JPH07297008A - 正特性サーミスタおよびこれを用いたサーミスタ装置 - Google Patents

正特性サーミスタおよびこれを用いたサーミスタ装置

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JPH07297008A
JPH07297008A JP4016495A JP4016495A JPH07297008A JP H07297008 A JPH07297008 A JP H07297008A JP 4016495 A JP4016495 A JP 4016495A JP 4016495 A JP4016495 A JP 4016495A JP H07297008 A JPH07297008 A JP H07297008A
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JP
Japan
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temperature coefficient
positive temperature
electrode layer
layer
coefficient thermistor
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JP4016495A
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Hiroshi Sasaki
宏 佐々木
Shuichi Takeda
修一 武田
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Komatsu Ltd
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温高湿環境下でも銀のマイグレーションを
生じることのない信頼性の高い正特性サーミスタを提供
する。 【構成】 本発明の第1の特徴は、正特性サーミスタ素
体1の両主面に、前記正特性サーミスタ素体1の外周縁
よりも内側に端部がくるように形成された銀層を含む第
1の電極層2a,2b,3a,3bと、前記第1の電極
層の表面および側面を覆うように形成されたアルミニウ
ムからなる第2の電極層4a,4bとを具備したことに
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、正特性サーミスタおよ
びこれを用いたサーミスタ装置に係り、特にその電極の
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】BaTiO3 にY,Nd等を0.1〜
0.3at%添加した酸化物半導体は、大きな正の温度係
数を有することから、PTCサーミスタと呼ばれる。
【0003】このPTCサーミスタは、大きな正の温度
係数を有する温度領域を、Sr,Pb等の添加で調整す
ることができることから、温度の測定および過電流防
止、モータ起動、カラーTV消磁用等の回路素子および
低温発熱ヒータ等、広く様々な分野でなくてはならない
ものとなっている。
【0004】このようなサーミスタは、その一例を図2
3(a) に示すように、Ba、Ti、Ndなどの金属の酸
化物、炭酸塩、硝酸塩、塩化物等を焼結し、薄い円柱状
等に成形せしめられたサーミスタ素体11と、その上面
と下面に形成されたNiメッキ層からなる第1の電極層
12a、12bと、この上層に形成された銀を主成分と
する第2の電極層13a、13bとから構成されてい
る。
【0005】ところでこのような正特性サーミスタは、
通常、第2の電極層13a、13b間に電圧を印加して
使用されるが、このとき電界の方向に向かって第2電極
層内の銀が移動析出する、いわゆるマイグレーション現
象が生じる。特に第2の電極層の外周縁が正特性サーミ
スタ素体1の外周端まで達するように形成されている場
合、正特性サーミスタ素体1の外周面で電界の方向に向
かって銀が移動析出し、ついには短絡を生じるという問
題があった。
【0006】そこでこの問題を解決するため、図23
(b) に示すように、第2電極層の外径を第1電極層の外
