JPH07292523A - 良好な収縮性と光沢を有するポリエステル中空繊維 - Google Patents

良好な収縮性と光沢を有するポリエステル中空繊維

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JPH07292523A
JPH07292523A JP8016694A JP8016694A JPH07292523A JP H07292523 A JPH07292523 A JP H07292523A JP 8016694 A JP8016694 A JP 8016694A JP 8016694 A JP8016694 A JP 8016694A JP H07292523 A JPH07292523 A JP H07292523A
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哲男 塚本
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
Shizuya Yoshikawa
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 高収縮性付与成分の共重合量および固有粘度
(IV)を特定した共重合ポリエステルからなり、繊維
の断面の外形が円形でかつ繊維断面の中心部に中空部を
有し、その中空部の中空率および中空部でない部分の肉
厚で最も薄い部分の肉厚を所定範囲とした良好な収縮性
と光沢を有するポリエステル中空繊維。 【効果】 本発明のポリエステル中空繊維は、従来の中
空繊維にはない良好な収縮性と光沢を有し、軽量で保温
性および反発性に優れ、かつ繊維断面が潰れ難い繊維で
ある。したがって、本発明繊維は衣料用素材、インテリ
ア製品素材、車両内装資材などとして有用であり、特に
低収縮性の他の繊維と複合または混繊したとき、ふくら
みと反発性のある高品質、高品位の繊維製品となり得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は良好な収縮性と光沢を有
するポリエステル中空繊維に関する。さらに詳しくは一
般衣料および産資建装の軽量素材、保温素材あるいは軽
量・保温素材用として好適であるばかりでなく、従来品
以上の良好な収縮性と光沢を有し、かつ繊維断面が潰れ
難い、高品質,高品位のポリエステル中空繊維に関する
ものである。特に低収縮性の他の繊維と複合または混繊
使用した場合に、軽量・保温性はもとより反発性を付与
できる繊維として使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的性質、化学
的性質、イージーケア性、光沢性等優れた特性から一般
衣料用や産資建装用として広く利用されている。特に最
近では、ポリエステル繊維の優れた特性を応用して他の
繊維にない独特な製品が開発されている。また消費者の
ニーズの多様化および個性化した感性のニーズの中でよ
り軽量化された製品やより保温化機能のある繊維製品あ
るいはより風合の良好な製品など、より高品質のいろい
ろな性能が求められている。
【0003】最近のポリエステル繊維製品の中で高品質
の製品の多くは、用いられる繊維糸条として単なる1種
の繊維だけでなく、特性の異なった2種以上の繊維を複
合または混合した、いわゆる複合糸または混繊糸を用い
ている場合が多く、例えば異繊度混繊糸、異形状混繊糸
および異収縮混繊糸などの多くの技術が提案されてい
る。これらのものを組み合わせた例えば異繊度・異形状
混繊糸などの技術も多く提案されている。これらの中で
も異収縮混繊糸との組み合わせの技術が特に多く提案さ
れている。例えば異繊度・異収縮混繊糸である。
【0004】異収縮混繊糸の技術としては、例えば、特
公昭55−22586号公報や特開昭58−12081
6号公報等に、異収縮混繊糸を用いたシルキー調織編物
にふくらみ、ソフト感およびドレープ性を同時に付与す
ることができる技術が開示されている。これらの技術で
は、低収縮糸と高収縮糸との収縮差が40%もあり、高
収縮糸は通常の糸条に比較してかなり高い収縮率のもの
が用いられている。
【0005】また、特開平3−59130号公報や特開
平3−64543号公報等にも異収縮混繊糸の技術が開
示されており、これらの技術では異収縮混繊糸を構成す
