JP3491352B2 - 水素イオンの選択的電気透析方法 - Google Patents

水素イオンの選択的電気透析方法

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JP3491352B2
JP3491352B2 JP23555394A JP23555394A JP3491352B2 JP 3491352 B2 JP3491352 B2 JP 3491352B2 JP 23555394 A JP23555394 A JP 23555394A JP 23555394 A JP23555394 A JP 23555394A JP 3491352 B2 JP3491352 B2 JP 3491352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素イオンの選択的電
気透析方法、およびそれに用いる複層イオン交換膜に関
する。詳しくは、金属イオン、または有機物の陽イオン
と水素イオンを含む溶液より、水素イオンを選択的に電
気透析できる水素イオンの選択的電気透析方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気透析法による膜分離技術は、従来よ
り海水濃縮や脱塩に用いられてきたが、近年その他の種
々のプロセスにも使用されるようになってきた。その一
つが酸含有溶液からの酸の濃縮回収であり、このプロセ
スは公害上及び、経済上の見地より重要さを増してきて
いる。これは例えば、非鉄金属の原鉱又はメタルの酸洗
工程からの硫酸含有溶液、抽出又はピックリング工程か
らの塩酸含有溶液、タンタルや鉛の処理工程からのフッ
酸含有溶液、溶媒抽出エッチング工程からの塩酸、硫酸
又は硝酸含有溶液、メッキ工程からのクロム酸含有溶
液、イオン交換樹脂再生工程からの酸含有溶液、木材糖
化液からの硫酸回収溶液、といった酸含有溶液からの酸
の濃縮回収である。このような電気透析による酸回収プ
ロセスにおいては、効率良く酸を回収するために水素イ
オンを選択的に透過させ、金属イオンは排除する水素イ
オン選択透過膜が必須である。
【0003】このような水素イオンの選択的電気透析に
関し、本発明者は、特開平5−228344において、
表面に特定の陰イオン交換性の物質を存在させた陽イオ
ン交換膜を使用することにより優れた水素イオン選択透
過性が実現できることを示した。
【0004】しかしながら上記方法においては、低抵抗
で高い水素イオンの透過性を実現するために、陽イオン
交換膜を薄くしようとすると強度が低下し、更に十分な
性能と安定性、更に機械的強度を兼ね備えた膜を使用し
た水素イオンの選択的電気透析方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の課題を満たそうとするものであり、水素イオンの透過
性が高く、低抵抗で且つ十分な機械的強度を有し、性能
安定性に優れた水素イオン選択透過膜を使用した電気透
析方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極側の水素
イオンとその他の陽イオンを含有する水溶液から、隔膜
を通じて水素イオンを選択的に陰極側に透過せしめる水
素イオンの選択的電気透析方法において、上記隔膜が、
イオン交換容量が0.5〜4ミリ当量/g乾燥樹脂、固
定イオン濃度が1〜20ミリ当量/gHO、膜厚が
0.1〜20μmである陽極側の陰イオン交換体層と、
膜厚が0.1〜50μmである中間の陽イオン交換体層
と、ポリオレフィン製、またはポリフルオロオレフィン
製であり、多孔度が10〜90%、膜厚が5〜300μ
mである陰極側の多孔層とが積層されてなる複層イオン
交換膜であり、当該複層イオン交換膜における上記多孔
層の膜厚が、上記陽イオン交換体層および上記陰イオン
交換体層のいずれよりも大きいことを特徴とする水素イ
オンの選択的電気透析方法である
【0007】以下に本発明を詳しく説明する。本発明で
使用される複層イオン交換膜は、陽極側の陰イオン交換
体層と中間の陽イオン交換体層と、更に陰極側の多孔層
とからなる少なくとも3層の構造にしたことが重要であ
。通常は膜強度を保持させる陽イオン交換体層に代わ
って多孔層に強度を保持させ、陽イオン交換体層及び陰
イオン交換体層は、その要求される特性を向上させ、か
つ膜厚を薄くすることにより低抵抗かつ、水素イオンの
高選択性を有する膜が得られる。
【0008】この発明における陰イオン交換体層は、イ
オン交換容量が0.5〜4ミリ当量/g乾燥樹脂であ
、なかでも1〜3ミリ当量/g乾燥樹脂、特には1.