径よりも小さく形成した正特性サーミスタが提案されて
いる。しかしながら、この構造では、第2の電極層の外
形が第1の電極層の外形よりも小さく設けられているた
め、第1の電極層のうち第2の電極層によって覆われて
いない部分は直接大気にさらされているため、酸化され
やすく、次第にコンタクト抵抗が上昇するという問題が
あった。
【0007】また、銀のマイグレーションは電界の方向
に沿って移動する現象であるため従来例のように第2電
極層のみを外周より内側に設けたとしても第2電極層中
の銀が露出しているため、わずかではあるがマイグレー
ションが生じ、短絡の問題は緩和されるが完全に防止す
ることはできなかった。
【0008】また、従来の正特性サーミスタはめっき法
を用いて電極形成がなされているため、この方法では、
電極形成に際してNiめっきをおこなう際にめっき溶液
が焼結体内部に浸透し、抵抗値が減少する等、焼結体の
特性を変化させることがある。これは形成後ただちに特
性変化として表れることもあれば、時間と共に徐々に表
れることもある。サーミスタの用途は、前述したよう
に、温度の測定および制御、補償、利得調整、電力測
定、過電流防止、モータ起動、カラーTV消磁用等、い
ずれも高精度の抵抗値制御が必要なものばかりであり、
R±α%の範囲内にあるものを用いる必要がある。した
がってこのめっき液の浸透による抵抗値変化の問題は深
刻化してきている。
【0009】また、このようなめっき液の浸透を避ける
ため、メタル溶射法によりアルミニウムなどの低融点金
属を形成しこれを電極として用いる方法も提案されてい
る。しかし、この方法も、電極形成時に急激な温度変化
を伴うため、サーミスタ素体あるいは電極自体にクラッ
クが発生するという問題を避けることができない。そこ
で、この問題を解決するため、本発明者らは特開平6−
5403号によって、アルミニウムを主成分とする印刷
電極あるいは蒸着膜を用いたサーミスタ電極構造を提案
している。かかる構造によれば、アルミニウムを主成分
としているため、マイグレーションを生じることが完全
になくなる。また、印刷あるいは蒸着膜を用いているた
め、素子本体のわれひびが生じたりすることがなく、耐
久性が向上する。しかしながら、第1の電極がアルミニ
ウムなどであるため電極自体の抵抗が大きくなり、比較
的大電流が流れる回路には適さないという大きな問題が
ある。
【0010】また、サーミスタ素体の両主面の全面に第
1の電極としてニッケル電極を形成し、その周囲にギャ
ップ領域を残して銀を主成分とする第2の電極を形成
し、このギャップ領域を覆うようにアルミニウム−シリ
コンからなる第3の電極を形成し、マイグレーションを
防止するようにした電極構造も提案されている(特開平
5−109503)。しかしながら、この構造では表面
に凹凸が形成され、2素子を重ねて使用する場合には十
分な熱的接触を得ることができないので残留電流が大き
いという問題があった。
【0011】また残留電流を小さくするため2素子タイ
プにし、ヒータ用正特性サーミスタで、コイル用正特性
サーミスタを加熱する方法も提案されているが、この場
合電極表面に凹凸があると素子間の熱接触が悪くなり、
残留電流を小さくすることができないという問題があ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の電極
構造では、マイグレーションを防止すべく銀の使用を避
けアルミニウムを用いると、接触抵抗が増大するという
問題がある。
【0013】さらに、外縁部にギャップ領域を残して銀
を主成分とする電極を形成し、このギャップ領域をアル
ミニウム−シリコンからなる電極で覆う構造では、銀が
露出している部分があるため、マイグレーションの防止
が不十分であり、また、表面に凹凸が形成され、2素子
を重ねて使用する場合には十分な熱的接触を得ることが
できないので残留電流が大きいという問題があった。
【0014】本発明は、前記実情に鑑みてなされたもの
で、組み立て作業性が良好で安定で信頼性が高くマイグ
レーションを完全に防止することができ、大電流の回路
に適した正特性サーミスタを提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の第1の特