る繊維群の全部に艶消し剤を含有させ、織編物の透けを
防止した薄地の織編物に好適なポリエステル異収縮混繊
糸の技術が開示されている。これらの技術でも、低収縮
糸と高収縮糸との収縮差はかなり大きく、高収縮糸はか
なり高い収縮率のものが用いられている。上述のように
高収縮性がある繊維に関する技術の開示は多くある。
【0006】一方、ポリエステル繊維製品の軽量化や保
温化を達成するためには、糸条の嵩高性を大きくした
り、織編物の組織を工夫することで、ある程度のレベル
まで達成可能であるが、さらに軽量化を計るためには繊
維自体の軽量化が必要である。その手段の一つとして見
掛上軽量化された中空繊維を用いることが知られてい
る。その中空繊維として、例えば特公昭42−2928
号公報には、中空率50%以下の中空繊維の製法が開示
されており、その他多くの特許公報に中空繊維やその繊
維の製法が開示されている。
【0007】中空繊維を前述の異収縮混繊糸の一成分に
使用すれば、それから得られる織編物は中空繊維の中空
部に相当する分だけ軽量化が計られ、それと同時に中空
部に相当する分だけ保温性が向上するという効果があ
る。しかも中空繊維を異収縮混繊糸の高収縮成分に使用
した場合には、異収縮混繊糸またはその織編物を熱処理
した場合に中空繊維が異収縮混繊糸またはその織編物の
より中心部に位置し、中空繊維の反発性を発揮した異収
縮混繊糸またはその織編物を製造することができる。し
たがって、高収縮性が付与されたポリエステル中空繊維
が強く望まれている。
【0008】しかし、そのような高収縮性に加えてさら
に従来品以上の良好な光沢を有し、軽量で保温性に優
れ、かつ繊維断面が潰れ難い、高品質、高品位のポリエ
ステル中空繊維は、未だに得られていないのが実状であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来のポリエステル中空繊維に比較して、よ
り良好な収縮性と光沢を有し、軽量で保温性に優れ、か
つ繊維断面が潰れ難い、高品質、高品位のポリエステル
中空繊維を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、高収縮性付与成分を2〜20モル%共重合し、固有
粘度(IV)が0.60以上の共重合ポリエステルで形
成されており、繊維断面の外形が円形で、かつ繊維断面
の中心部に中空部を有し、中空部でない部分の肉厚で最
も薄い部分の肉厚(NA)が下記式を満足し、中空部の
中空率が10〜50%であることを特徴とする良好な収
縮性と光沢を有するポリエステル中空繊維によって達成
することができる。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NAは中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(ミクロン) dは繊維の繊度(デニール) 以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のポリエ
ステル中空繊維は、高収縮性付与成分を2〜20モル%
共重合し、固有粘度(IV)が0.60以上の共重合ポ
リエステルで形成させることが必要である。
【0011】本発明で用いる共重合ポリエステルは、前
述したように高収縮性付与成分を2〜20モル%、好ま
しくは4〜17モル%共重合したものである。高収縮性
付与成分の共重合率が2モル%未満では収縮性の向上効
果が不十分であり、またその共重合率が20モル%を超
える量では収縮性は十分高くなるが、溶融紡糸時の紡糸
性が著しく低下するとともに、中空繊維の中空部の形成
性が不良で、繊維の断面形状が不揃いの中空繊維しか得
られない。
【0012】ここでいう高収縮性付与成分とは、ポリエ
ステル中にその高収縮性付与成分を共重合させることに
より、同一製糸条件で製糸した高収縮性付与成分を共重
合させていないポリエステル繊維よりも高い沸騰水収縮
率(以下、単に収縮率という)を示す化合物を意味す
る。その具体例としては、シュウ酸、セバシン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸類、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール等のグリコール類、その他,ビスフェノールA