2〜2.2ミリ当量/g乾燥樹脂であるものが好ましく
用いられる。イオン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥
樹脂より小さいと膜抵抗が急激に上昇し、また電気透析
時の限界電流密度も低くなり好ましくない。また4ミリ
当量/g乾燥樹脂より大きいと水素イオンの選択性が低
下し、好ましくない。イオン交換容量が1〜3ミリ当量
/g乾燥樹脂であると、膜抵抗や限界電流密度及び水素
イオン選択性等の性能が特に優れたものが得られ、更に
1.2〜2.2ミリ当量/g乾燥樹脂であると性能安定
性及び薄膜成形性に優れており好ましい。
【0009】また陰イオン交換体層の固定イオン濃度
は、1〜20ミリ当量/gH2であり、なかでも3〜
15ミリ当量/gH2O、特には6〜12ミリ当量/g
2であるものが好ましく用いられる。固定イオン濃
度が1ミリ当量/gH2Oより小さいと水素イオンとそ
の陽イオンの選択性が低下し、20ミリ当量/gH
2Oより大きいと膜抵抗が高くな。固定イオン濃度が
3〜15ミリ当量/gH2Oであると、水素イオン選択
性に優れ、膜抵抗も著しく増大させないので膜性能とし
て優れたものが得られ、更に6〜12ミリ当量/gH2
Oであると性能安定性及び薄膜成形性に優れており好ま
しい。
【0010】次に陰イオン交換体層の膜厚は、陽イオン
交換体層及び多孔層のいずれよりも小さくするのが好ま
しく、0.1〜20μmとし、なかでも0.2〜10μ
m、特には0.5〜5μmとするのが適当である。膜厚
が0.1μmより薄いと、ピンホール等の欠陥が多くな
り選択性が低下し、20μmより厚いと膜抵抗が高くな
り、また電気透析時の限界電流密度も低くな。陰イオ
ン交換体層の膜厚が0.2〜10μmであると、膜抵抗
の著しい増大を招かず、しかも欠陥の発生が少ないので
優れた膜性能の膜が得られ、更にそのなかでも0.5〜
5μmのものであると性能安定性にも優れており好まし
い。
【0011】本発明において陰イオン交換体層を構成す
る陰イオン交換体としては特に制限はないが、耐熱性、
耐薬品性、機械的強度の点から主鎖に芳香環を含有する
陰イオン交換体が好ましい。例えば、ポリフェニレンオ
キサイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、
ポリスルホン及びこれらの重合体を含有する共重合体
を、ハロメチル化後アミノ化したものなどが挙げられ
る。
【0012】それらのなかでも式(1)で表される繰り
返し単位を含有する芳香族系重合体ハロアルキル化
アミノ化したものが耐薬品性や選択透過性に優れ好
ましい。
【0013】
【化3】
【0014】更に、上記芳香系重合体として、式
(2)で表されるブロック共重合体ハロアルキル化後
アミノ化したものを使用することが、耐薬品性、選択透
過性に加え、成形加工性及び機械的性質に優れており、
薄膜化が可能であり低抵抗の陰イオン交換層形成できる
ことより特に好ましい。
【0015】
【化4】
【0016】但し、式中X、Y、Arは一般式(1)と
同じ。Zは、−SO2−、−O−又は−S−を示す。R8
〜R11は、互いに同一又は異なる炭素数1〜8の炭化水
素基、f〜iは0〜4、1は0〜1、m,nは2〜20
0の整数であり、m/nは0.1〜100を示す。
【0017】かかるブロック共重合体としては、例えば
ポリフェニレンオキシド/ポリエーテルスルホンブロッ
ク共重合体、ポリフェニレンスルフィド/ポリエーテル
スルホンブロック共重合体、ポリアリールエーテルスル
ホン/ポリエーテルスルホンブロック共重合体、ポリア
リールエーテルアリレート/ポリアクリレートブロック
共重合体、及びポリアリールエーテルスルホン/ポリチ
オエーテルスルホンブロック共重合体が挙げられ、この
ような芳香族系ブロック共重合体にハロアルキル基を導
入した後アミノ化したものは、特開平2−211257
に記載されている方法によって得ることができる。
【0018】本発明におけるポリオレフィンまたはポリ
フルオロオレフィンの多孔層の多孔度は10〜90%
あり、なかでも30〜85%、特には45〜80%であ
るのが好ましい。また、上記多孔層の膜厚は上記陽イオ
ン交換体層及び陽イオン交換体のいずれよりも大きくす
るのが好ましく、5〜300μmとし、なかでも10〜
200μm、特には20〜150μmとするのが好まし
い。多孔度が10%より低いと膜抵抗が上昇し、90%
より高いと膜強度が著しく低下する。多孔度が30〜8
5%であると膜強度が高いものが得られ耐久性にも優れ
ており、更に45〜80%であると性能安定性にも優れ
ており好ましい。膜厚が5μmより薄いと膜強度が低下
し、300μmより厚いと膜抵抗が高くなる。膜厚が1