徴は、正特性サーミスタ素体の両主面に、前記正特性サ
ーミスタ素体の外周縁よりも内側に端部がくるように形
成された銀層を含む第1の電極層と、前記第1の電極層
の表面および側面を覆うように形成されたアルミニウム
を主成分とする層からなる第2の電極層とを具備したこ
とにある。
【0016】望ましくはこの第2の電極層は、5〜60
vol%の導電性ホウ素化合物セラミックとアルミニウ
ムとを含む厚膜印刷層で構成する。なおここで用いられ
る導電性ホウ素化合物としてはTiB2 のほか、ZrB
2 、HfB2 、VbB2 、TaB2 、CrB2 、MoB
2 などの2ホウ化物、TiB、ZrB、HfB、VBN
bB、TaB、CrB、MoB、WB、NiBの1元ホ
ウ化物またはV3 4、V3 2 、Nb2 3 、Nb3
4 、Ta3 2 、Ta3 2 、Cr3 4 、Mo3
2 、Mo2 5 、W2 5 、Ni4 3 、B4 C化合物
のグループから選ばれる少なくとも1種以上あるいはそ
れらの化合物などがある。
【0017】本発明の第2の特徴は、正特性サーミスタ
素体の両主表面に、前記正特性サーミスタ素体の外周縁
よりも内側に端部がくるように形成され、銀層を含む単
層または複数層の第1の電極層と、前記第1の電極層の
端縁部近傍から側面を覆うように形成された主成分をア
ルミニウムとする層からなる第2の電極層とを具備した
ことにある。
【0018】本発明の第3の特徴は、正特性サーミスタ
素体の両主表面に、前記正特性サーミスタ素体の外周縁
よりも内側に端部がくるように形成され、銀層を含む単
層または複数層の第1の電極層と、前記第1の電極層の
表面および側面を覆うように形成された銀を主成分とす
る第2の電極層と、前記第2の電極層の端縁部近傍から
側面を覆うように形成されたアルミニウム層あるいは、
5〜60vol%の導電性ホウ素化合物とアルミニウムとを
含む層からなる第3の電極層とを具備したことにある。
【0019】本発明の第4の特徴は、正特性サーミスタ
素体の両主面に形成された第1の電極層と、第1の電極
層の端縁よりも内側に端縁がくるように形成された銀層
からなる第2の電極層と、第2の電極層を覆うように形
成されたアルミニウム層からなる第3の電極層とを具備
したことにある。
【0020】本発明の第5の特徴は、サーミスタ素体の
両主面に形成され、最外層がアルミニウム層で構成され
た電極とからなる正特性サーミスタと、正特性サーミス
タを挟持する端子とから構成され、この端子の少なくと
も前記正特性サーミスタと接触する領域がアルミニウム
に対し融点300℃以下の合金を形成しない物質で構成
されていることにある。
【0021】望ましくはこの物質は、ニッケル、銀、
銅、アルミニウム、チタンのいずれかまたはそれらの合
金であることを特徴とする。
【0022】
【作用】上記構成によれば、電気伝導性の良好な銀電極
を使用しかつこの銀電極はアルミニウム電極で完全に覆
われているため、マイグレーションによる短絡のおそれ
もない。
【0023】なお、上記構成において電極の形成は蒸着
法、厚膜印刷法等のドライプロセスで形成される。した
がって、電極形成時に溶液等によりサーミスタ素体の表
面および裏面の露出部の汚染による特性変化を引き起こ
すことなく、密着性が高く接触抵抗の小さい電極を形成
することが可能となる。
【0024】上記第1の構成によれば、正特性サーミス
タ素体の外周縁よりも内側に端部がくるように形成され
た銀層を含む第1の電極層が形成され、前記第1の電極
層の表面および側面を覆うようにアルミニウム層からな
る第2の電極層が形成されているため、電気伝導性を良
好に維持し、かつ、マイグレーションの発生を完全に防
ぐことができる。望ましくは、第2の電極層を、5〜6
0vol%の導電性ホウ素化合物とアルミニウムとを含
む厚膜印刷層で構成するようにすれば、電極の焼成工程
において酸素がトラップされても導電性が低下しないた
め、サーミスタ素体に直接第2の電極層が接触する領域
でも良好な電気的接触性を維持することができる。
【0025】本発明の第2の構成によれば、サーミスタ
素体の表面の大部分でコンタクトを形成することができ
るため、よりコンタクト抵抗を小さくすることができ
る。また第1および第2の電極層の端縁部を第3の電極