エチレンオキシド付加物、ビスフェノールスルホンのエ
チレノキシド付加物などが挙げられるが、これらのうち
価格や製糸操業性等の観点からイソフタル酸やビスフェ
ノールAエチレンオキシド付加物が好ましい。
【0013】これらの高収縮性付与成分は、1種または
2種以上を用いることができるが、特に上記イソフタル
酸とビスフェノールAエチレンオキシド付加物との併用
が望ましい。その際、イソフタル酸とビスフェノールA
エチレンオキシド付加物は、前者を3モル%以上、後者
を1モル%以上用いると、繊維製品のソフト感を一段と
向上させることができる。
【0014】また、本発明で用いる共重合ポリエステル
は、固有粘度(IV)0.60以上、好ましくは0.6
3〜0.9が必要である。固有粘度(IV)が0.60
未満では溶融紡糸時の中空繊維の中空部の形成性が著し
く不良で、繊維の断面形状が不揃いの中空繊維となる。
しかも、繊維の強度および伸度が低下し、繊維製造工程
での糸切れが多発するとともに繊維製品製造工程でも毛
羽発生や糸切れなどのトラブルが多発するようになる。
【0015】なお、本発明で用いる共重合ポリエステル
は、艶消し剤を多量に含有すると良好な光沢のある繊維
が得難くなる。したがって、ポリエステル中の艶消し剤
量は0.1重量%以下が好ましく、0.07重量%以下
がより好ましく、0.05重量%以下が最も好ましい。
また、ここでいう共重合ポリエステルは、ポリエチレン
テレフタレートをベースとした共重合ポリエチレンテレ
フタレートのことである。
【0016】次に、本発明のポリエステル中空繊維は繊
維断面の外形を円形とする必要がある。すなわち、繊維
断面の外形が極端な異形であると紡糸時に糸切れが多発
し、また延伸時にも糸切れや毛羽が多発しやすい。な
お、ここでいう円形とは真円であることが最も望ましい
が、必ずしも真円でなくとも、ほぼ真円状であればよ
い。具体的には円または楕円の直径で長い径と短い径の
変化が10%以内の変動があるもの、または糸重心から
最も離れた外周上の点までの距離R1 と糸重心に最も近
い外周上の点までの距離R2 の関係が、[(R1
2 )/R1 ]×100≦10の関係式を満たすもので
あればよい。
【0017】さらに本発明のポリエステル中空繊維は繊
維断面の中心部に中空部、好ましくは三角形状の中空部
を有することが必要である。すなわち、繊維断面の中空
部が中心部にあるということは、中空部が実質的に偏心
していないことを意味する。中空部があることは、その
分だけ繊維が軽量化され、織編物を軽量化することがで
きる。また中空部を三角形状の中空繊維にすることによ
って、良好な光沢が得られる。良好な光沢が得られる理
由は明確ではないが、中空繊維に光が当たった時、艶消
し剤含有量が通常では少量にとどまるため、大部分の光
が中空部にまで入射し、その光が三角形状の中空部の内
壁で再度反射して光沢を高め、それが良好な光沢を発現
しているものと考えられる。さらに中空部が繊維の中心
部にあること、中空部が三角形状であることによって、
延伸時および高次加工工程での中空部の潰れ、即ち,中
空率の低下が少なくなる。一般的に中空糸の製造および
その高次加工工程において、中空繊維はローラ類との接
糸圧やガイド類での摩擦力あるいはその他の外力によっ
て、繊維に側面方向からの圧力が加わり繊維断面が楕円
形や偏平形に潰れ、中空率が低下するようになる。この
現象は中空率が高い中空繊維ほど起こり易い。しかも、
ある中空率を越える場合には、繊維の外形および中空部
が円形の場合に起こり易い。また中空部が繊維の中心部
になく偏在していると、即ち部分的に肉薄部分があると
起こり易い。これに対し本発明のポリエステル中空繊維
は前述したように繊維断面の中心部に中空部を有するの
で潰れ難いものとなる。
【0018】本発明のポリエステル中空繊維の中空部の
好ましい形状としての三角形状について、図1を参照し
ながら説明する。図1は本発明のポリエステル中空繊維
の中空部の形状を説明するための図である。すなわち、
中空繊維の中空部の三角形状の三つの頂点をそれぞれ
a、b、cとし、その3点を直線で結んだ三角形の三つ
の辺をab、bc、caとする。点cから辺abに垂線
cdを引き、垂線cdの延長上での中空部壁との交点を
eとする。点aおよび点bからもそれぞれ辺bc、辺c
aにも垂線を引き、図示するように点f、点g、点h、
