JPH07292136A - 水素イオン選択透過膜の処理方法 - Google Patents

水素イオン選択透過膜の処理方法

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JPH07292136A
JPH07292136A JP7042083A JP4208395A JPH07292136A JP H07292136 A JPH07292136 A JP H07292136A JP 7042083 A JP7042083 A JP 7042083A JP 4208395 A JP4208395 A JP 4208395A JP H07292136 A JPH07292136 A JP H07292136A
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JP
Japan
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hydrogen ion
ion selective
membrane
selective permeable
permeable membrane
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Withdrawn
Application number
JP7042083A
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English (en)
Inventor
Takeshi Komatsu
健 小松
Ichiro Terada
一郎 寺田
Haruhisa Miyake
晴久 三宅
Tamao Okuya
珠生 奥屋
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 主鎖に芳香環を有する芳香族系重合体の少な
くとも一部の芳香環に1〜3級アミノ基および/または
4級アンモニウム塩基が導入されてなる陰イオン交換体
層を少なくとも片面に有する陽イオン交換膜からなる水
素イオン選択透過膜を、硝酸イオン含有液に浸漬処理す
る。 【効果】 上記特定の水素イオン選択透過膜の水素イオ
ン選択性を、簡易な操作により著しく向上させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水素イオン選択透過
膜の処理方法に関し、詳しくは、水素イオン選択透過膜
の水素イオン選択性を著しく向上させることができる水
素イオン選択透過膜の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決使用とする課題】電気透析法
による膜分離技術は、従来より海水濃縮や脱塩に用いら
れてきた。近年においては、さらに多くのプロセスに、
この技術が応用されるようになった。その一つとして、
酸含有溶液からの酸の濃縮回収への応用を挙げることが
できる。前記酸含有溶液の具体例としては、非鉄金属の
原鉱またはメタルの酸洗工程からの硫酸含有溶液、抽出
またはピックリング工程からの塩酸含有溶液、タンタル
や鉛の処理工程からのフッ酸含有溶液、溶媒抽出エッチ
ング工程からの塩酸、硫酸および/または硝酸含有溶
液、メッキ工程からのクロム酸含有溶液、イオン交換樹
脂再生工程からの酸含有溶液、木材糖化液からの硫酸含
有液等を挙げることができる。
【0003】いずれの分野においても酸含有溶液からの
酸の回収プロセスは、公害防止もしくは公害対策、また
は経済上の見地等より大変重要である。
【0004】このような酸回収プロセスにおいては、効
率良く酸を回収するために水素イオンを透過させるが金
属イオンなど他のイオンは排除するという、水素イオン
の選択透過性に優れた水素イオン選択透過膜が必要であ
る。
【0005】この発明者は、特開平5−228344号
公報において、陽イオン交換膜の表面に特定の陰イオン
交換性の物質を存在させることにより優れた水素イオン
選択透過性を有する水素イオン選択透過膜を得ることが
できることを示した。
【0006】しかしながらこの膜においては、電気透析
槽における脱塩室の酸の濃度が高い場合には優れた水素
イオン選択透過性を示すものの、前記脱塩室の酸の濃度
が低くなると、金属イオンの透過が増加し、水素イオン
に対する選択性が低下することが判明した。
【0007】したがって、脱塩室の酸の濃度が小さい場
合であっても、高い水素イオン選択透過性を示すような
高い選択性を有する水素イオン選択透過膜が望まれてい
た。
【0008】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であり、この発明の目的は、さらに優れた水素イオン選