層で覆っているため、サーミスタ素体のわれやクラック
の発生がより低減される。
【0026】本発明の第3の構成によれば、第2の電極
層全面ではなく一部を除いて端縁および側面を覆うよう
に第3の電極層が形成されており、第1の構成と同様、
コンタクト抵抗が低減され、良好な電気的接触性を維持
することができる。
【0027】本発明の第4の構成によれば、サーミスタ
素体の表面全体が第1の電極層で覆われその上層に第2
の電極層が形成されているため、第1の構成と同様に、
サーミスタ素体のわれやクラックの発生がより低減され
る。
【0028】本発明の第5の構成によれば、端子と電極
とが接触する点すなわち接点では、電圧がオンするたび
に大電流による発熱があるため、局所的に温度上昇があ
り、200℃程度まで上昇することになるが、端子の少
なくとも正特性サーミスタと接触する領域表面をアルミ
ニウムと300℃以下の合金を作らない材質で構成して
いるため、剥離もなく良好に維持することができる。望
ましくは、この弾性端子は、アルミニウムとの合金の融
点の高い物質である、ニッケル、銀、銅、アルミニウ
ム、チタンのいずれかまたはそれらの合金を表面層に用
いる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ詳細に説明する。
【0030】実施例1 図1は本発明の第1の実施例の正特性サーミスタを示す
図である。
【0031】この正特性サーミスタは、チタン酸バリウ
ムを主成分とするサーミスタ素体1と、外周縁からやや
入り込んだ位置に端縁がくるようにその上面と下面に印
刷法で形成された銀−亜鉛(Ag−Zn)層からなる第
1の電極層2a、2bと、この第1の電極層2a,2b
を覆うように印刷法で形成された銀層(Ag)からなる
第2の電極層3a、3bと、この第2の電極層3a,3
bを覆うように印刷法で形成されたアルミニウム−ホウ
化チタン(Al−TiB2 )層からなる第3の電極層4
a、4bとから構成されている。各電極層の膜厚は約1
0μm とした。次に、この正特性サーミスタの製造工程
について説明する。
【0032】図2(a) および(b) は、本発明実施例のサ
ーミスタの製造工程を示す工程図である。
【0033】まず、図2(a) に示すように、TiO2
BaCO3 、Nd2 3 の粉末を所定の割合で混合し、
700℃〜1000℃の温度範囲にて、仮焼後、粉砕
し、冷間プレス法によってディスク状に加圧成形した
後、1300℃で焼結し、直径4.47mmのディスク状
のサーミスタ素体1を形成する。
【0034】続いて、図2(b) に示すようにこのサーミ
スタ素体1の端面(電極形成面)にスクリーン印刷法に
より順次第1〜第3の電極層を塗布する。ここではまず
Ag−Znペーストを用いてスクリーン印刷を行い、1
80℃10分の乾燥工程の後、続いてAgペーストを用
いてスクリーン印刷を行い、180℃10分の乾燥、最
後にAl−TiB2 ペーストを用いてスクリーン印刷を
行い、180℃10分の乾燥後、550℃10分の焼成
工程を経て形成する。
【0035】ここでAl−TiB2 ペーストは、平均粒
径約5μm のアルミニウム粉末と平均粒径3μm のTi
2 セラミック粉末とを7:3の混合比で混合し、バイ
ンダを混ぜ、ペースト状にした後、粘度を調整したもの
である。
【0036】この様にして得られたサーミスタは、露結
水中でイオン化しないAlを主成分とする電極層がAg
を含む電極層を完全に覆っているため、高温多湿環境下
で長時間使用しても銀のマイグレーションを生じること
なく、信頼性を維持することができる。そして、サーミ
スタ素体と電極との電気的接触性が良好である。
【0037】またアルミニウムはマイグレーションを生
じないため、素子の主平面全面に電極を塗布することが
できる。したがって突入電流の素子への流れ方が均一と
なり、従来に比べサージ電流または電圧印加時のわれ・
かけが発生しにくい。
【0038】実施例2 図3は本発明の第2の実施例の正特性サーミスタを示す
図である。
【0039】この正特性サーミスタは、チタン酸バリウ
ムを主成分とするサーミスタ素体1と、その上面と下面
に全体を覆うように、真空蒸着法で形成された膜厚0.