点iを定める。本発明のポリエステル中空繊維の中空部
の全容としては好ましくは三角形状、より好ましくは正
三角形であるが、図1のようにおむすび型であってもよ
い。中空部の好ましい形状をまとめると次のとおりであ
る。 (1)辺の線分ab、bc、caのそれぞれの長さは等
しいほどよいが、20%以内の変化があってもよい。 (2)線分ag/線分af、線分bi/線分bh、線分
ce/線分cdのそれぞれの値は、好ましくは1.0〜
1.3、より好ましくは1.0〜1.2の範囲にあるこ
とである。
【0019】本発明のポリエステル中空繊維は、繊維断
面における中空部の占める面積、即ち,繊維の中空率を
10〜50%の範囲とする必要がある。中空率が10%
未満では衣料品としての軽量化の効果が小さく、また保
温効果も小さい。織編物の保温性は先に述べたとおり繊
維間や組織間に空気を含ませる構造にすればある程度高
めることができるが、あまりにも空気を含ませる構造に
すると体温で暖められた空気が対流を起こし、保温性が
低下する。中空糸では糸自体に空気を封じ込めるので対
流がなく保温性を高めることができる。中空率は高いほ
ど繊維製品の軽量化の効果や保温効果は大きく好ましい
が、あまりにも高い中空率の繊維では高次加工工程での
繊維断面の潰れが発生しやすく、衣料品となった時に原
糸の中空率を保持できなくなるとともに、衣料品の着用
中にも繊維断面の潰れが発生するので中空率は50%以
下にとどめる必要がある。軽量化効果、保温効果および
着用中の繊維断面の潰れ易さなどから、好ましい中空率
は15〜40%である。
【0020】また、本発明のポリエステル中空繊維は繊
維断面における中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分
の肉厚(NA)が次の式を満足することが必要である。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NAは中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(ミクロン) dは繊維の繊度(デニール) 例えば、3デニールの繊維では、NAを3.6ミクロン
以上とすることが必要である。なお、ここでいう肉厚と
は、中空繊維の重心と繊維表面を結ぶ線分において繊維
上部分の長さをいう。中空部でない部分の肉厚は、中空
繊維の繊度、中空率および中空部の形状によって決まる
が、いずれにしても肉厚が前記の式を満足することが繊
維断面の潰れを防ぐためには不可欠である。
【0021】さらに、本発明のポリエステル中空繊維
は、収縮率を15%以上に保つことが好ましいが、収縮
率があまり高すぎると織編物が粗硬となり易いため30
%以下とするのがよい。さらにまた、本発明のポリエス
テル中空繊維は、原糸段階での毛羽、即ち紡糸、延伸し
て巻取られた糸の毛羽の有無が高次加工性の良否に大き
く関係し、その影響は従来のポリエステル繊維に比較し
て大きい。したがって、巻取られた糸の毛羽の数は0.
20コ/104 m以下が好ましく、0.10コ/104
m以下がより好ましく、0.05コ/104 m以下が最
も好ましい。
【0022】次に、本発明のポリエステル中空繊維の製
造例について説明する。すなわち、図2aは本発明のポ
リエステル中空繊維用紡糸口金の吐出孔の断面例であ
り、図2b〜dは従来公知のポリエステル中空繊維用紡
糸口金の吐出孔の断面例である。また図3aは図2aの
中空繊維用紡糸口金の吐出孔から紡出された繊維断面の
例であり、図3b〜dの中空繊維用紡糸口金の吐出孔か
ら紡出された繊維断面の例である。
【0023】本発明のポリエステル中空繊維は、高収縮
性付与成分として例えばイソフタル酸10.0モル%を
ポリエステルの重合工程(直接重合)で添加して得た共
重合ポリエステル(艶消し剤は含有量は例えば0.05
重量%のもの)を、例えば図2aで示すような三スリッ
ト型のポリマ吐出孔を有する紡糸口金から溶融紡糸し、
油剤を付与して未延伸糸を得、これを一旦巻き取った後
か、あるいは引き続き延伸することにより得られる。こ
の際、溶融紡糸の糸条の強制冷却は紡糸口金面下3〜1
5cmの距離で冷却風の吹き付けを開始することが中空率
のバラツキを小さくする上で好ましい。さらに延伸に際
しては、ホットロールーホットロール系の延伸機を使用
