却水供給時においても変形
しない内面シートと、該内面シートの外面に接着されて
前記内面シートとの間に前記冷却水が供給される冷却水
通路を形成する外面シートとによって構成したことを特
徴としている。

【０００８】本願発明の基本構成において、前記冷却水
通路を、入口側から出口側に向かう一連の蛇行通路とす
るのが好ましく、前記冷却水通路の入口および出口を、
前記冷却水パネルの相対向する二辺の中央部に設けるの
がさらに好ましい。

【０００９】

【作用】本願発明の基本構成では、冷却パネルにおける
冷却水通路に冷却水を供給すると、人体に接触する内面
シートは変形せず、外面シートにより冷却水通路が確保
されるため、冷却パネルと人体との接触面積が可及的に
増大することとなる。従って、冷却水による冷却効率が
大幅に向上する。

【００１０】また、前記冷却水通路を、入口側から出口
側に向かう一連の蛇行通路とした場合、流量の少ないポ
ンプで冷却水の供給ができるとともに、冷却水が入口側
から出口側へ流れるに際して、従来例におけるように分
岐・合流することがないので、偏流による冷却効率の低
下が防止できる。

【００１１】さらに、前記冷却水通路の入口および出口
を、前記冷却水パネルの相対向する二辺の中央部に設け
た場合、多数の冷却パネルを衣服の一部として用いる際
の冷却パネル相互の連結チューブの位置関係が簡素化さ
れる。

【００１２】

【発明の効果】本願発明の基本構成によれば、冷却水が
供給される多数の冷却パネルにより衣服の一部を構成し
てなる温度調節衣服において、前記各冷却パネルを、人
体面に接触し且つ冷却水供給時においても変形しない内
面シートと、該内面シートの外面に接着されて前記内面
シートとの間に前記冷却水が供給される冷却水通路を形
成する外面シートとによって構成して、冷却水供給時
に、人体に接触する内面シートは変形せず、外面シート
により冷却水通路が確保されるようにしたので、冷却パ
ネルと人体との接触面積が可及的に増大することとな
り、冷却水による冷却効率が大幅に向上し、作業者にと
って快適なものとなるという優れた効果がある。

【００１３】また、前記冷却水通路を、入口側から出口
側に向かう一連の蛇行通路とした場合、流量の少ないポ
ンプで冷却水が供給できるとともに、冷却水が入口側か
ら出口側へ流れるに際して、従来例におけるように分岐
・合流することがないので、偏流による冷却効率の低下
が防止でき、作業者にとってより快適なものとなるとい
う効果が得られる。

【００１４】さらに、前記冷却水通路の入口および出口
を、前記冷却水パネルの相対向する二辺の中央部に設け
た場合、多数の冷却パネルを衣服の一部として用いる際
の冷却パネル相互の構成を簡略化することができるとい
う効果が得られる。

【００１５】

【実施例】以下、添付の図面を参照して、本願発明の好
適な実施例を説明する。

【００１６】図１および図２には、本実施例の温度調節
衣服に用いられる冷却パネル１の構成が示されている。

【００１７】この冷却パネル１は、矩形状パネルとされ
ており、人体面Ｍに接触し且つ冷却水Ｗの供給時におい
ても変形しない内面シート２と、該内面シート２の外面
に接着されて前記内面シート２との間に前記冷却水Ｗが
供給される冷却水通路４を形成する外面シート３とによ
って構成されている。本実施例の場合、内外面シート
２,３はともに塩化ビニールシートによって構成されて
いる。

【００１８】前記冷却パネル１は、相対向する二辺１a,
１bの中央部に冷却水の入口５および出口６を有してお
り、該入口５および出口６には、後述する連結チューブ
７を接続するためのジョイントパイプ８,９が接続され
ている。この入口５および出口６は、内外面シート２,
３の外周部を熱融着して形成された外周隔壁１０におけ
る相対向する二辺１０a,１０bの中央部に形成される。

【００１９】そして、前記冷却水通路４は、前記外周隔
壁１０において入口５および出口６が形成されていない
二辺１０c,１０dに１本おきに交互に接続する通路隔壁
１１,１２により構成された蛇行通路とされている。該
通路隔壁１１,１２も内外面シート２,３を熱融着するこ
とにより形成される。

【００２０】そして、前記外面シート３は、内面シート
２への熱融着時において冷却水通路４部分が立体的に膨
出した形状とされている。つまり、本実施例の場合、冷
却水通路４は、冷却水Ｗの流通時・非流通時において通
路形状が確保されることとなっているのである。

【００２１】上記のような冷却水通路４を形成するに
は、図３に示すように、内面シート２上に外面シート３
を熱融着するに当たって、外面シート３の端部に所定巾
の襞１３をとり且つ該襞１３の両側および内外面シート
２,３の外周部を熱融着して通路隔壁１１,１２を形成す
るようにする。このようにすれば、立体的に膨出した形
状の冷却水通路４が容易に得られるのである。

【００２２】なお、前記内外面シート２,３としては、
本実施例の塩化ビニールシートの他に、薄くて屈曲性が
あり、熱伝導性に選れ且つある程度の強度を有し、しか
も相互に固着可能なシート材であれば、メタルシート等
も使用可能である。この場合、両シート２,３の接合は
接着あるいは溶接等による。