択透過性を膜に付与することができる水素イオン選択透
過膜の処理方法を提供することにある。
【0009】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ためのこの発明は、芳香環を有する重合体の少なくとも
一部の芳香環に1〜3級アミノ基および/または4級ア
ンモニウム塩基が導入されてなる陰イオン交換基を有す
る陰イオン交換体層を少なくとも片面に有する陽イオン
交換膜からなる水素イオン選択透過膜を、硝酸イオン含
有液に浸漬処理することを特徴とする水素イオン選択透
過膜の処理方法である。
【0010】以下、この発明を詳細に説明する。この発
明の方法における水素イオン選択透過膜は、陽イオン交
換膜の少なくとも片面に陰イオン交換体層を有する。
【0011】前記陰イオン交換体層は、芳香環を有する
重合体の少なくとも一部の芳香環に1〜3級アミノ基お
よび/または4級アンモニウム塩基が導入されてなる。
【0012】前記陰イオン交換体層としては、スチレン
とクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンとの共重合
体、ビニルピリジン系重合体、ビニルアニリン系重合
体、ビニルイミダゾール系重合体、ポリフェニレンオキ
サイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルホン等であって、その芳香環中に1〜3級アミノ
基および/または4級アンモニウム塩基が導入されてな
る重合体を挙げることができる。
【0013】上記の重合体の外に好ましい前記陰イオン
交換体層としては、機械的性質、耐熱性、耐薬品性およ
び薄膜成形性に優れている点からして、主鎖中に芳香環
を有する芳香族系重合体であって少なくとも一の繰り返
し単位内に一般式(化1)
【0014】
【化1】
【0015】で示される芳香族系重合体であって、その
芳香環中に1〜3級アミノ基および/または4級アンモ
ニウム塩基が導入されてなる重合体を挙げることができ
る。
【0016】この陰イオン交換体層が、イオン交換基が
導入されたセグメントとイオン交換基が実質的に導入さ
れていないセグメントとからなる芳香族系ブロック共重
合体であるときには、この発明の方法により得られる複
層イオン交換膜であるところの、水素イオン選択透過性
複層イオン交換膜の水素イオン選択透過性が高く、かつ
機械的性質に優れているので好ましい。
【0017】前記芳香族系ブロック共重合体としては、
主鎖中に芳香環を有する芳香族系重合体であって少なく
とも一の繰り返し単位内に一般式(化2)
【0018】
【化2】
【0019】で示される芳香族系ブロック共重合体を挙
げることができる。
【0020】前記芳香族系ブロック共重合体として、例
えば、ポリフェニレンオキシド/ポリエーテルスルホン
ブロック共重合体、ポリフェニレンスルフィド/ポリエ
ーテルスルホンブロック共重合体、ポリアリールエーテ
ルエーテルスルホン/ポリエーテルスルホンブロック共
重合体、ポリアリールエーテルアリレート/ポリアクリ
レートブロック共重合体、およびポリアリールエーテル
スルホン/ポリチオエーテルスルホンブロック共重合体
を挙げることができる。
【0021】前記陰イオン交換体層の中でも好ましいの
は、一般式(化3)
【0022】
【化3】
【0023】で示される芳香族系ブロック共重合体であ
って、その芳香環中に1〜3級アミノ基および/または
4級アンモニウム塩基が導入されてなる重合体を挙げる
ことができる。
【0024】このような芳香族系ブロック共重合体を有
する陰イオン交換体層は、耐薬品性、水素イオン選択透
過性、成形加工性および機械的性質に優れ、さらに薄膜
化が可能であり、低抵抗であると言う優れた特性を有す
る。
【0025】芳香環を有する重合体における、少なくと
も一部の芳香環に1〜3級アミノ基および/または4級
アンモニウム塩基を導入する方法としては、(a)芳香
族環例えばベンゼン環またはナフタレン環にアミノアル
キル基を導入し、必要によりハロゲン化アルキルとの反
応により4級アンモニウム塩に転換する方法、(b)芳
香族環例えばベンゼン環またはナフタレン環の水素をハ
ロアルキル基に置換し、アミンと反応させる方法、
(c)芳香族環例えばベンゼン環またはナフタレン環に
アルキル基が導入されている場合には、そのアルキル基
をハロアルキル基に転換した後に、NH3 、1〜2級ア
ミンまたは3級アミンで処理する方法等を挙げることが
できる。
【0026】これら各種の方法の内、反応が容易に進行