し、第一ホットロールで75〜100℃に予備加熱し、
第二ホットロールとの間で延伸する方法が毛羽の発生を
少なくするために好ましい。第二ホットロールの温度
は、得ようとする糸条の目標収縮特性に合うように適宜
設定すればよい。得られた繊維の断面形状は図3aに示
されるものと同様である。
【0024】以上述べたとおり、本発明のポリエステル
中空繊維は、高収縮性付与成分を特定量共重合し、固有
粘度を所定値以上のポリエステルからなり、かつ繊維の
断面形状が特定化された中空繊維とすることにより、従
来の中空繊維には求められなかった良好な収縮性と光沢
を有し、軽量で保温性に優れ、かつ繊維断面が潰れ難い
高品位のポリエステル中空繊維を提供することができ
る。また、本発明のポリエステル中空繊維は、単独で織
物または編物に使用することが十分可能であるが、他の
繊維を低収縮糸として複合または混繊して用いるととが
ふくらみと反発性付与の観点から特に好ましく有効であ
る。複合または混繊する際には、高収縮糸と低収縮糸と
の間で収縮率値の差を少なくとも5%以上とするのが好
ましく、8%以上の差とするのがより好ましい。なお、
本発明でいう混繊糸とは2種以上の繊維を公知の混繊処
理装置を用いて得た糸条をいい、また複合糸とは2種以
上の繊維を混繊処理しないで得た糸条をいう。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本例中の物性は次のようにして測定した。 A.収縮率 糸条を0.1g/dの荷重下で試料長(L0 )を測定し
た後、無荷重、無緊張の状態で15分間沸騰水処理を行
う。沸騰水処理後0.1g/dの荷重下で試料長
(L1 )を測定し、次式により算出した。 収縮率=((L0 −L1 )/L0 )×100 (%) B.中空率 繊維の断面写真から次式により算出した。 中空率(%)=(中空部の断面積/繊維の断面積)×1
00 C.固有粘度(IV) 十分洗浄して油剤などをなくし、十分乾燥したサンプル
0.8gをオルソクロルフェノール10c.c に溶解し、
オストワルド粘度計にて25℃で測定した。 D.光沢度 スガ試験機製自動測色色差計を用いて、照射45度、受
光44度の条件で酸化マグネシウム標準光沢板を用いて
基準値を調整した後、アルミ板に巻いたサンプル糸条に
対し繊維軸方向に照射、受光をし光沢度を測定した。 E.毛羽 東レエンジニアリング社のマルチフライカウンターF型
を用いて、延伸糸5本を約400m/min で走行させな
がら各々5×104 mを測定し、カウントされた総数か
ら毛羽数を求めた。 毛羽数(コ/104 m)=(カウント総数/25×10
4 m)×10000 実施例1 高収縮性付与成分をポリエステルの製造工程(直接重
合)での共重合率(モル%)を変更して得た7水準の共
重合ポリエステル(艶消し剤としての二酸化チタン含有
量は0.05重量%)を使用し、紡糸温度285℃で図
2aで示すような吐出孔を24個有する口金を用いて吐
出した後、口金面下8cmの位置で毎分30mの速度の冷
却風をあてて冷却し、平滑性付与油剤を油分付着量が
1.2重量%になるようにコントロールしながら付与し
た後に、紡速1650m/min で巻取った。各水準の共
重合ポリエステルの固有粘度はほぼ0.65(0.61
〜0.63)に調整したものである。
【0026】得られた未延伸糸は、ホットロールーホッ
トロール系の延伸機にて第1ホットロールを88℃とし
て予備加熱し、第2ホットロールとの間で延伸糸伸度が
35±2%となる延伸倍率で延伸しながら第2ホットロ
ール温度120℃で熱処理し、巻取速度800m/min
で巻き上げ、75デニール24フィラメントの中空繊維
糸条を得た。得られた繊維の断面は図3aとほぼ同様で
中空部が三角形状で繊維の中心部にあり、中空部でない
部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)は4.6ミク
ロンであった。得られた繊維糸条の毛羽数は、全ての水
準で0.10コ/104 m以下であった。またそれらの
繊維の中空率は20〜23%の範囲にある。また繊維の
光沢度、収縮率の評価結果を表1に示した。
【0027】
【表1】 表1から明らかなように、実験No.3〜8の繊維(本
発明品)は、光沢度が70%以上と良好であり、その収
縮率も高収縮性付与成分を共重合していない実験No.
