JPH07300615A - Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法 - Google Patents

Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法

Info

Publication number
JPH07300615A
JPH07300615A JP9013394A JP9013394A JPH07300615A JP H07300615 A JPH07300615 A JP H07300615A JP 9013394 A JP9013394 A JP 9013394A JP 9013394 A JP9013394 A JP 9013394A JP H07300615 A JPH07300615 A JP H07300615A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
gas
circulating gas
immersion pipe
circulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9013394A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Okamoto
浩志 岡本
Nobumoto Takashiba
信元 高柴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP9013394A priority Critical patent/JPH07300615A/ja
Publication of JPH07300615A publication Critical patent/JPH07300615A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 RH式真空脱ガス装置を用いて溶鋼を脱硫す
る際に、溶鋼に添加する脱硫フラックスの捕捉率を向上
して脱硫効率を高くする。 【構成】 上昇側の大径浸漬管3Aに上下2段の環流ガ
ス吹込み口4A、4Bを設け、下段側の吹込み口4Bに
供給する環流ガスの圧力を上段側の環流ガス吹込み口に
供給する環流ガスの圧力より高く設定することにより浸
漬管3A内を上昇する溶鋼中に吹込まれる環流ガスの水
平到達距離を調節して環流ガスの気泡を中央部まで均等
に分布させる。環流ガスをキャリアガスとして吹込まれ
る脱硫フラックスを溶鋼中に均等に分散させて脱硫反応
を促進する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶鋼の2次精錬とりわけ
RH真空脱ガス装置を用いて極低硫鋼まで溶鋼を脱硫す
るのに好適な溶鋼の脱硫方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材の高級化ならびにその需要の増加に
伴い真空脱ガス処理を要する鋼種、量は増加する傾向に
あり、その処理に要する時間を短縮して脱ガス処理能力
の向上および転炉温度低下による鉄鋼製造コスト低減が
強く望まれる状況にある。そこで真空脱ガス処理を行う
に際し,RH式真空脱ガス装置が用いられている。
【0003】このRH式真空脱ガス装置は、図8に示す
ように一対の上昇側の浸漬管Aおよび下降側の浸漬管B
を有し、この浸漬管A、Bを取鍋C内の溶鋼Dに浸漬
し、脱ガス槽E内を、排気口Gから図示しない減圧装置
により排気して減圧することにより溶鋼Dを吸い上げ
る。そしてガス吹込み口Fを備えた上昇側の浸漬管A
に、該ガス吹込み口Fより環流ガス(Arガス等の不活性
ガスを使用)を吹込むことにより、そのガス浮上力を利
用して溶鋼Dを上昇させ脱ガス槽Eに導き、下降側の浸
漬管Bより下降させて溶鋼Dを循環、脱ガス処理するも
のである。
【0004】ところで鋼材の材料特性の向上を目的とし
て低硫鋼、とくに鋼中硫黄濃度が10ppm 程度以下の極低
硫鋼に対する需要が増大しており、そのため工業的に低
コストで極低硫濃度まで溶鋼を脱硫すると共に、窒素濃
度、水素濃度が低い溶鋼を得ることができる技術の開発
が強く要請されている。このような要請にこたえる方法
の一つとして特開平3−274219号公報にはRH式真空脱
ガス装置において、図9に示すように、溶鋼Dを取鍋C
と脱ガス槽Eとの間に環流させるときに、脱ガス槽Eの
上方から挿入した上吹きランスHから精錬用粉体(以下
