JPH07301499A - 圧電式の着発信管を備えたタンデム型弾頭 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 起爆が無接触に、しかも絶対的に信頼性良く
行なわれ、装薬を起爆させるために、独立の構成ユニッ
トとして別個に装薬の背後に、相互の電気的な接続なく
配置されている２つの完全に同一な信管が使用され、さ
らに主装薬の爆発が所要の遅延時間後に行なわれるよう
にする。 【構成】 前置装薬１の信管３も、衝撃波によって作動
可能である圧電式の着発信管から成っており、衝撃波の
伝搬時間が前記主装薬２の所望の遅延を生ぜしめるよう
にケーシング５の構造と、両信管３，４の配置と、ケー
シング５の材料組成とが選択されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タンデム型弾頭であっ
て、該タンデム型弾頭のケーシング内に、前置装薬と、
空間的に該前置装薬の背後に配置された主装薬とが配置
されており、前記前置装薬と前記主装薬とが、それぞれ
１つの信管を備えており、しかも前記前置装薬が前記主
装薬よりも前に起爆されるようになっており、前記主装
薬の信管が、衝撃波によって作動可能である圧電式の着
発信管から成っている形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】タンデム型弾頭は、主として目標、たと
えばいわゆるＥＲＡボックス（爆発反応装甲ボックス）
を備えているような戦車を制圧するために使用される。
ＥＲＡボックスとは爆発性の物体であって、弾体の命中
時に爆発して、この弾体の効果を最小限に抑えるという
役目を持っている。

【０００３】ドイツ連邦共和国特許出願公開第４１３０
６４６号明細書に基づき公知のタンデム型弾頭、たとえ
ば対戦車ロケット弾は、前置装薬と、この前置装薬に空
間的に後置された主装薬とから成っている。前置装薬は
主装薬よりも前に起爆されて、当該目標に前損害を与え
るので、時間的に遅延された主装薬が充分に有効とな
る。主装薬の起爆は前置装薬によって無接触式に、しか
も前置装薬の爆轟によって生ぜしめられる光線によって
行なわれる。このためには、主装薬の信管の電流回路に
フォトダイオードが配置されている。このフォトダイオ
ードは前置装薬の爆発直後に応答するようになってい
る。

【０００４】当該目標に最大損害を与えるためには、前
置装薬の爆発後の、正確に規定された時点後に主装薬が
起爆されなければならない。このことは、上記ドイツ連
邦共和国特許出願公開第４１３０６４６号明細書の記載
によれば、遅延素子によって達成される。この遅延素子
は主装薬の信管の電流回路に配置されている。

【０００５】ドイツ連邦共和国特許出願公開第３９４２
８４１号明細書には、冒頭で述べた形式のタンデム型弾
頭が開示されている。主装薬は圧電式の着発信管を有し
ている。この圧電式の着発信管は主として、起爆電圧を
発生させるための電気的な変換器（着発センサ）と、起
爆装置とを有している。起爆装置用の起爆電圧は、目標
への弾着時に着発センサに衝撃波が衝突すると発生す
る。センサとしては、圧電素子が使用される。したがっ
て、主装薬の起爆は無接触式に行なわれる。

【０００６】圧電式の着発信管の機能形式は、たとえば
ドイツ連邦共和国特許第１１４５５２２号明細書または
米国特許第２８９４４５７号明細書に記載されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭
で述べた形式のタンデム型弾頭を改良して、起爆が無接
触に、しかも絶対的に信頼性良く行なわれ、装薬を起爆
させるために、独立の構成ユニットとして別個に装薬の
背後に、相互の電気的な接続なく配置されている２つの
完全に同一な信管が使用され、さらに主装薬の爆発が所
要の遅延時間後に行なわれるようなタンデム型弾頭を提
供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、前記前置装薬の信管も、衝撃波に
よって作動可能である圧電式の着発信管から成ってお
り、衝撃波の伝搬時間が前記主装薬の所望の遅延を生ぜ
しめるようにケーシングの構造と、前記両信管の配置
と、ケーシングの材料組成とが選択されているようにし
た。