1(比較品)の収縮率よりもどの水準とも数%以上高く
良好であった。また、実験No.6(本発明品)は高収
縮性付与成分としてイソフタル酸およびビスフェノール
Aのエチレンオキシド付加物を共重合させたものである
が、この糸条および筒編み地はイソフタル酸を10モル
%共重合させた実験No.5のもの(本発明品)に比較
して一段とソフト感に富むものであった。実験No.1
(比較品)の繊維は、高収縮性付与成分を共重合してい
ないために収縮率が低く不良であった。実験No.2
(比較品)の繊維は、高収縮性付与成分の量が少ないた
めに収縮率が低く不良であった。実験No.9(比較
品)の繊維は、高収縮性付与成分の量が多いために溶融
紡糸時の中空部形成性が不良で繊維断面形状が不揃いの
中空繊維となり、また紡糸性および延伸性が著しく劣る
ばかりか、繊維の光沢度も低いものであった。
【0028】実施例2 実施例1、実験No.6のポリマを用い、図2aの口金
吐出孔でリング状に配設されたスリットの内径を変更し
た口金を用いた以外は、実施例1に準じ、中空率を変更
した中空繊維糸条を得た。得られた糸条の毛羽数は0.
10コ/104m以下であった。また中空部でない部分
の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)は3.4〜6.0
ミクロンの範囲(実験No.13;3.7ミクロン、実
験No.14;3.4ミクロン)と最も薄いものであっ
た。得られた中空繊維糸条および筒編み地に編成したも
のを、実施例1に準じて評価した結果を表2に示した。
【0029】
【表2】 表2において、実験No.10(比較品)の編物は、中
空率が小さいため軽量性の効果が小さく、通常の丸断面
糸と大差なかった。実験No.14(比較品)の編物
は、編成時に繊維の潰れが多発して、編物での中空率は
小さくなっていた。また中空部でない部分の肉厚で最も
薄い部分の肉厚(NA)は、2.1×31/ 2 =3.6
(ミクロン)未満であり、繊維の潰れが多発するととも
に潰れ度合いが大きかった。なお、収縮率は各水準とも
17%以上と良好であった。さらに軽量性や後加工での
繊維断面の形状保持の面で、実験No.11、12およ
び13の繊維(いずれも本発明品)は優れており、各種
の繊維製品として有効に活用できる。
【0030】実施例3 実施例1、実験No.6のポリマを用い、図2b、図2
cの口金吐出孔を有する口金を用いた以外は、実施例1
に準じ、繊維の断面を変更した中空繊維糸条を得、評価
した。得られた繊維の断面は図3b、図3cに示したも
のとほぼ同様であった。評価結果を実施例1の実験N
o.6と比較し表3に示した。
【0031】図3bに示したような繊維断面の外形が三
葉型の中空繊維糸条(実験No.15;比較品、中空率
15.1%)は、紡糸時の糸切れが15回/トンと多
く、また延伸時の毛羽発生も3.8コ/104 mと多
く、糸切れ率も13%と高かった。図3cに示したよう
な中空部が偏心した中空繊維糸条(実験No.16;比
較品)は、中空率が20.3%であったが、編物にした
時に断面の変化が大きく繊維の潰れが発生し、中空率が
13.0%にまで低下した。
【0032】
【表3】 実施例4 実施例1、実験No.6のポリマを用い、図2a、図2
dの口金吐出孔を有する口金を用いて、中空率を約35
%に調整した以外は、実施例1に準じ、繊維の中空部形
状を比較した中空繊維糸条を得、評価した。得られた繊
維の断面は図3a、図3dに示したものとほぼ同様であ
った。評価結果を表4に示した。
【0033】図3dに示したような中空部形状がほぼ真
円の中空繊維糸条(実験No.18;比較品)は中空率
が36.0%であったが、編物にした時に断面の変化が
大きく繊維の潰れが発生し、中空率が26.1%にまで
低下した。また編物において繊維の潰れた部分にはスジ
状のムラが発生し、編物の品位を著しく損ねるものであ
った。図3aに示したような中空部形状がほぼ三角形の
中空繊維糸条(実験No.17;本発明品)は中空率が
35.1%であり、編物にしても繊維の潰れがほとんど
なく中空率も33.7%であり、織物の品位は極めて良
好であった。
【0034】
【表4】 実施例5 実施例1、実験No.6のポリエステル組成で重合時の