し、イオン交換容量の調整を容易に行えること、および
ハロアルキル基の反応性を利用して架橋を導入すること
ができるという点で、前記(b)方法又は(c)のハロ
アルキル化−アミノ化反応を利用した方法が好ましい。
【0027】ハロアルキル基の導入方法としては、
(b)方法であって、クロルメチルメチルエーテル、
1,4−ビス(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメ
トキシ−4−クロロブタン、ホルマリン−塩化水素もし
くはパラホルムアルデヒド−塩化水素等を使用する親電
子反応性のクロルメチル化反応を利用する方法、または
(c)方法であって、塩素や臭素により直接にアルキル
基をハロゲン化する方法、N−ブロモスクシンイミドを
用いて光の存在下で臭素化する方法、もしくは相間移動
触媒の存在下でハロゲン化する方法等を挙げることがで
きる。
【0028】かくしてハロアルキル化例えばクロルメチ
ル化された重合体、すなわちハロアルキル化重合体は、
好ましくは以下の方法にて複層イオン交換膜にすること
ができる。
【0029】(A) ハロアルキル化重合体例えばクロルメ
チル化重合体を溶媒に溶解し、得られる溶液にアミンを
添加し、陰イオン交換樹脂溶液を形成してから、陽イオ
ン交換膜上に流延し、乾燥する。(B) ハロアルキル化重
合体例えばクロルメチル化重合体を溶媒に溶解し、得ら
れる溶液を陽イオン交換膜上に流延し、複層膜状に形成
した後、NH3 または1〜3級アミンと接触させる。
(C) ハロアルキル化重合体例えばクロルメチル化重合体
を溶媒に溶解し、例えば20〜80%の3級アミンを添
加し、陰イオン交換樹脂溶液とし、陽イオン交換膜上に
流延し、複層膜状に形成してから、加熱処理し、ルイス
酸と接触させ、あるいは少なくとも2個以上のアミノ基
を有するアミンと反応させて架橋構造を導入する。
【0030】ここで、この発明における陽イオン交換膜
としては、海水濃縮や電解質溶液の濃縮または脱塩に使
用されている炭化水素系陽イオン交換膜や、水電解や燃
料電池に使用されているパーフルオロスルホン酸重合体
からなる陽イオン交換膜を挙げることができる。中でも
入手が容易なことおよび表面に積層される陰イオン交換
体溶液に対する塗布性が良いことから、好ましくはスチ
レンまたはその誘導体とジビニルベンゼンとの共重合体
を母体とし、スルホン酸基などの強酸性陽イオン交換基
を有する陽イオン交換膜が使用される。
【0031】この発明における陽イオン交換膜として
は、均一型および不均一型のいずれでも良く、また必要
に応じて補強体を有していても良い。
【0032】この発明において、陽イオン交換膜と陰イ
オン交換体層を複層化する方法としては特に限定されず
公知の方法が使用できる。
【0033】好ましい方法としては、陽イオン交換膜上
に陰イオン交換体層を形成するポリマーの溶液を流延、
乾燥し、複層化する方法、および陽イオン交換膜と陰イ
オン交換体層とを別々に製膜後、熱圧着等の方法で複層
化する方法(キャスト法)を挙げることができる。これ
らの方法によると、水素イオン選択性に優れる水素イオ
ン選択透過膜を製造することができる。
【0034】特に好ましいのは、陽イオン交換膜と陰イ
オン交換体層とを別々に製膜し、陽イオン交換膜と陰イ
オン交換体膜とを熱圧着にすることにより複層化する方
法である。この方法によると、均一な陰イオン交換体膜
を形成することができ、特に優れた水素イオン選択性を
有する水素イオン選択透過膜を得ることができる。
【0035】前記水素イオン選択透過膜中の前記陰イオ
ン交換体層は、そのイオン交換容量が0.5〜4.5ミ
リ当量/g乾燥樹脂であるのが好ましく、特に1.0〜
3.0ミリ当量/g乾燥樹脂であるのが好ましく、さら
には1.2〜2.2ミリ当量/g乾燥樹脂であるのが好
ましい。前記イオン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥
樹脂より小さいと膜抵抗が急激に上昇し、また電気透析
時の限界電流密度も低くなるので好ましくない。一方、
前記イオン交換容量が4.5ミリ当量/g乾燥樹脂より
大きいと水素イオンの選択性および機械的強度が急激に
低下するので好ましくない。
【0036】前記水素イオン選択透過膜中の前記陽イオ
ン交換膜は、そのイオン交換容量が0.5〜5.0ミリ
当量/g乾燥樹脂であるのが好ましく、特に0.7〜
4.0ミリ当量/g乾燥樹脂であるのが好ましく、さら
には0.9〜3.5ミリ当量/g乾燥樹脂であるのが好
ましい。前記イオン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥
樹脂より小さいと膜抵抗が急激に上昇し、また電気透析
時の限界電流密度も低くなるので好ましくない。一方、
前記イオン交換容量が5.0ミリ当量/g乾燥樹脂より
大きいと水素イオンの選択性および機械的強度が急激に
低下するので好ましくない。
【0037】この発明における前記陰イオン交換体層の
膜厚は、通常0.001〜100μmであり、好ましく
は0.01〜30μmであり、特に好ましくは0.1〜
10μmである。前記陰イオン交換体層の膜厚が0.0
01μmより薄いと、陽イオン交換膜上に均一な緻密膜
が形成されにくくて選択性が低下し、100μmより厚
いと膜抵抗が高くなり、また電気透析時の限界電流密度
も低くなるので好ましくない。膜厚が、前記の特に好ま
しい範囲内であると、陽イオン交換膜上に特に均一な緻
密膜を形成することができ、優れた選択性および優れた
長期安定性が達成される。
【0038】この発明に使用される前記水素イオン選択
透過膜は、優れた寸法安定性、優れた取り扱い性等を与
える大きな強度を付与するために、多孔性基材により補
強することができる。
【0039】多孔性基材として織布、編布、不織布等を
挙げることができる。これらの多孔性基材は、陽イオン
交換膜に埋め込んでそれ自体が補強された水素イオン選
択透過膜として使用することができる外に、さらに層状
にした多孔性基材層と水素イオン選択透過膜層とを複層
化し、さらに補強された複層膜とすることもできる。
【0040】水素イオン選択透過膜の形状は、一般的な
平面状だけでなく、袋状、中空管などにすることもでき
る。
【0041】この発明の方法においては、前記水素イオ
ン選択透過膜を硝酸イオン含有液で浸漬処理する。
【0042】前記硝酸イオン含有液としては、硝酸、硝
酸水溶液をはじめ、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、
硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム等の無機硝酸塩を
含有する液、硝酸アルキルアンモニウム等の有機硝酸塩
を含有する液などを挙げることができる。
【0043】前記硝酸イオン含有液には、硫酸、塩酸な
どの無機酸、酢酸、蟻酸などの有機酸、又はメタノー
ル、エタノール等の低級アルコール、特に炭素数1〜3
の低級アルコールなどを添加することもできる。
【0044】いずれにしても、前記水素イオン選択透過
膜を浸漬する浸漬液中には、硝酸イオン濃度が0.01
〜10mol/l、特に0.1〜5mol/lであるの
が好ましい。硝酸イオン濃度が0.01mol/l未満
であると水素イオン選択性の向上効果が小さく、一方、
硝酸イオン濃度が10mol/lを越えると膜の寸法変
化が大きくなり実用的でないことがある。
【0045】硝酸イオン含有液中に浸漬する時間は、通
常0.1時間〜1ヵ月であり、好ましくは1時間〜10
日間である。前記浸漬時間が0.1時間より短いと水素
イオン選択性の向上が小さく、また1ヵ月より長いと処
理に見合った向上効果が得られず効率的でないので好ま
しくない。
【0046】浸漬温度は通常10〜90℃であり、好ま
しくは20〜70℃である。前記範囲内であると効率的
な膜処理を行うことができる。特に好ましい温度範囲は
35〜50℃である。この範囲で処理を行なうと特に高
い水素イオン選択透過性を有する水素イオン選択透過膜
を得ることができる。
【0047】浸漬処理する時期は製膜後であれば、特に
限定はなく、製膜直後の膜を浸漬処理してから透析槽に
組み込んでも良いし、製膜した膜を透析槽に組み込んで
から硝酸イオン含有液を透析槽内に満たすことにより浸
漬処理を行っても良い。さらに、透析槽に組み込んで運
転している途中に処理を行ってもよい。
【0048】この発明の方法により得られた水素イオン
選択透過性複層イオン交換膜は、酸を含有する溶液、排
液、処理済液等から酸を有利に回収することができる。
この水素イオン選択透過性複層イオン交換膜により有利
に回収することのできる酸としては、特に限定は無く、
たとえば硝酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、シュウ
酸、コハク酸、クエン酸等の有機酸であっても良い。
【0049】
【実施例】以下、この発明を実施例により詳述するが、
この発明はかかる実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0050】実施例1および比較例1に示す方法により
水素イオン選択透過膜を作成した。実施例1における浸
漬処理を施した後の水素イオン選択透過性複層イオン交