フラックスと称す)を脱ガス槽E内の溶鋼上にキャリア
ガスと共に吹込む方法が開示されている。なお、脱ガス
槽内にフラックスを自重落下により添加する方法も知ら
れているが、この方法は排気系に吸収される恐れのない
直径の大きいフラックスを使用しなければならないため
脱硫フラックスの反応効率が低いという欠点がある。
【0005】このようなRH式真空脱ガス装置を用いる
溶鋼の精錬反応のうち、特に溶鋼の脱硫反応の場合につ
いて説明すると、脱硫反応はトランジトリー(移動)反
応が主体であるので、脱硫処理中の溶鋼硫黄濃度〔S〕
は、次式で表すことができる。 〔S〕=〔S〕i ×exp(−K・t) …(1) ここで、〔S〕i :溶鋼の初期硫黄濃度 K:反応速度係数 t:処理時間 また反応速度係数Kは次式で表される。
【0006】 K=a×k/V …(2) ここで、a:反応界面積 k:物質移動係数 V:溶鋼体積 RH式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫処理において
は、前記の式(1)および式(2)に示す反応式にした
がって進行する。したがって式(2)から脱硫反応効率
の向上には図7に示すように反応界面積aの増大、物質
移動係数kの増大および溶鋼体積Vの減少することが考
えられる。しかしながら溶鋼容積Vを減少してライトチ
ャージにすることは設備仕様が決まっている関係で生産
効率の低下を招くことになるので、この対策をとること
は事実上不可能である。
【0007】このため脱硫反応効率の向上対策として
は、図7に示すように反応界面積aの増大および物質移
動係数kの増大を検討することが必要となる。反応界面
積aの増大するためには、脱硫フラックスの溶鋼上への
捕捉率向上、吹込み速度の増加、フラックス粒径の適正
化および広範囲への分散が考えられる。また物質移動係
数kの増大には、界・液界面更新の促進が必要であり、
このためには溶鋼環流量の増大およびフラックスの低融
点が考えられる。
【0008】ところで脱硫フラックスの溶鋼への捕捉率
を向上させるために前記特開平3−274219号公報では、
図9に示すように脱ガス槽Eの上方から挿入した上吹き
ランスHからフラックスを吹込む方法を採用している。
しかしながら上吹きランス高さを低くしてもフラックス
の溶鋼面への到達速度の向上が十分に得られず、フラッ
クスの溶鋼への捕捉率が不十分であった。すなわち脱ガ
ス槽Eは排気口Gから槽内のガスを排気しているため上
吹きランスHから吹込んだフラックスが排気ガスの流れ
に乗り溶鋼面に到達する確率が低下する。このためフラ
ックス原単位が大きく、精錬時間が長くなるなどの不都
合があった。
【0009】またフラックスの溶鋼への捕捉率を向上す
るため特開昭61−59375 号公報には図10に示すように取
鍋Cと脱ガス槽Eとの間に溶鋼Dを環流させるため上昇
側の浸漬管Aに設けた環流ガス吹込み口Fから環流ガス
を吹込む一方、取鍋C内の溶鋼D中に浸漬ランスIを浸
漬し、上向きに開口する浸漬ランスIを浸漬管Aの下方
に臨ませる。そしてタンクJ内の脱硫フラックスをキャ
リアガス(Arガス)と共に供給して浸漬ランスIの上向
き開口から浸漬管A内を上昇する溶鋼D中に添加するも
のが開示されている。
【0010】この方法は、浸漬ランスIから溶鋼D中に
脱硫フラックスを直接添加するので、フラックスの溶鋼
への捕捉率を向上するのに効果があるが、溶鋼D中に浸
漬したランスIが高温になるため寿命が短く曲がりを生
じると浸漬管Aや下部槽と干渉して溶鋼D中に浸漬でき
なくなる等のトラブルを起こし易いという欠点がある。
またキャリアガスと共に吹込まれるフラックスが浸漬管
A内に入らず脱硫反応効率が低いなどにより管理が困難
であると言う問題点があった。
【0011】さらに特公昭45−22204 号公報には、図11
に示すように取鍋C中の溶鋼に2本の浸漬管A、Bを浸
漬し、上昇側の浸漬管Aに吹込まれる環流ガスによって
取鍋C内の溶鋼Dを脱ガス槽E内に運ぶに際し、環流ガ
ス導管Kから浸漬管Aに設けた環流ガス吹込み口Fに供
給される環流ガスにタンクJ内の脱硫フラックスを供給
し、これを環流ガスに懸濁させることによって浸漬管A
内を上昇する溶鋼中に添加するものが開示されている。
【0012】この方法は、環流ガス導管Kから浸漬管A
の環流ガス吹込み口Fに供給される環流ガスと共に脱硫
フラックスが溶鋼D中に直接添加されるので捕捉される