【０００９】

【発明の効果】本発明によれば、前置装薬に対しても、
主装薬に対しても圧電式の着発信管が使用されることに
基づき、起爆目的では、機械的に可動な構成部分が使用
されない。さらに、２つの全く同一の信管が組み込まれ
る。これによって、起爆装置は一層確実にかつ簡単に、
ひいては一層廉価に製造することができる。なぜなら
ば、新たな官庁許認可手続きが必要にならないからであ
る。圧電式の着発信管は、その高い信頼性により優れて
いる。主装薬を起爆させるまでの衝撃波の伝搬時間、ひ
いては所望の遅延は、ケーシングの構造と、信管の配置
形式と、ケーシングの材料組成とによって規定すること
ができる。

【００１０】前置装薬は所属の信管と共に、ケーシング
から飛翔方向で伸長可能なスペーサに配置されていると
有利である。この場合、スペーサは互いに内外に嵌合可
能な２つのセグメントから成っている。前置装薬は飛翔
方向で見て前方のセグメントに配置されている。両セグ
メントは弾頭のケーシング内に差込み可能である。

【００１１】本発明の有利な構成では、両装薬、つまり
前置装薬と主装薬とが成型炸薬であり、この場合、本発
明によるタンデム型弾頭は対戦車ロケット弾として使用
されると有利である。

【００１２】前記信管は両方共、たとえばドイツ連邦共
和国特許第１１４５５２２号明細書または米国特許第２
８９４４５７号明細書に記載されているような、圧電式
の着発信管である。圧電式の着発信管は主として着発セ
ンサを有しており、この着発センサは衝撃波の衝突時に
起爆装置に起爆電圧を印加する。この起爆装置は引き続
き、周知のように一次装薬を爆発させる。この一次装薬
によって、主装薬または二次装薬が起爆される。前記起
爆装置には、遅延装薬が配置されていてもよい。

【００１３】前記スペーサが前方のキャップを有してい
て、このキャップが、パルス減衰器を備えていると有利
である。これによって、信管はあまり敏感に反応しなく
なる。

【００１４】実験により、目標へのタンデム型弾頭の弾
着によって形成された第１の衝撃波は前置装薬に設けら
れた圧電式の着発信管もしくはこの着発信管に内蔵され
た圧電素子において、５００Ｖをはるかに上回る電圧を
生ぜしめることが判った。この電圧は、前置装薬の起爆
装置によって必要とされる電圧よりもはるかに高いの
で、前置装薬は常時、確実にかつ信頼性良く起爆され
る。

【００１５】同じ第１の衝撃波はその直後に主装薬の着
発信管に到達する。タンデム型弾頭が目標にほぼ直角に
命中した場合、衝撃波は充分に強力となるので、主装薬
に所属の着発信管に設けられた圧電素子に生ぜしめられ
た電圧は、所属の起爆装置を起爆させるために充分とな
る。しかし、タンデム型弾頭が目標に鋭角で命中した場
合には、弾着に起因する衝撃波の強さが、しばしば不十
分となり、したがって、主装薬の着発信管に設けられた
圧電素子において、起爆装置のために充分な電圧が形成
されなくなってしまう。

【００１６】このようにして主装薬の着発信管に設けら
れた圧電素子において、起爆装置のために充分な電圧を
形成することは、本発明の構成では全く不要となる。な
ぜならば、本発明の構成では、弾着の直後に前置装薬が
爆轟し、この爆轟が、主装薬の信管の方向に伝播する第
２の固有衝撃波を生ぜしめるからである。この第２の衝
撃波は極めて強力であるので、目標への弾体の弾着角が
極端に小さな場合でも、主装薬の着発信管に設けられた
圧電素子に形成された電圧は充分に大きな値をとる。し
たがって、主装薬は常に確実に起爆される訳である。

【００１７】ＥＲＡボックスに向けて発射される場合、
このＥＲＡボックスは前置装薬によって貫徹されるの
で、主装薬の噴流はＥＲＡボックスに前置装薬によって
形成された穴をほとんど支障なく通って流れることがで
きる。

【００１８】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく
説明する。

【００１９】図１に示したタンデム型弾頭は、ケーシン
グ５に配置された主装薬２を備えている。この主装薬２
は成型炸薬として形成されていて、銅から成る挿入体７
を有している。起爆のためには、楔状に先細りになって
いる前記ケーシング５の後端部に、圧電式の着発信管４
が配置されている。この着発信管４と主装薬２との間に
は、一次装薬８と不活性体９とが、爆轟波ガイドとして
配置されている。