0〜200μmであると、膜強度と抵抗の両方を満足
し、更に20〜150μmであると耐久性及び性能安定
性も優れ好ましい。多孔層は、適宜の材質の織布又は不
織布を挿入することにより、補強することもできる。
【0019】本発明で使用されるポリオレフィンまた
ポリフルオロオレフィン多孔層の材質としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−
1、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレ
ン共重合体、フルオロオレフィン系モノマー/オレフィ
ン系モノマー共重合体等を挙げることができる。なかで
も成形加工性、膜強度等の観点からポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレ
ン/ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラ
フルオロエチレン/ポリヘキサフルオロプロピレン共重
合体、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
【0020】本発明における陽イオン交換体層の膜厚
は、上記陰イオン交換体層よりも大きいが、上記多孔層
よりも小さくするのが好ましく、0.1〜50μmとす
。膜厚が0.1μmより薄いと欠陥が著しく発生し、
また50μmより厚いと膜抵抗が大きくな。なかでも
膜厚が1〜40μmであると透過性及び選択性の両方に
優れた性能が得られ、更に膜厚が5〜30μmであると
性能安定性にも優れており好ましい。
【0021】陽イオン交換体層としては、特に限定され
ず公知の陽イオン交換膜を用いることができる。例え
ば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等のイ
オン交換基を有し、主鎖が炭化水素系のもの、あるいは
パーフルオロ系のものが使用できる。なかでも式(3
有する重合体からなるパーフルオロカーボン重合体
は、特性及び成形加工性の観点から好ましい材料であ
る。
【0022】
【化5】
【0023】なお、上記において、mは0又は1、n=
1〜5、X/Yは、2〜16、XはSO3M、Mは水素
又はアルカリ金属を示す。
【0024】また、陽イオン交換膜は均一型、不均一型
の何れでもよく、また必要に応じて補強体を有していて
もよい。
【0025】陽イオン交換膜の他の好ましい例として
は、(1)スチレン又はその誘導体とジビニルベンゼ
ン又はその誘導体との共重合体を母体とし、強酸性陽イ
オン交換基を有する膜、(2)スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体のスルホン化物を含有してなる膜、(3)
塩化ビニル樹脂製又はポリオレフィン樹脂製の織布又は
不織布を、調製されたスチレン−ジビニルベンゼンモノ
マーシロップに浸漬させた後に、放射線や熱により重合
させ、得られた重合体をスルホン化することにより得ら
れる陽イオン交換膜が挙げられる。
【0026】本発明において、イオン交換体層と陰イ
オン交換体層と多孔体層とを複層化する方法としては特
に限定されず、公知の方法が使用できる。例えば、
オン交換体層と陰イオン交換体層と多孔体層とをそれぞ
れ別々に製膜後、3者を熱圧着等の方法で複層化する方
法、又は、まず多孔層を製膜し、該多孔層上に陽イオン
交換体層を製膜し、更にその上に陰イオン交換体層を形
成するポリマーの溶液を流延、乾燥し、複層化する方法
等が挙げられる。
【0027】本発明で電気透析を行う場合、上記した複
層イオン交換膜を使用したは、従来公知の方法が採用
できる。即ち、一般に両電極間に上記複層イオン交換膜
と陰イオン交換膜を交互に配して電気透析槽を構成す
陰イオン交換膜としては特に制限されないが、酸濃
縮室に酸を高い電流効率で生成するためには、弱塩基性
の陰イオン交換膜が好ましい。例えば、スチレン−ジビ
ニルベンゼン共重合体をベースとして、弱塩基性陰イオ
ン交換基を導入した膜、あるいは4−ビニルピリジン−
ジビニルベンゼン重合体をベースとした弱塩基性陰イ
オン交換基を有する膜が挙げられる。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明は、かかる実施例により限定されるものではない。実
施例中の電気透析による水素イオンの選択透過性、膜電
圧降下(抵抗の指標)、及び限界電流密度は以下のよう
にして測定した。
【0029】(1)水素イオンの選択透過性 両極間に、複層イオン交換膜を陰イオン交換体層が陽極
側を向くようにして陰イオン交換膜と交互に配し、電気
透析槽を構成する。この電気透析槽の脱塩室側に、0.