度合は上吹きランスを用いるものに比較して増大するこ
とになる。しかしながら図12に示すように環流ガス吹込
み口Fから浸漬管A内に吹込んだ環流ガスが中央部まで
拡散せず壁面に沿って上昇するのみである。このため環
流ガスと共に脱硫フラックスも浸漬管の壁面に沿って上
昇するのみとなり、フラックスと溶鋼との反応界面積が
少ないため順調な脱硫反応が期待しがたい。
【0013】図12に示す浸漬管A内の流速分布Mに示す
ように壁面近傍の流速が早く中心部では遅いので溶鋼の
攪拌力が不十分で1次反応である脱硫反応が遅いばかり
でなく壁面の耐火物損耗が著しくなるという欠点もあっ
た。一方、図7に示すように物質移動係数kを増大(固
・液界面の促進)するための環流量の増大には、脱ガス
槽内の真空度を向上するのが有効である。しかしながら
脱ガス槽の真空度を向上するには真空排気系の大改造が
必要となり、非常に大きな設備投資を要するのでこれを
採用するのは不利である。さらに固・液界面更新にはフ
ラックスを低融点することが有効であるが、低融点化す
るためにはフラックスが高価となり、フラックスコスト
が嵩むので得策でない。
【0014】ところで取鍋と脱ガス槽との間を環流する
溶鋼量の増大には上昇側の浸漬管に吹込む環流ガス量を
増大するのが有効であり、たとえば特開昭64−79317 号
公報には、図13に示すように上昇側の浸漬管Aの同一平
面上の内周面にほぼ等間隔で開口せしめた複数の環流ガ
スの吹込み口F1 、F2 を上下2段に設け、一方の下段
側の環流ガス吹込み口F2 に環流ガス供給管K2 から供
給する環流ガスの圧力を、環流ガス導管K1 から上段側
の環流ガス吹込み口F1 に供給する環流ガスの圧力より
高く設定する。
【0015】下段側の環流ガス吹込み口F2 に供給する
環流ガスの圧力が上段側の環流ガス吹込み口F1 に供給
する環流ガスの圧力より高いので、環流ガス吹込み口F
2 から浸漬管A内の溶鋼中に吹込まれる水平到達距離が
環流ガス吹込み口F2 から吹込まれる水平到達距離が大
きくなる。したがって上下2段の環流ガス吹込み口
1 、F2 からそれぞれ吹込まれる環流ガスの吹込み圧
力を個別に制御することにより、浸漬管Aの側壁部から
中央部までにわたり環流ガスの気泡を均等に吹込むこと
ができると共に、浸漬管A内に吹込む環流ガス量が増大
させることができ、これによって取鍋と脱ガス槽との間
を循環する溶鋼の環流量を増大するというものである。
しかしながらこの方法には、脱硫フラックス等の精錬用
粉体を添加する手段については示唆するところがない。
【0016】RH式真空脱ガス装置の反応効率を向上さ
せる方法としてたとえば特開平2 −247315号公報に円形
の内面を有する脱ガス槽において、その底部の径を大き
くして、脱ガス槽の溶鋼反応面積を広くするものが開示
されている。しかしながら脱ガス槽の内面が円形である
うえに底部の径を大きくしたことから槽内の溶鋼流速分
布が不均一化し、溶鋼のよどみ部分の面積も大きくな
り、かえって反応効率を低下させるという問題点があっ
た。
【0017】さらに日本鉄鋼協会発行「鉄と鋼」 '84−
s 977 p 255 (1984) には環流用ガスの大流量化と浸漬
管の断面積の拡大により反応速度を促進させる技術が開
示されている。そしてこの場合、とくに楕円タイプの浸
漬管を用いることにより、その断面積の拡大を図ってい
る。しかしながらこの開示例においても、前記した脱ガ
ス槽内の溶鋼のよどみに関して何ら示唆するところがな
く、反応の阻害要因を解消するものとはなっていない。
【0018】これに対して、特開平4 −272120号公報に
は、溶鋼処理中に溶鋼と接触する部位における下部槽の
横断面形状を長軸と短軸とからなる長円形状として拡大
することにより、下部の脱ガス槽と浸漬管との相対配置
が適切なものとして脱ガス槽内に溶鋼流によどみ部分を
なくした状態で環流することによって溶鋼の精錬反応速
度を増すというものがある。しかしながら、この方法に
おいてもフラックスを溶鋼中に反応効率よく添加する技
術については示唆するところがない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のRH
式脱ガス装置に関する従来技術のうち、下記の技術を利
用すると共に、これら技術に内在する欠点を克服するこ
とに着目してなされたものである。 (1)下部槽を長軸と短軸とからなる長円形状とするこ
とにより横断面積を拡大し、槽内を流れる溶鋼によどみ