換膜、および比較例1における浸漬処理を施さなかった
水素イオン選択透過膜について、以下に示す方法により
水素イオン選択透過性を評価し、評価の結果を表1に示
した。
【0051】(1)水素イオン選択透過性 先ず、電気透析槽内に、実施例に関しては水素イオン選
択透過性複層イオン交換膜および比較例に関しては水素
イオン選択透過膜における陰イオン交換体層が脱塩室側
を向くように水素イオン選択透過性複層イオン交換膜
(実施例)または水素イオン選択透過膜(比較例)を両
極間に配置した。
【0052】前記電気透析槽における脱塩室に、0.5
NのHClおよび0.5NのFeCl2 を含有する溶液
を充填し、前記電気透析槽における濃縮室には3NのH
Cl溶液を充填した。
【0053】電流密度3A/dm2 にて電気透析を行な
い、濃縮室に透過する鉄イオンおよび水素イオンの電流
効率を測定し、次式に従い水素イオン選択透過性を求め
た。
【0054】水素イオン選択透過性=水素イオンの輸率
/鉄イオンの輸率 (実施例1〜5)特開昭61−168629号公報に記
載された合成法と同様にして、4,4’−ジフェノール
とジクロロジフェニルスルホンとを反応させ、芳香族ポ
リスルホンのユニットからなるm=10のプリカーサー
を合成した。次いで該プリカーサーとジクロロジフェニ
ルスルホンと硫化ナトリウムとを反応させ、次式で示さ
れる芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共
重合体を得た。
【0055】
【化3】
【0056】(ただし、式中、m/nは1/1である。
この芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共
重合体の固有粘度は0.50である。) 次いで、この共重合体を1,1,2,2−テトラクロロ
エタンに溶解した後、クロルメチルメチルエーテルおよ
び無水塩化スズを添加し、110℃で、4時間反応させ
た。反応終了後、メチルアルコールで沈殿させ、かつ洗
浄し、クロルメチル化共重合体を得た。
【0057】得られたクロルメチル化共重合体のクロル
メチル基の導入量は、1繰り返し単位に約1.9個の割
合であり、導入されたクロルメチル基の全てをトリメチ
ルアミンと反応させた場合にはイオン交換容量が2.2
ミリ当量/g樹脂になる量であった。
【0058】次いで、得られたクロルメチル化共重合体
をN,N−ジメチルホルムアミド溶液に溶解し、10重
量%溶液を調製した。この溶液に1Nトリメチルアミン
のN,N−ジメチルホルムアミド溶液をイオン交換容量
が1.2ミリ当量/g樹脂となるように添加し、モノア
ミンでアミノ化したアミノ化ポリマーのN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液を得た。次いで、得られたアミノ化
ポリマー溶液を、スチレン系陽イオン交換膜上に流延、
乾燥させることによりスチレン系陽イオン交換膜上に陰
イオン交換体層を形成し、水素イオン選択透過膜を得
た。
【0059】前記スチレン系陽イオン交換膜は、以下の
ようにして得た。すなわち、スチレン60重量%、ジビ
ニルベンゼン15重量%、ブチルアクリレート15重量
%およびNBRゴム10重量%を混合して得られたモノ
マー液をポリ塩化ビニル製の織布に含浸させ、60℃で
16時間反応させた。次いで得られた膜を98%硫酸に
60℃で30時間浸漬処理することによりスルホン化を
行ないスチレン系陽イオン交換膜を得た。得られた陽イ
オン交換膜のイオン交換容量は3.0ミリ当量/g乾燥
樹脂であった。
【0060】上述のようにして得られた水素イオン選択
透過膜を、20℃または35℃に維持した0.1M、
0.5M、3Mまたは6Mの硝酸中に浸漬し、2日間処
理した。この硝酸浸漬処理後の水素イオン選択透過膜す
なわち水素イオン選択透過性複層イオン交換膜について
水素イオン選択透過性を評価した。評価結果を表1に示
した。
【0061】(比較例1)実施例1におけるのと全く同
様にして、水素イオン選択透過膜を作成した。この水素
イオン選択透過膜について、硝酸による浸漬処理を行な
わずに水素イオン選択透過性を評価した。評価結果を表
1に示した。
【0062】(実施例6)陰イオン交換体層のイオン交
換容量を5.0ミリ当量/g乾燥樹脂にした他は前記実
施例1と同様にして得られた水素イオン選択透過膜を使
用して、実施例1と同様にして20℃、硝酸濃度0.5
Mの条件で浸漬処理することにより水素イオン選択透過
性複層イオン交換膜を得た。これについて水素イオン選
択透過性を評価し、結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】なお、陰イオン交換体層のイオン交換容量