5NのHClと0.5NのFeCl2を含む溶液を供給
し、濃縮液側に3NのHClを供給し、3A/dm2
て電気透析を行う。濃縮室に透過する鉄イオンと水素イ
オンの電流効率(輪率)を用いて、次式により水素イオ
ン選択透過性を求める。 水素イオン選択透過性=水素イオンの輸率/鉄イオンの
輸率
【0030】(2)膜電圧降下(抵抗の指標) 上記測定において水素イオン選択透過膜(複層イオン交
換膜)の両側に塩橋を入れ膜電位を測定し、その差を電
圧降下として算出した。
【0031】(3)限界電流密度 上記の測定と同様な系を組み電気透析を行う際に、電流
密度を変化させ電圧値を測定する。電流密度と電圧値は
通常比例関係になり直線が得られるが、ある電流密度の
点から上は直線に屈曲点が生じ、この点を限界電流密度
とする。
【0032】[実施例1] 特開昭61−168629に記載された合成法と同様に
して母材ポリマーを合成した。4,4’−ジフェノール
0.36モルとジクロロジフェニルスルホン0.396
モルとを溶媒としてのN−メチルピロリドン250ml
中に入れ、4,4’−ジフェノールの−OH基を−OK
にするための炭酸カリウム0.47モル、炭酸カリウム
が反応して−OH基が−OK基に変換される際に発生す
る水を除去するためのトルエン60gをオートクレーブ
に入れ、190℃まで約6時間かけてゆっくり昇温しな
がら反応で生成した水をトルエンとともに留去した。そ
の後190℃で3時間縮合反応させ、芳香族ポリスルホ
ンのユニットからなるm=10のプリカーサー0.36
モルを合成した。このプリカーサーは、ジクロロジフェ
ニルスルホンと4,4’−ジフェノールが交互に連結し
たものであるが、ジクロロジフェニルスルホンのモル数
が4,4’−ジフェノールのモル数の1.1倍であるた
め、m=10となり、両末端にジクロロジフェニルスル
ホンが存在する構造となる。
【0033】次いで更に溶媒としてのN−メチルピロリ
ドン250mlを追加し、該プリカーサーを含有する溶
液にジクロロジフェニルスルホン0.324モルと硫化
ナトリウム0.378モルとを添加して190℃で3時
間縮合反応させた。ここで該プリカーサーは重合により
0.036モルとなり、添加するジクロロジフェニルス
ルホンが0.324モルであるので、両末端に縮合重合
できる活性塩素を持つモノマーの合計モル数は0.36
モルであり、硫化ナトリウムと縮合重合を行う。硫化ナ
トリウムは重合ポリマーの分子量を調節するため0.3
6モルより少し過剰に添加する。以上のような方法で次
式で示される芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルス
ルホン共重合体を220g得た。
【0034】
【化6】
【0035】ただし、m/n=1/1である。この芳香
族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共重合体の
固有粘度は0.50である。
【0036】次に上記共重合体75gを1,1,2,2
−テトラクロロエタン1,020mlに溶解し、クロル
メチルメチルエーテル400g及び無水塩化スズ4.5
gを更に添加して、110℃に加熱して4時間かけてク
ロルメチル化反応を行った。反応終了後、メチルアルコ
ール5,000mlを用いて反応生成物を沈殿させ、こ
れを洗浄し、クロルメチル化共重合体を85g得た。得
られたクロルメチル化共重合体のクロロメチル基の導入
率は、1繰返し単位に約1.9個で、すべてトリメチル
アミンで反応させた場合のイオン交換容量は2.2ミリ
当量/g樹脂であった。
【0037】かくして得られたクロルメチル化共重合
0gをN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶
解して15重量%溶液を調製した。冷却下に撹拌しなが
ら0℃で1NのトリメチルアミンのN,N−ジメチルホ
ルムアミド溶液を108mlゆっくりと滴下し、その後
66gの2−メトキシエタノールを添加し、イオン交換
容量が2.0ミリ当量/gの溶液Aを520ml得た
(以下、この溶液をアミノ化溶液Aと称する。)。