部を生じることなく反応界面積を増大する(特開平4 −
272120号公報参照)。
【0020】(2)脱ガス槽の底部に大径浸漬管を装着
して溶鋼の環流量を増大する(鉄と鋼 '84 −s 977 p
255 参照)。 (3)浸漬管に設けた環流ガス吹込み口から吹込まれる
環流ガスと共に脱硫フラックスを添加する(特公昭45−
22204 号公報参照)。 (4)浸漬管に設けた上下2段の環流ガス吹込み口から
それぞれ吹込まれる環流ガスの高圧、低圧の圧力を調整
することにより環流ガスの気泡を浸漬管内の水平方向に
均一に分布させる(特開昭64−79317 号公報参照)。
【0021】本発明は前記従来技術の長所のみを組み合
わせたうえ、これを改善することによって図7に示す反
応界面積aの増大並びに物質移動係数kの増大を達成す
ることを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明は、溶鋼処理中に溶鋼と接触す
る部位における脱ガス槽の横断面形状を長軸と短軸とか
らなる長円形状として拡大すると共に、一方を上昇側と
し他方を下降側とする一対の大径浸漬管を前記長軸の方
向に配設して取鍋内の溶鋼中に浸漬したRH式真空脱ガ
ス装置を用いる溶鋼の脱硫方法において、前記上昇側の
大径浸漬管の同一平面上の内周面にほぼ等間隔で開口さ
せた複数の環流ガス吹込み口を上下に複数段設けて、下
段側の環流ガス吹込み口に供給する環流ガスの圧力を上
段側の環流ガス吹込み口に供給する環流ガスの圧力より
順次高く設定し、上下複数段の環流ガス吹込み口にそれ
ぞれ供給される環流ガスをキャリアガスとして脱硫フラ
ックスを搬送し、当該上下複数段の環流ガス吹込み口か
らそれぞれ上昇側の大径浸漬管内に脱硫フラックスと共
に吹込まれる環流ガスの圧力差により溶鋼中への水平到
達距離を調整することによって、脱硫フラックスと共に
吹込まれる環流ガスの気泡を中央部まで均等に分散させ
て添加することを特徴とするRH式真空脱ガス装置を用
いる溶鋼の脱硫方法である。
【0023】請求項2記載の本発明は、一対の大径浸漬
管の芯金の周りに設けた冷却通路に、気体に水滴を混合
した冷却媒体を供給して、前記大径浸漬管をフォグ冷却
するようにしたことを特徴とする請求項1記載のRH式
真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法である。
【0024】
【作用】本発明では、RH式真空脱ガス装置を用いる溶
鋼の処理中に図6(a)に示すように溶鋼と接触する部
位における脱ガス槽1の横断面形状を長軸と短軸とから
なる長円形として拡大すると共に取鍋2内に浸漬する浸
漬管3A、3Bの直径を大径とすることを前提条件とし
ている。なお3Aは上昇側を、3Bは下降側の大径浸漬
管を示している。
【0025】このようにすることによって図6(c)に
示すように脱ガス槽1を真円とすると共に浸漬管3A、
3Bの直径を通常径とする場合に比較してたとえばAlv
/Alを22.7%から35.3%に拡大できると共に、As/Alを
2.0 %に拡大することができる。ただしAl:取鍋面積、
Alv :下部槽面積、As:浸漬管面積を示す。また、図6
(b)に示すように脱ガス槽1の底部を長円形とすると
共に浸漬管3A、3Bを楕円形にして拡大すると、As/
Alを図6(c)の2.0 %から6.5 %に拡大することが可
能となり効果がより大きくなることはいうまでもない。
【0026】なお、図6において2’は取鍋2に対して
脱ガス槽1を相対的に短軸方向へずらして設定し取鍋2
内の溶鋼を測温サンプリングする場所2’を確保する場
合を示している。このように溶鋼の測温サンプリングす
る場所2’を確保するうえでも、本発明のように脱ガス
槽1の底部を長円形にするのが真円にする場合より好都
合である。
【0027】さらに本発明では上昇側の大径浸漬管の同
一平面上の円周面にほぼ等間隔で開口させた複数の環流
ガス吹込み口を上下に複数段設けるものであり、たとえ
ば図3の左側半分に示すように上昇側の大径浸漬管3A
の同一平面上の内周面にほぼ等間隔で開口させた複数の
環流ガス吹込み口4A、4Bを上下2段に設ける。そし
て下段側の環流ガス吹込み口4Bに供給する環流ガス
(通常不活性ガスを使用)の圧力を上段側の環流ガス吹
込み口4Aに供給する環流ガスの圧力より順次高く設定
し、上下2段の環流ガス吹込み口4A、4Bに供給され
る環流ガスをキャリアガスとして脱硫フラックスを搬送
する。