3〜2μm のニッケル(Ni)層からなる第1の電極層
2m、2m´と、その外周縁からやや入り込んだ位置に
端縁がくるようにスクリーン印刷法で形成された銀層
(Ag)からなる第2の電極層3a、3bとこの第2の
電極層3a,3bを覆うように印刷法で形成されたアル
ミニウム−ホウ化チタン(Al−TiB2 )層からなる
第3の電極層4a、4bとから構成されている。第2お
よび第3の各電極層の膜厚は約10μm とした。
【0040】形成に際しては前記第1の実施例と同様に
形成する。
【0041】この様にして得られたサーミスタも前記実
施例1と同様、前述した効果を奏効する。
【0042】比較のためにこの本発明の第1および2の
実施例において用いたのと同様のサーミスタ素体1の外
周縁からやや入り込んだ位置に端縁がくるように印刷法
で順次積層した銀−亜鉛層からなる第1の電極層2a,
bと、銀層からなる第2の電極層3a,bを形成した電
極構造を比較例1として形成した(図4)。
【0043】また、比較例2として、実施例2のサーミ
スタの第3の電極層を省略し、他は同様に形成した。
(図5)。
【0044】次に、マイグレーション試験を行うべく、
図6に説明図を示すようなテスト装置を用い、環境温度
120℃、湿度95RH%中で、250Vの電圧を30
分オン、30分オフし、1000サイクル印加した。そ
してテスト後素子側面をEPMA分析し、銀のマイグレ
ーションを検出した。その結果を図7に表で示す。この
表からあきらかなように、本発明の実施例1および2の
構造の場合いずれもマイグレーションはみられなかった
のに対し、比較例1および2では僅かに側面に銀が検出
された。
【0045】次に、低温断続負荷試験を行うべく、図8
に説明図を示すようなテスト装置を用い、環境温度−2
0℃で、250Vの電圧を1分オン、5分オフし、10
00サイクル印加し、テスト後の素子のわれ、かけの有
無および抵抗の変化率を測定した。この結果を図9に表
で示す。この表から明らかなようにいずれの例もわれや
かけはなく、抵抗変化率も−2.6〜−1.9%程度で
あり、いずれも判定は○であった。
【0046】次に、サージ電流テストを行うべく、図1
0に説明図を示すようなテスト装置を用い、環境温度−
20℃中で電圧を250Vから50Vおきに順次大きく
しながら印加し、テスト後の素子のわれ、かけの有無を
調べたその結果を図11に示す。この結果からわかるよ
うに、テスト終了後、素子のわれ、かけは皆無であっ
た。
【0047】次に、この実施例1のサーミスタを図12
に示すような端子10に実装し、端子材質を測定するた
めに低温断続負荷試験を行った。ここで端子の表面材質
がニッケルや銀のめっき層で構成されている場合は図1
3に表で示すように試験後電極の剥離はなかった。ただ
し半田や錫で端子が形成されている場合は端子接触部に
剥離が生じた。ここで剥離とは、図14に示すように端
子10との接触部に相当する電極面に剥離Rが生じるこ
とをいう。低温断続負荷試験では、電圧が印加されるた
びに大電流が流れることによる発熱があるため、局所的
な温度上昇があり、アルミニウムと錫や半田が合金化し
たものと考えられる。この結果からも、端子表面に用い
る材質としてはアルミニウムと合金化しないニッケルや
銀を用いるのが望ましいことがわかる。
【0048】なおアルミニウムとニッケル、銀、錫との
合金の融点を図15に表で示す。また図16乃至図18
にそれぞれアルミニウム−錫合金の組成と融点との関
係、銀−アルミニウム合金の組成と融点との関係を示す
図および、アルミニウム−ニッケルの組成と融点との関
係とを示す。
【0049】ところで、接点では電圧がオンするたびに
大電流による発熱があるため、局所的に温度上昇があ
り、200℃程度まで上昇するため、安全をみこむと、
アルミニウムと300℃以下の合金を作らない材質を用
いるようにするのが望ましい。また端子の構造としては
図19に示すように弾性端子あるいは中央端子の表面全
体をニッケル、銅、銀、アルミニウムなどのめっき層で
構成する全面めっき法と、正特性サーミスタとの接触領
域のみ上述したような金属からなるめっき層で構成する
部分めっき法とがある。また、通常用いられる錫からな
る端子を用いアルミニウム電極層の少なくとも端子と接