が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂未満である水素イオン選
択透過膜は、選択性は高いものの抵抗が高いことを、こ
の発明者らは把握している。
【0065】(実施例7〜10)実施例1におけるのと
全く同様にして、水素イオン選択透過膜を作成した。こ
の水素イオン選択透過膜を、表2に示した濃度の硝酸ナ
トリウム水溶液中に表2に示した温度条件下で浸漬し、
2日間処理した。この浸漬処理後の水素イオン選択透過
膜すなわち水素イオン選択透過性複層イオン交換膜につ
いて水素イオン選択透過性を評価した。評価結果を表2
に示した。
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】この発明によると、特定の水素イオン選
択透過膜に極めて簡単な処理を施すことにより、その水
素イオン選択性を著しく向上させることのできる水素イ
オン選択透過膜の処理方法を提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】電気透析
法による膜分離技術は、従来より海水濃縮や脱塩に用い
られてきた。近年においては、さらに多くのプロセス
に、この技術が応用されるようになった。その一つとし
て、酸含有溶液からの酸の濃縮回収への応用を挙げるこ
とができる。前記酸含有溶液の具体例としては、非鉄金
属の原鉱またはメタルの酸洗工程からの硫酸含有溶液、
抽出またはピックリング工程からの塩酸含有溶液、タン
タルや鉛の処理工程からのフッ酸含有溶液、溶媒抽出エ
ッチング工程からの塩酸、硫酸および/または硝酸含有
溶液、メッキ工程からのクロム酸含有溶液、イオン交換
樹脂再生工程からの酸含有溶液、木材糖化液からの硫酸
含有液等を挙げることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
題を解決するための手段】前記課題を解決するため
のこの発明は、芳香環を有する重合体の少なくとも一部
の芳香環に1〜3級アミノ基および/または4級アンモ
ニウム塩基が導入されてなる陰イオン交換基を有する陰
イオン交換体層を少なくとも片面に有する陽イオン交換
膜からなる水素イオン選択透過膜を、硝酸イオン含有液
に浸漬処理することを特徴とする水素イオン選択透過膜
の処理方法である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/12 A (72)発明者 奥屋 珠生 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地旭 硝子株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香環を有する重合体における、少なく
    とも一部の芳香環に1〜3級アミノ基および/または4
    級アンモニウム塩基が導入されてなる陰イオン交換体層
    を少なくとも片面に有する陽イオン交換膜からなる水素
    イオン選択透過膜を、硝酸イオン含有液に浸漬処理する
    ことを特徴とする水素イオン選択透過膜の処理方法。
  2. 【請求項2】 主鎖に芳香環を有する芳香族系重合体に
    おける少なくとも一の繰り返し単位内に一般式(化1) 【化1】 で示される構造を有する芳香族系重合体の、少なくとも
    一部の芳香環に1〜3級アミノ基および/または4級ア
    ンモニウム塩基が導入されてなる陰イオン交換体層を少
    なくとも片面に有する陽イオン交換膜からなる水素イオ
    ン選択透過膜を、0.2〜5.0mol/l硝酸イオン
    含有液に浸漬処理することを特徴とする水素イオン選択
    透過膜の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記芳香族系重合体が、一般式(化2) 【化2】 で示される芳香族系ブロック共重合体である前記請求項
    2に記載の水素イオン選択透過膜の処理方法。
  4. 【請求項4】 前記芳香族系重合体が、一般式(化3) 【化3】 で示される芳香族系ブロック共重合体である前記請求項
    2に記載の水素イオン選択透過膜の処理方法。
  5. 【請求項5】 前記陰イオン交換体層は、イオン交換容
    量が0.5〜4.5ミリ当量/g乾燥樹脂で、厚みが
    0.001〜100μmである請求項1〜4のいずれか
    に記載の水素イオン選択透過膜の処理方法。
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