【0028】上昇側の大径浸漬管3A内に上下2段の環
流ガス吹込み口4A、4Bから脱硫フラックスと共に吹
込まれる環流ガスの圧力差を利用して溶鋼への環流ガス
気泡の水平到達距離を調整することにより、脱硫フラッ
クスを溶鋼中に均等に分散させて添加する。すなわち、
上段側の環流ガス吹込み口4Aから吹込まれた環流ガス
は低圧であるため内壁面近傍に沿って上昇し、下段側の
環流ガス吹込み口4Bから吹込まれた環流ガスは高圧で
あるため中心側近傍に沿って上昇するので大径浸漬管3
Aの横断面上に環流ガスの気泡を均等に分布させること
ができる。
【0029】なお、図3の右側半分に示すように浸漬管
3に環流ガス吹込み口4を1段だけ設ける場合には水平
到達距離Lhが短く環流ガスは浸漬管3の内壁近傍に沿
って上昇するだけであったのに対し、本発明では大径浸
漬管3Aの断面上における全面に均等に分布させること
ができる。このため、図4に示すように本発明の高低圧
吹込み法によれば、従来法に比較して浸漬管径に対する
溶鋼の環流量増大が達成されると共に、環流ガスと共に
溶鋼中に吹込んだ脱硫フラックスの脱硫反応を促進でき
るようになる。
【0030】なお、大径浸漬管を採用すると、浸漬管耐
火物の内部に埋設されているシール用の芯金と耐火物と
の熱膨張差により縦割れが顕著となるので、大径浸漬管
の芯金の周りに設けた冷却通路に、気体に水滴を混合し
た冷却媒体を供給してフォグ冷却することによって寿命
延長を図るようにするのが好ましい。フォグ冷却は、気
体冷却に比べて、蒸発潜熱による抜熱が大きいため、芯
金の冷却が十分に行われ、圧縮応力が生じるので耐火物
の縦割れを防止することができる。また搬送中における
冷却通路への液滴付着がないと共に蒸発時の体積膨張が
小さいので水蒸気爆発の危険性が少なく、単位抜熱量当
りのコストが小さいなどの利点を有する。 以下、本発
明の好適な構成および作用を図面に基いて説明する。
【0031】本発明に係るRH式真空脱ガス装置は、図
1および図2に示すように取鍋2内の溶鋼5中に脱ガス
槽1の底部に設けた一対の上昇側の大径浸漬管3Aおよ
び下降側の大径浸漬管3Bを浸漬し、脱ガス槽1内を排
気口6から排気して減圧することにより溶鋼5を吸い上
げる。脱ガス槽1のうち上部および中部にかけての槽1
Aは従来と同様に横断面を円形状とするが、溶鋼処理中
に溶鋼5と接触する部位となる下部槽1Bの底部横断面
形状を長軸X1 と短軸X2 とからなる長円形状として拡
大するものである。なお、図2においてDは上部および
中部にかける槽1Aの部分の内壁直径を示している。
【0032】それと共に、前記一対の大径浸漬管3A、
3Bを長軸X1 の方向に配設し、長軸X1 と短軸X2
の比X2 /X1 は0.4 〜0.9 範囲程度とするのが適当で
あり、また下部槽1Bの底部断面積S1 と浸漬管3A、
3Bの合計断面積S2 との比S2 /S1 は、0.2 以上と
して可及的に大径とするのが適当であるのは、特開平4
−272120号公報の請求項に説明してある通りである。
【0033】上昇側の大径浸漬管3Aの同一平面上の内
周面に等間隔で開口させた複数の環流ガス吹込み口4
A、4Bを上下2段に分けて設けてある。下流側の環流
ガス吹込み口4Bに供給する環流ガスの圧力を、上段側
の環流ガス吹込み口4Aに供給する環流ガスの圧力より
高く設定する。すなわち、2基のディスペンサ9A、9
Bにはそれぞれ補給管10A、10Bから脱流フラックスが
補給され一旦貯蔵される。ディスペンサ9Bに貯蔵され
た脱硫フラックスは高圧ガス吹込み配管8に供給される
高圧キャリアガスによって搬送され下段側の環流ガス吹
込み口4Bから上昇側の大径浸漬管3A内を上昇する溶
鋼5中に吹込まれる。またディスペンサ9Aに貯蔵され
た脱硫フラックスは低圧ガス吹込み配管7に供給される
低圧キャリアガスによって搬送され同様に上段側の環流
ガス吹込み口4Aから大径浸漬管3A内に吹込まれる。
【0034】このようにして上下2段の環流ガス吹込み
口4A、4Bから上昇側の大径浸漬管3Aに独立して別
々に吹込まれた低圧キャリアガスおよび高圧キャリアガ
スはそのガス浮上力により溶鋼5の環流ガスとして作用
する。この時、下段側の環流ガス吹込み口4Bから吹込
む環流ガスの圧力を上段側の環流ガス吹込み口4Aから
吹込む環流ガスの圧力よりも高くすることによって気泡
の水平方向到達距離を延ばして浸漬管3Aの中央まで気
泡と脱硫フラックスとを到達させる。