【００２０】ケーシング５は飛翔方向で見て主装薬２の
前方で先細りになって、環状の開口を形成している。こ
の開口はスペーサガイド１０として形成されている。こ
のスペーサガイド１０には、スペーサ６が案内されてい
る。このスペーサ６は２つのセグメント６ａ，６ｂから
成っている。セグメント６ａはスペーサガイド１０に移
動可能に支承されている。スペーサ６の寸法は、自由空
間１１で挿入体７に沿って成型炸薬のスパイクが形成さ
れ得るように設定されている。スペーサ６のセグメント
６ａはねじ山１２を介して、引き出された状態で位置固
定可能である。セグメント６ａには、セグメント６ｂが
案内されており、このセグメント６ｂには、前置装薬１
が所属の信管３と共に配置されている。前置装薬１のた
めの一次装薬は符号１３で示されている。セグメント６
ｂはスペーサ６のセグメント６ａに差込み可能であっ
て、セグメント６ａ寄りの端部に位置固定のためのねじ
山１４を備えている。スペーサ６のセグメント６ｂの先
端部には、半球形のキャップ１５が装着されている。た
とえば樹木を擦過した際などに起爆が過敏に反応しない
ようにするために、キャップ１５はパルス減衰器（図示
しない）を備えていると有利である。前置装薬１には、
成型炸薬の場合に通常行なわれているように、挿入体１
６が装着されている。

【００２１】信管３と着発信管４は、圧電式の着発信管
である。衝撃波の伝搬時間は距離や、ケーシング５の材
料組成や構造に大きく関連しているので、遅延時間に影
響を与えるこれらの量は、遅延時間が所望の範囲内とな
るように設定されていなければならない。比較的長い遅
延時間が必要とされる場合には、主装薬の起爆装置に遅
延装薬もしくはデイレイエレメントを組み込むことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるタンデム型弾頭の断面図である。

【符号の説明】

１ 前置装薬、 ２ 主装薬、 ３ 信管、 ４ 着発
信管、 ５ ケーシング、 ６ スペーサ、 ６ａ，６
ｂ セグメント、 ７ 挿入体、 ８ 一次装薬、 ９
不活性体、 １０ スペーサガイド、 １１ 空隙、
１２ ねじ山、 １３ 一次装薬、 １４ ねじ山、
１５ キャップ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンデム型弾頭であって、該タンデム型
   弾頭のケーシング（５）内に、前置装薬（１）と、空間
   的に該前置装薬（１）の背後に配置された主装薬（２）
   とが配置されており、前記前置装薬（１）と前記主装薬
   （２）とが、それぞれ１つの信管（３；４）を備えてお
   り、しかも前記前置装薬（１）が前記主装薬（２）より
   も前に起爆されるようになっており、前記主装薬（２）
   の信管（４）が、衝撃波によって作動可能である圧電式
   の着発信管から成っている形式のものにおいて、前記前
   置装薬（１）の信管（３）も、衝撃波によって作動可能
   である圧電式の着発信管から成っており、衝撃波の伝搬
   時間が前記主装薬（２）の所望の遅延を生ぜしめるよう
   にケーシング（５）の構造と、前記両信管（３，４）の
   配置と、ケーシング（５）の材料組成とが選択されてい
   ることを特徴とする、圧電式の着発信管を備えたタンデ
   ム型弾頭。
2. 【請求項２】 前記前置装薬（１）が所属の信管（３）
   と共に、ケーシング（５）から飛翔方向で伸長可能なス
   ペーサ（６）に配置されている、請求項１記載のタンデ
   ム型弾頭。
3. 【請求項３】 前記スペーサ（６）が、互いに内外に嵌
   合可能な２つのセグメント（６ａ，６ｂ）から成ってい
   る、請求項１または２記載のタンデム型弾頭。
4. 【請求項４】 前記前置装薬（１）と前記主装薬（２）
   とが成型炸薬である、請求項１から３までのいずれか１
   項記載のタンデム型弾頭。
5. 【請求項５】 前記タンデム型弾頭が対戦車ロケット弾
   である、請求項１から４までのいずれか１項記載のタン
   デム型弾頭。
6. 【請求項６】 前記スペーサ（６）が、前方のキャップ
   （１５）を備えており、該キャップ（１５）が、パルス
   減衰器を備えている、請求項２から５までのいずれか１
   項記載のタンデム型弾頭。