【0038】一方、14.8重量%のジビニルベンゼン
と16.9重量%のブチルアクリレートと53.0重量
%のスチレンモノマーと5.1重量%のニトリルゴムと
8.5重量%の可塑剤としてのジオクチルフタレートと
1.7重量%の重合開始剤としてのベンゾイルパーオキ
サイドとを含有するモノマー溶液30mlを、塩化ビニ
ル製の厚み約50μmの織布と延伸開孔法で調製した
孔径1μm、多孔度80%、膜厚100μmのポリテト
ラフルオロエチレン製多孔膜とを加熱積層した1m角の
支持体にポリ塩化ビニル製の織布側から塗布し、ポリ
化ビニル製の織布側から約40μm含浸させた。次い
で、含浸された布上下ポリエステルフィルムではさ
み、60℃で1.5時間、更に70℃に昇温して5時間
加熱することによりモノマーの重合を行い、スチレン−
ジビニルベンゼン共重合体を片側に含浸保持する複合体
膜が得られた。この膜を濃硫酸10Lで処理することに
より、含浸保持されたスチレン−ジビニルベンゼン共重
合体をスルホン化した。その結果、膜厚150μmの補
強されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる
陽イオン交換膜が得られた。
【0039】陽イオン交換膜の膜上にアミノ化溶液Aを
流延、乾燥し、陽イオン交換膜上にイオン交換容量2.
0ミリ当量/gの陰イオン交換層を3μm積層し、目的
とする補強された水素イオン選択透過膜を得た。この膜
の水素イオン選択透過性と膜電圧降下、限界電流密度を
測定したところ、選択性は140、膜電圧降下は0.2
V、限界電流密度は12A/dm2であった。
【0040】[実施例2] ゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてテトラフル
オロエチレンとCF2=CFOCF2CF(CF3)O
(CF22SO2Fを共重合し、イオン交換容量1.1
ミリ当量/gの共重合体を得た。これを加水分解して酸
型に変換し、エタノールに溶解せしめて濃度8%の溶液
Bを得た(以下、この溶液をポリマー溶液Bと称す
る。)。このポリマー溶液Bをポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にキャストし、膜厚約30μmの膜を製
膜した後、更にその上にポリマー溶液Bを液膜厚100
μmとなるようにコートし、延伸開孔法で調製した孔径
1μm、多孔度80%、膜厚100μmのポリテトラフ
ルオロエチレン製多孔膜と積層後60℃で加熱乾燥
して多孔膜を積層した陽イオン交換膜を得た。陽イオン
交換膜の膜上にアミノ化溶液Aを流延、乾燥し、陽イオ
ン交換膜上にイオン交換容量2.0ミリ当量/gの陰イ
オン交換層を3μmの厚さで積層し、目的とする補強
された水素イオン選択透過膜を得た。
【0041】この膜の水素イオン選択透過性と膜電圧降
下、限界電流密度を測定したところ、選択性は120、
膜電圧降下は0.3V、限界電流密度は11A/dm2
であった。
【0042】[実施例3] 実施例2において、延伸開孔法で調製した孔径1μm、
多孔度80%、膜厚100μmのポリテトラフルオロエ
チレン製多孔膜を用いたかわりに、延伸開孔法で調製
した孔径1μm、多孔度80%、膜厚30μmのポリテ
トラフルオロエチレン製多孔膜と、繊維径150μmの
ポリエステル製ネットを加熱圧着させた支持体を用いた
以外は実施例1と同様にして補強された水素イオン選択
透過膜を得た。この膜の水素イオン選択透過性と膜電圧
降下、限界電流密度を測定したところ、選択性は13
0、膜電圧降下は0.2V、限界電流密度は13A/d
2であった。
【0043】[比較例1] 14.8重量%のジビニルベンゼンと16.9重量%の
ブチルアクリレートと53.0重量%のスチレンモノマ
ーと5.1重量%のニトリルゴムと8.5重量%の可塑
剤としてのジオクチルフタレートと1.7重量%の重合
開始剤としてのベンゾイルパーオキサイドとを含有する
モノマー溶液180mlを、ポリ塩化ビニル製の厚み約
200μmの織布の1m角の支持体に塗布し、含浸させ
た。次いで、含浸された布上下ポリエステルフィル