【0035】かくして前記図3の左半分を用いて説明し
たように両方の環流ガス吹込み口4A、4Bから吹込ま
れる環流ガスの圧力差を利用して上昇側の大径浸漬管3
Aの横断面上を浮上する環流ガスの気泡を溶鋼5中に均
等に拡散させることができるので、大量の環流ガスを吹
込むことができ大径浸漬管3A内を上昇する溶鋼5の環
流量を増加させることになる。また上昇側の大径浸漬管
3A内に環流ガスと共に吹込まれた脱硫フラックスも大
径浸漬管3A内を上昇する溶鋼5内に均等に拡散した状
態で気泡と共に浮上するので溶鋼5内に存在するSとの
接触が促進され、脱硫率向上が達成されることになる。
なお、図2において2’は図6で説明した溶鋼を測温サ
ンプリングする場所を示す。
【0036】さらに本発明では、大径浸漬管3A、3B
の芯金と耐火物との熱膨張差による耐火物の縦割れを防
止するため、フォグ発生器11で気体たとえば空気に水滴
を混合した冷却媒体をフォグ供給配管12を介して大径浸
漬管3A、3Bの芯金の周りに設けた冷却通路に供給し
てフォグ冷却するものである。大径浸漬管3A、3Bの
具体的な冷却方法は図5に示すように大径浸漬管3A、
3Bは、芯金13の周りに耐火物14を配置した一般的な構
造で、さらに芯金13の周壁に半割りのパイプを固着して
なる冷却通路15を配設してある。この冷却通路15の一方
の開口15Aから冷却媒体を導入し、この冷却媒体は冷却
通路15に案内されて芯金13に沿って移動した後、他方の
開口15Bから大気中へ放出されるようになっている。一
方、冷却媒体はフォグ供給配管12を介してフォグ発生器
11から供給される。
【0037】このフォグ発生器11は、その内部に配設し
たフォグ発生ノズル16に浄水および気体を導き、該ノズ
ル16の先端で浄水を気体により微細化して発生させたフ
ォグを、その水滴径に応じてフォグ発生器11内で分級し
て大きな水滴はフォグ発生器11の下部に沈降させ、小さ
な水滴径たとえば10μm以下のフォグを冷却媒体として
フォグ供給配管12に送り込むためのものである。なお、
フォグ発生器11の下部に沈降した大径の水滴はドレン抜
き17を開くことによって、排水溝18へと導かれる。
【0038】前記本発明のRH式真空脱ガス装置を用い
る溶鋼の脱硫方法において、脱硫フラックスは脱硫期間
にのみキャリアガスと共に上昇側の大径浸漬管3Aに設
けた上下の環流ガス吹込み口4A、4Bから吹込めばよ
く、その他の期間たとえば脱酸期においては、上段の環
流ガス供給管4Aには低圧ガスのみを、また下段の環流
ガス供給管4Bからは高圧ガスのみを供給して、溶鋼の
環流量を確保しながら脱酸を図ることになる。
【0039】なお、図面では上昇側浸漬管に環流ガス吹
込み口を上下2段設ける場合について説明したが、環流
ガス吹込み口を3段以上の複数段設けて下段側の環流ガ
ス吹込み口に供給する環流ガスの圧力を、上段側の環流
ガス吹込み口に供給する環流ガスの圧力より順次高く設
定することによっても同様にして均等に添加することが
できる。
【0040】
【実施例】表1に、図1に示す本発明に係るRH式脱ガ
ス装置により溶鋼の脱硫を行った場合と、図9に示す上
吹きランスを用いる従来のRH式真空脱ガス装置により
溶鋼の脱硫処理を行った場合における実施例の条件をそ
れぞれ示している。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように本発明例によれば、従来
例に比較して下部槽断面積が大幅に拡大すると共に大径
浸漬管を用いているため、取鍋と脱ガス槽との間を循環
する溶鋼の環流量を従来の2倍以上とすることができる
と共に溶鋼中への脱硫フラックスの拡散を促進すること
ができる。その結果、脱硫フラックスの捕捉率が60%か
ら100 %に向上すると共に精錬に要する処理時間が従来
の20分が15分に短縮され、溶鋼中の到達〔S〕濃度が10
ppm から5ppm へと大幅に低減できた。さらに大径浸漬
管の芯金をフォグ冷却したので、浸漬管を大径にしたに
もかかわらず従来よりも寿命を延長することができると
いう好成績を達成することができた。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、脱ガス
槽が溶鋼と接触する部位の横断面形状を長円形状として
拡大すると共に大径浸漬管を用いて溶鋼の環流量および
反応界面を増大するという前提条件のもとに、上昇側の
大径浸漬管に上下複数段の環流ガス吹込み口を設け、下