【００２３】本実施例の冷却パネル１,１・・は、図４
ないし図６に示すように、上着Ｃの前面内側、上着Ｃの
背面内側およびズボンＳの内側に付設して用いられる
が、この際、内面シート２を人体面側とし、冷却パネル
１,１・・は、連結チューブ７を介して所定個数直列に
接続される。即ち、上着Ｃの前面においては上下に４個
の冷却パネル１,１・・がそれぞれ直列に接続され、上
着Ｃの背面においては上下に４個の冷却パネル１,１・
・がそれぞれ直列に接続され、ズボンＳにおいては左右
の大たい部に２個の冷却パネル１,１がそれぞれ直列に
接続されている。そして、前記連結チューブ７における
入口側７aと出口側７bは、ジョイント１４を介して後述
する冷却水生成装置１５における冷却水循環回路１６の
出口側配管１６aおよび入口側配管１６bにそれぞれ接続
されている。このことにより、冷却パネル１,１・・、
連結チューブ７、後述する水タンク１７およびポンプ１
８を含む閉鎖状の冷却水循環回路１６が構成される。

【００２４】前記冷却水生成装置１５は、図７に示すよ
うに、密閉状の水タンク１７およびポンプ１８を有する
冷却水循環回路１６と、圧縮機２０、凝縮器２１、減圧
機構として作用するキャピラリチューブ２２、前記水タ
ンク１７内に浸漬された蒸発器２３およびアキュムレー
タ２４を冷媒配管２５により順次接続してなる冷凍装置
１９とを備えて構成されている。符号２６は凝縮器２１
を冷却するための冷却ファン、２７は前記ポンプ１８、
圧縮機２０、冷却ファン２６の運転制御を行う制御基
板、２８はバッテリー、２９はスイッチ、３０は作業者
が操作するリモコンである。

【００２５】上記構成において、冷凍装置１９およびポ
ンプ１８の運転により、温度調節衣服に付設された冷却
パネル１,１・・から水タンク１７内へ還流した使用済
みの(即ち、温度が高くなった)冷却水Ｗが蒸発器２３に
よって所望の温度に冷却されて冷却パネル１,１・・に
供給され、人体冷却用に供されることとなる。

【００２６】この際、図２に示すように、各冷却パネル
１における内面シート２は、冷却水Ｗの供給によっても
変形することなく平面形状を維持されているので、人体
面Ｍと全面接触することとなり、接触面積の可及的増大
が得られる。従って、冷却水による冷却効率が大幅に向
上し、作業者にとって快適なものとなる。

【００２７】しかも、本実施例の場合、冷却水通路４
を、入口５側から出口６側に向かう一連の蛇行通路とし
ているため、流量の少ないポンプで冷却水Ｗが供給でき
るとともに、冷却水Ｗが入口５側から出口６側へ流れる
に際して、従来例におけるように分岐・合流することが
なくなり、偏流による冷却効率の低下が防止でき、作業
者にとってより快適なものとなる。

【００２８】さらに、前記冷却水通路４の入口５および
出口６を、前記冷却水パネル１の相対向する二辺１a,１
bの中央部に設けているため、多数の冷却パネル１,１・
・を衣服の一部として用いる際の冷却パネル１,１・・
相互の構成を簡略化することができる。

【００２９】なお、本実施例においては、内外面シート
を同一材質(即ち、両方とも塩化ビニールシート)として
いるが、内面シートとして変形しにくい材料からなるシ
ートを用い、外面シートとして変形し易い材料からなる
シートを用いてもよい。

【００３０】本願発明は、上記実施例の構成に限定され
るものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において
適宜設計変更可能なことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服に用い
られる冷却パネルの横断平面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ拡大断面図である。

【図３】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服に用い
られる冷却パネルの端部における熱融着状態を示す斜視
図である。

【図４】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服におけ
る上着の前面内側に冷却パネルを付設した状態を示す正
面図である。

【図５】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服におけ
る上着の背面内側に冷却パネルを付設した状態を示す正
面図である。

【図６】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服におけ
るズボンの内側に冷却パネルを付設した状態を示す正面
図である。

【図７】本願発明の実施例にかかる温度調節衣服へ供給
される冷却水を生成する冷却水生成装置の概略構成図で
ある。

【図８】従来の温度調節衣服の正面図である。

【図９】従来の温度調節衣服に用いられる冷却パネルの
横断平面図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘ断面図である。

【符号の説明】

１は冷却パネル、２は内面シート、３は外面シート、４
は冷却水通路、５は入口、６は出口、７は連結チュー
ブ、１０は外周隔壁、１１,１２は通路隔壁、Ｗは冷却
水。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷却水が供給される多数の冷却パネルに
   より衣服の一部を構成してなる温度調節衣服であって、
   前記各冷却パネルを、人体面に接触し且つ冷却水供給時
   においても変形しない内面シートと、該内面シートの外
   面に接着されて前記内面シートとの間に前記冷却水が供
   給される冷却水通路を形成する外面シートとによって構
   成したことを特徴とする温度調節衣服。
2. 【請求項２】 前記冷却水通路を、入口側から出口側に
   向かう一連の蛇行通路としたことを特徴とする前記請求
   項１記載の温度調節衣服。
3. 【請求項３】 前記冷却水通路の入口および出口を、前
   記冷却水パネルの相対向する二辺の中央部に設けたこと
   を特徴とする前記請求項２記載の温度調節衣服。