ムではさみ、60℃で1.5時間、更に70℃に昇温し
て5時間加熱することによりモノマーの重合を行い、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体を含浸保持する膜が
得られた。この膜を濃硫酸10Lで処理することによ
り、含浸保持されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体をスルホン化した。その結果、膜厚約200μmのス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる陽イオン交
換膜が得られた。
【0044】実施例1において、陽イオン交換膜を上記
の方法で調製した以外は同様にして水素イオン選択透過
膜を得た。この膜の水素イオン選択透過性と膜電圧降
下、限界電流密度を測定したところ、選択性は140、
膜電圧降下は1.0V、限界電流密度は8A/dm2
あった。
【0045】[比較例2] イオン交換膜の上にイオン交換容量2.0ミリ当量/
gの陰イオン交換層を25μm積層した以外は実施例2
同様にして水素イオン選択透過膜を得た。この膜の水
素イオン選択透過性と膜電圧降下、限界電流密度を測定
したところ、選択性は140、膜電圧降下は1.5V、
限界電流密度は4A/dm2であった。
【0046】[比較例3] イオン交換膜の膜厚を100μmとした以外は実施例
3と同様にして水素イオン選択透過膜を得た。
【0047】この膜の水素イオン選択透過性と膜電圧降
下、限界電流密度を測定したところ、選択性は130、
膜電圧降下は1.0V、限界電流密度は8A/dm2
あった。
【0048】
【発明の効果】本発明において、複層イオン交換膜は、
水素イオンとその他の陽イオンを分離する水素イオン選
択性と水素イオン透過性の両者の性質を満足させる
性能の膜である。この膜を使用することにより、水素イ
オンとその他の陽イオンを含有する陰極側の水溶液か
ら、水素イオンを選択的に陰極側に透過できる
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 61/00 - 71/82

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極側の水素イオンとその他の陽イオンを
    含有する水溶液から、隔膜を通じて水素イオンを選択的
    に陰極側に透過せしめる水素イオンの選択的電気透析方
    法において、上記隔膜が、イオン交換容量が0.5〜4
    ミリ当量/g乾燥樹脂、固定イオン濃度が1〜20ミリ
    当量/gHO、膜厚が0.1〜20μmである陽極側
    の陰イオン交換体層と、膜厚が0.1〜50μmである
    中間の陽イオン交換体層と、ポリオレフィン製、または
    ポリフルオロオレフィン製であり、多孔度が10〜90
    %、膜厚が5〜300μmである陰極側の多孔層とが積
    層されてなる複層イオン交換膜であり、当該複層イオン
    交換膜における上記多孔層の膜厚が、上記陽イオン交換
    体層および上記陰イオン交換体層のいずれよりも大きい
    ことを特徴とする水素イオンの選択的電気透析方法。
  2. 【請求項2】前記陰イオン交換体層が、式(1)で表さ
    れる繰返し単位を含有する芳香族系重合体をハロアルキ
    ル化後、アミノ化したものからなる請求項1に記載の水
    素イオンの選択的電気透析方法。 【化1】
  3. 【請求項3】前記芳香族系重合体が式(2)で表される
    ブロック共重合体である請求項2に記載の水素イオンの
    選択的電気透析方法。 【化2】 但し、式中X、Y、Arは式(1)と同じ。Zは、−S
    −、−O−又は−S−を示す。R8〜R11は、互
    いに同一又は異なる炭素数1〜8の炭化水素基、f〜i
    は0〜4、lは0〜1、m,nは2〜200の整数であ
    り、m/nは0.1〜100を示す。
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