段側の環流ガス吹込み口に吹込む環流ガスの圧力を上段
側の環流ガス吹込み口に吹込むガスの圧力より順次高く
して脱硫フラックスを吹込む。
【0044】上下複数段の環流ガス吹込み口から吹込む
環流ガスの吹込み圧力を調整して溶鋼中に吹き出す環流
ガスの気泡水平到達距離が横断面上で均等になるように
して、溶鋼の環流量をより増大すると共に、環流ガスと
共に吹込まれる脱硫フラックスの捕捉率を向上する。同
一なる脱硫フラックスの原単位のもとに処理時間を低減
することができるので次工程とのマッチング精度を向上
することができる。したがって、溶鋼温度の降下が小さ
くなり、溶鋼の温度補償を伴うことなく精錬プロセスの
省力化が可能で、精錬コストが溶鋼加熱装置を用いる場
合に比べて大幅に低減できると共に、溶鋼加熱中の溶鋼
へのCピックアップが解消され溶鋼清浄度が向上し、製
品欠陥の発生率を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A矢視を示す断面図である。
【図3】本発明に係る大径浸漬管に設けた環流ガス吹込
み口からの環流ガス吹込み状況を断面で示す説明図であ
る。
【図4】浸漬管径と環流量との関係を本発明の高低圧吹
込み法と従来法との場合について比較して示す線図であ
る。
【図5】本発明に従う大径浸漬管の冷却方法を説明する
模式図である。
【図6】本発明例と従来例とを比較して示す説明図であ
る。
【図7】脱硫反応効率を向上させる要因の説明図であ
る。
【図8】従来の装置を示す概略断面図である。
【図9】上吹きランスを用いてフラックスを吹込む従来
の装置を示す概略断面図である。
【図10】浸漬ランスを用いてフラックスを吹込む従来の
装置を示す概略断面図である。
【図11】浸漬管にフラックスを吹込む従来の装置を示す
概略断面図である。
【図12】浸漬管に環流ガス吹込み口を1段設ける従来例
を示す断面図である。
【図13】浸漬管に環流ガス吹込み口を2段設ける従来例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 脱ガス槽 2 取鍋 3 浸漬管 4 環流ガス吹込み口 5 溶鋼 6 排気口 7 低圧ガス吹込み配管 8 高圧ガス吹込み配管 9 ディスペンサ 10 補給管 11 フォグ発生器 12 フォグ供給配管 13 芯金 14 耐火物 15 冷却通路 16 フォグ発生ノズル 17 ドレン抜き

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼処理中に溶鋼と接触する部位におけ
    る脱ガス槽の横断面形状を長軸と短軸とからなる長円形
    状として拡大すると共に、一方を上昇側とし他方を下降
    側とする一対の大径浸漬管を前記長軸の方向に配設して
    取鍋内の溶鋼中に浸漬したRH式真空脱ガス装置を用い
    る溶鋼の脱硫方法において、前記上昇側の大径浸漬管の
    同一平面上の内周面にほぼ等間隔で開口させた複数の環
    流ガス吹込み口を上下に複数段設けて、下段側の環流ガ
    ス吹込み口に供給する環流ガスの圧力を上段側の環流ガ
    ス吹込み口に供給する環流ガスの圧力より順次高く設定
    し、上下複数段の環流ガス吹込み口にそれぞれ供給され
    る環流ガスをキャリアガスとして脱硫フラックスを搬送
    し、当該上下複数段の環流ガス吹込み口からそれぞれ上
    昇側の大径浸漬管内に脱硫フラックスと共に吹込まれる
    環流ガスの圧力差により溶鋼中への水平到達距離を調整
    することによって、脱硫フラックスと共に吹込まれる環
    流ガスの気泡を中央部まで均等に分散させて添加するこ
    とを特徴とするRH式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱
    硫方法。
  2. 【請求項2】 一対の大径浸漬管の芯金の周りに設けた
    冷却通路に、気体に水滴を混合した冷却媒体を供給し
    て、前記大径浸漬管をフォグ冷却するようにしたことを
    特徴とする請求項1記載のRH式真空脱ガス装置を用い
    る溶鋼の脱硫方法。