する部分に錫と合金化しない層をさらに設けてもよい。
【0050】次に、前記第1および第2の実施例では、
AlにTiB2 を添加した例について説明したが、Ti
2 の添加量を変化させ、素子抵抗とわれかけを生じな
い、最大サージ電圧との関係を測定した。その結果を図
20に表で示す。
【0051】この結果から明らかなように添加量は5vo
l%以上で効果が現れるが70vol%以上では焼成が困難と
なる。これはTiB2 の添加によってサーミスタ素体と
アルミニウムとのオーミック接触性が向上するため、最
大サージ電圧が向上すると考えられる。なお実施例2で
示した構造ではサーミスタ素体とのオーミック接触はニ
ッケル電極で得られるため、TiB2 の添加による最大
サージ電圧への効果はほとんどみられなかった。
【0052】これらの比較からも本発明によれば比抵抗
が安定で信頼性の高いサーミスタを得ることができる。
【0053】次に本発明の第3の実施例について説明す
る。この正特性サーミスタは、図21に示すように、チ
タン酸バリウムを主成分とするサーミスタ素体1と、外
周縁からやや入り込んだ位置に端縁がくるようにその上
面と下面に順次、印刷法で形成された銀−亜鉛(Ag−
Zn)層からなる第1の電極層2a、2bと、銀層(A
g)からなる第2の電極層3a、3bと、第2の電極層
の端縁部近傍からこれら第1および第2の電極層の側面
を覆うように印刷法で形成されたアルミニウム−ホウ化
チタン(Al−TiB2 )層からなる第3の電極層4
a、4bとから構成されている。各電極層の膜厚は約1
0μm とした。
【0054】この構成によれば、第1および第2の電極
層は同じパターン形状で積層されているため、正特性サ
ーミスタ素体の両主表面をより多く第1の電極層と接触
せしめることができ、コンタクト抵抗が低減される。ま
た、第2の電極層全体を覆うこと無く形成されるため、
材料が少なくてすみコストの低減をはかることができ
る。
【0055】次に本発明の第4の実施例について説明す
る。この正特性サーミスタは、図22に示すように、チ
タン酸バリウムを主成分とするサーミスタ素体1と、外
周縁からやや入り込んだ位置に端縁がくるようにその上
面と下面に、印刷法で形成された銀−亜鉛(Ag−Z
n)層からなる第1の電極層2a、2bと、前記第1の
電極層を覆うように印刷法で形成された銀層(Ag)か
らなる第2の電極層3a、3bと、第2の電極層の端縁
部近傍から側面を覆うように印刷法で形成されたアルミ
ニウム−ホウ化チタン(Al−TiB2 )層からなる第
3の電極層4a、4bとから構成されている。各電極層
の膜厚は約10μm とした。この構成によっても、安価
で信頼性の高い正特性サーミスタを得ることができる。
【0056】なお本発明においてアルミニウム層とは、
純アルミニウムに限定されること無く、アルミニウムを
主成分とする層をいうものとする。
【0057】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、マイグレーションによる短絡のおそれもなく、組み
立てが容易で特性の安定な正特性サーミスタを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のサーミスタを示す図
【図2】同サーミスタの製造工程図
【図3】本発明の第2の実施例のサーミスタを示す図
【図4】従来例のサーミスタを示す図(比較例)
【図5】従来例のサーミスタを示す図(比較例)
【図6】マイグレーション試験のためのテスト装置を示
す図
【図7】図6に示す装置を用いて行ったマイグレーショ
ン試験の結果を示す図
【図8】低温断続負荷試験を行うためのテスト装置を示
す図
【図9】図8に示す装置を用いて行った低温断続負荷試
験の結果を示す図
【図10】サージ電流テストを行うためのテスト装置を
示す図
【図11】図10に示す装置を用いて行ったサージ電流
テストの結果を示す図
【図12】端子材質による低温断続負荷試験結果の依存
性を測定するためのテスト装置を示す図
【図13】図12に示す装置を用いて行った低温断続負
荷試験の結果を示す図
【図14】図12に示す装置を用いた低温断続負荷試験
による剥離の状態を示す図
【図15】アルミニウムとニッケル、銀、錫との合金の