条件を変更することで固有粘度(IV)を変更し、溶融
紡糸が正常にできる紡糸温度に変更した以外は実施例1
に準じ、中空繊維糸条を得、評価した。評価結果を表5
に示した。
【0035】
【表5】 固有粘度(IV)が低い実験No.19(比較品)は、
紡糸時の糸切れが多く延伸性も不良であり、糸条の毛羽
が3.9コ/104 mと多発した。また中空率が若干低
かった。実験No.20〜22(本発明品)は、中空
率、製糸性ともに良好であった。ただ実験No.22は
紡糸時の溶融粘度が高いために長時間の紡糸にやや難が
あったが、生産上の支障はなかった。なお、収縮率やそ
の他の特性は各水準とも満足できるものであった。
【0036】
【発明の効果】本発明のポリエステル中空繊維は、高収
縮性付与成分の所定量を共重合し、固有粘度を所定値以
上としたポリエステルで形成され、かつ繊維断面および
中空部形状を特定化することにより、従来の中空繊維に
はない良好な収縮性と光沢を有し、軽量で保温性および
反発性に優れ、かつ繊維断面が潰れ難い高品質、高品位
のポリエステル中空繊維を提供することができる。した
がって、本発明のポリエステル中空繊維は、衣料用素
材、インテリア製品素材、車両内装資材などとして有用
である。特に低収縮性の他の繊維と複合または混繊して
使用したとき、ふくらみと反発性のある高品質、高品位
の繊維製品となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル中空繊維の中空部の形状
を説明するための図である。
【図2】図2aは本発明のポリエステル中空繊維用紡糸
口金の吐出孔の一例を示す概略断面図であり、図2b〜
2dは従来公知のポリエステル中空繊維用紡糸口金の吐
出孔例を示す概略断面図である。
【図3】図3aは図2aの中空繊維用紡糸口金の吐出孔
による中空繊維の概略断面図であり、図3b〜3dは図
2b〜2dの中空繊維用紡糸口金の吐出孔による中空繊
維の概略断面図である。
【符号の説明】
a:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 b:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 c:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 d:上記三角形の辺の線分abに対して点cから引いた
垂線と線分abとの交点 h:上記三角形の辺線分acに対して点bから引いた垂
線と辺線分acとの交点 f:上記三角形の辺の線分bcに対して点aから引いた
垂線と線分bcとの交点 e:上記三角形の線分cdの延長線と辺abとの交点 g:上記三角形の線分afの延長線と辺bcとの交点 i:上記三角形の線分bhの延長線と辺acとの交点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高収縮性付与成分を2〜20モル%共重
    合し、固有粘度(IV)が0.60以上の共重合ポリエ
    ステルで形成されており、繊維断面の外形が円形で、か
    つ繊維断面の中心部に中空部を有し、中空部でない部分
    の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)が下記式を満足
    し、中空部の中空率が10〜50%であることを特徴と
    する良好な収縮性と光沢を有するポリエステル中空繊
    維。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NAは中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
    肉厚(ミクロン) dは繊維の繊度(デニール)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106120058A (zh) * 2016-08-23 2016-11-16 江苏协盛化纤有限公司 一种耐酸性异形棉纤维

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