JP9013394A 1994-04-27 1994-04-27 Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法 Pending JPH07300615A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9013394A JPH07300615A (ja) 1994-04-27 1994-04-27 Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9013394A JPH07300615A (ja) 1994-04-27 1994-04-27 Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07300615A true JPH07300615A (ja) 1995-11-14

Family

ID=13990015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9013394A Pending JPH07300615A (ja) 1994-04-27 1994-04-27 Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07300615A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303124A (ja) * 2000-04-28 2001-10-31 Nkk Corp 溶鋼の精錬装置および精錬方法
WO2019054577A1 (ko) * 2017-09-18 2019-03-21 주식회사 포스코 진공 탈가스 설비 및 정련 방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001303124A (ja) * 2000-04-28 2001-10-31 Nkk Corp 溶鋼の精錬装置および精錬方法
WO2019054577A1 (ko) * 2017-09-18 2019-03-21 주식회사 포스코 진공 탈가스 설비 및 정련 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5365241B2 (ja) 溶鋼の精錬処理装置
WO1998015664A1 (fr) Appareil de fusion d'acier fondu destine a la production d'acier a tres faible teneur en carbone, et procede de fusion faisant appel a cet appareil
JPH07300615A (ja) Rh式真空脱ガス装置を用いる溶鋼の脱硫方法
US5011531A (en) Method and apparatus for degassing molten metal utilizing RH method
JP2007031820A (ja) 溶鋼の真空脱ガス処理方法
JP5103942B2 (ja) Rh真空脱ガス装置の上昇側浸漬管
JP5061624B2 (ja) Rh真空脱ガス装置の溶鋼環流量推定方法及び環流用ガス吹き込み方法
JP5292853B2 (ja) 溶鋼の真空脱ガス処理装置及び真空脱ガス精錬方法
JP2002363636A (ja) Rh真空脱ガス装置における溶鋼の精錬方法
JP3167858B2 (ja) 溶銑予備処理用浸漬単管ランス
JPH08269534A (ja) 溶鋼の真空脱ガス処理装置
CN113481349B (zh) 一种钢液连续在线精炼设备及生产工艺
JP3503474B2 (ja) 粉体、酸素兼用上吹き精錬用ランス
JP4470673B2 (ja) 溶鋼の真空脱炭精錬方法
JP3272372B2 (ja) 真空脱ガス処理槽の槽加熱方法および装置
JP2819424B2 (ja) 極低炭素鋼の製造方法
JPH0696738B2 (ja) 極低炭素鋼製造用真空脱ガス装置および操業方法
JPH09209021A (ja) 溶鉄精錬用ランスおよび溶鉄精錬方法
JP3842857B2 (ja) 溶鋼のrh脱ガス処理方法
JP3297765B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JPH0630837Y2 (ja) 吹込みランスを設けた溶鋼の真空脱ガス装置
JP3742534B2 (ja) 減圧精錬装置およびそれを用いた低炭素鋼の溶製方法
JP2001064719A (ja) 溶鋼の真空精錬方法
JPH08120324A (ja) 溶鋼の真空精錬装置および方法
JP3252726B2 (ja) 溶鋼の真空精錬方法