融点を示す図
【図16】アルミニウム−錫合金の組成と融点との関係
を示す図
【図17】銀−アルミニウム合金の組成と融点との関係
を示す図
【図18】アルミニウム−ニッケルの組成と融点との関
係とを示す図
【図19】端子構造の例を示す図
【図20】素子抵抗と最大サージ電圧との関係を測定し
た結果を示す図
【図21】本発明の第3の実施例のサーミスタを示す図
【図22】本発明の第4の実施例のサーミスタを示す図
【図23】従来例のサーミスタを示す図
【符号の説明】
1 サーミスタ素体 2a,2b 第1の電極層 3a,3b 第2の電極層 4a,4b 第3の電極層 11 サーミスタ素体、 12a,12b 第1の電極層 13a,13b 第2の電極層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正特性サーミスタ素体と、 前記正特性サーミスタ素体の両主表面に、前記正特性サ
    ーミスタ素体の外周縁よりも内側に端部がくるように形
    成され、銀層を含む単層または複数層の第1の電極層
    と、 前記第1の電極層の表面および側面を覆うように形成さ
    れた主成分をアルミニウムとする層からなる第2の電極
    層とを具備したことを特徴とする正特性サーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記第2の電極層は、5〜60vol%
    の導電性ホウ素化合物とアルミニウムとを含む厚膜印刷
    層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    正特性サーミスタ。
  3. 【請求項3】 正特性サーミスタ素体と、 前記正特性サーミスタ素体の両主表面に、前記正特性サ
    ーミスタ素体の外周縁よりも内側に端部がくるように形
    成され、銀層を含む単層または複数層の第1の電極層
    と、 前記第1の電極層の端縁部近傍から側面を覆うように形
    成された主成分をアルミニウムとする層からなる第2の
    電極層とを具備したことを特徴とする正特性サーミス
    タ。
  4. 【請求項4】 正特性サーミスタ素体と、 前記正特性サーミスタ素体の両主表面に、前記正特性サ
    ーミスタ素体の外周縁よりも内側に端部がくるように形
    成され、銀層を含む単層または複数層の第1の電極層
    と、 前記第1の電極層の表面および側面を覆うように形成さ
    れた銀を主成分とする第2の電極層と、 前記第2の電極層の端縁部近傍から側面を覆うように形
    成されたアルミニウム層あるいは、5〜60vol%の導電
    性ホウ素化合物とアルミニウムとを含む層からなる第3
    の電極層とを具備したことを特徴とする正特性サーミス
    タ。
  5. 【請求項5】 正特性サーミスタ素体と、 前記正特性サーミスタ素体の両主表面に形成された第1
    の電極層と、 前記第1の電極層の端縁よりも内側に端縁部がくるよう
    に形成された銀を主成分とする第2の電極層と、 前記第2の電極層を覆うように形成されたアルミニウム
    層あるいは、5〜60vol%の導電性ホウ素化合物とアル
    ミニウムとを含む層からなる第3の電極層とを具備した
    ことを特徴とする正特性サーミスタ。
  6. 【請求項6】 正特性サーミスタ素体と、 前記正特性サーミスタ素体の両主表面に形成され、最外
    層がアルミニウム層あるいは、5〜60vol%の導電性ホ
    ウ素化合物とアルミニウムとを含む層で構成された電極
    とからなる正特性サーミスタと前記正特性サーミスタを
    挟持する端子とから構成され、 少なくとも前記端子の前記正特性サーミスタと接触する
    領域がアルミニウムに対し融点300℃以下の合金を形
    成しない物質で構成されていることを特徴とするサーミ
    スタ装置。
  7. 【請求項7】 前記物質は、ニッケル、銀、銅、アルミ
    ニウム、チタンまたはそれらの2つ以上の合金のいずれ
    かであることを特徴とする請求項6記載のサーミスタ装
    置。
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